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特開2023-148984米粉パンミックス粉、米粉パン生地の製造方法、及び、米粉パンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148984
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】米粉パンミックス粉、米粉パン生地の製造方法、及び、米粉パンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/18 20060101AFI20231005BHJP
   A21D 13/047 20170101ALI20231005BHJP
【FI】
A21D2/18
A21D13/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057292
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000238234
【氏名又は名称】シキボウ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591050822
【氏名又は名称】清水化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日裏 円香
(72)【発明者】
【氏名】式部 美里
(72)【発明者】
【氏名】深津 佳也
(72)【発明者】
【氏名】小泉 和大
(72)【発明者】
【氏名】橋 高行
【テーマコード(参考)】
4B032
【Fターム(参考)】
4B032DB01
4B032DB35
4B032DG08
4B032DK14
4B032DL20
(57)【要約】
【課題】本発明は、小麦粉及びグルテンを配合しないグルテンフリーの米粉パンとした場合であっても、保形性、弾力性に優れ、かつきめ細かくふんわりとやわらかい食感を有する米粉パンを製造することができる米粉パンミックス粉を提供する。
【解決手段】米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有することを特徴とする米粉パンミックス粉。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有することを特徴とする米粉パンミックス粉。
【請求項2】
前記グルコマンナン、及び、前記サイリウムシードガムの平均粒子径が、それぞれ、30~300μmである、請求項1に記載の米粉パンミックス粉。
【請求項3】
前記グルコマンナン、及び、前記サイリウムシードガムの平均粒子径が、それぞれ、50~150μmである、請求項1に記載の米粉パンミックス粉。
【請求項4】
小麦粉及びグルテンを含まない、請求項1~3のいずれかに記載の米粉パンミックス粉。
【請求項5】
米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有する米粉パンミックス粉を用いることを特徴とする米粉パン生地の製造方法。
【請求項6】
(1)米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有する米粉パンミックス粉を用いて米粉パン生地を調製する工程1、
(2)前記米粉パン生地を発酵させて、発酵したパン生地を得る工程2、及び、
(3)前記発酵したパン生地を焼成する工程3、
を有することを特徴とする米粉パンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉パンミックス粉、米粉パン生地の製造方法、及び、米粉パンの製造方法に関する。詳細には、小麦粉およびグルテンを使用しない米粉パンミックス粉を用いて製造された米粉パンでありながら、保形性、弾力性に優れ、かつきめ細かくふんわりとやわらかい食感を有する米粉パンを製造することができる製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルテンは小麦粉に含まれるタンパク質のグリアジンとグルテニンに加水、混練することにより形成され、粘着性と弾力性とを有する。小麦粉パンは、グルテンが発酵中に発生したガスを生地内に保持するために、弾力がありふんわりとした食感が得られる。
【0003】
一方、米粉は小麦粉のようにグルテンが形成されないために、米粉パンは発酵中に発生したガスを生地内に保持できず、小麦粉パンのように弾力がありふんわりとしたパンの食感が得られない。このため一般には米粉に小麦粉あるいはグルテンを添加してパンを製造し、米粉パンとして販売される。
