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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149067
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】洗浄水供給装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20231005BHJP
   F16K 11/07 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E03D5/10
F16K11/07 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057423
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嵐 謙次郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆史
(72)【発明者】
【氏名】杉園 達馬
(72)【発明者】
【氏名】和田 晃輝
【テーマコード(参考)】
2D039
3H067
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039CB00
2D039CB01
2D039DB00
2D039EA00
2D039FC03
2D039FD01
3H067AA12
3H067CC32
3H067DD02
3H067DD12
3H067DD32
3H067EA06
3H067EB10
3H067EB12
3H067FF17
3H067GG13
3H067GG21
(57)【要約】
【課題】部品点数を減らしてコストダウンをできる洗浄水供給装置を提供する。
【解決手段】洗浄水供給装置100は、分岐部51と、切替弁52とを備えている。分岐部51は、洗浄水を供給する止水栓9の下流側に配置され、便器給水路28と、便器2以外の他の洗浄器への給水路(33、69)とに分岐されている。切替弁52は、分岐部51に配置され、便器給水路28、及び他の洗浄器への給水路(33、69)の分岐を切替える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を供給する給水口の下流側に配置され、便器への給水路と、前記便器以外の他の洗浄器への給水路とに分岐された分岐部と、
前記分岐部に配置され、前記便器への給水路、及び前記他の洗浄器への給水路の分岐を切替える切替弁と、
を備えた、
洗浄水供給装置。
【請求項2】
前記他の洗浄器への給水路は、局部洗浄装置への給水路、及び手洗い器への給水路を含んでいる、
請求項1に記載の洗浄水供給装置。
【請求項3】
前記切替弁は、前記便器への給水路、及び前記他の洗浄器への給水路への吐水制御も行う、
請求項1又は2に記載の洗浄水供給装置。
【請求項4】
前記切替弁の上流側に配置され、前記切替弁への吐水制御を行う給水弁をさらに備える、
請求項1又は2に記載の洗浄水供給装置。
【請求項5】
前記便器への給水路と、前記他の洗浄器置への給水路とにそれぞれ配置された複数の流量検知部と、
前記複数の流量検知部からの出力に基づいて前記切替弁を制御することで、前記便器への給水と、前記他の洗浄器への給水とをそれぞれ制御する制御部と、をさらに備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄水供給装置。
【請求項6】
前記切替弁は、一つの給水路に給水を行う第1モードと、複数の給水路に給水を行う第2モードとを有している、
請求項1~5のいずれか1項に記載の洗浄水供給装置。
【請求項7】
前記切替弁は、
前記便器への給水路、前記局部洗浄装置への給水路、及び前記手洗い器への給水路にそれぞれ接続された第1流出ポート、第2流出ポート及び第3流出ポートと、
前記第1流出ポート、前記第2流出ポート、及び前記第3流出ポートの各々を給水状態と非給水状態との間で切替えるための弁体と、
前記弁体を駆動する駆動部と、を有しており、
前記弁体は、前記第1流出ポートのみを給水状態にする第1位置と、前記第2流出ポートのみを給水状態にする第2位置と、前記第3流出ポートのみを給水状態にする第3位置と、の間で移動できる、
請求項2に記載の洗浄水供給装置。
【請求項8】
前記弁体は、前記第1流出ポート、前記第2流出ポート、及び前記第3流出ポートの全てを非給水状態にする第4位置にも移動できる、
