(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149081
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】電源装置、空気調和機、及び空気調和機の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231005BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057443
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ノンタワット ルジラワロドム
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 賢治
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA05
5H770CA02
5H770DA03
5H770LA00W
5H770LA07W
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】如何なる誤配線があっても機器が故障すること無く、誤配線を検出可能な電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、第1の入力変換部と、第1のスイッチング電源回路と、第2の入力変換部と、第2のスイッチング電源回路と、保護手段とを備える。第1の入力変換部は、3相の電源線のうち1つと中性線が接続され、交流電力を直流電力に変換する。第1のスイッチング電源回路は、入力される直流電力に基づいて、インバータの駆動と制御に必要な電力を供給する。第2の入力変換部は、3相の電源線のうちの他の1つと中性線が接続され、交流電力を直流電力に変換する。第2のスイッチング電源回路は、入力される直流電力に基づいて、インバータ以外の機器の駆動と制御に必要な電力を供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相4線式交流電源からの3相の電源線のうち第1配線が第1入力端に、第2配線が第2入力端に、第3配線が第3入力端に接続され、中性線である第4配線が第4入力端に接続され、
前記3相の電源線のうち1つの配線と第4配線が接続され、交流電力を直流電力に変換する第1の入力変換部と、
入力される直流電力に基づいて、インバータの駆動と制御に必要な電力を供給する第1のスイッチング電源回路と、
前記インバータと前記第1のスイッチング電源回路を有するインバータ部と、
前記3相の電源線のうち前記第1の入力変換部に入力されたのとは別の1つの配線が接続されるとともに、前記第4配線が接続され、交流電力を直流電力に変換する第2の入力変換部と、
入力される直流電力に基づいて、前記インバータ以外の機器の駆動と制御に必要な電力を供給する第2のスイッチング電源回路と、
前記第4配線が、前記第1入力端と前記第2入力端と前記第3入力端のうちのいずれか一つに接続された接続状態である誤接続を検出し、前記誤接続を検出した時に、前記インバータの駆動を停止する保護処理を実行する保護手段と、
を備える電源装置。
【請求項2】
前記インバータ部は、第1の基板に設けられ、
前記保護手段及び前記第2のスイッチング電源回路は、前記第1の基板とは異なる第2の基板に設けられる
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1の基板は、前記前記第1のスイッチング電源回路が供給する電力により動作し、前記インバータ部の処理を統括的に制御する第1の制御部を備え、
前記第2の基板は、前記第2のスイッチング電源回路が供給する電力により動作し、前記第1の制御部と通信可能で、前記保護手段の処理を統括的に制御する第2の制御部を備える
請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第2の制御部は、前記第1配線と前記第2配線と前記第3配線のそれぞれと、前記第1入力端と前記第2入力端と前記前記第3入力端との間で誤接続を検出した時に、前記保護手段による保護処理を実行しない
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第2の制御部は、前記第1入力端、前記第2入力端、前記第3入力端、前記第4入力端の1つ以上に前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線、前記第4配線のいずれも接続されていない場合に、前記保護手段による保護処理を実行させる
