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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149079
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】人力駆動車両用リアスプロケット
(51)【国際特許分類】
   B62M 9/10 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B62M9/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057441
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】ブン ケオン リム
(72)【発明者】
【氏名】ウィ ブン ノーマン ロイ
(57)【要約】
【課題】強度及び剛性を向上することでき、かつ、軽量化を実現することができる人力駆動車両用リアスプロケットが、提供される。
【解決手段】リアスプロケット47は、自転車1に用いられる。リアスプロケット47は、外側環状体57と、複数のスプロケット歯59と、内側環状体61と、連結アーム63と、を備える。連結アーム63は、径方向外側ハーフセクション65と、径方向内側ハーフセクション67と、を有する。径方向内側ハーフセクション67の第2周方向幅W2は、径方向外側ハーフセクション65の第1周方向幅W1より小さい。連結アーム63は、第1径方向位置RP1から第2径方向位置RP2に向けてテーパ状に形成される。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向中心面を有する人力駆動車両に用いられ、回転中心軸心と、軸方向外側面と、前記回転中心軸心に関する軸方向において前記軸方向外側面の反対側に設けられ、前記人力駆動車両に装着された装着状態で、前記軸方向において前記軸方向中心面に対向するように構成される軸方向内側面と、を有する、人力駆動車両に用いられるリアスプロケットであって、
外側環状体と、
前記回転中心軸心に関する径方向において前記外側環状体の外周面から径方向外側に延びる複数のスプロケット歯と、
前記リアスプロケットがハブ組立体に装着された組立状態において、トルク伝達可能なように前記ハブ組立体のスプロケット支持体に連結されるように構成される内側環状体と、
前記外側環状体と前記内側環状体との間で前記径方向に延び、径方向外側ハーフセクションと、前記径方向において前記径方向外側ハーフセクションから径方向内側に位置する径方向内側ハーフセクションと、を有する少なくとも1つの連結アームと、
を備え、
前記複数のスプロケット歯のそれぞれは、前記径方向に定義される最大径方向長さと、前記軸方向に定義され前記最大径方向長さより短い最大軸方向長さと、を有し、
前記径方向外側ハーフセクションは、前記回転中心軸心に関する第1径方向位置で定義される第1周方向幅を有し、
前記径方向内側ハーフセクションは、前記回転中心軸心に関する第2径方向位置で定義され、前記第1周方向幅より小さい第2周方向幅を有し、
前記少なくとも1つの連結アームは、前記第1径方向位置から前記第2径方向位置に向けてテーパ状に形成され、
前記外側環状体、前記複数のスプロケット歯、前記内側環状体、および、前記少なくとも1つの連結アームは、単一の一体部材として形成される、
人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの連結アームは、複数の連結アームを含む、
請求項1に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項3】
前記複数の連結アームの総数は、4以上である、
請求項2に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項4】
前記少なくとも1つの連結アームは、前記第1周方向幅の前記第1径方向位置に設けられるリベット孔、を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項5】
前記リベット孔は、孔径を有し、
前記孔径に対する前記第1周方向幅の比は、2.5以上である、
請求項4に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項6】
前記内側環状体は、前記組立状態において前記ハブ組立体の前記スプロケット支持体に係合するように構成されるスプライン部、を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項7】
前記第1周方向幅は、11mm以上である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項8】
前記第1周方向幅は、20mm以下である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項9】
前記第2周方向幅は、5mm以上である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項10】
前記第2周方向幅は、10mm以下である、
請求項1から9のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項11】
前記複数のスプロケット歯は、駆動チェーンが、前記リアスプロケットに隣接する小スプロケットから前記リアスプロケットに移動するダウンシフト動作を促進するように構成される複数のダウンシフト促進歯、を含み、
前記複数のダウンシフト促進歯は、
前記ダウンシフト動作において前記駆動チェーンと最初に係合するように構成されるダウンシフト開始歯と、
前記リアスプロケットの駆動回転方向に関する前記ダウンシフト開始歯の下流側で、前記ダウンシフト開始歯に隣接して配置されるダウンシフト凹部歯と、
を含み、
前記回転中心軸心に関する周方向において、前記ダウンシフト開始歯と前記ダウンシフト凹部歯との間に他のスプロケット歯が、配置されず、
前記ダウンシフト凹部歯は、前記軸方向において前記軸方向外側面から前記軸方向内側面に向かって凹むように前記ダウンシフト凹部歯の前記軸方向外側面に設けられるダウンシフト凹部、を有する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項12】
第1軸方向凹部は、前記軸方向において前記軸方向内側面から前記軸方向外側面に向かって凹むように、前記ダウンシフト開始歯の前記軸方向内側面に設けられ、
前記第1軸方向凹部は、少なくとも前記ダウンシフト開始歯の歯先に配置される、
請求項11に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項13】
前記ダウンシフト凹部は、ダウンシフト第1凹部、および、ダウンシフト第2凹部、を有し、前記ダウンシフト第1凹部、および、前記ダウンシフト第2凹部のそれぞれは、前記軸方向において前記軸方向外側面から前記軸方向内側面に向かって凹むように前記ダウンシフト凹部歯の前記軸方向外側面に設けられ、
前記ダウンシフト第1凹部は、第1凹部底面を有し、
前記ダウンシフト第2凹部は、第2凹部底面を有し、
第1軸方向深さは、前記軸方向において前記外側環状体の前記軸方向外側面から前記第1凹部底面までで定義され、
第2軸方向深さは、前記軸方向において前記外側環状体の前記軸方向外側面から前記第2凹部底面までで定義され、
前記第1軸方向深さは、前記第2軸方向深さより小さい、
請求項11または12に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項14】
前記ダウンシフト凹部歯は、第1歯先を有し、
前記ダウンシフト第1凹部は、前記ダウンシフト凹部歯の前記第1歯先に到達する、
請求項13に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項15】
前記ダウンシフト凹部歯は、駆動面と、前記周方向において前記駆動面の反対側に設けられる非駆動面と、を有し、
前記ダウンシフト第1凹部は、前記ダウンシフト凹部歯の前記駆動面に到達する、
請求項13または14に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項16】
前記ダウンシフト第2凹部は、前記ダウンシフト凹部歯の前記駆動面に到達しない、
請求項15に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項17】
前記ダウンシフト第1凹部と前記ダウンシフト第2凹部との間に他の凹部が配置されることなく、前記ダウンシフト第1凹部と前記ダウンシフト第2凹部とは互いに隣接して配置される、
請求項13から16のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項18】
前記複数のスプロケット歯は、駆動チェーンが前記リアスプロケットから前記リアスプロケットに隣接する小スプロケットに移動するアップシフト動作を促進するように構成される複数のアップシフト促進歯、を含む、
請求項1から17のいずれか1項に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項19】
前記複数のアップシフト促進歯は、
前記アップシフト動作において前記小スプロケットに向けて前記駆動チェーンを変位させるように構成されるアップシフト変位歯と、
前記アップシフト動作において前記駆動チェーンから最初に離脱するように構成されるアップシフト開始歯と、