請求項7に記載の洗浄水供給装置。
【請求項9】
前記弁体は、前記第1流出ポート、前記第2流出ポート、及び前記第3流出ポートのうち少なくとも2つを同時に給水状態にする第5位置にも移動できる、
請求項8に記載の洗浄水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大便器に水を供給する洗浄水供給装置において、給水栓から便器、温水洗浄機能(お尻/ビデ)、手洗いのそれぞれに分岐して水を供給するのが一般的である。
【0003】
特許文献1には、便器のリム側給水とジェット側給水を内蔵の切替弁によって分岐している従来の水洗大便器(洗浄水供給装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-156201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術ではホース引き回しが煩雑になったり、止水弁が各水路に必要になるので部品点数が増えたりして、コストやサイズの点で問題があった。
【0006】
特許文献1に記載の洗浄水供給装置では、複数の洗浄器に洗浄水を供給する機構の部品を十分に減らすための構造が開示されておらず、したがってコストやサイズ問題を解消できていない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品点数を減らしてコストダウンできる洗浄水供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る洗浄水供給装置は、分岐部と、切替弁とを備えている。前記分岐部は、洗浄水を供給する給水口の下流側に配置され、便器への給水路と、前記便器以外の他の洗浄器への給水路とに分岐されている。前記切替弁は、前記分岐部に配置され、前記便器への給水路、及び前記他の洗浄器への給水路の分岐を切替える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る洗浄水供給装置によれば、部品点数を減らしてコストダウンをできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る洗浄水供給装置を採用したトイレの斜視図である。
図2図2は、同上の便器の鉛直面の断面図である。
図3図3は、同上の洗浄水供給装置の洗浄水供給経路及び制御構成を示すブロック図である。
図4図4は、同上の洗浄水供給装置の切替弁の斜視図である。
図5図5は、同上の切替弁の断面図である。
図6図6は、同上の切替弁の外側筒体の斜視図である。
図7図7は、同上の切替弁の内側筒体の斜視図である。
図8図8は、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す展開図である。
図9図9は、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す展開図である。
図10図10は、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す展開図である。
図11図11は、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す展開図である。
図12図12は、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す展開図である。
図13図13Aは、便器への洗浄水供給開始動作を示す、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す模式図である。図13Bは、便器への洗浄水供給開始動作を示す、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す模式図である。図13Cは、便器への洗浄水供給開始動作を示す、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す模式図である。
図14図14は、便器への洗浄水供給開始動作を示す、流路開口面積に対する流量の関係を示すグラフである。
図15図15Aは、便器への洗浄水供給停止動作を示す、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す模式図である。図15Bは、便器への洗浄水供給停止動作を示す、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す模式図である。図15Cは、便器への洗浄水供給停止動作を示す、同上の外側筒体に対する同上の内側筒体の一動作位置を示す模式図である。