請求項3に記載の電源装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の電源装置を用いた空気調和機。
【請求項7】
3相4線式交流電源からの第1配線、第2配線、第3配線が第1入力端、第2入力端、第3入力端に接続されるとともに、中性線である第4配線が第4入力端に接続され、前記3相4線式交流電源からの3相の電源線のうち1つの配線と前記第4配線が接続され、交流電力を直流電力に変換する入力変換部と、入力される直流電力に基づいて、インバータの駆動と制御に必要な電力を供給するスイッチング電源回路とを有する第1の基板と、制御部を有する第2の基板と、を備える空気調和機の制御方法であって、
前記制御部が、前記第4配線が、前記第1入力端と前記第2入力端と前記第3入力端のうちのいずれか一つに接続された接続状態である誤接続を検出することと、
前記誤接続のうち前記第1配線と前記第2配線と前記第3配線のそれぞれと、前記第1入力端と前記第2入力端と前記前記第3入力端との間で誤接続を検出した時に、前記制御部が前記インバータの駆動を停止する保護処理を実行しないことと、
前記誤接続のうち前記第1入力端、前記第2入力端、前記第3入力端、前記第4入力端の1つ以上に前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線、前記第4配線のいずれも接続されていない場合に、前記制御部が前記保護処理を実行することと
を含む、空気調和機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、空気調和機、及び空気調和機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の圧縮機の駆動に用いられるインバータ回路には、例えば3相4線式交流電源が接続される。この3相4線式交流電源は、複数の相を有するものであり、複数の相のうち何れかの相が断線などにより欠相する不具合が発生する場合がある。
特許文献1には、欠相がない場合のしきい値に基づいて、負荷に流れる電流を電流センサが検出し、この検出信号としきい値とを比較して、欠相の有無を判定する判定システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、欠相は判定できるが、しきい値による欠相のみの判定で、誤配線を検出できない。
【0005】
本発明は、従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、如何なる誤配線があっても機器が故障すること無く、誤配線を検出可能な電源装置、空気調和機、及び空気調和機の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、3相4線式交流電源からの3相の電源線のうち第1配線が第1入力端に、第2配線が第2入力端に、第3配線が第3入力端に接続され、中性線である第4配線が第4入力端に接続され、前記3相の電源線のうち1つの配線と第4配線が接続され、交流電力を直流電力に変換する第1の入力変換部と、入力される直流電力に基づいて、インバータの駆動と制御に必要な電力を供給する第1のスイッチング電源回路と、前記インバータと前記第1のスイッチング電源回路を有するインバータ部と、前記3相の電源線のうち前記第1の入力変換部に入力されたのとは別の1つの配線が接続されるとともに、前記第4配線が接続され、交流電力を直流電力に変換する第2の入力変換部と、入力される直流電力に基づいて、前記インバータ以外の機器の駆動と制御に必要な電力を供給する第2のスイッチング電源回路と、前記第4配線が、前記第1入力端と前記第2入力端と前記第3入力端のうちのいずれか一つに接続された接続状態である誤接続を検出し、前記誤接続を検出した時に、前記インバータの駆動を停止する保護処理を実行する保護手段と、を備える電源装置、が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上記電源装置を用いた空気調和機が提供される。
【0007】
さらに、本発明の他の態様によれば、3相4線式交流電源からの第1配線、第2配線、第3配線が第1入力端、第2入力端、第3入力端に接続されるとともに、中性線である第4配線が第4入力端に接続され、前記3相4線式交流電源からの3相の電源線のうち1つの配線と前記第4配線が接続され、交流電力を直流電力に変換する入力変換部と、入力される直流電力に基づいて、インバータの駆動と制御に必要な電力を供給するスイッチング電源回路とを有する第1の基板と、制御部を有する第2の基板と、を備える空気調和機の制御方法であって、前記制御部が、前記第4配線が、前記第1入力端と前記第2入力端と前記第3入力端のうちのいずれか一つに接続された接続状態である誤接続を検出することと、前記誤接続のうち前記第1配線と前記第2配線と前記第3配線のそれぞれと、前記第1入力端と前記第2入力端と前記前記第3入力端との間で誤接続を検出した時に、前記制御部が前記インバータの駆動を停止する保護処理を実行しないことと、前記誤接続のうち前記第1入力端、前記第2入力端、前記第3入力端、前記第4入力端の1つ以上に前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線、前記第4配線のいずれも接続されていない場合に、前記制御部が前記保護処理を実行することとを含む、空気調和機の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、如何なる誤配線があっても機器が故障すること無く、誤配線を検出可能な電源装置、空気調和機、及び空気調和機の制御方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る空気調和機の一例を示す構成図である。
【
図2】
図1に示したマイクロプロセッサの構成を示すブロック図である。
【
図3】比較例として以前に考えられた電源装置の構成を示す構成図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態において、位相検出回路で検出される検出信号の信号波形図である。
【
図5】第2の実施形態において、記憶部に記憶される位相検出パターンの第1のテーブルを示す図である。
【
図6】第2の実施形態において、記憶部に記憶される位相検出パターンの第2のテーブルを示す図である。
【
図7】第2の実施形態におけるマイクロプロセッサの電源投入時の制御処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態におけるマイクロプロセッサの運転開始時の制御処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものである。
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る空気調和機1の一例を示す構成図である。本発明に直接関係ない熱交換器や弁などの空気調和機の構成部品は図示と説明を省略する。空気調和機1は、電源装置10と、例えば室外機の圧縮機20とを備えている。電源装置10は、外部から3相4線式交流電源(図示せず)によって供給される3相の商用交流電力の出力を、駆動電力に変換して圧縮機20に供給する。
【0012】
電源装置10は、フィルタ基板11と、圧縮機20が接続されたインバータ基板(第1の基板)12と、メイン基板(第2の基板)13とを備えている。フィルタ基板11には、4個の入力端111,112,113,114が設けられる。入力端(第1入力端)111には、3相4線式交流電源からの3相の電源線のうち配線(第1配線)L1が接続される。入力端(第2入力端)112には、3相4線式交流電源からの3相の電源線のうち配線(第2配線)L2が接続される。入力端(第3入力端)113には、3相4線式交流電源からの3相の電源線のうち配線(第3配線)L3が接続される。入力端(第4入力端)114には、3相4線式交流電源からの中性線である配線(第4配線)Nが接続される。
また、フィルタ基板11には、フィルタ部115が設けられる。フィルタ部115は、配線L1,L2,L3,Nを伝わるノイズを抑制する。
【0013】
インバータ基板12には、図示しないコンバータと、IPM(インバータ)121と、コンバータ回路(第1の入力変換部)122と、スイッチング電源回路(第1のスイッチング電源回路)123と、マイクロプロセッサ(第1の制御部)124とが設けられる。IPM121には、フィルタ部115を介して入力端111と接続される配線L11と、入力端112と接続される配線L22と、入力端113と接続される配線L33とがそれぞれ接続される。IPM121は、フィルタ部115から配線L11,L22,L33を介して供給される交流電力を、圧縮機20を回転駆動するモータに供給する。
【0014】
コンバータ回路122には、フィルタ部115を介して入力端111に接続される配線L11と、入力端114に接続される配線NNがそれぞれ接続される。コンバータ回路122は、フィルタ部115から供給される交流電力を直流電力に変換する。スイッチング電源回路123は、コンバータ回路122から供給される直流電力に基づいて、IPM121及びマイクロプロセッサ124に対しIPM121の駆動と制御に必要な電力を供給する。なお、IPM121及びスイッチング電源回路123は、インバータ部を構成する。
【0015】
