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特開2023-149043故障診断装置、故障診断プログラム、及び故障診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149043
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】故障診断装置、故障診断プログラム、及び故障診断方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G05B23/02 302Y
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057378
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横松 広太
(72)【発明者】
【氏名】河地 祐作
(72)【発明者】
【氏名】矢田 顕芳
(72)【発明者】
【氏名】津村 浩助
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB03
3C223EB04
3C223FF16
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】プラントを含む設備に設けられたフィールド機器の故障原因をユーザに通知することができる故障診断装置を提供すること。
【解決手段】故障診断装置は、設備に設けられたフィールド機器から、前記フィールド機器の異常を示すアラーム、又は前記フィールド機器の異常を示す電流出力を取得する取得部と、前記フィールド機器の故障診断に関する故障診断情報に、前記アラーム又は前記電流出力に対応する故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定する特定部と、前記特定部が特定した前記故障原因情報をユーザに通知する通知部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備に設けられたフィールド機器から、前記フィールド機器の異常を示すアラーム、又は前記フィールド機器の異常を示す電流出力を取得する取得部と、
前記フィールド機器の故障診断に関する故障診断情報に、前記アラーム又は前記電流出力に対応する故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記故障原因情報をユーザに通知する通知部と、
を備える、
故障診断装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記アラーム又は前記電流出力に対応するパラメータを前記フィールド機器から取得し、
前記特定部は、前記故障診断情報に前記アラーム又は前記電流出力及び前記パラメータに対応する前記故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定する、
請求項1に記載の故障診断装置。
【請求項3】
前記故障診断情報は、
前記フィールド機器の故障注入試験の結果を含む、
請求項1又は2に記載の故障診断装置。
【請求項4】
前記故障診断情報は、
前記フィールド機器が故障した際にオペレータが特定した故障原因を含む、
請求項1~3のいずれか1つに記載の故障診断装置。
【請求項5】
前記故障診断情報は、
前記フィールド機器の設置環境に関する情報、又は前記フィールド機器の稼働時間に関する情報の少なくともいずれかを含む、
請求項1~4のいずれか1つに記載の故障診断装置。
【請求項6】
前記特定部は、
前記アラーム又は前記電流出力を入力データ及び前記故障原因情報を出力データとする、機械学習により生成された前記故障診断情報を表す故障原因診断モデルを用いて、前記フィールド機器の故障原因を特定する、
請求項1~5のいずれか1つに記載の故障診断装置。
【請求項7】
コンピュータに、
設備に設けられたフィールド機器から、前記フィールド機器の異常を示すアラーム、又は前記フィールド機器の異常を示す電流出力を取得し、
前記フィールド機器の故障診断に関する故障診断情報に、前記アラーム又は前記電流出力に対応する故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定し、
特定した前記故障原因情報をユーザに通知する、
処理を実行させる、
故障診断プログラム。
【請求項8】
コンピュータが、
設備に設けられたフィールド機器から、前記フィールド機器の異常を示すアラーム、又は前記フィールド機器の異常を示す電流出力を取得し、
前記フィールド機器の故障診断に関する故障診断情報に、前記アラーム又は前記電流出力に対応する故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定し、