図16図16は、便器への洗浄水供給停止動作を示す、流路開口面積に対する流量の関係を示すグラフである。
図17図17は、本開示の第2実施形態に係る洗浄水供給装置の洗浄水供給経路及び制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
(1)トイレシステム
以下、本発明の第1実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0012】
本開示に係る洗浄水供給装置100は、トイレシステム1において複数の洗浄器に洗浄水を供給する装置である。
【0013】
トイレシステム1は、主に、便器2と、局部洗浄装置3と、手洗い器4と、洗浄水供給装置100とを有している。
【0014】
(1-1)便器
便器2は、図1及び図2に示すように、トイレルームに設置されている。
【0015】
便器2は、便器本体20を有している。便器本体20は、便器2の外郭を形成する部分である。便器本体20は、図2に示すように、汚物を受けるボウル21と、排水トラップ23と、これらを内部に収容する外郭体24とを有している。
【0016】
ボウル21は、椀状に形成されている。ボウル21の内面は、下方ほど小径となるように水平面に対して傾斜している。ボウル21の下端部には、筒状排水部22が形成されている。筒状排水部22には開口部221が形成されており、この開口部221はボウル21の内部に通じている。筒状排水部22には、排水トラップ23が接続されている。
【0017】
排水トラップ23は、ボウル21内において封水を形成することができるように構成されており、封水を形成することで、汚臭や害虫が排水管から室内側に侵入するのを防ぐことができる。本実施形態の排水トラップ23は、可とう性を有するトラップ筒231と、トラップ筒231の先端部を上方と下方との間で移動させる駆動装置232と、トラップ筒231を内部に収容するケース部233とを備えている。トラップ筒231の先端部が上方に向く状態でボウル21内に給水されると封水が形成され、この状態からトラップ筒231の先端部を下方に向く状態に切り替えると、ボウル21内に貯留された水を排水管に排水できる。
【0018】
外郭体24は、便器本体20の外郭を形成する。外郭体24は、ボウル21を支持するスカート部25と、便器本体20の後部を形成する後カバー部26と、便器本体20の後部上面を形成する機器収容部27とを備えている。機器収容部27には、局部洗浄装置3と、制御部81と、電源部83とが収容されている。電源部83は、便器2においては、局部洗浄装置3のノズル駆動部32、制御部81、排水トラップ23の駆動装置232及び切替弁52(図3参照)などに電力を供給する。
【0019】
便器2は、さらに、後述するように、ボウル21内への給水を行うための便器給水路28(図3参照)を有している。
【0020】
(1-2)局部洗浄装置
局部洗浄装置3は、便座に着座した状態のユーザの局部を洗浄する装置である。局部洗浄装置3は、洗浄水を吐出する洗浄ノズル31と、洗浄ノズル31を駆動するノズル駆動部32とを備えている。洗浄ノズル31には、ノズル給水路33が接続されている。
【0021】
ノズル駆動部32は、洗浄ノズル31を駆動し、洗浄ノズル31をボウル21上に位置する状態(突出状態)と、ボウル21上から退避した状態(非突出状態)とのいずれかに切り替えることができる。ノズル駆動部32は、例えば、駆動源としてのモータ(図示せず)と、モータにより回転するピニオン321とを備えている。ピニオン321は、洗浄ノズル31に形成されたラック部311に噛み合っており、ピニオン321が回転することで洗浄ノズル31を移動させることができる。
【0022】
(1-3)手洗い器
手洗い器4は、便器2の側方にある壁に設置されており、便器2とは互いに離れて設置されている。手洗い器4は、手洗いボウル61と、水栓62と、カバー部65とを備えている。
【0023】
カバー部65は、手洗いボウル61の下方に配置されており、排水路(図示せず)のトラップ部(図示せず)を覆う。
【0024】
手洗いボウル61は、水栓62から吐出された水を受けることができるように構成されている。手洗いボウル61は、底部に排水路(図示せず)が接続されている。
【0025】
水栓62は、手洗いボウル61の上方に配置されている。水栓62は、水を吐出する吐出口621を有している。吐出口621は、後述するように、手洗い側給水路69(図3参照)に接続されている。
