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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149100
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20231005BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20231005BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E03C1/12 E
F16L5/00 N
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057485
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】片野 景一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 英治
(72)【発明者】
【氏名】福屋 博史
【テーマコード(参考)】
2D061
3H024
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB02
2D061AB05
2D061AC07
2D061AD01
3H024AA03
3H024AB07
3H024AC05
(57)【要約】
【課題】集合管継手を管材に接続しやすくした配管構造を提供する。
【解決手段】配管構造1は、縦管P1に接続可能な縦管接続部16を上端部に有する継手本体24、及び、継手本体の外周面に突出され、横管P3に接続可能な横管接続部17を有する集合管継手10と、継手本体の下端部に接続された延長縦管30と、集合管継手を覆う継手カバー35と、延長縦管を覆う延長カバー40と、継手カバー及び延長カバー全体としての少なくとも一部が内部に配置された貫通孔103aが形成された床スラブ103と、を備え、延長縦管の下端は、床スラブの下面と面一か、床スラブの下面よりも下方に向かって突出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦管に接続可能な縦管接続部を上端部に有する継手本体、及び、前記継手本体の外周面に突出され、横管に接続可能な横管接続部を有する集合管継手と、
前記継手本体の下端部に接続された延長縦管と、
前記集合管継手を覆う継手カバーと、
前記延長縦管を覆う延長カバーと、
前記継手カバー及び前記延長カバー全体としての少なくとも一部が内部に配置された貫通孔が形成された床スラブと、
を備え、
前記延長縦管の下端は、前記床スラブの下面と面一か、前記床スラブの前記下面よりも下方に向かって突出する、配管構造。
【請求項2】
前記延長カバーの上端部は、前記継手本体と前記継手カバーとの間に配置されている、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記延長縦管は、
前記継手本体の下端部に接続された第1直管と、
前記第1直管よりも下方に配置された第2直管と、
前記第1直管の下端部及び前記第2直管の上端部が内部に配置され、前記第1直管及び前記第2直管にそれぞれ接続された連結管と、
を有する、請求項1又は2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記継手カバーと前記延長カバーとは、上下方向に突き合わされるか、上下方向に間を空けて配置され、
前記継手カバー及び前記延長カバーを覆う封止部材を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の配管構造。
【請求項5】
前記継手カバーと前記延長カバーとは、上下方向に間を空けて配置され、
前記継手本体及び延長縦管における、前記継手本体の軸線方向において前記継手カバーと前記延長カバーとの間に位置する部分を、隙間部分と規定したときに、
前記延長カバー及び前記隙間部分を覆う下方封止部材と、
前記継手カバー及び前記下方封止部材を覆う上方封止部材と、
