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特開2023-149122災害防護工及び災害防護工の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149122
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】災害防護工及び災害防護工の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20231005BHJP
   E01F 15/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E01F7/04
E01F15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057517
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】和田 昌敏
(72)【発明者】
【氏名】國領 ひろし
(72)【発明者】
【氏名】堀 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】久保 明弘
(72)【発明者】
【氏名】三上 誠
(72)【発明者】
【氏名】古谷 浩平
【テーマコード(参考)】
2D001
2D101
【Fターム(参考)】
2D001PA05
2D001PA06
2D001PC03
2D001PD05
2D101CB02
2D101CB03
2D101DA04
2D101EA02
2D101FA13
2D101FA27
2D101FB12
(57)【要約】
【課題】施工時間の短縮化を図ることが可能となる災害防護工を提供する。
【解決手段】実施形態における災害防護工100は、流下物を捕捉するための災害防護工であって、地中に設置される杭部11と、杭部11の上方に一体的に形成される支柱部12と、を有するとともに流下物の流下方向Xと交わる幅方向Yに間隔を空けて設置される複数の円筒鋼管1と、複数の円筒鋼管1に架設される断面円形状の横架材2と、円筒鋼管1と横架材2とが接触された状態で、円筒鋼管1に横架材2を取り付ける取付金具3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流下物を捕捉するための災害防護工であって、
流下物の流下方向と交わる幅方向に間隔を空けて設置される複数の円筒鋼管と、
複数の前記円筒鋼管に架設される断面円形状の横架材と、
前記円筒鋼管と前記横架材とが接触された状態で、前記円筒鋼管に前記横架材を取り付ける取付金具と、を備え、
前記円筒鋼管は、地中に設置される杭部と、前記杭部の上方に形成される支柱部と、を有し、
前記杭部と前記支柱部は、一体的に形成されること
を特徴とする災害防護工。
【請求項2】
前記杭部と前記支柱部は、1本の鋼管により一体的に形成されること
を特徴とする請求項1記載の災害防護工。
【請求項3】
前記杭部と前記支柱部は、溶接継手又は機械式継手により一体的に形成されること
を特徴とする請求項1記載の災害防護工。
【請求項4】
前記取付金具は、前記円筒鋼管の施工誤差によって生じる前記横架材との取付誤差を吸収できること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の災害防護工。
【請求項5】
前記取付金具は、
前記横架材を挟んで上下方向に離間した一対のU字ボルトと、
一対の前記U字ボルトを繋ぐ取付プレートと、を有し、
前記U字ボルトは、湾曲部分の内側に前記円筒鋼管が配置され、
前記取付プレートは、前記横架材を挟んで前記円筒鋼管の反対側に配置されること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の災害防護工。
【請求項6】
前記取付金具は、
前記円筒鋼管を挟んで幅方向に離間した一対のU字ボルトと、
一対の前記U字ボルトを繋ぐ取付プレートと、を有し、
前記U字ボルトは、湾曲部分の内側に前記横架材が配置され、
前記取付プレートは、前記円筒鋼管を挟んで前記横架材の反対側に配置されること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の災害防護工。
【請求項7】
前記横架材は、前記円筒鋼管よりも流下方向の上流側に配置され、
前記取付プレートは、前記横架材よりも流下方向の下流側に配置されること
を特徴とする請求項6記載の災害防護工。
【請求項8】
前記横架材は、前記円筒鋼管よりも流下方向の上流側に配置され、
前記取付金具は、
湾曲部分の内側に前記円筒鋼管が配置されるU字ボルトと、
前記U字ボルトに取り付けられる取付プレートと、を有し、
