(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014909
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】車輪摩耗検知装置及び車輪摩耗検知システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
G01B11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119116
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大堀 真聖
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA63
2F065CC12
2F065DD03
2F065GG21
2F065PP01
2F065QQ08
2F065QQ25
2F065QQ42
2F065SS09
(57)【要約】
【課題】走行する路面の状態に依存することなく、車輪の摩耗量を検出することができる車輪摩耗検知装置及び車輪摩耗検知システムを提供すること。
【解決手段】車輪の接地面との距離を所得するデータ取得部33と、データ取得部の出力の高域成分を除去するフィルタ部36と、フィルタ部36の出力を平均化する平均化処理部37と、平均化処理部37の出力値を所定の閾値と比較する比較部38と、平均化処理部37の出力値が閾値を超えた場合に発報する報知部39と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の接地面との距離を所得するデータ取得部と、
前記データ取得部の出力の高域成分を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部の出力を平均化する平均化処理部と、
前記平均化処理部の出力値を所定の閾値と比較する比較部と、
前記出力値が前記閾値を超えた場合に発報する報知部と、
を備える、
車輪摩耗検知装置。
【請求項2】
車輪の接地面との距離を検出するセンサと、
前記センサの検出値を所得するデータ取得部と、
前記データ取得部の出力の高域成分を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部の出力を平均化する平均化処理部と、
前記平均化処理部の出力値を所定の閾値と比較する比較部と、
前記出力値が前記閾値を超えた場合に発報する報知部と、
を備える、
車輪摩耗検知システム。
【請求項3】
前記センサは、前記車輪の接地面に赤外線を照射し、反射した赤外線の光強度に応じた検出値を出力する近接覚センサである、
請求項2に記載の車輪摩耗検知システム。
【請求項4】
前記センサは、前記車輪を回転可能に支持する部材に設けられている、
請求項2又は3に記載の車輪摩耗検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪摩耗検知装置及び車輪摩耗検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
モータにより自走が可能な走行台車は、駆動車輪を旋回させる構成を備える。例えば、特許文献1に記載された差動式キャスタは、鉛直軸を中心に水平軸を回転可能に設け、この水平軸の両端側で支持した一対の駆動輪にそれぞれ電動モータを内蔵し、各電動モータで各駆動輪を独立して駆動することで各駆動輪が鉛直軸を中心に旋回する。また、例えば、特許文献2に記載された技術は、走行車両の台車フレームに走行面との間の距離を測定する距離測定手段を取り付け、測定した距離を車輪交換直後の値と比較して、車輪の摩耗量を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-66007号公報
【特許文献2】特開2008-175674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2では、走行する路面の凹凸等を含めて検出することになるため、車輪の摩耗量の検出精度が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、走行する路面の状態に依存することなく、車輪の摩耗量を検出することができる車輪摩耗検知装置及び車輪摩耗検知システムを提供すること、を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係る車輪摩耗検知装置は、車輪の接地面との距離を所得するデータ取得部と、前記データ取得部の出力の高域成分を除去するフィルタ部と、前記フィルタ部の出力を平均化する平均化処理部と、前記平均化処理部の出力値を所定の閾値と比較する比較部と、前記出力値が前記閾値を超えた場合に発報する報知部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、走行する路面の状態に依存することなく、車輪の摩耗量を検出することができる。また、管理者等に車輪の摩耗が摩耗限度を超えたことを報知することができる。