特定した前記故障原因情報をユーザに通知する、
処理を実行する、
故障診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障診断装置、故障診断プログラム、及び故障診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントを含む設備では、流量計、温度センサ、バルブ、ヒータ等の各種フィールド機器が用いられている。近年では、プラント等において流量演算を正確に行うことができるフィールド機器も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-242919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記フィールド機器では、流量演算を正確に行うことができるが、フィールド機器の故障原因をユーザに通知することができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プラントを含む設備に設けられたフィールド機器の故障原因をユーザに通知することができる故障診断装置、故障診断プログラム、及び故障診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る故障診断装置は、設備に設けられたフィールド機器から、前記フィールド機器の異常を示すアラーム、又は前記フィールド機器の異常を示す電流出力を取得する取得部と、前記フィールド機器の故障診断に関する故障診断情報に、前記アラーム又は前記電流出力に対応する故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定する特定部と、前記特定部が特定した前記故障原因情報をユーザに通知する通知部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る故障診断装置は、前記取得部は、前記アラーム又は前記電流出力に対応するパラメータを前記フィールド機器から取得し、前記特定部は、前記故障診断情報に前記アラーム又は前記電流出力及び前記パラメータに対応する前記故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る故障診断装置は、前記故障診断情報は、前記フィールド機器の故障注入試験の結果を含む。
【0009】
また、本発明の一態様に係る故障診断装置は、前記故障診断情報は、前記フィールド機器が故障した際にオペレータが特定した故障原因を含む。
【0010】
また、本発明の一態様に係る故障診断装置は、前記故障診断情報は、前記フィールド機器の設置環境に関する情報、又は前記フィールド機器の稼働時間に関する情報の少なくともいずれかを含む。
【0011】
また、本発明の一態様に係る故障診断装置は、前記特定部は、前記アラーム又は前記電流出力を入力データ及び前記故障原因情報を出力データとする、機械学習により生成された前記故障診断情報を表す故障原因診断モデルを用いて、前記フィールド機器の故障原因を特定する。
【0012】
また、本発明の一態様に係る故障診断プログラムは、コンピュータに、設備に設けられたフィールド機器から、前記フィールド機器の異常を示すアラーム、又は前記フィールド機器の異常を示す電流出力を取得し、前記フィールド機器の故障診断に関する故障診断情報に、前記アラーム又は前記電流出力に対応する故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定し、特定した前記故障原因情報をユーザに通知する、処理を実行させる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る故障診断方法は、コンピュータが、設備に設けられたフィールド機器から、前記フィールド機器の異常を示すアラーム、又は前記フィールド機器の異常を示す電流出力を取得し、前記フィールド機器の故障診断に関する故障診断情報に、前記アラーム又は前記電流出力に対応する故障原因情報がある場合、該故障原因情報を前記フィールド機器の故障原因として特定し、特定した前記故障原因情報をユーザに通知する、処理を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プラントを含む設備に設けられたフィールド機器の故障原因をユーザに通知することができる故障診断装置、故障診断プログラム、及び故障診断方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る故障診断装置の概略構成の例を示す図である。
図2】ホストの例を示す図である。
図3】故障診断情報の例を示す図である。
図4】故障診断装置の動作の例を示すフローチャートである。