マイクロプロセッサ124は、スイッチング電源回路123が供給する電力により動作し、メイン基板13と通信し、IPM121の処理を含む圧縮機20の駆動に係わる機器の処理を統括的に制御する。ここで、統括的に制御することは、マイクロプロセッサ124がIPM121の処理に加えて、メイン基板13との通信処理、インバータ基板12に搭載される圧縮機20の駆動回路の処理を一括で管理し制御することである。
メイン基板13には、コンバータ回路(第2の入力変換部)133と、スイッチング電源回路(第2のスイッチング電源回路)134と、マイクロプロセッサ(第2の制御部)135とが設けられる。
【0016】
位相検出回路131には、フィルタ部115の出力端を介して入力端111に接続される配線L11,入力端113に接続される配線L33,入力端114に接続される配線NNがそれぞれ接続される。位相検出回路131は、配線Nが、入力端111と入力端112と入力端113のいずれか一つとの接続状態である誤接続を検出する。また、位相検出回路131は、配線L1と配線L2と配線L3のそれぞれと、入力端111と入力端112と入力端113との間の誤接続を検出する。誤接続保護部132は、位相検出回路131による検出結果に基づいて、誤接続の検出時に、例えばインバータ基板12に設けられるマイクロプロセッサ124と通信を行い、IPM121の駆動を停止する保護処理を実行する。
【0017】
コンバータ回路133には、フィルタ部115を介して入力端113に接続される配線L33,入力端114に接続される配線NNがそれぞれ接続される。コンバータ回路133は、フィルタ部115から供給される交流電力を直流電力に変換する。スイッチング電源回路134は、コンバータ回路133から供給される直流電力に基づいて、位相検出回路131、誤接続保護部132及びマイクロプロセッサ135の駆動及び制御に必要な電力を供給する。また、メイン基板13には、例えば室外機(図示せず)の内部の制御機器である、膨張弁コイル、電磁弁コイル、ベースヒータ、ベルトヒータ、四方弁コイル等が接続される。これら制御機器は、スイッチング電源回路134から供給される電力により動作する。
【0018】
マイクロプロセッサ135は、スイッチング電源回路134が供給する電力により動作し、インバータ基板12と通信し、誤接続保護部132の処理を含み例えば室外機の内部の制御機器の処理を統括的に制御する。ここで、統括的に制御することは、マイクロプロセッサ135が誤接続保護部132の処理に加えて、インバータ基板12との通信処理、メイン基板13に接続される制御機器の処理を一括で管理し制御することである。
【0019】
マイクロプロセッサ135は、
図2に示すように、CPU301と、記憶部302と、センサ入力部303と、機器インタフェース304と、通信インタフェース305とを備えている。このうち記憶部302、機器インタフェース304、通信インタフェース305は、CPU301に対し制御バス306を介して相互に接続されている。また、制御バス306には、例えば室外機の内部の制御機器を接続する機器インタフェースも接続される。
【0020】
記憶部302は、ROMやRAMで構成されており、制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機20の制御状態等を記憶している。機器インタフェース304は、例えば誤接続保護部132との通信を行うインタフェースである。通信インタフェース305は、インバータ基板12のマイクロプロセッサ124との通信を行うインタフェースである。センサ入力部303は、位相検出回路131での検出結果を取り込んでCPU301に出力する。
CPU301は、記憶部302に記憶された制御プログラム及び各種データに従って動作し、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、誤接続保護部132の制御やインバータ基板12のマイクロプロセッサ124との通信を行う。
【0021】
<実施形態の比較例>
図3は、比較例として以前に考えられた空気調和機1-1の電源装置10-1の構成を示す構成図である。
図3において、上記
図1と同一部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図3において、インバータ基板12のコンバータ回路122には、フィルタ部115を介して入力端113に接続される配線L33,入力端114に接続される配線NNがそれぞれ接続される。また、メイン基板13のコンバータ回路133には、フィルタ部115を介して入力端113に接続される配線L33,入力端114に接続される配線NNがそれぞれ接続される。
【0022】