【0026】
なお、便器と手洗い器が互いに離れていない構成でもよい。
【0027】
(2)洗浄水供給装置
(2-1)基本構成
洗浄水供給装置100は、図3に示すように、便器2、局部洗浄装置3、及び手洗い器4に洗浄水を供給する装置である。
【0028】
洗浄水供給装置100は、主に、分岐部51と、切替弁52とを有している。洗浄水供給装置100には、止水栓9(給水口の一例)から洗浄水が供給される。止水栓9は、図1に示すように、トイレルームの壁に取り付けられており、図示しない水道管に接続されている。
【0029】
分岐部51は、止水栓9の下流側に配置され、便器給水路28と、ノズル給水路33と、手洗い側給水路69とに分岐されている。
【0030】
切替弁52は、電動弁である。切替弁52は、分岐部51に配置され便器給水路28と、ノズル給水路33と、手洗い側給水路69の分岐を切替える。このように切替弁によって複数の給水路を切り替えることができるので、部品点数が少なくなる。その結果、洗浄水供給装置100のサイズやコストを低減できる。
【0031】
なお、止水栓は床に設けられていてもよい。
【0032】
(2-2)切替弁
切替弁52は、図4図7に示すように、円筒バルブであり、外側筒体(弁室)201と、内側筒体(弁体)202と、モータ203とを有している。
【0033】
外側筒体201は、図4図6に示すように、第1流出ポート91、第2流出ポート92及び第3流出ポート93と、を有している。第1流出ポート91、第2流出ポート92及び第3流出ポート93は、便器給水路28と、ノズル給水路33と、手洗い側給水路69とにそれぞれ接続されている。第1流出ポート91は、図6及び図8に示すように、比較的大面積の流路であり、外側筒体201の上下方向中間に設けられている。第2流出ポート92は、図6及び図8に示すように、比較的小面積の流路であり、外側筒体201の上側部分に設けられている。第3流出ポート93は、図6及び図8に示すように、比較的小面積の流路であり、外側筒体201の下側部分に設けられている。なお、第1流出ポート91の流路は断面長方形状又は正方形状であり、第2流出ポート92及び第3流出ポート93の流路は断面円形状である。
【0034】
内側筒体202は、図5に示すように、外側筒体201内に配置されている。内側筒体202は、第1流出ポート91、第2流出ポート92、及び第3流出ポート93の各々を給水状態と非給水状態との間で切替えるための部材である。内側筒体202の下部は開口孔を有しており、図5に示すように、止水栓9から給水される外側筒体201の流入ポート94が設けられている。
【0035】
内側筒体202には、図7及び図8に示すように、第1便器供給用孔301と、第2便器供給用孔302と、ノズル供給用孔303と、第1手洗い供給用孔304と、第2手洗い供給用孔305とが形成されている。
【0036】
第1便器供給用孔301及び手洗い供給用孔305は、内側筒体202の上下方向同じ位置において周方向に離れて設けられている。第1便器供給用孔301と第2便器供給用孔302は、第1流出ポート91に対応するものであり、内側筒体202の上下方向中間に設けられている。第1便器供給用孔301と第2便器供給用孔302は周方向に離れている。第1便器供給用孔301は、第1流出ポート91と同形状・同サイズの第1部分306と、第2便器供給用孔302に向かって突出する第2部分307とを有している。第2部分307は、先に行くにしたがって幅(上下方向寸法)が短くなっている。第2便器供給用孔302は、第1流出ポート91と同面積の第1部分308と、第1便器供給用孔301に向かって突出する第2部分309とを有している。第2部分309は、先に行くにしたがって幅(上下方向寸法)が短くなっている。
【0037】
ノズル供給用孔303は、第2流出ポート92に対応するものであり、内側筒体202の上側部分に設けられている。ノズル供給用孔303は、第2流出ポート92と同形状・同サイズである。
【0038】
第1手洗い供給用孔304及び第2手洗い供給用孔305は、内側筒体202の上下方向の同じ位置において周方向に離れて設けられている。第1手洗い供給用孔304は、第3流出ポート93に対応するものであり、内側筒体202の下側部分に設けられている。第1手洗い供給用孔304は、第3流出ポート93と同形状・同サイズである。第2手洗い供給用孔305は、第3流出ポート93に対応するものであり、内側筒体202の下側部分に設けられている。第2手洗い供給用孔305は、上下方向寸法は第3流出ポート93と同じであるが、周方向寸法は第3流出ポート93より長く延びている。