図5】ホストのハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0017】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る故障診断装置の概略構成の例を示す図である。制御システム100は、プラント等の制御に用いられる制御システムである。制御システム100は、複数のフィールド機器1と、ホスト2と、サーバ3と、を備える。なお、例えばプラントには、化学プラント等がある。また、プラント以外の設備には、ビル等の空調設備等がある。
【0018】
フィールド機器1は、プラントを含む設備のさまざまな場所に設けられている。フィールド機器1は、無線通信及び/又は有線等によって、他のフィールド機器1、ホスト2、及びサーバ3と通信可能に構成される。そして、フィールド機器1は、ホスト2にアラーム、電流出力、各種パラメータ等を出力する。また、ホスト2、サーバ3の配置場所は、プラント内に限定されない。
【0019】
フィールド機器1は、例えば圧力センサ、温度センサ、流量センサ、pHセンサ、速度センサ、加速度センサ等のセンサ機器、バルブ、ポンプ及びファン等の操作機器、ランプ及びスピーカ等の警報機器である。フィールド機器1は、これらに限られず、他のさまざまな設備に設けられた機器であってよい。また、制御システム100に含まれるフィールド機器1の機器の数は特に限定されない。
【0020】
図2は、ホストの例を示す図である。ホスト2は、取得部11と、特定部12と、通知部13と、記憶部14と、を備える。
【0021】
取得部11は、フィールド機器1から、フィールド機器1の異常を示すアラーム、又はフィールド機器1の異常を示す電流出力を取得する。例えば、異常を示す電流出力は、正常を示す電流出力値の範囲外の電流値である。また、取得部11は、アラーム又は電流出力に対応するパラメータやアラーム又は電流出力に対応する異常動作をフィールド機器1から取得することもできる。
【0022】
特定部12は、フィールド機器1の故障診断に関する故障診断情報14bに、アラーム又は電流出力に対応する故障原因情報がある場合、その故障原因情報をフィールド機器1の故障原因として特定する。また、特定部12は、故障診断情報14bにアラーム又は電流出力及びパラメータに対応する故障原因情報がある場合、その故障原因情報をフィールド機器1の故障原因として特定してもよい。
【0023】
通知部13は、特定部12が特定した故障原因情報をユーザに通知する。また、通知部13は、特定部12が故障原因を特定できなかった場合、故障原因が特定できなかったことを故障原因情報としてユーザに通知する。
【0024】
記憶部14は、各種データやホスト2において実行される処理に必要な種々の情報を記憶し、例えばメモリやハードディスクなどにより実現される。図2には、記憶部14に記憶される情報の例として、故障診断プログラム14a及び故障診断情報14bが例示される。
【0025】
故障診断プログラム14aは、コンピュータにホスト2の処理を実行させるプログラム(ソフトウェア)である。
【0026】
故障診断情報14bは、例えば安全度水準(SIL:Safety Integrity Level)評価における故障注入試験(FIT:Fault Injection Test)により生成される。故障注入試験は、フィールド機器1を構成する特定の部品を故障させた場合に、フィールド機器1が出力するアラーム又は電流出力や各種パラメータを計測する試験である。例えば、フィールド機器1を構成する抵抗をショートさせた場合に、フィールド機器1は、センサ検出値の異常を示すアラーム又は電流出力を出力する。このとき、フィールド機器1が出力する電流出力が異常を示し、センサ検出値に関連するパラメータの値が変化するとともに、センサ検出値が所定範囲を超える等の異常となる異常動作を示す。そして、これらのアラーム又は電流出力、パラメータ、及び異常動作と、フィールド機器1の故障原因として抵抗のショートとを関連付けて故障診断情報14bとして記憶部14に記憶する。その結果、取得部11が抵抗のショートに紐づけられたアラーム又は電流出力を取得した場合、特定部12は、このアラーム又は電流出力から故障原因が抵抗のショートであると特定することができる。なお、故障注入試験と同様の試験は、他の安全規格の試験にも適用されることもある。
【0027】