前記取付プレートは、前記横架材よりも流下方向の下流側に配置され、前記横架材に溶接されること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の災害防護工。
【請求項9】
前記円筒鋼管は、前記U字ボルトを下方から支持する支持部を有すること
を特徴とする請求項8記載の災害防護工。
【請求項10】
前記円筒鋼管は、前記杭部に螺旋状の螺旋羽根が取り付けられること
を特徴とする請求項1~9の何れか1項記載の災害防護工。
【請求項11】
流下物を捕捉するための災害防護工の施工方法であって、
円筒鋼管を流下物の流下方向と交わる幅方向に間隔を空けて地中に複数設置する設置工程と、
複数の前記円筒鋼管に断面円形状の横架材を架設する架設工程と、を備え、
前記架設工程は、取付金具を用いて前記円筒鋼管に前記横架材を取り付け、
前記円筒鋼管は、地中に設置される杭部と、前記杭部の上方に一体的に形成される支柱部と、を有すること
を特徴とする災害防護工の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害防護工及び災害防護工の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土砂・流木による災害を防止する防護工に関する技術として、特許文献1、2の開示技術が開示されている。
【0003】
特許文献1の防護工は、地中に設置された基礎と、基礎に着脱自在に連結されて土石流中の物体を捕捉する捕捉体と、を備え、基礎は、鋼管により形成された複数の杭部材を有し、捕捉体は、地盤上に設置されており、柱部材と、梁部材を有する。
【0004】
特許文献2の防護工は、土石流の流れ方向に交差するように所定の間隔をあけて、延在方向に沿って地中に埋め込まれた管状の杭部材を有する基礎と、杭部材から立設する柱部材及び流れ方向において上流側で柱部材間に架け渡された梁部材を有し、基礎に対して位置固定されていて土石流中の物体を捕捉する捕捉体と、を備え、基礎に対して捕捉体は連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-147823号公報
【特許文献2】特開2021-147824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
杭を地中に設置する際には、杭の軸心が設計位置から水平方向にずれたり、鉛直方向に対して傾斜する等の施工誤差が生じるおそれがある。杭に施工誤差が生じた場合、杭に立設される柱部材の位置にも影響が生じる。この点、特許文献1、2の開示技術は、柱部材としてH形鋼が用いられ、H形鋼のフランジ面に梁部材が架け渡される。すなわち、梁部材を掛け渡すには、隣接する2つのフランジ面が同一平面上に配置される必要がある。このため、柱部材に施工誤差が生じた場合、隣接する2つのH形鋼のフランジ面が同一平面に配置できず、梁部材を掛け渡すのが難しい。したがって、施工に時間がかかるという事情がある。杭部材の施工誤差を低減させるために精度の高い測量を行うこともあるが、測量には時間を要するため、施工に時間がかかる。特に、災害復旧工事等の緊急性の高い工事では、短時間での施工が求められることから、施工時間の短縮化を図ることが可能となる災害防護工が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、施工時間の短縮化を図ることが可能となる災害防護工及び災害防護工の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る災害防護工は、流下物を捕捉するための災害防護工であって、流下物の流下方向と交わる幅方向に間隔を空けて設置される複数の円筒鋼管と、複数の前記円筒鋼管に架設される断面円形状の横架材と、前記円筒鋼管と前記横架材とが接触された状態で、前記円筒鋼管に前記横架材を取り付ける取付金具と、を備え、前記円筒鋼管は、地中に設置される杭部と、前記杭部の上方に形成される支柱部と、を有し、前記杭部と前記支柱部は、一体的に形成されることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る災害防護工は、第1発明において、前記杭部と前記支柱部は、1本の鋼管により一体的に形成されることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る災害防護工は、第1発明において、前記杭部と前記支柱部は、溶接継手又は機械式継手により一体的に形成されることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る災害防護工は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