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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149092
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】感熱記録材料
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/337 20060101AFI20231005BHJP
   B41M 5/40 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41M5/337 230
B41M5/40 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057476
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 邦男
(72)【発明者】
【氏名】池澤 善実
【テーマコード(参考)】
2H026
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026BB02
2H026BB21
2H026CC07
2H026DD48
2H026DD53
2H026FF29
(57)【要約】
【課題】再発色性及び耐ブロッキング性に優れる感熱記録材料を提供する。
【解決手段】課題は、支持体と、前記支持体上に電子供与性染料前駆体及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料において、前記感熱記録層がアクリロニトリルを必須成分とするコアとメタクリルアミドを必須成分とするシェルとからなるコアシェル構造を有する高分子重合体及び無水マレイン酸系共重合体を含有し、感熱記録層に対する前記支持体の反対の面に再湿潤性糊層を有することを特徴とする感熱記録材料によって解決できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に電子供与性染料前駆体及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料において、前記感熱記録層がアクリロニトリルを必須成分とするコアとメタクリルアミドを必須成分とするシェルとからなるコアシェル構造を有する高分子重合体及び無水マレイン酸系共重合体を含有し、感熱記録層に対する前記支持体の反対の面に再湿潤性糊層を有することを特徴とする感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性染料前駆体及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
支持体上に感熱記録層を有する感熱記録材料は、公知である。
例えば、支持体上に電子供与性染料前駆体及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設け、前記感熱記録層が電子受容性顕色剤として4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、発色反応を促進する低融点の熱可溶成分としてジフェニルスルホン、結合剤としてアクリロニトリルを必須成分とするコアとメタクリルアミドを必須成分とするシェルからなるコアシェル構造を有する高分子重合体を含有し、かつJIS-P-8117で規定されるガーレー透気抵抗度が170秒以上である感熱記録材料が公知である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の感熱記録材料は、発色感度、再発色性、耐熱画像保存性及び耐湿熱画像保存性に優れる。
【0003】
また、感熱記録材料の一態様では、支持体の片面に感熱記録層、水性接着剤を含有する保護層を順次設け、かつ支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録体が公知である(例えば、特許文献2参照)。再湿潤性糊層は、湿潤によって粘着性を発現する。すなわち、再湿潤性糊層は、乾燥状態では粘着性を発現しないため、通常の粘着層を覆うための剥離紙を必要としない。そのため、支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録体は、剥離紙の廃棄、剥離紙を生産するための資源削減及び取り扱い性の点で優れる。
支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録体は、物流ラベル用途に好適に使用される。支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録体から成る物流ラベルは、感熱記録層に可変情報が印字記録され、次に再湿潤性糊層に水分が付与され、そして再湿潤性糊層が粘着性を発現して配送物に貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-148525号公報
【特許文献2】特開平09-226252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記物流ラベルは、通常、ロール紙状で保管又は記録機器内部に装填される。
支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録体は、ロール紙状であると、感熱記録層と再湿潤性糊層とが接する状態になる。一般的に、再湿潤性糊層の糊剤には、クロロプレンゴム類、ポリビニルアルコール類、デンプン類、酢酸ビニル系共重合体、デキストリン、アラビアゴム、ニカワ、及びポリアクリルアミドなどが用いられる。
支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録体は、例えば高湿度環境及び予期せぬ吸湿などのように、環境及び状況に依存して粘着性を発現する場合がある。結果、支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録体は、ブロッキングを発生する。よって、支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録体は、再湿潤性糊層に対してブロッキングが発生し難い感熱記録層が必要である。
また、感熱記録材料は、長期間保存された後に使用した場合に感熱記録層の発色性(本明細書では「再発色性」とも記載する。)が低下する傾向にある。特に、支持体の反対の面に再湿潤性糊層を設けた感熱記録材料は、支持体の反対の面に再湿潤性糊層を有しない感熱記録材料に比べて、高温高湿度環境下の長期間保存された後に使用した場合に感熱記録層の発色性が低下する。
【0006】
以上から、本発明の目的は、再発色性及び耐ブロッキング性に優れる感熱記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の目的は以下の感熱記録材料によって達成される。
支持体と、前記支持体上に電子供与性染料前駆体及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層とを有する感熱記録材料において、前記感熱記録層がアクリロニトリルを必須成分とするコアとメタクリルアミドを必須成分とするシェルとからなるコアシェル構造を有する高分子重合体及び無水マレイン酸系共重合体を含有し、感熱記録層に対する前記支持体の反対の面に再湿潤性糊層を有することを特徴とする感熱記録材料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、再発色性及び耐ブロッキング性に優れる感熱記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の内容を更に具体的に説明する。
【0010】
感熱記録材料は、支持体の一方の面に感熱記録層を有し、支持体の残る面に再湿潤性糊層を有する。いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、支持体を基準として感熱記録層の外側に対して樹脂を含む又は樹脂及び顔料を含む感熱記録材料分野で従来公知の保護層を有する。この理由は、感熱記録材料の耐ブロッキング性を良化又は感熱記録層を保護することができるからである。
【0011】
感熱記録材料は、感熱記録層が、アクリロニトリルを必須成分とするコアとメタクリルアミドを必須成分とするシェルとからなるコアシェル構造を有する高分子重合体(本明細書では、「コアシェル型アクリルエマルション」とも記載する。)を含有する。
アクリロニトリルを必須成分とするコアとメタクリルアミドを必須成分とするシェルからなるコアシェル構造を有する高分子重合体は、一般に、アクリロニトリルのエマルションをシードとし、それとは性質の異なるポリマーを形成するモノマーとしてメタクリルアミドを必須成分として添加して、重合を行うシード乳化重合法によって調製される。