図3は、故障診断情報の例を示す図である。故障診断情報14bは、例えばアラーム又は電流出力A1、A2、パラメータB1、B2、異常動作C1、C2、及び故障原因D1、D2を含む。上記故障注入試験の例で説明すると、フィールド機器1の部品Rxxxxをショートさせた場合の電圧値の異常を示すアラーム又は電流出力が「アラーム又は電流出力A1」に対応し、このときのフィールド機器1が出力する電圧値が「パラメータB1」に対応し、このときの電圧値が所定範囲を超える等の異常動作が「異常動作C1」に対応し、このときの部品Rxxxxのショートが「故障原因D1」に対応する。この例では、取得部11が、アラーム又は電流出力A1を取得すると、特定部12が、故障診断情報14bに基づいて、アラーム又は電流出力A1と故障原因D1とが対応することにより、故障原因が故障原因D1であることを特定し、通知部13が、故障原因情報として、故障原因D1を通知する。具体的には、通知部13は、故障原因D1に対応する部品Rxxxxのショートが故障原因であることをユーザに通知する。一方、取得部11が、アラーム又は電流出力A1、A2とは異なる故障診断情報14bには無いアラーム又は電流出力A3を取得すると、特定部12が、故障診断情報14bに基づいて、故障原因が特定できないと判定し、通知部13が、故障原因が特定できないことを通知する。なお、特定部12は、アラーム又は電流出力のみを用いて故障原因を特定してもよいが、アラーム又は電流出力、パラメータ、及び異常動作のいずれか1つ、又は2つ以上の組み合わせを用いて故障原因を特定してもよい。
【0028】
また、故障診断情報14bは、フィールド機器1が故障した際にプラントの管理者等のオペレータが特定した故障原因を含んでいてもよい。故障注入試験の結果にアラーム又は電流出力に対応する情報がない場合、オペレータが故障原因を特定し、故障原因をアラーム又は電流出力と関連付けて故障診断情報14bとして記憶部14に記憶する。その結果、取得部11が再度このアラーム又は電流出力を取得した場合、特定部12が故障原因を特定することができる。
【0029】
また、故障診断情報14bは、フィールド機器1の設置環境に関する情報、又はフィールド機器1の稼働時間に関する情報を含んでいてもよい。
【0030】
フィールド機器1の設置環境に関する情報として、例えばフィールド機器1が設置される環境が振動の加わる環境であるという情報が故障診断情報14bとして記憶部14に記憶されている場合、特定部12は、振動により故障しやすい部品の故障を優先的に故障原因として特定してもよい。具体的には、故障診断情報14bとして、設置環境「振動が加わる環境」という情報が記憶されており、アラーム又は電流出力A11が取得されたとする。このとき、アラーム又は電流出力A11に、故障原因D11及びD12の2つが対応するものとする。故障原因D11は、振動により故障しやすい部品RAの故障に対応し、故障原因D12は、振動と故障との相関がない部品RBの故障に対応する。この場合、特定部12は、フィールド機器1から取得した、アラーム又は電流出力A11、及び設置環境「振動が加わる環境」の情報から、故障原因D11に対応する部品RAの故障を故障原因として優先的に特定してもよい。
【0031】
フィールド機器1の稼働時間に関する情報が故障診断情報14bとして記憶部14に記憶されている場合、特定部12は、稼働時間と部品の耐用年数との関係に基づいて故障原因を特定してもよい。具体的には、故障診断情報14bとして、部品RCの耐用年数が3年、部品RDの耐用年数が10年という情報が記憶されており、アラーム又は電流出力A21が取得されたとする。このとき、アラーム又は電流出力A21に、故障原因D21及びD22の2つが対応するものとする。故障原因D21は、部品RCの故障に対応し、故障原因D22は、部品RDの故障に対応する。この場合、特定部12は、フィールド機器1から取得した機器の稼働時間情報において、稼働時間が3年以上かつ10年より小さければ、部品RCの故障に対応する故障原因D21を故障原因として優先的に特定してもよい。また、同様の状況において、稼働時間が10年以上であった場合、特定部12は、故障原因が故障原因D21又はD22であると特定し、通知部13は、故障原因が故障原因D21又はD22であることをユーザに通知してもよい。
【0032】
また、故障診断情報14bは、故障注入試験の結果に限られず、開発中のソフトウェアの検証作業の結果や単一故障試験の結果等、各種検証作業の結果を含んでいてもよい。故障診断情報14bが、各種検証作業の結果を含む場合、各種検証作業の結果である各種検証作業において出力されたアラーム又は電流出力とフィールド機器1が出力したアラーム又は電流出力とが対応するか否かを判定することにより、特定部12が故障原因を特定することができる。
【0033】
次に、ホスト2が実行する処理(故障診断方法)について説明する。図4は、故障診断装置の動作の例を示すフローチャートである。まず、取得部11は、フィールド機器1からアラーム又は電流出力を取得する(ステップS1)。
【0034】
さらに、取得部11は、アラーム又は電流出力に対応するパラメータをフィールド機器1から取得する(ステップS2)。
【0035】
そして、特定部12は、故障診断情報14bにアラーム又は電流出力に対応する情報があるか否かを判定する(ステップS3)。なお、特定部12は、故障診断情報14bにアラーム又は電流出力及びパラメータに対応する情報があるか否かを判定してもよい。
【0036】