を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合管継手に上部カバー及び下部カバーが巻きつけられたカバー付き継手が知られている(例えば、特許文献1参照)。集合管継手では、継手本体に横管接続部が設けられている。横管接続部は、上部カバーを貫通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-116732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のカバー付き継手は、マンション、ホテル等の多層建築物(建築物)に用いられる。多層建築物では、上下方向に隣合う層が、床スラブにより仕切られている。床スラブには、スラブ孔(貫通孔)が形成されている。カバー付き継手の一部は、床スラブのスラブ孔内に配置され、スラブ孔は、モルタル等の充填材により埋め戻される。
近年、施工性と耐久性の観点から樹脂製の集合管継手が用いられている。樹脂製の集合管継手内に水が流れるときに発生する音や振動が外部に漏れないように、集合管継手にカバーを巻いている。
【0005】
しかしながら、床スラブが厚い場合や、床スラブに対して横管を上方に離して施工する場合等には、集合管継手における横管よりも下方の部分の長さが足りなくなる。すなわち、集合管継手の下端が、床スラブよりも下方に突出しなくなる。この場合、集合管継手の下方において管材に接続し難くなる。
ここで言う管材に接続するとは、管材に直接接続する意味だけでなく、管材に他の部材を介して接続することを意味する。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、集合管継手を管材に接続しやすくした配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の配管構造は、縦管に接続可能な縦管接続部を上端部に有する継手本体、及び、前記継手本体の外周面に突出され、横管に接続可能な横管接続部を有する集合管継手と、前記継手本体の下端部に接続された延長縦管と、前記集合管継手を覆う継手カバーと、前記延長縦管を覆う延長カバーと、前記継手カバー及び前記延長カバー全体としての少なくとも一部が内部に配置された貫通孔が形成された床スラブと、を備え、前記延長縦管の下端は、前記床スラブの下面と面一か、前記床スラブの前記下面よりも下方に向かって突出することを特徴としている。
【0008】
この発明では、縦管及び横管が接続可能な集合管継手を、継手カバーにより覆うことができる。継手本体に接続された延長縦管を、延長カバーにより覆うことができる。このとき、継手カバー及び延長カバー全体としての少なくとも一部が床スラブの貫通孔の内部に配置されるとともに、延長縦管の下端は、床スラブの下面と面一か、床スラブの下面よりも下方に向かって突出する。このため、床スラブよりも下方から、延長縦管に管材を接続しやすい。従って、延長縦管を介して、集合管継手を管材に接続しやすくすることができる。
【0009】
また、前記配管構造において、前記延長カバーの上端部は、前記継手本体と継手カバーとの間に配置されていてもよい。
この発明では、継手カバーの外側の面上を流れた水は、この面から下方に向かって流れて、延長カバーの外側の面上を流れやすい。これにより、この水が、延長カバーの内側に流れ込むのを抑制することができる。
【0010】
また、前記配管構造において、前記延長縦管は、前記継手本体の下端部に接続された第1直管と、前記第1直管よりも下方に配置された第2直管と、前記第1直管の下端部及び前記第2直管の上端部が内部に配置され、前記第1直管及び前記第2直管にそれぞれ接続された連結管と、を有してもよい。
この発明では、第2直管の下端部を管材に挿入したときに、管材の上端面に連結管が上方から係止する。これにより、管材に第2直管が挿入され過ぎて、管材が損傷するのを防止することができる。
【0011】
また、前記配管構造において、前記継手カバーと前記延長カバーとは、上下方向に突き合わされるか、上下方向に間を空けて配置され、前記継手カバー及び前記延長カバーを覆う封止部材を備えてもよい。
この発明では、封止部材により、継手カバーと延長カバーとの間を通して水が流れるのを抑制することができる。
【0012】
また、前記配管構造において、前記継手カバーと前記延長カバーとは、上下方向に間を空けて配置され、前記継手本体及び延長縦管における、前記継手本体の軸線方向において前記継手カバーと前記延長カバーとの間に位置する部分を、隙間部分と規定したときに、前記延長カバー及び前記隙間部分を覆う下方封止部材と、前記継手カバー及び前記下方封止部材を覆う上方封止部材と、を備えてもよい。
この発明では、継手本体又は延長縦管と延長カバーとの間を通して水が流れるのを下方封止部材により抑制したうえで、継手カバーと下方封止部材との間を通して水が流れるのを上方封止部材により抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の配管構造では、集合管継手を管材に接続しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の配管構造の一部を破断した正面図である。
