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特開2023-149115インフレーション成形装置、インフレーション成形装置のサイジングリングおよびインフレーション成形装置のサイジングリングの可動部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149115
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】インフレーション成形装置、インフレーション成形装置のサイジングリングおよびインフレーション成形装置のサイジングリングの可動部材
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/90 20190101AFI20231005BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20231005BHJP
   B29C 48/885 20190101ALI20231005BHJP
   B29C 48/89 20190101ALI20231005BHJP
   B29C 48/32 20190101ALI20231005BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
B29C48/90
B29C48/92
B29C48/885
B29C48/89
B29C48/32
B29L7:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057507
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】303050355
【氏名又は名称】住友重機械モダン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】塩田 隆宏
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG08
4F207AJ08
4F207AM23
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KA19
4F207KL88
4F207KM16
4F207KW26
(57)【要約】
【課題】成形不良を抑制する、技術を提供する。
【解決手段】インフレーション成形装置は、バブルが通る挿通孔を形成するサイジングリングを備える。前記サイジングリングは、前記挿通孔の孔径を変化させる孔径可変機構を備える。前記孔径可変機構は、前記挿通孔を画成する可動部材を有する。前記可動部材は、前記挿通孔の壁面に曲面を形成する曲面形成部を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バブルが通る挿通孔を形成するサイジングリングを備える、インフレーション成形装置であって、
前記サイジングリングは、前記挿通孔の孔径を変化させる孔径可変機構を備え、
前記孔径可変機構は、前記挿通孔を画成する可動部材を有し、
前記可動部材は、前記挿通孔の壁面に曲面を形成する曲面形成部を含む、インフレーション成形装置。
【請求項2】
前記曲面形成部は弾性的に変形する変形部を有し、前記変形部の側面が前記曲面を形成し、
前記曲面形成部は、前記挿通孔の孔径の変化に応じて、前記曲面の形状を変える、請求項1に記載のインフレーション成形装置。
【請求項3】
前記曲面形成部は、前記変形部を変形可能に支持する剛体を有する、請求項2に記載のインフレーション成形装置。
【請求項4】
前記変形部は、板バネを含む、請求項2又は3に記載のインフレーション成形装置。
【請求項5】
前記曲面形成部は、前記挿通孔の孔径の変化に関係なく、前記曲面の形状を予め設定された形状に保つ、請求項1に記載のインフレーション成形装置。
【請求項6】
前記曲面は、前記サイジングリングの径方向内側ほど小さな曲率半径を有する、請求項5に記載のインフレーション成形装置。
【請求項7】
インフレーション成形装置のサイジングリングであって、
バブルが通る挿通孔の孔径を変化させる孔径可変機構を備え、
前記孔径可変機構は、前記挿通孔を画成する可動部材を有し、
前記可動部材は、前記挿通孔の壁面に曲面を形成する曲面形成部を含む、インフレーション成形装置のサイジングリング。
【請求項8】
バブルが通る挿通孔を形成するサイジングリングを備え、前記サイジングリングは前記挿通孔の孔径を変化させる孔径可変機構を備え、前記孔径可変機構は前記挿通孔を画成する可動部材を有する、インフレーション成形装置のサイジングリングの可動部材であって、
