(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149117
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】室外機及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20231005BHJP
F24F 1/22 20110101ALI20231005BHJP
【FI】
F24F1/24
F24F1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057509
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠太
(57)【要約】
【課題】室外機内のどのような位置に電装品箱が配置されていたとしても、当該電装品箱に収容されている電装品のうち特に冷却対象となる電装品に対して取り入れた外気を十分に供給することで、電装品の冷却を効率的、確実に行うことができる室外機及び空気調和機を提供する。
【解決手段】筐体2と、筐体2の内部であって、筐体2の空気取り込み口Iと空気吹き出し口Oとの間における空気の通風路の間に配置される電装品箱10と、を備え、電装品箱10は、筐体2の外部から収容する電装品へ接触することができるように筐体2の外部に向けて開口する収容箱11と、収容箱11を覆うカバー12とを有し、カバー12には、空気を収容箱11の内部に導入する開口121が形成されており、開口121は、収容箱11内の冷却対象となる電装品と対向する位置に形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部であって、前記筐体の空気取り込み口と空気吹き出し口との間における前記空気の通風路の間に配置され、電装品を収容する電装品箱と、を備え、
前記電装品箱は、前記筐体の外部から前記電装品へ接触することができるように前記筐体の外部に向けて開口する収容箱と、前記収容箱を覆うカバーとを有し、
前記カバーには、前記空気を前記収容箱の内部に導入する開口が形成されており、前記開口は、前記収容箱内の冷却対象となる前記電装品と対向する位置に形成されていることを特徴とする室外機。
【請求項2】
前記筐体は、前記カバーよりも外側にあって前記カバーを覆うサービスパネルを有し、
前記空気取り込み口は、前記サービスパネルに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記カバーには、前記空気取り込み口から取り込まれた前記空気を前記開口に導く導風路が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の室外機。
【請求項4】
冷却対象となる前記電装品が複数ある場合に、前記開口は前記電装品ごとにそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項3に記載の室外機。
【請求項5】
冷却対象となる前記電装品が複数ある場合に、前記導風路は、前記電装品ごとにそれぞれ形成されている複数の前記開口に対してそれぞれ前記空気を導くことができるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の室外機。
【請求項6】
前記導風路は、複数の前記開口に導く前記空気の量を調整することができるように形成されていることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の室外機。
【請求項7】
前記導風路は、水を通さないシール材で形成されていることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の室外機。
【請求項8】
前記導風路は、前記水を排水口から前記筐体の外部へ排出されるよう導くことを特徴とする請求項7に記載の室外機。
【請求項9】
前記排水口は、前記カバーと前記サービスパネルとの間に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の室外機。
【請求項10】
前記開口が冷却対象となる前記電装品ごとにそれぞれ形成されている場合に、前記開口の大きさは、前記電装品ごとに異なることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の室外機。
【請求項11】
前記室外機は、上吹き室外機であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の室外機。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、室外機及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、一般的に室内に設置される室内機と室外に設置される室外機とから構成され、これら室内機及び室外機を連結して構成される冷凍回路内を冷媒が循環することによって室内の温度や湿度を調節している。
