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特開2023-148974特徴量抽出方法、プログラム及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148974
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】特徴量抽出方法、プログラム及び装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057282
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平島 大介
(72)【発明者】
【氏名】前田 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 隆雄
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA11
3C223BA01
3C223CC01
3C223EA04
3C223EB01
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF33
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】より適切に特徴量を抽出できる特徴量抽出方法、プログラム及び装置を提供する。
【解決手段】特徴量抽出方法は、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出方法であって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データにおける測定データの変化点を検出する変化点検出工程(ステップS3)と、検出された変化点を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ工程(ステップS4)と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出工程(ステップS5)とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出方法であって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データにおける前記測定データの変化点を検出する変化点検出工程と、
検出された前記変化点を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ工程と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出工程とを含む、
特徴量抽出方法。
【請求項2】
前記変化点検出工程では、前記複数の単位データの二階微分値が所定値を超えるか又は非連続となるタイミングを前記変化点として検出する、
請求項1に記載の特徴量抽出方法。
【請求項3】
前記位置合わせ工程は、
前記変化点を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる第1位置合わせ工程と、
前記物理量の位置合わせを行った前記複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ工程と、
前記差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ工程と、
原点を変えながら前記第1~第3位置合わせ工程を繰り返す第4位置合わせ工程と、
前記第4位置合わせ工程で前記第1~第3位置合わせ工程を繰り返した後に、前記差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ工程と
を含み、
前記特徴量抽出工程では、前記差分面積和が最小となる原点で前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する、
請求項1又は2に記載の特徴量抽出方法。
【請求項4】
前記第2位置合わせ工程では、位置合わせを行った前記複数の単位データの平均データを求めた後に、前記平均データと前記複数の単位データとの間の前記差分面積を求める、
請求項3に記載の特徴量抽出方法。
【請求項5】
前記特徴量抽出工程では、前記複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、前記複数の区間のそれぞれで所定の統計量を前記特徴量として算出する、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の特徴量抽出方法。
【請求項6】
前記複数の単位データは、データベースとして連続的に蓄えられており、
前記データベースから前記複数の単位データを抽出する単位データ抽出工程
をさらに含み、
前記変化点検出工程は、前記単位データ抽出工程で抽出された前記複数の単位データにおける前記変化点を検出する、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の特徴量抽出方法。
【請求項7】
抽出された前記複数の単位データのノイズを除去するノイズ除去工程
をさらに含み、
前記変化点検出工程では、前記ノイズが除去された前記複数の単位データにおける前記測定データの変化点を検出する、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の特徴量抽出方法。
【請求項8】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出方法であって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ工程と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出工程と
を含み、
前記位置合わせ工程は、
任意の前記物理量の位置を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる第1位置合わせ工程と、
前記物理量の位置合わせを行った前記複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ工程と、
前記差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ工程と、
原点を変えながら前記第1~第3位置合わせ工程を繰り返す第4位置合わせ工程と、
前記第4位置合わせ工程で前記第1~第3位置合わせ工程を繰り返した後に、前記差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ工程と
を含み、
前記特徴量抽出工程では、前記差分面積和が最小となる原点で前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する、
特徴量抽出方法。
【請求項9】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出方法であって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ工程と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出工程と
を含み、
前記特徴量抽出工程では、前記複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、前記複数の区間のそれぞれで所定の統計量を前記特徴量として算出する、
特徴量抽出方法。
【請求項10】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出プログラムであって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データにおける前記測定データの変化点を検出する変化点検出機能と、
検出された前記変化点を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ機能と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出機能と
をコンピューターに実現させるための特徴量抽出プログラム。
【請求項11】
前記変化点検出機能は、前記複数の単位データの二階微分値が所定値を超えるか又は非連続となるタイミングを前記変化点として検出する、
請求項10に記載の特徴量抽出プログラム。
【請求項12】
前記位置合わせ機能は、
前記変化点を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる第1位置合わせ機能と、
前記物理量の位置合わせを行った前記複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ機能と、
前記差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ機能と、
原点を変えながら前記第1~第3位置合わせ機能を繰り返す第4位置合わせ機能と、
前記第4位置合わせ機能が前記第1~第3位置合わせ機能を繰り返した後に、前記差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ機能と
を含み、
前記特徴量抽出機能は、前記差分面積和が最小となる原点で前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する、
請求項10又は11に記載の特徴量抽出プログラム。
【請求項13】
前記第2位置合わせ機能は、位置合わせを行った前記複数の単位データの平均データを求めた後に、前記平均データと前記複数の単位データとの間の前記差分面積を求める、
請求項12に記載の特徴量抽出プログラム。
【請求項14】
前記特徴量抽出機能では、前記複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、前記複数の区間のそれぞれで所定の統計量を前記特徴量として算出する、
請求項10から13までのいずれか1項に記載の特徴量抽出プログラム。
【請求項15】
前記複数の単位データは、データベースとして連続的に蓄えられており、
前記データベースから前記複数の単位データを抽出する単位データ抽出機能
をコンピューターにさらに実現させ、
前記変化点検出機能は、前記単位データ抽出機能で抽出された前記複数の単位データにおける前記変化点を検出する、
請求項10から14までのいずれか1項に記載の特徴量抽出プログラム。
【請求項16】
抽出された前記複数の単位データのノイズを除去するノイズ除去機能
をコンピューターにさらに実現させ、
前記変化点検出機能では、前記ノイズが除去された前記複数の単位データにおける前記測定データの変化点を検出する、
請求項10から15までのいずれか1項に記載の特徴量抽出プログラム。