前記可動部材は、前記挿通孔の壁面に曲面を形成する曲面形成部を含む、インフレーション成形装置のサイジングリングの可動部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフレーション成形装置、インフレーション成形装置のサイジングリングおよびインフレーション成形装置のサイジングリングの可動部材に関する。
【背景技術】
【0002】
インフレーション成形装置は、溶融樹脂をダイからチューブ状に押し出し、その内側に空気を吹き込んで膨らませ、薄いフィルムを成形する(例えば特許文献1参照)。インフレーション成形装置には、溶融樹脂を上向きに押し出す上向き式と、下向きに押し出す下向き式とがある。
【0003】
インフレーション成形装置は、サイジングリングを備える。サイジングリングは、チューブ状の樹脂フィルムであるバブルの外径を規定する。サイジングリングは、バブルが通る挿通孔を形成する。挿通孔の壁面とバブルの間には、冷却水などの冷媒の膜が形成される。バブルの外径は、挿通孔の孔径よりも冷媒の膜の厚みの分、小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-231266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、バブルの外径を変更する場合、挿通孔の孔径を変更すべく、サイジングリングを取り替える必要があった。サイジングリングの取り替えは、煩雑な作業であり、作業負担が大きい。また、取り替えには時間がかかり、その間は樹脂フィルムの製造が停止してしまう。また、サイジングリングを取り替えるには成形を止める必要があり、成形を再開する際には、樹脂のロスが発生してしまう。
【0006】
そこで、サイジングリングとして、挿通孔の孔径を変化させる孔径可変機構を備えるものが考えられる。孔径可変機構は、挿通孔を画成する可動部材を、挿通孔の周方向に連続的に複数有する。複数の可動部材は、孔径を小さくさせる方向と、孔径を大きくさせる方向の両方向に移動可能である。
【0007】
挿通孔の壁面は、可動部材の側面で形成される。可動部材の側面が平面である場合、複数の平面で挿通孔の壁面が形成され、挿通孔は多角形状を有する。それゆえ、挿通孔の周方向に挿通孔の壁面とバブルとの間隔がばらつく。間隔が広い部分は、間隔が狭い部分に比べて、冷却水の流れる量が多く、バブルの固化にかかる時間が短い。
【0008】
バブルの固化にかかる時間が短い部分は、長い部分に比べて、一対のピンチロールによって引き伸ばされにくく、厚くなりやすい。その結果、バブルの周方向に、バブルの厚みが不均一になってしまう。また、バブルの外観も不均一になってしまい、筋などが見えてしまう。
【0009】
本発明の一態様は、成形不良を抑制する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るインフレーション成形装置は、バブルが通る挿通孔を形成するサイジングリングを備える。前記サイジングリングは、前記挿通孔の孔径を変化させる孔径可変機構を備える。前記孔径可変機構は、前記挿通孔を画成する可動部材を有する。前記可動部材は、前記挿通孔の壁面に曲面を形成する曲面形成部を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、挿通孔の壁面に曲面を形成することで、挿通孔の真円度を向上でき、成形不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係るインフレーション成形装置を示す図である。
図2図2は、図1の第2冷却装置の一例を示す断面図である。
図3図3は一実施形態に係るサイジングリングを示す斜視図であって、図3(A)は孔径が最大の状態を示す斜視図であり、図3(B)は孔径が最小の状態を示す斜視図である。
図4図4は一実施形態に係るサイジングリングを示す断面図であって、図4(A)は孔径が最大の状態を示す断面図であり、図4(B)は孔径が最小の状態を示す斜視図である。
図5図5は板バネの一例を示す斜視図であって、図5(A)は板バネの変形前の状態を示す斜視図であり、図5(B)は板バネの変形後の状態を示す斜視図である。
図6図6は、板バネによって形成される曲面の一例を示す平面図である。
図7図7はゴムの一例を示す斜視図であって、図7(A)はゴムの変形前の状態を示す斜視図であり、図7(B)はゴムの変形後の状態を示す斜視図である。
図8図8はブレードの曲面の一例を示す斜視図であって、図8(A)は斜視図であり、図8(B)は平面図である。
図9図9は、図8(B)に示すブレードで形成される挿通孔の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。