【0004】
しかしながら、グルテンは小麦アレルギーの原因になることが知られており、グルテンフリーの米粉パンが求められ、従来、種々提案されている。特にセリアック病患者に対し、グルテンフリー米粉パンの意義は大きい。
【0005】
小麦粉およびグルテンを使用しない米粉パンの製造方法として、パン生地に増粘多糖類を添加する方法が提案されている。
【0006】
米粉パン生地に添加される増粘多糖類としては、HPMC(特許文献1)、キサンタンガム(特許文献2)、ローカストビーンガム、グァーガム(特許文献3)、グルコマンナン(特許文献4)、サイリウムシードガム(特許文献5)、アルギン酸エステル(特許文献6)などがあり、米粉パンとして市販されているものも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6942643号公報
【特許文献2】特開2009―072099号公報
【特許文献3】特許第4451167号公報
【特許文献4】特許第5507352号公報
【特許文献5】特許第6304673号公報
【特許文献6】特許第6533820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、小麦粉及びグルテンを配合しないグルテンフリーの米粉パンとした場合であっても、保形性、弾力性に優れ、かつきめ細かくふんわりとやわらかい食感を有する米粉パンを製造することができる米粉パンミックス粉を提供することを目的とする。本発明は、また、上記米粉パンミックス粉を用いる米粉パンの製造方法、及び、米粉パン生地の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、増粘多糖類であるグルコマンナンおよびサイリウムシードガムを米粉と併せて使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有することを特徴とする米粉パンミックス粉。
2.前記グルコマンナン、及び、前記サイリウムシードガムの平均粒子径が、それぞれ、30~300μmである、項1に記載の米粉パンミックス粉。
3.前記グルコマンナン、及び、前記サイリウムシードガムの平均粒子径が、それぞれ、50~150μmである、項1に記載の米粉パンミックス粉。
4.小麦粉及びグルテンを含まない、項1~3のいずれかに記載の米粉パンミックス粉。
5.米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有する米粉パンミックス粉を用いることを特徴とする米粉パン生地の製造方法。
6.(1)米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有する米粉パンミックス粉を用いて米粉パン生地を調製する工程1、
(2)前記米粉パン生地を発酵させて、発酵したパン生地を得る工程2、及び、
(3)前記発酵したパン生地を焼成する工程3、
を有することを特徴とする米粉パンの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の米粉パンミックス粉は、小麦粉及びグルテンを配合しないグルテンフリーの米粉パンとした場合であっても、保形性、弾力性に優れ、かつきめ細かくふんわりとやわらかい食感を有する米粉パンを製造することができる。また、本発明の米粉パンの製造方法、及び、米粉パン生地の製造方法は、上記米粉パンミックス粉を用いるので、小麦粉及びグルテンを配合しないグルテンフリーの米粉パンとした場合であっても、保形性、弾力性に優れ、かつきめ細かくふんわりとやわらかい食感を有する米粉パン、及び、米粉パン生地を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.米粉パンミックス粉
以下、本発明に係る米粉パンミックス粉(以下、単に「ミックス粉」とする場合もある。)の成分について説明する。ミックス粉は、主成分である米粉に対して、特定範囲のグルコマンナンとサイリウムシードガムを含有する。
【0013】
なお、本明細書において、「米粉を主体とする原料」とは、当該原料100質量%中に米粉を50質量%以上含むことを意味しており、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは98質量%以上含むことを意味している。
【0014】
上記原料中の米粉以外の成分としては、大豆粉、とうもろこし粉、そば粉、玄米粉、あわ粉、きび粉、ひえ粉、もち粉、コーンスターチ、緑豆澱粉、えんどう澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等が挙げられる。
