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特開2023-149034光学フィルム積層体、偏光板付光学フィルム積層体及びディスプレイ
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  • 特開-光学フィルム積層体、偏光板付光学フィルム積層体及びディスプレイ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149034
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光学フィルム積層体、偏光板付光学フィルム積層体及びディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20231005BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20231005BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231005BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20231005BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231005BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231005BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G02B5/30
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
B32B7/023
G02F1/1335 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057365
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川製紙所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昌央
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
3K107
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AA18
2H149AB01
2H149BA02
2H149BA12
2H149BA23
2H149DA04
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2H149EA10
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2H149EA22
2H149FA12W
2H149FA12Z
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2H149FD03
2H149FD09
2H149FD12
2H291FA22X
2H291FA25X
2H291FA45X
2H291FA46X
2H291FA95X
2H291FB02
2H291FB22
2H291FB23
2H291FD07
2H291FD08
2H291GA23
2H291LA21
2H291PA44
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC31
3K107EE26
3K107EE28
3K107FF06
3K107FF14
3K107FF15
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4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK25A
4F100AK25G
4F100AK42A
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100BA03
4F100BA07
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4F100BA22
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4F100JN01C
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4F100JN18A
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
5G435AA00
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB12
5G435FF03
5G435FF05
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5G435HH08
5G435HH20
5G435LL03
5G435LL17
5G435LL18
(57)【要約】
【課題】 白色又は淡色系の色の周辺環境であっても視認性に優れたシームレスなディスプレイとすることが可能な光学フィルム積層体を提供する。
【解決手段】 本発明のある態様は、表示パネルデバイスよりも視認側に、直接又は間接的に積層されるディスプレイ用の光学フィルム積層体であって、前記光学フィルム積層体は、拡散素子層と、第1の反射偏光子層である反射偏光子層1と、第2の反射偏光子層である反射偏光子層2と、を少なくとも有し、前記拡散素子層と、前記反射偏光子層1とが、直接又は他の層Aを介して積層され、前記反射偏光子層1と、前記反射偏光子層2とが、直接又は他の層Bを介して積層され、前記反射偏光子層1の透過軸と、前記反射偏光子層2の透過軸との角度差が1°~40°である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルデバイスよりも視認側に、直接又は間接的に積層されるディスプレイ用の光学フィルム積層体であって、
前記光学フィルム積層体は、拡散素子層と、第1の反射偏光子層である反射偏光子層1と、第2の反射偏光子層である反射偏光子層2と、を少なくとも有し、
前記拡散素子層と、前記反射偏光子層1とが、直接又は他の層Aを介して積層され、
前記反射偏光子層1と、前記反射偏光子層2とが、直接又は他の層Bを介して積層され、
前記反射偏光子層1の透過軸と、前記反射偏光子層2の透過軸との角度差が1°~40°であることを特徴とする、光学フィルム積層体。
【請求項2】
前記反射偏光子層1は、第1のポリマー層1Aと、第2のポリマー層1Bとを含み、前記第1のポリマー層1A又は前記第2のポリマー層1Bのいずれかがナフタレート系ポリマーであり、且つ、
前記反射偏光子層2は、第1のポリマー層2Aと、第2のポリマー層2Bとを含み、前記第1のポリマー層2A又は前記第2のポリマー層2Bのいずれかがナフタレート系ポリマーである
ことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム積層体。
【請求項3】
前記拡散素子層のヘイズ値が40%~95%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学フィルム積層体。
【請求項4】
前記拡散素子層の全光線透過率が30%~90%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項5】
前記拡散素子層は、微粒子が分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層、表面に凹凸形状を有する凹凸形状拡散フィルム、多孔質フィルム、透明性のある樹脂内部に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層、のいずれかであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項6】
前記拡散フィルム又は前記拡散粘着剤層は、針状微粒子が同一方向に配向して分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層であることを特徴とする、請求項5に記載の光学フィルム積層体。
【請求項7】
前記針状微粒子の長径方向の屈折率と、前記針状微粒子の短径方向の屈折率との差が0.03以上であることを特徴とする、請求項6に記載の光学フィルム積層体。
【請求項8】
前記拡散フィルム又は拡散粘着剤層の樹脂の屈折率と、前記針状微粒子の長径方向の屈折率との差が0.03以下であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の光学フィルム積層体。
【請求項9】
前記針状微粒子は、長径が1μm~50μm、短径が0.1μm~5μm、アスペクト比が5以上であることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項10】
前記拡散素子層の透過軸と、前記反射偏光子層1の透過軸との角度差が30°以内であることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項11】
前記光学フィルム積層体は、
前記反射偏光子層2側から入射したC光源の光が、前記光学フィルム積層体を透過して前記拡散素子層側に出射した透過光(T1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した透過Y1値が20~50であり、