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る車輪摩耗検知システムは、車輪の接地面との距離を検出するセンサと、前記センサの検出値を所得するデータ取得部と、前記データ取得部の出力の高域成分を除去するフィルタ部と、前記フィルタ部の出力を平均化する平均化処理部と、前記平均化処理部の出力値を所定の閾値と比較する比較部と、前記出力値が前記閾値を超えた場合に発報する報知部と、を備える。
【0009】
上記構成によれば、走行する路面の状態に依存することなく、車輪の摩耗量を検出することができる。また、管理者等に車輪の摩耗が摩耗限度を超えたことを報知することができる。
【0010】
車輪摩耗検知システムの望ましい態様として、前記センサは、前記車輪の接地面に赤外線を照射し、反射した赤外線の光強度に応じた検出値を出力する近接覚センサであっても良い。
【0011】
車輪摩耗検知システムの望ましい態様として、前記センサは、前記車輪を回転可能に支持する部材に設けられていることが好ましい。
【0012】
これにより、車輪摩耗検知システムは、走行する路面の状態に依存することなく、車輪の摩耗を検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、走行する路面の状態に依存することなく、車輪の摩耗量を検出することができる車輪摩耗検知装置及び車輪摩耗検知システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、モータ付き台車の駆動輪の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、モータ付き台車の駆動輪の構成例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、モータ付き台車の駆動輪の構成例を示す正面図である。
【
図4】
図4は、モータ付き台車の制御構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る車輪摩耗検知システムの一構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、センサの取付位置の一例を示す駆動輪の正面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る車輪摩耗検知装置及び車輪摩耗検知システムにおける車輪摩耗検知処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0016】
まず、実施形態に係る車輪摩耗検知装置及び車輪摩耗検知システムが適用される例として、モータ付き台車について説明する。
【0017】
図1は、モータ付き台車の駆動輪の構成例を示す斜視図である。
図2は、モータ付き台車の駆動輪の構成例を示す側面図である。
図3は、モータ付き台車の駆動輪の構成例を示す正面図である。
図4は、モータ付き台車の制御構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
ここで、本実施形態を説明する各図では、駆動輪100の高さ方向をZ方向で示す。また、Z方向と直交する平面において、駆動輪100が直進する方向をX方向で示し、X方向と直交する方向をY方向で示す。また、本実施形態では、Z方向において、路面Fから離れる方向を上側といい、路面Fに近づく方向を下側という。
【0019】
図1から
図4に示すように、本実施形態の駆動輪100は、固定される基部1に基づいて設けられており、自転軸(第一軸)3と、回転部材5と、回転軸7と、車輪9と、駆動部11と、制動機構13と、回転基準位置検出部15と、ロック機構17と、回転範囲規制機構19と、制御部212と、を有する。
【0020】
基部1は、例えば、金属製の棒材、枠材又は板材である。本実施形態において、基部1は、板材として形成され、上面1AがZ方向の上側に向き、下面1BがZ方向の下側に向くようにして、上面1A及び下面1BがZ方向と直交するX-Y平面に沿って配置される。