ここで、配線L1,L2,L3と入力端111,112,113間で誤接続が発生した場合、空気調和機1-1の動作を停止するようにしていたが、3相4線式交流電源からの中性線である配線Nが例えば入力端111に誤接続されてしまうと、メイン基板13の位相検出回路131で誤接続を検出できず、スイッチング電源回路123及びスイッチング電源回路134に過電圧が発生してしまい、IPM121を含むインバータ基板12の搭載機器もしくは圧縮機20が故障する可能性がある。この問題を解決するには、位相検出回路131を大幅に変更したり、ソフトウェアを変更したりする必要がある。
このため、誤接続を直すまで空気調和機1-1を動かせないという不具合がある。
【0023】
<第1の実施形態による解決手段>
そこで、第1の実施形態では、インバータ基板12のコンバータ回路122に、フィルタ部115を介して入力端111に接続される配線L11,入力端114に接続される配線NNをそれぞれ接続し、メイン基板13のコンバータ回路133に、フィルタ部115を介して入力端113に接続される配線L33,入力端114に接続される配線NNをそれぞれ接続するようにしている。
【0024】
ここで、例えば3相4線式交流電源からの中性線である配線Nが入力端111に誤接続され、配線L1が入力端114に誤接続された場合に、インバータ基板12のスイッチング電源回路123は動作するが、メイン基板13のスイッチング電源回路134は動作しなくなる。このため、マイクロプロセッサ135が動作しないことにより、インバータ基板12のマイクロプロセッサ124との間に通信エラーが発生し、誤配線があると判断することができる。
【0025】
<第1の実施形態による作用効果>
以上のように第1の実施形態によれば、3相4線式交流電源からの3相の電源線のうちの配線L1が接続される入力端111にフィルタ部115を介して接続される配線L11と、中性線である配線Nが接続される入力端114にフィルタ部115を介して接続される配線NNとをインバータ基板12のコンバータ回路122を介してスイッチング電源回路123に接続し、3相の電源線のうちの配線L3が接続される入力端113にフィルタ部115を介して接続される配線L33と、配線Nが接続される入力端114にフィルタ部115を介して接続される配線NNとをメイン基板13のコンバータ回路133を介してスイッチング電源回路134に接続することで、インバータ基板12のスイッチング電源回路123とメイン基板13のスイッチング電源回路134とを分離することができる。
【0026】
したがって、インバータ基板12のスイッチング電源回路123とメイン基板13のスイッチング電源回路134に同じ配線L33,NNを接続した場合と異なり、配線Nが、入力端111と入力端112と入力端113のいずれかに誤接続されたとしても機器が故障することがなくなる。
【0027】
また、第1の実施形態によれば、インバータ基板12のスイッチング電源回路123とメイン基板13のスイッチング電源回路134とを分離することができるので、配線Nが、入力端111と入力端112と入力端113のいずれかに誤接続された場合に、マイクロプロセッサ124及びマイクロプロセッサ135の少なくとも一方が動作しないことにより通信エラーが発生し、これにより配線Nが、入力端111と入力端112と入力端113のいずれかに誤接続されたと判断できる。
【0028】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例で、空気調和機1の動作に影響が無いような配線の誤接続の場合に、動作を継続できるようにしたものである。また、欠相時に、後述のように対処できるようにしたものである。第2の実施形態では、メイン基板13に位相検出回路(保護手段)131と、誤接続保護部(保護手段)132が接続される。
【0029】
図4は、本発明の第2の実施形態において、位相検出回路131で検出される検出信号の信号波形図である。位相検出回路131のレベルシフト手段によってHiかLoかの信号をマイクロプロセッサ135に送る。よって、
図5は、第2の実施形態において、記憶部302に記憶される位相検出パターンの第1のテーブル400を示す図である。
図4では、N相の欠相時に、配線L1と配線Nとの電位差に相当する検出信号(L1-N)が、位相が90度、150度でハイレベル(Hi)となり、210度、270度、330度でローレベル(Lo)となる。
【0030】
