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特開2023-149073検知装置、検知装置の製造方法及び検知システムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149073
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】検知装置、検知装置の製造方法及び検知システムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20231005BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20231005BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20231005BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20231005BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L23/30 R
H01L23/28 J
H01L25/08 E
H01L21/56 R
H01L21/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057434
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】早川 悦司
(72)【発明者】
【氏名】中根 健智
【テーマコード(参考)】
4M109
5F047
5F061
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA01
4M109CA21
4M109DA06
5F047AA11
5F047BA21
5F047BB18
5F047BB19
5F061AA01
5F061BA01
5F061CA21
5F061DA06
5F061FA02
(57)【要約】
【課題】モールド樹脂のクラックを抑制することができる検知装置、検知装置の製造方法及び検知システムの製造方法を提供する。
【解決手段】検知装置は、リードフレームと、前記リードフレームの上に設けられた半導体集積回路チップと、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第2面に検知部が設けられ、前記第1面を前記第2面よりも前記リードフレームに近く位置させて前記リードフレームの上方に設けられたセンサチップと、前記リードフレーム、前記半導体集積回路チップ及び前記センサチップを封止するモールド樹脂と、を有し、前記センサチップは、前記半導体集積回路チップに電気的に接続され、前記モールド樹脂には、前記検知部が露出する開口部が形成され、前記第2面に垂直な方向からみたときに、前記開口部の形状は角丸多角形状である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームと、
前記リードフレームの上に設けられた半導体集積回路チップと、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第2面に検知部が設けられ、前記第1面を前記第2面よりも前記リードフレームに近く位置させて前記リードフレームの上方に設けられたセンサチップと、
前記リードフレーム、前記半導体集積回路チップ及び前記センサチップを封止するモールド樹脂と、
を有し、
前記センサチップは、前記半導体集積回路チップに電気的に接続され、
前記モールド樹脂には、前記検知部が露出する開口部が形成され、
前記第2面に垂直な方向からみたときに、前記開口部の形状は角丸多角形状である検知装置。
【請求項2】
前記第2面に垂直な方向からみたときに、
前記開口部の形状は角丸長方形状であり、
弧をなす部分の曲率半径は、互いに平行な二辺の間の距離のうちで最も短い距離の50%未満である請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記曲率半径は25μm以上である請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記互いに平行な二辺の間の距離のうちで最も長い距離は600μm以下である請求項2又は3に記載の検知装置。
【請求項5】
前記センサチップは、前記第1面を前記半導体集積回路チップに対向させて前記半導体集積回路チップの上に設けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項6】
前記リードフレームと前記半導体集積回路チップとの間に設けられ、弾性を有する第1絶縁膜と、
前記半導体集積回路チップと前記センサチップとの間に設けられた第2絶縁膜と、
を有する請求項5に記載の検知装置。
【請求項7】
前記センサチップは、前記半導体集積回路チップと並んで前記リードフレームの上に設けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項8】
前記センサチップは、前記半導体集積回路チップと一体化されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項9】
リードフレームの上に半導体集積回路チップを設け、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第2面に検知部が設けられ、前記検知部を覆う保護層が形成されたセンサチップを、前記第1面を前記第2面よりも前記リードフレームに近く位置させて前記リードフレームの上方に設ける工程と、
金型により前記保護層を押圧しながら前記金型内の空間に樹脂を注入して、前記リードフレーム、前記半導体集積回路チップ及び前記センサチップを封止するモールド樹脂を形成する工程と、
前記モールド樹脂を形成した後に、前記保護層を除去して、前記モールド樹脂に前記検知部が露出する開口部を形成する工程と、
を有し、
前記第2面に垂直な方向からみたときに、前記保護層の形状は角丸多角形状である検知装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2面に垂直な方向からみたときに、