図2】本発明の第2実施形態の配管構造の要部における、一部を破断した正面図である。
図3】本発明の第3実施形態の配管構造の要部における、一部を破断した正面図である。
図4】本発明の実施形態の変形例の配管構造の要部における、一部を破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る配管構造の第1実施形態を、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の配管構造1は、多層建築物(建築物)101に用いられる。多層建築物101では、上下方向に複数の層102が重なっている。複数の層102同士(即ち、上層階と下層階)の間を、床スラブ103が仕切っている。床スラブ103には、上下方向に貫通するスラブ孔(貫通孔)103aが形成されている。
配管構造1は、集合管継手10と、延長縦管30と、継手カバー35と、延長カバー40と、前記床スラブ103と、を備える。
【0016】
ここで、集合管継手10、延長縦管30、継手カバー35、及び延長カバー40は、それぞれ筒状に形成されている。集合管継手10、延長縦管30、継手カバー35、及び延長カバー40それぞれの中心軸(軸線)は、共通軸と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O1と言い、軸線O1に沿う方向を軸線O1方向と言う。集合管継手10、延長縦管30、継手カバー35、及び延長カバー40は、軸線O1の上下方向に沿って配置される。なお、これらは、軸線O1が上下方向に対して傾斜するように配置されてもよい。
【0017】
軸線O1方向のうち、後述する上部接続管11に対する下部接続管12側を下方Z1と言い、下部接続管12に対する上部接続管11側を上方Z2と言う。配管構造1を上下方向から見て、軸線O1に直交する方向を径方向と言い、軸線O1回りに周回する方向を周方向と言う。
ただし、図中の下方Z1及び上方Z2は、向きを便宜的に示すものであり、本来は基準となるものに対する向きである。
【0018】
集合管継手10の形状は、後述する縦管接続部16及び横管接続部17を有していれば、特に限定されない。例えば、集合管継手10は、上部接続管11と、下部接続管12と、を有する。
【0019】
上部接続管11は、上部本体15と、縦管接続部16と、横管接続部17と、を有する。
上部本体15は、円筒状である。なお、上部本体15は、角筒状等の筒状であってもよい。
上部本体15の内部には、上下方向に延びる縦リブ15aが設けられている。縦リブ15aは、横管接続部17の基端側の開口部を避けて配置されている。
上部本体15の外周面に、図示しない複数のリブが設けられてもよい。複数のリブは、上部本体15から径方向外側に向けて突出する。例えば、軸線O1方向に互いに間隔をあけた3つのリブが、周方向に互いに間隔をあけて4組配置される。4組のリブは、周方向に互いに等間隔に配置されている。各リブの径方向の大きさは、特に限定されない。
集合管継手10を多層建築物101に施工する際に、図示しない支持金具が複数のリブに対して径方向外側から当接することにより、集合管継手10が保持される。
【0020】
この例では、縦管接続部16は、受口である。縦管接続部16は、上部本体15の上端部に設けられている。縦管接続部16は、第1縦管(縦管)P1に接続可能である。第1縦管P1は、ポリエチレンやポリ塩化ビニル等の樹脂で形成された管である。第1縦管P1の下端部は、縦管接続部16内に配置されている。縦管接続部16内には、第1縦管P1が下方Z1に移動するのを規制するストッパ、及び第1縦管P1と縦管接続部16との間を水密に封止する封止部材が設けられていることが好ましい。
なお、縦管接続部は、挿口、フランジ等でもよい。
【0021】
横管接続部17は、上部本体15の外周面から径方向外側に向けて突出されている。この例では、横管接続部17は、受口である。本実施形態では、集合管継手10は、横管接続部17を2つ有している。2つの横管接続部17が延びる方向は、平面視で90°をなす。
なお、集合管継手10が有する横管接続部17の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。横管接続部は、挿口、フランジ等でもよい。
【0022】