【0014】
図1を参照して、一実施形態に係るインフレーション成形装置1について説明する。インフレーション成形装置1は、ダイ10と、第1冷却装置20と、第2冷却装置30と、一対の安定板40と、ピンチロール50と、を備える。インフレーション成形装置1は、ダイ10から下向きに樹脂を押し出す下向式である。なお、本発明は、ダイ10から上向きに樹脂を押し出す上向き式のインフレーション成形装置にも適用可能である。
【0015】
ダイ10には、不図示の押出機から溶融樹脂が供給される。供給された溶融樹脂は、ダイ10に形成されたリング状の樹脂吐出口11から押し出される。押し出された溶融樹脂の内側には、樹脂吐出口11よりも内側に形成されたエア噴出口12から適宜にエアが噴出される。これにより、チューブ状の樹脂フィルムであるバブルBが成形される。
【0016】
第1冷却装置20は、ダイ10の下方に配置される。第1冷却装置20は、バブルBに冷却ガスを吹き付けてバブルBを冷却する。第2冷却装置30は、第1冷却装置20の下方に配置される。第2冷却装置30は、バブルBに冷却水を接触させてバブルBを冷却する。第2冷却装置30の詳細は後述する。第1冷却装置20および第2冷却装置30に冷却され、バブルBは固化する。
【0017】
一対の安定板40は、第2冷却装置30の下方に配置され、バブルBを一対のピンチロール50の間に案内する。一対のピンチロール50は、安定板40の下方に配置される。一対のピンチロール50は、案内されたバブルBを引っ張り下げながら扁平に折りたたむ。巻取機60は、折りたたまれた樹脂フィルムを巻き取り、フィルムロールRを形成する。
【0018】
図2を参照して、第2冷却装置30の一例について説明する。第2冷却装置30は、水槽31と、サイジングリング32と、第1円筒部材33と、第2円筒部材34と、回転機構35と、を備える。水槽31は、サイジングリング32に供給する冷却水を溜める。サイジングリング32は、バブルBの外径を規定する。サイジングリング32は、バブルBが通る挿通孔32aを形成する。第1円筒部材33は、水槽31の底部31aに載置され、水槽31の底部31aから所定の高さの位置にサイジングリング32を支持する。第2円筒部材34は、水槽31の底部31aから下方に延びており、バブルBを環囲することで冷却水の飛散を抑制する。回転機構35は、サイジングリング32を回転させる。
【0019】
水槽31は、特に限定されないが平面視で円形状あり、上面が開放される。水槽31の底部31aには、バブルBが通る挿通孔31bが形成されている。また、水槽31の底部31aには、冷却水の供給口31cが形成されている。さらに、水槽31の底部31aには、オーバーフロー管36が取り付けられている。オーバーフロー管36は、サイジングリング32よりも上側まで延びており、上端に排出口36aを有する。冷却水は、供給口31cから供給され、排出口36aから排出される。冷却水の水位WHは、排出口36aの位置で規定され、サイジングリング32よりも上側の所定水位に保たれる。サイジングリング32の挿通孔32aの壁面と、バブルBとの間には、冷却水の膜が形成される。冷却水は、挿通孔32aの壁面とバブルBの外周の間を流れ落ちながらバブルBを冷却する。
【0020】
水槽31の外周面31dには、複数(例えば4つ)のプレート37が固定される。複数のプレート37には、それぞれ第1ボルト71が鉛直下向きに螺合される。第1ボルト71は、周方向に例えば等間隔に設けられる。第1ボルト71はプレート37を貫通し、第1ボルト71の先端はそれぞれ載置台70の上面70aに当接する。水槽31は、複数の第1ボルト71を介して載置台70に支持される。第1ボルト71とプレート37はボールねじ機構を構成し、第1ボルト71を回すとプレート37ひいては水槽31が上下方向に移動する。つまり水槽31の高さが調整される。
【0021】
載置台70の上面70aには複数(例えば4つ)の支持部材73が固定される。複数の支持部材73には、それぞれ第2ボルト72が水槽31の中心軸に向かって水平に螺合される。第2ボルト72は、周方向に例えば等間隔に設けられる。第2ボルト72は支持部材73を貫通し、第2ボルト72の先端はそれぞれ水槽31の外周面31dに当接する。複数の第2ボルト72により、水槽31が水平方向に位置決めされる。例えば、サイジングリング32の中心軸がダイ10の樹脂吐出口11の中心軸と一致するように、水槽31を水平方向に位置決めする。
【0022】
