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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149062
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/04 20060101AFI20231005BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08F290/04
C08F2/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057416
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000146180
【氏名又は名称】株式会社MORESCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中村(久保尻) 由貴
【テーマコード(参考)】
4J011
4J127
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011AC04
4J011CA01
4J011CC10
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA12
4J011QB04
4J011QB24
4J011SA04
4J011SA14
4J011SA16
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB031
4J127BB041
4J127BB071
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC051
4J127BD071
4J127BD431
4J127BD461
4J127BG051
4J127BG05Y
4J127BG161
4J127BG16Y
4J127BG171
4J127BG17Y
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127CB141
4J127CB151
4J127CB153
4J127CB282
4J127CC013
4J127CC021
4J127CC022
4J127FA37
4J127FA41
(57)【要約】
【課題】水分バリア性および透明性に優れ、タックおよび硬化に伴う収縮を低減できる硬化物を与える硬化性組成物を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る硬化性組成物は、成分A:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を有するポリマー、成分B:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマー、成分C:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を2個有するモノマー、および成分D:光ラジカル重合開始剤を含んでいる。成分Aの含有量は、成分Bおよび成分Cの合計含有量よりも多い。成分Bの含有量/成分Cの含有量の値は、0.5~4.0である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A~Dを含んでいる硬化性組成物であって、
成分A:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を有するポリマー
成分B:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマー
成分C:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を2個有するモノマー
成分D:光ラジカル重合開始剤
上記成分Aの含有量は、上記成分Bおよび上記成分Cの合計含有量よりも多く、
上記成分Bの含有量/上記成分Cの含有量の値は、0.5~4.0である、
硬化性組成物。
【請求項2】
上記成分Aの主鎖は、ポリブタジエンまたは水添ポリブタジエンである、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
上記成分Bであるモノマーをホモポリマーとしたときのガラス転移温度は、0℃以上である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
上記成分Cであるモノマーをホモポリマーとしたときのガラス転移温度は、0℃以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
下記成分Eをさらに含んでおり、
成分E:レベリング剤
上記成分Eは、アクリル系レベリング剤およびシリコーン系レベリング剤からなる群より選択される1つ以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
上記成分Dは、α-ヒドロキシケトン型光ラジカル重合開始剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
硬化性組成物の全重量を100重量%とすると、
上記成分Aの含有量は40~70重量%であり、
上記成分Bの含有量は10~40重量%であり、
上記成分Cの含有量は10~20重量%である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる、硬化物。
【請求項9】