前記拡散素子層側から入射したC光源の光が、前記光学フィルム積層体で反射して前記拡散偏光子層側に出射した反射光(R1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した反射Y1値が70~95であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項12】
前記光学フィルム積層体は、ASTM E313-73規格に従い、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI1値が74~95であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体と、偏光板aとを含む偏光板付光学フィルム積層体であって、
前記偏光板aは、前記光学フィルム積層体の前記反射偏光子層2に、直接又は他の層Cを介して積層され、
前記偏光板aの透過軸と、前記反射偏光子層2の透過軸との角度差が40°以内であることを特徴とする、偏光板付光学フィルム積層体。
【請求項14】
前記偏光板付光学フィルム積層体は、
前記偏光板a側から入射したC光源の光が、前記偏光板付光学フィルム積層体を透過して前記拡散素子層側に出射した透過光(T2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した透過Y2値が、15~40であり、
前記拡散素子層側から入射したC光源の光が、前記偏光板付光学フィルム積層体で反射して前記拡散素子層側に出射した反射光(R2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した反射Y2値が、70~95であることを特徴とする、請求項13に記載の偏光板付光学フィルム積層体。
【請求項15】
前記偏光板付光学フィルム積層体は、ASTM E313-73規格に従い、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI2値が74~95であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の偏光板付光学フィルム積層体。
【請求項16】
視認側より順に、請求項1~12のいずれか1項に記載の光学フィルム積層体と、偏光板bと、表示パネルデバイスと、を少なくとも含む積層構造を有するディスプレイであって、
前記偏光板bは、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層Dを介して積層され、
前記光学フィルム積層体は、前記光学フィルム積層体の前記反射偏光子層2が、前記偏光板bの視認側に、直接又は他の層Eを介して積層され、
前記偏光板bの透過軸と、前記反射偏光子層2の透過軸との角度差が40°以内であることを特徴とする、ディスプレイ。
【請求項17】
視認側より順に、請求項13~15のいずれか1項に記載の偏光板付光学フィルム積層体と、表示パネルデバイスと、を少なくとも含む積層構造を有するディスプレイであって、
前記偏光板付光学フィルム積層体の前記偏光板aは、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層Fを介して積層されることを特徴とする、ディスプレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光学フィルム積層体、偏光板付光学フィルム積層体及びディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の薄型ディスプレイは、その普及にともない、様々な態様で用いられてきた。
近年、自動車における、インスツルメントパネルの主要部である集合ユニットパネル、即ち、メータークラスターパネルの一部の表示系やパネル全体を薄型ディスプレイとしたり、センター・インフォメーション・ディスプレイ(CID)を薄型ディスプレイとしたりする商品開発が進んでいる。
自動車の内装は、外光反射を防ぐため、主に黒色系(暗色系)の内装が用いられているが、デザイン性の観点から薄型ディスプレイの画像表示部の最表面にあたる前面板と、前面板周辺の素材(内装など)との境界を見え難く、かつ、前面板の存在を認識し難くするシームレス化(ニュートラルグレー化)が行われている。黒色系の配色の自動車に用いられる内装に対しては、薄型ディスプレイの前面板を黒色で補正して、薄型ディスプレイの境界を目立たなくするシームレス化が行われている(特許文献1)。
【0003】
また、テレビやモニター以外の様々な家電製品に薄型ディスプレイが埋め込まれるケースが増えており、さらに将来、家具に薄型ディスプレイが埋め込まれるケース、建築物の壁、床、天井などに埋め込まれるケースが増えることが予想されている。家電製品、家具、建築物の壁、床、天井などは、黒色系(暗色系)の配色に限られず、白色系や淡色系に配色されたデザインのものが数多く存在している。
また、自動車においても、自動運転技術の開発が進むなか、車内空間の利用方法について様々な検討がなされている。なかには、人による運転割合が減少するにともなって、車内空間は、住宅におけるリビングルームのような空間となる可能性が挙げられており、車内の内装色は、住宅における、壁、床、天井等のように、白色系や淡色系の色のような明るい色の使用が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-265133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に提案されているシームレス化は、薄型ディスプレイの前面板に、黒色系顔料又は染料で色味を調整して行うため、薄型ディスプレイから出射される光の透過率が低下し、ディスプレイ点灯時の視認性が低下してしまう。このため、ディスプレイのバックライト出力を上げる等の対策を行い、視認性を確保する必要がある。
【0006】
また、自動車や住宅で白や淡色系の色を使用した環境に液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを埋め込む場合や配置する場合、従来のこれらディスプレイの前面板表面は、消灯時には黒色であることから、ディスプレイの周辺素材に対するシームレス化が難しい。特許文献1の発明のように、黒色系のシームレス化と同様に、前面板を白色系顔料又は染料で色味調整を行うと、ディスプレイから出射される光の透過率が低下し、点灯時の視認性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、白色又は淡色系の色の周辺環境であっても視認性に優れたシームレスなディスプレイとすることが可能な光学フィルム積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究の結果、所定の反射偏光子層と拡散素子層とを有する光学フィルム積層体によって上記課題を解決可能なことを見出した。即ち、本発明は下記の通りである。
【0009】
本発明の第1の態様は、
表示パネルデバイスよりも視認側に、直接又は間接的に積層されるディスプレイ用の光学フィルム積層体であって、
前記光学フィルム積層体は、拡散素子層と、第1の反射偏光子層である反射偏光子層1と、第2の反射偏光子層である反射偏光子層2と、を少なくとも有し、
前記拡散素子層と、前記反射偏光子層1とが、直接又は他の層Aを介して積層され、
前記反射偏光子層1と、前記反射偏光子層2とが、直接又は他の層Bを介して積層され、
前記反射偏光子層1の透過軸と、前記反射偏光子層2の透過軸との角度差が1°~40°であることを特徴とする、光学フィルム積層体である。
【0010】
前記反射偏光子層1は、第1のポリマー層1Aと、第2のポリマー層1Bとを含み、前記第1のポリマー層1A又は前記第2のポリマー層1Bのいずれかがナフタレート系ポリマーであり、且つ、
前記反射偏光子層2は、第1のポリマー層2Aと、第2のポリマー層2Bとを含み、前記第1のポリマー層2A又は前記第2のポリマー層2Bのいずれかがナフタレート系ポリマーであることが好ましい。
前記拡散素子層のヘイズ値が40%~95%であることが好ましい。
前記拡散素子層の全光線透過率が30%~90%であることが好ましい。
前記拡散素子層は、微粒子が分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層、表面に凹凸形状を有する凹凸形状拡散フィルム、多孔質フィルム、透明性のある樹脂内部に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層、のいずれかであることが好ましい。
前記拡散フィルム又は前記拡散粘着剤層は、針状微粒子が同一方向に配向して分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層であることが好ましい。
前記針状微粒子の長径方向の屈折率と、前記針状微粒子の短径方向の屈折率との差が0.03以上であることが好ましい。
前記拡散フィルム又は拡散粘着剤層の樹脂の屈折率と、前記針状微粒子の長径方向の屈折率との差が0.03以下であることが好ましい。
前記針状微粒子は、長径が1μm~50μm、短径が0.1μm~5μm、アスペクト比が5以上であることが好ましい。
前記拡散素子層の透過軸と、前記反射偏光子層1の透過軸との角度差が30°以内であることが好ましい。
前記光学フィルム積層体は、
前記反射偏光子層2側から入射したC光源の光が、前記光学フィルム積層体を透過して前記拡散素子層側に出射した透過光(T1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した透過Y1値が20~50であり、
前記拡散素子層側から入射したC光源の光が、前記光学フィルム積層体で反射して前記拡散偏光子層側に出射した反射光(R1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した反射Y1値が70~95であることが好ましい。