アップシフト凹部歯と、
を含み、
前記アップシフト開始歯は、前記軸方向において前記軸方向外側面から前記軸方向内側面に向けて凹むように前記アップシフト開始歯の前記軸方向外側面に設けられるアップシフト第1凹部、を有し、
前記回転中心軸心に関する周方向において、前記アップシフト開始歯と前記アップシフト変位歯との間に他のスプロケット歯が配置されることなく、前記アップシフト開始歯は、前記リアスプロケットの駆動回転方向に関する前記アップシフト変位歯の上流側で、前記アップシフト変位歯に隣接して配置され、
前記アップシフト凹部歯は、前記軸方向において前記軸方向外側面から前記軸方向内側面に向かって凹むように前記アップシフト凹部歯の前記軸方向外側面に設けられるアップシフト第2凹部、を有し、
前記周方向において、前記アップシフト凹部歯と前記アップシフト開始歯との間に他のスプロケット歯が配置されることなく、前記アップシフト凹部歯は、前記駆動回転方向に関する前記アップシフト開始歯の上流側で、前記アップシフト開始歯に隣接して配置される、
請求項18に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【請求項20】
第2軸方向凹部は、前記軸方向において前記軸方向内側面から前記軸方向外側面に向かって凹むように、前記アップシフト変位歯の前記軸方向内側面に設けられ、
前記第2軸方向凹部は、少なくとも前記アップシフト変位歯の歯先に配置される、
請求項19に記載の人力駆動車両用リアスプロケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車両用リアスプロケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるリアスプロケットは、外側環状体と、複数のスプロケット歯と、内側環状体と、複数の連結アームと、を備える。複数のスプロケット歯は、外側環状体の外周面から径方向外側に延びる。内側環状体は、リアスプロケットがハブ組立体に装着された組立状態において、スプロケット支持体に連結される。
【0003】
複数の連結アームのそれぞれは、外側環状体と内側環状体との間で径方向に延びる。複数の連結アームのそれぞれの周方向幅は、径方向内側から径方向外側に向かって小さくなる形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第102328724号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリアスプロケットでは、連結アームの径方向外側部分において、あるリアスプロケットを隣接リアスプロケットに連結するためのリベット孔が、設けられる。このため、径方向外側部分の周方向幅が小さい場合、連結アームのリベット孔周りの強度及び剛性が不足する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、強度及び剛性を向上することでき、かつ、軽量化を実現することができる人力駆動車両用リアスプロケットを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面に関して、人力駆動車両用リアスプロケットは、軸方向中心面を有する人力駆動車両に用いられる。人力駆動車両用リアスプロケットは、回転中心軸心と、軸方向外側面と、軸方向内側面と、を有する。軸方向内側面は、回転中心軸心に関する軸方向において軸方向外側面の反対側に設けられる。軸方向内側面は、人力駆動車両に装着された装着状態で、軸方向において軸方向中心面に対向するように構成される。
【0008】
人力駆動車両用リアスプロケットは、外側環状体と、複数のスプロケット歯と、内側環状体と、少なくとも1つの連結アームと、を備える。複数のスプロケット歯は、回転中心軸心に関する径方向において、外側環状体の外周面から径方向外側に延びる。内側環状体は、リアスプロケットがハブ組立体に装着された組立状態において、トルク伝達可能なようにハブ組立体のスプロケット支持体に連結されるように構成される。
【0009】
少なくとも1つの連結アームは、外側環状体と内側環状体との間で径方向に延びる。少なくとも1つの連結アームは、径方向外側ハーフセクションと、径方向内側ハーフセクションと、を有する。径方向内側ハーフセクションは、径方向において、径方向外側ハーフセクションから径方向内側に位置する。
【0010】
複数のスプロケット歯のそれぞれは、最大径方向長さと、最大軸方向長さと、を有する。最大径方向長さは、径方向に定義される。最大軸方向長さは、軸方向に定義される。最大軸方向長さは、最大径方向長さより短い。
【0011】
径方向外側ハーフセクションは、第1周方向幅を有する。第1周方向幅は、回転中心軸心に関する第1径方向位置で定義される。径方向内側ハーフセクションは、第2周方向幅を有する。第2周方向幅は、回転中心軸心に関する第2径方向位置で定義される。第2周方向幅は、第1周方向幅より小さい。
【0012】
少なくとも1つの連結アームは、第1径方向位置から第2径方向位置に向けてテーパ状に形成される。外側環状体、複数のスプロケット歯、内側環状体、および、少なくとも1つの連結アームは、単一の一体部材として形成される。
【0013】
第1の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、径方向内側ハーフセクションの第2周方向幅が、径方向外側ハーフセクションの第1周方向幅より小さいので、径方向内側ハーフセクションにおいてリアスプロケットの軽量化を実現することができる。また、径方向外側ハーフセクションの第1周方向幅が径方向内側ハーフセクションの第2周方向幅より大きいので、径方向外側ハーフセクションの強度及び剛性を向上することできる。すなわち、人力駆動車両用リアスプロケットでは、強度及び剛性を向上することでき、かつ、軽量化を実現することができる。
【0014】
本発明の第2の側面に関して、第1の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、少なくとも1つの連結アームが複数の連結アームを含むように、構成される。
【0015】
第2の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、複数の連結アームのそれぞれにおいて、径方向内側ハーフセクションの第2周方向幅が、径方向外側ハーフセクションの第1周方向幅より小さい。この構成によって、径方向外側ハーフセクションの強度及び剛性を向上することでき、かつ、径方向内側ハーフセクションにおいて軽量化を実現することができる。
【0016】
本発明の第3の側面に関して、第2の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、複数の連結アームの総数が4以上であるように、構成される。
【0017】
第3の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、径方向外側ハーフセクションの強度及び剛性を好適に向上することでき、かつ、径方向内側ハーフセクションにおいて軽量化を好適に実現することができる。
【0018】
本発明の第4の側面に関して、第1から第3の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、少なくとも1つの連結アームがリベット孔を有するように、構成される。リベット孔は、第1周方向幅の第1径方向位置に設けられる。
【0019】
第4の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、リベット孔が第1周方向幅の第1径方向位置に設けられるので、径方向外側ハーフセクションにリベット孔を設けたとしても、リベット孔周りに必要な強度及び剛性を確保することができる。また、径方向外側ハーフセクションのリベット孔を介してリアスプロケットを隣接リアスプロケットに固定することによって、リアスプロケット組立体の軸方向における強度及び剛性が向上することができる。
【0020】
本発明の第5の側面に関して、第4側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。リベット孔は、孔径を有する。孔径に対する第1周方向幅の比は、2.5以上である。
【0021】
第5の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、径方向外側ハーフセクションにリベット孔を設けたとしても、孔径に対する第1周方向幅の比を2.5以上に設定することによって、リベット孔周りに必要な強度及び剛性を確保することができる。
【0022】
本発明の第6の側面に関して、第1から第5の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。内側環状体は、スプライン部を有する。スプライン部は、組立状態において、ハブ組立体のスプロケット支持体に係合するように構成される。
【0023】
第6の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、内側環状体のスプライン部によって、駆動トルクをリアスプロケットからハブ組立体に確実に伝達することができる。
【0024】
本発明の第7の側面に関して、第1から第6の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、第1周方向幅は11mm以上であるように、構成される。
【0025】
