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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149082
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】パイプ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 21/04 20060101AFI20231005BHJP
   B23D 21/00 20060101ALI20231005BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20231005BHJP
   B24B 23/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B23D21/04
B23D21/00 E
B23D21/00 510Z
B24B23/02
B24B23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057444
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】久野 彰義
(72)【発明者】
【氏名】秦野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】吉良 英訓
(72)【発明者】
【氏名】酒井 隆佳
(72)【発明者】
【氏名】川底 健
(72)【発明者】
【氏名】吉野 怜
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA02
3C158AA13
3C158AB04
3C158CA01
3C158CB04
(57)【要約】
【課題】パイプの切断作業や面取作業をよりスムーズに行うことができ、且つ、パイプを加工する工具の向きを変更可能とするための構成が簡素なパイプ加工装置を提供する。
【解決手段】パイプ加工装置100は、ホールド台座110をパイプPの周方向Cに回転可能に取り付けるローラチェーン120と、ホールド台座110に連結されるとともに、ホールド台座110に対してパイプPの中心軸線PCLと平行な回転軸線133CL回りを回転可能に構成された工具台座130と、を有する。工具台座130において工具1のハウジング2を保持する保持部132は、ハウジング2の中心軸線2CLがパイプPの中心軸線PCLに対してねじれの配置となるように、且つ、ハウジング2をハウジング2の中心軸線2CL回りに位置調整可能に保持する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールド台座と、
前記ホールド台座をパイプに対して前記パイプの周方向に回転可能に取り付ける回転支持部材と、
前記ホールド台座と前記周方向に連動回転可能に連結されるとともに、前記ホールド台座に対して前記パイプの中心軸線と平行な回転軸線回りを回転可能に構成され、且つ、前記パイプを加工する工具が取り付けられる工具台座と、
を備え、
前記工具台座は、前記工具のハウジングを保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記ハウジングの中心軸線が前記パイプの前記中心軸線に対してねじれの配置となるように、且つ、前記ハウジングを前記ハウジングの中心軸線回りに位置調整可能に保持する、パイプ加工装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記工具の前記ハウジングが前記保持部に取り付けられているときにおける前記ハウジングの径方向に沿って前記工具の前記ハウジングを着脱するための開口を有しており、
前記保持部へ前記工具のハウジングを取り付ける取付部材をさらに備えている、請求項1に記載のパイプ加工装置。
【請求項3】
前記回転支持部材は、前記パイプの軸方向に離隔して配置されテンションを付与された状態で前記パイプに巻き付けられる一対のローラチェーンであって、前記パイプと転がり接触するローラを含む、請求項1または請求項2に記載のパイプ加工装置。
【請求項4】
前記ホールド台座と前記工具台座とを前記周方向に連動回転可能に、且つ、前記ホールド台座に対して前記工具台座を位置調整可能に前記ホールド台座と前記工具台座とを連結する連結部をさらに備えている、請求項1~請求項3の何れか1項に記載のパイプ加工装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記工具台座を前記ホールド台座に対して前記パイプの中心軸線と平行な軸線回りに回転可能に前記ホールド台座と前記工具台座とを連結する、請求項4に記載のパイプ加工装置。
【請求項6】
前記連結部は、前記ホールド台座に対して前記工具台座を前記パイプの外周面に近づく方向および遠ざかる方向に直線移動可能に前記ホールド台座と前記工具台座とを連結する、請求項4に記載のパイプ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプの切断および面取を行うための装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置は切断対象となる管の径方向外周面に当接される断面山形の位置決め部材(2)と、管の切断と面取りを行なうディスクカッタ(9)を備えた動力カッタ工具(1)と、動力カッタ工具(1)を位置決め部材(2)に支持させる支持アーム(3)とからなる。支持アーム(3)はその一端に、管の軸線に対して直角方向に延びる軸受(3a)を備え、動力カッタ工具(1)を、この軸受に挿入されるシャフト(13)を介して、ディスクカッタの回転軸が切断対象となる管の軸線に対して直交する切断角度と傾斜する面取り角度とをとれるように支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4849836号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、管の切断作業に伴って管を切断する位置が管の周方向に移動するが、この移動に伴って位置決め部材(2)を都度管に対して手で移動させる手間がかかる。また、電動カッタ工具(1)のディスクカッタ(9)を管切断時の向きと管の面取時の向きとに変更するための機構が複雑である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みることにより、パイプの切断作業や面取作業をよりスムーズに行うことができ、且つ、パイプを加工する工具の向きを変更可能とするための構成が簡素なパイプ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記のパイプ加工装置を要旨とする。