そこで、本第2の実施形態では、記憶部302に、N相の欠相時(N phase loss)の位相検出パターン410を記憶した第1のテーブル400を設けておくようにする。第1のテーブル400は、パターン名と、位相差と、検出信号との対応関係を表す情報を記憶する。パターン名と、配線L1と配線L3の位相差と、配線L1と配線Nとの電位差に相当する検出信号との対応関係を表す情報を記憶する。マイクロプロセッサ135は、位相検出回路131から送られる検出信号を第1のテーブル400に当てはめて配線L1と配線L3の位相差と配線パターンを割り出す。パターン名としては、位相検出パターン410の「N欠相」の他に、「3相4線式正相」、「3相4線式逆相」を示す情報が記憶される。なお、「N欠相」は、配線Nだけがいずれかの入力端に接続されていない状態である。「3相4線式正相」の場合、位相差は120度であり、検出信号は位相が90度でハイレベル(Hi)、150度、210度、270度でローレベル(Lo)、330度でハイレベル(Hi)となる。「3相4線式逆相」の場合、位相差は240度であり、検出信号は位相が90度、150度、210度でハイレベル(Hi)となり、270度、330度でローレベル(Lo)となる。「3相4線式逆相」の場合、位相差が240度である状態を示す。
【0031】
図6に示す第2のテーブル500は、配線の誤接続の組合せと第1のテーブル400により検出した配線パターンを表にして可視化したものである。第2のテーブル500は、配線誤接続の組み合わせと、その場合の位相検出回路の検出結果と、接続状態と、配線L1と配線L3の位相差との対応関係を表す情報を記憶する。組み合わせとしては、「正常」、「誤接続」を示す情報が記憶される。「正常」の場合、入力端111に配線L1が接続され、入力端112に配線L2が接続され、入力端113に配線L3が接続され、入力端114に配線Nが接続される。また、「正常」の場合、接続状態は「正相接続」であり、位相差は120度である。
【0032】
「誤接続」はその組合せによっていくつかに分類され、以下の組合せの誤接続(1)は、接続状態は「正相接続」であり、位相差は120度である。これは、第1のテーブル400で示す「3相4線式正相」に当てはまる。
(i)入力端111に配線L2が接続され、入力端112に配線L3が接続され、入力端113に配線L1が接続され、入力端114に配線Nが接続される。
(ii)入力端111に配線L3が接続され、入力端112に配線L1が接続され、入力端113に配線L2が接続され、入力端114に配線Nが接続される。
【0033】
一方、「誤接続」の場合のうち、以下の組合せの誤接続(2)は、接続状態は「逆相接続」であり、位相差は240度である。これは、第1のテーブル400で示す「3相4線式逆相」当てはまる。
(i)入力端111に配線L1が接続され、入力端112に配線L3が接続され、入力端113に配線L2が接続され、入力端114に配線Nが接続される。
(ii)入力端111に配線L2が接続され、入力端112に配線L1が接続され、入力端113に配線L3が接続され、入力端114に配線Nが接続される。
(iii)入力端111に配線L3が接続され、入力端112に配線L2が接続され、入力端113に配線L1が接続され、入力端114に配線Nが接続される。
【0034】
さらに、「誤接続」の場合のうち、以下の組合せの誤接続(3)は、接続状態は「N相誤接続」であり、位相差は30度、60度、300度、330度のいずれか1つである。
(i)入力端111に配線L1が接続され、入力端112に配線L2が接続され、入力端113に配線Nが接続され、入力端114に配線L3が接続される。また、入力端112には配線L3が接続される場合もあり、配線Nが接続される場合もある。また、入力端113には配線L2が接続される場合もあり、配線L3が接続される場合もある。さらに、入力端114には配線L2が接続される場合もあり、配線Nが接続される場合もある。
【0035】
(ii)入力端111に配線L2が接続され、入力端112に配線L1が接続され、入力端113に配線Nが接続され、入力端114に配線L3が接続される。また、入力端112には配線L3が接続される場合もあり、配線Nが接続される場合もある。また、入力端113には配線L1が接続される場合もあり、配線L3が接続される場合もある。さらに、入力端114には配線L1が接続される場合もあり、配線Nが接続される場合もある。
【0036】
(iii)入力端111に配線L3が接続され、入力端112に配線L1が接続され、入力端113に配線Nが接続され、入力端114に配線L2が接続される。また、入力端112には配線L2が接続される場合もあり、配線Nが接続される場合もある。また、入力端113には配線L1が接続される場合もあり、配線L2が接続される場合もある。さらに、入力端114には配線L1が接続される場合もあり、配線Nが接続される場合もある。
【0037】
(iv)入力端111に配線Nが接続され、入力端112に配線L1が接続され、入力端113に配線L2が接続され、入力端114に配線L3が接続される。また、入力端112には配線L2が接続される場合もあり、配線L3が接続される場合もある。また、入力端113には配線L1が接続される場合もあり、配線L3が接続される場合もある。さらに、入力端114には配線L1が接続される場合もあり、配線L2が接続される場合もある。