前記開口部の形状は角丸長方形状であり、
弧をなす部分の曲率半径は、互いに平行な二辺の間の距離のうちで最も短い距離の50%未満である請求項9に記載の検知装置の製造方法。
【請求項11】
前記曲率半径は25μm以上である請求項10に記載の検知装置の製造方法。
【請求項12】
前記互いに平行な二辺の間の距離のうちで最も長い距離は600μm以下である請求項10又は11に記載の検知装置の製造方法。
【請求項13】
前記保護層の弾性率は、前記半導体集積回路チップの弾性率及び前記センサチップの弾性率よりも小さい請求項9乃至12のいずれか1項に記載の検知装置の製造方法。
【請求項14】
前記センサチップは、前記第1面を前記半導体集積回路チップに対向させて前記半導体集積回路チップの上に設けられる請求項9乃至13のいずれか1項に記載の検知装置の製造方法。
【請求項15】
前記半導体集積回路チップは第1絶縁膜を介して前記リードフレームの上に設けられ、
前記センサチップは第2絶縁膜を介して前記半導体集積回路チップの上に設けられる請求項14に記載の検知装置の製造方法。
【請求項16】
前記センサチップは、前記半導体集積回路チップと並んで前記リードフレームの上に設けられる請求項9乃至13のいずれか1項に記載の検知装置の製造方法。
【請求項17】
前記センサチップは、前記半導体集積回路チップと一体化されている請求項9乃至13のいずれか1項に記載の検知装置の製造方法。
【請求項18】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検知装置を準備する工程と、
接合材のリフローにより前記検知装置を実装基板の上に実装する工程と、
を有する検知システムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検知装置、検知装置の製造方法及び検知システムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湿度センサや温度センサのように、検知面であるセンサチップ表面を露出する必要のある検知装置においては、検知信号を処理して外部へ出力するために、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)チップと一緒にワンパッケージにされた検知装置が提案されている。近年、検知装置の更なる小型化を図るため、ASICチップの上にセンサチップが設けられ、ASICチップの側方にリード端子が設けられ、これらがモールド樹脂により封止され、センサチップ上のモールド樹脂が開口され、検知面を露出させた検知装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-18979号公報
【特許文献2】特開2020-85498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検知装置は、主に実装基板に実装されて使用され、実装の際には、はんだのリフローが行われる。従来の検知装置では、開口部が小さくなると、リフローの際に開口部を起点とするクラックがモールド樹脂に発生するおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、モールド樹脂のクラックを抑制することができる検知装置、検知装置の製造方法及び検知システムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る検知装置は、リードフレームと、前記リードフレームの上に設けられた半導体集積回路チップと、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第2面に検知部が設けられ、前記第1面を前記第2面よりも前記リードフレームに近く位置させて前記リードフレームの上方に設けられたセンサチップと、前記リードフレーム、前記半導体集積回路チップ及び前記センサチップを封止するモールド樹脂と、を有し、前記センサチップは、前記半導体集積回路チップに電気的に接続され、前記モールド樹脂には、前記検知部が露出する開口部が形成され、前記第2面に垂直な方向からみたときに、前記開口部の形状は角丸多角形状である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、モールド樹脂のクラックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る検知装置の構成を示す断面図である。
図2】第1実施形態における開口部を示す平面図である。
図3】モールド樹脂を除去した状態における検知装置を示す平面図である。
図4】第1実施形態におけるセンサチップの製造方法を示すフローチャート(その1)である。
図5】第1実施形態におけるセンサチップの製造方法を示すフローチャート(その2)である。
図6】第1実施形態におけるセンサチップの製造方法を示す平面図(その1)である。
図7】第1実施形態におけるセンサチップの製造方法を示す平面図(その2)である。
図8】第1実施形態においてセンサチップの製造に用いられる保護層を示す平面図である。
図9】第1実施形態におけるセンサチップの製造方法を示す断面図(その1)である。
図10】第1実施形態におけるセンサチップの製造方法を示す断面図(その2)である。
図11】第1実施形態におけるセンサチップの製造方法を示す断面図(その3)である。
図12】第1実施形態におけるセンサチップの製造方法を示す断面図(その4)である。
図13】第1実施形態に係る検知装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図14】第1実施形態に係る検知装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図15】第1実施形態に係る検知装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図16】第1実施形態に係る検知装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図17】開口部の観察結果を示す模式図である。