【0003】
通常室外機の筐体内部には、圧縮機やモータなどを制御するための制御基板を備えた電装品箱が収納されている。電装品箱には、各種電子部品が実装された制御基板のほか、トランスやリレースイッチ等の電子部品(以下、これらをまとめて「電装品」と表す)が収容されているが、これらの電装品は発熱するため、熱を電装品箱の外に逃がさなければならない。
【0004】
このような電装品の冷却の方法の1つとして、例えば、以下に示す特許文献1に記載されているような、当該電装品箱に外気を取り入れて冷却を行うことが挙げられる。すなわち、電装品箱の底部に複数の吸気口と導風板とを設け、電装品箱の底部から上部へと風を流すことで電装品箱の内部に収容される電装品の冷却を行う。また、当該吸気口については、虫や小動物が入り込むことを防止するためにその開口が所定の大きさより大きくならないように制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような特許文献1に記載される冷却方法の場合、例えば、冷却対象とする電装品が電装品箱の中で上下に分かれて配置されているような場合、外気が初めに当たる下部の電装品は十分に冷却される一方、外気は次第に暖まりながら上部へと移動することになる。そのため、上部に配置されている電装品には取り入れられた外気よりも温度が高い空気が当たることになり、十分な冷却が行われないおそれがある。
【0007】
また、電装品箱が室外機の上部に配置されている場合、取り入れた外気が行き届かないことも考えられ、この場合も十分な冷却を行うことができないおそれがある。さらに、開口の大きさが制限されてしまっていることから、そもそも電装品箱に流入する外気の風速や風量についても制限される。
【0008】
本発明は、室外機内のどのような位置に電装品箱が配置されていたとしても、当該電装品箱に収容されている電装品のうち特に冷却対象となる電装品に対して取り入れた外気を十分に供給することで、電装品の冷却を効率的、確実に行うことができる室外機及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る室外機は、筐体と、筐体の内部であって、筐体の空気取り込み口と空気吹き出し口との間における空気の通風路の間に配置され、電装品を収容する電装品箱と、を備え、電装品箱は、筐体の外部から電装品へ接触することができるように筐体の外部に向けて開口する収容箱と、収容箱を覆うカバーとを有し、カバーには、空気を収容箱の内部に導入する開口が形成されており、開口は、収容箱内の冷却対象となる電装品と対向する位置に形成されている。
【0010】
さらに、本発明の一態様に掛かる空気調和機は、筐体と、筐体の内部であって、筐体の空気取り込み口と空気吹き出し口との間における空気の通風路の間に配置され、電装品を収容する電装品箱と、を備え、電装品箱は、筐体の外部から電装品へ接触することができるように筐体の外部に向けて開口する収容箱と、収容箱を覆うカバーとを有し、カバーには、空気を収容箱の内部に導入する開口が形成されており、開口は、収容箱内の冷却対象となる電装品と対向する位置に形成されている室外機と、室内に設置され、室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、室外機内のどのような位置に電装品箱が配置されていたとしても、当該電装品箱に収容されている電装品のうち特に冷却対象となる電装品に対して取り入れた外気を十分に供給することで、電装品の冷却を効率的、確実に行うことができる室外機及び空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る室外機において、サービスパネルを取り外して電装品箱等を露出させた状態を示す室外機の正面図である。
【
図3】
図1に示す電装品箱をA-A線で切断して示す切断端面図である。
【
図4】
図2において示される電装品箱の正面を拡大して示す室外機の部分拡大図である。
【
図5】
図2において示される電装品箱の正面を拡大して示す室外機の部分拡大図である。
【
図6】
図2において示される電装品箱の正面を拡大して示す室外機の部分拡大図であり、室外機の外部から導入された空気の流れを示す模式図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る室外機を備える空気調和機の全体の冷凍回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機1の全体を示す斜視図である。また、
図2は、本発明の実施の形態に係る室外機1において、サービスパネル6を取り外して電装品箱10等を露出させた状態を示す室外機1の正面図である。
【0014】
図1に示すように、この空気調和機Aの室外機1は、大型の筐体2を有している。すなわち、室外機1を水平面上に設置したとき、