【請求項17】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出プログラムであって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ機能と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出機能と
をコンピューターに実現させるための特徴量抽出プログラムであり、
前記位置合わせ機能は、
任意の前記物理量の位置を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる第1位置合わせ機能と、
前記物理量の位置合わせを行った前記複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ機能と、
前記差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ機能と、
原点を変えながら前記第1~第3位置合わせ機能を繰り返す第4位置合わせ機能と、
前記第4位置合わせ機能が前記第1~第3位置合わせ機能を繰り返した後に、前記差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ機能と
を含み、
前記特徴量抽出機能は、前記差分面積和が最小となる原点で前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する、
特徴量抽出プログラム。
【請求項18】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出プログラムであって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ機能と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出機能と
をコンピューターに実現させるための特徴量抽出プログラムであり、
前記特徴量抽出機能は、前記複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、前記複数の区間のそれぞれで所定の統計量を前記特徴量として算出する、
特徴量抽出プログラム。
【請求項19】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出装置であって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データにおける前記測定データの変化点を検出する変化点検出部と、
検出された前記変化点を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ部と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出部と
を備える、
特徴量抽出装置。
【請求項20】
前記変化点検出部は、前記複数の単位データの二階微分値が所定値を超えるか又は非連続となるタイミングを前記変化点として検出する、
請求項19に記載の特徴量抽出装置。
【請求項21】
前記位置合わせ部は、
前記変化点を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる第1位置合わせ部と、
前記物理量の位置合わせを行った前記複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ部と、
前記差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ部と、
原点を変えながら前記第1~第3位置合わせ部の処理を繰り返す第4位置合わせ部と、
前記第4位置合わせ部が前記第1~第3位置合わせ部の処理を繰り返した後に、前記差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ部と
を含み、
前記特徴量抽出部は、前記差分面積和が最小となる原点で前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する、
請求項19又は20に記載の特徴量抽出装置。
【請求項22】
前記第2位置合わせ部は、位置合わせを行った前記複数の単位データの平均データを求めた後に、前記平均データと前記複数の単位データとの間の前記差分面積を求める、
請求項21に記載の特徴量抽出装置。
【請求項23】
前記特徴量抽出部は、前記複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、前記複数の区間のそれぞれで所定の統計量を前記特徴量として算出する、
請求項19から22までのいずれか1項に記載の特徴量抽出装置。
【請求項24】
前記複数の単位データは、データベースとして連続的に蓄えられており、
前記データベースから前記複数の単位データを抽出する単位データ抽出部
をさらに備え、
前記変化点検出部は、前記単位データ抽出部によって抽出された前記複数の単位データにおける前記変化点を検出する、
請求項19から23までのいずれか1項に記載の特徴量抽出装置。
【請求項25】
抽出された前記複数の単位データのノイズを除去するノイズ除去部
をさらに備え、
前記変化点検出部は、前記ノイズが除去された前記複数の単位データにおける前記測定データの変化点を検出する、
請求項19から24までのいずれか1項に記載の特徴量抽出装置。
【請求項26】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出装置であって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ部と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出部と
を備え、
前記位置合わせ部は、
任意の前記物理量の位置を原点として、前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる第1位置合わせ部と、
前記物理量の位置合わせを行った前記複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ部と、
前記差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ部と、
原点を変えながら前記第1~第3位置合わせ部の処理を繰り返す第4位置合わせ部と、
前記第4位置合わせ部が前記第1~第3位置合わせ部の処理を繰り返した後に、前記差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ部と
を備え、
前記特徴量抽出部は、前記差分面積和が最小となる原点で前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する、
特徴量抽出装置。
【請求項27】
複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出装置であって、前記複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、
前記複数の単位データの前記物理量の位置を合わせる位置合わせ部と、
前記物理量の位置を合わせた状態で、前記複数の単位データから前記特徴量を抽出する特徴量抽出部と
を備え、
前記特徴量抽出部は、前記複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、前記複数の区間のそれぞれで所定の統計量を前記特徴量として算出する、
特徴量抽出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出方法、プログラム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工業製品の生産設備等には温度センサ、圧力センサ又は流量センサ等のセンサが設置されている。各センサにより測定された測定データは、例えば時間等の所定の物理量に関連付けられて蓄えられる。蓄えられた測定データを分析する場合、処理の単位となる単位データの差が重要な特徴量となる。
【0003】
従来、連続的に蓄えられた測定データから複数の単位データを切り出し、分析者の知見及び/又は気づきから導きだされる位置で単位データを重ね合わせ、グラフ化し、単位データ間で差異が見られる部位を分析者の目視確認により抽出し、特徴量を生成することが行われる。生成した特徴量を機械学習や統計解析手法にて分析することで、製品品質や設備稼働に影響を与える特徴量を特定し、品質不良原因特定や生産性改善策作成に活用していた。
【0004】
例えば下記の特許文献1~4には、単位データから特徴量を抽出するための方法等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4756707号公報
【特許文献2】特許第4837520号公報
【特許文献3】特許第5348977号公報
【特許文献4】特許第5912880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の特徴量抽出方法では、以下のような課題があった。すなわち、例えば工業製品の生産設備における単位データは、生産設備の稼働開始を始点とすることがある。しかしながら、各単位データの始点を原点として各単位データの物理量の位置を合わせて各単位データを比較しても、単位データ間の差異を明確に検出できないこともある。例えば、単位データの途中の物理量位置を原点として各単位データを重ね合わせることで、始点を原点として合わせたときには隠れていた単位データ間の差異が明瞭化することもある。すなわち、単位データには余分なデータが付随しており、単位データに付随する余分なデータにより、本来であれば抽出すべき単位データ間の差異が隠れてしまうことがある。
【0007】
また、以下のような別の課題もあった。すなわち、分析者が単位データを物理量の軸方向に少しずつスライドさせていき、単位データが描く曲線が最も一致するように合わせこみ、それでも残る単位データ間の差を特徴量としていた。しかしながら、単位データが描く曲線が最も一致するとの判断は、分析者の経験に依存しており、定量化されておらず、再現性が低いことがある。
【0008】
また、以下のようなさらに別の課題もあった。すなわち、特徴量の生成も分析者の気付きに依存しており、見落としが発生する虞があった。言い換えると、単位データの全体を網羅して特徴量を生成できていなかった。
【0009】
本発明は、上記のような課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであり、その目的の一つは、より適切に特徴量を抽出できる特徴量抽出方法、プログラム及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る特徴量抽出方法は、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出方法であって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データにおける測定データの変化点を検出する変化点検出工程と、検出された変化点を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ工程と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出工程とを含む。