【0007】
(1)ホールド台座と、
前記ホールド台座をパイプに対して前記パイプの周方向に回転可能に取り付ける回転支持部材と、
前記ホールド台座と前記周方向に連動回転可能に連結されるとともに、前記ホールド台座に対して前記パイプの中心軸線と平行な回転軸線回りを回転可能に構成され、且つ、前記パイプを加工する工具が取り付けられる工具台座と、
を備え、
前記工具台座は、前記工具のハウジングを保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記ハウジングの中心軸線が前記パイプの前記中心軸線に対してねじれの配置となるように、且つ、前記ハウジングを前記ハウジングの中心軸線回りに位置調整可能に保持する、パイプ加工装置。
【0008】
(2)前記保持部は、前記工具の前記ハウジングが前記保持部に取り付けられているときにおける前記ハウジングの径方向に沿って前記工具の前記ハウジングを着脱するための開口を有しており、
前記保持部へ前記工具のハウジングを取り付ける取付部材をさらに備えている、前記(1)に記載のパイプ加工装置。
【0009】
(3)前記回転支持部材は、前記パイプの軸方向に離隔して配置されテンションを付与された状態で前記パイプに巻き付けられる一対のローラチェーンであって、前記パイプと転がり接触するローラを含む、前記(1)または前記(2)に記載のパイプ加工装置。
【0010】
(4)前記ホールド台座と前記工具台座とを前記周方向に連動回転可能に、且つ、前記ホールド台座に対して前記工具台座を位置調整可能に前記ホールド台座と前記工具台座とを連結する連結部をさらに備えている、前記(1)~前記(3)の何れか1項に記載のパイプ加工装置。
【0011】
(5)前記連結部は、前記工具台座を前記ホールド台座に対して前記パイプの中心軸線と平行な軸線回りに回転可能に前記ホールド台座と前記工具台座とを連結する、前記(4)に記載のパイプ加工装置。
【0012】
(6)前記連結部は、前記ホールド台座に対して前記工具台座を前記パイプの外周面に対して近づく方向および遠ざかる方向に直線移動可能に前記ホールド台座と前記工具台座とを連結する、前記(4)に記載のパイプ加工装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、パイプの切断作業や面取作業をよりスムーズに行うことができ、且つ、パイプを加工する工具の向きを変更可能とするための構成が簡素なパイプ加工装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るパイプ加工装置の正面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るパイプ加工装置の工具台座の周辺の側面図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係るパイプ加工装置の正面図である。
図4図4は、第2実施形態に係るパイプ加工装置の側面図である。
図5図5は、本発明の第3実施形態に係るパイプ加工装置の正面図である。
図6図6は、第3実施形態に係るパイプ加工装置の側面図である。
図7図7は、本発明の第3実施形態に係るパイプ加工装置の主要部の背面図である。
図8図8は、本発明の第3実施形態の第1変形例に係るパイプ加工装置の側面図である。
図9図9は、本発明の第3実施形態の第1変形例に係るパイプ加工装置の主要部の背面図である。
図10図10は、本発明の第3実施形態の第2変形例に係るパイプ加工装置の側面図である。
図11図11は、本発明の第3実施形態の第2変形例に係るパイプ加工装置の主要部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本明細書では、工具(ディスクグラインダー)がパイプ加工装置に取り付けられ、さらに、パイプ加工装置がパイプに取り付けられた状態を基準に説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るパイプ加工装置100の正面図である。図2は、第1実施形態に係るパイプ加工装置100の工具台座130の周辺の側面図である。
【0018】
図1および図2を参照して、パイプ加工装置100は、パイプPをパイプPの軸方向Sと直交する平面に沿って切断するために用いられ、また、パイプPの端面を面取するために用いられる。パイプ加工装置100は、パイプPに着脱可能である。
【0019】
パイプ加工装置100は、工具1が取り付けられることで、この工具1を用いてパイプPを切断および面取する。工具1は、本実施形態では、ディスクグラインダーであり、筒状のハウジング2と、ハウジング2から突出した回転軸に固定された円板状の砥石3と、ハウジング2からハウジング2の径方向外方に突出し作業員によって把持されるレバー4と、を有している。
【0020】
パイプ加工装置100は、ホールド台座110と、ホールド台座110をパイプPに対してパイプPの周方向Cに回転可能に取り付ける回転支持部材としてのローラチェーン120と、ホールド台座110と周方向Cに連動回転可能に連結されるとともに、ホールド台座110に対してパイプPの中心軸線PCLと平行な回転軸線133CL回りを回転可能に構成され、且つ、パイプPを加工する工具1が取り付けられる工具台座130と、を有している。
【0021】