【0038】
(マイクロプロセッサ135の制御処理)
図7は、第2の実施形態に係るメイン基板13のマイクロプロセッサ135の電源投入時の制御処理手順を示すフローチャートである。
まず、マイクロプロセッサ135は、スイッチング電源回路134がオンされたか否かを監視しており(ステップST6a)、スイッチング電源回路134がオンされると(ステップST6a-Yes)、インバータ基板12のマイクロプロセッサ124と通信を行うが、通信エラーを検出したかを判定する(ステップST6b)。通信エラーの検出では、第1の実施形態と同様に配線Nが含まれた誤接続を検出することにより行う。つまり
図6の第2のテーブル500に記載の組合せのうち、「N相誤接続」の場合に通信エラーを検出する。通信エラーを検出した場合(ステップST6b-Yes)、マイクロプロセッサ135は空気調和機1全体の動作を停止させる。通信エラーを検出しなかった場合(ステップST6b-No)、位相検出回路131からの検出信号を記憶部302の第1のテーブル400中の位相検出パターンと比較し(ステップST6c)、配線L1,配線L2,配線L3の誤接続であるか否かの判断を行う(ステップST6d)。
【0039】
ここでいう配線L1,配線L2,配線L3の誤接続とは、
図6の第2のテーブル500における「誤接続」のうち、「正相接続」と「逆相接続」計5パターンが当てはまる。上記誤接続の場合、例えば配線L1と配線Nとの差に相当する検出信号(L1-N)が、90度、150度、210度でハイレベル(Hi)となり、270度、330度でローレベル(Lo)となる。
【0040】
そして、配線L1,配線L2,配線L3の誤接続であると判断した場合(ステップST6d-Yes)、マイクロプロセッサ135は誤接続保護部132の動作を停止し(ステップST6e)、運転開始、つまり圧縮機20のモータを駆動させる(ステップST6h)。一方、配線L1,配線L2,配線L3の誤接続でないと判断した場合(ステップST6d-No)、マイクロプロセッサ135は欠相であるか否かの判断を行う(ステップST6f)。マイクロプロセッサ135は、位相検出回路131から信号を受信できない場合、欠相であると判断を行う。また、N相が欠相している場合、第1のテーブル400の位相検出パターン410を検出し、欠相であると判断を行う。
【0041】
ここでいう欠相とは、入力端111、入力端112、入力端113、入力端114のうちどれか1つに配線L1,L2,L3,Nのいずれも接続されていないことである。ただし、本第2の実施形態において、配線L2には電圧を検出する回路が接続されないため、配線L2のみが欠相するパターンは圧縮機20の起動後の後述するステップST8fにて判定を行う。
そして、欠相であると判断した場合(ステップST6f-Yes)、マイクロプロセッサ135は誤接続保護部132の動作を継続させて空気調和機1全体の動作を停止し(ステップST6g)、処理を終了する。
【0042】
一方、欠相でないと判断した場合(ステップST6f-No)、マイクロプロセッサ135は、ステップST6eに処理を移行する。また、ステップST6aにおいて、スイッチング電源回路134がオフの場合(ステップST6a-No)、マイクロプロセッサ135は処理を終了する。
【0043】
図8は、第2の実施形態に係るメイン基板13のマイクロプロセッサ135の運転開始時の制御処理手順を示すフローチャートである。ここでは、ステップST6hの詳細な処理手順を示す。
まず、マイクロプロセッサ135は、圧縮機20のモータが駆動しているか否かの判断を行う(ステップST8a)。ここでは、上記ステップST6hで運転開始を行っているので(ステップST8a-Yes)、マイクロプロセッサ135は、インバータ基板12のマイクロプロセッサ124と通信を行い、通信エラーを検出したか否かの判断を行う(ステップST8b)。ここで、通信エラーを検出した場合(ステップST8b-Yes)、マイクロプロセッサ135は、ステップST8aに処理を戻す。
【0044】
一方、通信エラーを検出しなかった場合(ステップST8b-No)、マイクロプロセッサ135は、位相検出回路131からの検出信号を記憶部302の第2の第2のテーブル500中の位相検出パターンと比較し(ステップST8c)、配線L1,配線L2,配線L3の誤接続であるか否かの判断を行う(ステップST8d)。
【0045】
ここでいう配線L1,配線L2,配線L3の誤接続とは、