図18】第2実施形態においてセンサチップの製造に用いられる保護層を示す平面図である。
図19】第3実施形態に係る検知装置の構成を示す断面図である。
図20】第4実施形態に係る検知装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る検知装置の構成を示す断面図である。
【0011】
第1実施形態に係る検知装置10は、平面形状がほぼ矩形状であって、対向する2組の二辺の一方がX方向に平行であって、他方がY方向に平行である。X方向とY方向とは互いに直交する。また、検知装置10は、X方向及びY方向に直交するZ方向に厚みを有する。なお、検知装置10の平面形状は、矩形状に限られず、円形、楕円、多角形等であってもよい。
【0012】
検知装置10は、第1半導体チップとしてのセンサチップ20と、第2半導体チップとしてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)チップ30と、モールド樹脂40と、リードフレーム60とを有する。
【0013】
リードフレーム60は、ダイパッド61と、複数のリード端子62とを有する。リードフレーム60の厚さは、例えば100μm~200μmである。複数のリード端子62は、ダイパッド61の周囲に配置されている。リード端子62は「外部導出リード」の一例である。
【0014】
ASICチップ30は、ダイパッド61上に第1DAF(Die Attach Film)45を介して積層されている。ASICチップ30は、リード端子62の内側の先端部の上にも第1DAF45を介して積層されている。センサチップ20は、ASICチップ30上に第2DAF42を介して積層されている。すなわち、センサチップ20とASICチップ30とは、ASICチップ30がセンサチップ20を積載したスタック構造となっている。センサチップ20は、下面をASICチップ30に対向させてASICチップ30の上に第2DAF42を介して設けられている。センサチップ20の厚さは、例えば200μm~400μmである。ASIC30の厚さは、例えば100μm~150μmである。第1DAF45及び第2DAF42の厚さは、例えば10μm~30μmである。
【0015】
例えば、第1DAF45及び第2DAF42の25℃における複合弾性率は1000MPa~3000MPaである。また、第1DAF45及び第2DAF42の180℃における複合弾性率は30MPa~50MPaである。第1DAF45の複合弾性率及び第2DAF42の複合弾性率は、ASICチップ30の弾性率及びセンサチップ20の弾性率よりも小さい。第1DAF45の複合弾性率及び第2DAF42の複合弾性率は、ASICチップ30の弾性率及びセンサチップ20の弾性率の、好ましくは1/10以下であり、より好ましくは1/50以下であり、更に好ましくは1/100以下である。第1DAF45及び第2DAF42は厚さ方向に圧縮され、弾性変形している。つまり、第1DAF45及び第2DAF42は弾性を有している。第1DAF45は「第1絶縁膜」の一例であり、第2DAF42は「第2絶縁膜」の一例である。
【0016】
ASICチップ30と複数のリード端子62とは、複数の第1ボンディングワイヤ44により電気的に接続されている。センサチップ20とASICチップ30とは、複数の第2ボンディングワイヤ43により電気的に接続されている。例えば、第2ボンディングワイヤ43は、第1パッド35上でボールボンディングされ、パッド24上でウェッジボンディングされている。つまり、第2ボンディングワイヤ43は第1パッド35上にワイヤバンプ43Aを有する。例えば、第1ボンディングワイヤ44は、リード端子62上でボールボンディングされ、第2パッド36上でウェッジボンディングされている。つまり、第1ボンディングワイヤ44はリード端子62上にワイヤバンプ44Aを有する。
【0017】
このように積層化されたセンサチップ20及びASICチップ30と、複数の第1ボンディングワイヤ44と、複数の第2ボンディングワイヤ43と、リードフレーム60とは、封止部材としてのモールド樹脂40により封止されてパッケージ化されている。検知装置10の下面には、ダイパッド61と、複数のリード端子62とが露出している。また、モールド樹脂40の一部はダイパッド61とリード端子62端子との間にあり、この部分も検知装置10の下面に露出している。第1DAF45の下面は、リードフレーム60及びモールド樹脂40により覆われており、検知装置10の下面に露出していない。モールド樹脂40のセンサチップ20の上面より上の部分の厚さは、例えば50μm~500μmであり、好ましくは100μm~250μmである。センサチップ20の上面を基準として、モールド樹脂40の上面の高さは、第2ボンディングワイヤ43の頂部の高さよりも高い。検知装置10の厚さは、例えば500μm~1000μmである。
【0018】
リードフレーム60は、ニッケルや銅により形成されている。第1DAF45及び第2DAF42は、それぞれ樹脂とシリカなどの混合物からなる絶縁材料で形成されている。モールド樹脂40は、カーボンブラックやシリカなどの混合物を含むエポキシ樹脂等の遮光性を有する黒色系の樹脂である。
【0019】
検知装置10の上面側には、センサチップ20の一部をモールド樹脂40から露出させる開口部50が形成されている。図2は、開口部50を示す平面図である。図2に示すように、平面視で、すなわち、センサチップ20の上面に垂直な方向からみたときに、開口部50の形状は角丸正方形状である。開口部50の平面形状は、X方向に平行な二辺と、Y方向に平行な二辺とを有する。隅部の弧をなす部分の曲率半径Rは、例えば25μm以上であり、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上であり、更に好ましくは50μm以上である。また、互いに平行な二辺の間の距離Lは、例えば600μm以下であり、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは400μm以下であり、更に好ましくは320μm以下である。開口部50の壁面は、センサチップ20の上面にほぼ垂直な面であるが、必ずしも垂直である必要はなく、傾斜を有する面でも許容できる。開口部50の平面形状は、モールド樹脂40の上面における開口部50の形状に相当する。