前記光学フィルム積層体は、ASTM E313-73規格に従い、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI1値が74~95であることが好ましい。
【0011】
本発明の第2の態様は、
前記光学フィルム積層体と、偏光板aとを含む偏光板付光学フィルム積層体であって、
前記偏光板aは、前記光学フィルム積層体の前記反射偏光子層2に、直接又は他の層Cを介して積層され、
前記偏光板aの透過軸と、前記反射偏光子層2の透過軸との角度差が40°以内であることを特徴とする、偏光板付光学フィルム積層体である。
【0012】
前記偏光板付光学フィルム積層体は、
前記偏光板a側から入射したC光源の光が、前記偏光板付光学フィルム積層体を透過して前記拡散素子層側に出射した透過光(T2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した透過Y2値が、15~40であり、
前記拡散素子層側から入射したC光源の光が、前記偏光板付光学フィルム積層体で反射して前記拡散素子層側に出射した反射光(R2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した反射Y2値が、70~95であることが好ましい。
前記偏光板付光学フィルム積層体は、ASTM E313-73規格に従い、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI2値が74~95であることが好ましい。
【0013】
本発明の第3の態様は、
視認側より順に、前記光学フィルム積層体と、偏光板bと、表示パネルデバイスと、を少なくとも含む積層構造を有するディスプレイであって、
前記偏光板bは、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層Dを介して積層され、
前記光学フィルム積層体は、前記光学フィルム積層体の前記反射偏光子層2が、前記偏光板bの視認側に、直接又は他の層Eを介して積層され、
前記偏光板bの透過軸と、前記反射偏光子層2の透過軸との角度差が40°以内であることを特徴とする、ディスプレイである。
【0014】
本発明の第4の態様は、
視認側より順に、前記偏光板付光学フィルム積層体と、表示パネルデバイスと、を少なくとも含む積層構造を有するディスプレイであって、
前記偏光板付光学フィルム積層体の前記偏光板aは、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層Fを介して積層されることを特徴とする、ディスプレイである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、白色又は淡色系の色の周辺環境であっても視認性に優れたシームレスなディスプレイとすることが可能な光学フィルム積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、ディスプレイ内表示パネルデバイス視認側上に偏光板が含まれている場合での、本発明の光学フィルム積層体と、ディスプレイの積層構造の配置の一例を説明する模式図である。
図2図2は、ディスプレイ内表示パネルデバイス視認側上に偏光板が含まれていない場合での、本発明の偏光板付光学フィルム積層体と、ディスプレイの積層構造の配置の一例を説明する模式図である。
図3図3は、本発明の光学フィルム積層体の透過及び反射Y1値の測定を説明する模式図である。
図4図4は、本発明の偏光板付光学フィルム積層体の透過及び反射Y2値の測定を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明において、単に化合物名を示した場合には、そのすべての異性体を含むものとする。
【0018】
本発明において、表示パネルデバイスとは、液晶ディスプレイパネル、有機ELパネル、マイクロLEDパネルなどの映像を表示するための、駆動パネルをいうものとする。
また、本発明において、液晶ディスプレイパネルの駆動パネルとは、液晶セル、バックライト、カラーフィルタ等の表示に必要な素子を含むものをいい、かつ、本発明では、表示パネルデバイスは、視認側に偏光板のありなしを含むものとする。
さらに駆動パネルとは、液晶セルのように、液晶の偏光を制御して、光の透過と遮断(シャッターの開閉)を行うものや、有機ELパネルやマイクロLEDパネルのように、発光素子の発光のON/OFFを行い、映像を形成するものとする。
【0019】
液晶セルとは、透明電極が組み込まれた2枚のガラス基板の間に液晶分子が挟まれたもの、又は、さらにカラーフィルタを含んだものをいい、光源、偏光板などの光学フィルム等は含まないものとする。
有機ELパネルとは、金属等の陰電極/電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層/ITO等の陽電極そしてガラス板や透明のプラスチック板などの基板よりなり、偏光板やカラーフィルタなどの光学フィルム等は含まないものとする。一般に、有機ELディスプレイには、偏光板は用いられないが、内部反射防止のため、有機ELパネルよりも視認側に偏光板が設けられているものもある。
マイクロLEDパネルとは、マイクロLEDが構成された基板をいうものとし、内部反射防止等の目的で偏光板が用いられる場合が考えられる。
【0020】
本発明において、視認側とは、ディスプレイの視認者に近い側を示すものとする。従って、表示パネルデバイスの視認側等とした場合には、表示パネルデバイスの視認者側の方向を示す。
【0021】
本発明において、角度差とは、本発明の構成要素である、反射偏光子、拡散素子又は拡散偏光子、偏光板のいずれもが有する各透過軸の合計3軸と、いずれかが有する3つの軸(反射軸、拡散又は吸収軸)との合計6軸の内、いずれかの2軸でなす角の最小値の角度のことを示すものとする。
【0022】
<<<光学フィルム積層体>>>
本発明の光学フィルム積層体は、拡散素子層と、第1の反射偏光子層(以降、反射偏光子層1と称する。)と、第2の反射偏光子層(以降、反射偏光子層2と称する。)と、を少なくとも含む。
拡散素子層と、反射偏光子層1とが直接又は他の層Aを介して積層されており、反射偏光子層1と、反射偏光子層2とが直接又は他の層Bを介して積層されている(図1等参照)。
以下の説明においては、反射偏光子層(反射偏光子層1、反射偏光子層2)を単に反射偏光子(反射偏光子1、反射偏光子2)と表現する場合があり、拡散素子層を単に拡散素子と表現する場合がある。
【0023】
本発明の光学フィルム積層体は、光学フィルム積層体の拡散素子が、光学フィルム積層体の反射偏光子1よりも視認側に配置されるように用いられる。
【0024】
本発明の光学フィルム積層体は、ディスプレイに含まれる表示パネルデバイスの視認側に配置された偏光板に、直接又は間接的に積層されて用いられる(図1等参照)。
偏光板及びディスプレイの具体的な構成については後述する。
【0025】
光学フィルム積層体の厚みは、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、例えば、光学フィルム積層体の厚みを10μm~200μmとすることが好ましく、薄膜化の観点から、より好ましくは10μm~150μmであり、さらに好ましくは15μm~100μmである。光学フィルム積層体の厚みがかかる範囲にある場合には、十分な拡散特性や偏光特性が得られると共に、ディスプレイ全体の薄型化といった効果を得ることができる。
【0026】
<<光学フィルム積層体の構造>>
<反射偏光子(反射偏光子1、反射偏光子2)>
反射偏光子1及び反射偏光子2は、偏光板の透過軸に直交する偏光を反射する機能を有する。より具体的には、反射偏光子1及び反射偏光子2は、反射軸を有し、偏光板の透過軸に平行な方向に振動する偏光の大半を透過し、且つ、偏光板の透過軸に直交する方向に振動する偏光の大半を反射する機能を有する。
【0027】
以下において、反射偏光子1及び反射偏光子2として用いるのに好ましい反射偏光子について説明するが、反射偏光子1及び反射偏光子2は、同質のものであっても異質のものであってもよい。
【0028】
また、以下において、反射偏光子1及び反射偏光子2をまとめて、単に「反射偏光子」と称する場合がある。つまり、以下における反射偏光子の説明は、反射偏光子1及び反射偏光子2の夫々に適用することができる。
【0029】
反射偏光子の厚みとしては、例えば10μm~100μmとすることが好ましく、薄膜化の観点から10μm~50μmがより好ましく、10μm~30μmがさらに好ましい。反射偏光子の厚みがかかる範囲にある場合には、十分な偏光特性や耐久性が得られると共にディスプレイの薄型化といった効果を得ることができる。
【0030】
反射偏光子は、公知のものを使用でき、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。
この反射偏光子としては、以下のものが例示できる。
[反射偏光子(1)]
延伸した際に延伸方向の屈折率が異なる2種類の樹脂(例えば、第1のポリマー層としてポリエチレンナフタレート、第2のポリマー層としてポリエチレンナフタレート共重合体)を、押し出し成形の技術により複数層交互に積層し、これを延伸した構成のもの(具体的には3M社製のDBEFなどであり、特開平4-268505号公報等を参照)。
[反射偏光子(2)]
コレステリック液晶ポリマー層と1/4波長板とを積層したもので、コレステリック液晶ポリマー層側から入射した光を互いに逆向きの2つの円偏光に分離し、一方を透過、他方を反射し、透過する円偏光を1/4波長板により直線偏光に変換させるもの(具体的には、日東電工社製ニポックス、メルク社製トランマックスなどであり、特開平11-231130号公報等を参照)。
[反射偏光子(3)]