ホールド台座110は、パイプPにパイプ加工装置100を保持させるために設けられている。ホールド台座110は、パイプPの外周に配置される。ホールド台座110は、板状のホールド台座本体111と、ホールド台座本体111の裏面からパイプP側に向かって突出する複数(本実施形態では、3つ)の脚部112と、ホールド台座本体111の表面から突出する揺動軸保持部113と、を有している。
【0022】
複数の脚部112は、ローラチェーン120を取り付けるために設けられている。複数の脚部112は、周方向Cに並んで配置されている。複数の脚部112の先端は、パイプPの形状に沿った位置に配置されている。
【0023】
ローラチェーン120は、テンションを付与された状態でパイプPに巻き付けられている。ローラチェーン120は、本実施形態では、サイドローラチェーンである。ローラチェーン120は、当該ローラチェーン120の幅方向(パイプPの軸方向S)に並ぶ一対のリンクプレート121がローラチェーン120の長手方向に複数配置された構成を有しており、ローラチェーン120の幅方向に重なるリンクプレート121(内リンクプレートと外リンクプレート)同士がピン122で連結された構成を有している。さらに、ローラチェーン120は、ローラチェーン120の幅方向におけるリンクプレート121の外側に配置されピン122に支持されたローラ123を有している。本実施形態では、各ピン122の両端のそれぞれにローラ123が取り付けられていることで(図1ではピン122の一端側のローラ123を図示)、軸方向Sに離隔した2箇所のローラ123がホールド台座110を支持している。ローラ123は、パイプPの外周面に転がり接触しており、パイプ加工装置100がパイプPの周方向Cに移動するときに、パイプPの外周面上を転がる。なお、ローラチェーン120は、ローラ123が一対のリンクプレートの間に配置されたセンタローラチェーンでもよい。
【0024】
本実施形態では、ローラチェーン120の複数のピン122の一部が、ホールド台座110の脚部112に取り付けられている。これにより、ホールド台座110とローラチェーン120とがパイプPの周方向Cに一体的に移動可能である。また、ローラチェーン120は、有端であり、ローラチェーン120の一対の端部124,125は、例えば板状の取付部材127に掛けられている。すなわち、この取付部材127の両端がローラチェーン120の一対の端部124,125のピン122に掛けられていることで、ローラチェーン120がテンションを付与されつつパイプPに巻かれた状態を維持している。取付部材127をローラチェーン120の一対の端部124,125の少なくとも一方から取り外すことで、ローラチェーン120(パイプ加工装置100)をパイプPから取り外すことができる。なお、取付部材127の具体的な構成は限定されない。
【0025】
工具台座130は、工具1を保持するための台座である。工具台座130は、ホールド台座110から立ち上がる柱131と、柱131の先端(上端)に形成され工具1のハウジング2を保持する保持部132と、を有している。
【0026】
柱131は、パイプPの中心軸線PCLと平行に配置された揺動軸133を介して、ホールド台座110の揺動軸保持部113に連結されている。これにより、工具台座130は、ホールド台座110に対して揺動軸133回りを揺動可能である。
【0027】
柱131には、ストッパ134が取り付けられている。ストッパ134は、揺動軸133回りの工具台座130の揺動角度を規定するためのものである。揺動軸133回りの工具台座130の回転角度が一定以上になると、ストッパ134がホールド台座本体111に接触し、工具台座130の揺動が規制される。工具台座130は、ハウジング2がホールド台座本体111の上面と平行な待機位置A1と、砥石3がホールド台座本体111から周方向Cの一方に突出しパイプPと接触する加工位置A2との間で揺動軸133回りを揺動可能である。
【0028】
保持部132は、工具1のハウジング2の中心軸線2CLがパイプPの中心軸線PCLに対してねじれの配置となるように、且つ、ハウジング2をハウジング2の中心軸線2CL回りに位置調整可能に保持する。具体的には、パイプ加工装置100を正面視したとき(図2)において、保持部132は、上向き(パイプPの径方向外方側)に開放されたU字状に形成されている。また、保持部132は、工具1のハウジング2の中心軸線2CLに沿って所定の長さを有しており、ハウジング2を安定した姿勢で受けることができる。保持部132は、工具1のハウジング2が保持部132に取り付けられているときにおけるハウジング2の径方向に沿って工具1のハウジング2を着脱するための開口135を有している。開口135は、パイプPの径方向外方に開放されており、工具1のハウジング2を工具台座130に対してパイプPの径方向に移動させることで、工具1を工具台座130に着脱できる。
【0029】
保持部132にハウジング2が嵌められた状態で、取付部材136を用いてハウジング2が保持部132に取り付けられている。取付部材136は、保持部132にハウジング2を取り付けることができる部材であれば特に限定されない。取付部材136として、環状のゴムバンド等の可撓性を有するバンド部材を例示できる。なお、取付部材136は、ハウジング2を保持部132に取り外し可能に取り付けることができればよく、バンドに限定されない。保持部132上において、ハウジング2は、当該ハウジング2の中心軸線2CL回りの位置を無段階に変更可能である。
【0030】