メタクリルアミドと併用してシェルを形成することができるモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、スチレン、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、さらに2-エチルヘキシルアクリレートなどのアクリレート、アリルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート及びブチルメタクリレートなどのメタクリレート、並びにメタクリル酸などを挙げることができる。また、コアシェル型アクリルエマルションは、例えば、三井化学社などから市販される。
【0012】
いくつかの実施態様において、感熱記録層におけるコアシェル型アクリルエマルションの含有量は、感熱記録層を形成する総乾燥固形分に対して5質量%以上40質量%以下である。この理由は、再発色性及び耐ブロッキング性が良化するからである。
感熱記録層は、コアシェル型アクリルエマルション以外に、従来公知の結合剤、結着剤及びバインダーとなる高分子重合体の一種又は二種以上を含有することができる。コアシェル型アクリルエマルション以外の高分子重合体は、例えば、コアシェル型アクリルエマルション以外のアクリル系重合体、デンプン及び変性デンプンなどのデンプン類、セルロース及び変性セルロースなどのセルロース類、ゼラチン及びカゼインなどのプロテイン類、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエン系共重合体、アクリロニトリルブタジエン系共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン系共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリウレタン系樹脂などを挙げることができる。
【0013】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層におけるコアシェル型アクリルエマルションの含有量は、コアシェル型アクリルエマルションの含有量及びコアシェル型アクリルエマルション以外の高分子重合体の含有量の合計に対して30質量%以上である。少なくとも一つの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層におけるコアシェル型アクリルエマルションの含有量及びコアシェル型アクリルエマルション以外の高分子重合体の含有量の合計が、感熱記録層を形成する総乾燥固形分に対して10質量%以上40質量%以下である。これらの理由は、感熱記録材料の再発色性及び耐ブロッキング性が良化するからである。
【0014】
感熱記録材料は、感熱記録層が、モノマーとして少なくとも無水マレイン酸を含む無水マレイン酸系共重合体を含有する。いくつかの実施態様において、感熱記録層における無水マレイン酸系共重合体の含有量は、感熱記録層を形成する総乾燥固形分に対して0.1質量以上10質量%以下である。この理由は、感熱記録材料の再発色性及び耐ブロッキング性が良化するからである。
無水マレイン酸系共重合体は、モノマーとして無水マレイン酸を含む共重合体を指す。無水マレイン酸と共重合するコモノマーは、例えば、スチレン、α-アルキルスチレン、ベンジルメタクリレート、イソブチレン、エチレン、酢酸ビニル、ビニルトルエン、マレイン酸、メチルビニルエーテルなどを挙げることができる。また、無水マレイン酸系共重合体は、部分的にエステル化及び/又は塩を形成するものも含まれる。いくつかの実施態様において、無水マレイン酸系共重合体は、スチレン無水マレイン酸共重合体である。少なくとも一つの実施態様において、無水マレイン酸系共重合体は、スチレン無水マレイン酸アンモニウム塩である。これらの理由は、感熱記録材料の再発色性及び耐ブロッキング性が良化するからである。
無水マレイン酸系共重合体は、例えば、荒川化学工業社、巴工業社、Vertellus社、三菱ケミカル社及びダウ・ケミカル日本社などから市販される。
【0015】
感熱記録材料は、感熱記録層が、電子供与性染料前駆体を含有する。前記電子供与性染料前駆体は、感熱記録材料に用いられる従来公知の染料前駆体であって、特に限定されない。電子供与性染料前駆体は、例えば、以下のとおりである。電子供与性染料前駆体は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
【0016】
黒系の電子供与性染料前駆体の例としては、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-カルボメトキシフェニルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロペンチル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソアミル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-4-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-4-トルイジノ)-6-メチル-7-(4-トルイジノ)フルオラン、3-(N-メチル-N-テトラヒドロフルフリル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-(4-n-ブチルフェニルアミノ)フルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、及び3-(N-エチル-N-イソペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランなどを挙げることができる。
【0017】
赤系の電子供与性染料前駆体の例としては、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)テトラクロロフタリド、3,3-ビス(1-n-ブチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ヘキシル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-メチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(2-メチルインドール-3-イル)フタリド、ローダミンB-アニリノラクタム、ローダミンB-(o-クロロアニリノ)ラクタム、ローダミンB-(p-ニトロアニリノ)ラクタム、3-ジエチルアミノ-5-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メトキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロ-8-ベンジルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,7-ジメチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,8-ジメチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メトキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(N-アセチル-N-メチル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-n-プロポキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-p-メチルフェニルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-ジエチルアミノベンゾ[a]フルオラン、3-ジエチルアミノベンゾ[c]フルオラン、3-ジメチルアミノ-7-メトキシフルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-n-オクチル)アミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-N-n-オクチル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エチル-N-n-オクチル)アミノ-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-n-オクチル)アミノ-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-N-4-メチルフェニル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エトキシエチル-N-エチル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エトキシエチル-N-エチル)アミノ-7-クロロフルオラン、3-n-ジブチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-n-ジブチルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-n-ジブチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-n-ジブチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジアリルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-ジアリルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-ブロモフルオラン、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン、3-ピロリジルアミノ-7-メチルフルオラン、3-エチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-ベンゾ[a]フルオラン、3-n-ジブチルアミノ-6-メチル-7-ブロモフルオラン、及び3,6-ビス(ジエチルアミノフルオラン)-γ-(4′-ニトロ)アニリノラクタムなどを挙げることができる。