横管接続部17は、接続部本体17aと、受口ユニット17bと、を有する。接続部本体17aは、筒状であり、上部本体15の外周面から径方向外側に向けて突出されている。以下では、上部本体15(後述する継手本体24)における横管接続部17が設けられた部分を、接続部設置部分15bと言う。
受口ユニット17bは、接続部本体17aに着脱できる。受口ユニット17bは、横管P3に接続可能である。横管P3は、外径が第1縦管P1よりも小さいこと以外は、第1縦管P1と同様に構成される。横管P3は、水勾配を有するとともに、ほぼ水平面に沿って配置されている。横管P3の端部は、受口ユニット17b内に配置されている。受口ユニット17b内には、縦管接続部16と同様に、ストッパ及び封止部材が設けられていることが好ましい。
なお、受口ユニット17bは、接続部本体17aと一体に構成されてもよい。
【0023】
上部接続管11を構成する上部本体15、縦リブ15a、縦管接続部16、接続部本体17aは、樹脂組成物を射出成形等で一体に成形して構成されている。
樹脂組成物を構成する樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を例示でき、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。「ポリオレフィン系樹脂」とは、ポリオレフィン単体の樹脂か、複数種の樹脂を含む場合、質量が最も多い樹脂がポリオレフィンである樹脂を意味する。同様に「ポリ塩化ビニル系樹脂」とは、ポリ塩化ビニル単体の樹脂か、複数種の樹脂を含む場合、質量が最も多い樹脂がポリ塩化ビニルである樹脂を意味する。
【0024】
上部接続管11のスラブ孔103a内に位置する外面又は内面には、熱膨張材を含む耐火材を設けてもよい。熱膨張材としては、火災時に発生する熱により膨張する素材であればよく、例えば、熱膨張性黒鉛等を例示できる。耐火材を上部接続管11の外面に設ける場合には、シート状に成形された耐火材を巻き付けて設けることができる。耐火材を上部接続管11の内面に設ける場合には、円筒の管状に成形された耐火材を上部接続管11の下部の内部に配置することで設けることができる。円筒の管状に成形された耐火材については以下に詳細を説明する。
【0025】
下部接続管12は、傾斜管部20と、配管接続部21と、を有する。なお、上部本体15、縦管接続部16、傾斜管部20、及び配管接続部21で、継手本体24を構成する。軸線O1は、継手本体24の軸線でもある。縦管接続部16は、縦管接続部16を上端部に有する。
傾斜管部20は、下方Z1に向かうに従い外径及び内径がそれぞれ小さくなる筒状である。傾斜管部20の内部には、上下方向に延びる整流板20aが設けられている。
例えば、傾斜管部20は、樹脂組成物を射出成形することで製造される。
傾斜管部20を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂を例示でき、中でも、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましい。ポリ塩化ビニル系樹脂であれば、火災時に管路をより確実に閉塞できる。
【0026】
下部接続管12のスラブ孔103a内に位置する外面又は内面には、熱膨張材を含む耐火材18を設けてもよい。熱膨張材としては、火災時に発生する熱により膨張する素材であればよく、例えば、熱膨張性黒鉛等を例示できる。耐火材を下部接続管12の外面に設ける場合には、シート状に成形された耐火材を巻き付けて設けることができる。耐火材を下部接続管12の内面に設ける場合には、円筒の管状に成形された耐火材18を下部接続管12の上部の内部に配置することで設けることができる。
なお、耐火材18は上部接続管11と下部接続管12の両方に設けてもよく、上部接続管11の下部と下部接続管12の上部にまたがる範囲に設けてもよい。
【0027】
円筒の管状に成形された耐火材18は、全体が単一の樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。耐火材18が複層構造の場合、いずれかの層が熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、耐火材18が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されたものが挙げられる。
【0028】