上記の構成を有するパイプ加工装置100でパイプPを切断する際には、工具台座130を揺動軸133回りに回転させ、工具1の砥石3をパイプPに押し当てる。そして、パイプ加工装置100をパイプPに対して周方向Cに回転させることで、ローラ123がパイプP上を転がり、パイプ加工装置100をパイプP回りに回転移動させることができる。また、パイプ加工装置100でパイプPの端面を面取する場合、保持部132上における工具1のハウジング2の中心軸線2CL回りの位置を変更することで、工具1の砥石3を面取に適した向きにできる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によると、ホールド台座110がパイプPの周方向Cに回転することで、工具台座130と工具1もパイプPの周方向Cに回転できる。そして、工具台座130とともに工具1を、パイプPの中心軸線PCLと平行な回転軸線(揺動軸133の中心軸線133CL)回りに回転させることで、工具1をパイプPに当ててパイプPを加工できる。これにより、パイプ加工装置100をパイプP回りに回転させることで、パイプPを全周に亘って加工できる。さらに、パイプPの中心軸線PCLとねじれの関係にあるハウジング2の中心軸線2CL回りに工具1を回転させる簡易な構成で、工具1を、パイプPを切断する位置と、パイプPの端面を面取りする位置とに向きを変えることができる。よって、パイプPを全周に亘って切る作業を行うことができ、且つ、パイプPの端面を全周に亘って面取する作業を行うことができる。
【0032】
また、本実施形態によると、ローラチェーン120を用いて工具1およびパイプ加工装置100がパイプPに保持されているので、砥石3を回転させつつ工具1で作業しているときに工具1がパイプPに対して不用意に跳ねてしまうことを防止できる。また、パイプPの外径に合わせてローラチェーン120の長さを変更することで、異なる外径のパイプPの加工にパイプ加工装置100を適用できる。また、中心軸線2CL回りの工具1の位置を保持部132に対して変更する簡易な構成で、パイプPを切断するモードと、パイプPの面取を行うモードと、を簡単に切り替えることができる。
【0033】
また、保持部132へ工具1のハウジング2を取り付ける取付部材136を用いる簡易な構成で、工具1を工具台座130に容易に着脱できる。
【0034】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上述の第1実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載の範囲において種々の変更が可能である。以下では、上述の第1実施形態と異なる構成を主に説明し、同様の構成には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。また、一度説明した構成には図に同様の符号を付して再度の詳細な説明を省略する場合がある。
【0035】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態に係るパイプ加工装置200の正面図である。図4は、第2実施形態に係るパイプ加工装置200の側面図である。
【0036】
図3および図4を参照して、パイプ加工装置200は、パイプPをパイプPの軸方向Sと直交する平面に沿って切断するために用いられ、また、パイプPの端面を面取するために用いられる。パイプ加工装置200は、パイプPに着脱可能である。
【0037】
パイプ加工装置200は、工具1が取り付けられることで、この工具1を用いてパイプPを切断および面取する。
【0038】
パイプ加工装置200は、ホールド台座210と、ホールド台座210をパイプPに対してパイプPの周方向Cに回転可能に取り付ける回転支持部材としてのローラチェーン120と、ホールド台座210およびローラチェーン120をパイプPに取り付けるためのテンショナ240と、ホールド台座210と周方向Cに連動回転可能に連結されるとともに、ホールド台座210に対してパイプPの中心軸線PCLと平行な回転軸線133CL回りを回転可能に構成され、且つ、パイプPを加工する工具1が取り付けられる工具台座130と、を有している。
【0039】
ホールド台座210は、パイプPにパイプ加工装置100を保持させるために設けられている。ホールド台座210は、パイプPの外周に配置される。ホールド台座210は、板状のホールド台座本体211と、ホールド台座本体211の裏面からパイプP側に向かって突出する複数(本実施形態では、3つ)の脚部212と、ホールド台座本体211の表面から突出するブロック状の揺動軸保持部213と、ホールド台座本体211の表面から突出し作業員の手で保持される軸状のハンドル214と、を有している。
【0040】
複数の脚部212は、ローラチェーン120を取り付けるために設けられているとともに、台座ローラ215を取り付けるために設けられている。複数の脚部212は、パイプPの軸方向Sに並んで配置されている。本実施形態では、2つの脚部212(図4の右側の2つの脚部212)は、軸方向Sに隣接して配置され、残りの1つの脚部212が、これら2つの脚部212から軸方向Sに離隔して配置されている。本実施形態では、軸方向Sにおいてこれら2つの脚部212と1つの脚部212との間に工具台座130が配置されている。
【0041】
各脚部212は、正面視(図3に示す図)において左右方向Yに細長い板状に形成されている。各脚部212は、周方向Cに離隔した2箇所において、台座ローラ215を支持している。台座ローラ215は、パイプ加工装置200がパイプPに対して周方向Cに回転するときにパイプPの外周面を転がるように構成されたローラである。本実施形態では、台座ローラ215は、各脚部212の設置箇所において脚部212を軸方向Sに挟んで一対配置されている。各台座ローラ215は、台座ローラ支軸216を用いて対応する脚部212に回転可能に支持されている。
【0042】
ローラチェーン120のローラ123は、パイプPの外周面に転がり接触しており、パイプ加工装置200がパイプPの周方向Cに移動するときに、パイプPの外周面上を転がる。
【0043】
本第2実施形態では、ローラチェーン120は、軸方向Sに隣接する2つの脚部212に取り付けられている。すなわち、2つのローラチェーン120を用いてホールド台座210が支持されている。具体的には、ローラチェーン120,120のそれぞれの一端部124のリンクプレート121は、ピン122を用いて、対応する脚部212に支持されている。本実施形態では、軸方向Sにおける各ピン122の両端のそれぞれにローラ123が取り付けられていることで、軸方向Sに離隔した4箇所のローラ123がホールド台座210を支持している。すなわち、2つのローラチェーン120が軸方向Sの4点でパイプPに受けられており、さらに、3つの脚部212のそれぞれにおいて軸方向Sに離隔した2箇所の台座ローラ215が合計で軸方向Sの6点でパイプPに受けられている。これにより、合計で軸方向Sの10点においてパイプ加工装置200のローラ123,215がパイプPに受けられている。各ローラチェーン120のローラ123と各台座ローラ215は、パイプPの外周面に転がり接触している。また、2つのローラチェーン120,120のそれぞれは、テンショナ240によって引っ張られていることで、テンションを付与されている。