記取付金具は、前記円筒鋼管の施工誤差によって生じる前記横架材との取付誤差を吸収できることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る災害防護工は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記取付金具は、前記横架材を挟んで上下方向に離間した一対のU字ボルトと、一対の前記U字ボルトを繋ぐ取付プレートと、を有し、前記U字ボルトは、湾曲部分の内側に前記円筒鋼管が配置され、前記取付プレートは、前記横架材を挟んで前記円筒鋼管の反対側に配置されることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る災害防護工は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記取付金具は、前記円筒鋼管を挟んで幅方向に離間した一対のU字ボルトと、一対の前記U字ボルトを繋ぐ取付プレートと、を有し、前記U字ボルトは、湾曲部分の内側に前記横架材が配置され、前記取付プレートは、前記円筒鋼管を挟んで前記横架材の反対側に配置されることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る災害防護工は、第6発明において、前記横架材は、前記円筒鋼管よりも流下方向の上流側に配置され、前記取付プレートは、前記横架材よりも流下方向の下流側に配置されることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る災害防護工は、第1発明~第4発明の何れかにおいて、前記横架材は、前記円筒鋼管よりも流下方向の上流側に配置され、前記取付金具は、湾曲部分の内側に前記円筒鋼管が配置されるU字ボルトと、前記U字ボルトに取り付けられる取付プレートと、を有し、前記取付プレートは、前記横架材よりも流下方向の下流側に配置され、前記横架材に溶接されることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る災害防護工は、第8発明において、前記円筒鋼管は、前記U字ボルトを下方から支持する支持部を有することを特徴とする。
【0017】
第10発明に係る災害防護工は、第1発明~第9発明の何れかにおいて、前記円筒鋼管は、前記杭部に螺旋状の螺旋羽根が取り付けられることを特徴とする。
【0018】
第11発明に係る災害防護工の施工方法は、流下物を捕捉するための災害防護工の施工方法であって、円筒鋼管を流下物の流下方向と交わる幅方向に間隔を空けて地中に複数設置する設置工程と、複数の前記円筒鋼管に断面円形状の横架材を架設する架設工程と、を備え、前記架設工程は、取付金具を用いて前記円筒鋼管に前記横架材を取り付け、前記円筒鋼管は、地中に設置される杭部と、前記杭部の上方に一体的に形成される支柱部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1発明~第11発明によれば、円筒鋼管と横架材とが接触された状態で、円筒鋼管に横架材を取り付ける取付金具を備える。横架材は、断面円形状であることから、一方の円筒鋼管と横架材とが接触点において接触し、他方の円筒鋼管と横架材とが接触点において接触する。このため、円筒鋼管と円筒鋼管とに横架材を架設することができる。その結果、円筒鋼管の設置精度を高くするための測量等の作業を省略することができ、施工時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0020】
特に、第2発明によれば、杭部と支柱部は、1本の鋼管により一体的に形成される。これにより、杭部と支柱部とを一括で施工することができる。このため、施工時間の更なる短縮化を図ることが可能となる。
【0021】
特に、第3発明によれば、杭部と支柱部は、溶接継手又は機械式継手により一体的に形成される。これにより、杭部を地中に埋設した後に、支柱部を一体化させることができる。このため、円筒鋼管が1本の鋼管で構成される場合よりも、現場に搬入するクレーン等の揚重装置を小型化することができ、現場の省スペース化を図ることが可能となる。
【0022】
特に、第4発明によれば、円筒鋼管の施工誤差によって生じる横架材との取付誤差を吸収できる。これにより、幅方向に離間する円筒鋼管の施工誤差によって生じる横架材に施工誤差が生じた場合であっても、円筒鋼管と横架材とを取り付けることができる。このため、施工時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0023】