表層、中間層及び内層は、吸熱剤を含有していてもよい。吸熱剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、カオリン系鉱物(カオリナイト、ハロイサイト、ディッカイト)やハイドロタルサルサイト等の無機水酸化物、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、タルク、マイカ、石英、ゼオライト、ワラストナイト、ネフェリンサイアナイト等の吸水作用のある無機化合物を例示できる。
【0029】
中間層が熱膨張性黒鉛を含有する場合、中間層は黒色を呈する。そのため、表層と内層は黒色以外の着色剤を含有させ、中間層と区別可能にしておくことが好ましい。
表層及び内層の厚みは、それぞれ0.3mm以上3.0mm以下が好ましく、0.6mm以上1.5mm以下がより好ましい。表層及び内層である被覆層の厚みが0.3mm以上であれば、傾斜管部20の管としての機械的強度を充分に確保できる。被覆層の厚みが3.0mm以下であれば、傾斜管部20の耐火性の低下を抑制できる。
また、傾斜管部20は、JIS K6741、硬質ポリ塩化ビニル管に記載の性能を満たすものが好ましい。
【0030】
この例では、配管接続部21は、受口である。配管接続部21は、傾斜管部20の下端部に設けられている。
配管接続部21は、上部接続管11と同様の材料で形成される。なお、配管接続部は、挿口、フランジ等でもよい。
上部接続管11及び下部接続管12は別々に製造され、上部本体15と傾斜管部20とが接着材等により互いに接続されている。
以上のように構成された集合管継手10は、樹脂製である。
すなわち、本実施形態では、集合管継手10は、接続管11,12という2つの部材を互いに接続して構成されている。なお、集合管継手10は、1つの部材で構成されてもよいし、3つ以上の部材で構成されてもよい。
【0031】
延長縦管30は、継手本体24の下端部(配管接続部21)に接続されている。延長縦管30は、第1直管31と、第2直管32と、連結管33と、を有する。
第1直管31及び第2直管32は、第1縦管P1と同様に構成された管である。ただし、第1直管31及び第2直管32の長さは、第1縦管P1の長さよりも短い。第1直管31及び第2直管32の外径は互いに等しく、第1直管31及び第2直管32の内径は互いに等しい。第1直管31及び第2直管32は、軸線O1と同軸に配置されている。第1直管31は、集合管継手10の配管接続部21に接続されている。
第2直管32は、第1直管31との間に上下方向に間隔を空けて、第1直管31よりも下方Z1に配置されている。
【0032】
連結管33は、いわゆるソケットであり、本体33aと、ストッパ33bと、を有する。本体33aは、筒状に形成されて、軸線O1と同軸に配置されている。本体33aの外径は、第1直管31及び第2直管32の外径よりも大きい。
ストッパ33bは、環状に形成されている。ストッパ33bは、本体33aの内周面における上下方向の中間部に固定されている。
本体33aにおけるストッパ33bよりも上方Z2の部分の内部には、第1直管31の下端部が配置されている。第1直管31は、ストッパ33bよりも上方Z2からストッパ33bに係止している。本体33aにおけるストッパ33bよりも下方Z1の部分の内部には、第2直管32の上端部が配置されている。第2直管32は、ストッパ33bよりも下方Z1からストッパ33bに係止している。
以上のように、連結管33は、第1直管31及び第2直管32にそれぞれ接続されている。
【0033】
継手カバー35は、集合管継手10を径方向外側から覆う。継手カバー35の構成は、限定されない。例えば、継手カバー35は、継手吸音カバー36と、継手遮音カバー37と、を有する。
継手吸音カバー36は、展開したときに平坦となるシート状に形成されている。継手吸音カバー36は、継手本体24に巻き付けられ、継手本体24を径方向外側から覆う。継手吸音カバー36は、筒状である。継手吸音カバー36には、横管接続部17を通すための吸音貫通孔36aが形成されている。
【0034】
継手吸音カバー36は、例えばニードルフェルトで形成されている。例えば、ニードルフェルトには、ポリエチレンテレフタレートが40%~50%、アクリル繊維が35%~45%、ウール・レーヨンが10%~20%含まれている。ニードルフェルトを製造する際には、トゲの付いた針をニードルフェルトに刺し込み、機械的に繊維を交絡させている。
なお、継手吸音カバー36をサーマルフェルト、PETフェルト等のフェルトや、アクリル繊維混合物、グラスウール、ロックウール、発泡ウレタン等で形成してもよい。継手吸音カバー36の密度は、80kg/m以上であることが好ましい。継手吸音カバー36の厚さは、10mm程度であることが好ましい。