【0020】
図3は、モールド樹脂40を除去した状態における検知装置10を示す平面図である。図3に示すように、センサチップ20とASICチップ30とは、それぞれ平面形状がほぼ矩形状であって、X方向に平行な二辺と、Y方向に平行な二辺とを有する。センサチップ20は、ASICチップ30より小さく、ASICチップ30の上面上に第2DAF42を介して積層されている。
【0021】
センサチップ20には、上面の開口部50から露出される領域に、湿度検知部21と、温度検知部(図示せず)と、加熱部(図示せず)とが設けられている。加熱部は、湿度検知部21の下面側に、湿度検知部21の形成領域を覆うように形成されている。すなわち、加熱部の面積は、湿度検知部21より大きい。このように、封止部材としてのモールド樹脂40は、湿度検知部21及び温度検知部を露出させた状態でセンサチップ20等を封止している。湿度検知部21は「検知部」の一例である。センサチップ20の下面は「第1面」の一例であり、センサチップ20の上面は「第2面」の一例である。
【0022】
また、センサチップ20の端部には、複数のボンディングパッド(以下、単に「パッド」ということがある)24が形成されている。パッド24は、例えばアルミニウムやアルミニウムシリコン合金(AlSi)により形成されている。
【0023】
ASICチップ30は、信号処理及び制御用の半導体チップであって、例えば、湿度計測処理部、温度計測処理部、加熱制御部及び故障判定部を含む。ASICチップ30は「半導体集積回路チップ」の一例である。
【0024】
また、ASICチップ30の上面においてセンサチップ20で覆われていない領域には、複数の第1パッド35と、複数の第2パッド36とが設けられている。第1パッド35及び第2パッド36は、例えばアルミニウムやアルミニウムシリコン合金(AlSi)により形成されている。
【0025】
第1パッド35は、第2ボンディングワイヤ43を介して、センサチップ20の対応するパッド24に接続されている。第2パッド36は、第1ボンディングワイヤ44を介して、対応するリード端子62に接続されている。
【0026】
製造時において、ASICチップ30の実装位置は、リード端子62を基準として決定される。センサチップ20のASICチップ30上の実装位置は、ASICチップ30の位置又はリード端子62のいずれかを基準として決定される。
【0027】
検知装置10は、センサチップ20上における湿度検知部21及び温度検知部の形成許容領域25を有する。形成許容領域25は、実装時に、ASICチップ30、センサチップ20、及び金型の間に位置ずれが最も大きく発生した場合であっても、開口部50から確実に露出するように、開口部50の形成領域内に設定されている。湿度検知部21及び温度検知部は、形成許容領域25内に形成されていれば、上記位置ずれにかかわらず、開口部50から確実に露出する。
【0028】
第1実施形態に係る検知装置10は、上記の構成を備える。
【0029】
本実施形態では、ASICチップ30が第1DAF45を介してリードフレーム60の上に設けられ、センサチップ20が第2DAF42を介してASICチップ30の上に設けられている。つまり、検知装置10の厚さ方向において、リード端子62とASICチップ30及びセンサチップ20とが異なる位置に配置され、かつ、リードフレーム60とASICチップ30との間に第1DAF45が介在している。このため、リード端子62を大きくしても、リード端子62とASICチップ30との間の短絡を防止できる。従って、リード端子62の第1ボンディングワイヤ44を接続できる範囲を広く確保できる。
【0030】
また、ASICチップ30の下面に設けられた第1DAF45の下面は、リードフレーム60及びモールド樹脂40により覆われており、検知装置10の下面に露出していない。このため、ASICチップ30及びセンサチップ20への検知装置10の下面から内部への水分の侵入を抑制しやすく、センサチップ20に対しては、開口部50以外から侵入した水分による影響がなくなるため、湿度計測時の精度を向上させることができる。
【0031】
次に、第1実施形態に係る検知装置10の製造方法について説明する。ここでは、まず、センサチップ20を製造するプロセスについて説明する。図4図5は、第1実施形態におけるセンサチップ20の製造方法を示すフローチャートである。図6図7は、第1実施形態におけるセンサチップ20の製造方法を示す平面図である。図8は、第1実施形態においてセンサチップ20の製造に用いられる保護層210を示す平面図である。図9図12は、第1実施形態におけるセンサチップ20の製造方法を示す断面図である。
【0032】
まず、図6(A)に示すように、複数のチップ領域209を備えたウェハ200を準備する(ステップS101)。ウェハ200は、複数のチップ領域209が集合したデバイス領域201と、その周囲の周辺領域202とを有する1個のチップ領域209から1個のセンサチップ20が得られる。各チップ領域209は、湿度検知部21、温度検知部、加熱部、電極、配線等をウェハ200の一方の面(表面200A)に含む。ウェハ200はオリエンテーションフラット208が形成されている。ウェハ200の厚さT0はセンサチップ20の厚さよりも大きく、例えば550μm~650μmである。ウェハ200の直径は、例えば6インチ(15.24cm)である。チップ領域209はほぼ矩形状の平面形状を有し、X方向に平行な二辺と、Y方向に平行な二辺とを有する。例えば、X方向に平行な二辺の長さは900μm~1100μmであり、Y方向に平行な二辺の長さは600μm~800μmである。ウェハ200の材料は、例えばシリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)等である。
【0033】
次に、ウェハ200に含まれる水分を除去するためのベークを行う(ステップS102)。例えば、ベークの温度は100℃~150℃であり、時間は1分間~3分間である。
【0034】