特に、第5発明によれば、取付金具は、横架材を挟んで上下方向Zに離間した一対のU字ボルトと、一対のU字ボルトを繋ぐ取付プレートと、を有し、U字ボルトは、湾曲部分の内側に円筒鋼管が配置され、取付プレートは、横架材を挟んで円筒鋼管の反対側に配置される。これにより、取付金具は、U字ボルトと取付プレートとが、円筒鋼管と横架材とを挟んで保持することができる。このため、円筒鋼管と横架材とが接触された状態を保持し易くなり、円筒鋼管と横架材とを強固に取り付けることが可能となる。
【0024】
特に、第6発明によれば、取付金具は、円筒鋼管を挟んで幅方向に離間した一対のU字ボルトと、一対のU字ボルトを繋ぐ取付プレートと、を有し、U字ボルトは、湾曲部分の内側に横架材が配置され、取付プレートは、円筒鋼管を挟んで横架材の反対側に配置される。これにより、取付金具は、U字ボルトと取付プレートとが、円筒鋼管と横架材とを挟んで保持することができる。このため、円筒鋼管と横架材とが接触された状態を保持し易くなり、円筒鋼管と横架材とを強固に取り付けることが可能となる。
【0025】
特に、第7発明によれば、横架材は、円筒鋼管よりも流下方向の上流側に配置され、取付プレートは、円筒鋼管よりも流下方向の下流側に配置される。これにより、取付プレートが上流側から流下する流下物に接触するのを抑制できる。このため、取付プレートの損傷を抑制し、円筒鋼管と横架材とを強固に取り付けることが可能となる。
【0026】
特に、第8発明によれば、横架材は、円筒鋼管よりも流下方向の上流側に配置され、取付金具は、湾曲部分の内側に円筒鋼管1が配置されるU字ボルトと、U字ボルトに取り付けられる取付プレートと、を有し、取付プレートは、横架材よりも流下方向の下流側に配置され、横架材に溶接される。これにより、取付プレートが上流側から流下する流下物に接触するのを抑制できる。このため、取付プレートの損傷を抑制し、円筒鋼管と横架材とを強固に取り付けることが可能となる。
【0027】
特に、第9発明によれば、円筒鋼管は、U字ボルトを下方から支持する支持部を有する。これにより、U字ボルトの落下を抑制することができる。このため、円筒鋼管と横架材とを強固に取り付けることが可能となる。
【0028】
特に、第10発明によれば、杭部に螺旋状の螺旋羽根が取り付けられる。これにより、円筒鋼管1を回転圧入させて地中に設置することができる。このため、施工時間の短縮化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、第1実施形態における災害防護工の一例を上流側から示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態における災害防護工の一例を上流側から示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態における災害防護工の一例を示す平面図である。
図4図4は、第2実施形態における災害防護工の一例を上流側から示す斜視図である。
図5図5は、第3実施形態における災害防護工の一例を上流側から示す斜視図である。
図6図6は、第3実施形態における災害防護工の一例を下流側から示す斜視図である。
図7図7(a)は、第4実施形態における災害防護工の第1例を示す断面図であり、図7(b)は、第4実施形態における災害防護工の第2例を示す断面図である。
図8図8は、第5実施形態に係る災害防護工の一例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を適用した災害防護工を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、上下方向Zとし、流下物の流下する方向を流下方向Xとし、上下方向Zと流下方向Xに交わる方向を幅方向Yとする。流下方向Xは、上流側X1と、下流側X2と、を有する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る災害防護工100の一例を示す斜視図である。図2は、第1実施形態における災害防護工100の一例を示す正面図である。
【0032】
災害防護工100は、土砂、雪崩、落石等の流下物を捕捉する。災害防護工100は、例えばスリットダムとして用いられる。災害防護工100は、例えば雪崩を捕捉する防護柵として用いられてもよい。災害防護工100は、例えば道路や線路等に土砂等が流下するのを防止するための防護柵として用いられてもよい。
【0033】
災害防護工100は、円筒鋼管1と、横架材2と、取付金具3と、を備える。災害防護工100は、取付金具3を介して円筒鋼管1と断面円形状の横架材2とが点で接触する。このため、円筒鋼管1に施工誤差が生じたとしても、接触点により施工誤差が吸収され、幅方向に隣接する円筒鋼管1に横架材2を架設することができる。その結果、円筒鋼管の設置精度を高くするための測量等の作業を省略することができ、施工時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0034】