【0021】
自転軸3は、基部1に設けられている。自転軸3は、Z方向に延在して基部1を貫通して設けられている。自転軸3は、基部1に対して回転可能に設けられている。
【0022】
回転部材5は、例えば、金属製の枠材又は板材である。本実施形態において、回転部材5は、板材として形成され、上面5AがZ方向の上側に向き、下面5BがZ方向の下側に向くようにして、上面5A及び下面5BがZ方向と直交するX-Y平面に沿って配置される。回転部材5は、基部1の下面1Bを貫通した自転軸3の下端3Aに、上面5Aが当接され、下面5BからZ方向に貫通するボルト21によって自転軸3の下端3Aに固定されている。従って、回転部材5は、自転軸3と共に回転し、自転軸3の廻りに基部1と相対的に回転可能に設けられている。回転部材5は、その下面5Bから下側に延在して対向する1対の側板5Cが設けられている。側板5Cは、
図1から
図3において、Y方向で対向して設けられているように示されている。
【0023】
回転軸7は、回転部材5に設けられている。回転軸7は、Z方向と直交するX-Y平面に沿って配置される。回転軸7は、
図1から
図3において、Y方向に延在して設けられているように示されている。回転軸7は、駆動軸(第二軸)7Aと従動軸(第三軸)7Bとを有している。駆動軸7Aと従動軸7Bとは、同軸上に設けられているが、それぞれ独立して設けられている。
【0024】
また、回転軸7は、
図2に示すように、その回転の中心である軸心7Cが、自転軸3の回転の中心である軸心3Cからオフセット量S1離れてオフセットした位置に設けられている。即ち、回転軸7は、軸心7Cが、自転軸3の軸心3Cとは交差しない位置に配置されている。
【0025】
車輪9は、例えば、樹脂あるいはエラストマーや天然ゴムで構成された円状のものである。車輪9は、円の中心が回転軸7上に配置され回転軸7の廻りに回転可能に設けられている。車輪9は、本実施形態では、駆動車輪9Aと従動車輪9Bとを有している。駆動車輪9Aと従動車輪9Bとは、同じ外径に形成されている。駆動車輪9Aは、回転軸7における駆動軸7Aに取り付けられて駆動軸7Aの廻りに回転可能に設けられている。本実施形態では、駆動車輪9Aは、駆動軸7Aに固定されている。駆動軸7Aは、回転部材5における一方の側板5C側に回転可能に支持されている。また、従動車輪9Bは、回転軸7における従動軸7Bに取り付けられて従動軸7Bの廻りに回転可能に設けられている。本実施形態では、従動車輪9Bは、従動軸7Bに固定されている。従動軸7Bは、回転部材5における他方の側板5Cに対して回転可能に支持されている。
【0026】
また、車輪9は、
図3に示すように、駆動車輪9Aが自転軸3の軸心3Cからオフセット量S2離れてオフセットした位置に設けられている。即ち、駆動車輪9Aは、自転軸3の軸心3Cには交差しない位置に配置されている。また、車輪9は、従動車輪9Bが自転軸3の軸心3Cからオフセット量S3離れてオフセットした位置に設けられている。即ち、従動車輪9Bは、自転軸3の軸心3Cには交差しない位置に配置されている。
【0027】
駆動部11は、駆動車輪9Aを回転駆動する。駆動部11は、回転部材5における一方の側板5Cに取り付けられている。駆動部11は、例えば、ダイレクトドライブモータ(DDモータ)であり、図には明示しないが、ステータとロータとを有する。そして、駆動部11は、ロータに駆動軸7Aが取り付けられており、ロータの回転に伴って、駆動軸7Aと共に駆動軸7Aに固定された駆動車輪9Aを回転駆動する。
【0028】
制動機構13は、従動車輪9Bの回転を制動する。制動機構13は、回転部材5における他方の側板5Cに取り付けられている。制動機構13は、例えば、図には明示しないが、アクチュエータを有する。そして、制動機構13は、当該アクチュエータにより、従動軸7Bの回転を許容する一方、従動軸7Bの回転を規制する。これにより、制動機構13は、従動軸7Bに固定された従動車輪9Bの回転を制動する。制動機構13への電流の供給は、駆動部11と同様にスリップリング23により自転軸3から回転部材5を介して行われる。
【0029】
回転基準位置検出部15は、回転部材5における基部1との相対的な回転移動において、基準となる基準位置を検出する。本実施形態において、回転基準位置検出部15は、