【0015】
上記原料の主体として用いられる米粉としては特に限定されず、一般に使用されている小麦粉用途(パン、ケーキ、麺等)に適する米粉を用いることができる。ここで、米の品種や性状に特に制限はなく、各種公知の製粉方法で粉末化した米粉が使用できる。
【0016】
米粉の平均粒子径は、きめ細かいパンを製造するという目的から、100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましいが、特にこの範囲には限定されない。
【0017】
米粉の平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法により測定し、粒度分布を求め、積算体積百分率が50%になる値(D50(メディアン径))として決定することができる。以下、平均粒子径について同様である。
【0018】
ミックス粉は、上記米粉を主体とする原料に加えて、グルコマンナンを含有する。グルコマンナンはコンニャクイモの主成分として知られる多糖類である。
【0019】
グルコマンナンは、水に親和的で、水を吸収すると著しく膨潤することが知られている(~200倍と考えられている。)。グルコマンナンの溶液は保水性が高く、そのためミックス粉からなる米粉パン生地の成分として適量のグルコマンナンを含有させることにより、米粉パン及び米粉パン生地のふんわりとしたやわらかい食感を長時間付与できる。
【0020】
グルコマンナンの含有量は、米粉を主体とする原料100質量部に対して0.1~3.0質量部とする。グルコマンナンの含有量が上記範囲外であると、米粉パン及び米粉パン生地の食感をふんわりとやわらかいものにすることができず、またその食感を長時間維持することができない。
【0021】
ミックス粉に含有させるグルコマンナンの平均粒子径は、好ましくは30~300μm、より好ましくは50~150μmとする。グルコマンナンの平均粒子径がかかる範囲であれば、生地の混合から焼成までの製造時間内に吸水してより膨潤でき、米粉パン及び米粉パン生地をよりふんわりとしたやわらかいものにできる。
【0022】
また、ミックス粉は、上記米粉を主体とする原料に加えて、サイリウムシードガムを含有する。サイリウムシードガムはオオバコの種皮に存在する多糖類である。サイリウムシードガムは 、グルコマンナン同様、水に親和的で、水を吸収し膨潤することが知られている(~100倍と考えられている。)。
【0023】
サイリウムシードガムは、その溶液を加熱すると粘度が上昇する性質を有する。そのため、ミックス粉からなる米粉パン生地の成分として適量のサイリウムシードガムを含有させることにより、焼成時の加熱により粘度が上昇したサイリウムシードガムがパン生地の骨格様の役割を果たし、膨らみを保持することができる。また良好な弾力を長時間付与できる。
【0024】
サイリウムシードガムの含有量は、米粉を主体とする原料100質量部に対して0.1~3.0質量部とする。サイリウムシードガムの含有量が上記範囲外であると、米粉パン及び米粉パン生地の膨らみを保持することができず、またその弾力を長時間維持することができない。
【0025】
ミックス粉に含有させるサイリウムシードガムの平均粒子径は、好ましくは30~300μm、より好ましくは50~150μmとする。サイリウムシードガムの平均粒子径がかかる範囲であれば、生地の混合から焼成までの製造時間内に吸水してより膨潤でき、米粉パン及び米粉パン生地の膨らみをより維持できる。
【0026】
なおミックス粉の米粉を主体とする原料100質量部に対して2.0質量部以上のサイリウムシードガムを含有させる場合、ミックス粉と水分等の他の成分とからなる米粉パン生地がまとまるようになり、手ごねによる分割や成形が可能となる。これはサイリウムシードガムの吸水と膨潤によるものであり、保形性に優れるサイリウムシードガムの一つの特徴である。
【0027】
本発明のミックス粉は、グルコマンナン及びサイリウムシードガムを含有する。ミックス粉がグルコマンナン及びサイリウムシードガムを併せて含有しないと、保形性、弾力性に優れ、かつきめ細かくふんわりとやわらかい食感を有する米粉パン及び米粉パン生地が得られない。
【0028】
本発明のミックス粉は、小麦粉及びグルテンを含まないことが好ましい。本発明のミックス粉が小麦粉及びグルテンを含まないことにより、グルテンフリーの米粉パン生地及び米粉パンを製造することができ、小麦アレルギーの疾患を有する患者、セリアック病患者等に対しても、ミックス粉を用いて製造した米粉パンをより安全に提供することができる。
【0029】
2.米粉パン生地の製造方法