金属に微細加工を施して可視光領域でも反射偏光を出射するような金属格子反射偏光子(米国特許第6288840号明細書等を参照)、金属微粒子を高分子マトリックス中に添加して延伸したフィルム(特開平8-184701号公報等を参照)、金属ナノワイヤにより内部にワイヤーグリッドを形成した樹脂フィルム(具体的には、旭化成社製WGFであり、特開2017-173832号公報等を参照)等の反射グリッド偏光子。
【0031】
これらのうち、生産性、加工性が優れることから反射偏光子(1)が好ましく用いられる。一方で、耐熱性が求められる場合は、反射偏光子(3)が好ましく用いられる。
【0032】
ここで、好ましい反射偏光子である、少なくとも第1のポリマー層と第2のポリマー層とを含む、反射偏光子(1)の形態について詳述する。
【0033】
第1のポリマー層及び第2のポリマー層の材質は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、ポリマーを延伸した際に分子配向しやすく生産性の観点で、第1のポリマー層又は第2のポリマー層のいずれかがナフタレート系ポリマーであることが望ましい。また、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、両方が、ナフタレート系ポリマーであってもよい。ここで、ナフタレート系ポリマーとは、分子構造内にナフタレート官能基を含むポリマーのことを示す。
【0034】
ここで、反射偏光子層1及び反射偏光子層2は、夫々、第1のポリマー層と、第2のポリマー層とを含み、第1のポリマー層又は第2のポリマー層のいずれかが、ナフタレート系ポリマーであることが好ましい。
換言すれば、反射偏光子層1は、第1のポリマー層(第1のポリマー層1A)と、第2のポリマー層(第2のポリマー層1B)とを含み、第1のポリマー層1A又は第2のポリマー層1Bのいずれかがナフタレート系ポリマーであり、且つ、反射偏光子層2は、第1のポリマー層2Aと、第2のポリマー層2Bとを含み、第1のポリマー層2A又は前記第2のポリマー層2Bのいずれかがナフタレート系ポリマーであることが好ましい。第1のポリマー層1A及び第2のポリマー層1Bは、両方がナフタレート系ポリマーであってもよく、また、第1のポリマー層2A及び第2のポリマー層2Bは、両方がナフタレート系ポリマーであってもよい。
【0035】
ナフタレート系ポリマーは、このナフタレート系モノマーを重合させることによって得ることができる。ナフタレート系ポリマーを形成するために用いることのできるナフタレート系モノマーは、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、例えば、2,6-、1,4-、1,5-、2,7-及び2,3-ナフタレン・ジカルボン酸のようなナフタレート及びそのエステルを挙げることができる。
【0036】
ナフタレート系モノマーは、モノマーをジオール、例えばアルカン・グリコール及びシクロアルカン・グリコールと重合させることによってポリエステルを形成することができ、2,6-、1,4-、1,5-、2,7-及び/又は2,3-ナフタレン・ジカルボン酸及びエチレングリコールのコポリマーであるポリエチレンナフタレートとすることができる。
【0037】
また、2,6-、1,4-、1,5-、2,7-又は2,3-ナフタレン・ジカルボン酸、テレフタル酸、及びエチレングリコールの共重合体とすることもできる。この共重合体は、一般にcoPENと呼ばれる。
【0038】
第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々の厚みは、特に限定されない。
反射偏光子は、例えば、第1のポリマー層と第2のポリマー層を積層したものを、さらに複数積層し、延伸し、所望の厚みとなるまで当該作業を繰り返して得られる。第1のポリマー層と第2のポリマー層を積層したものは、一般に100層程度まで積層されるため、通常、反射偏光子における第1のポリマー層及び第2のポリマーの厚みを個別に測定することは困難である。
【0039】
反射偏光子の全光線透過率は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。反射偏光子の全光線透過率としては、例えば、30%~70%とすることが好ましく、40%~60%がより好ましい。反射偏光子の全光線透過率がかかる範囲にある場合には、ディスプレイからの出射光を低下させることなく、高い白色度を得ることができる。即ち、視認性に優れ、白色又は淡色系の色が用いられたディスプレイの周辺素材に対し、シームレス化することができるディスプレイを得ることができる。
【0040】
反射偏光子の全光線透過率の測定は、JIS K7361-1:1997規格に記載の方法で測定することができる。ただし、測定器の光源が少なからず偏光していることから、所定の配置で測定した数値と、その配置より測定器に対して90°回転させた配置で測定した数値の平均値で算出することで、光源の偏光性の影響を受けない測定値を得ることができるため、本発明においてはこれら2つの全光線透過率の平均値を全光線透過率として示す。
【0041】
反射偏光子1及び反射偏光子2は、反射偏光子1の透過軸と、反射偏光子2の透過軸との角度差が、1°~40°、好ましくは1°~30°、より好ましくは1°~20°、さらに好ましくは1°~15°となるよう配置して積層されている。
【0042】
反射偏光子1及び反射偏光子2がこのような関係で配置されることにより、ディスプレイからの光は十分に視野側に透過可能な一方で、適切な層間での反射が生じ自然光が視認側に適度に反射され、シームレス化することが容易となる。
より具体的には、以下の通りである。
まず、ディスプレイの視認側に、拡散素子、反射偏光子1、反射偏光子2を備える光学フィルム積層体を積層したとする。
この際、視認側から入射した自然光(外光)は、拡散素子で拡散され、拡散光の一部が1層目の反射偏光子である反射偏光子1に入射する。
反射偏光子1に入射した光は、一部の光(例えば、約半分程度の光)が反射されて反射光R1となり、残りの光は透過光TIとなる。
透過光T1は、2層目の反射偏光子である反射偏光子2に入射する。このとき、2層の反射偏光子の透過軸のずれにより、T1の一部の光が反射されて反射光R2となり、残りの光は透過して透過光T2となる。
反射光R2は、反射偏光子1に入射し、反射光R2の光の一部が反射されて反射光R3となり、反射偏光子2に入射し、残りの光は透過して透過光T3となる。
このような光経路をたどる結果、自然光(外光)が入射した際に、「反射光R1+透過光T3」が視認側に認識される。
このように、自然光(外光)が入射した際に反射割合が増加することで拡散素子の性能を高めなくてもシームレス化性能を高めることができる。
【0043】
<拡散素子>
拡散素子は、透過する光を拡散させる機能を有する部材である。
【0044】
拡散素子の厚みは、特に限定されないが、1μm~100μmが好ましく、15μm~50μmがより好ましい。拡散素子の厚みがかかる範囲にある場合には、十分な拡散性を有しながら、電源オフ時のシームレス化を向上させることができる。
【0045】
拡散素子のヘイズ値は、特に限定されないが、40%~95%が好ましく、50%~95%がより好ましく、60%~95%がさらに好ましく、80%~95%が特に好ましい。
拡散素子のヘイズ値がかかる範囲にある場合には拡散性が高くなるため白色度が高くなり、またディスプレイの画像をより鮮明にすることができる。拡散素子のヘイズ値の測定は、JIS K7136:2000規格に記載の方法で測定することができる。
【0046】
拡散素子の全光線透過率は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、30%~90%が好ましく、40%~80%がより好ましく、50%~70%がさらに好ましい。
拡散素子の全光線透過率がかかる範囲にある場合には、ディスプレイの画像の鮮明性が高く、また拡散性に優れることとなるため白色度が高くなり、シームレス化が容易となる。拡散素子の全光線透過率の測定は、JIS K7361-1:1997規格に記載の方法で測定することができる。
【0047】
拡散素子は、用途等に応じて適宜選択可能であるが、以下の拡散素子(1)~(4)のいずれかであることが好ましい。
【0048】
[拡散素子(1)]
微粒子が分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層
[拡散素子(2)]
表面に凹凸形状を有する凹凸形状拡散フィルム
[拡散素子(3)]
透明性のある樹脂内部に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層
[拡散素子(4)]
多孔質フィルム
【0049】
なお、「透明性を有する樹脂」は、完全に透明な樹脂に限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲で透明性を有する樹脂であればよい。
【0050】
拡散素子(1)は、粘着剤、接着剤、樹脂、ガラス、不織布等の母材中に、母材とは屈折率の異なる微粒子が分散したものである。
これらは、必要とされる光の拡散性の性能を考慮し適宜組み合わせることができる。
【0051】
拡散素子(1)の母材の材質としては、例えば、アクリル粘着剤;シリコーン粘着剤;ウレタン粘着剤;ゴム系粘着剤;エポキシ接着剤;オレフィン接着剤;ポリカーボネート樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、テレブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;各種ガラス;等を挙げることができる。
【0052】
拡散素子(1)に用いられる微粒子の材質としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料;粘着剤とは異なる屈折率を有するシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂微粒子などを挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0053】