図6の第2のテーブル500における「誤接続」のうち、「正相接続」と「逆相接続」の計5パターンが当てはまる。正相接続の場合、例えば配線L1と配線Nとの差に相当する検出信号(L1-N)が、位相が90度でハイレベル(Hi)となり、150度、210度、270度でローレベル(Lo)となり、330度でハイレベルとなる。逆相接続の場合、例えば配線L1と配線Nとの差に相当する検出信号(L1-N)が、位相が90度、150度、210度でハイレベル(Hi)となり、270度、330度でローレベル(Lo)となる。
【0046】
そして、誤接続であると判断した場合(ステップST8d-Yes)、マイクロプロセッサ135は外部の表示部(図示せず)に誤接続の結果を表示し(ステップST8e)、ステップST8aに処理を戻す。具体的には、入力端111に配線L2が接続され、入力端112に配線L3が接続され、入力端113に配線L1が接続されている場合、「L2,L3,L1,N:正相接続:120度」と表示部に表示する。また、入力端111に配線L3が接続され、入力端112に配線L1が接続され、入力端113に配線L2が接続されている場合、「L3,L1,L2,N:正相接続:120度」と表示部に表示する。さらに、入力端111に配線L1が接続され、入力端112に配線L3が接続され、入力端113に配線L2が接続されている場合、「L1,L3,L2,N:逆相接続:240度」と表示部に表示する。
【0047】
一方、誤接続でないと判断した場合(ステップST8d-No)、マイクロプロセッサ135は配線L2も含め欠相であるか否かの判断を行う(ステップST8f)。
そして、欠相であると判断した場合(ステップST8f-Yes)、マイクロプロセッサ135は誤接続保護部132を動作させて空気調和機1全体の動作を停止し(ステップST8g)、処理を終了する。
【0048】
一方、欠相でないと判断した場合(ステップST8f-No)、マイクロプロセッサ135はステップST8eに処理を移行する。また、ステップST8aにおいて、スイッチング電源回路134がオフの場合(ステップST8a-No)、マイクロプロセッサ135は処理を終了する。
【0049】
<第2の実施形態による作用効果>
以上のように第2の実施形態によれば、配線L1と配線L2と配線L3のそれぞれと、入力端111と入力端112と入力端113との間で誤接続を検出した時に、機器が故障しないため、エラーとして検出しないことで、各配線の接続を直さなくても空気調和機1を継続して動作させることができる。
【0050】
また、第2の実施形態によれば、入力端111、入力端112、入力端113、入力端114の1つに配線L1,L2,L3,Nのいずれも接続されていない場合に、欠相と判断して、空気調和機1の駆動を停止することができる。
さらに、第2の実施形態によれば、空気調和機1の運転開始において、外部の表示部に誤接続の結果を表示するようにしているので、使用者は、表示部を見て、配線L1と配線L2と配線L3のそれぞれと、入力端111と入力端112と入力端113との間で誤接続が正相接続であるのか逆相接続であるのか、どの配線がどの入力端に誤接続されているのかを把握することができる。
【0051】
<その他の実施形態>
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。上記の第1及び第2の実施形態が開示する技術内容の趣旨を理解すれば、当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が本発明に含まれ得ることが明らかとなろう。また、第1及び第2の実施形態がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。例えば、複数の異なる実施形態がそれぞれ開示する構成を組み合わせてもよく、同一の実施形態の複数の異なる変形例がそれぞれ開示する構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1-1 空気調和機
10,10-1 電源装置
11 フィルタ基板
12 インバータ基板(第1の基板)
121 IPM
13 メイン基板(第2の基板)
20 圧縮機
111 入力端(第1入力端)
112 入力端(第2入力端)
113 入力端(第3入力端)
114 入力端(第4入力端)
115 フィルタ部
122 コンバータ回路(第1の入力変換部)
123 スイッチング電源回路(第1のスイッチング電源回路)
124 マイクロプロセッサ(第1の制御部)
131 位相検出回路(保護手段)
132 誤接続保護部(保護手段)
133 コンバータ回路(第2の入力変換部)
134 スイッチング電源回路(第2のスイッチング電源回路)
135 マイクロプロセッサ(第2の制御部)
301 CPU
302 記憶部
303 センサ入力部
304 機器インタフェース
305 通信インタフェース
306 制御バス
400 第1のテーブル
410 位相検出パターン
500 第2のテーブル