図2に示すように、検出センサ15Aと、検出片15Bとを有する、検出センサ15Aは、例えば、投光部と受光部とで構成された投受光センサであって、投光部で照らされた光が受光部に到達した状態や、投光部で照らされた光が遮られて受光部に到達しなかった状態を検出する。検出センサ15Aは、例えば、基部1の下面1Bに固定されている。検出片15Bは、検出センサ15Aにおける投光部と受光部との間に配置されて投光部で照らされた光を遮る。検出片15Bは、回転部材5の上面5Aに固定されている。回転基準位置検出部15は、回転部材5における基部1との相対的な回転移動において、基準位置で検出片15Bが検出センサ15Aにおける投光部と受光部との間に配置されて投光部で照らされた光を遮る。本実施形態において、基準位置は、
図1から
図3に示すように、回転軸7(軸心7C)が、Y方向に沿って配置された状態における回転部材5の回転位置である。
【0030】
ロック機構17は、基部1に対して回転部材5の回転を許容する一方で、基部1に対して回転部材5の回転を阻止する。本実施形態において、ロック機構17は、基部1に設けられている。ロック機構17は、自転軸3を挿通するように配置されている。ロック機構17は、例えば、図には明示しないが、アクチュエータを有する。そして、ロック機構17は、当該アクチュエータにより、自転軸3の回転を許容する一方、自転軸3の回転を阻止する。これにより、ロック機構17は、自転軸3と共に回転する回転部材5の回転を許容する一方で回転部材5の回転を阻止する。
【0031】
回転範囲規制機構19は、回転部材5の基部1に対して回転する範囲を規制する。本実施形態において、回転範囲規制機構19は、
図2に示すように、回転部材5の上面5Aから上側に突出したピン19Aと、基部1に形成されてピン19Aを挿通する円弧穴19Bと、を有する。円弧穴19Bは、自転軸3を中心として形成されている。従って、回転範囲規制機構19は、ピン19Aと円弧穴19Bとの係合により円弧穴19Bの範囲内で回転部材5の基部1に対して回転する範囲を規制する。
【0032】
制御部212は、駆動輪100を制御する。制御部212は、コンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、CPUのようなプロセッサ、及びROM又はRAMのようなメモリを含む。
図4に示すように、制御部212は、メモリに予め記憶されたプログラムや、駆動部11及び回転範囲規制機構19から入力されたデータに基づいて、駆動部11、制動機構13、及びロック機構17に制御信号を出力する。
【0033】
図5は、実施形態に係る車輪摩耗検知システムの一構成例を示す図である。実施形態に係る車輪摩耗検知システム30は、上述したようなモータ付き台車に適用される。なお、
図5では、上述した駆動輪100の側面図(
図2)を簡略化して例示している。
【0034】
図5に示すように、実施形態に係る車輪摩耗検知システム30は、車輪9の接地面との距離Lを検出するセンサ31と、車輪摩耗検知装置32と、を備える。
【0035】
図6は、センサの取付位置の一例を示す駆動輪の正面図である。
図6に示すように、センサ31は、例えば、側板5Cから延びる部材5Dに取り付けられる。なお、センサの取付位置は、
図6に示す例に限るものではない。なお、
図6では、車輪9が一輪である例を示したが、
図1あるいは
図3に示すように、駆動車輪9Aと従動車輪9Bとを含む構成であっても良い。この場合は、駆動車輪9Aと従動車輪9Bとの双方の接地面との距離Lを検出する2つのセンサ31を有する構成であっても良い。
【0036】
図7A及び
図7Bは、センサの具体例を示す図である。センサ31は、例えば、車輪9の接地面に赤外線を照射し、反射した赤外線の光強度に応じた検出値を出力する近接覚センサである。
【0037】
図7A及び
図7Bに示すように、センサ(近接覚センサ)31は、センサ部50と、カバー51と、を備える。センサ部50は、発光部52と、受光部54と、発光部52及び受光部54が配置される基板56とを備える。また、センサ部50は、第1遮光壁58と、第1封止部材60と、第2封止部材62と、を備える。
【0038】
発光部52は、赤外線を発光する発光ダイオード(Light Emitting Diode)である。発光部52は、基板56の配置面64に配置されている。
【0039】
図7Bに示すように、受光部54は、基板56の配置面64に配置されている。受光部54は、発光部52から照射されて検出対象物から反射する反射光を検出可能である。受光部54は、受光部54に入射する赤外線の光強度に応じて光電流(検出信号)を出力する。つまり、受光部54は、赤外線に感度を持つフォトトランジスタである。
【0040】