【0011】
本発明の別の態様に係る特徴量抽出方法は、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出方法であって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ工程と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出工程とを含み、位置合わせ工程は、任意の物理量の位置を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせる第1位置合わせ工程と、物理量の位置合わせを行った複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ工程と、差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ工程と、原点を変えながら第1~第3位置合わせ工程を繰り返す第4位置合わせ工程と、第4位置合わせ工程で第1~第3位置合わせ工程を繰り返した後に、差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ工程とを含み、特徴量抽出工程では、差分面積和が最小となる原点で物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する。
【0012】
本発明のさらに別の態様に係る特徴量抽出方法は、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出方法であって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ工程と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出工程とを含み、特徴量抽出工程では、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、複数の区間のそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出する。
【0013】
本発明の一態様に係る特徴量抽出プログラムは、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出プログラムであって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データにおける測定データの変化点を検出する変化点検出機能と、検出された変化点を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ機能と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出機能とをコンピューターに実現させる。
【0014】
本発明の別の態様に係る特徴量抽出プログラムは、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出プログラムであって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ機能と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出機能とをコンピューターに実現させるための特徴量抽出プログラムであり、位置合わせ機能は、任意の物理量の位置を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせる第1位置合わせ機能と、物理量の位置合わせを行った複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ機能と、差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ機能と、原点を変えながら第1~第3位置合わせ機能を繰り返す第4位置合わせ機能と、第4位置合わせ機能が第1~第3位置合わせ機能を繰り返した後に、差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ機能とを含み、特徴量抽出機能は、差分面積和が最小となる原点で物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する。
【0015】
本発明のさらに別の態様に係る特徴量抽出プログラムは、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出プログラムであって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ機能と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出機能とをコンピューターに実現させるための特徴量抽出プログラムであり、特徴量抽出機能は、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、複数の区間のそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出する。
【0016】
本発明の一態様に係る特徴量抽出装置は、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出装置であって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データにおける測定データの変化点を検出する変化点検出部と、検出された変化点を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ部と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出部とを備える。
【0017】
本発明の別の態様に係る特徴量抽出装置は、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出装置であって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ部と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出部とを備え、位置合わせ部は、任意の物理量の位置を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせる第1位置合わせ部と、物理量の位置合わせを行った複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ部と、差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ部と、原点を変えながら第1~第3位置合わせ部の処理を繰り返す第4位置合わせ部と、第4位置合わせ部が第1~第3位置合わせ部の処理を繰り返した後に、差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ部とを備え、特徴量抽出部は、差分面積和が最小となる原点で物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する。
【0018】
本発明のさらに別の態様に係る特徴量抽出装置は、複数の単位データから特徴量を抽出するための特徴量抽出装置であって、複数の単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであるとともに、処理の単位となるものであり、複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ部と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出部とを備え、特徴量抽出部は、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、複数の区間のそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係る特徴量抽出方法、プログラム及び装置によれば、検出された測定データの変化点を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出するので、単位データに付随する余分なデータにより単位データ間の差異が隠れてしまうことを避けることができ、より適切に特徴量を抽出できる。
【0020】
また、本発明の別の態様に係る特徴量抽出方法、プログラム及び装置によれば、差分面積和が最小となる原点で物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出するので、分析者の経験に依存せずに単位データが描く曲線が最も一致したと考えられる状態で特徴量を抽出でき、より適切に特徴量を抽出できる。
【0021】
また、本発明のさらに別の態様に係る特徴量抽出方法、プログラム及び装置によれば、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間に分割し、複数の区間のそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出するので、単位データの全体を網羅して特徴量を生成でき、より適切に特徴量を抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1による特徴量抽出方法を示すフローチャートである。
図2図1の単位データ抽出工程を示す説明図である。
図3図1の変化点検出工程を示す説明図である。
図4図1の位置合わせ工程をより詳細に示すフローチャートである。
図5図4の第1位置合わせ工程を示す説明図である。
図6図4の第2位置合わせ工程を示す説明図である。
図7図4の第5位置合わせ工程を示す説明図である。
図8図1の特徴量抽出工程を示す説明図である。
図9】本発明の実施の形態1による特徴量抽出プログラムを示すブロック図である。
図10】本発明の実施の形態1による特徴量抽出装置を示すブロック図である。
図11】本発明の実施の形態2,3による特徴量抽出方法を示すフローチャートである。
図12】本発明の実施の形態2による特徴量抽出プログラムを示すブロック図である。
図13】本発明の実施の形態2による特徴量抽出装置を示すブロック図である。
図14】本発明の実施の形態3による特徴量抽出プログラムを示すブロック図である。
図15】本発明の実施の形態3による特徴量抽出装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0024】
実施の形態1.