本発明に係る米粉パンミックス粉を用いて米粉パン生地(以下、単に「パン生地」とする場合がある。)を製造することができる。このような製造方法も、本発明の一つである。
【0030】
本発明のパン生地の製造方法に用いられるパンミックス粉は、上記説明した本発明のミックス粉が用いられ、パン生地の製造方法で用いられるミックス粉に含まれる各成分の含有量、平均粒子径等の特性は上述の通りである。
【0031】
本発明のミックス粉は、前記した成分を必須として含有するが、かかるミックス粉を用いてパン生地とするための他の成分について説明する。
【0032】
パン生地の製造に使用される水としては特に限定されず、水道水、天然水、精製水など、パン生地の製造において一般に使用されている水を用いることができる。また水の代わりに牛乳、豆乳等のミルクあるいは果物、野菜の汁を使用することもできる。
【0033】
パン生地の製造に使用される水等の含有量は、パン生地の製造に原料として使用する水分等として一般的な量であってよいが、例えば、米粉100質量部に対して、70~120質量部とすることが好ましいが、特にこの範囲には限定されない。また、水等の温度は、35~42℃程度が好ましいが、特にこの範囲には限定されない。
【0034】
パン生地の製造に使用される酵母としては、特に限定されず、生イーストやドライイーストなど、パン生地の製造において一般に使用されている酵母を用いることができる。酵母の含有量は、パン生地の製造に原料として使用する酵母として一般的な量であってよいが、例えば、米粉100質量部に対して、1.0~3.0質量部とすることが好ましいが、特にこの範囲には限定されない。酵母は、あらかじめ水等の水分とともに混合しておいてもよいし、また、米粉ないし他の成分とともに混合しておいてもよい。
【0035】
パン生地の製造に使用される油脂としては、特に限定されず、バター、ショートニング、サラダ油、大豆油、菜種油、コーン油、オリーブ油、米油など、パン生地の製造において一般に使用されている食用油脂を用いることができる。油脂の含有量は、パン生地の製造に原料として使用する油脂として一般的な量であってよいが、例えば、米粉100質量部に対して、3.0~8.0質量部とすることが好ましいが、特にこの範囲には限定されない。
【0036】
パン生地は、例えば、砂糖等の糖類、食塩等の塩類を含有していてもよく、またパン生地の製造において一般に使用される成分を含有していてもよい。これらの含有量は、パン生地の製造に原料として使用する一般的な量であってよいが、例えば、米粉100質量部に対して、糖類は3.0~10.0質量部、塩類は0.1~3.0質量部とすることが好ましいが、特にこの範囲には限定されない。
【0037】
パン生地には、抹茶、紅茶、きな粉などの粉末、チョコレートあるいはナッツなどを混合してもよいし、またはクリーム、ジャム、餡子などのフィリングを包餡してもよい。
【0038】
上記パン生地を製造するための各成分を混合することによりパン生地を製造することができる。上記各成分の混合は、ミキサーやホームベーカリーなどのパン製造装置を用いて行ってもよいし、泡だて器やゴムべらなどを用いて手作業で行ってもよい。混合の順序などの条件は、従来公知の条件で実施すればよい。パン生地の製造は、1回の工程で実施可能であるが、複数の工程で実施してもよい。
【0039】
混合の際の温度、時間は特に限定されず、10~30℃程度の温度下で20~60分間程度であってもよい。
【0040】
3.米粉パンの製造方法
本件発明の米粉パンの製造方法は、(1)米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有する米粉パンミックス粉を用いて米粉パン生地を調製する工程1、(2)前記米粉パン生地を発酵させて、発酵したパン生地を得る工程2、及び、(3)前記発酵したパン生地を焼成する工程3を有する製造方法である。
【0041】
(工程1)
工程1は、米粉を主体とする原料100質量部に対して、グルコマンナン0.1~3.0質量部、及び、サイリウムシードガム0.1~3.0質量部を含有する米粉パンミックス粉を用いて米粉パン生地を調製する工程である。工程1で用いられるミックス粉は、上記説明した本発明のミックス粉が用いられ、工程1で用いられるミックス粉に含まれる各成分の含有量、平均粒子径等の特性は上述の通りである。
【0042】
工程1において米粉パン生地を調製する方法としては上記説明した本発明のパン生地の製造方法と同一であり、パン生地を製造するための各成分、各成分の混合の方法等は、上述の通りである。
【0043】
(工程2)
工程2は、前記米粉パン生地を発酵させて、発酵したパン生地を得る工程である。
【0044】