図2に示す室外機1のように、鉛直方向(図面において上下方向)を縦とし、当該鉛直方向に直交する方向(図面において左右方向)を横と表した場合に、本発明の実施の形態における室外機1の筐体2は、縦横比において横幅よりも縦の長さの方が長くなるように形成されている。
【0015】
すなわち、以下において説明する室外機については、
図1や
図2に示す形状を有する室外機1を例に挙げる。但し室外機1については、
図1や
図2に示すような形状の他、筐体2の内部に取り付けられる各種機器の大きさや個数によってその大きさや形状(縦横比)を自由に設定することができる。
【0016】
なお、以下においては、上下左右の各方向については、縦方向を上下方向とし、横方向を左右方向として説明する。また、図面正面側、すなわち室外機1の外側を手前とし、反対側となる室外機1の内側を奥と表す。
【0017】
筐体2の側面には、当該筐体2の内部に空気を取り込むための空気吸込口3が設けられている。また、筐体2の内部には、空気吸込口3に沿って熱交換器ユニット4が配置されている。
【0018】
本発明の実施の形態における室外機1では、熱交換器ユニット4は、上から見てコ字型に形成された熱交換器を上下2段に組み上げて形成されており、筐体2の内周面に沿って配置されている。なお、本発明の実施の形態における室外機1において熱交換器ユニット4の構成は任意であってよく、その形状や構成は仕様に応じて任意に選択されて良い。
【0019】
筐体2の上部には、ファン5が配置されており、ファン5を囲むようにして空気吹き出し口Oが形成されている。すなわち、本発明の実施の形態における室外機1は、いわゆる上吹き室外機である。
【0020】
これによれば、空気吸込口3から熱交換器ユニット4を経て筐体2の内部に吸い込まれた空気は、ファン5を介して筐体2の上部に設けられる空気吹き出し口Oから排気される。また同様に、後述するよう空気取り込み口Iから導入されて電装品箱10を通過した空気もその一部が当該空気吹き出し口Oから室外機1の外に排気される。
【0021】
筐体2の4つの側面のうち、3箇所には空気吸込口3が形成されており、残りの1つの側面には、筐体2の内部に配置されている機器等のメンテナンス等を行う際に開閉されるサービスパネル6,6が設けられている。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る室外機1の場合、サービスパネル6,6は、金属板で形成されており筐体2に対して上下に2分割されている。またその各々が筐体2に対して必要な場合以外には取り外しできないように、例えば、ネジ止めされている。そして上側のサービスパネル6には、空気取り込み口Iが形成されている。
【0023】
この空気取り込み口Iは、後述するように電装品箱10の中に収容されている各種電装品を冷却するために必要な外気(空気)を筐体2の内部に取り込むために設けられている。そして、当該サービスパネル6における空気取り込み口Iは、上下方向に長く伸びる3本のスリット状に形成されている。
【0024】
なお、空気取り込み口Iの形状としては、例えば、
図1に示すようなスリット状に限らず、どのような形状であっても良い。また、開口の大きさについても電装品箱10に収容される冷却対象となる電装品にどのくらいの風量、風速を送って冷却を行うかによって、自由に設定することができる。
【0025】
図2に示すように、この上部側のサービスパネル6を取り外すと、筐体2の内部であって、当該サービスパネル6の奥に配置される電装品箱10が現れる。一方下部側のサービスパネル6を開くと、筐体2の内部に据え置かれた圧縮機71やその配管類などを含む冷凍回路ユニット7が現れる。
【0026】
なお、本発明において、冷凍回路ユニット7の具体的な構成は任意であり、空気調和機A用の冷凍回路として用いるものであれば、それらの構成は仕様に応じて自由に構成されうる。
【0027】
電装品箱10は、筐体2のフレームに一方の側面がヒンジによって回転可能に支持されており、他方の側面が自由端として開き戸のように自由に開閉するように構成されている。
【0028】
ここで、電装品箱10は、例えば、正面(
図2の正面図において示されている面)が開口された、
図2においては見えていない収容箱11と、収容箱11の正面の開口部を覆うように取り付けられるカバー12を備えている。
【0029】
すなわち、電装品箱10(収容箱11)の正面は、筐体2外部から電装品箱10の内部に収容される電装品へ接触(アクセス)することができるように筐体2の外部に向けて開口している。また、電装品箱10の底面は、電源線等の各種ケーブルが接続されることから一部が開口されている。さらにカバー12は、収容箱11の正面開口を覆うことができる大きさの板状に形成されている。
【0030】
上述したように、上側のサービスパネル6を開くと電装品箱10が現れることから、サービスパネル6の裏面と電装品箱10のカバー12の表面とが互いに対向する位置に配置されていることになる。
【0031】
図3は、