【0018】
緑系の電子供与性染料前駆体の例としては、3-(N-エチル-N-n-ヘキシル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-p-トリル)アミノ-7-(N-フェニル-N-メチル)アミノフルオラン、3-(N-エチル-N-n-プロピル)アミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-N-n-プロピル)アミノ-6-クロロ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-N-4-メチルフェニル)アミノ-7-(N-メチル-N-フェニル)アミノフルオラン、3-(N-エチル-4-メチルフェニル)アミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-4-メチルフェニル)アミノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-(N-エチル-4-メチルフェニル)アミノ-6-メチル-7-(N-メチル-N-ベンジル)アミノフルオラン、3-(N-メチル-N-n-ヘキシル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-(N-プロピル-N-n-ヘキシル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-(N-エトキシ-N-n-ヘキシル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ペンチル-N-アリル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ペンチル-N-アリル)アミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-クロロ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-n-ジブチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-(2-クロロベンジルアニリノ)フルオラン、3,3-ビス(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレン-9-スピロ-3′-(6′-ジメチルアミノ)フタリド、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(N-シクロヘキシル-N-ベンジル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2-エトキシアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(4-エトキシアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-エチルエトキシ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-p-クロロアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-p-メチルフェニルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(N-シクロヘキシル-N-ベンジル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(3-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-エトキシアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(4-エトキシアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロベンジルアニリノ)フルオラン、3-ジメチルアミノ-6-クロロ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-(2-フルオロアニリノ)フルオラン、3-アニリノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-アニリノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-(4-シクロヘキシルアニリノ)フルオラン、3-ジベンジルアミノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、及び3,7-ビス(ジベンジルアミノ)フルオラン、3-ジベンジルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオランなどを挙げることができる。
【0019】
青系の電子供与性染料前駆体の例としては、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノフェニル)フタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-メチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-アミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-メチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-エチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-プロピルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ブチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ペンチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ヘキシルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジヒドロキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジクロロアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジブロモアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジアリルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジヒドロキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジメトキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエトキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジシクロヘキシルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-プロポキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ブトキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-n-ヘキシルオキシアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-メチルシクロヘキシルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジ-メトキシシクロヘキシルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ピロリジルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(3-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2,3-ジエトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-クロロ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(3-クロロ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)
-3-(2-ブロモ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(3-ブロモ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-n-プロピル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(3-メチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-ニトロ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-アリル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-ヒドロキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-シアノ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-シクロヘキシルエトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-メチルエトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-シクロヘキシルエチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(2-エチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-クロロインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-ブロモインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-エチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-プロピルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メトキシインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-エトキシインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-フェニルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4,7-ジアザフタリド、3-(1-エチル-4,5,6,7-テトラクロロ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-4-ニトロ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-4-メトキシ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-4-メチルアミノ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-4-メチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-クロロ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-ブロモ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-メチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-メチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ
-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ブチル-2-インドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ヘキシル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ヘキシル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4,7-ジアザフタリド、3-(1-n-ノニル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-メトキシ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エトキシ-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-フェニル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-ヘプチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3-(1-n-ノニル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-7-アザフタリド、3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、及び3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-n-ヘキシルオキシフェニル)-4-アザフタリドなどを挙げることができる。
【0020】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層における電子供与性染料前駆体の含有量が、感熱記録層を形成する総乾燥固形分に対して1質量%以上30質量%以下である。この理由は、感熱記録材料が十分な熱応答性を得ることができるからである。
【0021】
感熱記録材料は、感熱記録層が電子受容性顕色剤を含有する。電子受容性顕色剤は、感熱記録材料に用いられる従来公知の顕色剤であって、特に限定されない。電子受容性顕色剤は、例えば、以下のとおりである。電子受容性顕色剤は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
【0022】
電子受容性顕色剤は、例えば、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-プロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-アリルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-オクチルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-ドデシルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-ベンジルオキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4-ジヒドロキシ-4′-メチルジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4′-ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、p-フェニルフェノール、p-ヒドロキシアセトフェノン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス〔2-(p-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、1,3-ビス〔2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(p-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、4,4′-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3′-ジクロロ-4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′-チオビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、サリチルアニリド、5-クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸、3,5-ビス(α-メチルベンジル)サリチル酸、4-〔2′-(4-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、3-(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩、N-(4-ヒドロキシフェニル)-p-トルエンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフタレンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ナフタレンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシナフチル)-p-トルエンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシナフチル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシナフチル)-1-ナフタレンスルホンアミド、N-(4-ヒドロキシナフチル)-2-ナフタレンスルホンアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)-p-トルエンスルホンアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)-1-ナフタレンスルホンアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)-2-ナフタレンスルホンアミド、4,4′-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、3-(3-トシルウレイド)フェニルp-トルエンスルホナート、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、N-(2-{[(4-メチルフェニル)カルバモイル]アミノ}フェニル)ベンゼンスルホンアミド、4-メチル-N-{2-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル}ベンゼンスルホンアミド、4-メチル-N-(2-{[(4-メチルフェニル)カルバモイル]アミノ}フェニル)ベンゼンスルホンアミド、N-ブチルブチル-4-[3-(p-トルエンスルホニル)ウレイド]ベンゾエート、3,3′-(4,4′-メチレンジフェニル)ビス(ウレイド p-トリススルホン)、ビス{3-[3′-(p-トルエンスルホニル)ウレイド]ベンゾエート}、1,5-(3-オキソペンチレン)ビス{3′-[3′-(p-トルエンスルホニル)ウレイド]ベンゾエート}、及びN-フェニルスルホニル-N′-フェニルウレアの誘導体などを挙げることができる。
【0023】
いくつかの実施態様において、電子受容性顕色剤は、溶解度が0.01g/100g水(25℃)以下である。この理由は、感熱記録材料を高温高湿度環境下で保管した際の再湿潤性糊層成分の溶出による発色性の悪化及び/又は感熱記録材料の再湿潤性糊層が湿潤して粘着性を発現した場合に起因する感熱記録層の耐ブロッキング性の悪化を防止することができるからである。溶解度が0.01g/100g水(25℃)以下である顕色剤は、例えば、4-ヒドロキシ-4′-イソプロポキシジフェニルスルホン及びビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン)などを挙げることができる。
【0024】
いくつかの実施態様において、感熱記録層における電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との含有質量比は、電子供与性染料前駆体に対して電子受容性顕色剤が100質量%以上500質量%以下である。少なくとも一つの実施態様において、感熱記録層における電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との含有質量比は、電子供与性染料前駆体に対して電子受容性顕色剤が150質量%以上350質量%以下である。これらの理由は、再発色性が良化するからである。
【0025】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層が増感剤を含有する。この理由は、感熱記録材料の熱応答性が良化するからである。増感剤は、感熱記録材料分野で従来公知のものであって、特に限定されない。増感剤は、例えば、以下のとおりである。増感剤は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。いくつかの実施態様において、感熱記録層における増感剤の含有量は、感熱記録層を形成する総乾燥固形分に対して5質量%以上50質量%以下である。
【0026】
増感剤の例としては、ジフェニルスルホン、ステアリン酸モノアミド、N-ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、N-ステアリル尿素、ベンジル-2-ナフチルエーテル、p-トルエンスルホンアミド、m-ターフェニル、4-ベンジルビフェニル、2,2′-ビス(4-メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α,α′-ジフェノキシ-o-キシレン、ビス(4-メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、蓚酸ジベンジル、蓚酸ビス(4-メチルベンジル)エステル、蓚酸ビス(4-クロロベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4-アリルオキシフェニル)スルホン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジフェノキシエタン、4-アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、及び脂肪酸アニリド類などを挙げることができる。
【0027】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層がヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン酸エステル誘導体及びベンゾトリアゾール誘導体から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有する。少なくとも一つの実施態様において、感熱記録層におけるヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン酸エステル誘導体及びベンゾトリアゾール誘導体から成る群から選ばれる化合物の合計含有量は、電子供与性染料前躯体に対して5質量%以上300質量%以下である。これらの理由は、感熱記録層の保存性が良化するからである。
【0028】
ヒンダードフェノール系化合物は、例えば、1,1,2,2-テトラキス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)エタン、1,1,2,2-テトラキス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2-テトラキス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3-トリス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-フェニル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1,3,3-テトラキス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,5,5-テトラキス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、1,1,3,3-テトラキス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,3,3-テトラキス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(5-フェニル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3-テトラキス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)プロパン、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2′-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2′-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4′-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4′-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4′-チオビス(2-メチルフェノール)、4,4′-チオビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4′-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2′-チオビス(4-tert-オクチルフェノール)、2,2′-チオビス(3-tert-オクチルフェノール)、4,4′-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、1-[α-メチル-α-(4′-ヒドロキシフェニル)エチル]4-[α′,α′-ビス(4′′-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンなどを挙げることができる。ヒンダードフェノール系化合物はこれに限定されない。