請求項8に記載の硬化物を備えている、半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物を、フレキシブルOLEDなどの有機半導体デバイスの封止剤として応用する技術が従来知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-135860公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の用途に使用される硬化性組成物から得られる硬化物には、水分バリア性、透明性、タックの低減(べたつきの低減)、硬化に伴う収縮の低減などの性能が要求される。本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の技術には、上記の性能のうち透明性およびタックの低減に改善の余地があった。
【0005】
本発明の一態様は、水分バリア性および透明性に優れ、タックおよび硬化に伴う収縮が低減された硬化物を与える硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明には、下記の態様が含まれる。
<1>
下記成分A~Dを含んでいる硬化性組成物であって、
成分A:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を有するポリマー
成分B:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマー
成分C:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を2個有するモノマー
成分D:光ラジカル重合開始剤
上記成分Aの含有量は、上記成分Bおよび上記成分Cの合計含有量よりも多く、
上記成分Bの含有量/上記成分Cの含有量の値は、0.5~4.0である、
硬化性組成物。
<2>
上記成分Aの主鎖は、ポリブタジエンまたは水添ポリブタジエンである、<1>に記載の硬化性組成物。
<3>
上記成分Bであるモノマーをホモポリマーとしたときのガラス転移温度は、0℃以上である、<1>または<2>に記載の硬化性組成物。
<4>
上記成分Cであるモノマーをホモポリマーとしたときのガラス転移温度は、0℃以上である、<1>~<3>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<5>
下記成分Eをさらに含んでおり、
成分E:レベリング剤
上記成分Eは、アクリル系レベリング剤およびシリコーン系レベリング剤からなる群より選択される1つ以上である、<1>~<4>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<6>
上記成分Dは、α-ヒドロキシケトン型光ラジカル重合開始剤である、<1>~<5>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<7>
硬化性組成物の全重量を100重量%とすると、
上記成分Aの含有量は40~70重量%であり、
上記成分Bの含有量は10~40重量%であり、
上記成分Cの含有量は10~20重量%である、
<1>~<6>のいずれかに記載の硬化性組成物。
<8>
<1>~<7>のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる、硬化物。
<9>
<8>に記載の硬化物を備えている、半導体デバイス。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、水分バリア性および透明性に優れ、タックおよび硬化に伴う収縮が低減された硬化物を与える硬化性組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。
【0009】
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および/または「メタクリロイル基」を意味する。
【0010】
本発明の一態様に係る硬化性組成物は、下記成分A~Dを含んでおり、任意成分として下記成分Eを含んでいる。以下では、各成分について詳述する。
成分A:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を有するポリマー
成分B:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマー
成分C:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を2個有するモノマー
成分D:光ラジカル重合開始剤
成分E:レベリング剤
【0011】
〔1.成分A:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を有するポリマー〕
成分Aは、疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を有するポリマーである。成分Aは、成分Bおよび成分Cとともに、活性エネルギー線の照射をトリガーとして架橋ネットワークを形成し、硬化性組成物を硬化させる。成分Aは、1種類のポリマーのみからなってもよいし、2種類以上のポリマーを含んでいてもよい。
【0012】
[1.1.成分Aの構造]
成分Aは、(メタ)アクリロイル基を分子内に有しているポリマーであれば、具体的な構造は限定されない。(メタ)アクリロイル基は、分子鎖の末端に導入されていてもよいし、分子鎖の末端部に導入されていてもよいし、分子鎖の中央部に導入されていてもよい。「分子鎖の末端部」とは、例えば、ポリマーに含まれる全ユニットを100%として、分子末端から数えて20%以内または10%以内に含まれる領域である。「分子鎖の中央部」とは、例えば、ポリマーから分子鎖の末端部を除外した領域である。