まず、図1図8を参照しながら、本発明の実施の形態1による特徴量抽出方法について説明する。図1は本発明の実施の形態1による特徴量抽出方法を示すフローチャートであり、図2図1の単位データ抽出工程を示す説明図であり、図3図1の変化点検出工程を示す説明図である。また、図4図1の位置合わせ工程をより詳細に示すフローチャートであり、図5図4の第1位置合わせ工程を示す説明図であり、図6図4の第2位置合わせ工程を示す説明図であり、図7図4の第5位置合わせ工程を示す説明図である。また、図8図1の特徴量抽出工程を示す説明図である。
【0025】
図1に示す特徴量抽出方法は、複数の単位データから特徴量を抽出するための方法である。単位データは、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられたものであり、処理の単位となるものである。本実施の形態では、複数の単位データは、データベースとして連続的に蓄えられているものとする。
【0026】
センサとしては、例えば温度センサ、圧力センサ又は流量センサ等の任意のセンサが用いられ得る。従って、センサにより測定された測定データは、例えば温度、圧力又は流量等の任意の物理量(第1物理量)に対応し得る。測定データが関連付けられる物理量(第2物理量)は、典型的には時間であり得るが、例えば他のセンサによって測定される他の測定データであってもよい。例えば、所定位置の温度がその位置の圧力又は流量に関連付けられてもよく、また所定位置の温度が他の位置の温度、圧力又は流量に関連付けられてもよい。換言すると、センサによって測定される第1物理量は、第1物理量と異なる種類の第2物理量に関連付けられてもよいし、同種の第2物理量に関連付けられてもよい。
【0027】
また、測定データが関連付けられる物理量(第2物理量)の別の例としては、物理的な位置若しくは距離を挙げることができる。例えば、所定の軌道に沿って工業製品を連続的に熱処理するためのトンネル窯において、トンネル窯の入り口からの距離(第2物理量)に、それぞれの場所で測定された温度(第1物理量)が関連付けられてもよい。また、測定データが関連付けられる物理量(第2物理量)のさらに別の例としては、波長を挙げることができる。例えば、試験サンプルの特性を調べるためのガス分析装置又は周波数分析装置において、波長(第2物理量)に、その波長における反応の強さ(第1物理量)が関連付けられてもよい。
【0028】
データベースは、上述のような測定データが連続的に蓄えられたデータのセットであると理解できる場合がある。連続的とは、必ずしもアナログ的に間断の無いものを指すわけではなく、例えば所定の時間間隔を置いた測定データ等の離散的なものも含み得る。データベースは、例えばハードディスク、メモリ、コンピューター又はサーバ等の任意のハードウェアに格納され得る。特徴量抽出方法は、例えばコンピューター又は専用回路等の任意の装置によって実施され得る。特徴量抽出方法を実施する装置は、データベースを格納するハードウェアを備えていてもよいし、そのハードウェアとは別個に設けられてそのハードウェアに接続されてもよい。
【0029】
センサの測定対象は任意であるが、本実施の形態ではセンサの測定対象が工業製品のバッチ式生産設備であるように説明する。より具体的には、工業製品に所定時間の熱処理を行う熱処理炉において、所定位置の温度をセンサが測定し、そのセンサの測定データが時間に関連付けられて連続的にデータベースとして蓄えられている態様を例として説明する。熱処理炉の温度は、熱処理炉内に工業製品が挿入された後に上げられ、所定期間だけ高温の状態を維持した後に下げられる。熱処理炉の温度は、次に処理される工業製品が熱処理炉内に挿入されるまで所定の低温状態で維持される。
【0030】
図2には、そのような熱処理炉の温度変化を示すデータベースが示されている。より具体的には、図2に示すデータベースには、第1工業製品の生産に係る第1単位データD1、第2工業製品の生産に係る第2単位データD2、及び第3工業製品の生産に係る第3単位データD3が含まれている。第1~第3工業製品は同じ熱処理が加えられる同種の製品である。
【0031】
図2に示すように、温度の上昇及び降下は一様の速度で行われずに段階的に行われてよい。図2に示す例では、熱処理炉の温度は、熱処理炉内に工業製品が挿入された後に所定の上昇速度で第1温度T1から第2温度T2まで上昇され、所定期間だけ第2温度T2で維持される。その次に、所定の上昇速度で第2温度T2から第3温度T3まで上昇され、所定期間だけ第3温度T3で維持される。その次に、後に第3温度T3から第1温度T1まで降下される。第3温度T3から第1温度T1まで降下される時、所定の第1降下速度で温度が下げられた後、第1降下速度よりも遅い第2降下速度で温度が下げられる。
【0032】
処理の単位とは、所定の物理量に関連付けられた測定データのセットであって、測定データのセット間の差異を見出すことが意図される測定データのセットであり得る。処理の単位は、同種の処理が繰り返し行われているとき、各処理中の測定データのセットであり得る。より具体的には、処理の単位は、工業製品のバッチ式生産設備における各バッチ処理中の測定データのセットであり得る。また、処理の単位は、例えばトンネル窯等の工業製品の連続式生産設備における入口から出口までの測定データのセットであり得る。また、処理の単位は、例えばガス分析装置又は周波数分析装置等の試験サンプルの測定装置における各測定処理中の測定データのセットであり得る。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態1の特徴量抽出方法は、単位データ抽出工程(ステップS1)、ノイズ除去工程(ステップS2)、変化点検出工程(ステップS3)、位置合わせ工程(ステップS4)及び特徴量抽出工程(ステップS5)を含んでいる。各工程はこの順で行われ得る。
【0034】
単位データ抽出工程(ステップS1)は、データベースから処理の単位となる複数の単位データを抽出する工程である。この工程では、図2に示すデータベースから第1~第4単位データが抽出される。例えば、第1温度T1の状態が所定時間だけ維持されたタイミング(第1物理量が第1状態を所定時間維持されたタイミング)を単位データの始点と認識し、その始点から第2及び第3温度T2,T3を経て改めて第1温度T1の状態が所定時間だけ維持されたタイミングを単位データの終点と認識することで、単位データを抽出することができる。例えば、第1温度T1又は第1温度T1と第2温度T2との間の温度を閾値とし、測定データがその閾値以下である状態が所定時間維持されたタイミングを、第1温度T1の状態が所定時間だけ維持されたタイミングとすることができる。第1~第4単位データのそれぞれの間にそれら単位データに含まれないデータがあってもよい。代替的に、或る単位データの終点を次の単位データの始点としてもよい。
【0035】