サイジングリング32は、挿通孔32aの孔径によってバブルBの外径を規定する部材である。挿通孔32aの壁面とバブルBとの間には、冷却水の膜が形成される。従って、バブルBの外径は、挿通孔32aの孔径よりも、冷却水の膜の厚みの分、小さい。サイジングリング32は、詳しくは後述するが、挿通孔32aの孔径を変化させる孔径可変機構100(図3参照)を備える。これにより、バブルBの外径を変更する場合、サイジングリング32を取り替える作業を省略できる。なお、冷却水以外の冷却液が用いられてもよい。また、冷却液の代わりに、冷却ガスが冷媒として用いられてもよい。
【0023】
第1円筒部材33は、中心軸が鉛直方向に延在するように設けられる。第1円筒部材33の下端は、水槽31の底部31aに対してインロー嵌合される。第1円筒部材33の上端には、サイジングリング32が載置される。つまり、サイジングリング32は第1円筒部材33に支持される。第1円筒部材33の上端は、サイジングリング32、具体的には後述する第2保持部材132にインロー嵌合される。
【0024】
第2円筒部材34は、水槽31の底部31aから下方に延びている。第2円筒部材34は、水槽31の挿通孔31bと同じ内径を有し、バブルBを環囲することで冷却水の飛散を防止する。
【0025】
回転機構35は、サイジングリング32を回転させる。回転機構35は、サイジングリング32を例えば20~30分で1回転させる。サイジングリング32の回転は、サイジングリング32の挿通孔32aが真円ではない場合に行われる。挿通孔32aが真円ではない場合、挿通孔32aの周方向に挿通孔32aの壁面とバブルBとの間隔がばらつく。間隔が広い部分は、間隔が狭い部分に比べて、冷却水の流れる量が多く、バブルBの固化にかかる時間が短い。バブルBの固化にかかる時間が短い部分は、長い部分に比べて、一対のピンチロール50によって引き伸ばされにくく、厚くなりやすい。その結果、バブルBの周方向に、バブルBの厚みが不均一になる。
【0026】
回転機構35は、サイジングリング32を回転させることで、バブルBの厚い部分と薄い部分をバブルBの周方向に回転させる。これにより、巻取機60がフィルムロールRを形成する際に、バブルBの厚い部分同士が積み重なることを防止でき、また、バブルBの薄い部分同士が積み重なることを防止できる。フィルムロールRの外周に凹凸ができるのを防止でき、樹脂フィルムに歪が生じるのを防止できる。
【0027】
回転機構35は、水槽31を回転させることで、サイジングリング32を回転させてもよい。水槽31と共にサイジングリング32を回転させることで、水槽31の内部に回転機構35の構成部品を入れなくて済み、水槽31の内部の冷却水の揺れを抑制できる。その結果、水槽31の内部の冷却水の揺れによってバブルBに偏肉が生じるのを防止できる。
【0028】
回転機構35は、例えば、駆動装置80と、伝達機構81と、を含む。駆動装置80は、例えばモータやギヤモータであり、回転力を出力する。伝達機構81は、駆動装置80による回転力を水槽31に伝達する機構であり、外歯車82と、ベアリング83と、を含む。外歯車82は、駆動装置80の出力軸80aに嵌合される。
【0029】
ベアリング83は、バブルBを環囲するように配置される。ベアリング83の中心軸と、サイジングリング32の中心軸と、水槽31の中心軸とは、実質的に一致している。
【0030】
ベアリング83は、内輪83aと、外輪83bと、を含む。内輪83aは、図示しないフレームに固定される。外輪83bは、水槽31に対して固定される。外輪83bは、載置台70に固定されることで間接的に水槽31に固定されているが、直接的に水槽31に固定されてもよい。外輪83bの外周には、外歯車82と噛み合う外歯83cが形成されている。
【0031】
出力軸80aの回転に伴って外歯車82が回転すると、外輪83bが回転する。上述したように、外輪83bは水槽31に対して固定されている。また、サイジングリング32は水槽31に対して固定されている。したがって、外輪83bが回転すると、サイジングリング32が回転する。
【0032】
回転機構35は、好ましくは、水槽31を所定の角度範囲(例えば360°以下の所定の角度範囲)で回転(すなわち往復回動)させてもよい。これにより、供給口31cに接続されるホース(不図示)のねじれを避けられる。
【0033】
図3図6を参照して、サイジングリング32の孔径可変機構100の一例について説明する。図3および図4に示すように、孔径可変機構100は、挿通孔32aの孔径を変化させる。孔径可変機構100は、挿通孔32aを画成する可動部材110を、挿通孔32aの周方向に連続的に複数(例えば32個)有する。可動部材110は、孔径を小さくさせる方向と、孔径を大きくさせる方向の両方向に移動可能である。
【0034】
複数の可動部材110によってサイジングリング32の挿通孔32aが画成され、複数の可動部材110の側面によってその挿通孔32aの壁面が構成される。可動部材110の高さによって挿通孔32aの壁面の高さが決まる。壁面の高さは、バブルBの外径を規定するのに十分な高さに設定される。