図1に示す電装品箱10をA-A線で切断して示す切断端面図である。
図3においては左側が正面側であり、右側が奥側となるように示されている。そして上述したように、カバー12は、収容箱11の正面を覆うように配置されている。
【0032】
なお、以下においては、サービスパネル6が筐体2に取り付けられている場合に、当該サービスパネル6と対向する面をカバー12の表面と表す。従って、収容箱11と接し電装品箱10(収容箱11)の内部に収容されている電装品と対向する側は裏面である。一方、カバー12の表面と対向するサービスパネル6の面は裏面である。
【0033】
このように、サービスパネル6の裏面と電装品箱10のカバー12の表面とが互いに対向する位置に配置されており、両者の間には後述する導風路を形成するシール材14が配置されている。また、互いに対向するサービスパネル6とカバー12の表面との間の下部は開放されており、空気取り込み口Iから侵入する水を筐体2の外部に排出する排水口8を構成している。
【0034】
図4及び
図5は、
図2において示される電装品箱10の正面を拡大して示す室外機1の部分拡大図である。
図4及び
図5においては、電装品箱10のカバー12が正面に見えており、
図3に示されているように、その奥に様々な電装品が収容される収容箱11が配置されている。
【0035】
ここで「電装品」とは、上述したように、例えば、室外機1に電源を供給する電源基板やその他の制御基板、フィルタ基板、インバータ基板等、室外機1を運転、制御するのに必要な電子部品のことである。これら電装品は室外機1の運転中、発熱するものが多く、それぞれの電装品の機能を十分に発揮させるためには、その熱対策が非常に重要となる。
【0036】
そこで、筐体2の内部における電装品箱10の配置位置と各電装品が収容される位置との関係、及び、発熱量等の関係を考慮して、必要に応じて電装品の裏側に、例えばヒートシンクといった冷却機器が設けられる。
【0037】
一方で、スペース等の観点から冷却機器を設けることができない場合や冷却する必要はあるものの、個別に冷却機器を設ける程ではない電装品もある。そこでこのような電装品に対しては、空気を電装品箱10の内部に導入することで冷却を行う。
【0038】
そこで空気による冷却を行うべく、カバー12にはその表面から裏面へと貫通する開口121が形成されている。当該開口121を介して電装品箱10の内部に収容される電装品に対して空気が導入される。
【0039】
図4に示すカバー12の場合、右上の領域RAと左下の領域LAとにそれぞれ開口121が形成されている。ここには、右上の領域RAに該当する収容箱11の位置には例えばフィルタ基板が、また、左下の領域LAに該当する位置には、例えばインバータ基板が収容されている。
【0040】
このように開口121は、冷却対象となる電装品に対向する位置に形成されている。すなわち、冷却対象となる電装品と開口121とは互いに正対している。そのため、導入された空気が直接電装品に対して供給されることになるので、効率よく電装品を冷却することができる。
【0041】
開口121は、収容箱11の内部に収容される、冷却対象となる個々の電装品と向き合う概ね全領域をカバーするように形成されている。このような広がりをもつように開口121が形成されていることによって、冷却対象となる各々の電装品の全体に空気を供給することができ、より確実に冷却することができる。
【0042】
なお、当該開口は1つの大きな孔で形成されている訳ではなく、例えば、
図5の左下の領域LAに示されているように、小さな孔が複数集合して1つの開口121を形成している。従って、これら集合体としての開口も「開口121」と表す。一方、1つ1つの小さな孔については、適宜「開口121a」と表す。
【0043】
また、開口121の上部には、形成されている開口121の左右方向を覆うように庇13が設けられている。これは空気取り込み口Iから空気とともに水を取り込んでしまった場合に、当該水がカバー12の上部から下部へと落ちる間に開口121から電装品箱10の内部に浸入することを防ぐためである。
【0044】
そのため、庇13は、上部から下部に向けて正面側に突き出すように形成されている。また、
図4に示されているように、開口121が形成される右上の領域RA及び左下の領域LAの開口121を覆うように設けられている。
【0045】
なお、当該庇13は、
図4に示すように開口121の全領域を覆っていても、或いは、その上部のみが覆われていても良い。これは上述した庇13の形状から、その下端では開口121から水滴が滴り落ちる際に開口121に入り込まないような一定の距離を有していることになるため、庇13の上端から下端に向けて落ちる水滴は、開口121との間で当該一定の距離を保って排水口8に到達し筐体2の外部に排水されるからである。
【0046】
上述したように、本発明の実施の形態におけるカバー12においては、右上の領域RA及び左下の領域LAに形成される開口121について、その全体が庇13に覆われており、