ノイズ除去工程(ステップS2)は、抽出された複数の単位データのノイズを除去する工程である。ノイズは、測定データに含まれる高周波のブレであり、例えば、測定データの移動平均値を得る、又は測定データにローパスフィルタをかける等の方法により除去することができる。
【0036】
変化点検出工程(ステップS3)は、ノイズが除去された複数の単位データにおける測定データの変化点を検出する工程である。測定データの変化点は、複数の単位データの二階微分値が所定値を超えるか又は非連続となるタイミングを変化点として検出することができる。図3の(a)はノイズが除去された単位データを示し、(b)は単位データの一階微分値を示し、(c)は単位データの二階微分値及び二階微分値に含まれるパルスPと単位データとの関係を示している。図3の(c)に示すように単位データの二階微分値には、単位データに含まれる測定データの変化点の位置にパルスPが表れる。二階微分値が所定値を超えるか又は非連続となるタイミングを検出することにより、パルスPの位置を検出し、そのパルスPの位置を変化点として検出することができる。代替的に、ノイズが除去された単位データの測定データが所定値以上変化する点を変化点として検出したり、単位データの一階微分値が非連続となるタイミングを変化点として検出したりする等の他の方法により変化点を検出してもよい。
【0037】
位置合わせ工程(ステップS4)は、検出された変化点を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる工程である。本実施の形態では、変化点として検出された時間の位置(物理量の位置)が一致するように単位データの時間軸の位置が調整される。図5には、時間軸の位置が調整された複数の単位データを重ね合わせた一例が示されている。変化点検出工程で複数の変化点が検出される場合、少なくとも最初は所定の規則に従って特定の変化点が選定され、その選定された変化点を原点として位置合わせが行われてよい。図5の例では、温度が第2温度T2に達したタイミングの変化点が原点とされている。
【0038】
図4に示すように、本実施の形態1の特徴量抽出方法における位置合わせ工程(ステップS4)は、第1位置合わせ工程(ステップS4-1)、第2位置合わせ工程(ステップS4-2)、第3位置合わせ工程(ステップS4-3)、第4位置合わせ工程(ステップS4-4)、及び第5位置合わせ工程(ステップS4-5)を含んでいる。
【0039】
第1位置合わせ工程(ステップS4-1)は、変化点を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる工程である。この工程における処理は、上述の位置合わせ工程の処理と同様である。
【0040】
第2位置合わせ工程(ステップS4-2)は、物理量の位置合わせを行った複数の単位データ間の差分面積を求める工程である。図6に示すように、差分面積は、測定データ(温度)を縦軸とし、その測定データに関連付けられた物理量を横軸とした際、単位データ間の差の面積の総和として理解することができる。換言すると、各物理量位置における或る単位データの測定データと別の単位データの測定データとの差の総和として理解することができる。或る単位データの測定データと別の単位データの測定データとの差は絶対値として扱った上で総和を求めてよい。
【0041】
本実施の形態の第2位置合わせ工程では、位置合わせを行った複数の単位データの平均データ(平均の単位データ)を求めた後に、平均データと複数の単位データとの間の差分面積を求める。各物理量(時間)位置における各単位データの測定データ(温度)の平均値を得ることで平均データを求めることができる。図6には、平均データと第2単位データとの差分面積が示されている。代替的に、所定の規則に従って複数の単位データのうちの1つを選定し、その選定された単位データと他の単位データとの差分面積を求めてもよい。
【0042】
第3位置合わせ工程(ステップS4-3)は、差分面積を合算して差分面積和を求める工程である。本実施の形態の第3位置合わせ工程では、平均データと第1単位データとの第1差分面積、平均データと第2単位データとの第2差分面積、及び平均データと第3単位データとの第3差分面積が合算されることで差分面積和が求められる。
【0043】
第4位置合わせ工程(ステップS4-4)は、原点を変えながら第1~第3位置合わせ工程を繰り返す工程である。現在の原点から所定の物理量幅(時間幅)だけずらすことで、原点を変えることができる。最初の第1位置合わせ工程で変化点を原点とすることで単位データの大まかな位置合わせが行われ、最小の差分面積和を見つけるために第4位置合わせ工程で原点が徐々に変えられながら(すなわち単位データの位置が微調整されながら)差分面積和が収集され得る。代替的に、最初の第1位置合わせ工程で使用された変化点とは異なる変化点に原点が順次変えられてもよい。
【0044】
第5位置合わせ工程(ステップS4-5)は、第4位置合わせ工程で第1~第3位置合わせ工程を繰り返した後に、差分面積和が最小となる原点を判別する工程である。図7には、第4位置合わせ工程で収集された差分面積和と、その差分面積和を求める際に原点に用いた物理量(時間)の値との関係を示すグラフの一例が示されている。差分面積和が最小となる原点は、各単位データ間のズレが最も小さな原点であり、各単位データ間のズレを修正するのに最適な原点として使用され得る。
【0045】
図1に戻り、特徴量抽出工程(ステップS5)は、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する工程である。本実施の形態の特徴量抽出工程では、第5位置合わせ工程で判別された原点(差分面積和が最小となる原点)で物理量の位置が合わされた状態で、複数の単位データから特徴量が抽出される。
【0046】
抽出される特徴量及びその抽出方法は、単位データの処理目的に応じて適宜決定され任意である。本実施の形態の特徴量抽出工程では、図8に示すように複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間Sに分割し、複数の区間Sのそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出する。区間Sへの分割に使用する物理量幅は、例えば単位データのデータ間隔が1分間隔の場合に5分毎等、単位データの処理目的及び/又はデータ取得周期等に応じて適宜設定され得る。また、区間Sへの分割に使用する物理量幅は、この後の処理で統計量を算出することを考慮して、1つの区間内に3点以上の測定データが含まれるように設定されることが好ましい。区間Sは、原点を基準に所定の物理量幅毎に設定され得る。互いの区間Sは隣接して設定され得る。単位データの全物理量範囲を区間Sに分割してよい。代替的に、例えば測定データが所定値を超える一部の範囲(すなわち、有意な測定データが含まれている一部の範囲)等、単位データの一部の物理量範囲を区間Sに分割してもよい。算出される統計量としては、例えば各区間Sの測定データ(温度)の平均値及び/又は傾き(変化の割合)等が例として挙げられる。位置合わせされた単位データのそれぞれから抽出された特徴量を比較検討することにより、各単位データにおける事象の差異をより確実に把握できる。