図7Bに示すように、第1遮光壁58は、発光部52と受光部54とを隔てるように基板56の配置面64に配置されている。第1遮光壁58は、板形状の部材である。第1遮光壁58は、発光部52及び受光部54よりも配置面64から垂直な方向に突出している。対向面70は、第1遮光壁58の検出側DSの面である。対向面70は、配置面64と略平行な面である。第1遮光壁58は、例えば、不透明な樹脂から形成されている。これによれば、第1遮光壁58は、発光部52から照射された光が直接受光部54に入射することを防ぐことができる。なお、第1遮光壁58の形状及び材料は、これに限定されない。第1遮光壁58は、発光部52から照射された光が受光部54に直接入射することを防ぐことができる形状及び材料であればよい。
【0041】
第1配置面72は、第1遮光壁58によって区切られた配置面64の内、発光部52が配置された側の面である。第2配置面74は、第1遮光壁58によって区切られた配置面64の内、受光部54が配置された側の面である。第1封止部材60及び第2封止部材62は、透明な樹脂である。第1封止部材60及び第2封止部材62は、例えば、樹脂モールドによって形成されている。第1封止部材60及び第2封止部材62は、略直方体形状である。第1封止部材60は、第1配置面72を覆うように形成されている。第2封止部材62は、第2配置面74を覆うように形成されている。第1封止部材60は、第1配置面72からの高さが対向面70と同じになるように形成されている。第2封止部材62は、第2配置面74からの高さが対向面70と同じになるように形成されている。
【0042】
カバー51は、第1透光部材102と、第2透光部材104と、枠部材106と、を備える。
【0043】
第1透光部材102及び第2透光部材104は、板形状の部材である。第1透光部材102及び第2透光部材104は、平面視で矩形の形状である。第1透光部材102は、発光部52を覆うように枠部材106にはめ込まれ固定される。第2透光部材104は、受光部54を覆うように枠部材106にはめ込まれ固定される。第1透光部材102又は第2透光部材104は、例えば、外乱光を低減する光学フィルタである。光学フィルタとは、例えば、赤外線のみを透過させるバンドパスフィルタである。したがって、第2透光部材104は、受光部54に外乱光が入射した場合でも、赤外線以外の波長の光を低減することができる。これによれば、受光部54が発光部52から照射されて検出対象物から反射した反射光以外の光を検出することを抑制できる。その結果、センサ(近接覚センサ)31は、高い精度で検出対象物を検出することができる。
【0044】
第1透光部材102及び第2透光部材104は、フォトインタラプタ20が適用される環境に合わせてバンドパスフィルタ以外の光学フィルタを用いてもよい。第1透光部材102及び第2透光部材104は、例えば、赤外線よりも長い波長の光を低減するショートパスフィルタでもよい。また、第1透光部材102及び第2透光部材104は、例えば、赤外線よりも短い波長の光を低減するロングパスフィルタでもよい。
【0045】
第1透光部材102は、光学フィルタに代えて透過部材でもよい。透明部材とは、例えば、ガラス又は透光性の樹脂である。これによれば、光学フィルタよりも安価な透明部材をセンサ(近接覚センサ)31に適用することができ、センサ(近接覚センサ)31のコストを下げることができる。
【0046】
なお、センサ(近接覚センサ)31を複数有する構成であっても良い。また、センサ31は、近接覚センサに限らず、例えば、レーザ変位計であっても良い。
【0047】
車輪摩耗検知装置32は、例えばCPU等の処理装置及び記憶部35を含む。車輪摩耗検知装置32の処理装置は、
図5に示す機能ブロック構成として、センサ31の検出値を所得するデータ取得部33と、カウンタ34と、データ取得部33の出力の高域成分を除去するフィルタ部36と、フィルタ部36の出力を平均化する平均化処理部37と、平均化処理部37の出力値を所定の閾値と比較する比較部38と、平均化処理部37の出力値が前記閾値を超えた場合に、例えば上位装置40に発報する報知部39と、を備える。以下、車輪摩耗検知装置32及び車輪摩耗検知システム30における車輪摩耗検知処理の具体例について、
図8を参照して説明する。
【0048】
図8は、実施形態に係る車輪摩耗検知装置及び車輪摩耗検知システムにおける車輪摩耗検知処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
図8に示す車輪摩耗検知処理を開始すると、データ取得部33は、センサ31から出力される検出値を取得し(ステップS101)、取得した検出値を検出データとして順次記憶部35に記憶する(ステップS102)。
【0050】