第7の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、第1周方向幅を11mm以上に設定することによって、径方向外側ハーフセクションの強度及び剛性を好適に向上することができる。
【0026】
本発明の第8の側面に関して、第1から第7の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、第1周方向幅が20mm以下であるように、構成される。
【0027】
第8の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、第1周方向幅を20mm以下に設定することによって、径方向外側ハーフセクションの重量の増加を抑えることができる。
【0028】
本発明の第9の側面に関して、第1から第8の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、第2周方向幅が5mm以上であるように、構成される。
【0029】
第9の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、第2周方向幅を5mm以上に設定することによって、径方向内側ハーフセクションの強度及び剛性を確保することができる。
【0030】
本発明の第10の側面に関して、第1から第9の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、第2周方向幅が10mm以下であるように、構成される。
【0031】
第10の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、第2周方向幅を10mm以下に設定することによって、径方向内側ハーフセクションの軽量化を好適に実現することができる。
【0032】
本発明の第11の側面に関して、第1から第10の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。複数のスプロケット歯は、複数のダウンシフト促進歯を含む。複数のダウンシフト促進歯は、駆動チェーンが、リアスプロケットに隣接する小スプロケットからリアスプロケットに移動するダウンシフト動作を促進するように、構成される。
【0033】
複数のダウンシフト促進歯は、ダウンシフト開始歯と、ダウンシフト凹部歯と、を含む。ダウンシフト開始歯は、ダウンシフト動作において駆動チェーンと最初に係合するように構成される。ダウンシフト凹部歯は、リアスプロケットの駆動回転方向に関するダウンシフト開始歯の下流側で、ダウンシフト開始歯に隣接して配置される。
【0034】
回転中心軸心に関する周方向において、ダウンシフト開始歯とダウンシフト凹部歯との間に他のスプロケット歯が、配置されない。ダウンシフト凹部歯は、ダウンシフト凹部を有する。ダウンシフト凹部は、軸方向において軸方向外側面から軸方向内側面に向かって凹むように、ダウンシフト凹部歯の軸方向外側面に設けられる。
【0035】
第11の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、複数のスプロケット歯が上記の複数のダウンシフト促進歯を含むので、ダウンシフト動作時の衝撃を緩和することができ、かつ、ダウンシフト動作を円滑に実行することができる。
【0036】
本発明の第12の側面に関して、第11の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。第1軸方向凹部は、軸方向において軸方向内側面から軸方向外側面に向かって凹むように、ダウンシフト開始歯の軸方向内側面に設けられる。第1軸方向凹部は、少なくともダウンシフト開始歯の歯先に配置される。
【0037】
第12の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、第1軸方向凹部がダウンシフト開始歯の軸方向内側面に設けられるので、ダウンシフト動作時の衝撃を好適に緩和することができ、かつ、ダウンシフト動作をより円滑に実行することができる。
【0038】
本発明の第13の側面に関して、第11または第12の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。ダウンシフト凹部は、ダウンシフト第1凹部、および、ダウンシフト第2凹部、を有する。ダウンシフト第1凹部、および、ダウンシフト第2凹部のそれぞれは、軸方向において軸方向外側面から軸方向内側面に向かって凹むように、ダウンシフト凹部歯の軸方向外側面に設けられる。
【0039】
ダウンシフト第1凹部は、第1凹部底面を有する。ダウンシフト第2凹部は、第2凹部底面を有する。第1軸方向深さは、軸方向において、外側環状体の軸方向外側面から第1凹部底面までで定義される。第2軸方向深さは、軸方向において、外側環状体の軸方向外側面から第2凹部底面までで定義される。第1軸方向深さは、第2軸方向深さより小さい。
【0040】
第13の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、ダウンシフト凹部がダウンシフト第1凹部、および、ダウンシフト第2凹部、を有するので、ダウンシフト動作時の衝撃を好適に緩和することができ、かつ、ダウンシフト動作をより円滑に実行することができる。
【0041】
本発明の第14の側面に関して、第13の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。ダウンシフト凹部歯は、第1歯先を有する。ダウンシフト第1凹部は、ダウンシフト凹部歯の第1歯先に到達する。
【0042】
第14の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、ダウンシフト第1凹部がダウンシフト凹部歯の第1歯先に到達するので、ダウンシフト動作時の衝撃を好適に緩和することができ、かつ、ダウンシフト動作をより円滑に実行することができる。
【0043】
本発明の第15の側面に関して、第13または第14の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。ダウンシフト凹部歯は、駆動面と、周方向において駆動面の反対側に設けられる非駆動面と、を有する。ダウンシフト第1凹部は、ダウンシフト凹部歯の駆動面に到達する。
【0044】
第15の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、ダウンシフト第1凹部がダウンシフト凹部歯の駆動面に到達するので、ダウンシフト動作時の衝撃を好適に緩和することができ、かつ、ダウンシフト動作をより円滑に実行することができる。
【0045】
本発明の第16の側面に関して、第15の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、ダウンシフト第2凹部はダウンシフト凹部歯の駆動面に到達しないように、構成される。
【0046】
第16の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、ダウンシフト第2凹部はダウンシフト凹部歯の駆動面に到達しないので、ダウンシフト動作時の衝撃を好適に緩和することができ、かつ、ダウンシフト動作を円滑に実行することができる。
【0047】
本発明の第17の側面に関して、第13から第16の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、ダウンシフト第1凹部とダウンシフト第2凹部との間に他の凹部が配置されることなく、ダウンシフト第1凹部とダウンシフト第2凹部とは互いに隣接して配置されるように、構成される。
【0048】
第17の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、ダウンシフト第1凹部とダウンシフト第2凹部とは互いに隣接して配置されるので、ダウンシフト動作時の衝撃を好適に緩和することができ、かつ、ダウンシフト動作をより円滑に実行することができる。
【0049】
本発明の第18の側面に関して、第1から第17の側面のいずれか1つに係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。複数のスプロケット歯は、複数のアップシフト促進歯を含む。複数のアップシフト促進歯は、アップシフト動作を促進するように構成される。アップシフト動作は、駆動チェーンがリアスプロケットからリアスプロケットに隣接する小スプロケットに移動する動作である。
【0050】
第18の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、複数のスプロケット歯が複数のアップシフト促進歯を含むので、アップシフト動作時の衝撃を緩和することができ、かつ、アップシフト動作を円滑に実行することができる。
【0051】
本発明の第19の側面に関して、第18の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。複数のアップシフト促進歯は、アップシフト変位歯と、アップシフト開始歯と、アップシフト凹部歯と、を含む。アップシフト変位歯は、アップシフト動作において、小スプロケットに向けて駆動チェーンを変位させるように構成される。アップシフト開始歯は、アップシフト動作において、駆動チェーンから最初に離脱するように構成される。
【0052】
アップシフト開始歯は、アップシフト第1凹部を有する。アップシフト第1凹部は、軸方向において軸方向外側面から軸方向内側面に向けて凹むように、アップシフト開始歯の軸方向外側面に設けられる。回転中心軸心に関する周方向において、アップシフト開始歯とアップシフト変位歯との間に他のスプロケット歯が配置されることなく、アップシフト開始歯は、リアスプロケットの駆動回転方向に関するアップシフト変位歯の上流側で、アップシフト変位歯に隣接して配置される。