【0029】
ヒンダードアミン系化合物は、例えば、ビス(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸-ビス(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)エステル、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸-テトラキス[1,2,2,6,6-ペンタメチル(4-ピペリジル)]エステル、及びブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸-テトラキス[2,2,6,6-テトラメチル(4-ピペリジル)]エステルなどを挙げることができる。ヒンダードアミン系化合物はこれに限定されない。
【0030】
リン酸エステル誘導体は、例えば、トリフェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ビス(4-クロロフェニル)ホスフェート、ビス(ベンジルオキシフェニル)ホスフェート、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ジメチルオキシホスフェート、ジエチルオキシホスフェート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスフェート、3,5-ジ-tert-ブチルジフェニルホスフェート、ジエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスフェート、及び2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートのナトリウム塩、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートのカルシウム塩、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートの亜鉛塩、並びに2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートのアンモニウム塩及びカリウム塩などを挙げることができる。リン酸エステル誘導体はこれに限定されない。
【0031】
ベンゾトリアゾール誘導体は、例えば、2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-tert-ブチルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-ドデシル-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシル)オキシフェニル]ベンゾトリアゾール、メチル-3-(3-tert-ブチル-5-ベンゾトリアゾリル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート-ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、5-tert-ブチル-3-(5-クロロ-ベンゾトリアゾリル)-4-ヒドロキシベンゼン-プロピオン酸オクチル、2-(2-ヒドロキシ-3-sec-ブチル-5-tert-ブチルフェニル)-5-tert-ブチルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホフェニル)ベンゾトリアゾールナトリウム塩、2-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシ-5-スルホフェニル)ベンゾトリアゾールナトリウム塩、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2′-メチレンビス[4-メチル-6-(5-メチルベンゾトリアゾリル)フェノール]、2,2′-メチレンビス[4-メチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾリル)フェノール]、2,2′-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾリルフェノール]、2,2′-メチレンビス(4-tert-ブチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2′-プロピリデンビス(4-メチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2′-イソプロピリデンビス(4-メチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2,2′-イソプロピリデンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾリルフェノール]、及び2,2′-オクチリデンビス[4-メチル-6-(5-メチルベンゾトリアゾリル)フェノール]などを挙げることができる。ベンゾトリアゾール誘導体はこれに限定されない。
【0032】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、感熱記録層が従来公知の白色顔料を含有する。この理由は、感熱記録材料の耐スティッキング性及び白色度が良化するからである。白色顔料は、例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、非晶質珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルアルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、リトポン、ゼオライト、ハイドロタルサイト及び加水ハロイサイトなどの白色無機顔料、並びに各種樹脂から成る中空粒子及び中実粒子などの白色有機顔料を挙げることができる。
いくつかの実施態様において、白色顔料は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。少なくとも一つの実施態様において、感熱記録層における白色顔料の含有量は、感熱記録層を形成する総乾燥固形分に対して5質量%以上50質量%以下である。
【0033】
感熱記録材料は、感熱記録層に、感熱記録材料分野で従来公知の各種添加剤を必要に応じて含有することができる。添加剤は、例えば、耐スティッキング性を向上するためのステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン及びカスターワックスなどのワックス類、耐水性を向上するための硬膜剤及び架橋剤、さらにジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの分散剤、界面活性剤、蛍光染料、着色染料、並びにブルーイング剤などを挙げることができる。
【0034】
感熱記録層は、例えば、電子供与性染料前駆体を分散媒に分散した予備分散体に、電子受容性顕色剤、さらに必要に応じて増感剤、さらに必要に応じてヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン酸エステル誘導体及びベンゾトリアゾール誘導体から成る群から選ばれる一種又は二種以上、白色顔料、並びに各種添加剤を予備分散体に配合及び分散した感熱記録層用分散液を支持体に対して塗工及び乾燥して、得ることができる。感熱記録層は、アクリロニトリルを必須成分とするコアとメタクリルアミドを必須成分とするシェルとからなるコアシェル構造を有する高分子重合体及び無水マレイン酸系共重合体を感熱記録層用分散液に配合することによって、含有することができる。
電子供与性染料前駆体を分散媒に分散した予備分散体は、電子供与性染料前駆体を乾式粉砕して分散媒中に分散する方法、又は電子供与性染料前駆体を分散媒に添加して湿式粉砕する方法などによって得ることができる。いくつかの実施態様において、電子供与性染料前駆体では、水を分散媒としてサンドグラインダー、ボールミル、アトライター及びビーズミルなどの各種湿式粉砕機によって体積平均粒子径を0.1μm以上5.0μm以下に粉砕して、予備分散体とする。この理由は、発色感度の高い感熱記録材料が得られるからである。