【0047】
次に、図9は、本発明の実施の形態1による特徴量抽出プログラム1を示すブロック図である。図9に示す特徴量抽出プログラム1は、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられて連続的に蓄えられたデータベース2から処理の単位となる単位データの特徴量を抽出するためのものであり、コンピューター3に読み込まれて実行されることにより上述の特徴量抽出方法の各工程に対応する機能をコンピューター3に実現させるためのものである。図9に示すデータベース2は、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられて連続的に蓄えられたものである。図9ではコンピューター3の外にデータベース2を示しているが、コンピューター3に含まれるハードウェアがデータベース2を格納していてもよい。また、図9では1つのコンピューター3を示しているが、図9に示すコンピューター3が複数のコンピューターによって実現されてよい。この場合、幾つかの機能が或るコンピューターにより実現され、他の機能が別のコンピューターにより実現されてよい。
【0048】
特徴量抽出プログラム1がコンピューター3に読み込まれて実行されることによって、コンピューター3が実現する機能には、データベース2から複数の単位データを抽出する単位データ抽出機能31と、抽出された複数の単位データのノイズを除去するノイズ除去機能32と、ノイズが除去された複数の単位データにおける測定データの変化点を検出する変化点検出機能33と、検出された変化点を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ機能34と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出機能35とが含まれている。
【0049】
変化点検出機能33は、複数の単位データの二階微分値が所定値を超えるか又は非連続となるタイミングを変化点として検出することができる。
【0050】
位置合わせ機能34は、変化点を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる第1位置合わせ機能341と、物理量の位置合わせを行った複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ機能342と、差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ機能343と、原点を変えながら第1~第3位置合わせ機能341~343を繰り返す第4位置合わせ機能344と、第4位置合わせ機能344が第1~第3位置合わせ機能341~343を繰り返した後に、差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ機能345とを含み、特徴量抽出機能35は、差分面積和が最小となる原点で物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出することができる。
【0051】
第2位置合わせ機能342は、位置合わせを行った複数の単位データの平均データを求めた後に、平均データと複数の単位データとの間の差分面積を求めることができる。
【0052】
特徴量抽出機能35では、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間Sに分割し、複数の区間Sのそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出することができる。
【0053】
上述のように各機能は特徴量抽出方法の各工程に対応しており、上記した特徴量抽出方法の各工程の説明は各機能にも当てはまる。
【0054】
次に、図10は、本発明の実施の形態1による特徴量抽出装置4を示すブロック図である。図10に示す特徴量抽出装置4は、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられて連続的に蓄えられたデータベース2から処理の単位となる単位データの特徴量を抽出するためのものであり、上述の特徴量抽出方法の各工程を実行するための各部(機能ブロック)を備えている。図10に示すデータベース2は、センサにより測定された測定データが所定の物理量に関連付けられて連続的に蓄えられたものである。図10では特徴量抽出装置4の外にデータベース2を示しているが、特徴量抽出装置4に含まれるハードウェアがデータベース2を格納していてもよい。また、図10では1つの特徴量抽出装置4を示しているが、図10に示す特徴量抽出装置4が複数の装置によって実現されてよい。この場合、幾つかの機能ブロックが或る装置により実現され、他の機能ブロックが別の装置により実現されてよい。
【0055】
特徴量抽出装置4は、データベース2から複数の単位データを抽出する単位データ抽出部41と、抽出された複数の単位データのノイズを除去するノイズ除去部42と、ノイズが除去された複数の単位データにおける測定データの変化点を検出する変化点検出部43と、検出された変化点を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる位置合わせ部44と、物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出する特徴量抽出部45とが含まれている。
【0056】
変化点検出部43は、複数の単位データの二階微分値が所定値を超えるか又は非連続となるタイミングを変化点として検出することができる。
【0057】
位置合わせ部44は、変化点を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる第1位置合わせ部441と、物理量の位置合わせを行った複数の単位データ間の差分面積を求める第2位置合わせ部442と、差分面積を合算して差分面積和を求める第3位置合わせ部443と、原点を変えながら第1~第3位置合わせ部441~443を繰り返す第4位置合わせ部444と、第4位置合わせ部444が第1~第3位置合わせ部441~443を繰り返した後に、差分面積和が最小となる原点を判別する第5位置合わせ部445とを含み、特徴量抽出部45は、差分面積和が最小となる原点で物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出することができる。