【0013】
成分Aに含まれている(メタ)アクリロイル基の数の下限は、1分子あたりに平均して、1個以上が好ましく、2個以上がより好ましい。成分Aに含まれている(メタ)アクリロイル基の数の上限は、例えば4以下でありうる。1分子あたりの(メタ)アクリロイル基の数が1個以上であれば、硬化物のタックが軽減される。(メタ)アクリロイル基の数が上記の範囲であれば、適度な強度の硬化物が得られる。
【0014】
一実施形態において、(メタ)アクリロイル基は、下記式(1)の構造を有している。式中、Rは、水素原子またはメチル基である。
式(1) -C(=O)C(R)=CH
【0015】
一実施形態において、(メタ)アクリロイル基は、スペーサーを介して主鎖と結合している。スペーサーの具体的な構造は、当業者にとって周知である。スペーサー(および、(メタ)アクリロイル基とスペーサーとの結合部分)は、ウレタン結合、エステル結合、これらの組合せを有していてもよい。これらのうち、ウレタン結合を有している構造は、加水分解に耐性がある点で有利である。
【0016】
主鎖の組成および構造は、特に限定されない。主鎖は、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。コポリマーの例としては、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー(ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、トリブロック以上のマルチブロックコポリマーなど)、グラジエントコポリマーが挙げられる。主鎖は、直鎖状であってもよいし、非直鎖状であってもよい。分岐を有しているポリマーの例としては、グラフトポリマー、スターポリマー、環状ポリマーが挙げられる。
【0017】
主鎖を構成するモノマーは、特に限定されない。モノマーの例としては、ジエン系モノマー、オレフィン系モノマーが挙げられる。ジエン系モノマーの例としては、ブタジエン、イソプレンが挙げられる。オレフィン系モノマーの例としては、イソブテンが挙げられる。また、主鎖は水添されていてもよい。一実施形態において、主鎖は、ポリブタジエンまたは水添ポリブタジエンである。このような主鎖を有する成分Aを配合すると、水分バリア性が向上する傾向にある。
【0018】
成分Aは、市販のポリマーを使用してもよい。このようなポリマーの例としては、CN9014(Sartomer、水添ポリブタジエン主鎖)、TEAI-1000(日本曹達株式会社、水添ポリブタジエン主鎖)、TE-2000(日本曹達株式会社、ポリブタジエン主鎖)、UC-102M(株式会社クラレ、イソプレン主鎖)、UC-203M(株式会社クラレ、イソプレン主鎖)、BAC-45(大阪有機化学工業株式会社、ポリブタジエン主鎖)が挙げられる。
【0019】
[1.2.成分Aの性質]
成分Aは、疎水性である。成分Aが疎水性であることにより、硬化物の水分バリア性が向上すると考えられる。「成分Aが疎水性である」とは、成分Aの主鎖に親水性基が実質的に含まれていないことを意味する。主鎖の全ユニット数を100%とすると、疎水性ポリマーの主鎖に含まれている親水性基の数は、10%以下、5%以下、3%以下、1%以下、0.5%以下または0.1%以下でありうる。一実施形態において、主鎖は、親水性基を全く含んでいない。
【0020】
親水性基とは、極性の高い構造を有している基である。親水性基の例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル基、アミノ基が挙げられる。一実施形態において、親水性基とは、酸素原子、窒素原子からなる群より選択される1種類以上の原子を有している基である。一実施形態において、親水性基とは、炭素原子および水素原子以外のヘテロ原子を有している基である。
【0021】
成分Aは、比較的低分子量のポリマー(オリゴマー)であることが好ましい。低分子量の成分Aは、硬化性組成物の粘度を低減しやすい。一方、高分子量の成分Aは、硬化に伴う収縮を低減しやすい。これらの点を考慮すると、成分Aの数平均分子量(Mn)の上限は、60,000以下が好ましく、40,000以下がより好ましく、20,000以下がさらに好ましい。成分Aの数平均分子量(Mn)の下限は、例えば、1,000以上または5,000以上でありうる。平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィによって標準スチレン換算で求められる。
【0022】
成分Aは重合性基である(メタ)アクリロイル基を有しているので、成分Aのみを硬化させてなる硬化物を作製できる。成分Aのみを硬化させてなる硬化物のガラス転移温度(Tg)の下限は、-80℃以上が好ましく、-60℃以上がより好ましい。成分Aのみを硬化させてなる硬化物のガラス転移温度(Tg)の上限は、0℃以下が好ましく、-10℃以下がより好ましい。ガラス転移温度が上記の範囲にあるならば、得られる硬化物にフレキシブル性を付与できる。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求められる。
【0023】
〔2.成分B:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマー〕
成分Bは、疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマーである。成分Bは、成分Aおよび成分Cとともに、活性エネルギー線の照射をトリガーとして架橋ネットワークを形成し、硬化性組成物を硬化させる。成分Bは、1種類のモノマーのみからなってもよいし、2種類以上のモノマーを含んでいてもよい。