微粒子の平均粒径は、0.1μm~30μmであることが好ましく、1μm~10μmであることがより好ましい。微粒子の平均粒径がかかる範囲にある場合には、可視光領域の光を効率的に拡散させることができ、更にディスプレイの電源オフ時のシームレス化を向上させることができる。
【0054】
微粒子の添加量は、必要とされる光の拡散性の性能等を考慮して適宜設計可能であるが、一例として、拡散素子(1)全体を100質量%とした場合に、1質量%~50質量%とすることができる。微粒子の添加量がかかる範囲にある場合には、母材中に十分に分散できるため均一な拡散性が得られるだけでなく、ディスプレイの電源オフ時にシームレス化を向上させることができる。
【0055】
拡散素子(2)は、樹脂、ガラス等の透光性を有する部材の表面に凹凸構造を設けたものである。
【0056】
拡散素子(2)の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂;アクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、テレブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;各種ガラス等を挙げることができる。
【0057】
凹凸構造の幅、大きさ、数量、分布、密度等は、適宜設定可能であり、特に限定されない。また、凹凸の断面形状についても、半円形状、多角形形状、波型など、適宜変更可能である。
【0058】
拡散素子(3)は、透明性を有する樹脂内部に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層である。
【0059】
拡散素子(3)の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂;アクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、テレブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;等とすることができる。
【0060】
樹脂部の屈折率、相分離構造部分の屈折率、相分離構造部分の幅、相分離構造部分の密度(個数)等は、適宜設定可能であり、特に限定されない。
【0061】
拡散素子(3)は、例えば、特開2015-127819号公報に開示されている構造体等を用いることができる。
【0062】
拡散素子(4)は、樹脂、ガラス等の透光性を有する材質で形成された基材の一方の表面から他方の表面に向かう、複数の貫通孔又は貫通しない孔を有するものである。
【0063】
拡散素子(4)の材質としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、テレブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂や、各種ガラス等を挙げることができる。
【0064】
拡散素子(4)の孔は、基材に対してレーザー加工法を施すなどの公知の方法で形成することができる。
【0065】
孔の形状、大きさ、数量、分布、密度等は、適宜設定可能であり、特に限定されない。
【0066】
拡散素子は、偏光性と拡散性とを有する拡散素子であることが好ましい。以降、偏光性と拡散性とを有する拡散素子を、拡散偏光子又は拡散偏光子層と称する。
【0067】
拡散偏光子は、拡散軸を有し、拡散偏光子の透過軸に直交する方向に振動する偏光の大半を拡散する機能を有する。
【0068】
拡散偏光子は、偏光性と拡散性とを有する部材であれば公知のものを使用でき、特に限定されない。拡散偏光子としては、例えば、以下に挙げたものを例示できる。
[拡散偏光子(1)]
針状微粒子が同一方向に配向して分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層
[拡散偏光子(2)]
表面に線状の凹凸形状を有する凹凸形状拡散フィルム
[拡散偏光子(3)]
透明性を有する樹脂内部に板状に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層
【0069】
ここで、「同一方向に配向」するとは、完全に同一の方向に配向している場合のみに限らず、同一方向に配向していると技術的に判断される程度(即ち、所定の性質が奏される程度)の配向性を有する状態も含まれるものとする。
【0070】
また、「透明性を有する樹脂」とは、完全に透明な樹脂に限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲で透明性を有する樹脂であればよい。
【0071】
拡散偏光子(1)は、粘着剤、接着剤、樹脂、ガラス、不織布等の母材中に、母材とは屈折率の異なる、針状微粒子が同一方向に配向するよう、分散したものである。
換言すれば、拡散偏光子(1)は、前述した拡散素子(1)における微粒子が針状形状を有するものである。
【0072】
針状微粒子は、長径方向の屈折率と短径方向の屈折率との差が、0.03以上であることがより好ましく、0.05以上であることがさらに好ましい。
また、拡散偏光子(1)の樹脂(樹脂成分)の屈折率と針状微粒子の長径方向の屈折率との差が、0.03以下であることが好ましい。
針状微粒子の長径(長さ)は、1μm~50μmであることが好ましく、5μm~25μmであることがより好ましい。
針状微粒子の短径は、0.1μm~5μmであることが好ましく、0.1μm~2μmであることがより好ましい。
針状微粒子のアスペクト比(長径/短径)は、5以上であることが好ましい。
【0073】
このような針状微粒子を用いることで、拡散偏光子の拡散性と偏光性とが十分なものとなりやすい。
【0074】
拡散偏光子(2)は、樹脂、ガラス等の透光性を有する材質の表面に線状の凹凸構造を設けたものである。
換言すれば、拡散偏光子(2)は、前述した拡散素子(2)における凹凸形状を線状としたものである。
【0075】
線状の凹凸構造の幅や隣接する凹凸構造のピッチ等は適宜設定可能であり、特に限定されない。
【0076】
拡散偏光子(3)は、透明性を有する樹脂内部に板状に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層である。
換言すれば、拡散偏光子(3)は、前述した拡散素子(3)の相分離構造が板状のものである。
【0077】
板状部の形状等は、特に限定されない。
【0078】
拡散偏光子は、反射偏光子1の透過軸と、拡散偏光子の透過軸との角度差が、好ましくは30°以内、より好ましくは20°以内、さらに好ましくは10°以内、特に好ましくは5°以内となるよう配置して積層されている。換言すれば、反射偏光子1の透過軸は、拡散偏光子の透過軸に対して、0°±30°(より好ましくは、0°±20°、さらに好ましくは0°±10°、特に好ましくは0°±5°)の関係となるよう配置して積層されている。
反射偏光子1の透過軸と、拡散偏光子の透過軸との角度差が0°となることが最も効果的であるが、反射偏光子1の透過軸と、拡散偏光子の透過軸との角度差がかかる範囲にある場合、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材とのシームレス化を容易に調整できる。
【0079】
なお、ここで示す「反射偏光子1の透過軸と、拡散偏光子の透過軸との角度差」とは、光学フィルム積層体の表面に対して垂直な方向から光学フィルム積層体を観察した際の、反射偏光子1の透過軸と、拡散偏光子の透過軸とが成す角度、と表現することもできる。また、「反射偏光子1の透過軸と、拡散偏光子の透過軸との角度差」とは、「反射偏光子1の反射軸と、拡散偏光子の拡散軸との角度差」と表現することもできる。
【0080】
<他の層>
本発明の光学フィルム積層体は、他の層A、他の層Bを含むことができる。
拡散素子と反射偏光子1とは、直接積層されていてもよいし、他の層Aを介して積層されてもよい。
反射偏光子1と反射偏光子2とは、直接積層されていてもよいし、他の層Bを介して積層されてもよい。
【0081】
他の層A及び他の層Bとしては、特に限定されるものではないが、粘着剤層;接着剤層;空隙層、位相差フィルム、カラーフィルタ、柄や模様を印刷した層やそれら印刷を含むフィルム等を用いることができる。ここで空隙層とは、一定の間隔を空けた空隙を示す。また他の層A及び他の層Bは白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化を容易に調整できる。また、柄や模様を付すことでディスプレイ周辺部材とのシームレス化を容易に調整できる。
【0082】
<視認側の表面層>
光学フィルム積層体をディスプレイに使用したとき、視認側である光学フィルム積層体の拡散素子表面上に、機能性フィルムやガラス、印刷層等の表面層が積層されていてもよい。表面層の積層方法は特に限定されるものではないが、光学フィルム積層体の拡散素子が粘着系の拡散素子である場合には、直接表面層を積層させることができる。また、粘着系拡散素子でない場合には、他の粘着剤層等を介して表面層を積層させればよい。
【0083】
機能性フィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ハードコートフィルムや防眩フィルム等の機能層を用いることができ、印刷層としては、特に限定されるものではないが、例えば、柄や模様を印刷した層やそれら印刷を含むフィルム等を用いることができる。また、これらは、単独で、又は複数種を組み合わせて積層してもよい。光学フィルム積層体が使用されたディスプレイを自動車や住宅等の白や淡色系の色を使用した素材に埋め込んだ際、表面層がディスプレイの周辺素材と同色や同模様であれば、シームレス化をより高めることができる。
【0084】