図4に明らかなように正面からは見えない。そこで、
図5に示すように、例えば、左下の領域LAに設けられる庇13を取り除いてみると、庇13で覆われていた部分に左下の領域LAに形成される開口121を構成する複数の開口121aが見えるようになっている。
【0047】
さらに、
図4及び
図5に明らかなように、サービスパネル6との間で開放されている底部を除き、カバー12の3辺にはシール材14が設けられている。また、右上の領域RAに形成されている開口121を囲むように、当該開口121の左側において上から下に向けて、その右側に配置されるシール材14の長さよりも短い長さのシール材14が設けられている。
【0048】
さらに、左下の領域LAに形成される開口121を囲むように、カバー12の左側に設けられるシール材14から分岐するように左から右に向けてシール材14が設けられ、当該開口121の右側に回り込んで上から下に向けて、その左側に配置されるシール材14の長さよりも短い長さのシール材14が設けられている。
【0049】
シール材14は、カバー12の表面に設けられることから、当該表面から見て正面側に向けて凸状に出っ張った状態となる。表面から正面側への突出量は、サービスパネル6が取り付けられた状態におけるカバー12の表面とサービスパネル6の裏面との間の距離よりも大きい。そのため、サービスパネル6が取り付けられた際には、シール材14は当該サービスパネル6の裏面とカバー12の表面との間で圧縮された状態となる。
【0050】
ここでシール材14として用いられるのは、例えば、ゴム素材等、圧縮された状態において、気体、液体のいずれも当該シール材14を通過させない性質を備えている素材が好適に採用される。さらには、その圧縮度合いに応じて通過度合いを制御することができる素材を採用することもできる。
【0051】
シール材14としてこのような素材を採用し、シール材14をカバー12とサービスパネル6との間で圧縮して、気体、液体のいずれも通過させないようにすることで、サービスパネル6の空気取り込み口Iから取り込まれた空気(外気)の流路を形成する導風路として利用することができる。
【0052】
すなわち、シール材14の配置位置、長さ、向き等を変化させることによって、開口121へ導かれる空気の風量を調整(制御)することができる。そのため、冷却対象となる電装品ごとに風量に変化を付けることができ、電装品ごとにより効率よく、確実に冷却することができる。
【0053】
また、シール材14を配置する際に、各開口121の上部に設けられる庇13をガイドとして利用することができる。
図4及び
図5に示す例えば、右上の領域RAに設けられている庇13の上部に、当該庇13と接する位置にシール材14が配置されている。
【0054】
このような位置にシール材14を配置することによって、たとえば取り込んでしまった温かく湿った空気がカバー12やシール材に当たり水滴が発生したとしても、開口121に当該水滴が吸い込まれてしまう可能性を低減することができる。
【0055】
また、シール材14の圧縮度合いによって当該シール材14の中を水が通過してしまった場合であっても、シール材14を通過した水は庇13を伝って下部に移動し、排水口8から筐体2の外部へと排出されることになる。
【0056】
なお、導風路の設け方、すなわち、シール材14の配置については、例えば、
図4及び
図5に示すような配置に限定されない。そのため、シール材14を配置する位置、長さについては、電装品箱10の内部における冷却対象となる電装品の配置及び当該配置に合わせて形成される開口121の位置に合わせて自由に設定することができる。
【0057】
但し、このようにシール材14の配置位置については自由に設定することができるが、取り入れた空気に含まれる湿気や水を冷却対象となる電装品に導入することを回避するために、排水口8から筐体2の外部へ排水するための下向きに配置される(上下方向に伸びる)シール材14は必要となる。
【0058】
ここで、上述した
図3に示されている矢印は、サービスパネル6から、すなわち、室外機1の筐体2の外部から、空気取り込み口Iを介して筐体2の内部に取り込まれる空気の流れを示している。
【0059】
また、
図6は、
図2において示される電装品箱10の正面を拡大して示す室外機1の部分拡大図であり、室外機1の外部から導入された空気の流れを示す模式図である。
図6において矢印で示されるのは、空気取り込み口Iから取り込まれた空気の、カバー12の表面とサービスパネル6の裏面との間で区画される空間における空気の流れである。
【0060】
すなわち、本発明の実施の形態における室外機1では、サービスパネル6の空気取り込み口Iから取り込まれた外気は、
図3中央の矢印に示すように筐体2の内部へと取り込まれる。そして、
図4及び
図5のカバー12の中央領域を含む左上の領域CAに入る。つまり、
図3の矢印に示す空気の流れはサービスパネル6を通過してサービスパネル6の裏面とカバー12の表面とで区画される空間であって、シール材14によって囲まれた領域である、左上の領域CAに入ることになる。