【0035】
継手遮音カバー37は、展開したときに平坦となるシート状に形成されている。継手遮音カバー37は、継手吸音カバー36に巻き付けられ、継手吸音カバー36を径方向外側から覆う。継手遮音カバー37は、筒状である。継手遮音カバー37は、継手吸音カバー36の外周面に直接接触している。継手遮音カバー37には、横管接続部17を通すための遮音貫通孔37aが形成されている。なお、継手吸音カバー36の吸音貫通孔36a及び遮音貫通孔37aで、継手カバー35のカバー貫通孔35aを構成する。
継手カバー35に形成されたカバー貫通孔35aの内部には、横管接続部17が配置される。
【0036】
継手遮音カバー37は、改質アスファルト、エラストマー、ポリオレフィン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等の合成ゴム製であることが好ましい。継手遮音カバー37は、炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の無機材料、鉄や鉛等の金属シート、金属粉等を含有していてもよい。また、継手遮音カバー37の厚さは1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上4.0mm以下がより好ましい。さらに、継手遮音カバー37の片面又は両面に、合成繊維不織布やガラス繊維不織布等の表面材を積層してもよい。
【0037】
継手遮音カバー37は、例えば、オレフィン系材料(オレフィン系樹脂100重量部に対して、無機フィラーを300~600重量部含有する樹脂組成物)等といった弾性を備えた樹脂材料により形成されてもよい。
継手遮音カバー37の厚さは、例えば1~5mm程度であることが好ましく、2mm程度であることがより好ましい。また、継手遮音カバー37の面密度は、1~8kg/mであることが好ましく、3.4kg/m程度であることがより好ましい。
【0038】
前記無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
これらのうち、重量とコストのバランスから炭酸カルシウムを前記無機フィラーとして用いることが好ましい。なおこれらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0039】
前記オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリαオレフィンが挙げられる。中でも密度が0.87~0.93g/cmのポリエチレンが、前記オレフィン系樹脂として好ましい。なお、密度が0.87g/cm未満だと、継手遮音カバー37の強度が十分ではなく、0.93g/cmを超えると、継手遮音カバー37を偏平させたとき継手遮音カバー37が座屈してしまうおそれがある。また、オレフィン系樹脂の曲げ弾性率が、100~3000kg/cmであれば、強度、巻き加工性として十分である。
継手遮音カバー37は、オレフィン系材料とは異なる材料で形成されていてもよく、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等のエラストマー材料等を用いても構わない。
【0040】
以上のように構成された継手カバー35は、継手吸音カバー36及び継手遮音カバー37を有する二重構造である。
例えば、継手カバー35の下端は、上下方向において配管接続部21の中間部に位置している。
【0041】
延長カバー40は、延長縦管30を径方向外側から覆う。延長カバー40の構成は、限定されない。例えば、延長カバー40は、延長吸音カバー41と、延長遮音カバー42と、を有する。
延長吸音カバー41は、展開したときに平坦となるシート状に形成されている。延長吸音カバー41は、延長縦管30に巻き付けられ、延長縦管30を径方向外側から覆う。延長吸音カバー41は、筒状である。延長吸音カバー41の材質、厚さ等は、継手吸音カバー36と同様に構成されている。
延長遮音カバー42は、展開したときに平坦となるシート状に形成されている。延長遮音カバー42は、延長吸音カバー41に巻き付けられ、延長吸音カバー41を径方向外側から覆う。延長遮音カバー42は、筒状である。延長遮音カバー42は、延長吸音カバー41の外周面に直接接触している。延長遮音カバー42の材質、厚さ等は、継手遮音カバー37と同様に構成されている。
【0042】
以上のように構成された延長カバー40は、延長吸音カバー41及び延長遮音カバー42を有する二重構造である。