<<光学フィルム積層体の特性>>
<光学フィルム積層体の透過Y1値及び反射Y1値>
図3(a)及び図3(b)を参照し、光学フィルム積層体の透過Y1値及び反射Y1値について説明する。
【0085】
光学フィルム積層体(10)の反射偏光子2(11-2)に入射させたC光源(30)の光が、光学フィルム積層体の拡散素子(12)側より出射した透過光(T1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源(30)にて算出した透過Y値を透過Y1値とする(図3(a))。
透過Y1値は、特に限定されないが、20~50であることが好ましい。
T1の透過Y1値がかかる範囲にある場合、明るさ(視認性)に優れ、また、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材とのシームレス化が容易となる。
【0086】
光学フィルム積層体(10)の拡散素子(12)に入射させたC光源(30)の光が、光学フィルム積層体(10)の拡散素子(12)より出射した反射光(R1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定した後、C光源(30)にて算出した反射Y値を、反射Y1値とする(図3(b))。
反射Y1値は、特に限定されないが、70~95であることが好ましい。
R1の反射Y1値がかかる範囲にある場合、適度な拡散性が得られるため画面の鮮明性に優れ、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材とのシームレス化が容易となる。
【0087】
透過Y1値及び反射Y1値は、視感反射率(又は視感透過率)を示し、JIS Z8722:2009規格に記載された方法で分光光度計にて、2°視野で測定した後、C光源にて算出される。C光源とは、JIS Z8720:2012「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」に規定されている補助イルミナントCを示す。
【0088】
<光学フィルム積層体の白色度WI1値>
本発明の光学フィルム積層体は、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI1値が、74~95であることが好ましく、74~90であることがより好ましく、74~80であることがさらに好ましい。
ここで、D65光源とは、JIS Z8720:2012「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」に規定されている標準イルミナントD65を示す。また、正反射光除去方式(SCE)とは、反射光に含まれる拡散光のみを計測する方法を示す。白色度WI1値はASTM E313-73に規定された数値を示し、白さの度合を示す数値である。
光学フィルム積層体の白色度WI1値がかかる範囲にある場合、適度な拡散性を有するため視認性に優れ、また、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材とのシームレス化が容易となる。
【0089】
本発明の光学フィルム積層体の白色度WI1値は、ASTM E313-73に記載の方法で求めることができる。本発明においては、分光測色計(コニカミノルタ社製CM-700D)において、D65光源の正反射成分を含まないSCEによって測定した白色度WI値とする。
【0090】
<<光学フィルム積層体の製造方法>>
本発明の光学フィルム積層体は、反射偏光子1と拡散素子とを、直接又は他の層(他の層A)を介して積層し、反射偏光子1と反射偏光子2とを、直接又は他の層(他の層B)を介して積層することで製造することができる。
例えば、(1)反射偏光子1と反射偏光子2とを積層させ、積層体を製造した後に、積層体の反射偏光子1側に拡散素子をさせる方法、(2)反射偏光子1と拡散素子とを積層させ、積層体を製造した後に、積層体の反射偏光子1側に反射偏光子2をさせる方法、等の手順によって、本発明の光学フィルム積層体を製造することができる。
より具体的には、例えば、他の層A及び他の層Bとして、粘着剤層を用いる場合には、(1)予め、粘着剤を剥離フィルム上に塗工して、粘着剤層を複数形成し、(2)反射偏光子2に、粘着剤層を重ね積層し、得られた積層体の剥離フィルムを取り外し、(3)その粘着剤層に反射偏光子1を重ね、(3)反射偏光子1に、粘着剤層を重ね積層し、得られた積層体の剥離フィルムを取り外し、(3)その粘着剤層に拡散素子を重ね、積層することで、光学フィルム積層体を得ることができる。
【0091】
<<光学フィルム積層体の用途>>
本発明の光学フィルム積層体は、ディスプレイ用の光学フィルム積層体であり、偏光板と直接又は間接的に積層されて用いられる。
【0092】
本発明にかかるディスプレイは、特に、自動車の表示パネル類、家電製品の表示パネル類、家具や建築物の壁、床、天井などに埋め込まれる液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等のディスプレイに用いられる。
【0093】
本発明にかかるディスプレイは、ディスプレイ内表示パネルデバイス視認側上に偏光板(本発明においては、以降、偏光板bと称す場合がある)を含んでいてもよいし(本発明において、このディスプレイを、以降、ディスプレイ1と称す場合がある)、含まなくてもよい(本発明において、このディスプレイを、以降、ディスプレイ2と称す場合がある)。
【0094】
<偏光板>
偏光板は、特定の方向に偏光した光だけに限って通過させる板である。偏光板は、公知の偏光板を用いることができ、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。一般にディスプレイに用いられているものが使用可能である。
【0095】
ここで偏光板は、
(I)ディスプレイ内表示パネルデバイスの視認側上に対面して積層されて用いられてもよく(即ち、偏光板がディスプレイ内表示パネルデバイスに含まれる場合)、
(II)偏光板がディスプレイ内表示パネルデバイスの視認側上に含まれず、ディスプレイの視認側に積層され用いられてもよく、また、
(III)偏光板がディスプレイ内表示パネルデバイスの視認側上に含まれず、本発明の光学フィル積層体に積層され、偏光板付光学フィルム積層体として用いられてもよい。
前記(I)~(III)の場合、視認性に優れ、白色又は淡色系の色が用いられたディスプレイの周辺素材に対し、シームレス化されたディスプレイを得ることができる。
【0096】
(I)及び(II)の場合、光学フィル積層体が積層される偏光板(偏光板b)の透過軸は、反射偏光子2の透過軸に対して、±40°の範囲の関係となる配置とすることが好ましく、±30°の範囲の関係となる配置とすることがより好ましく、±20°の範囲の関係となる配置とすることがさらに好ましく、±10°の範囲の関係となる配置とすることが特に好ましく、±5°の範囲の関係となる配置とすることが最も好ましい。換言すれば、偏光板(偏光板b)の透過軸は、反射偏光子2の反射軸に対して、90°±40°の範囲の関係となる配置とすることが好ましく、90°±30°の範囲の関係となる配置とすることがより好ましく、90°±20°の範囲の関係となる配置とすることがさらに好ましく、90°±10°の範囲の関係となる配置とすることが特に好ましく、90°±5°の範囲の関係となる配置とすることが最も好ましい。これら2軸における角度範囲がかかる範囲にある場合、ディスプレイからの光の透過性(画像の輝度)低下を軽減することができる。
【0097】
また、(III)の場合、偏光板付光学フィルム積層体の偏光板(偏光板a)が、表示パネルデバイスの視認側に、偏光板の透過軸に平行な方向に振動する光を透過するよう、直接又は他の層を介して積層される。
【0098】
(I)~(III)の場合、偏光板は、所定の層に積層される際に、直接又は他の層を介して積層されて用いられる。ここで、他の層としては、特に限定されるものではないが、粘着剤層や接着剤層等を用いることができる。また、他の層は、白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化の調整を容易なものとすることができる。
【0099】
<光学フィルム積層体の配置>
本発明の光学フィルム積層体は、ディスプレイにおける表示パネルデバイス視認側偏光板のさらに視認側に、直接又は他の層(他の層E等)を介して配置される。その際、光学フィルム積層体の拡散素子が、反射偏光子よりも視認側となるように配置される(図1)。
【0100】
ここで、他の層としては、特に限定されるものではないが、粘着剤層、位相差フィルム、カラーフィルタ等を用いることができる。また、他の層は、白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化の調整を容易なものとすることができる。
【0101】
<ディスプレイ1>
ここで、本発明の光学フィルム積層体が組み込まれたディスプレイ(前述したディスプレイ1)は、例えば、以下のように表現することができる。
【0102】
ディスプレイ1のある態様は、光学フィルム積層体と、偏光板bと、表示パネルデバイスとを少なくとも含む積層構造を有する。光学フィルム積層体は、拡散素子と反射偏光子1とが直接又は他の層Aを介して積層され、また、反射偏光子1と反射偏光子2とが直接又は他の層Bを介して積層されている。偏光板bは、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層Dを介して積層される。光学フィルム積層体は、反射偏光子2が、偏光板bの視認側に、直接又は他の層Eを介して積層される。
換言すれば、ディスプレイ1のある態様は、視認側より、光学フィルム積層体(拡散素子、任意層である他の層A、反射偏光子1、任意層である他の層B、反射偏光子2)、任意層である他の層E、偏光板b、任意層である他の層D、表示パネルデバイス、という順番で積層された構造を有する(図1参照)。