パン生地の発酵は、従来公知の方法で実施すればよく、パン生地を発酵に適した温度下で放置すればよい。例えば、パン生地を20~40℃下で、20~80分程度、より好ましくは30~70分程度発酵させればよい。工程2(発酵工程)は1回で終了させることができるが、複数回の発酵工程を行ってもよいし、また途中でガス抜きの工程を入れてもよい。例えば、20~30℃で20~40分程度1次発酵させて、その後ガスを抜き、30℃~40℃で20~40分程度2次発酵させるのもよい。
【0045】
(工程3)
工程3は、前記発酵したパン生地を焼成する工程である。
【0046】
パン生地の焼成は、従来公知の方法で実施すればよく、例えば、パン生地をオーブン、電子レンジ、釜などを用い160~220℃で固化させればよい。焼成における時間は、特に制限はないが、例えば20~40分程度である。焼成温度や焼成時間は、米粉をはじめとした他の成分の種類や含有量等により適宜調整すればよい。焼成は、1回の工程で実施してもよいし、複数の工程で実施してもよい。
【実施例0047】
以下試験例の実施例および比較例にもとづき、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0048】
実施例及び比較例で用いた各成分は以下のとおりである。
【0049】
(米粉)
・米粉:ミズホチカラ 熊本製粉株式会社製、平均粒子径26μm
【0050】
(グルコマンナン)
・グルコマンナン1:微粉品 清水化学株式会社製、平均粒子径32μm
・グルコマンナン2:レオレックスOne 清水化学株式会社製、平均粒子径52μm
・グルコマンナン3:レオレックスRS 清水化学株式会社製、平均粒子径86μm
・グルコマンナン4:プロポールA 清水化学株式会社製、平均粒子径310μm
【0051】
(サイリウムシードガム)
・サイリウムシードガム1:微粉品 シキボウ株式会社製、平均粒子径35μm
・サイリウムシードガム2:粉砕品 シキボウ株式会社製、平均粒子径55μm
・サイリウムシードガム3:フードメイドP-100 シキボウ株式会社製、平均粒子径105μm
・サイリウムシードガム4:フードメイドP-80 シキボウ株式会社製、平均粒子径193μm
・サイリウムシードガム5:サイリウムハスク粗砕品 シキボウ株式会社製、平均粒子径295μm
【0052】
(他の成分)
・キサンタンガム:ダニスコジャパン株式会社製、平均粒子径99μm
・グァーガム:オルガノフードテック株式会社、平均粒子径51μm
・ローカストビーンガム:オルガノフードテック株式会社、平均粒子径125μm
【0053】
(米粉パンミックス粉の製造)
表1~4に示す配合により、米粉と他の成分とを混合して、米粉パンミックス粉を調製した。
【0054】
(米粉パン生地の製造)
表5に示す配合により、米粉、増粘多糖類、酵母(ドライイースト)、糖類(砂糖)、塩類(塩)を混合した。次いで、水および油脂(サラダ油)を加えて混合し、25℃で40分間1次発酵させた。次いで、生地のガス抜きを行い、型に生地を流し込んで、35℃で30分間2次発酵させることにより、米粉パン生地を製造した。
【0055】
(米粉パンの製造)
オーブンを用いて、米粉パン生地を200℃で30分間焼成し、米粉パンを製造した。
【0056】
得られた米粉パンについて、弾力、気泡、及び食感を3名で検討し、下記評価基準に従って採点評価した。なお、全ての評価において3点以上であれば実使用において問題ないと評価される。
【0057】
(弾力性)
5点:ふわふわとした良好な弾力がある
4点:5には劣るが、ふわふわとした弾力がある
3点:4には劣るが、弾力がある
2点:やや硬くもろい
1点:弾力がなくもろい
【0058】
(気泡性)
5点:きめ細かな気泡がある
4点:ややきめ細やかな気泡がある
3点:やや粗い気泡がある
2点:粗い気泡がある
1点:気泡がみられない
【0059】
(食感)
5点:しっとりとした良好な食感である
4点:5には劣るが、しっとりとした食感である
3点:4には劣るが、しっとりとした食感である
2点:ややパサつきあるいはややネチャつきのある食感である
1点:パサつきあるいはネチャつきのある食感である
【0060】
結果を表1~4に示す。
【0061】
(試験例1)平均粒子径の影響の検討
【0062】
【表1】
【0063】
(試験例2)増粘剤の配合量の影響の検討
【0064】
【表2】
【0065】
(試験例3)グルコマンナンとサイリウムシードガムとの比率の影響の検討
【0066】
【表3】
【0067】
(試験例4)他の増粘多糖類との対比
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、食品産業、特に製パン分野において有用である。