次に、開口部50を形成する位置に犠牲層となる保護層を形成する工程に入る。まず、図9(A)に示すように、回転塗布により、ウェハ200の表面200Aに保護層を形成するための感光性レジスト膜211を形成する(ステップS103)。感光性レジスト膜211は、例えば600rpm~900rpmの回転速度で形成する。感光性レジスト膜211の厚さは、例えば30μm~80μmである。感光性レジスト膜211の形成後にウェハ200のエッジリンスを行う。感光性レジスト膜211のウェハ200裏面への周り込が大きい場合、必要に応じて、バックリンスも行う。
【0035】
次に、感光性レジスト膜211のプリベークを行う(ステップS104)。例えば、プリベークの温度は100℃~150℃であり、時間は5分間~10分間である。このプリベークにより、感光性レジスト膜211に含まれる溶媒が除去される。
【0036】
なお、本実施形態では、後にセンサチップ20となる領域の開口部50の周囲にワイヤボンディングを行うため、ワイヤ高さを超える厚さの樹脂厚が必要であり、開口部50の高さも同等の高さにする必要がある。しかしながら、一度の塗布ではその高さを稼ぐことが困難であるため、図9(B)に示すように、再度回転塗布により、感光性レジスト膜211の上に感光性レジスト膜212を形成する(ステップS105)。感光性レジスト膜212は、例えば600rpm~900rpmの回転速度で形成する。感光性レジスト膜212の厚さは、例えば30μm~80μmである。感光性レジスト膜212の形成後にウェハ200のエッジリンスを行う。
【0037】
次に、感光性レジスト膜212のプリベークを行う(ステップS106)。例えば、プリベークの温度は100℃~150℃であり、時間は5分間~10分間である。このプリベークにより、感光性レジスト膜212に含まれる溶媒が除去される。
【0038】
更に、再度回転塗布により、感光性レジスト膜212の上に感光性レジスト膜212を形成する(ステップS107)。感光性レジスト膜213は、例えば600rpm~900rpmの回転速度で形成する。感光性レジスト膜213の厚さは、例えば30μm~80μmであり、感光性レジスト膜211及び212の厚さと合わせると、例えば90μm~240μmとなる。感光性レジスト膜213の形成後にウェハ200のエッジリンスを行う。
【0039】
次に、感光性レジスト膜213のプリベークを行う(ステップS108)。例えば、プリベークの温度は100℃~150℃であり、時間は5分間~10分間である。このプリベークにより、感光性レジスト膜213に含まれる溶媒が除去される。
【0040】
次に、ウェハ200のエッジリンスを行う(ステップS109)。ステップS108のプリベークの後にエッジリンスを行うことにより、中心から移動するレジストを無くした状態でエッジのレジストを除去できるためである。
【0041】
次に、ウェハ200のプリベークを行う(ステップS110)。例えば、プリベークの温度は100℃~150℃であり、リンス液を飛ばす目的のためであり、時間は1分~2分程度でよい。
【0042】
次に、感光性レジスト膜211~213の露光を行う(ステップS111)。露光は、センサチップ20の上に形成される開口部50に対応するように行う。つまり、露光は、センサチップ20の上面に設けられている湿度検知部21及び温度検知部を包含する領域に対応するように行う。例えば、露光にはi線、g線又はh線を用いることができ、エネルギーは500mJ~550mJとする。
【0043】
次に、感光性レジスト膜211~213の現像を行う(ステップS112)。この結果、図6(B)及び図10(A)に示すように、感光性レジストの保護層210が各チップ領域209に形成される。保護層210は湿度検知部21及び温度検知部を覆う。例えば、図8に示すように、平面視で、すなわち、ウェハ200の表面200Aに垂直な方向からみたときに、保護層210の形状は角丸正方形状である。保護層210の平面形状は、X方向に平行な二辺と、Y方向に平行な二辺とを有する。角部の弧をなす部分の曲率半径Rは、例えば25μm以上であり、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上であり、更に好ましくは50μm以上である。また、互いに平行な二辺の間の距離Lは、例えば600μm以下であり、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは400μm以下であり、更に好ましくは320μm以下である。保護層210の高さは、上記処理では100μm~200μmとしているが、例えば50μm~500μmの範囲で適宜設定可能である。
【0044】
保護層210の材料としては、本実施形態では、ノボラック系やアクリル系、ポリイミド系等、温度を掛けていくと軟化変形する性質を持つ材料を使用する。保護層210の複合弾性率は25℃で4000MPa~6000MPa、モールド時の160℃~200℃においては1MPa~10MPaであり、ASICチップ30の弾性率及びセンサチップ20の弾性率よりも小さく、各チップのバラツキを吸収できる。保護層210の弾性率は、ASICチップ30の弾性率及びセンサチップ20の弾性率の、好ましくは1/10以下であり、より好ましくは1/50以下であり、更に好ましくは1/100以下である。
【0045】
感光性レジスト膜211~213の厚さは、リードフレーム60、第1DAF45、ASICチップ30、第2DAF42、センサチップ20及び保護層210の総厚さが、後述の下型322の上面と上型321の下面との間の距離L0よりも大きくなる厚さとする。
【0046】
次に、ウェハ200の水洗及び乾燥を行う(ステップS113)。水洗には、例えば純水を用いる。乾燥には、例えばスピンドライヤーを用いる。例えば、回転速度は800rpm~1200rpmとし、時間は8分間~12分間とする。
【0047】
次に、ウェハ200のハードベークを行う(ステップS114)。例えば、ハードベークの温度は150℃~200℃であり、時間は15分間~25分間である。このハードベークにより、ウェハ200に残存している水分及び保護層210に残存している溶媒が除去される。
【0048】
このようにして、表面200Aに複数の保護層210を備えたウェハ200が得られる。複数の保護層210はデバイス領域201内に形成されている。
【0049】