拡散素子、反射偏光子1、反射偏光子2、他の層(他の層A、他の層B、他の層E)、偏光板bは、前述の通りのものを使用することができる。
他の層Dは、他の層E等と同様のものを使用することができる。
【0103】
<上記(III)の場合における偏光板付光学フィルム積層体>
上述したように本発明の光学フィルム積層体は、偏光板(偏光板a)と積層することで、偏光板付光学フィルム積層体として用いることが可能である(図2)。
【0104】
偏光板付光学フィルム積層体は、光学フィルム積層体の反射偏光子2に対し、偏光板aを、光学フィルム積層体の反射偏光子1側とは反対側に、直接又は他の層Cを介して、積層される(図2)。
【0105】
偏光板付光学フィルム積層体は、偏光板aの透過軸が、反射偏光子2の透過軸に対して、±40°の範囲の関係となるように配置される。換言すれば、偏光板aの透過軸が、反射偏光子の反射軸に対して、90°±40°の範囲の関係となるように配置される。
【0106】
また、拡散素子が拡散偏光子である場合、反射偏光子1の透過軸と拡散偏光子の透過軸との角度差と、偏光板aの透過軸と反射偏光子2の透過軸との角度差と、の合計が、40°以内となるように配置されることが好ましく、30°以内となるように配置されることがより好ましく、20°以内となるように配置されることがさらに好ましく、10°以内となるように配置されることが特に好ましく、5°以内となるように配置されることが最も好ましい。
【0107】
(偏光板付光学フィルム積層体の透過Y2値及び反射Y2値)
偏光板付光学フィルム積層体の偏光板aに入射させたC光源の光が、偏光板付光学フィルム積層体の拡散素子側より出射した透過光(T2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定した後、C光源にて算出した透過Y値(透過Y2値)は、本発明の効果が阻害しない限りにおいて特に限定されず、15~40が好ましい(図4(a))。
T2の透過Y2値がかかる範囲にある場合、明るさ(視認性)に優れ、また、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0108】
偏光板付光学フィルム積層体の拡散素子に入射させたC光源の光が、偏光板付光学フィルム積層体の拡散素子側より出射した反射光(R2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定した後、C光源にて算出した反射Y値(反射Y2値)は、本発明の効果が阻害しない限りにおいて特に限定されず、70~95であることが好ましい(図4(b))。
R2の反射Y2値がかかる範囲にある場合、適度な拡散性が得られるため画面の鮮明性に優れ、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0109】
ここでこれらY値は、視感反射率(又は視感透過率)を示し、JIS Z8722:2009規格に記載された方法で分光光度計にて、測定した後、C光源にて算出する。C光源とは、JIS Z8720:2012「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」に規定されている補助イルミナントCを示す。
【0110】
(偏光板付光学フィルム積層体の白色度WI2値)
本発明の偏光板付光学フィルム積層体は、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI2値が、74~95であることが好ましく、74~90であることがより好ましく、74~80であることがさらに好ましい。
ここで、D65光源とは、JIS Z8720:2012「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」に規定されている標準イルミナントD65を示す。また、正反射光除去方式(SCE)とは、反射光に含まれる拡散光のみを計測する方法を示す。白色度WI2値はASTM E313-73に規定された数値を示し、白さの度合を示す数値である。
偏光板付光学フィルム積層体の白色度WI2値がかかる範囲にある場合、適度な拡散性を有するため視認性に優れ、また、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0111】
本発明の偏光板付光学フィルム積層体の白色度WI2値は、ASTM E313-73に記載の方法で求めることができる。本発明においては、分光測色計(コニカミノルタ社製CM-700D)において、D65光源の正反射成分を含まないSCEによって測定した白色度WI値を用いた。
【0112】
本発明の偏光板付光学フィルム積層体は、光学フィルム積層体と、偏光板aとを直接又は他の層Cを介して積層することで製造することができる。ここで、他の層Cとしては、特に限定されるものではないが、粘着剤層、位相差フィルム、カラーフィルタ等を用いることができる。また、他の層Cは、白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化の調整を容易なものとすることができる。例えば、他の層Cとして、粘着剤層を用いる場合には、予め、粘着剤を剥離フィルム上に塗工して、粘着剤層を形成し、光学フィルム積層体の表面の反射偏光子側に、粘着剤層を重ね、積層する。得られた積層体の剥離フィルムを取り外したのち、その粘着剤層に偏光板aを重ね、積層することで、偏光板付光学フィルム積層体を得ることができる。
【0113】
また、偏光板付光学フィルム積層体は、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層Fを介して積層されて使用される。
【0114】
<ディスプレイ2>
ここで、本発明の偏光板付光学フィルム積層体が組み込まれたディスプレイ(前述したディスプレイ2)は、例えば、以下のように表現することができる。
【0115】
ディスプレイ2のある態様は、偏光板付光学フィルム積層体と、表示パネルデバイスとを少なくとも含む積層構造を有する。偏光板付光学フィルム積層体は、光学フィルム積層体と偏光板aとを有する。光学フィルム積層体は、拡散素子と反射偏光子1とが直接又は他の層Aを介して積層され、また、反射偏光子1と反射偏光子2とが直接又は他の層Bを介して積層されている。偏光板aは、光学フィルム積層体の反射偏光子2に、直接又は他の層Cを介して積層され、偏光板付光学フィルム積層体を構成している。偏光板付光学フィルム積層体の偏光板aは、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層Fを介して積層されている。
換言すれば、ディスプレイ2のある態様は、偏光板付光学フィルム積層体(拡散素子、任意層である他の層A、反射偏光子1、任意層である他の層B、反射偏光子2、任意層である他の層C、偏光板a)、任意層である他の層F、表示パネルデバイス、という順番で積層された構造を有する(図2参照)。
拡散素子、反射偏光子、他の層(他の層A、他の層B、他の層C)、偏光板aは、前述の通りのものを使用することができる。
他の層Fは、他の層E等と同様のものを使用することができる。
【実施例0116】
次に、本発明を、実施例及び比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0117】
<<拡散素子の作製>>
<拡散素子1>
酸化チタン微粒子を分散したアクリル樹脂塗料を、厚み100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4301)処理面上に塗布、乾燥することで厚みが3μmであるPETフィルム付の拡散素子1を得た。
【0118】
<拡散偏光子1>
針状フィラーである炭酸カルシウム微粒子(長径10μm~20μm、短径0.5μm~1.0μm、長径屈折率1.53、短径屈折率1.68)を、屈折率1.52のアクリル樹脂中に、全量の15質量%となるように分散させた塗料を、厚み100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4301)の処理面上に塗布、乾燥することで、厚みが3μmであるPETフィルム付の拡散偏光子1を得た。
【0119】
<<拡散素子の物性>>
前述の方法に従って、拡散素子1及び拡散偏光子1の、ヘイズ値、及び全光線透過率を測定した。
測定方法を以下に示し、測定結果を表1に示した。
【0120】
<拡散素子のヘイズ値>
拡散素子のヘイズ値は、拡散素子の一方の主面に厚み100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)を有した状態で、ヘーズメーター(日本電色社製、NDH-2000)を使用し、JIS K7136:2000規格に記載の方法で透明PETフィルム側より光を照射することにて測定した。
【0121】
<拡散素子の全光線透過率>
拡散素子の全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色社製、NDH-2000)を使用し、JIS K7361-1:1997規格に記載の方法で測定した。このとき、所定の配置で測定した数値と、その配置より測定器に対して90°回転させた配置で測定した数値との平均値を算出することで、全光線透過率とした。
【0122】
<<光学フィルム積層体の作製>>
<実施例1>
PETフィルム付の拡散素子1の透明PETフィルムとは反対側の拡散素子1主面に対し、厚み20μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子1(3M社製、APF-V3)を積層した。さらに、積層した反射偏光子1主面に対し、厚み20μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子2(3M社製、APF-V3)を積層した。反射偏光子1透過軸と反射偏光子2透過軸との角度差を3°となるように配置し、実施例1のPETフィルム付の光学フィルム積層体を得た。