【0024】
[2.1.成分Bの構造]
一実施形態において、成分Bは、下記式(2)で表される。すなわち、(メタ)アクリロイル基と残余部分とが結合している。式中、残余部分の構造は、水素原子または炭化水素基である。炭化水素基の例としては、アルキル基およびアリール基が挙げられる。(メタ)アクリロイル基の構造は、[1.1]節に記載の通りである。
式(2) (残余部分)-((メタ)アクリロイル基)
【0025】
式(2)における残余部分の構造の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられる。残余部分がアルキル基である成分Bの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベへニル(メタ)アクリレートが挙げられる。残余部分がシクロアルキル基である成分Bの例としては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ-ト、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。残余部分がアリール基である成分Bの例としては、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0026】
上述した中では、イソボニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよびn-オクチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種類以上が好ましく、イソボニルアクリレート、ステアリルアクリレートおよびn-オクチルアクリレートからなる群より選択される1種類以上がより好ましく、イソボニルアクリレートおよびステアリルアクリレートからなる群より選択される1種類以上がさらに好ましい。特に、成分Bとしてイソボニルアクリレートおよび/またはステアリルアクリレートを採用すると、水分バリア性に優れ、透明性および硬化に伴う収縮を低減できる。
【0027】
[2.2.成分Bの性質]
成分Bは、疎水性である。疎水性である成分Bの極性は、成分Aの極性と同程度であるため、硬化物の透明性が向上すると考えられる。また、成分Bが疎水性であることは、硬化物の水分バリア性の向上にも寄与すると考えられる。「成分Bが疎水性である」とは、成分Bの残余部分に親水性基が含まれていないことを意味する。親水性基に関する説明は、[1.2]節の通りである。
【0028】
成分Bは、モノマーである。一般的に、成分Bの分子量は、ポリマーより小さい。成分Bの分子量は、例えば、600以下または400以下でありうる。
【0029】
成分Bをホモポリマーにしたときのガラス転移温度(Tg)は、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。このような成分Bを配合すると、硬化物のタックが軽減される傾向にある。ガラス転移温度は、ホモポリマー内部の回転自由度が小さいほど高くなる傾向にある。したがって、成分Bの残余部分が剛直な構造であれば、ホモポリマーのガラス転移温度が向上する傾向にある。
【0030】
ホモポリマーにしたときのガラス転移温度が0℃以上である成分Bの例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ-ト、t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0031】
〔3.成分C:疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を2個有するモノマー〕
成分Cは、疎水性かつ(メタ)アクリロイル基を2個有するモノマーである。成分Cは、成分Aおよび成分Bとともに、活性エネルギー線の照射をトリガーとして架橋ネットワークを形成し、硬化性組成物を硬化させる。成分Cは、1種類のモノマーのみからなってもよいし、2種類以上のモノマーを含んでいてもよい。
【0032】
[3.1.成分Cの構造]
一実施形態において、成分Cは、下記式(3)で表される。すなわち、2つの(メタ)アクリロイル基が中間部分と結合している。式中、中間部分の構造は、炭化水素基である。炭化水素基の例としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。(メタ)アクリロイル基の構造は、[1.1]節に記載の通りである。
式(3) ((メタ)アクリロイル基)-(中間部分)-((メタ)アクリロイル基)
【0033】
式(3)で表される成分Cの具体例としては、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
上述した中では、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが好ましく、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートがより好ましい。
【0035】
[3.2.成分Cの性質]
成分Cは、疎水性である。疎水性である成分Cの極性は、成分Aの極性と同程度であるため、硬化物の透明性が向上すると考えられる。また、成分Cが疎水性であることは、硬化物の水分バリア性の向上にも寄与すると考えられる。「成分Cが疎水性である」とは、成分Cの中間部分に親水性基が含まれていないことを意味する。親水性基に関する説明は、[1.2]節の通りである。
【0036】