【0039】
モータ203(駆動部の一例)は、内側筒体202を回転駆動する。具体的には、図4に示すように、モータ203は、外側筒体201及び内側筒体202の上側に配置され、内側筒体202から上方に伸びる軸204に対して動力伝達可能に接続されている。
【0040】
内側筒体202は、後述するように、外側筒体201内で回動して、第1流出ポート91のみを給水状態にする第1位置と、第2流出ポート92のみを給水状態にする第2位置と、第3流出ポート93のみを給水状態にする第3位置と、の間で回動できる。つまり、第1~第3流出ポート91~93が順次流入ポート94に連通することで、洗浄水の供給先が順次切り替わる。
【0041】
(2-3)制御構成
洗浄水供給装置5は、さらに、図3に示すように、制御部81と、操作部82とを有している。制御部81は、例えば、制御基板に実装されたマイクロプロセッサを主構成要素として構成されている。制御部81は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0042】
洗浄水供給装置5は、さらに、図3に示すように、第1流量検知部71と、第2流量検知部72と、第3流量検知部73とを有している。第1流量検知部71、第2流量検知部72、及び第3流量検知部73は、それぞれ、便器給水路28と、ノズル給水路33と、手洗い側給水路69に配置されている。
【0043】
制御部81は、切替弁52を制御することで、便器給水路28と、ノズル給水路33と、手洗い側給水路69との間で分岐を切替えさせる。さらに、制御部81は、第1流量検知部71、第2流量検知部72、及び第3流量検知部73からの出力に基づいて、切替弁52を制御することで、便器給水路28と、ノズル給水路33と、手洗い側給水路69の流量調整を行う。なお、制御部81は、ノズル駆動部32も制御する。
【0044】
制御部81は、吐水する流量を好みに合わせて設定可能な流量設定部(図示せず)を有している。流量設定部は、目標の流量を吐出する目標流量設定値を保持している。流量設定部は、吐水流量の大小や変動を検出することで、流量を目標流量に制御する。
【0045】
流量設定部は、流量が急激に変化した際に過大にならないよう、上限設定値を保持して、必要に応じて異常検知を行う。具体的には、流量が上限設定値に到達した場合は、流路がさらに開く方向に内側筒体202を回動させないようにする。この場合、異常報知が行われてもよい。さらには、流量設定部は、流路を閉じる方向に内側筒体202を回転させることで、給水を止めてもよい。
【0046】
流量設定部は、各使用環境の供給流量の平均値を算出し、平均から大きく乖離した流量値を検出した場合は、所定以上の開口面積の変更を行わない。これにより、再び元の水圧に戻った時に大きな流量変化が生じることを防ぐことができる。
【0047】
操作部82は、ユーザから制御部81に動作指示を送信する装置である。操作部82は、操作ボタン、タッチパネル、表示部などを有している。
【0048】
(2-4)切替弁の基本動作
切替弁52は、後述するように、洗浄水の止水・吐水を切り替える機能を有している。つまり、切替弁52は、便器給水路28と、ノズル給水路33と、手洗い側給水路69への吐水制御も行う。
【0049】
切替弁52は、便器給水路28と、ノズル給水路33と、手洗い側給水路69との各々に給水を行う第1モードと、便器給水路28と手洗い側給水路69とに給水を行う第2モードとを有している。第2モードでは、内側筒体202は、第1流出ポート91及び第3流出ポート93を同時に給水状態にする第5位置に移動する。
【0050】
(2-5)切替弁の詳細動作
図8図11を用いて、切替弁52の詳細動作を説明する。図8図11は、外側筒体201に対する内側筒体202の一動作位置を示す展開図である。より詳細には、図8図11では、外側筒体201及び内側筒体202を平面状に展開したうえで重ねており、外側筒体210の実線で描いた第1流出ポート91、第2流出ポート92、及び第3流出ポート93に対して内側筒体202の破線で描いた第1便器供給用孔301、第2便器供給用孔302、ノズル供給用孔303、第1手洗い供給用孔304及び第2手洗い供給用孔305に対して周方向に移動した場合の各状態が示されている。
【0051】