【0061】
この左上の領域CAは、その一部が開放されているが、概ね四方がシール材14によって囲まれている。上述したように、ここで用いられているシール材14は、圧縮されることによって、空気や水を非常に通しづらくする。従って空気や水にとっては、当該シール材14はいわば壁と同じであることから、シール材14は導風路としての役割を果たす。
【0062】
従って、
図4ないし
図6に示すような位置にシール材14が配置されていることによって、当該左上の領域CAに入った空気は、領域CAの開放された部分(開放された一部)から、その一部は右上の領域RAに形成されている開口121に向かい、残りは左下の領域LAに形成されている開口121に向かう。
【0063】
もちろん、上述した排水口8の部分も開放されているため、左上の領域に入った空気がこの部分から筐体2の外部に排気されてしまうこともある。但し、上述したように本発明の実施の形態における室外機1では、その上部に設けられているファン5が空気吹き出し口Oから室外機1の外部に排気しているため、筐体2の内部は負圧になっている。
【0064】
従って、左上の領域に入った空気は右上の領域RA、或いは、左下の領域LAに形成されている開口121に吸い込まれるように流れ、電装品箱10の内部へと導入される。
【0065】
電装品箱10の内部に導入された空気は、対象となる電装品を冷却する。そして、電装品を冷却することで暖かくなった空気は、例えば、空気吹き出し口Oから室外機1の外へと排気される。
【0066】
このように、本発明の実施の形態における電装品箱10は、空気取り込み口Iと空気吹き出し口Oとの間における空気の通風路の間に配置されている。室外機1の筐体2の内部でこのような位置に電装品箱10を配置するとともに、電装品箱10の内部に空気を導入する開口121は冷却対象となる電装品に正対し、導入された空気が電装品の全体に当たるような領域に形成されている。そのため、取り入れた外気を十分に供給することで、電装品の冷却を確実に行うことができる。
【0067】
また、
図6の矢印に示されている通り、上記左上の領域CAに取り込まれた空気は、右上の領域RAに形成された開口121、或いは、左下の領域LAに形成された開口121にそれぞれ分配されるように供給される。
【0068】
従って、上述したように、一度電装品を冷却して暖かくなった空気が別の電装品の冷却に用いられるということがなく、冷却対象となるどの電装品に対しても常に新しい空気が供給されることになる。そのため、この点からも冷却対象となる電装品のそれぞれを確実に冷却することができる。
【0069】
また上述したように、空気取り込み口Iから空気とともに水を取り込んでしまう場合がある。
図4ないし
図6に示されているように、右上の領域RAに形成されている開口121の左側、或いは、左下の領域LAに形成されている開口121の右側に、それぞれ左右に伸びるシール材14に連なるように下向きにシール材14が伸びている。
【0070】
このような位置にシール材14が配置されることで上述した空気の流れを制御できるだけではなく、取り込んだ水をカバー12の下部へと導き、最終的には排水口8から筐体2の外部へと排水することができる。
【0071】
さらに、庇13の上部に接するようにシール材14が配置されていることから、たとえこの部分から水滴がシール材14を通過しても庇13を介して排水口8から筐体2の外部に排水される。
【0072】
次に、これまで説明してきた室外機1を用いた空気調和機Aについて説明する。空気調和機Aは、室内に設置される室内機20と室外に設置される室外機1とから構成され、これら室内機20及び室外機1を連結して構成される冷凍回路C内を冷媒が循環することによって室内の温度や湿度を調節している。
【0073】
なお、本発明の実施の形態における室外機1は、複数の室内機20と連結が可能な大型の室外機である。但し、室外機1と室内機20とが1対1の関係にある場合でも仕組みは同じである。以下
図7を用いて空気調和機Aの説明を行うが、
図7では1台の室外機1に1台の室内機20が連結されている場合を例に挙げている。
【0074】
図7は、本発明の実施の形態に係る室外機1を備える空気調和機Aの全体の冷凍回路Cの構成を示す回路図である。上述したように空気調和機Aは、室外機1と、この室外機1と接続される室内機20とから構成される。
【0075】
図7に点線で示される室内機20内には、冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う室内熱交換器21が設けられている。なお、当該室内機20内には、室内熱交換器21しか示されていないが、通常室内機20が備える、例えば、熱交換された空気を室内へ送風する室内ファンや室内機20の制御を行う制御装置等が備えられている。
【0076】
図7において破線で示されている室外機1は、
図1や
