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特開2023-149038光ファイバ保護金属管及びその製造方法
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  • 特開-光ファイバ保護金属管及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149038
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光ファイバ保護金属管及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G02B6/44 366
G02B6/44 391
G02B6/44 341
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057369
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】302040135
【氏名又は名称】日鉄溶接工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522128848
【氏名又は名称】株式会社ファインテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 勉
(72)【発明者】
【氏名】宮城 明典
(72)【発明者】
【氏名】赤山 明男
【テーマコード(参考)】
2H201
2H250
【Fターム(参考)】
2H201BB22
2H201BB41
2H201BB62
2H201KK20
2H201KK21
2H201KK34C
2H201KK36C
2H201MM05
2H250BA05
2H250BB02
2H250BB10
2H250BB26
2H250BC03
2H250BC18
2H250BC19
(57)【要約】
【課題】光ファイバケーブルを切断したときに、金属のバリが生じてもそれが内部の光ファイバを直接傷つけることのない光ファイバ保護金属管の提供。
【解決手段】内部に光ファイバを収容して保護する光ファイバ保護金属管であって、金属管と、前記金属管の内側面に密着する合成樹脂製の内被を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に光ファイバを収容して保護する光ファイバ保護金属管であって、
金属管と、
前記金属管の内側面に密着する合成樹脂製の内被を備えることを特徴とする、光ファイバ保護金属管。
【請求項2】
前記金属管の外側面が合成樹脂製の外被で被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバ保護金属管。
【請求項3】
金属管の中に合成樹脂管を挿入した状態で、前記金属管を伸張させて細径化し、前記金属管の内側面に合成樹脂製の内被を密着させることを特徴とする、光ファイバ保護金属管の製造方法。
【請求項4】
前記金属管の伸張は、引抜加工によることを特徴とする、請求項3に記載の光ファイバ保護金属管の製造方法。
【請求項5】
前記引抜加工の際、同時に加熱も行われることを特徴とする、請求項4に記載の光ファイバ保護金属管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ保護金属管及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルは、金属管の中に光ファイバが挿通されている構造が一般的である。光ファイバケーブルは、特許文献1のように、金属管の外側面は合成樹脂で被覆されている場合が多いが、内側面は金属のままであり、その中に光ファイバが挿通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-174293
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバケーブルを切断すると、金属管の切断面に金属のバリが生じ、これを放置していると内部の光ファイバを傷つけるので、切断後に管とファイバの間に合成樹脂製の保護チューブを挿入する作業が必要となる。この作業は時に煩雑であるため、このような作業が不要な光ファイバケーブルが望まれていた。
【0005】
そこで、本願の実施態様は、光ファイバケーブルを切断したときに、金属のバリが生じてもそれが内部の光ファイバを直接傷つけることのない光ファイバ保護金属管及びその製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施態様は、内部に光ファイバを収容して保護する光ファイバ保護金属管であって、金属管と、前記金属管の内側面に密着する合成樹脂製の内被を備えることを特徴とする。
【0007】
本願の実施態様の光ファイバ保護金属管は、内側面に密着する合成樹脂製の内被を備えている。これにより、内部に光ファイバが挿通された状態で切断された際、金属管の切断面に生ずるバリが内被で被覆されるので、内部の光ファイバにバリが接触することがない。
【0008】
なお、本願の実施態様の光ファイバ保護金属管は、金属管の損傷及び腐食防止のため、前記金属管の外側面が合成樹脂製の外被で被覆されていることが望ましい。
【0009】