【0044】
テンショナ240は、フック241と、フック241に取り付けられたボルト242と、ボルト242にねじ結合するナット243と、ナット243からナット243の径方向外方に突出するナット支軸244と、を有している。
【0045】
フック241は、軸方向Sに見て例えばL字状に形成されており、また、側面視でローラチェーン120側の端部である一端部241aが二股に形成されている。この一端部241aの二股部分は、各ローラチェーン120の他端部125側のピン122に引っ掛けられている。フック241の他端部には、貫通孔が形成されており、この貫通孔に頭部付きのボルト242が通されている。
【0046】
ボルト242は、ホールド台座本体211に形成された貫通孔を通してホールド台座本体211の上面側に突出している。ナット支軸244は、ホールド台座本体211に受けられている。ナット支軸244は、パイプPの中心軸線PCLと平行な回転軸線回りを揺動可能である。上記の構成により、ボルト242を締めてナット243との結合力が増すと、2つのローラチェーン120にテンションが付与される。
【0047】
上記の構成により、一対のローラチェーン120,120は、パイプPの軸方向Sに離隔して配置され、テンションを付与された状態でパイプPに巻き付けられる。そして、ローラ123がパイプPと転がり接触する。これにより、ホールド台座210とローラチェーン120とがパイプPの周方向Cに一体的に移動可能である。
【0048】
なお、テンショナ240は、一対のローラチェーン120にテンションを付与できればよく、上記の形態に限定されない。
【0049】
工具台座130は、工具1を保持するための台座である。工具台座130は、ホールド台座210から立ち上がる柱131と、柱131の先端(上端)に形成され工具1のハウジング2を保持する保持部132と、を有している。
【0050】
柱131は、軸方向Sにおけるホールド台座本体211の中間部に配置されている。柱131は、パイプPの中心軸線PCLと平行に配置された揺動軸133を介して、ホールド台座210の揺動軸保持部213に連結されている。これにより、工具台座130は、ホールド台座210に対して揺動軸133の中心軸線133CL回りを揺動可能である。
【0051】
揺動軸133回りの工具台座130の回転角度が一定以上になると、ストッパ134がホールド台座本体211に接触し、工具台座130の揺動が規制される。工具台座130は、ホールド台座本体211の上面と平行な待機位置A1と、砥石3がホールド台座本体211から周方向Cの一方に突出しパイプPと接触する加工位置A2との間で揺動軸133回りを揺動可能である。
【0052】
保持部132は、工具1のハウジング2の中心軸線2CLがパイプPの中心軸線PCLに対してねじれの配置となるように、且つ、ハウジング2をハウジング2の中心軸線2CL回りに位置調整可能に保持する。
【0053】
上記の構成を有するパイプ加工装置200でパイプPを切断する際には、工具台座130を揺動軸133回りに回転させ、工具1の砥石3をパイプPに押し当てる。そして、パイプ加工装置200をパイプPに対して周方向Cに回転させることで、ローラ123,215がパイプP上を転がり、パイプ加工装置200をパイプP回りに回転移動させることができる。また、パイプ加工装置200でパイプPの端面を面取する場合、ハウジング2の中心軸線2CL回りの砥石3の位置を変更することで、工具1の砥石3を面取に適した向きにできる。
【0054】
以上説明した第2実施形態によると、第1実施形態で得られる効果と同様の効果を発揮できる。
【0055】
また、本第2実施形態によると、軸方向Sに離隔して配置されテンションを付与された状態でパイプPに巻き付けられる一対のローラチェーン120,120によって、ホールド台座210および工具台座130を安定した姿勢でパイプPに取り付けることができる。よって、パイプPを加工する際に、パイプPの軸方向Sと直交する面に対するパイプ加工装置200(工具1)の振れを抑制できる。よって、工具1を安定した姿勢でパイプPに保持された状態で、工具1をパイプP回りに回転させることでパイプPを精度よく加工できる。しかも、パイプPにガイドレールを取り付けるといった手間のかかる作業が不要である。さらに、パイプPに巻き付けるローラチェーン120の長さを調整することで、異なる直径のパイプPにパイプ加工装置200を装着できる。
【0056】
その上、軸方向Sに離隔した一対のローラチェーン120,120のローラ123に加えて台座ローラ215によって、パイプ加工装置200がパイプPに取り付けられる。このように、軸方向Sにおける多数の箇所でホールド台座210をパイプPに取り付けることができる。よって、パイプPの軸方向Sと直交する面に対するパイプ加工装置200(工具1)の振れをより確実に抑制できる。
【0057】
<第2実施形態の変形例>
なお、上記第2実施形態では、ホールド台座210の脚部212を軸方向Sの3箇所に配置するとともに、ホールド台座210における軸方向Sの一端寄りの2つの脚部212に2つのローラチェーン120を配置する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、一対のローラチェーン120を軸方向Sにおけるホールド台座210の両端に配置し、各ローラチェーン120をテンショナ240でパイプPに取り付けてもよい。このとき、台座ローラ215は、軸方向Sにおいて一対のローラチェーン120が配置されている箇所に設置されていてもよいし、軸方向Sにおいて一対のローラチェーン120の間に配置されていてもよい。