成分Cは、モノマーである。一般的に、成分Cの分子量は、ポリマーより小さい。成分Cの分子量は、例えば、600以下または400以下でありうる。
【0037】
成分Cをホモポリマーにしたときのガラス転移温度(Tg)は、0℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。このような成分Cを配合すると、硬化物のタックが軽減される傾向にある。ガラス転移温度は、ホモポリマー内部の回転自由度が小さいほど高くなる傾向にある。したがって、成分Cの中間部分が剛直な構造であれば、ホモポリマーのガラス転移温度が向上する傾向にある。
【0038】
ホモポリマーにしたときのガラス転移温度が0℃以上である成分Cの例としては、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0039】
〔4.成分D:光ラジカル重合開始剤〕
成分Dは、光ラジカル重合開始剤(以下、単に「開始剤」と称する場合がある)である。光ラジカル重合剤は、活性エネルギー線(紫外線、可視光線など)の照射により、ラジカルを発生させる。発生したラジカルがトリガーとなって(メタ)アクリロイル基の間で架橋反応が進行し、硬化性組成物が硬化する。成分Dは、1種類の開始剤のみからなってもよいし、2種類以上の開始剤を含んでいてもよい。
【0040】
成分Dの例としては、芳香族ケトン型開始剤(α-ヒドロキシケトン型開始剤、α-アミノケトン型開始剤など)、アシルホスフィンオキサイド型開始剤、オキシムエステル型開始剤が挙げられる。これらのうちでは、α-ヒドロキシケトン型開始剤が好ましい。α-ヒドロキシケトン型開始剤を使用すると、開始剤による着色がなく、硬化物の透明性を維持できる。また、硬化性が良好であるため、タックが低減される傾向にある。
【0041】
α-ヒドロキシケトン型開始剤の例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンが挙げられる。これらの中では、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトンがより好ましい。
【0042】
〔5.成分E:レベリング剤〕
成分Eは、レベリング剤である。レベリング剤は、硬化物の表面を平滑にする機能を有する物質であればよく、レベリング剤として販売されている必要はない。レベリング剤は、表面調整剤または平滑化剤とも称される。成分Eは、1種類のレベリング剤のみからなってもよいし、2種類以上のレベリング剤を含んでいてもよい。また、成分Eは任意成分であるので、硬化性組成物に含まれていなくてもよい。
【0043】
成分Eの例としては、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、変性ポリエーテル系レベリング剤、表面活性ポリマー系レベリング剤が挙げられる。これらの中では、透明性の高い硬化物が得られることから、アクリル系レベリング剤およびシリコーン系レベリング剤からなる群より選択される1つ以上が好ましい。アクリル系レベリング剤の例としては、アクリレートポリマーおよびアクリレートコポリマーが挙げられる。シリコーン系レベリング剤の例としては、ポリジメチルシロキサン、変性ポリジメチルシロキサン、シリコーン、変性シリコーンが挙げられる。
【0044】
〔6.追加成分〕
硬化性組成物は、上述した成分A~E以外の追加成分を含んでいてもよい。このような追加成分の具体例および好適な含有量は、当業者において周知である。追加成分の例としては、光増感剤、湿潤剤、接着促進剤、充填剤、チキソ性付与剤、シランカップリング剤、溶媒、着色剤、安定剤、消泡剤、スリップ剤が挙げられる。
【0045】
〔7.硬化性組成物の組成〕
硬化性組成物において、成分Aの含有量は、成分Bおよび成分Cの合計含有量よりも多い。このような組成比とすることにより、硬化性組成物の接着性が向上すると考えられる。一実施形態において、「成分Aの含有量-(成分Bの含有量+成分Cの含有量)」の値は、0を超え50以下である。
【0046】
硬化性組成物において、「成分Bの含有量/成分Cの含有量」の値の下限は、0.5以上であり、0.7以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。硬化性組成物において、「成分Bの含有量/成分Cの含有量」の値の上限は、4.0以下であり、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましい。このような組成比とすることにより、硬化性組成物の接着性が向上すると考えられる。
【0047】
硬化性組成物の全重量を100重量%とすると、成分Aの含有量の下限は、40重量%以上が好ましく、45重量%以上がより好ましい。成分Aの含有量の上限は、70重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましい。
【0048】
硬化性組成物の全重量を100重量%とすると、成分Bの含有量の下限は、10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。成分Bの含有量の上限は、40重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。ただし、成分Bの含有量は成分Aの含有量よりも少ない。
【0049】
硬化性組成物の全重量を100重量%とすると、成分Cの含有量の下限は、10重量%以上が好ましく、11重量%以上がより好ましい。成分Cの含有量の上限は、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
【0050】