いくつかの実施態様において、電子受容性顕色剤及び増感剤は、水を分散媒としてサンドグラインダー、ボールミル、アトライター及びビーズミルなどの各種湿式粉砕機によって体積平均粒子径を0.1μm以上5.0μm以下に粉砕した分散体を、予備分散体に配合及び分散する。この理由は、発色感度の高い感熱記録材料が得られるからである。
【0035】
上記の予備分散体、分散体又は感熱記録層用分散液を得る際には、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク及びハイドロタルサイトなどの顔料を配合することができる。また、予備分散体又は分散体は、40℃以上80℃以下の範囲に加温処理することができる。また、電子供与性染料前駆体には、電子供与性染料前駆体表面に有機高分子によって形成される被覆層を設けることができる。
【0036】
いくつかの実施態様において、上記の予備分散体、分散体及び感熱記録層用分散液では、それぞれ分散媒に分散剤を配合する。この理由は、予備分散体、分散体及び感熱記録層用分散液の分散が安定するからである。
分散剤は、例えば、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、リン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール及びエポキシ変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、エチレンアクリル酸塩共重合体、スチレンアクリル酸塩共重合体、ポリアクリル酸塩及びポリアクリルスルホン酸塩などの水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩及び脂肪酸金属塩などのアニオン系低分子界面活性剤、並びにアセチレングリコールなどのノニオン系界面活性剤などを挙げることができる。いくつかの実施態様において、分散剤は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。分散剤は、これらに限定されない。
【0037】
いくつかの実施態様において、感熱記録層の塗工量は、乾燥固形分として2g/m以上15g/m以下である。この理由は、感熱記録材料の発色感度が良化する及び感熱記録材料の製造コストの点で有利になるからである。
【0038】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、支持体と感熱記録層との間にアンダーコート層を有する。この理由は、感熱記録層の平滑性及び支持体に対する断熱性を良化することができるからである。アンダーコート層は、感熱記録材料分野で従来公知のものである。アンダーコート層は、例えば、感熱記録媒体分野で従来公知の顔料及びバインダー並びに必要に応じて滑剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、蛍光増白剤、分散剤、増粘剤、着色剤、帯電防止剤及び架橋剤などから選ばれる各種添加剤を含有する。アンダーコート層は、例えば、支持体に対して従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いてアンダーコート層用塗工液を塗工及び乾燥して設けることができる。いくつかの実施態様において、アンダーコート層の塗工量は、乾燥固形分として1g/m以上30g/m以下である。少なくとも一つの実施態様において、アンダーコート層の塗工量は、乾燥固形分として4g/m以上20g/m以下である。
【0039】
感熱記録材料の支持体は、感熱記録材料分野で従来公知のものである。支持体は、例えば、塗工紙及び非塗工紙などの紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙及びガラス板、並びにこれらを組み合わせた複合体及び積層体を挙げることができる。
【0040】
再湿潤性糊層は、湿潤することによって粘着性を発現する特性を有する糊剤を主成分として含有するものである。再湿潤性糊層に用いられる糊剤は、糊剤分野で従来公知のものである。糊剤は、例えば、クロロプレンゴム類、完全ケン化ポリビニルアルコール及び部分ケン化ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、デンプン類、酢酸ビニルアクリル酸塩共重合体及び酢酸ビニルメタクリル酸塩共重合体などの酢酸ビニル系共重合体、デキストリン、アラビアゴム、ニカワ、及びポリアクリルアミドなどを挙げることができる。糊剤は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
【0041】
再湿潤性糊層は、糊剤の特性を阻害しない範囲で、糊剤以外に各種助剤を含有することができる。助剤は、例えば、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、抗菌剤、防黴剤、香料及び難燃剤などを挙げることができる。
【0042】
いくつかの実施態様において、再湿潤性糊層の塗工量は、乾燥固形分で5g/m以上50g/m以下である。この理由は、粘着性の発現及び製造コストが上手く両立できるからである。
【0043】
いくつかの実施態様において、感熱記録材料は、支持体と再湿潤性糊層との間に中間層を有する。この理由は、再湿潤性糊層の平滑性及び支持体に対する接着性を良化することができるからである。中間層は、塗工紙分野で従来公知のものである。中間層は、例えば、塗工紙分野で従来公知の顔料及びバインダー並びに必要に応じて滑剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、蛍光増白剤、分散剤、増粘剤、着色剤、帯電防止剤及び架橋剤などから選ばれる各種添加剤を含有する。中間層は、例えば、支持体に対して従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて中間層用塗工液を塗工及び乾燥して設けることができる。いくつかの実施態様において、中間層の塗工量は、乾燥固形分として0.5g/m以上10g/m以下である。
【0044】
アンダーコート層、感熱記録層、中間層及び/又は再湿潤性糊層は、カレンダー処理を施すことができる。カレンダー処理は、製紙分野で従来公知のカレンダー処理装置を用いて達成することができる。カレンダー処理の例としては、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどを挙げることができる。
【0045】
感熱記録材料は、電子供与性染料前駆体及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層がコアシェル型アクリルエマルション及び無水マレイン酸系共重合体を含有することで再発色性が得られ、なおかつ、コアシェル型アクリルエマルション及び無水マレイン酸系共重合体を含有する感熱記録層と再湿潤性糊層との組み合わせによって、例えばロール紙状の場合などで、耐ブロッキング性を得ることができる。特に、前記感熱記録層は、再湿潤性糊層の糊剤がポリビニルアルコール類である場合に好適である。
【実施例0046】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるない。なお、実施例において、質量%及び質量部は乾燥固形分量又は実質成分量を表す。塗工量は乾燥固形分量を表す。
【0047】
<実施例1>
(支持体)
支持体として、パルプ、填料、サイズ剤及び紙力剤を含有する坪量60g/mの上質紙を用いた。支持体に用いた上質紙は、ベック平滑度が表裏共に60秒及び灰分が10質量%であった。
【0048】
(アンダーコート層用塗工液)
水に対して下記材料を配合してアンダーコート層用塗工液とした。
顔料(焼成カオリン) 1000質量部
分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム) 1質量部
分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 1質量部
バインダー(スチレンブタジエン共重合体) 120質量部
バインダー(尿素変性リン酸エステル化デンプン) 60質量部
【0049】
(アンダーコート層)
アンダーコート層用塗工液を、支持体に対して塗工量10g/mとなるように塗工及び乾燥してアンダーコート層を得た。
【0050】
(電子受容性顕色剤及び増感剤の分散体)
シンマルエンタープライゼス社ビーズミル「DYNO-MILL MULTI LAB」及び直径0.6mmガラスビーズを用いて水に対して下記配合の電子受容性顕色剤及び増感剤の分散体を調製した。粉砕室内におけるビーズ粒子充填率は80容積%とした。分散体は、液温度20℃で体積平均粒子径0.8μmになるまで粉砕した。
電子受容性顕色剤(4-ヒドロキシ-4′-イソプロポキシジフェニルスルホン)
200質量部
増感剤(1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン) 200質量部