【0058】
第2位置合わせ部442は、位置合わせを行った複数の単位データの平均データを求めた後に、平均データと複数の単位データとの間の差分面積を求めることができる。
【0059】
特徴量抽出部45では、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間Sに分割し、複数の区間Sのそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出することができる。
【0060】
上述のように各部は特徴量抽出方法の各工程に対応しており、上記した特徴量抽出方法の各工程の説明は各部にも当てはまる。
【0061】
本実施の形態のような特徴量抽出方法、プログラム及び装置では、検出された測定データの変化点を原点として、複数の単位データの物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出するので、単位データに付随する余分なデータにより単位データ間の差異が隠れてしまうことを避けることができ、より適切に特徴量を抽出できる。
【0062】
また、複数の単位データの二階微分値が所定値を超えるか又は非連続となるタイミングを変化点として検出するので、より確実に変化点を検出することができる。
【0063】
また、差分面積和が最小となる原点で物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量が抽出されるので、分析者の経験に依存せずに単位データが描く曲線が最も一致したと考えられる状態で特徴量を抽出でき、より適切に特徴量を抽出できる。この構成は、変化点間の物理量の幅が単位データ間で異なるときに特に有用である。例えば、真空プロセスを伴うバッチ式装置では、所定の真空度に達した際に、例えば昇温等の次のステップに移行するようなプログラムがある。所定の真空度に達するまでの時間は、例えば季節等の周囲環境により異なることがあり、すなわち変化点間の物理量の幅が単位データ間で異なる場合がある。このような場合では、どの変化点に原点を合わせるのが最善であるか判別が難しいという課題がある。上記した構成により、このような課題を解消できる。
【0064】
また、位置合わせを行った複数の単位データの平均データを求めた後に、平均データと複数の単位データとの間の差分面積を求めるので、すべての単位データ間の差分面積を求める場合と比較して演算負荷を低減できる。また、特定の単位データを基準にして差分面積を求める場合と比較して、得られる結果に偏りが生じる虞を低減できる。
【0065】
また、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間Sに分割し、複数の区間Sのそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出するので、単位データの全体を網羅して特徴量を生成でき、より適切に特徴量を抽出できる。
【0066】
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2による特徴量抽出方法を示すフローチャートである。実施の形態2の特徴量抽出方法は、実施の形態1の変化点検出工程(ステップS3)が省略された方法である。本実施の形態2の位置合わせ工程(ステップS4)は、図4を用いて説明した第1位置合わせ工程(ステップS4-1)、第2位置合わせ工程(ステップS4-2)、第3位置合わせ工程(ステップS4-3)、第4位置合わせ工程(ステップS4-4)、及び第5位置合わせ工程(ステップS4-5)を含んでいる。本実施の形態2の第1位置合わせ工程(ステップS4-1)は、任意の物理量の位置を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる。すなわち、実施の形態1では変化点を基準に原点を決定していたが、例えばオペレータにより指定された物理量位置等の他の方法/基準に従って原点が決定されてもよい。その他は実施の形態1の特徴量抽出方法と同様である。
【0067】
次に、図12は、本発明の実施の形態2による特徴量抽出プログラム1を示すブロック図である。実施の形態2の特徴量抽出プログラム1は、実施の形態1で説明したコンピューターに実現させる機能から変化点検出機能33が省略されたプログラムである。本実施の形態2の位置合わせ機能34は、第1位置合わせ機能341、第2位置合わせ機能342、第3位置合わせ機能343、第4位置合わせ機能344、及び第5位置合わせ機能345を含んでいる。本実施の形態2の第1位置合わせ機能341は、任意の物理量の位置を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる。すなわち、実施の形態1では変化点を基準に原点を決定していたが、例えばオペレータにより指定された物理量位置等の他の方法/基準に従って原点が決定されてもよい。その他は実施の形態1の特徴量抽出プログラムと同様である。
【0068】
次に、図13は、本発明の実施の形態2による特徴量抽出装置4を示すブロック図である。実施の形態2の特徴量抽出装置は、実施の形態1で説明した変化点検出部43が省略された装置である。本実施の形態2の位置合わせ部44は、第1位置合わせ部441、第2位置合わせ部442、第3位置合わせ部443、第4位置合わせ部444、及び第5位置合わせ部445を含んでいる。本実施の形態2の第1位置合わせ部441は、任意の物理量の位置を原点として、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる。すなわち、実施の形態1では変化点を基準に原点を決定していたが、例えばオペレータにより指定された物理量位置等の他の方法/基準に従って原点が決定されてもよい。その他は実施の形態1の特徴量抽出装置と同様である。
【0069】
このように、実施の形態1とは異なる方法/基準に従って原点が決定されてもよい。本実施の形態2のような特徴量抽出方法、プログラム及び装置においても、差分面積和が最小となる原点で物理量の位置を合わせた状態で、複数の単位データから特徴量を抽出するので、分析者の経験に依存せずに単位データが描く曲線が最も一致したと考えられる状態で特徴量を抽出でき、より適切に特徴量を抽出できる。この構成は、変化点間の物理量の幅が単位データ間で異なるときに特に有用である。例えば、真空プロセスを伴うバッチ式装置では、所定の真空度に達した際に、例えば昇温等の次のステップに移行するようなプログラムがある。所定の真空度に達するまでの時間は、例えば季節等の周囲環境により異なることがあり、すなわち変化点間の物理量の幅が単位データ間で異なる場合がある。このような場合では、どの変化点に原点を合わせるのが最善であるか判別が難しいという課題がある。上記した構成により、このような課題を解消できる。
【0070】
実施の形態3.