【0058】
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係るパイプ加工装置300の正面図である。図6は、第3実施形態に係るパイプ加工装置300の側面図である。図7は、本発明の第3実施形態に係るパイプ加工装置300の主要部の背面図である。
【0059】
図5図7を参照して、パイプ加工装置300は、パイプPをパイプPの軸方向Sと直交する平面に沿って切断するために用いられ、また、パイプPの端面を面取するために用いられる。パイプ加工装置300は、パイプPに着脱可能である。
【0060】
パイプ加工装置300は、工具1が取り付けられることで、この工具1を用いてパイプPを切断および面取する。
【0061】
パイプ加工装置300は、ホールド台座310と、ホールド台座310をパイプPに対してパイプPの周方向Cに回転可能に取り付ける回転支持部材としてのローラチェーン120と、ホールド台座310およびローラチェーン120をパイプPに取り付けるためのテンショナ240と、ホールド台座310と周方向Cに連動回転可能に連結されるとともに、ホールド台座310に対してパイプPの中心軸線PCLと平行な回転軸線133CL回りを回転可能に構成され、且つ、パイプPを加工する工具1が取り付けられる工具台座130と、ホールド台座310と工具台座130とを周方向Cに連動回転可能に且つホールド台座310に対して工具台座130を位置調整可能にホールド台座310と工具台座130とを連結する連結部350と、を有している。
【0062】
ホールド台座310は、パイプPにパイプ加工装置300を保持させるために設けられている。ホールド台座310は、パイプPの外周に配置される。ホールド台座310は、板状のホールド台座本体311と、ホールド台座本体311の裏面からパイプP側に向かって突出する複数(本実施形態では、2つ)の脚部312と、ホールド台座本体311の表面から突出し作業員の手で保持される軸状のハンドル314と、を有している。
【0063】
複数の脚部312は、ローラチェーン120を取り付けるために設けられているとともに、台座ローラ315を取り付けるために設けられている。複数の脚部312は、パイプPの軸方向Sに並んで配置されている。
【0064】
各脚部312は、周方向Cに離隔した2箇所において、台座ローラ315を支持している。台座ローラ315は、パイプ加工装置300がパイプPに対して周方向Cに回転するときにパイプPの外周面を転がるように構成されたローラである。本実施形態では、台座ローラ315は、各脚部312の設置箇所において脚部312を軸方向Sに挟んで一対配置されている。各台座ローラ315は、台座ローラ支軸316を用いて対応する脚部312に回転可能に支持されている。
【0065】
ローラチェーン120のローラ123は、パイプPの外周面に転がり接触しており、パイプ加工装置300がパイプPの周方向Cに移動するときに、パイプPの外周面上を転がる。
【0066】
本第3実施形態では、ローラチェーン120は、2つの脚部312のそれぞれに取り付けられている。すなわち、2つのローラチェーン120を用いてホールド台座310が支持されている。具体的には、ローラチェーン120,120のそれぞれの一端部124のリンクプレート121は、ピン122を用いて、対応する脚部312に支持されている。本実施形態では、各ピン122の両端のそれぞれにローラ123が取り付けられていることで、軸方向Sに離隔した4箇所のローラ123がホールド台座310を支持している。すなわち、2つのローラチェーン120が軸方向Sの4点でパイプPに受けられており、さらに、各脚部312において軸方向Sに離隔した台座ローラ123が合計で軸方向Sの4点でパイプPに受けられている。各ローラチェーン120のローラ123と各台座ローラ315は、パイプPの外周面に転がり接触している。また、2つのローラチェーン120,120のそれぞれの他端部125は、テンショナ240によって引っ張られていることで、テンションを付与されている。
【0067】
テンショナ240は、本第3実施形態では、第2実施形態のテンショナ240と同様の構成を有している。具体的には、テンショナ240は、フック214と、フック214に取り付けられたボルト242と、ボルト242にねじ結合するナット243と、ナット243からナット243の径方向外方に突出するナット支軸244と、を有している。
【0068】
フック214の一端部241aの二股部分は、ローラチェーン120の他端部125側のピン122に引っ掛けられている。
【0069】
ボルト242は、ホールド台座本体311に形成された貫通孔を通してホールド台座本体311の上面側に突出している。ナット支軸244は、ホールド台座本体311に受けられている。ナット支軸244は、パイプPの中心軸線PCLと平行な回転軸線回りを揺動可能である。上記の構成により、ボルト242を締めてナット243との結合力が増すと、2つのローラチェーン120にテンションが付与される。
【0070】
上記の構成により、一対のローラチェーン120,120は、パイプPの軸方向Sに離隔して配置され、テンションを付与された状態でパイプPに巻き付けられる。そして、ローラ123がパイプPと転がり接触する。これにより、ホールド台座310とローラチェーン120とがパイプPの周方向Cに一体的に移動可能である。
【0071】
なお、テンショナ240は、一対のローラチェーン120にテンションを付与できればよく、上記の形態に限定されない。
【0072】
工具台座130は、工具1を保持するための台座である。工具台座130は、連結部3の後述する連結枠354に支持されこの連結枠354から立ち上がる柱131と、柱131の先端(上端)に形成され工具1のハウジング2を保持する保持部132と、を有している。
【0073】
柱131は、連結枠354における軸方向Sの中間部に配置されている。柱131は、パイプPの中心軸線PCLと平行に配置された揺動軸133を介して、連結枠354の揺動軸保持部313に連結されている。これにより、工具台座130は、ホールド台座310に対して揺動軸133の中心軸線133CL回りを揺動可能である。