【0053】
アップシフト凹部歯は、アップシフト第2凹部を有する。アップシフト第2凹部は、軸方向において軸方向外側面から軸方向内側面に向かって凹むように、アップシフト凹部歯の軸方向外側面に設けられる。周方向において、アップシフト凹部歯とアップシフト開始歯との間に他のスプロケット歯が配置されることなく、アップシフト凹部歯は、駆動回転方向に関するアップシフト開始歯の上流側で、アップシフト開始歯に隣接して配置される。
【0054】
第19の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、複数のアップシフト促進歯が、アップシフト変位歯と、アップシフト開始歯と、アップシフト凹部歯と、を含むので、アップシフト動作時の衝撃を好適に緩和することができ、かつ、アップシフト動作をより円滑に実行することができる。
【0055】
本発明の第20の側面に関して、第19の側面に係る人力駆動車両のリアプロケットは、以下のように構成される。第2軸方向凹部は、軸方向において軸方向内側面から軸方向外側面に向かって凹むように、アップシフト変位歯の軸方向内側面に設けられる。第2軸方向凹部は、少なくともアップシフト変位歯の歯先に配置される。
【0056】
第20の側面に係る人力駆動車両用リアスプロケットでは、第2軸方向凹部がアップシフト変位歯の軸方向内側面に設けられるので、アップシフト動作時の衝撃を好適に緩和することができ、かつ、アップシフト動作をより円滑に実行することができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、人力駆動車両用リアスプロケットの強度及び剛性を向上することでき、かつ、人力駆動車両用リアスプロケットの軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明の実施形態における自転車の側面図。
図2】自転車を上方から見た模式図。
図3】リアスプロケット組立体の斜視図。
図4】リアスプロケット組立体の断面図。
図5】第7及び第8のスプロケットの斜視図。
図6A】第7のスプロケットの正面図。
図6B】第7のスプロケットの背面図。
図6C】第7及び第8のスプロケットにおける歯先の部分拡大断面図。
図7A】シフト動作を説明するための第7のスプロケットの正面図。
図7B】シフト動作を説明するための第7のスプロケットの背面図。
図8A】第8のスプロケットの正面図。
図8B】第8のスプロケットの背面図。
図9A】シフト動作を説明するための第8のスプロケットの正面図。
図9B】シフト動作を説明するための第8のスプロケットの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1に示すように、本発明の実施形態による自転車1は、駆動チェーン3と、フレーム5と、ハンドル7と、フロントホイール9と、リアホイール11と、変速操作装置13と、駆動部15と、フロントフォーク17と、を有する。自転車1は、フロントディレーラ21と、リアディレーラ23と、をさらに有する。自転車1は、本発明の人力駆動車両の一例である。図2に示すように、自転車1は、軸方向中心面Pを有する。
【0060】
図1に示すように、フロントフォーク17は、フレーム5に回転可能に装着される。ハンドル7は、フロントフォーク17に固定される。フロントホイール9は、フロントハブ組立体18を介して、フロントフォーク17に回転可能に装着される。リアホイール11は、リアハブ組立体19を介して、フレーム5の後部に回転可能に装着される。フロントタイヤ9aは、フロントホイール9に装着される。リアタイア11aは、リアホイール11に装着される。
【0061】
変速操作装置13は、ハンドル7に装着される。変速操作装置13は、ケーブルを介して、フロントディレーラ21、および、リアディレーラ23を動作させる。例えば、リアディレーラ23は、フレーム5に装着される。リアディレーラ23は、変速操作装置13によって、あるリアスプロケットから他のリアスプロケットへと駆動チェーン3を移動させる。
【0062】
フロントディレーラ21は、フレーム5に装着される。フロントディレーラ21は、変速操作装置13によって、あるフロントスプロケットから他のフロントスプロケットへと駆動チェーン3を移動させる。すなわち、変速操作装置13の操作によってフロントディレーラ21を動作させることによって、アップシフト動作、および、ダウンシフト動作が実行される。
【0063】
駆動部15は、主に、リアハブ組立体19と、リアスプロケット組立体27と、クランク組立体29と、を有する。駆動部15は、駆動チェーン3を含んでいてもよい。リアハブ組立体19は、フレーム5に装着される。
【0064】
リアハブ組立体19には、リアホイール11が接続される。リアハブ組立体19は、リアホイール11と一体的に回転する。リアハブ組立体19は、図示しないハブ軸を介して、フレーム5に対して回転する。リアハブ組立体19は、リアスプロケット組立体27とともに回転するように構成される。
【0065】
図1、および、図2に示すように、リアスプロケット組立体27は、回転中心軸心Xを有する。リアスプロケット組立体27は、回転中心軸心Xまわりに回転する。例えば、リアスプロケット組立体27は、リアハブ組立体19に回転可能に支持される。自転車1の運転者からクランク組立体29に入力された駆動力は、駆動チェーン3を介して、リアスプロケット組立体27に伝達される。リアスプロケット組立体27の詳細は後述される。
【0066】
図1に示すように、クランク組立体29は、クランクアーム31と、フロントスプロケット組立体33と、を有する。クランクアーム31は、フレーム5の下部に回転可能に支持される。フロントスプロケット組立体33は、クランクアーム31と一体的に回転するように、クランクアーム31に装着される。フロントスプロケット組立体33は、少なくとも1つのフロントスプロケットを有する。
【0067】
図3に示すように、リアスプロケット組立体27は、複数のリアスプロケット41~51を有する。複数のリアスプロケット41~51は、自転車1に用いられる。複数のリアスプロケット41~51のそれぞれは、駆動チェーン3に係合する。複数のリアスプロケット41~51のそれぞれには、クランク組立体29から駆動チェーン3に伝達された駆動力が伝達される。
【0068】
図4に示すように、複数のリアスプロケット41~51のそれぞれは、リアハブ組立体19のスプロケット支持体19aと一体的に回転するように、リアハブ組立体19のスプロケット支持体19aに装着される。
【0069】
本実施形態では、複数のリアスプロケット41~51が11枚のリアスプロケットを含む場合の例が、示される。第1から第11のリアスプロケット41~51は、回転中心軸心Xに関して同軸上に配置される。第1から第11のリアスプロケット41~51は、回転中心軸心Xに関する軸方向に並べて配置される。第3から第9のリアスプロケット43~49において、互いに隣接する2つのスプロケットの間には、スペーサ28a~28fが配置される。
【0070】
第7から第9のリアスプロケット47~49は、第1リベット53aによって、互いに連結される。第8から第10のリアスプロケット48~50は、第2リベット53bによって、互いに連結される。第9および第10のリアスプロケット49~50は、第3リベット53cによって、互いに連結される。第10および第11のリアスプロケット50~51は、第4リベット53dによって、互いに連結される。第1から第11のリアスプロケット41~51、および、スペーサ28a~28fは、連結部材53eによって、互いに連結される。
【0071】
本実施形態では、第7および第8のリアスプロケット47,48が、本発明の特徴的な構造を有する。以下では、第7および第8のリアスプロケット47,48について詳細な説明が行われる。
【0072】
・第7のリアスプロケット
図5図6A、および、図6Bに示すように、第7のリアスプロケット47は、回転中心軸心Xと、第1軸方向外側面47aと、第1軸方向内側面47bと、を有する。回転中心軸心Xは、上述したリアスプロケット組立体27の回転中心軸心と同心である。図5、および、図6Aに示すように、第1軸方向外側面47aは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第7のリアスプロケット47の外側面を形成する。
【0073】
図5、および、図6Bに示すように、第1軸方向内側面47bは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第7のリアスプロケット47の内側面を形成する。第1軸方向内側面47bは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1軸方向外側面47aの反対側に設けられる。第1軸方向内側面47bは、自転車1に装着された装着状態で、回転中心軸心Xに関する軸方向において、図2に示す軸方向中心面Pに対向するように、構成される。
【0074】
図6A、および、図6Bに示すように、第7のリアスプロケット47は、第1外側環状体57と、複数の第1スプロケット歯59と、第1内側環状体61と、少なくとも1つの第1連結アーム63と、を備える。第1外側環状体57、複数の第1スプロケット歯59、第1内側環状体61、および、少なくとも1つの第1連結アーム63は、単一の一体部材として形成される。
【0075】