実施の形態3の特徴量抽出方法を示すフローチャートは、実施の形態2の特徴量抽出方法を示すフローチャートと同様であるので、図11を流用する。すなわち、実施の形態3の特徴量抽出方法は、実施の形態2と同様に実施の形態1の変化点検出工程(ステップS3)が省略された方法である。また、実施の形態2では位置合わせ工程(ステップS4)が第1~第5位置合わせ工程(ステップS4-1~4-5)を含むように説明したが、実施の形態3の位置合わせ工程(ステップS4)は第1~第5位置合わせ工程(ステップS4-1~4-5)を含まない。位置合わせ工程(ステップS4)では、例えばオペレータの操作等の任意の方法/基準により、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる。特徴量抽出工程(ステップS5)では、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間Sに分割し、複数の区間Sのそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出する。その他は実施の形態1,2の特徴量抽出方法と同様である。
【0071】
次に、図14は、本発明の実施の形態3による特徴量抽出プログラム1を示すブロック図である。実施の形態3の特徴量抽出プログラムは、実施の形態1で説明したコンピューターに実現させる機能から変化点検出機能33及び第1~第5位置合わせ機能341~345が省略されたプログラムである。本実施の形態2の位置合わせ機能34は、例えばオペレータの操作等の任意の方法/基準により、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる。特徴量抽出機能35は、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間Sに分割し、複数の区間Sのそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出する。その他は実施の形態1,2の特徴量抽出プログラムと同様である。
【0072】
次に、図15は、本発明の実施の形態3による特徴量抽出装置4を示すブロック図である。実施の形態3の特徴量抽出装置は、実施の形態1で説明した変化点検出部43及び第1~第5位置合わせ部441~445が省略された装置である。本実施の形態2の位置合わせ部44は、例えばオペレータの操作等の任意の方法/基準により、ノイズが除去された複数の単位データの物理量の位置を合わせる。特徴量抽出部45は、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間Sに分割し、複数の区間Sのそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出する。その他は実施の形態1,2の特徴量抽出装置と同様である。
【0073】
このように、実施の形態1,2とは異なる方法/基準に従って複数の単位データの物理量の位置が合わされてもよい。本実施の形態3のような特徴量抽出方法、プログラム及び装置においても、複数の単位データを任意の物理量幅で複数の区間Sに分割し、複数の区間Sのそれぞれで所定の統計量を特徴量として算出するので、単位データの全体を網羅して特徴量を生成でき、より適切に特徴量を抽出できる。
【0074】
なお、実施の形態1~3では、複数の単位データがデータベースとして連続的に蓄えられているように説明したが、予め個々に準備された複数の単位データから特徴量を抽出してもよい。すなわち、データベースから複数の単位データを抽出するための単位データ抽出工程、単位データ抽出機能及び単位データ抽出部が省略されてもよい。
【0075】
また、実施の形態1~3では、複数の単位データのノイズを除去するように説明したが、例えば複数の単位データにおいてノイズが極めて少ないとき等においては、ノイズを除去するためのノイズ除去工程、ノイズ除去機能及びノイズ除去部が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 :特徴量抽出プログラム
2 :データベース
3 :コンピューター
31 :単位データ抽出機能
32 :ノイズ除去機能
33 :変化点検出機能
34 :位置合わせ機能
341 :第1位置合わせ機能
342 :第2位置合わせ機能
343 :第3位置合わせ機能
344 :第4位置合わせ機能
345 :第5位置合わせ機能
35 :特徴量抽出機能
4 :特徴量抽出装置
41 :単位データ抽出部
42 :ノイズ除去部
43 :変化点検出部
44 :位置合わせ部
441 :第1位置合わせ部
442 :第2位置合わせ部
443 :第3位置合わせ部
444 :第4位置合わせ部
445 :第5位置合わせ部
45 :特徴量抽出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15