【0123】
<実施例2~5及び比較例1~3>
反射偏光子1透過軸と反射偏光子2透過軸との角度差を表1に示した角度差に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5及び比較例1~3のPETフィルム付の光学フィルム積層体を得た。
【0124】
<実施例6、7>
PETフィルム付の拡散素子1の代わりにPETフィルム付の拡散偏光子1を用い、反射偏光子1透過軸と反射偏光子2透過軸の角度差と、拡散偏光子1透過軸と反射偏光子1透過軸の角度差とを表1に示した角度差とした以外は、実施例1と同様にして、実施例6、7のPETフィルム付の光学フィルム積層体を得た。
【0125】
<比較例4>
PETフィルム付の拡散素子1の透明PETフィルムとは反対側の拡散素子1主面に対し、厚み20μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子1(3M社製、APF-V3)を積層し、比較例4のPETフィルム付の光学フィルム積層体を得た。
【0126】
<比較例5、6>
PETフィルム付の拡散偏光子1の透明PETフィルムとは反対側の拡散偏光子1主面に対し、厚み20μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子1(3M社製、APF-V3)を積層した。拡散偏光子1透過軸と反射偏光子1透過軸の角度差を表1に示した角度差として、比較例6、7のPETフィルム付の光学フィルム積層体を得た。
【0127】
<<偏光板付光学フィルム積層体の作製>>
<実施例8~10、比較例7、8>
実施例3のPETフィルム付の光学フィルム積層体の反射偏光子2主面に対し、厚み20μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、偏光板1(偏光度99.9%、透過率42%)を積層した。反射偏光子2透過軸と偏光板透過軸の角度差を表1に示した角度差として、実施例8~10、比較例7、8のPETフィルム付の偏光板付光学フィルム積層体を得た。
なお、比較例7、8のPETフィルム付の偏光板付光学フィルム積層体は、実施例3のPETフィルム付の光学フィルム積層体についての好ましくない使用方法を示した一例、と表現することも可能である。
【0128】
<比較例9>
比較例4のPETフィルム付の光学フィルム積層体の反射偏光子1主面に対し、厚み20μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、偏光板1(偏光度99.9%、透過率42%)を積層した。反射偏光子1透過軸と偏光板透過軸の角度差を0°となるように配置し、比較例9のPETフィルム付の偏光板付光学フィルム積層体を得た。
【0129】
実施例1~10及び比較例1~9で得られた、光学フィルム積層体及び偏光板付光学フィルム積層体について、表1にまとめた。
【0130】
<<光学フィルム積層体及び偏光板付光学フィルム積層体の物性>>
前述の方法に従って、作製した各光学フィルム積層体の反射Y1値、透過Y1値及び白色度WI1値と、作製した各偏光板付光学フィルム積層体の反射Y2値、透過Y2値及び白色度WI2値とを測定した。
測定方法を以下に示し、結果を表1に示した。
【0131】
<光学フィルム積層体の反射Y1値>
光学フィルム積層体の反射Y1値は、PETフィルム付の光学フィルム積層体のPETフィルムを剥がした後、分光光度計(島津製作所社製、UV-2500)にて、光学フィルム積層体の拡散素子1又は拡散偏光子1に入射させたC光源の光が、光学フィルム積層体の拡散素子1又は拡散偏光子1側より出射した反射光を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて反射Y値を算出し、反射Y1値とした。ただし、本反射Y1値の測定では、1回目の測定では、各測定サンプルが有する最表面反射偏光子の透過軸配置を「0°」として測定した後、最表面反射偏光子の透過軸配置が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を反射Y1値とした。
【0132】
<光学フィルム積層体の透過Y1値>
光学フィルム積層体の透過Y1値は、PETフィルム付の光学フィルム積層体のPETフィルムを剥がした後、分光光度計(島津製作所社製、UV-2500)にて、光学フィルム積層体の最表面反射偏光子に入射させたC光源の光が、光学フィルム積層体の拡散素子側より出射した透過光を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて透過Y値を算出し、透過Y1値とした。ただし、本透過Y1値の測定では、1回目の測定では、各測定サンプルが有する最表面反射偏光子の透過軸配置を「0°」として測定した後、最表面反射偏光子の透過軸配置が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を透過Y1値とした。
【0133】
<光学フィルム積層体の白色度WI1値>
光学フィルム積層体の白色度WI1値は、PETフィルム付の光学フィルム積層体のPETフィルムを剥がした後、光学フィルム積層体の最表面反射偏光子主面に対し、25μmの厚みのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して黒色PETフィルム(透過率0%)を積層させ、黒色PETフィルム付光学フィルム積層体を作製し、黒色PETフィルム付光学フィルム積層体の拡散素子側の白色度を測定した。測定は、分光測色計(コニカミノルタ社製、CM-700D)を用い、D65光源(JIS Z8720:2012規定)の正反射光除去方式(SCE)にて、白色度WI値(ASTM E313-73規定)である白色度WI1値を求めた。ただし、本白色度の測定は、1回目の測定では、各測定サンプルが有する最表面反射偏光子の透過軸配置を「0°」として測定した後、最表面反射偏光子の透過軸配置が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を白色度WI1値とした。
【0134】
<偏光板付光学フィルム積層体の反射Y2値>
偏光板付光学フィルム積層体の反射Y2値は、PETフィルム付の偏光板付光学フィルム積層体のPETフィルムを剥がした後、分光光度計(島津製作所社製、UV-2500)にて、偏光板付光学フィルム積層体の拡散素子1に入射させたC光源の光が、偏光板付光学フィルム積層体の拡散素子1側より出射した反射光を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて反射Y値を算出し、反射Y2値とした。ただし、本反射Y2値の測定では、1回目の測定では、各測定サンプルが有する偏光板1の透過軸配置を「0°」として測定した後、偏光板1の透過軸配置が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を反射Y2値とした。
【0135】
<偏光板付光学フィルム積層体の透過Y2値>
偏光板付光学フィルム積層体の透過Y2値は、PETフィルム付の偏光板付光学フィルム積層体のPETフィルムを剥がした後、分光光度計(島津製作所社製、UV-2500)にて、偏光板付光学フィルム積層体の偏光板1に入射させたC光源の光が、偏光板付光学フィルム積層体の拡散素子1側より出射した透過光を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて透過Y値を算出し、透過Y2値とした。ただし、本透過Y2値の測定では、1回目の測定では、各測定サンプルが有する偏光板1の透過軸配置を「0°」として測定した後、偏光板1の透過軸配置が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を透過Y2値とした。
【0136】
<偏光板付光学フィルム積層体の白色度WI2値>
偏光板付光学フィルム積層体の白色度WI2値は、PETフィルム付の偏光板付光学フィルム積層体のPETフィルムを剥がした後、偏光板付光学フィルム積層体の偏光板主面に対し、25μmの厚みのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して黒色PETフィルム(透過率0%)を積層させ、黒色PETフィルム付の偏光板付光学フィルム積層体を作製し、黒色PETフィルム付の偏光板付光学フィルム積層体の拡散素子側の白色度を測定した。測定は、分光測色計(コニカミノルタ社製、CM-700D)を用い、D65光源(JIS Z8720:2012規定)の正反射光除去方式(SCE)にて、白色度WI値(ASTM E313-73規定)である白色度WI2値を求めた。ただし、本白色度の測定は、1回目の測定では、各測定サンプルが有する偏光板の透過軸配置を「0°」として測定した後、偏光板の透過軸配置が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を白色度WI2値とした。
【0137】
【表1】
【0138】
各実施例は、透過Y値(透過Y1値及び透過Y2値)、反射Y値(反射Y1値及び反射Y2値)、白色度のバランスに優れた評価となった。
また、実施例の偏光板付光学フィルム積層体を液晶ディスプレイ表面に積層し、画像を表示させた時のボケ感を目視にて評価したところ、ボケ感は確認されなかった。
そのため、白色又は淡色系の色の周辺環境であっても、視認性に優れたシームレスなディスプレイとすることが可能であった。
【符号の説明】
【0139】
10 光学フィルム積層体
11-1 反射偏光子1
11-2 反射偏光子2
12 拡散素子
20 偏光板付光学フィルム積層体
30 C光源
130 偏光板

図1
図2
図3
図4