複数の第1スプロケット歯59は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第1外側環状体57の外周部57aから径方向外側に延びる。本実施形態では、複数の第1スプロケット歯59の総歯数は、26である。
【0076】
図6Cに示すように、複数の第1スプロケット歯59のそれぞれは、第1最大径方向長さL1と、第1最大軸方向長さL2と、を有する。第1最大径方向長さL1は、回転中心軸心Xに関する径方向に定義される。例えば、第1最大径方向長さL1は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第1外側環状体57の外周部57aから、複数の第1スプロケット歯59の歯先59aまでの長さである。第1外側環状体57の外周部57aは、複数の第1スプロケット歯59の歯底円57bによって定義される。
【0077】
第1最大軸方向長さL2は、回転中心軸心Xに関する軸方向に定義される。例えば、第1最大軸方向長さL2は、回転中心軸心Xに関する軸方向において、複数の第1スプロケット歯59の第1軸方向外側面47aと複数の第1スプロケット歯59の第1軸方向内側面47bとの間の最大長さである。
【0078】
第1最大軸方向長さL2は、第1外側環状体57の外周部57aの位置における、第1軸方向外側面47aと第1軸方向内側面47bとの間の最大長さである。第1最大軸方向長さL2は、第1最大径方向長さL1より短い。
【0079】
図4に示すように、第1内側環状体61は、第7のリアスプロケット47がリアハブ組立体19に装着された組立状態において、トルク伝達可能なようにリアハブ組立体19のスプロケット支持体19aに連結されるように構成される。
【0080】
図5図6A、および、図6Bに示すように、第1内側環状体61は、第1スプライン孔61aを有する。第1スプライン孔61aは、第1内側環状体61の内周面を形成する。図4に示すように、第1スプライン孔61aは、第7のリアスプロケット47がリアハブ組立体19に装着された組立状態において、リアハブ組立体19のスプロケット支持体19aに係合するように構成される。例えば、スプロケット支持体19aは筒状のスプライン軸である。
【0081】
図5図6A、および、図6Bに示すように、少なくとも1つの第1連結アーム63は、第1外側環状体57と第1内側環状体61との間で、回転中心軸心Xに関する径方向に延びる。
【0082】
図6A、および、図6Bに示すように、少なくとも1つの第1連結アーム63は、第1径方向位置RP1から第2径方向位置RP2に向けてテーパ状に形成される。例えば、少なくとも1つの第1連結アーム63は、第1径方向位置RP1から第2径方向位置RP2に向けて第1連結アーム63の第1周方向幅W1が徐々に小さくなるように、テーパ状に形成される。第1周方向幅W1の詳細は、後述される。
【0083】
図6A、および、図6Bに示すように、少なくとも1つの第1連結アーム63は、第1径方向外側ハーフセクション65と、第1径方向内側ハーフセクション67と、を有する。少なくとも1つの第1連結アーム63は、第1リベット孔69を有する。第1リベット孔69には、図4に示す第1リベット53aが挿通される。
【0084】
少なくとも1つの第1連結アーム63は、複数の第1連結アーム63を含む。好ましくは、複数の第1連結アーム63の総数は4以上である。実施形態では、複数の第1連結アーム63の総数は7である。
【0085】
図6A、および、図6Bに示すように、第1径方向外側ハーフセクション65は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第1外側環状体57と第1径方向内側ハーフセクション67との間に設けられる。第1径方向外側ハーフセクション65は、第1外側環状体57、および、第1径方向内側ハーフセクション67と一体に形成される。
【0086】
第1径方向外側ハーフセクション65は、第1周方向幅W1を有する。第1周方向幅W1は、回転中心軸心Xに関する第1径方向位置RP1で定義される。第1周方向幅W1は、回転中心軸心Xに関する第1径方向位置RP1において、回転中心軸心Xに関する周方向に延びる円弧の長さである。例えば、第1周方向幅W1は11mm以上である。第1周方向幅W1が20mm以下である。すなわち、第1周方向幅W1は、11mm以上、かつ、20mm以下である。
【0087】
図6A、および、図6Bに示すように、第1径方向内側ハーフセクション67は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第1径方向外側ハーフセクション65から径方向内側に位置する。第1径方向内側ハーフセクション67は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第1径方向外側ハーフセクション65と第1内側環状体61との間に設けられる。第1径方向内側ハーフセクション67は、第1径方向外側ハーフセクション65、および、第1内側環状体61と一体に形成される。
【0088】
第1径方向内側ハーフセクション67は、第2周方向幅W2を有する。第2周方向幅W2は、回転中心軸心Xに関する第2径方向位置RP2で定義される。第2周方向幅W2は、回転中心軸心Xに関する第2径方向位置RP2において、回転中心軸心Xに関する周方向に延びる円弧の長さである。
【0089】
例えば、第2周方向幅W2は、第1周方向幅W1より小さい。第2周方向幅W2は、5mm以上である。第2周方向幅W2は、10mm以下である。すなわち、第2周方向幅W2は、5mm以上、かつ、10mm以下である。
【0090】
図6A、および、図6Bに示すように、第1リベット孔69は、第1周方向幅W1の第1径方向位置RP1に設けられる。第1リベット孔69は、孔径D1を有する。例えば、孔径D1に対する第1周方向幅W1の比W1/D1は、2.5以上である。孔径D1に対する第1周方向幅W1の比W1/D1は、5.0以下である。
【0091】
すなわち、孔径D1に対する第1周方向幅W1の比W1/D1は、2.5以上、かつ、5.0以下である。本実施形態では、第1周方向幅W1は、13.8mmであり、孔径D1は4.73である。この場合、孔径D1に対する第1周方向幅W1の比W1/D1は、2.9である。
【0092】
上述した第7のリアスプロケット47は、ダウンシフト動作を円滑に促進するために、以下のように構成される。図7A、および、図7Bに示すように、複数の第1スプロケット歯59は、複数のダウンシフト促進歯59D1,59D2を含む。複数の第1スプロケット歯59は、追加ダウンシフト促進歯59D3をさらに含んでいてもよい。複数のダウンシフト促進歯59D1,59D2、および、追加ダウンシフト促進歯59D3は、ダウンシフト動作を促進するように構成される。ダウンシフト動作は、駆動チェーン3が、第7のリアスプロケット47に隣接する第6のリアスプロケット46から、第7のリアスプロケット47に移動する動作である。すなわち、本実施形態におけるダウンシフト動作は、駆動チェーン3が、リアスプロケット47に隣接する小スプロケット46から、リアスプロケット47に移動する動作である。
【0093】
複数のダウンシフト促進歯59D1,59D2は、ダウンシフト開始歯59D1と、ダウンシフト凹部歯59D2と、を含む。追加ダウンシフト促進歯59D3は、追加ダウンシフト凹部歯59D3を含む。ダウンシフト開始歯59D1は、ダウンシフト動作において駆動チェーン3と最初に係合するように構成される。
【0094】
例えば、ダウンシフト動作時に、駆動チェーン3のアウターリンクが追加ダウンシフト促進歯59D3に位置し、駆動チェーン3のインナーリンクがダウンシフト促進歯59D2に位置した状態で、駆動チェーン3のアウターリンクがダウンシフト開始歯59D1に最初に係合する。
【0095】
ダウンシフト開始歯59D1は、複数のダウンシフト促進歯59D1,59D2、および、追加ダウンシフト促進歯59D3の中で、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDの最も上流側に配置される。
【0096】
図7Aに示すように、ダウンシフト開始歯59D1は、駆動面59D1aと、非駆動面59D1bと、を有する。駆動面59D1aは、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDの上流側に設けられる。非駆動面59D1bは、回転中心軸心Xに関する周方向において、駆動面59D1aの反対側に設けられる。駆動面59D1a側の歯先59D1cが非駆動面59D1b側の歯先59D1dよりも軸方向内側に配置されるように、歯先59D1cの軸方向外側面は傾斜している。
【0097】
図7Bに示すように、ダウンシフト開始歯59D1は、第1軸方向凹部59D1eを有する。第1軸方向凹部59D1eは、ダウンシフト開始歯59D1の第1軸方向内側面47bに設けられる。例えば、第1軸方向凹部59D1eは、回転中心軸心Xに関する軸方向において第1軸方向内側面47bから第1軸方向外側面47aに向かって凹むように、ダウンシフト開始歯59D1の第1軸方向内側面47bに設けられる。第1軸方向凹部59D1eは、少なくともダウンシフト開始歯59D1の歯先59D1fに配置される。
【0098】
第1軸方向凹部59D1eは、凹部でも傾斜部でもよい。第1軸方向凹部59D1eは、回転中心軸心Xに関してダウンシフト開始歯59D1の歯先59D1cから径方向内側に延びていてもよい。
【0099】
図7Aに示すように、ダウンシフト凹部歯59D2は、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDに関するダウンシフト開始歯59D1の下流側で、ダウンシフト開始歯59D1に隣接して配置される。回転中心軸心Xに関する周方向において、ダウンシフト開始歯59D1とダウンシフト凹部歯59D2との間に他の第1スプロケット歯59は、配置されていない。