次に、ウェハ200の他方の面(裏面200B)にダイシングテープを貼り付け、加工装置に取り付ける(ステップS115)。加工装置としては、例えば株式会社ディスコのDFD6361を用いることができる。
【0050】
次に、図7(A)及び図10(B)に示すように、周辺領域202内でウェハ200を環状に切断する(ステップS116)。この結果、周辺領域202がウェハ200の半径方向で二分される。切断後の外側の部分は除去される。この切断では、切断後のウェハ200の縁の接線が、オリエンテーションフラット208と一致するようにしてもよい。つまり、切断後のウェハ200の縁が、オリエンテーションフラット208上に位置するようにしてもよい。また、切断後のウェハ200の縁が、オリエンテーションフラット208よりもウェハ200の中心側に位置するようにしてもよい。
【0051】
次に、ダイシングテープに紫外線を照射することで接着力を低下させ、ウェハ200を加工装置から取り出す(ステップS117)。この結果、図7(B)及び図11に示すように、周辺領域202の一部が除去されたウェハ200が得られる。
【0052】
次に、ウェハ200の表面200Aに複数の保護層210の上から、複数の保護層210を覆うようにBGテープ220を貼り付ける(ステップS118)。この時、BGテープ220は、ウェハ200の全周にわたって周辺領域202に接触させる。BGテープ220と周辺領域202との間に隙間があると、裏面研削(Back Grinding)時に切削水がウェハ200の表面200Aに侵入するおそれがある。
【0053】
次に、図12に示すように、BGテープ220をステージ230側に向けて、ウェハ200をステージ230に固定し、研削装置240を用いてウェハ200の裏面200Bを研削する(ステップS119)。この裏面研削は、研削装置240をウェハ200に押し付けながら行う。ウェハ200の研削後の厚さT1は、センサチップ20の厚さと同等であり、例えば200μm~400μmである。
【0054】
ステップS116において周辺領域202の一部が除去されているため、ステップS119の裏面研削では、ウェハ200の撓みが抑制される。このため、研削装置240からウェハ200に作用する圧力が面内で略均一になる。従って、裏面200Bの研削後のウェハ200の厚さは優れた面内均一性を有する。
【0055】
次に、BGテープ220に紫外線を照射することで接着力を低下させ、ウェハ200からBGテープ220を剥がす(ステップS120)。
【0056】
次に、ウェハ200を複数のチップ領域209に個片化する(ステップS121)。
【0057】
このようにして、複数の保護層210を備えたセンサチップ20が製造される。
【0058】
なお、保護層210を感光性レジスト膜211~213から形成しているが、1つ又は2つの感光性レジスト膜から保護層210を形成してもよく、4つ以上の感光性レジスト膜から保護層210を形成してもよい。
【0059】
次に、保護層210を備えたセンサチップ20と、ASICチップ30とを用いて検知装置10を製造するプロセスについて説明する。図13図16は、第1実施形態に係る検知装置10の製造方法を示す断面図である。
【0060】
まず、図13(A)に示すように、ダイパッド61及び複数のリード端子62を備えたリードフレーム60を準備する。リードフレーム60は複数のチップ搭載領域63を備えており、チップ搭載領域63毎にダイパッド61及び複数のリード端子62が設けられている。次に、チップ搭載領域63毎に、ダイパッド61と、リード端子62の内側の先端部との上に、第1DAF45を介してASICチップ30を固着する。なお、実際には多数のチップ搭載領域63がリードフレーム60に設けられ、多数のASICチップ30がダイパッド61上に固着されるが、図13(A)では、簡略化のため、2つのチップ搭載領域63及びセンサチップ20のみを示している。ASICチップ30は、センサチップ20とは別に製造しておく。例えば、ASICチップ30の下面に第1DAF45を貼り付けておき、第1DAF45をダイパッド61と、リード端子62の内側の先端部とに接着する。
【0061】
次に、図13(B)に示すように、各ASICチップ30の上面上に、湿度検知部21及び温度検知部を覆う保護層210を備えたセンサチップ20を、第2DAF42を介して固着する。つまり、チップ搭載領域63毎に、保護層210が設けられたセンサチップ20を、下面をASICチップ30に対向させてASICチップ30の上に第2DAF42を介して設ける。例えば、センサチップ20の下面に第2DAF42を貼り付けておき、第2DAF42をASICチップ30に接着する。そして、オーブン等を用いて第1DAF45及び第2DAF42を加熱して硬化させる。
【0062】
次に、図14(A)に示すように、チップ搭載領域63毎に、各ASICチップ30上の第2パッド36とリード端子62との間を第1ボンディングワイヤ44で接続し、各センサチップ20上のパッド24とASICチップ30上の第1パッド35との間を、第2ボンディングワイヤ43で接続する。例えば、第1ボンディングワイヤ44は、リード端子62上でボールボンディングした後、第2パッド36上でウェッジボンディングする。リード端子62の上に第1ボンディングワイヤ44のワイヤバンプ44Aが形成される。また、例えば、第2ボンディングワイヤ43は、第1パッド35上でボールボンディングした後、パッド24上でウェッジボンディングする。第1パッド35の上に第2ボンディングワイヤ43のワイヤバンプ43Aが形成される。このような順序でワイヤボンディングを行うことで、ASICチップ30の上面を基準とした第1ボンディングワイヤ44の頂部の高さを低く抑えることができ、センサチップ20の上面を基準とした第2ボンディングワイヤ43の頂部の高さを低く抑えることができる。以下、図14(A)に示す構成を、被成形品310ということがある。
【0063】