データ取得部33は、カウンタ34を参照し、所定のデータ取得期間が経過したか否かを判定する(ステップS103)。所定のデータ取得期間が経過していなければ(ステップS103;No)、データ取得部33は、所定のデータ取得期間が経過するまで(ステップS103;Yes)、ステップS101からステップS103の処理を繰り返す。
【0051】
所定のデータ取得期間が経過すると(ステップS103;Yes)、フィルタ部36は、記憶部35に記憶されたデータ列を読み出し、読み出したデータ列から高域成分を除去するフィルタ処理を行う(ステップS104)。これにより、例えば車輪9の接地面にできた傷等の特異点を除去することができる。
【0052】
続いて、平均化処理部37は、フィルタ部36の出力の平均化処理を行い(ステップS105)、車輪9の接地面との距離Lの平均値L_aveを算出する。
【0053】
比較部38は、車輪9の接地面との距離Lの平均値L_aveと所定の閾値L_thとの比較処理を行う。具体的に、比較部38は、車輪9の接地面との距離Lの平均値L_aveが所定の閾値L_thを超えたか否か(L_Ave>L_th)を判定する(ステップS106)。所定の閾値L_thは、車輪9の摩耗限度を定義する値として予め記憶部35に記憶されている。
【0054】
車輪9の接地面との距離Lの平均値L_aveが所定の閾値L_thを超えていなければ(ステップS106;No)、車輪摩耗検知処理を終了する。車輪9の接地面との距離Lの平均値L_aveが所定の閾値L_thを超えた場合(ステップS106;Yes)、報知部39は、車輪9の摩耗が摩耗限度を超えたことを示すアラートを上位装置40に発報し(ステップS107)、車輪摩耗検知処理を終了する。
【0055】
なお、報知部39がアラートを発報する対象は上位装置40に限らず、例えば、報知部39自身が警報音や警報表示を行うことで、モータ付き台車の管理者等に車輪9の摩耗が摩耗限度を超えたことを報知する構成であっても良い。
【0056】
以上のように、実施形態に係る車輪摩耗検知装置32及び車輪摩耗検知システム30によれば、車輪9の接地面との距離Lを検出するセンサ31を設けることで、走行する路面Fの状態に依存することなく、車輪9の摩耗量を検出することができる。
【0057】
また、車輪9の接地面との距離Lの平均値L_aveが所定の閾値L_thを超えた場合に、車輪9の摩耗が摩耗限度を超えたことを示すアラートを発報することで、モータ付き台車の管理者等に車輪9の摩耗が摩耗限度を超えたことを報知することができる。
【0058】
なお、上述した実施形態では、モータ付き台車の駆動輪100の車輪9の摩耗を検出する例を示したが、モータ付き台車の従動輪の車輪の摩耗を検出する態様としても良い。
【0059】
また、上述した実施形態では、モータ付き台車に車輪摩耗検知装置32及び車輪摩耗検知システム30を適用する例を示したが、これに限定されない。例えば、自走が可能な走行車両に車輪摩耗検知装置32及び車輪摩耗検知システム30を適用する態様であっても良いし、モータを有していない台車に車輪摩耗検知装置32及び車輪摩耗検知システム30を適用する態様であっても良い。
【0060】
さらには、センサ(近接覚センサ)31を複数有する構成とした場合に、複数のセンサの検出値の平均値を1つの検出値として扱う構成であっても良いし、それぞれの検出値を別個に処理する構成であっても良い。
【0061】
なお、上述で使用した図は、本開示に関して定性的な説明を行うための概念図であり、これらに限定されるものではない。また、上述の実施形態は本開示の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 基部
1A 上面
1B 下面
3 自転軸(第一軸)
3A 下端
3C 軸心
5 回転部材
5A 上面
5B 下面
5C 側板
7 回転軸
7A 駆動軸(第二軸)
7B 従動軸(第三軸)
7C 軸心
9 車輪
9A 駆動車輪
9B 従動車輪
11 駆動部
13 制動機構
15 回転基準位置検出部
15A 検出センサ
15B 検出片
17 ロック機構
19 回転範囲規制機構
19A ピン
19B 円弧穴
21 ボルト
23 スリップリング
30 車輪摩耗検知システム
31 センサ(近接覚センサ)
32 車輪摩耗検知装置
33 データ取得部
34 カウンタ
35 記憶部
36 フィルタ部
37 平均化処理部
38 比較部
39 報知部
40 上位装置
50 センサ部
52 発光部
54 受光部
56 基板
58 第1遮光壁
60 第1封止部材
62 第2封止部材
70 対向面
100 駆動輪
102 第1透光部材
104 第2透光部材
106 枠部材
212 制御部
F 路面