【0100】
図7Aに示すように、ダウンシフト凹部歯59D2は、駆動面59D2aと、非駆動面59D2bと、を有する。駆動面59D2aは、非駆動面59D2bに対して、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDの上流側に設けられる。非駆動面59D2bは、回転中心軸心Xに関する周方向において、駆動面59D2aの反対側に設けられる。
【0101】
図7Aに示すように、ダウンシフト凹部歯59D2は、第1歯先59D2cを有する。ダウンシフト凹部歯59D2は、ダウンシフト凹部71D2を有する。ダウンシフト凹部71D2は、ダウンシフト凹部歯59D2の第1軸方向外側面47aに設けられる。例えば、ダウンシフト凹部71D2は、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1軸方向外側面47aから第1軸方向内側面47bに向かって凹むように、ダウンシフト凹部歯59D2の第1軸方向外側面47aに設けられる。
【0102】
詳細には、ダウンシフト凹部71D2は、ダウンシフト第1凹部71D2aと、ダウンシフト第2凹部71D2bと、を有する。ダウンシフト第1凹部71D2a、および、ダウンシフト第2凹部71D2bのそれぞれは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1軸方向外側面47aから第1軸方向内側面47bに向かって凹むように、ダウンシフト凹部歯59D2の第1軸方向外側面47aに設けられる。
【0103】
図7Aに示すように、ダウンシフト第1凹部71D2a、および、ダウンシフト第2凹部71D2bは、回転中心軸心Xに関する周方向において並べて配置される。ダウンシフト第1凹部71D2aとダウンシフト第2凹部71D2bとの間に他の凹部が配置されることなく、ダウンシフト第1凹部71D2aとダウンシフト第2凹部71D2bとは、互いに隣接して配置される。
【0104】
ダウンシフト第1凹部71D2aは、ダウンシフト凹部歯59D2の第1歯先59D2cに到達する。ダウンシフト第1凹部71D2aは、ダウンシフト凹部歯59D2の駆動面59D2aに到達する。
【0105】
図7Aに示すように、ダウンシフト第1凹部71D2aは、第1凹部底面71D2cを有する。第1軸方向深さは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1外側環状体57の第1軸方向外側面47aから第1凹部底面71D2cまでで定義される。例えば、第1軸方向深さは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1外側環状体57の第1軸方向外側面47aから第1凹部底面71D2cまでの最大距離によって、定義される。
【0106】
図7Aに示すように、ダウンシフト第2凹部71D2bは、ダウンシフト凹部歯59D2の駆動面59D2aに到達しない。ダウンシフト第2凹部71D2bは、第2凹部底面71D2dを有する。第2軸方向深さは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1外側環状体57の第1軸方向外側面47aから第2凹部底面71D2dまでで定義される。例えば、第2軸方向深さは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1外側環状体57の第1軸方向外側面47aから第2凹部底面71D2dまでの最大距離によって定義される。第1軸方向深さは、第2軸方向深さより小さい。
【0107】
追加ダウンシフト凹部歯59D3は、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDに関するダウンシフト凹部歯59D2の下流側で、ダウンシフト凹部歯59D2に隣接して配置される。本実施形態では、ダウンシフト凹部歯59D2、および、追加ダウンシフト凹部歯59D3は、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDに並べて配置される。
【0108】
追加ダウンシフト凹部歯59D3は、駆動面59D3aと、非駆動面59D3bと、を有する。駆動面59D3aは、非駆動面59D3bに対して、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDの上流側に設けられる。非駆動面59D3bは、回転中心軸心Xに関する周方向において、駆動面59D3aの反対側に設けられる。
【0109】
図7Aに示すように、追加ダウンシフト凹部歯59D3は、第2歯先59D3cを有する。追加ダウンシフト凹部歯59D3は、追加ダウンシフト凹部71D3を有する。追加ダウンシフト凹部71D3は、追加ダウンシフト凹部歯59D3の第1軸方向外側面47aに設けられる。例えば、追加ダウンシフト凹部71D3は、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1軸方向外側面47aから第1軸方向内側面47bに向かって凹むように、追加ダウンシフト凹部歯59D3の第1軸方向外側面47aに設けられる。
【0110】
追加ダウンシフト凹部71D3は、追加ダウンシフト凹部歯59D3の第2歯先59D3cに到達する。追加ダウンシフト凹部71D3は、追加ダウンシフト凹部歯59D3の駆動面59D3a、および、被駆動面59D3bに到達する。
【0111】
上述した第7のリアスプロケット47は、アップシフト動作を円滑に促進するために、以下のように構成される。図7A、および、図7Bに示すように、複数の第1スプロケット歯59は、複数のアップシフト促進歯59U1,59U2,59U3を含む。複数の第1スプロケット歯59は、追加アップシフト促進歯59U0を含んでいてもよい。
【0112】
複数のアップシフト促進歯59U1,59U2,59U3は、アップシフト動作を促進するように構成される。追加アップシフト促進歯59U0は、アップシフト動作を促進するように構成される。アップシフト動作は、駆動チェーン3が第7のリアスプロケット47から、第7のリアスプロケット47に隣接する第6のリアスプロケット46に移動する動作である。すなわち、本実施形態におけるアップシフト動作は、駆動チェーン3がリアスプロケット47から、リアスプロケット47に隣接する小スプロケット46に移動する動作である。
【0113】
複数のアップシフト促進歯59U1,59U2,59U3は、アップシフト変位歯59U1と、アップシフト開始歯59U2と、アップシフト凹部歯59U3と、を含む。追加アップシフト促進歯59U0は、追加アップシフト変位歯59U0を含む。
【0114】
図7Aに示すように、アップシフト変位歯59U1、および、追加アップシフト変位歯59U0は、アップシフト動作において、第6のリアスプロケット46に向けて駆動チェーン3を変位させるように構成される。
【0115】
例えば、アップシフト動作時に、駆動チェーン3のインナーリンクが追加アップシフト変位歯59U0に位置し、駆動チェーン3のアウターリンクがアップシフト変位歯59U1に位置した場合、追加アップシフト変位歯59U0、および、アップシフト変位歯59U1において駆動チェーン3が第6のリアスプロケット46側に寄せられる。
【0116】
図7Bに示すように、アップシフト変位歯59U1は、第2軸方向凹部59U1aを有する。第2軸方向凹部59U1aは、アップシフト変位歯59U1の第1軸方向内側面47bに設けられる。例えば、第2軸方向凹部59U1aは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1軸方向内側面47bから第1軸方向外側面47aに向かって凹むように、アップシフト変位歯59U1の第1軸方向内側面47bに設けられる。第2軸方向凹部59U1aは、少なくともアップシフト変位歯59U1の歯先59U1bに配置される。
【0117】
追加アップシフト変位歯59U0は、駆動回転方向Rに関するアップシフト変位歯59U1の下流側において、アップシフト変位歯59U1に隣接して配置される。追加アップシフト変位歯59U0は、アップシフト変位歯の機能を有していない通常の駆動歯であってもよい。
【0118】
追加アップシフト変位歯59U0は、第3軸方向凹部59U0aを有する。第3軸方向凹部59U0aは、追加アップシフト変位歯59U0の第1軸方向内側面47bに設けられる。第3軸方向凹部59U0aは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1軸方向内側面47bから第1軸方向外側面47aに向かって凹むように、追加アップシフト変位歯59U0の第1軸方向内側面47bに設けられる。第3軸方向凹部59U0aは、少なくとも追加アップシフト変位歯59U0の歯先59U0bに配置される。
【0119】
第2軸方向凹部59U1a、および、第3軸方向凹部59U0aは、凹部でも傾斜部でもよい。第2軸方向凹部59U1aは、回転中心軸心Xに関してアップシフト変位歯59U1の歯先59U1bから径方向内側に延びていてもよい。第3軸方向凹部59U0aは、回転中心軸心Xに関して追加アップシフト変位歯59U0の歯先59U0bから径方向内側に延びていてもよい。
【0120】
図7Aに示すように、アップシフト開始歯59U2は、アップシフト動作において、駆動チェーン3から最初に離脱するように構成される。例えば、アップシフト動作時に駆動チェーン3のインナーリンクがアップシフト開始歯59U2に位置した場合、駆動チェーン3がアップシフト開始歯59U2から離脱を開始する。