特定部12が、故障診断情報14bにアラーム又は電流出力に対応する情報があると判定した場合(ステップS3:Yes)、特定部12は、その情報に紐づいた故障原因をフィールド機器1の故障原因に特定する。
【0037】
そして、通知部13は、特定部12が特定した故障原因を含む故障原因情報をユーザに通知する(ステップS4)。通知部13は、例えばオペレータが監視する表示装置に故障原因を通知するメッセージを表示させることにより、故障原因情報をユーザに通知する。
【0038】
さらに、記憶部14は、診断結果を記憶する(ステップS5)。
【0039】
ステップS3において、特定部12が、故障診断情報14bにアラーム又は電流出力に対応する情報がないと判定した場合(ステップS3:No)、特定部12は、故障原因が特定できないと判定する。
【0040】
そして、通知部13は、特定部12が故障原因を特定できないことを故障原因情報としてユーザに通知する(ステップS6)。通知部13は、例えばオペレータが監視する表示装置に故障原因を特定できないことを通知するメッセージを表示させる。
【0041】
その後、記憶部14は、診断結果を記憶する(ステップS5)。このとき、オペレータが故障原因を特定し、故障原因をアラーム又は電流出力と関連付けて故障診断情報14bとして記憶部14に書込む部(不図示)を介して記憶してもよい。故障診断情報14bを更新することにより、取得部11が再度このアラーム又は電流出力を取得した際に、特定部12が故障原因を特定することができる。その結果、制御システム100を稼働させることにより、故障診断情報14bが蓄積され、故障原因を特定する精度を増大させることが可能となる。
【0042】
図5は、ホストのハードウェア構成の例を示す図である。例示されるハードウェア構成を備えるコンピュータ等が、これまで説明したホスト2として機能する。この例では、ホスト2は、バス等で相互に接続される通信装置2a、表示装置2b、HDD(Hard Disk Drive)2c、メモリ2d及びプロセッサ2eを備える。
【0043】
通信装置2aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を可能にする。表示装置2bは、例えばタッチパネルやディスプレイなどである。HDD2cは、記憶部14として機能し、例えば故障診断プログラム14aを記憶する。
【0044】
プロセッサ2eは、故障診断プログラム14aをHDD2c等から読み出してメモリ2dに展開することで、コンピュータを、ホスト2として機能させる。機能は、これまで説明したような取得部11の機能、特定部12の機能及び通知部13の機能を含む。
【0045】
故障診断プログラム14aは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、故障診断プログラム14aは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0046】
ホスト2以外の装置、例えばフィールド機器1、及びサーバ3等も、上述と同様のハードウェア構成を備えてよい。
【0047】
また、上述した実施の形態では、ホスト2が取得部11、特定部12、通知部13、及び記憶部14を備える例を説明したが、フィールド機器1又はサーバ3が取得部、特定部、通知部、及び記憶部を備えていてもよい。
【0048】
以上説明した実施の形態によれば、故障診断情報14bに基づいて特定部12が特定した故障原因をユーザに通知するため、ホスト2によりフィールド機器1の故障原因をユーザに通知することができる。
【0049】
なお、特定部12は、故障診断情報14bのうちアラーム又は電流出力、パラメータ、異常動作の少なくとも1つを説明変数、故障原因を目的変数とする機械学習により生成された故障原因診断モデルを用いて、フィールド機器1の故障原因を特定してもよい。この場合、特定部12は、フィールド機器1から取得したアラーム又は電流出力、パラメータ、異常動作の少なくとも1つを入力データとして故障原因診断モデルに入力し、故障原因診断モデルの出力結果を用いて故障原因を特定する。したがって、ホスト2は、故障原因を特定する精度を向上させることができる。また、特定部12は、故障原因診断モデルの出力結果により、アラーム又は電流出力やパラメータから各故障原因の尤度(確率)を取得できるので、尤度が閾値以上の故障原因をユーザに通知してもよい。特定部12は、尤度が閾値以上の故障原因が複数ある場合、複数の故障原因とその尤度とをユーザに通知してもよい。なお、故障原因診断モデルには、ニューラルネットワークなどを採用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 フィールド機器
2 ホスト
3 サーバ
11 取得部
12 特定部
13 通知部
14 記憶部
14a 故障診断プログラム
14b 故障診断情報
100 制御システム
図1
図2
図3
図4
図5