【0035】
図5に示すように、可動部材110は、例えば三角柱形状のブレード111を有する。ブレード111は、上面111aと、下面111bと、第1側面111cと、第2側面111dと、第3側面111eと、を有する。上面111aと下面111bは、三角形状であって、サイジングリング32の径方向内側に向けて先細り状である。第1側面111cと第2側面111dと第3側面111eは、長方形状である。
【0036】
ブレード111の上面111aには、第1突起121が設けられている。第1突起121は、第1保持部材131の第1スリット131a(図3参照)に挿入される。一方、ブレード111の下面111bには、図示しない第2突起が設けられている。第2突起は、第2保持部材132の第2スリット132a(図3参照)に挿入される。第1突起121と第2突起は、同一の鉛直線上に配置されている。
【0037】
孔径可変機構100は、第1保持部材131を有する。第1保持部材131は、挿通孔32aの孔径を変化させる方向に、ブレード111を移動自在に保持する。第1保持部材131は、薄肉の円環状の部材である。第1保持部材131には、複数のブレード111と同数の第1スリット131aが周方向に等間隔に形成されている。上方から見て、第1スリット131aは、直線状に延びており、サイジングリング32の径方向内側に向かうほど反時計回り方向に傾斜している。
【0038】
また、孔径可変機構100は、第2保持部材132を有する。第2保持部材132は、挿通孔32aの孔径を変化させる方向に、ブレード111を移動自在に保持する。第2保持部材132は、第1保持部材131と同様の形状および大きさを有する部材である。すなわち、第2保持部材132は薄肉の円環状の部材である。第2保持部材132には、複数のブレード111と同数の第2スリット132aが周方向に等間隔に形成されている。上方から見て、第2スリット132aは、直線状に延びており、サイジングリング32の径方向内側に向かうほど時計回り方向に傾斜している。つまり、上方から見て、第2スリット132aは、第1スリット131aとは逆向きに傾斜している。
【0039】
図4に示すように、一のブレード111の第1側面111cと、隣のブレード111の第2側面111dとが接触する。第1側面111cと第2側面111dは、摺動面であって、鉛直な平面である。上方から見て、第1側面111cと第2側面111dは、サイジングリング32の径方向内側に向かうほど時計回り方向に傾斜する。サイジングリング32の径方向に複数のブレード111が重なっている。
【0040】
上方から見て、第1保持部材131を第2保持部材132に対して時計回り方向に回転させると、第1突起121が第1スリット131aに沿って径方向内側に移動すると共に、第2突起が第2スリット132aに沿って径方向内側に移動する。その結果、ブレード111が径方向内側に移動し、サイジングリング32の挿通孔32aの孔径が小さくなる。
【0041】
一方、上方から見て、第1保持部材131を第2保持部材132に対して反時計回り方向に回転させると、第1突起121が第1スリット131aに沿って径方向外側に移動すると共に、第2突起が第2スリット132aに沿って径方向外側に移動する。その結果、ブレード111が径方向外側に移動し、サイジングリング32の挿通孔32aの孔径が大きくなる。
【0042】
ここでは、第1保持部材131を第2保持部材132に対して回転させる場合について説明したが、第2保持部材132を第1保持部材131に対して回転させてもよい。
【0043】
また、ここでは、上方から見て第1側面111cと第2側面111dがサイジングリング32の径方向内側に向かうほど時計回り方向に傾斜する場合について説明したが、上方から見て第1側面111cと第2側面111dがサイジングリング32の径方向内側に向かうほど反時計回り方向に傾斜してもよい。後者の場合、第1スリット131aはサイジングリング32の径方向内側に向かうほど時計回り方向に傾斜する。また、後者の場合、第2スリット132aはサイジングリング32の径方向内側に向かうほど反時計回り方向に傾斜する。
【0044】
ところで、図6に示すように、可動部材110は、挿通孔32aの周方向に連続的に複数設けられる。挿通孔32aの壁面は、可動部材110の側面で形成される。仮に可動部材110がブレード111のみからなり且つブレード111の第1側面111cが平面である場合、複数の平面で挿通孔32aの壁面が形成され、挿通孔32aは多角形状を有する。この場合、上記の通り、バブルBの周方向に、バブルBの厚みが不均一になってしまう。また、バブルBの外観も不均一になってしまい、筋などが見えてしまう。