【0121】
アップシフト開始歯59U2は、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDに関するアップシフト変位歯59U1の上流側で、アップシフト変位歯59U1に隣接して配置される。
【0122】
例えば、回転中心軸心Xに関する周方向において、アップシフト開始歯59U2とアップシフト変位歯59U1との間に他の第1スプロケット歯59が配置されることなく、アップシフト開始歯59U2は、第7のリアスプロケット47の駆動回転方向RDに関するアップシフト変位歯59U1の上流側で、アップシフト変位歯59U1に隣接して配置される。
【0123】
図7Aに示すように、アップシフト開始歯59U2は、アップシフト第1凹部59U2aを有する。アップシフト第1凹部59U2aは、アップシフト開始歯59U2の第1軸方向外側面47aに設けられる。例えば、アップシフト第1凹部59U2aは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第1軸方向外側面47aから第1軸方向内側面47bに向けて凹むように、アップシフト開始歯59U2の第1軸方向外側面47aに設けられる。
【0124】
図7Aに示すように、アップシフト凹部歯59U3は、アップシフト動作において、アップシフト開始歯59U2からの駆動チェーン3の離脱を補助するために、用いられる。例えば、駆動チェーン3のインナーリンクがアップシフト開始歯59U2から離脱した場合に、アップシフト凹部歯59U3は、アップシフト凹部歯59U3に対する駆動チェーン3のアウターリンクがアップシフト凹部歯59U3に係合しないように構成される。
【0125】
アップシフト凹部歯59U3は、駆動回転方向RDに関するアップシフト開始歯59U2の上流側で、アップシフト開始歯59U2に隣接して配置される。例えば、回転中心軸心Xに関する周方向において、アップシフト凹部歯59U3とアップシフト開始歯59U2との間に他の第1スプロケット歯59が配置されることなく、アップシフト凹部歯59U3は、駆動回転方向RDに関するアップシフト開始歯59U2の上流側で、アップシフト開始歯59U2に隣接して配置される。
【0126】
図7Aに示すように、アップシフト凹部歯59U3は、アップシフト第2凹部59U3aを有する。アップシフト凹部歯59U3は、アップシフト凹部歯59U3の第1軸方向外側面47aに設けられる。例えば、アップシフト第2凹部59U3aは、回転中心軸心Xに関する軸方向において第1軸方向外側面47aから第1軸方向内側面47bに向かって凹むように、アップシフト凹部歯59U3の第1軸方向外側面47aに設けられる。
【0127】
・第8のリアスプロケット
図5図8A、および、図8Bに示すように、第8のリアスプロケット48は、回転中心軸心Xと、第2軸方向外側面48aと、第2軸方向内側面48bと、を有する。回転中心軸心Xは、上述したリアスプロケット組立体27の回転中心軸心と同心である。図5、および、図8Aに示すように、第2軸方向外側面48aは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第8のリアスプロケット48の外側面を形成する。
【0128】
図5、および、図8Bに示すように、第2軸方向内側面48bは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第8のリアスプロケット48の内側面を形成する。第2軸方向内側面48bは、回転中心軸心Xに関する軸方向において、第2軸方向外側面48aの反対側に設けられる。第2軸方向内側面48bは、自転車1に装着された装着状態で、回転中心軸心Xに関する軸方向において、図2に示す軸方向中心面Pに対向するように、構成される。
【0129】
図8A、および、図8Bに示すように、第8のリアスプロケット48は、第2外側環状体58と、複数の第2スプロケット歯60と、第2内側環状体62と、少なくとも1つの第2連結アーム64と、を備える。第2外側環状体58、複数の第2スプロケット歯60、第2内側環状体62、および、少なくとも1つの第2連結アーム64は、単一の一体部材として形成される。
【0130】
複数の第2スプロケット歯60は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第2外側環状体58の外周部58aから径方向外側に延びる。本実施形態では、複数の第2スプロケット歯60の総歯数は、30である。
【0131】
図6Cに示すように、複数の第2スプロケット歯60のそれぞれは、第2最大径方向長さL3と、第2最大軸方向長さL4と、を有する。第2最大径方向長さL3は、回転中心軸心Xに関する径方向に定義される。例えば、第2最大径方向長さL3は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第2外側環状体58の外周部58aから、複数の第2スプロケット歯60の歯先60aまでの長さである。第2外側環状体58の外周部58aは、複数の第2スプロケット歯60の歯底円58bによって定義される。
【0132】
第2最大軸方向長さL4は、回転中心軸心Xに関する軸方向に定義される。例えば、第2最大軸方向長さL4は、回転中心軸心Xに関する軸方向において、複数の第2スプロケット歯60の第2軸方向外側面48aと複数の第2スプロケット歯60の第2軸方向内側面48bとの間の最大長さである。
【0133】
第2最大軸方向長さL4は、第2外側環状体58の外周部58aの位置における、第2軸方向外側面48aと第2軸方向内側面48bとの間の最大長さである。第2最大軸方向長さL4は、第2最大径方向長さL3より短い。
【0134】
図4に示すように、第2内側環状体62は、第8のリアスプロケット48がリアハブ組立体19に装着された組立状態において、トルク伝達可能なようにリアハブ組立体19のスプロケット支持体19aに連結されるように構成される。
【0135】
図5図8A、および、図8Bに示すように、第2内側環状体62は、第2スプライン孔62aを有する。第2スプライン孔62aは、第2内側環状体62の内周面を形成する。図4に示すように、第2スプライン孔62aは、第8のリアスプロケット48がリアハブ組立体19に装着された組立状態において、リアハブ組立体19のスプロケット支持体19aに係合するように構成される。例えば、スプロケット支持体19aは、筒状のスプライン軸である。
【0136】
図8A、および、図8Bに示すように、少なくとも1つの第2連結アーム64は、第2外側環状体58と第2内側環状体62との間で径方向に延びる。少なくとも1つの第2連結アーム64は、第3径方向位置RP3から第4径方向位置RP4に向けてテーパ状に形成される。例えば、少なくとも1つの第2連結アーム64は、第3径方向位置RP3から第4径方向位置RP4に向けて第2連結アーム64の第3周方向幅W3が徐々に小さくなるように、テーパ状に形成される。第3周方向幅W3の詳細は、後述される。
【0137】
図8A、および、図8Bに示すように、少なくとも1つの第2連結アーム64は、第2径方向外側ハーフセクション66と、第2径方向内側ハーフセクション68と、を有する。少なくとも1つの第2連結アーム64は、第2リベット孔70を有する。少なくとも1つの第2連結アーム64は、第3リベット孔72を有する。第2リベット孔70には、図4に示す第1リベット53aが挿通される。第3リベット孔72には、図4に示す第2リベット53bが挿通される。
【0138】
例えば、少なくとも1つの第2連結アーム64は、複数の第2連結アーム64を含む。好ましくは、複数の第2連結アーム64の総数は4以上である。実施形態では、複数の第2連結アーム64の総数は7である。
【0139】
図8A、および、図8Bに示すように、第2径方向外側ハーフセクション66は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第2外側環状体58と第2径方向内側ハーフセクション68との間に設けられる。第2径方向外側ハーフセクション66は、第2外側環状体58、および、第2径方向内側ハーフセクション68と一体に形成される。
【0140】
第1径方向外側ハーフセクション65は、第3周方向幅W3を有する。第3周方向幅W3は、回転中心軸心Xに関する第3径方向位置RP3で定義される。第3周方向幅W3は、回転中心軸心Xに関する第3径方向位置RP3において、回転中心軸心Xに関する周方向に延びる円弧の長さである。例えば、第3周方向幅W3は11mm以上である。第3周方向幅W3が20mm以下である。すなわち、第3周方向幅W3は、11mm以上、かつ、20mm以下である。
【0141】
図8A、および、図8Bに示すように、第2径方向内側ハーフセクション68は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第2径方向外側ハーフセクション66から径方向内側に位置する。第2径方向内側ハーフセクション68は、回転中心軸心Xに関する径方向において、第2径方向外側ハーフセクション66と第2内側環状体62との間に設けられる。第2径方向内側ハーフセクション68は、第2径方向外側ハーフセクション66、および、第2内側環状体62と一体に形成される。
【0142】
第2径方向内側ハーフセクション68は、第4周方向幅W4を有する。第4周方向幅W4は、回転中心軸心Xに関する第4径方向位置RP4で定義される。第4周方向幅W4は、回転中心軸心Xに関する第4径方向位置RP4において、回転中心軸心Xに関する周方向に延びる円弧の長さである。