図8に示す状態では、外側筒体201の第1流出ポート91、第2流出ポート92、及び第3流出ポート93は全てが閉じられている。つまり、内側筒体202は、第1流出ポート91、第2流出ポート92、及び第3流出ポート93の全てを非給水状態とする第4位置にある。なお、次に給水を開始する流出ポートに対しては、対応する孔が周方向に近接する位置にあることが好ましい。給水開始を早めることができるからである。
【0052】
例えば図8に示す状態から内側筒体202が所定角度回動すると(図において右側に移動すると)、図9に示す状態になる。図9では、第1手洗い供給用孔304が第3流出ポート93に重なっており、これにより手洗い側給水路69に吐水が行われる。
【0053】
例えば図9に示す状態から内側筒体202が所定角度回動すると(図において右側に移動すると)、図10に示す状態になる。図10では、第1便器供給用孔301が第1流出ポート91に重なっており、これにより便器給水路28に吐水が行われる。なお、図10では、第1便器供給用孔301の第2部分307のみが第1流出ポート91に重なっている。
【0054】
例えば図10に示す状態から内側筒体202が所定角度回動すると(図において右側に移動すると)、図11に示す状態になる。図11では、ノズル供給用孔303が第2流出ポート92に重なっており、これによりノズル給水路33に吐水が行われる。
【0055】
例えば図11に示す状態から内側筒体202が所定角度回動すると(図において右側に移動する)と、図12に示す状態になる。図12では、第2便器供給用孔302が第1流出ポート91に重なっており、同時に、第2手洗い供給用孔305が第3流出ポート93に重なっている。これにより、便器給水路28に吐水が行われると同時に、手洗い側給水路69に吐水が行われる。なお、図12では、第2便器供給用孔302の第2部分309のみが第1流出ポート91に重なっている。なお、前述のように第1便器供給用孔301及び第2便器供給用孔302は、開口幅が小さい第2部分307及び第2部分309をそれぞれ有している。したがって、回転角に対する流路面積の変化量が小さく抑えられるので、流量増減の微調整が容易である。
【0056】
(2-6)第1流出ポートの開動作
図13及び図14を用いて、第1便器供給用孔301が第1流出ポート91に重なることで、第1流出ポート91を流入ポート94に連通する動作を説明する。
【0057】
図13Aでは、第1便器供給用孔301は第1流出ポート91から離れた待機位置にあり、第1流出ポート91は流入ポート94に連通していない。図13Aは、図14のT0に対応している。
【0058】
図13Aから内側筒体202が回動して、第1便器供給用孔301がさらに図右側に移動すると、図13Bの状態になる。図13Bでは、第1便器供給用孔301の一部(第1便器供給用孔301の第2部分307の先端)が第1流出ポート91の端部に重なっている。したがって、第1流出ポート91は小面積の流路によって流入ポート94に連通されている。図13Bは、図14のT1に対応している。
【0059】
図13Bから内側筒体202が回動して、第1便器供給用孔301がさらに図において右側に移動すると、図13Cの状態になる。図13Cでは、内側筒体202が回動して、第1便器供給用孔301の第1部分306が第1流出ポート91に重なっている。したがって、第1流出ポート91は全開状態で流入ポート94に連通されている。図13Cは、図14のT2に対応している。
【0060】
上記に述べたように、便器洗浄開始動作は、最初に切替弁52における流路開口面積が小の状態から開始される。したがって、洗浄水による衝撃音を抑える又はなくす事ができる。
【0061】
なお、上記の給水開始時は、図13Aの待機位置から図13Bの小面積開口位置に至るまでの内側筒体202の回動速度が、図13Bの小面積開口位置から図13Cの吐水位置までの内側筒体202の回動速度より速いことが好ましい。ユーザが操作してから便器洗浄動作が短時間で開始されるからである。
【0062】
(2-7)第1流出ポートの閉動作
図15及び図16を用いて、第1便器供給用孔301が第1流出ポート91から離れることで第1流出ポート91を流入ポート94から遮断する動作を説明する。
【0063】
図15Aでは、第1便器供給用孔301の第1部分306が第1流出ポート91に重なっている。したがって、第1流出ポート91は全開状態で流入ポート94に連通されている。図15Aは、図16のT4に対応している。
【0064】
図15Aから内側筒体202が回動して、第1便器供給用孔301が図において左側に移動すると、図15Bの状態になる。図15Bでは、第1便器供給用孔301の第2部分307の先端が第1流出ポート91に重なっている。図15Bは、図16のT5に対応している。