【0074】
揺動軸133回りの工具台座130の回転角度が一定以上になると、ストッパ134が例えば連結枠354に接触し、工具台座130の揺動が規制される。工具台座130は、砥石3がパイプPから離隔した待機位置と、砥石3がパイプPと接触する加工位置との間で揺動軸133回りを揺動可能である。
【0075】
保持部132は、工具1のハウジング2の中心軸線2CLがパイプPの中心軸線PCLに対してねじれの配置となるように、且つ、ハウジング2をハウジング2の中心軸線2CL回りに位置調整可能に保持する。
【0076】
連結部350は、工具台座130をホールド台座310に対してパイプPの中心軸線PCLと平行な連結軸線352CL回りに回転可能にホールド台座310と工具台座130とを連結する。
【0077】
連結部350は、ホールド台座本体311に固定された連結軸受351と、連結軸受351に支持された連結軸352と、連結軸352に固定された連結リンクプレート353と、連結リンクプレート353に固定されパイプPに沿わされる連結枠354と、を有している。
【0078】
連結軸受351は、ホールド台座本体311の上方(パイプPの径方向外方側)に配置されており、ホールド台座本体311に固定されている。連結軸受351は、パイプPの中心軸線PCLと平行な中心軸線を有する筒状部材であり、この筒状部分に連結軸352が挿入されて連結軸352を回転自在に支持している。連結軸352の一端に、連結リンクプレート353が固定されている。
【0079】
連結リンクプレート353は、背面視において(図7に示すように見て)、L字状(山形形状)に形成されている。連結リンクプレート353は、例えば縦向きに配置された(径方向Rに沿って配置された)平板状部材である。連結リンクプレート353の表面側に連結軸352が配置されているとともに、連結リンクプレート353の裏面側に連結枠354が配置されている。
【0080】
連結枠354は、例えば矩形の枠形状部分を含む部材である。連結枠354は、背面視において、L字状(山形形状)に形成されており、パイプPのうち砥石3が配置される箇所周辺におけるパイプPの一部を挟むように配置されている。連結枠354のうち、周方向Cの一端部354aにはブロック状の揺動軸保持部313が固定されている。この揺動軸保持部313に保持され軸方向Sと平行な揺動軸133を介して、工具台座130が連結枠354に支持されている。
【0081】
工具台座130は、ホールド台座310とは周方向Cに一体的に移動可能且つ揺動軸133回りを相対回転可能である。連結枠354は、背面視において周方向Cの一方側に配置され前記一端部354aを含む第1部分354bと、第1部分354bに対して工具11の砥石3側に配置された第2部分354cと、を有している。本実施形態では、背面視において、第1部分354bの長さよりも第2部分354cの長さのほうが長い。第1部分354bと第2部分354cは、それぞれ、パイプPの中心軸線PCL側を向いており、パイプPの外周面に沿わされている。連結枠354が上述したように枠状に形成されていることで、保持部132に保持された工具1の砥石3は、パイプPの外周面と直接向かい合っている。そして、工具台座130が揺動軸133回りを揺動することで、砥石3をパイプPに接触させることができる。砥石3は、連結枠354で囲まれた領域を通ってパイプPと接触する。
【0082】
上記の構成により、連結軸352回りの連結枠354(工具台座130)の位置を調整できる。また、パイプPの直径に併せて連結軸352回りの連結枠354(工具台座130)の位置を調整することで、異なる直径のパイプPにパイプ加工装置300を適用できる。
【0083】
上記の構成を有するパイプ加工装置300でパイプPを切断する際には、工具台座130を揺動軸133回りに回転させ、工具1の砥石3をパイプPに押し当てる。そして、パイプ加工装置300をパイプPに対して周方向Cに回転させることで、ローラ123,315がパイプP上を転がり、パイプ加工装置300をパイプP回りに回転移動させることができる。また、パイプ加工装置300でパイプPの端面を面取する場合、ハウジング2の中心軸線2CL回りの工具1の位置を変更することで、工具1の砥石3を面取に適した向きにできる。
【0084】
以上説明した第3実施形態によると、第1実施形態および第2実施形態で得られる効果と同様の効果を発揮できる。
【0085】
また、本第3実施形態によると、工具台座130をホールド台座310に対して連結軸352回りに位置調整できる。これにより、工具1の大きさやパイプPの直径に合わせて、より最適な位置に工具1を配置できる。よって、作業員によるパイプPの加工のし易さを向上できるとともに、パイプPの加工精度をより高くできる。
【0086】
<第3実施形態の第1変形例>
図8は、本発明の第3実施形態の第1変形例に係るパイプ加工装置300の側面図である。図9は、本発明の第3実施形態の第1変形例に係るパイプ加工装置300の主要部の背面図である。
【0087】
図8図9を参照して、第3実施形態の第1変形例では、パイプ加工装置300は、連結部350に代えて連結部350Aを有している。
【0088】
連結部350Aは、本変形例では、工具台座130をホールド台座310に対してパイプPの中心軸線PCLと平行な連結軸線352CL回りに回転可能にホールド台座310と工具台座130とを連結する。
【0089】
連結部350Aは、ホールド台座本体311に固定された連結軸受351と、連結軸受351に支持された連結軸352と、連結軸352に固定された連結リンクプレート353Aと、連結リンクプレート353Aに固定された第2連結軸356と、第2連結軸356に支持される揺動軸133と、第2連結軸356に取り付けられたガイドローラ358と、を有している。
【0090】
連結リンクプレート353Aは、背面視において(図9に示すように見て)、アーム状(本変形例では真っ直ぐに延びるアーム状)に形成されている。連結リンクプレート353Aは、縦向きに配置された(径方向Rに沿って配置された)平板状部材である。連結リンクプレート353Aの表面側に連結軸352が配置されているとともに、連結リンクプレート353Aの裏面側に第2連結軸356が配置されている。