延長カバー40の上端部は、継手本体24と継手カバー35の下端部との間に配置されている。例えば、延長カバー40の上端は、配管接続部21の上端に位置している。延長カバー40の下端は、延長縦管30の下端に位置している。
【0043】
例えば、配管構造1において、継手カバー35の下方Z1の部分及び延長カバー40の上方Z2の部分は、床スラブ103のスラブ孔103aの内部に配置されている。なお、床スラブ103のスラブ孔103aの内部には、継手カバー35及び延長カバー40全体としての少なくとも一部が配置されていればよい。
延長縦管30の下端は、床スラブ103の下面よりも下方Z1に向かって突出している。すなわち、床スラブ103のスラブ孔103a内には、延長縦管30における上方Z2の部分が配置されている。
なお、延長縦管30(第2直管32)の下端は、床スラブ103の下面と面一でもよい。
床スラブ103におけるスラブ孔103aの開口周縁部と配管構造1との間には、モルタル等の充填材104が充填されている。
【0044】
この例では、第2直管32は、受口付き直管(管材)45に接続されている。受口付き直管45は、直管部46と、接続部47と、シール部材48と、を有する。
直管部46は、延長縦管30よりも下方Z1で、上下方向に延びている。直管部46内径は、延長縦管30の第2直管32の外径よりも小さい。
接続部47は、筒状に形成され、直管部46の上端部に固定されている。接続部47の内径は、直管部46の内径よりも大きい。接続部47内には、第2直管32における下方Z1の部分が配置されている。
シール部材48は、接続部47内周面に設けられている。シール部材48は、接続部47とシール部材48との間を、水密に封止する。
接続部47には、延長縦管30の本体33aが、接続部47よりも上方Z2から係止する。
【0045】
なお、多層建築物101内において、床スラブ103よりも上方Z2の層102には、図示しないトイレ等の排水設備が設けられている。排水設備は、第1縦管P1及び横管P3に接続されている。
【0046】
次に、以上のように構成された配管構造1の動作について説明する。
排水設備から、第1縦管P1及び横管P3を通して集合管継手10内に排水が流れ込む。排水は、集合管継手10内で縦リブ15a及び整流板20aに当たりながら下方Z1に向かって流れる。排水は、集合管継手10から延長縦管30を通して第2縦管P5内に流れ込み、適宜排水される。
集合管継手10及び延長縦管30内を排水が流れる際に発生する音は、継手カバー35及び延長カバー40により継手カバー35及び延長カバー40の外部に漏れ難くなる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の配管構造1では、第1縦管P1及び横管P3が接続可能な集合管継手10を、継手カバー35により覆うことができる。継手本体24に接続された延長縦管30を、延長カバー40により覆うことができる。このとき、継手カバー35の下方Z1の部分及び延長カバー40の上方Z2の部分が床スラブ103のスラブ孔103aの内部に配置されるとともに、延長縦管30の下端は、床スラブ103の下面よりも下方Z1に向かって突出する。このため、床スラブ103よりも下方Z1から、延長縦管30に受口付き直管45を接続しやすい。従って、延長縦管30を介して、集合管継手10を受口付き直管45に接続しやすくすることができる。
【0048】
延長カバー40の上端部は、継手本体24と継手カバー35との間に配置されている。図1に示すように、継手カバー35の径方向外側の面35b上を流れた水Wは、この面35bから下方Z1に向かって流れて、延長カバー40の径方向外側の面上を流れやすい。これにより、この水Wが、延長カバー40の径方向内側に流れ込むのを抑制することができる。
延長縦管30は、第1直管31と、第2直管32と、連結管33と、を有する。第2直管32の下端部を受口付き直管45に挿入したときに、受口付き直管45の上端面に連結管33が上方Z2から係止する。これにより、受口付き直管45に第2直管32が挿入され過ぎて、受口付き直管45が損傷するのを防止することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図2を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図2に示すように、本実施形態の配管構造2は、第1実施形態の配管構造1の各構成に加えて、封止部材55を備える。本実施形態では、継手カバー35と延長カバー40とは、上下方向に突き合わされている。