次に、図14(B)に示すように、上型321と下型322とからなる金型320を用意し、下型322の上に被成形品310を載置する。金型320は、トランスファモールド法による樹脂封止用の金型である。上型321の内面に離型フィルム330が設けられている。離型フィルム330は、上型321の内面全体を覆う面積を有する。また、離型フィルム330は、樹脂成型時の加熱温度に耐え得る耐熱性と、モールド樹脂40及び金型320から容易に剥離することが可能な剥離性を有する。離型フィルム330は、例えば、ETFE(エチレン-テトラフロロエチレン)によって形成されている。離型フィルム330の25℃における貯蔵弾性率は700MPa~900MPaであり、損失弾性率は10MPa~30MPaである。離型フィルム330の180℃における貯蔵弾性率は10MPa~30MPaであり、損失弾性率は1.0MPa~3.0MPaである。
【0064】
次に、図15(A)に示すように、上型321を、離型フィルム330を介して下型322に当接させる。このとき、下型322の上面と上型321の下面との間の距離L0は、検知装置10の厚さに予め設定されている。このとき、離型フィルム330が保護層210に接触し、上型321と下型322とにより被成形品310が厚さ方向に押圧される。この結果、リードフレーム60、ASICチップ30及びセンサチップ20よりも弾性率が低い第1DAF45、第2DAF42及び保護層210が圧縮方向に弾性変形する。
【0065】
このように上型321と下型322とを離型フィルム330を介して閉じた状態として、金型320を加熱し、金型320の内部空間へ、矢印331で示すように供給路を介してモールド樹脂40を流し込む。これにより、センサチップ20、ASICチップ30、第2ボンディングワイヤ43、第1ボンディングワイヤ44及びリードフレーム60がモールド樹脂40で封止される。つまり、被成形品310を厚さ方向で押圧しながら金型320内の空間に樹脂を注入し、複数のチップ搭載領域63に対して一括してモールド樹脂40を形成する。金型320の加熱温度は、例えば160℃~200℃とする。
【0066】
モールド樹脂40が固化した後、図15(B)に示すように、上型321を下型322から分離する。上型321が下型322から分離されると、保護層210の圧縮が解かれる。一方、モールド樹脂40が固化しているため、上型321が下型322から分離されても、第1DAF45及び第2DAF42は圧縮されたままである。つまり、第1DAF45及び第2DAF42は弾性変形したままである。そして、金型320から、モールド樹脂40により封止された、保護層210を備えたセンサチップ20、ASICチップ30、第2ボンディングワイヤ43、第1ボンディングワイヤ44及びリードフレーム60を取り出す。更に、離型フィルム330をモールド樹脂40及び保護層210から剥離する。
【0067】
次に、図16(A)に示すように、保護層210を除去する。保護層210は、例えばアッシングにより除去できる。保護層210が配置されていた部分に、湿度検知部21及び温度検知部が露出する開口部50がチップ搭載領域63毎に形成される。アッシング以外にも、保護層210の材料により液剤を用いての除去も可能である。
【0068】
そして、図16(B)に示すように、モールド樹脂40及びリードフレーム60を切断する。つまり、モールド樹脂40及びリードフレーム60をチップ搭載領域63毎に個片化する。
【0069】
このようにして、複数の検知装置10が製造される。
【0070】
本実施形態では、金型320により第1DAF45、第2DAF42及び保護層210が厚さ方向で圧縮される。そして、この状態で金型320の内部空間に樹脂を注入して、モールド樹脂40を形成する。このため、リードフレーム60、ASICチップ30及びセンサチップ20の厚さが設計値からずれていたとしても、第1DAF45、第2DAF42及び保護層210が緩衝材として機能し、ばらつき(厚さのずれ)を吸収し、検知装置の厚さを設計値通りとしつつ、ASICチップ30及びセンサチップ20に作用する圧縮応力を抑制することができる。従って、リードフレーム60、ASICチップ30及びセンサチップ20の厚さの設計値からずれが重畳したとしても、トランスファモールド法による封止時のASICチップ30及びセンサチップ20の割れを抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態では、保護層210の平面形状は角丸正方形状である。このため、保護層210の平面形状が正方形状である場合と比較して、モールド時に保護層210の側面に作用する応力を分散させやすい。従って、モールド時の保護層210の変形を抑制し、所望の形状の開口部50を形成しやすい。
【0072】
また、検知装置10が、はんだ等のリフローを経て実装基板に実装される場合、リフロー時に高温環境下に晒されるが、開口部50の平面形状が角丸正方形状であることで、隅部における熱応力の集中を緩和することができる。このため、熱応力の集中に伴う、開口部50を起点とするモールド樹脂40のクラックの発生を抑制することができる。
【0073】
なお、開口部50及び保護層210の平面形状が角丸正方形状である必要はなく、X方向に平行な二辺の間の距離と、Y方向に平行な二辺の間の距離とが相違していてもよい。この場合、両距離の間で短い方の距離が、例えば600μm以下であり、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは400μm以下であり、更に好ましくは320μm以下である。この場合も、隅部の弧をなす部分の曲率半径Rは、例えば25μm以上であり、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上であり、更に好ましくは50μm以上である。曲率半径Rが大きいほど、保護層210の側面に作用する応力を分散させやすく、開口部50の隅部での応力集中を緩和させやすい。
【0074】
その一方で、隅部の弧をなす部分の曲率半径Rが大きいほど、開口部50の開口面積が小さくなる。このため、弧をなす部分の曲率半径Rは、互いに平行な二辺の間の距離のうちで最も短い距離の50%未満であり、好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
【0075】
ここで、本願発明者らが作製した種々の試料における開口部の観察結果について説明する。本願発明者らは、平面形状が相違する保護層を用いて6種類の試料を作製し、開口部の観察を行った。各保護層の平面形状は正方形状又は角丸正方形状とし、互いに平行な二辺の間の距離は318μmとした。この結果を図17に示す。図17は、モールド樹脂に形成した開口部の観察結果を示す模式図である。