無水マレイン酸系共重合体 40質量部
消泡剤(アセチレン系ジアルコール) 2質量部
【0051】
ここで、無水マレイン酸系共重合体には、スチレン無水マレイン酸塩共重合体である荒川化学工業社、ポリマロン(登録商標)1318を用いた。
【0052】
(電子供与性染料前駆体の予備分散体)
シンマルエンタープライゼス社ビーズミル「DYNO-MILL MULTI LAB」及び直径0.6mmガラスビーズを用いて水に対して下記配合の電子供与性染料前駆体の予備分散体を調製した。粉砕室内におけるビーズ粒子充填率は80容積%とした。予備分散体は、液温度20℃で体積平均粒子径0.8μmになるまで粉砕した。その後、70℃で30分間加温処理を行って予備分散体を得た。
電子供与性染料前駆体
(3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン)100質量部
分散剤(スルホン酸変性ポリビニルアルコール) 20質量部
消泡剤(アセチレン系ジアルコール) 0.5質量部
【0053】
(顔料分散液)
水に対して下記配合の顔料分散液を調製した。
水酸化アルミニウム 125質量部
非晶質シリカ 125質量部
分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム) 2.5質量部
【0054】
(感熱記録層用分散液)
上記の予備分散体、分散体及び分散液を用いて、水に対して下記配合で混合及び攪拌して感熱記録層用分散液を得た。
電子受容性顕色剤及び増感剤の分散体 442質量部
電子供与性染料前駆体の予備分散体 120.5質量部
顔料分散液 252.5質量部
コアシェル型アクリルエマルション 115質量部
分散剤(シラノール変成ポリビニルアルコール) 115質量部
添加剤(ステアリン酸亜鉛) 80質量部
【0055】
ここで、コアシェル型アクリルエマルションには、三井化学社、バリアスター(登録商標)BM1000を用いた。
【0056】
(感熱記録層)
上記アンダーコート層を備えた支持体のアンダーコート層に対して、上記感熱記録層用分散液3.1g/mとなるように塗工及び乾燥した。その後、スーパーカレンダー処理を施して感熱記録層を得た。
【0057】
(感熱記録材料)
上記のように設けた感熱記録層に対する支持体の反対の面に、糊剤として平均重合度500及びケン化度88モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールを塗工量で17g/mとなるように塗工及び乾燥して再湿潤性糊層を形成し、感熱記録層及び感熱記録層に対する支持体の反対の面に再湿潤性糊層を有する感熱記録材料を得た。
【0058】
<実施例2>
実施例1において、実施例1の電子受容性顕色剤(4-ヒドロキシ-4′-イソプロポキシジフェニルスルホン)を電子受容性顕色剤(ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン)に変更する以外は実施例1と同様に行い、実施例2とした。
【0059】
<実施例3>
実施例1において、実施例1の電子受容性顕色剤(4-ヒドロキシ-4′-イソプロポキシジフェニルスルホン)を電子受容性顕色剤(2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン)に変更する以外は実施例1と同様に行い、実施例3とした。
【0060】
<実施例4>
実施例1において、コアシェル型アクリルエマルション(三井化学社、バリアスターBM1000)をコアシェル型アクリルエマルション(三井化学社、バリアスターOM1050)に変更する以外は実施例1と同様に行い、実施例4とした。
【0061】
<実施例5>
実施例1において、無水マレイン酸系共重合体(スチレン無水マレイン酸塩共重合体)を無水マレイン酸系共重合体(スチレンイソブチレン無水マレイン酸共重合体、ダウ・ケミカル日本社、オロタン(登録商標)165A)に変更する以外は実施例1と同様に行い、実施例5とした。
【0062】
<実施例6>
実施例1において、再湿潤性糊層の糊剤として部分ケン化ポリビニルアルコールをアラビアゴムに変更する以外は実施例1と同様に行い、実施例6とした。
【0063】
<比較例1>
実施例3において、感熱記録層用分散液に配合するコアシェル型アクリルエマルションをスチレンブタジエン共重合体に変更する以外は実施例3と同様に行い、比較例1とした。
【0064】
<比較例2>
実施例3において、電子受容性顕色剤及び増感剤の分散体に配合する無水マレイン酸系共重合体をスルホン酸変性ポリビニルアルコールに変更する以外は実施例3と同様に行い、比較例2とした。
【0065】
各実施例及び各比較例の感熱記録材料について下記項目を評価した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
<再発色性>
感熱記録材料を、40℃及び90%RHの環境下で168時間静置した。静置後、感熱記録材料を、23℃及び50%RHの環境下で3時間静置して感熱記録材料の温度及び水分を緩和した。23℃及び50%RHの環境下で、大倉電気社、ファクシミリ試験機TH-PMDを用いて、0.60mJ/dotの印加エネルギーで黒ベタを印字した。印字部について、23℃及び50%RHの環境下で印字濃度をエックスライト社、RD19I光学濃度計(ブラックモード)にて測定した。測定値から下記の基準で評価した。本発明において、感熱記録材料は評価A及びBであれば再発色性に優れるものとする。
A:印字部分の発色濃度が1.1以上。
B:印字部分の発色濃度が1.0以上1.1未満。
C:印字部分の発色濃度が1.0未満。
【0068】
<耐ブロッキング性>
各感熱記録材料を各2部準備して、それぞれ同種の感熱記録材料を用いて感熱記録層と再湿潤性糊層とを対向させて重ね合わせた。重ね合わせに対して、荷重0.5kPa/A4サイズ、40℃及び90%RHの環境下で24時間静置した。その後、重ね合わせた状態のまま23℃及び50%RHの環境下で3時間静置して感熱記録材料の温度及び水分を緩和した。次に、重ね合わせを剥離して、対向していた感熱記録層及び再湿潤性糊層の面状態から下記の基準で評価した。本発明において、感熱記録材料は評価A及びBであれば耐ブロッキング性に優れるものとする。
A:感熱記録層及び再湿潤性糊層に傷みが認められない。
B:上記Aより劣るものの感熱記録層及び再湿潤性糊層に傷みが概ね認められない。
C:上記Bより劣るものの感熱記録層及び再湿潤性糊層に傷みが僅かに認められる。
D:感熱記録層及び/又は再湿潤性糊層に傷みが認められる。
【0069】
表1から、本発明の構成を満足する実施例1~6は、再発色性及び耐ブロッキング性に優れる感熱記録材料であると分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1及び2は、再発色性及び耐ブロッキング性の少なくともいずれかを得ることができない感熱記録材料であると分かる。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
いくつかの実施態様において、電子受容性顕色剤は、溶解度が0.01g/100g水(25℃)以下である。この理由は、感熱記録材料を高温高湿度環境下で保管した際の再湿潤性糊層成分の溶出による発色性の悪化及び/又は感熱記録材料の再湿潤性糊層が湿潤して粘着性を発現した場合に起因する感熱記録層の耐ブロッキング性の悪化を防止することができるからである。溶解度が0.01g/100g水(25℃)以下である顕色剤は、例えば、4-ヒドロキシ-4′-イソプロポキシジフェニルスルホン及びビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどを挙げることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
いくつかの実施態様において、上記の予備分散体、分散体及び感熱記録層用分散液では、それぞれ分散媒に分散剤を配合する。この理由は、予備分散体、分散体及び感熱記録層用分散液の分散が安定するからである。
分散剤は、例えば、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、リン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール及びエポキシ変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、エチレンアクリル酸塩共重合体、スチレンアクリル酸塩共重合体、ポリアクリル酸塩及びアクリル酸ビニルスルホン酸塩共重合体などの水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩及び脂肪酸金属塩などのアニオン系低分子界面活性剤、並びにアセチレングリコールなどのノニオン系界面活性剤などを挙げることができる。いくつかの実施態様において、分散剤は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。分散剤は、これらに限定されない。