封止部材55は、筒状に形成されている。封止部材55は、ブチルゴム(ブチルテープ)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の合成ゴムで形成されている。封止部材55は、継手カバー35の下端部、及び延長カバー40の上端部をそれぞれ径方向外側から覆う。
【0050】
このように構成された本実施形態の配管構造2では、集合管継手10を受口付き直管45に接続しやすくすることができる。
さらに、封止部材55により、継手カバー35と延長カバー40との間を通して水が流れるのを抑制することができる。
なお、継手カバー35と延長カバー40とは、上下方向に間を空けて配置されてもよい。
【0051】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図3を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図3に示すように、本実施形態の配管構造3は、第1実施形態の配管構造1の各構成に加えて、下方封止部材60及び上方封止部材61を備える。
本実施形態では、継手カバー35と延長カバー40とは、上下方向に間を空けて配置されている。
【0052】
下方封止部材60及び上方封止部材61は、それぞれ筒状に形成され、封止部材55と同一の材料で形成されている。
ここで、継手本体24及び延長縦管30における、上下方向において継手カバー35と延長カバー40との間に位置する部分を、隙間部分10aと規定する。
下方封止部材60は、延長カバー40の上端部、及び隙間部分10aをそれぞれ径方向外側から覆う。
上方封止部材61は、継手カバー35の下端部、及び下方封止部材60における上下方向で隙間部分10a対応する部分をそれぞれ径方向外側から覆う。
【0053】
このように構成された本実施形態の配管構造3では、集合管継手10を受口付き直管45に接続しやすくすることができる。
さらに、延長縦管30と延長カバー40との間を通して水が流れるのを下方封止部材60により抑制したうえで、継手カバー35と下方封止部材60との間を通して水が流れるのを上方封止部材61により抑制することができる。
【0054】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、図4に示す配管構造1Aのように、延長カバー40Aは、延長遮音カバー42のみで構成されてもよい。延長カバー40Aは、延長遮音カバー42を有する一重構造である。このように構成できるのは、一般的に、延長縦管30内には整流板等が設けられないため、延長縦管30内で発生する音は、集合管継手10内で発生する音よりも小さいためである。
配管構造2,3についても、配管構造1Aと同様である。
【0055】
また、前記第1実施形態から第3実施形態では、カバーは、上部カバーと、下部カバーと、を有してもよい。この場合、上部カバーは、継手本体24における、接続部設置部分15b、及び接続部設置部分15bよりも上方Z2の部分を径方向外側から覆う。下部カバーは、継手本体24における上部カバーが覆う部分よりも下方Z1の部分を覆う。
延長縦管30は、第1直管31、第2直管32、及び連結管33を有するとしたが、延長縦管の構成はこれに限定されない。延長縦管は、1本の直管等で構成されてもよい。
前記第1実施形態から第3実施形態では、配管構造1,2,3は、縦リブ15a及び整流板20aを備えなくてもよい。
【0056】
また、前記第1実施形態では、延長カバー40の下端が延長縦管30の下端に位置していた。しかし、延長カバー40の下端は、連結管33の下端と第1直管31の下端との間に位置していてもよく、連結管33の下端に位置していてもよく、連結管33の上端と下端との間に位置していてもよい。
これらの場合、延長カバー40より下方Z1の集合管継手10の外面や受口付き直管45の外面に配管遮音カバーを設けてもよい。この配管遮音カバーは、延長カバー40の下端に重なっていてもよいし、配管遮音カバーの端面と延長カバー40の下端の端面とが対向して当接するように設けてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,1A,2,3 配管構造
10 集合管継手
10a 隙間部分
16 縦管接続部
17 横管接続部
24 継手本体
30 延長縦管
31 第1直管
32 第2直管
33 連結管
35 継手カバー
40,40A 延長カバー
60 下方封止部材
61 上方封止部材
103 床スラブ
103a スラブ孔(貫通孔)
O1 軸線
図1
図2
図3
図4