【0065】
図15Bから内側筒体202が回動して、第1便器供給用孔301が図において左側に移動すると、図15Cの状態になる。図15Cでは、第1便器供給用孔301は第1流出ポート91から離れた待機位置にあり、第1流出ポート91は流入ポート94に連通していない。図15Cは、図16のT6に対応している。
【0066】
上記に述べたように、便器洗浄停止動作は、切替弁52における流路開口面積が小の状態で行われる。したがって、洗浄水によるウォーターハンマー現象(水道を止めたときに大きな音が鳴る現象)を抑える又は無くすことができる。
【0067】
止水時は、図15Cの吐水位置から図15Bの開口端部に至るまでの内側筒体202の駆動速度が、図15Bの開口端部から図15Aの待機位置までの内側筒体202の駆動速度より遅いことが好ましい。ウォーターハンマー現象を低減できるからである。
【0068】
(第2実施形態)
図17を用いて、本開示の第2実施形態に係る洗浄水供給装置100Aを説明する。なお、第1実施形態との相違点を中心に説明するので、同じ構成には同じ又は対応する符号を付すことで説明を適宜省略する。
【0069】
洗浄水供給装置100Aは、給水弁53をさらに有している。給水弁53は、切替弁52の上流側に配置され、切替弁52への吐水制御を行う。この場合は、切替弁52は吐水制御を行わない。
【0070】
給水弁53が切替弁52に給水を開始するときには、切替弁52において目的とする流出ポートがあらかじめ開いた位置に内側筒体202が待機していることが好ましい。ユーザが操作してから目的の装置に洗浄水が供給開始されるまでの時間が短くなるからである。特に、第2流出ポート92や第3流出ポート93は給水流量が少なく吐止水時に給水路へ急激な水圧変動などの影響が小さいので、あらかじめ開いた状態でも問題が生じにくい。
【0071】
なお、別の例として、給水弁53を開口するタイミングは、当該ポートにおいて設定した流量を吐出する開口面積(例えば、全開時の面積)になる前であってもよい。例えば、の内側筒体202を回動させて、途中の開口面積が全開時の面積の1/10~1/2になったときに、給水弁53を開口してもよい。これにより、ユーザが操作してから当該洗浄器に給水開始されるまでの時間が短くなる。
【0072】
(変形例)
上述の第1実施形態及び第2実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0073】
外側筒体におけるポートの数、サイズ、形状は限定されない。
【0074】
内側筒体における孔の数、サイズ、形状は限定されない。
【0075】
流量検知部は、一部の給水路のみに設けられていてもよいし、全く設けられていなくてもよい。
【0076】
切替弁は、複数の給水路に同時に給水するモードを有していなくてもよい。
【0077】
切替弁は、便器と局部洗浄装置に同時に給水してもよい。
【0078】
切替弁は、電動弁以外でもよく、例えば電磁弁でもよい。
【0079】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0080】
本開示の第1の態様に係る洗浄水供給装置(100、100A)は、分岐部(51)と、切替弁(52)とを備えている。分岐部(51)は、洗浄水を供給する給水口(9)の下流側に配置され、便器(2)への給水路(28)と、便器以外の他の洗浄器(3、4)への給水路(33、69)とに分岐されている。切替弁(52)は、分岐部(51)に配置され、便器(2)への給水路(28)、及び他の洗浄器(3、4)への給水路(33、69)の分岐を切替える。
【0081】
この態様によれば、切替弁(52)によって複数の給水路(28、33、69)を切り替えることができるので、部品点数が少なくなる。その結果、洗浄水供給装置(100)のサイズやコストを低減できる。
【0082】
第2の態様に係る洗浄水供給装置(100、100A)では、第1の態様において、他の洗浄器(3、4)への給水路(33、69)は、局部洗浄装置(3)への給水路(33)、及び手洗い器(4)への給水路(69)を含んでいる。
【0083】
この態様によれば、切替弁(52)によって、便器(2)、局部洗浄装置(3)、手洗い器(4)に洗浄水を分岐供給できる。
【0084】
第3の態様に係る洗浄水供給装置(100、100A)では、第1又は第2の態様において、切替弁(52)は、便器(2)への給水路(28)、及び他の洗浄器(3、4)への給水路(33、69)への吐水制御も行う。