硬化性組成物の全重量を100重量%とすると、成分Dの含有量の下限は、0.3重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。成分Dの含有量の上限は、10重量%以下が好ましく、8重量%以下がより好ましい。
【0051】
硬化性組成物の全重量を100重量%とすると、成分Eの含有量の下限は、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。成分Eの含有量の上限は、3重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましい。
【0052】
〔8.硬化物およびその用途〕
本発明の一態様に係る硬化物は、上述の硬化性組成物を硬化させてなる。硬化性組成物に活性エネルギー線(紫外線、可視光線など)を照射すると、(メタ)アクリロイル基の間で架橋反応が進行し、硬化物が得られる。
【0053】
硬化物は、水分バリア性および透明性が高く、タックおよび硬化に伴う収縮が低減されているため、半導体デバイス(特に、有機半導体デバイス)の部材(封止剤など)として好適に用いられる。半導体デバイスの例としては、LED、OLED(有機EL)、QLEDが挙げられる。より具体的な例としては、フレキシブルOLED、透明OLED、フレキシブルかつ透明なOLED、ミニLED、マイクロLED、マイクロOLEDが挙げられる。
【0054】
水分バリア性に関して、硬化物の水蒸気透過度(WVTR)は、80g/m・day未満が好ましく、40g/m・day未満がより好ましい。WVTRの具体的な測定方法は、実施例に記載の通りである。
【0055】
透明性に関して、厚みが100μmのときの硬化物のヘーズは、0.8%未満が好ましく、0.5%未満がより好ましい。ヘーズの測定方法は、実施例に記載の通りである。
【0056】
硬化に伴う収縮に関して、ガラス板の所定の領域に塗布した硬化性組成物を硬化させた際のガラス板の反り量は、10mm未満が好ましく、5mm未満がより好ましい。反り量の測定方法は、実施例に記載の通りである。
【0057】
接着性に関して、硬化物に引張試験を課した際の破断時応力は、100N/cm以上が好ましく、300N/cm以上がより好ましい。引張試験の方法は、実施例に記載の通りである。
【0058】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態に開示されている技術的手段を適宜組合せて得られる実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0059】
〔材料〕
実施例および比較例で使用した材料は、下記の通りである。
●成分A
・ポリマー1:CN9014(Sartomer、水添ポリブタジエン主鎖、Mw:23,000、ポリマー1のみを硬化させてなる硬化物のTg:-41℃)
・ポリマー2:TEAI-1000(日本曹達株式会社、水添ポリブタジエン主鎖、Mn:2,000、ポリマー2のみを硬化させてなる硬化物のTg:-14℃)
・ポリマー3:TE-2000(日本曹達株式会社、ポリブタジエン主鎖、Mn:2,500)
・ポリマー4:UC-102M(株式会社クラレ、イソプレン主鎖、Mn:17,000、ポリマー4のみを硬化させてなる硬化物のTg:-60℃)
●成分A以外のポリマー
・ポリマー5:ARUFON UP-1110(東亞合成株式会社、アクリル主鎖((メタ)アクリロイル基を有していない)、Mw:2,500、ホモポリマーのTg:-64℃)
●成分B
・1官能モノマー1:IBOA-B(ダイセル・オルネクス株式会社、イソボルニルアクリレート、ホモポリマーのTg:97℃)
・1官能モノマー2:ライトアクリレートS-A(共栄社化学株式会社、ステアリルアクリレート、ホモポリマーのTg:30℃)
・1官能モノマー3:NOAA(大阪有機化学工業株式会社、n-オクチルアクリレート、ホモポリマーのTg:-65℃)
●成分B以外の1官能モノマー
・1官能モノマー4:ACMO(KJケミカルズ株式会社、アクリロイルモルフォリン(高極性モノマー))
●成分C
・2官能モノマー1:A-DCP(新中村化学工業株式会社、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ホモポリマーのTg:186℃)
●成分D
・光ラジカル重合開始剤1:Omnirad184(IGM RESINS、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(α-ヒドロキシケトン型開始剤))
●成分E
・レベリング剤1:UVX-35(楠本化成株式会社、アクリル共重合体)
・レベリング剤2:L-1983N(楠本化成株式会社、アクリル共重合体)
・レベリング剤3:BYK-UV3500(BYK、アクリル基含有変性ポリジメチルシリコーン)
【0060】
〔評価方法〕
実施例および比較例に係る硬化性組成物から得られた硬化物の性質を、下記の通り評価した。
【0061】
(1)水分バリア性
サンプルの水蒸気透過度(WVTR)をカップ法により測定し、水分バリア性を評価した。WVTRが小さいほど、水分バリア性が高い。具体的な測定手順は、下記の通りである。
1. 剥離シート上に硬化性組成物を展延し、1Jの紫外線を照射した。紫外線の照射には、メタルハライドランプ(株式会社たけでん)を使用した(以下同様)。このようにして、厚さ:100μm、直径:7cmのシート状の硬化物を得た。
2. アルミニウム製のカップに7gの塩化カルシウム(キシダ化学株式会社)を入れた。カップの開口部にシート状硬化物およびOリングを重ね、溶融したパラフィンで周囲を密封した。シート状硬化物の透過部は、直径6cmの円であった。