本願の実施態様の光ファイバ保護金属管の製造方法は、金属管の中に合成樹脂管を挿入した状態で、前記金属管を伸張させて細径化し、前記金属管の内側面に合成樹脂製の内被を密着させることを特徴とする。
【0010】
本願の実施態様の製造方法で製造された光ファイバ保護金属管は、内側面に密着する合成樹脂製の内被を備えている。これにより、内部に光ファイバが挿通された状態で切断された際、金属管の切断面に生ずるバリが内被で被覆されるので、内部の光ファイバにバリが接触することがない。
【0011】
なお、本願の実施態様の光ファイバ保護金属管の製造方法は、前記金属管の伸張は、引抜加工によることが望ましい。またこの引抜加工の際、同時に加熱も行われることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本願の実施態様は上記のように構成されているので、光ファイバケーブルを切断したときに、金属のバリが生じてもそれが内部の光ファイバを直接傷つけることのない光ファイバ保護金属管を製造し、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願の実施形態の光ファイバ保護金属管の構造を示す模式図である。
図2】本願の実施形態の光ファイバ保護金属管の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
図3】本願の実施形態の光ファイバ保護金属管の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
図4】本願の実施形態の光ファイバ保護金属管の製造方法の別の例を模式的に示す断面図である。
図5】本願の実施形態の光ファイバ保護金属管の製造方法の別の例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する図面は模式図であり、構成同士の位置関係や大きさの比率は実物とは同じであるとは限らない。
【0015】
図1は、本願の実施形態の光ファイバ保護金属管10の構造を示す模式図である。光ファイバ保護金属管10は、図示しない光ファイバを収容して保護するものである。金属管20は長尺(たとえば、全長10m以上)に形成された可撓性の、たとえばステンレス製の鋼管であり、その外側面は合成樹脂製の外被40により被覆されている。外被40は、金属管20の損傷及び腐食防止のために設けられる。また、金属管20の内側面には、合成樹脂製の内被30が密着している。内被30及び外被40の材質は合成樹脂であれば特に問わないが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。
【0016】
本実施形態の光ファイバ保護金属管10の製造方法の一例を、図2及び図3を参照しつつ説明する。まず、図2に示すように、所定の内径の金属管20の中に、金属管20の内径より小さい外径の合成樹脂管35を挿入する。
【0017】
この状態で、金属管20を、たとえばダイスに通して引き抜く引抜加工により伸張させて細径化すると、挿入された合成樹脂管35も同時に伸張されることで細径化される。その結果、図3に示すように、合成樹脂管35は金属管20の内側面に密着して内被30となる。この状態から金属管20の外側面を外被40で被覆すれば、図1に示す光ファイバ保護金属管10となる。ここで、引抜加工の際に発生する加工熱により、合成樹脂管35が軟化するため、後に冷却されると合成樹脂管35は金属管20に密着する。なお、合成樹脂管35を金属管20に確実に密着させるために、引抜加工と同時に電磁誘導加熱又は高周波誘導加熱を施し、合成樹脂の融点付近への加熱を促してもよい。
【0018】
本実施形態の光ファイバ保護金属管10の製造方法の別の例を、図4及び図5を参照しつつ説明する。まず、図4に示すように、所定の内径の金属管20の中に、金属管20の内径より小さい外径の合成樹脂管35を挿入する。合成樹脂管35には、図示しないコンプレッサが接続されている。
【0019】
この状態で、合成樹脂管35の内部にコンプレッサで加圧しつつ、合成樹脂管35を構成する合成樹脂の融点以上に金属管20を加熱すると、図5に示すように、合成樹脂管35は膨張して金属管20の内側面に接触する。この状態で金属管20を冷却すると、合成樹脂管35は膨張した状態で固化して、金属管20の内側面に密着した内被30となる。この状態から金属管20の外側面を外被40で被覆すれば、図1に示す光ファイバ保護金属管10となる。
【0020】
上記の各方法にて製造されたこの光ファイバ保護金属管10には、適宜の本数の光ファイバや、必要に応じ抗張力繊維又は介在が挿入されて、光ファイバケーブルとなる。
【0021】
この光ファイバ保護金属管10を用いた光ファイバケーブルは、使用状態や用途に応じて適宜の長さで切断される。この切断の際、金属管20の断面にはバリが生ずるが、このバリは、内被30が介在することで光ファイバに直接接することない。このため、光ファイバケーブルの切断に伴い、金属管と光ファイバとを隔てる保護チューブ等を断端に挿入する必要なく、光ファイバはバリにより損傷を被ることがなくなる。
【0022】
なお、本願の実施形態の光ファイバ保護金属管は、上述した方法で製造されることには限定されず、他の方法で製造されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 光ファイバ保護金属管 20 金属管 30 内被
35 合成樹脂管 40 外被
図1
図2
図3
図4
図5