【0045】
そこで、図6に示すように、可動部材110は、挿通孔32aの壁面に曲面32a1を形成する曲面形成部112を含む。挿通孔32aを丸めることができ、挿通孔32aの真円度を向上できる。その結果、挿通孔32aの壁面とバブルBとの間隔を均一化でき、バブルBの厚みを均一化できる。また、バブルBの外観も均一化でき、筋などの外観不良を低減できる。よって、成形不良を抑制できる。
【0046】
曲面形成部112は、図5に示すように、例えば弾性的に変形する変形部113を有する。変形部113の側面が、曲面32a1を形成する。曲面形成部112は、挿通孔32aの孔径の変化に応じて、曲面32a1の形状を変える。具体的には、挿通孔32aの孔径が小さくなるほど、曲面32a1の曲率半径が小さくなる。よって、挿通孔32aの孔径の変化に対して、挿通孔32aの真円度を維持し続けることができる。
【0047】
変形部113は、例えば板バネ113Aを含む。板バネ113Aは、ブレード111の先端に設けられる。ブレード111は、板バネ113Aを変形可能に支持する剛体である。剛体によって板バネ113Aの形状をある程度制御できる。
【0048】
板バネ113Aは、隣のブレード111の第1側面111cに接触することで弾性的にたわむ。挿通孔32aの孔径が小さいほど、板バネ113Aのたわみが大きい。板バネ113Aの側面が、曲面32a1を形成する。板バネ113Aの高さは、例えばブレード111の高さと同程度である。
【0049】
図6に示すように、サイジングリング32の径方向に、複数の板バネ113Aが重なっていてもよい。これにより、板バネ113Aの側面のみで挿通孔32aの壁面を形成でき、挿通孔32aの真円度を向上できる。
【0050】
次に、図7を参照して、変形部113の変形例について説明する。図7に示すように、変形部113は、ブレード111の一部であってもよく、三角柱形状のゴム113Bを含んでもよい。ゴム113Bは、ブレード111の先端に設けられ、隣のブレード111の第1側面111cに接触することで弾性的にたわむ。挿通孔32aの孔径が小さいほど、ゴム113Bのたわみが大きい。ゴム113Bの側面が、曲面32a1を形成する。
【0051】
サイジングリング32の径方向に、複数のゴム113Bが重なっていてもよい。これにより、ゴム113Bの側面のみで挿通孔32aの壁面を形成できる。挿通孔32aの真円度を向上できる。
【0052】
ブレード111は、三角柱形状のゴム113Bの他に、ゴム113Bが取り付けられる四角柱形状のゴム取付部114を含む。ゴム取付部114の上面と下面は、台形状であって、サイジングリング32の径方向内側に向けて先細り状である。ゴム取付部114の先端側の側面に、ゴム113Bが取り付けられる。
【0053】
ゴム取付部114は、ゴム113Bよりも硬い材料、例えば金属で形成され、挿通孔32aの孔径の変化に関係なく、予め設定された形状を保つ。つまり、ゴム取付部114は、ゴム113Bを変形可能に支持する剛体である。剛体によってゴム113Bの形状をある程度制御できる。
【0054】
次に、図8および図9を参照して、曲面形成部112の変形例について説明する。曲面形成部112は、挿通孔32aの孔径の変化に関係なく、曲面32a1の形状を予め設定された形状を保つものであってもよい。
【0055】
曲面形成部112は、例えば第1側面111cの先端に設けられる。曲面形成部112は、例えば、曲面112aと、平面112bとを有する。平面112bは、第2側面111dと同一平面上に設けられる。曲面112aは、平面112bと第1側面111cとの角を丸めように形成される。曲面112aの平面112bに対する傾斜角は、サイジングリング32の径方向内側ほど小さい。曲面112aが曲面32a1に相当する。
【0056】
曲面112aは、サイジングリング32の径方向内側ほど小さな曲率半径を有してもよい。曲面112aが全体的に一定の曲率半径を有する場合に比べて、挿通孔32aの孔径の変化による挿通孔32aの真円度の低下を抑制できる。
【0057】
以上、本発明に係るインフレーション成形装置、インフレーション成形装置のサイジングリングおよびインフレーション成形装置のサイジングリングの可動部材の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0058】
1 インフレーション成形装置
32 サイジングリング
32a 挿通孔
32a1 曲面
100 孔径可変機構
110 可動部材
112 曲面形成部
B バブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9