図2を用いて説明したように、冷凍回路ユニット7を備えている。当該冷凍回路ユニット7は、圧縮機71と、熱交換器ユニット4と、膨張弁72とが順次配管で接続されている。
【0077】
なお、冷凍回路ユニット7を構成する機器としては、上述した機器の他、例えば、四方弁等の各種弁機構やアキュムレータ等の機器も接続されているが、
図7ではこれらの図示は省略している。また、室外機1を構成する各機器を制御する制御装置については、これまで説明してきた電装品箱10の内部に設けられているが、同様に図示を省略している。
【0078】
そして、室外機1と室内機20とは冷媒が流通する配管によって接続され、冷凍回路Cが構成されている。すなわち、圧縮機71と室外機1の膨張弁72との間に室内機20の室内熱交換器21が入るように配管が接続され、圧縮機71、室内熱交換器21、膨張弁72の順、或いは、膨張弁72、室内熱交換器21、圧縮機71の順に冷媒が流れる。
【0079】
ここで、冷凍回路Cを用いた空気調和機Aの運転について冷房運転を例にとって説明する。例えば、空気調和機Aにおいて冷房運転が行われる場合、
図7の矢印に示すように、冷媒は、室外機1に設けられている圧縮機71、熱交換器ユニット4、膨張弁72、室内機20に設けられている室内熱交換器21、再度室外機1の圧縮機71の順に冷凍回路C内を循環する。
【0080】
すなわち、室外機1の圧縮機71において圧縮されて高温高圧となった冷媒が熱交換器ユニット4に供給される。熱交換器ユニット4では、図示しない室外ファンが回転することで供給される風と高温高圧の冷媒が熱交換され、冷媒は外気に放熱する。そして、冷媒の一部、或いはその全部が凝縮して低温高圧の冷媒となる。
【0081】
このように低温低圧となった冷媒は熱交換器ユニット4を出て後に膨張弁72を通過することで減圧される。その後、低温低圧となった冷媒は、室内熱交換器21に供給され、室内熱交換器21で周囲の空気との間で熱交換が行われる。
【0082】
室内熱交換器21による熱交換によって、冷媒は蒸発するとともに、室内熱交換器21に吸い込まれた空気は冷却され、室内ファンによって室内に供給されて室内が冷房される。そして熱交換により吸熱した低圧の冷媒は圧縮機71へと戻り、これまでの冷凍サイクルを繰り返す。
【0083】
一方暖房運転については、
図7に示す矢印とは逆向きの順序で冷凍回路Cの内部を冷媒が循環し、室内熱交換器21で冷媒が凝縮することで室内の暖房が行われることになる。
【0084】
以上説明したような構成を採用する室外機、或いは、当該室外機を有する空気調和機を用いることによって、室外機内のどのような位置に電装品箱が配置されていたとしても、当該電装品箱に収容されている電装品のうち特に冷却対象となる電装品に対して取り入れた外気を十分に供給することで、電装品の冷却を効率的、確実に行うことができる。
【0085】
なお、ここまでの説明においては、シール材で導風路を形成し、冷却が必要な電装品が配置されている領域に形成されている開口まで取り込まれた空気を導く例を説明した。但し、このように導風路を用いる方法以外に、例えば、開口121aの大きさを変化させることによって導入される空気の風量を制御することも考えられる。
【0086】
すなわち、これまでは右上の領域RAや左下の領域LAに形成される個々の開口121aの大きさについては特に言及しておらず、いずれの開口121aの大きさは等しいことを前提としていた。但し、同じ冷却対象となる電装品であっても、発熱量が多いため、その他の電装品よりもより強力に冷却する必要がある電装品がある。
【0087】
そこで、冷却対象となる電装品ごとに冷却が必要な度合いを見極め、より強力な冷却が必要な電装品に対しては、当該電装品に対向して形成される開口121aの大きさをその他の電装品に対向して形成される開口121aよりも大きく形成する。このように形成される開口121aの大きさに差を設けることによって、対象となる電装品に対して導入される空気の風量を変化させることができる。
【0088】
そして、このような開口121aの大きさに変化を付ける方法については、この方法だけを用いて電装品の冷却を実行することができるとともに、導風路を用いた風量、風速、空気の向きといった各種条件を制御する方法と組み合わせて電装品を冷却することも可能である。
【0089】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0090】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1・・・室外機、2・・・筐体、3・・・空気吸込口、4・・・熱交換器ユニット、5・・・ファン、6・・・サービスパネル、7・・・冷凍回路ユニット、71・・・圧縮機、72・・・膨張弁、8・・・排水口、10・・・電装品箱、11・・・収容箱、12・・・カバー、121・・・開口、121a・・・開口、13・・・庇、14・・・シール材、CA・・・左上の領域、I・・・空気取り込み口、O・・・空気吹き出し口、LA・・・左下の領域、RA・・・右上の領域