【0076】
図17(a)は、保護層の平面形状を正方形状とした場合、つまり4隅の曲率半径Rを0μmとした場合の開口部を示す。開口部の平面形状は正方形状から大きく変形していた。
【0077】
図17(b)は、保護層の平面形状を、4隅の曲率半径Rが15μmの角丸正方形状とした場合の開口部を示す。図17(a)と比較すると、開口部の平面形状は保護層の平面形状に近くなっていた。
【0078】
図17(c)は、保護層の平面形状を、4隅の曲率半径Rが23μmの角丸正方形状とした場合の開口部を示す。図17(b)と比較すると、開口部の平面形状は保護層の平面形状に近くなっていた。
【0079】
図17(d)は、保護層の平面形状を、4隅の曲率半径Rが30μmの角丸正方形状とした場合の開口部を示す。開口部の平面形状と保護層の平面形状との間に高い一致度が得られた。
【0080】
図17(e)は、保護層の平面形状を、4隅の曲率半径Rが40μmの角丸正方形状とした場合の開口部を示す。開口部の平面形状と保護層の平面形状との間に高い一致度が得られた。
【0081】
図17(f)は、保護層の平面形状を、4隅の曲率半径Rが50μmの角丸正方形状とした場合の開口部を示す。開口部の平面形状と保護層の平面形状との間に高い一致度が得られた。
【0082】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として保護層の平面形状及び開口部の平面形状の点で第1実施形態と相違する。図18は、第2実施形態においてセンサチップ20の製造に用いられる保護層210を示す平面図である。
【0083】
第2実施形態では、図18に示すように、平面視で、すなわち、ウェハ200の表面200Aに垂直な方向からみたときに、センサチップ20の製造に用いられる保護層210の形状が角丸正六角形状である。
【0084】
そして、このような保護層210を用いて形成される開口部50の平面形状も角丸六角形状となる。
【0085】
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0086】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主としてセンサチップ20とASICチップ30との間の位置関係の点で第1実施形態と相違する。図19は、第3実施形態に係る検知装置の構成を示す断面図である。
【0088】
第3実施形態に係る検知装置300では、図19に示すように、センサチップ20がASICチップ30上ではなく、ダイパッド61上に第2DAF42を介して積層されている。センサチップ20はASICチップ30に並んでダイパッド61上に配置されている。そして、センサチップ20、ASICチップ30と、複数の第1ボンディングワイヤ44と、複数の第2ボンディングワイヤ43と、リードフレーム60とが、モールド樹脂40により封止されてパッケージ化されている。モールド樹脂40には、第1実施形態と同様に、開口部50が形成されている。
【0089】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0090】
第3実施形態によっても、第1実施形態と同様に、モールド時の保護層210の変形を抑制し、所望の形状の開口部50を形成しやすい。検知装置300が、はんだ等のリフローを経て実装基板に実装される場合、熱応力の集中に伴う、開口部50を起点とするモールド樹脂40のクラックの発生を抑制することができる。
【0091】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、主としてセンサチップ20とASICチップ30との間の位置関係の点で第1実施形態と相違する。図20は、第4実施形態に係る検知装置の構成を示す断面図である。
【0092】
第4実施形態に係る検知装置400では、図20に示すように、センサチップ20がASICチップ30に一体化されている。いわば、センサチップ20はASICチップ30に内蔵されている。一体化したセンサチップ20及びASICチップ30を1つのセンサチップとみなし、ASICチップ30の部分に、センサチップ20の周辺回路が設けられているとみなすこともできる。そして、センサチップ20、ASICチップ30と、複数の第1ボンディングワイヤ44と、複数の第2ボンディングワイヤ43と、リードフレーム60とが、モールド樹脂40により封止されてパッケージ化されている。モールド樹脂40には、第1実施形態と同様に、開口部50が形成されている。
【0093】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0094】
第4実施形態によっても、第1実施形態と同様に、モールド時の保護層210の変形を抑制し、所望の形状の開口部50を形成しやすい。検知装置300が、はんだ等のリフローを経て実装基板に実装される場合、熱応力の集中に伴う、開口部50を起点とするモールド樹脂40のクラックの発生を抑制することができる。
【0095】
上述のように、本開示の検知装置は、例えば実装基板に実装されて使用される。この場合、例えば、検知装置を準備し、その後に、はんだ等の接合材のリフローにより検知装置を実装基板の上に実装することで、検知システムを得ることができる。リフローの際に、検知装置が高温環境下に晒されるが、開口部の平面形状が角丸多角形状であることで、隅部における熱応力の集中を緩和することができる。このため、熱応力の集中に伴う、開口部を起点とするモールド樹脂のクラックの発生を抑制することができる。
【0096】
以上、好ましい実施の形態について説明したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0097】
10:検知装置
20:センサチップ
21:湿度検知部
30:ASICチップ
40:モールド樹脂
42、45:DAF
50:開口部
60:リードフレーム
210:保護層
211、212、213:感光性レジスト膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20