【0085】
この態様によれば、切替弁(52)によって、便器(2)、局部洗浄装置(3)、手洗い器(4)への吐水制御ができる。
【0086】
第4の態様に係る洗浄水供給装置(100A)は、第1又は第2の態様において、切替弁(52)の上流側に配置され、切替弁(52)への吐水制御を行う給水弁(53)をさらに備える。
【0087】
この態様によれば、給水弁(53)によって吐水制御が行われる。
【0088】
第5の態様に係る洗浄水供給装置(100、100A)は、第1~第4の態様のいずれかにおいて、複数の流量検知部(71、72、73)と、制御部(81)と、をさらに備える。複数の流量検知部(71、72、73)は、便器(2)への給水路(28)と、他の洗浄器置(3、4)への給水路(33、69)とにそれぞれ配置されている。制御部(81)は、複数の流量検知部(71、72、73)からの出力に基づいて切替弁(52)を制御することで、便器(2)への給水と、他の洗浄器(3、4)への給水とをそれぞれ制御する。
【0089】
この態様によれば、切替弁(52)によって流量制御が行われる。
【0090】
第6の態様に係る洗浄水供給装置(100、100A)では、第1~第5の態様のいずれかにおいて、切替弁(52)は、一つの給水路に給水を行う第1モードと、複数の給水路に給水を行う第2モードとを有している。
【0091】
この態様によれば、切替弁(52)が第2モードになることで、複数の給水路に同時に給水できる。
【0092】
第7の態様に係る洗浄水供給装置(100、100A)では、第2の態様において、切替弁(52)は、第1流出ポート(91)、第2流出ポート(92)及び第3流出ポート(93)と、弁体(202)と、駆動部(203)と、を有している。第1流出ポート第1流出ポート(91)、第2流出ポート(92)及び第3流出ポート(93)は、便器(2)への給水路(28)、局部洗浄装置(3、4)への給水路(33)、及び手洗い器(4)への給水路(69)にそれぞれ接続されている。弁体(202)は、第1流出ポート(91)、第2流出ポート(92)、及び第3流出ポート(93)の各々を給水状態と非給水状態との間で切替える。駆動部(203)は、弁体(202)を駆動する。弁体(202)は、第1流出ポート(91)のみを給水状態にする第1位置と、第2流出ポート(92)のみを給水状態にする第2位置と、第3流出ポート(93)のみを給水状態にする第3位置と、の間で移動できる。
【0093】
この態様によれば、弁体(202)は駆動部(83)によって駆動される。その結果、弁体(202)は、第1位置において第1流出ポート(91)のみを給水状態にして、第2位置において第2流出ポート(92)のみを給水状態にして、第3位置において第3流出ポート(93)のみを給水状態にする。
【0094】
第8の態様に係る洗浄水供給装置(100、100A)では、第7の態様において、弁体(202)は、第1流出ポート(91)、第2流出ポート(92)、及び第3流出ポート(93)の全てを非給水状態にする第4位置にも移動できる。
【0095】
この態様によれば、弁体(202)は、第4位置において第1流出ポート(91)、第2流出ポート(92)、及び第3流出ポート(93)の全てを非給水状態にする。
【0096】
第9の態様に係る洗浄水供給装置(100、100A)では、第8の態様において、弁体(202)は、第1流出ポート(91)及び第2流出ポート(92)、及び第3流出ポート(93)のうち少なくとも2つを同時に給水状態にする第5位置にも移動できる。
【0097】
この態様によれば、切替弁(52)によって、複数の給水路(28、69)に給水を同時に行うことができる。
【符号の説明】
【0098】
1 :トイレシステム
2 :便器
3 :局部洗浄装置
4 :手洗い器
9 :止水栓
28 :便器給水路
31 :洗浄ノズル
33 :ノズル給水路
51 :分岐部
52 :切替弁
69 :手洗い側給水路
71 :第1流量検知部
72 :第2流量検知部
73 :第3流量検知部
81 :制御部
82 :操作部
91 :第1流出ポート
92 :第2流出ポート
93 :第3流出ポート
94 :流入ポート
100 :洗浄水供給装置
201 :外側筒体
202 :内側筒体
203 :モータ
301 :第1便器供給用孔
302 :第2便器供給用孔
303 :ノズル供給用孔
304 :第1手洗い供給用孔
305 :第2手洗い供給用孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17