3. 温度:40℃、相対湿度:90%の条件にて、24時間静置した。
4. 重量の増加分に基づいて、下記式によりサンプルのWVTRを算出した。
WVTR(g/m・day)=増加した重量(g)÷{0.03×0.03×3.14(m)×1(day)}
【0062】
[評価基準]
・++:WVTRが40g/m・day未満
・+ :WVTRが40g/m・day以上、80g/m・day未満
・- :WVTRが80g/m・day以上
【0063】
(2)透明性
サンプルのヘーズを測定し、透明性を評価した。ヘーズが小さいほど、透明性が高い。具体的な測定手順は、下記の通りである。
1. 硬化性組成物をスライドガラス上に滴下した。その上から、もう1枚のスライドガラスを重ね、硬化性組成物の厚さが100μmとなるように貼り合せた。
2. 1Jの紫外線を照射して、硬化性組成物を硬化させた。
3. JIS K 7361-1に基づいて、サンプルのヘーズを測定した。測定は、室温(25℃)にて実施した。測定には、ヘーズメーター(HAZE METER NDH-5000、日本電色工業株式会社)を用いた。
【0064】
[評価基準]
・++:ヘーズが0.5%未満
・+ :ヘーズが0.5%以上、0.8%未満
・- :ヘーズが0.8%以上
【0065】
(3)タックの低減
訓練された官能パネルにより、サンプルのタックを評価した。具体的には、(4)硬化に伴う収縮で作製した硬化物の表面に指で軽く触れ、タックを評価した。
【0066】
[評価基準]
・++:硬化物が指に貼りつかない
・+ :硬化物が指に貼りつくが、すぐに離れる
・- :硬化物が指に貼りついたまま離れない
【0067】
(4)硬化に伴う収縮
サンプルの反り量を測定し、硬化性組成物を硬化させた際の収縮を評価した。反り量が小さいほど、硬化に伴う収縮が小さいと言える。具体的な測定手順は、下記の通りである。
1. 1.0gの硬化性組成物を、ガラス板(150mm×10mm×0.4mm)の片面に平滑に塗布した。塗布した箇所の寸法は、幅:10mm×長さ:120mmであった。
2. 1Jの紫外線を照射して、硬化性組成物を硬化させた。
3. 室温(25℃)にて1時間放冷させた。
4. ガラスの反り量(mm)を物差しで測定した。
【0068】
[評価基準]
・++:反り量が5mm未満
・+ :反り量が5mm以上、10mm未満
・- :反り量が10mm以上
【0069】
(5)塗布時の平滑性
サンプルの反り量測定の工程1において、塗布された硬化性組成物の表面形状を目視にて確認した。
【0070】
[評価基準]
・++:塗布後1分以内に平滑化する
・+ :塗布後10分以内に平滑化する
【0071】
(6)接着力
硬化性組成物により貼り合せたサンプルの引張せん断接着強さを測定し、接着力を評価した。引張せん断接着強さが大きいほど、接着性が高い。具体的な測定手順は、下記の通りである。
1. 2枚のスライドガラスの間に硬化性組成物を塗布し(直径1cm、厚さ20μm)、紫外線照射により硬化させた。
2. 室温にて引張せん断試験を課した。引張せん断試験には、オートグラフ(AGS-H 500N、株式会社島津製作所)を使用した。引張速度は5mm/minとし、破断力を測定することにより接着強さを評価した。
【0072】
[評価基準]
・++:接着強さが300N/cm以上
・+ :接着強さが100N/cm以上、300N/cm未満
・- :接着強さが100N/cm未満
【0073】
〔実施例1~10、比較例1~8〕
各材料を、表1に記載の量だけ秤取した。これらの材料を、自転公転ミキサーやスターラーなどを用いて、溶け残りがなくなるまで攪拌した。このようにして、硬化性組成物を得た。
【0074】
【表1】
【0075】
〔結果〕
実施例3では、実施例1よりも成分Aを減らし、成分Bおよび成分Cを増やした。実施例4では、実施例1とは異なり成分Eを配合しなかった。実施例5~7では、実施例1とは異なる成分Aを配合した。実施例8~9では、実施例1とは異なる成分Bを配合した。実施例10では、実施例1とは異なる成分Eを配合した。いずれの実施例に係る硬化性組成物からも、水分バリア性および透明性に優れ、タックおよび硬化に伴う収縮が低減された硬化物が得られた。
【0076】
比較例1では、成分Aを配合しなかったところ、硬化に伴う収縮が大きかった。比較例2では、成分Bを配合しなかったところ、硬化に伴う収縮が大きかった。比較例3では、成分Cを配合しなかったところ、硬化物のタックが大きかった。比較例4では、成分Cを過剰に配合したところ、硬化に伴う収縮が大きかった。比較例5では、成分Aを過少に配合し成分Bを過剰に配合し、成分Bの含有量を成分Aの含有量よりも多くしたところ、硬化物のタックが大きかった。比較例6では、成分Aの代わりに(メタ)アクリロイル基を有さない親水性アクリルポリマーを配合したところ、水分バリア性が低下し、硬化物のタックも大きかった。比較例7では、成分Bの代わりに極性の高い1官能モノマーを配合したところ、硬化物の透明性が低下し、硬化性組成物の平滑性も悪化した。
【0077】
実施例2と実施例9とを比較すると、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が高い(0℃以上である)成分Bを配合した方が、水分バリア性に優れ、硬化物のタックを低減でき、接着強度を向上させられる観点から好ましいことが分かる。実施例2、5~6と実施例7とを比較すると、成分Aの主鎖骨格がポリブタジエンまたは水添ポリブタジエンである方が、水分バリア性および接着強度の観点から好ましいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、半導体デバイスなどに利用できる。