【0143】
例えば、第4周方向幅W4は、第3周方向幅W3より小さい。第4周方向幅W4は、5mm以上である。第4周方向幅W4は、10mm以下である。すなわち、第4周方向幅W4は、5mm以上、かつ、10mm以下である。
【0144】
図8A、および、図8Bに示すように、第2リベット孔70は、第3周方向幅W3の第3径方向位置RP3に設けられる。第2リベット孔70は、孔径D2を有する。例えば、孔径D2に対する第3周方向幅W3の比W3/D2は、2.5以上である。孔径D2に対する第3周方向幅W3の比W3/D2は、5.0以下である。
【0145】
すなわち、孔径D2に対する第3周方向幅W3の比W3/D2は、2.5以上、かつ、5.0以下である。本実施形態では、第3周方向幅W3は、12.6mmであり、孔径D2は4.23である。この場合、孔径D2に対する第3周方向幅W3の比W3/D2は、3.0である。
【0146】
上述した第8のリアスプロケット48は、ダウンシフト動作を円滑に促進するために、以下のように構成される。図9A、および、図9Bに示すように、複数の第2スプロケット歯60は、複数のダウンシフト促進歯60D1,60D2を含む。複数の第2スプロケット歯60は、追加ダウンシフト促進歯60D3をさらに含んでいてもよい。
【0147】
複数のダウンシフト促進歯60D1,60D2、および、追加ダウンシフト促進歯60D3は、駆動チェーン3が、第8のリアスプロケット48に隣接する第7のリアスプロケット47から、第8のリアスプロケット48に移動するダウンシフト動作を促進するように、構成される。すなわち、本実施形態におけるダウンシフト動作は、駆動チェーン3が、リアスプロケット48に隣接する小スプロケット47から、リアスプロケット48移動する動作である。
【0148】
複数のダウンシフト促進歯60D1,60D2、および、追加ダウンシフト促進歯60D3の構成を示す図9A、および、図9Bは、図7A、および、図7Bの符号“59D”を符号“60D”に置き換え、図7Aの符号“71D”を符号“73D”に置き換えたものである。
【0149】
すなわち、複数のダウンシフト促進歯60D1,60D2、および、追加ダウンシフト促進歯60D3は、第7のリアスプロケット47の複数のダウンシフト促進歯59D1,59D2、および、追加ダウンシフト促進歯59D3と実質的に同じである。
【0150】
例えば、上述した第7のリアスプロケット47のダウンシフト動作の構成の説明において、第7のリアスプロケット47の主構造を第8のリアスプロケット48の主構造と理解した上で、第7のリアスプロケット47の符号”59D”を、符号“60D”に置き換え、第7のリアスプロケット47の符号”71D”を、符号“73D”に置き換えることによって、複数のダウンシフト促進歯60D1,60D2の構成、および、追加ダウンシフト促進歯60D3の構成は、理解できる。
このため、以下では、複数のダウンシフト促進歯60D1,60D2、および、追加ダウンシフト促進歯60D3の詳細な説明が省略される。ここで省略された説明は、第7のリアスプロケット47のダウンプシフト動作の構成の説明に準ずる。
【0151】
複数のダウンシフト促進歯60D1,60D2は、ダウンシフト開始歯60D1と、ダウンシフト凹部歯60D2と、を含む。ダウンシフト開始歯60D1は、駆動面60D1aと、非駆動面60D1bと、を有する。ダウンシフト開始歯60D1は、第1軸方向凹部60D1eを有する。
【0152】
ダウンシフト凹部歯60D2は、駆動面60D2aと、非駆動面60D2bと、を有する。ダウンシフト凹部歯60D2は、第1歯先60D2cを有する。ダウンシフト凹部歯60D2は、ダウンシフト凹部73D2を有する。ダウンシフト凹部73D2は、ダウンシフト第1凹部73D2a、および、ダウンシフト第2凹部73D2b、を含む。
【0153】
追加ダウンシフト促進歯60D3は、追加ダウンシフト凹部歯60D3を含む。追加ダウンシフト凹部歯60D3は、駆動面60D3aと、非駆動面60D3bと、を有する。追加ダウンシフト凹部歯60D3は、第2歯先60D3cを有する。追加ダウンシフト凹部歯60D3は、追加ダウンシフト凹部73D3を有する。
【0154】
上述した第8のリアスプロケット48は、アップシフト動作を円滑に促進するために、以下のように構成される。図9A、および、図9Bに示すように、複数の第2スプロケット歯60は、複数のアップシフト促進歯60U1,60U2,60U3を含む。複数の第2スプロケット歯60は、追加アップシフト促進歯60U0を含んでいてもよい。
【0155】
複数のアップシフト促進歯60U1,60U2,60U3は、アップシフト動作を促進するように構成される。追加アップシフト促進歯60U0は、アップシフト動作を促進するように構成される。アップシフト動作は、駆動チェーン3が第8のリアスプロケット48から、第8のリアスプロケット48に隣接する第7のリアスプロケット47に移動させる動作である。すなわち、本実施形態におけるアップシフト動作は、駆動チェーン3がリアスプロケット48から、リアスプロケット48に隣接する小スプロケット47に移動する動作である。
【0156】
複数のアップシフト促進歯60U1,60U2,60U3の構成、および、追加アップシフト促進歯60U0の構成を示す図9A、および、図9Bは、図7A、および、図7Bの符号“59U”を符号“60U”に置き換えたものである。
【0157】
すなわち、複数のアップシフト促進歯60U1,60U2,60U3、および、追加アップシフト促進歯60U0は、第7のリアスプロケット47の複数のアップシフト促進歯59U0,59U1,59U2,59U3と実質的に同じである。
【0158】
例えば、上述した第7のリアスプロケット47のアップシフト動作の構成の説明において、第7のリアスプロケット47の主構造を第8のリアスプロケット48の主構造と理解した上で、第7のリアスプロケット47の符号”59U”を、符号“60U”に置き換えることによって、複数のアップシフト促進歯60U1,60U2,60U3の構成、および、追加アップシフト促進歯60U0の構成は、理解できる。
このため、ここでは、複数のアップシフト促進歯60U1,60U2,60U3、および、追加ダウンシフト促進歯60U0の詳細な説明が省略される。ここで省略された説明は、第7のリアスプロケット47のアップシフト動作の構成の説明に準ずる。
【0159】
複数のアップシフト促進歯60U1,60U2,60U3、および、追加アップシフト促進歯60U0の構成は、アップシフト変位歯60U1と、アップシフト開始歯60U2と、アップシフト凹部歯60U3と、追加アップシフト促進歯60U0と、を含む。アップシフト変位歯60U1は、第2軸方向凹部60U1aを有する。アップシフト開始歯60U2は、アップシフト第1凹部60U2aを有する。アップシフト凹部歯60U3は、アップシフト第2凹部60U3aを有する。追加アップシフト変位歯60U0は、第3軸方向凹部60U0aを有する。
【符号の説明】
【0160】
1 自転車
3 駆動チェーン
19 リアハブ組立体
19a スプロケット支持体
27 リアスプロケット組立体
47 第7のリアスプロケット
47a 第1軸方向外側面
47b 第1軸方向内側面
48 第8のリアスプロケット
48a 第2軸方向外側面
48b 第2軸方向内側面
57 第1外側環状体
58 第2外側環状体
59 第1スプロケット歯
59D1 ダウンシフト促進歯、ダウンシフト開始歯
59D1a 駆動面
59D1b 非駆動面
59D1e 第1軸方向凹部
59D2 ダウンシフト促進歯、ダウンシフト凹部歯
59D2c 第1歯先
59D3 追加ダウンシフト促進歯、追加ダウンシフト凹部歯
59D3c 第2歯先
60 第2スプロケット歯
60D1 ダウンシフト促進歯、ダウンシフト開始歯
60D1a 駆動面
60D1b 非駆動面
60D1e 第1軸方向凹部
60D2 ダウンシフト促進歯、ダウンシフト凹部歯
60D2c 第1歯先
60D3 追加ダウンシフト促進歯、追加ダウンシフト凹部歯
60D3c 第2歯先
59U0 アップシフト促進歯、追加アップシフト変位歯
59U1 アップシフト促進歯、アップシフト変位歯
59U2 アップシフト促進歯、アップシフト開始歯
59U2a アップシフト第1凹部
59U3 アップシフト促進歯、アップシフト凹部歯
59U3a アップシフト第2凹部
60U0 アップシフト促進歯、追加アップシフト変位歯
60U1 アップシフト促進歯、アップシフト変位歯
60U2 アップシフト促進歯、アップシフト開始歯
60U2a アップシフト第1凹部
60U3 アップシフト促進歯、アップシフト凹部歯
60U3a アップシフト第2凹部
61 第1内側環状体
61a 第1スプライン孔
62 第2内側環状体
62a 第2スプライン孔
63 第1連結アーム
64 第2連結アーム
65 第1径方向外側ハーフセクション
66 第2径方向外側ハーフセクション
67 第1径方向内側ハーフセクション
68 第2径方向内側ハーフセクション
69 第1リベット孔
70 第2リベット孔
71D2,71D3 ダウンシフト凹部
71D2a 第1凹部底面
71D3a 第2凹部底面
73D2 ダウンシフト第1凹部
73D3 ダウンシフト第2凹部
D1,D2 孔径
L1 第1最大径方向長さ
L2 第1最大軸方向長さ
L3 第2最大径方向長さ
L4 第2最大軸方向長さ
P 軸方向中心面
RP1 第1径方向位置
RP2 第2径方向位置
RP3 第3径方向位置
RP4 第4径方向位置
W1 第1周方向幅
W2 第2周方向幅
W3 第3周方向幅
W4 第4周方向幅
X 回転中心軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B