【0091】
第2連結軸356は、連結軸352と平行な軸である。第2連結軸356には、揺動軸133が取り付けられている。
【0092】
揺動軸133は、パイプPの中心軸線PCLと平行に配置された筒状部分であり、第2連結軸356の外周部に嵌合している。揺動軸133には、工具台座130の柱131が固定されており、この揺動軸133と第2連結軸356回りを一体回転する。これにより、工具台座130に取り付けられた工具1は、砥石3がパイプPに接触する位置と砥石3がパイプPから離隔する位置とに揺動軸133の中心軸線133CL回りを揺動可能である。
【0093】
第2連結軸356には、ガイドローラ358が取り付けられている。ガイドローラ358は、パイプPの外周面に転がり接触する部材である。ガイドローラ358は、本変形例では、揺動軸133を軸方向Sに挟むようにして一対設けられて第2連結軸356の外周部に嵌合している。
【0094】
上記の構成を有するパイプ加工装置300でパイプPを切断する際には、まず、連結軸352回りの連結リンクプレート353Aの位置を調整することで、ガイドローラ358をパイプPに当てる。次に、工具台座130を第2連結軸356に対して揺動軸133回りに回転させ、工具1の砥石3をパイプPに押し当てる。そして、パイプ加工装置300をパイプPに対して周方向Cに回転させることで、ローラ123およびガイドローラ358がパイプP上を転がり、パイプ加工装置300をパイプP回りに回転移動させることができる。また、パイプ加工装置300でパイプPの端面を面取する場合、ハウジング2の中心軸線2CL回りの工具1の位置を変更することで、工具1の砥石3を面取に適した向きにできる。
【0095】
<第3実施形態の第2変形例>
図10は、本発明の第3実施形態の第2変形例に係るパイプ加工装置300の側面図である。図11は、本発明の第3実施形態の第2変形例に係るパイプ加工装置300の主要部の背面図である。
【0096】
図10図11を参照して、第3実施形態の第2変形例では、パイプ加工装置300は、連結部350に代えて連結部350Bを有している。
【0097】
連結部350Bは、本第3実施形態の第2変形例では、ホールド台座310に対して工具台座130をパイプPの外周面に対して近づく方向および遠ざかる方向(直線移動方向B)に直線移動可能にホールド台座110と工具台座130とを連結する。
【0098】
連結部350Bは、ホールド台座本体311に固定された連結軸受351Bと、連結軸受351Bに取り付けられた連結軸352Bと、連結軸352Bに固定されパイプPに沿わされる連結枠354と、を有している。
【0099】
連結軸受351Bは、ホールド台座本体311の側方に配置されており、ホールド台座本体311に固定されている。連結軸受351Bは、ホールド台座本体311の板厚方向(直線移動方向B)と平行な中心軸線を有する筒状部材であり、この筒状部分に連結軸352Bが挿入されて連結軸352Bを直線移動方向Bに移動自在に案内している。径方向Rにおける連結軸352Bの内側端部352Baの外径は、連結軸受351Bの内径よりも大きくされている。これにより、連結軸352Bが連結軸受351B内に過度に進入することが防止されている。連結軸受351Bおよび連結軸352Bはそれぞれ複数(本変形例では2つ)設けられており、ホールド台座本体311の一辺に沿って離隔して配置されている。連結軸352Bの内側端部352Baに、連結枠354が固定されている。
【0100】
本第3実施形態の第2変形例では、連結枠354は、2つの連結軸352Bに固定されていることで、連結軸352Bと一体的に直線移動方向Bに移動可能である。
【0101】
上記の構成を有するパイプ加工装置300でパイプPを切断する際には、作業員は、パイプPにローラチェーン120,120を用いて取り付けられたホールド台座310に対する直線移動方向Bの連結枠354の位置を調整することで、連結枠354をパイプPの外周面に沿わせる。次に、工具台座130を揺動軸133回りに回転させ、工具1の砥石3をパイプPに押し当てる。そして、パイプ加工装置300をパイプPに対して周方向Cに回転させることで、ローラ123がパイプP上を転がり、パイプ加工装置300をパイプP回りに回転移動させることができる。また、パイプ加工装置300でパイプPの端面を面取する場合、ハウジング2の中心軸線2CL回りの工具1の位置を変更することで、工具1の砥石3を面取に適した向きにできる。
【0102】
この第3実施形態の第2変形例によると、工具台座130をホールド台座310に対して直線移動方向Bに位置調整できる。これにより、工具1の大きさやパイプPの直径に合わせて、より最適な位置に工具1を配置できる。よって、作業員によるパイプPの加工のし易さを向上できるとともに、パイプPの加工精度をより高くできる。
【0103】
なお、上述の各実施形態および変形例では、回転支持部材としてローラチェーン120を用いる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。回転支持部材として、パイプPの外周面に仮止めされ周方向Cに沿って配置されたレールと、ホールド台座に設けられこのレールによって案内されながら周方向Cに移動する車輪等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、パイプ加工装置として広く適用できる。
【符号の説明】
【0105】
1 工具
2 ハウジング
100,200,300 パイプ加工装置
110,210,310 ホールド台座
120 ローラチェーン(回転支持部材)
123 ローラ
130 工具台座
132 保持部
133CL 回転軸線
135 開口
136 取付部材
350,350A,350B 連結部
C 周方向
P パイプ
PCL パイプの中心軸線



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11