円筒鋼管1は、流下物の流下方向Xに直交する幅方向Yに、間隔を空けて複数設置される。円筒鋼管1は、地中に設置される杭部11と、杭部11の上方に一体的に形成される支柱部12と、を有する。円筒鋼管1は、1本の鋼管が用いられる。杭部11と支柱部12は、1本の鋼管により一体的に形成される。支柱部12は、地表から露出される。
【0035】
円筒鋼管1は、杭部11の下端部11aに螺旋状の螺旋羽根13が取り付けられる。円筒鋼管1は、軸心を中心に周方向に回転させながら地中に設置される。
【0036】
横架材2は、複数の円筒鋼管1の支柱部12に架設される。横架材2は、断面円形状に形成され、例えば円筒状の鋼管が用いられる。横架材2は、円筒鋼管1よりも流下方向の上流側X1に配置される。なお、横架材2は、円筒鋼管1よりも流下方向の下流側X2に配置されてもよい。
【0037】
取付金具3は、円筒鋼管1と横架材2とが接触された状態で、円筒鋼管1に横架材2を取り付ける。このとき、円筒鋼管1と断面円形状の横架材2とは、点で接触される。
【0038】
取付金具3は、一対のU字ボルト31と、取付プレート32と、を有する。取付金具3は、U字ボルト31と取付プレート32とが、円筒鋼管1と横架材2とを挟んで保持される。
【0039】
U字ボルト31は、上下方向Zに離間して一対配置される。U字ボルト31の湾曲部分の内側に、円筒鋼管1が配置される。
【0040】
取付プレート32は、鋼板が用いられる。取付プレート32は、上下方向Zに離間した一対のU字ボルト31を繋ぐ。取付プレート32は、U字ボルト31の先端が貫通され、U字ボルト31の先端には、ナット33が螺合される。
【0041】
取付プレート32は、横架材2を挟んで円筒鋼管1の反対側に配置される。取付プレート32は、横架材2よりも上流側X1に配置され、横架材2に接触される。
【0042】
次に、第1実施形態に係る災害防護工の施工方法の一例について説明する。災害防護工の施工方法は、設置工程と、架設工程と、を備える。
【0043】
設置工程では、円筒鋼管1を流下物の流下方向Xと交わる幅方向Yに間隔を空けて地中に複数設置する。設置工程では、1本の鋼管により杭部11と支柱部12とが一体的に形成された円筒鋼管1を設置する。
【0044】
次に、架設工程では、複数の円筒鋼管1に断面円形状の横架材2を架設する。架設工程では、円筒鋼管1と横架材2とが接触した状態で、取付金具3を用いて円筒鋼管1に横架材2を取り付ける。
【0045】
以上により、災害防護工の施工方法の一例が完了する。次に、図3を用いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0046】
一方の円筒鋼管1-1と他方の円筒鋼管1-2とを幅方向Yに離間して設置したとき、一方の円筒鋼管1-1と他方の円筒鋼管1-2との少なくとも何れかが、流下方向Xで設置位置がずれたり、上下方向Zに対して傾斜する場合がある。この場合、一方の円筒鋼管1-1の軸心O1と、他方の円筒鋼管1-2の軸心O2と、とに例えば流下方向Xの施工誤差dが生じることになる。
【0047】
この点、本実施形態によれば、円筒鋼管1と横架材2とが接触された状態で、円筒鋼管1に横架材2を取り付ける取付金具3を備える。横架材2は、断面円形状であることから、一方の円筒鋼管1-1と横架材2とが接触点P1において接触し、他方の円筒鋼管1-2と横架材2とが接触点P2において接触する。このため、施工誤差dが生じたとしても、接触点P1と接触点P2とにより施工誤差dが吸収され、円筒鋼管1-1と円筒鋼管1-2とに横架材2を架設することができる。その結果、円筒鋼管1の設置精度を高くするための測量等の作業を省略することができ、施工時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0048】
本実施形態によれば、杭部11と支柱部12は、1本の鋼管により一体的に形成される。これにより、杭部11と支柱部12とを一括で施工することができる。このため、施工時間の更なる短縮化を図ることが可能となる。
【0049】
本実施形態によれば、取付金具3は、円筒鋼管1の施工誤差によって生じる横架材2との取付誤差を吸収できる。これにより、幅方向Yに離間する円筒鋼管1の施工誤差によって生じる横架材2に施工誤差が生じた場合であっても、円筒鋼管1と横架材2とを取り付けることができる。このため、施工時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0050】
本実施形態によれば、取付金具3は、横架材2を挟んで上下方向Zに離間した一対のU字ボルト31と、一対のU字ボルト31を繋ぐ取付プレート32と、を有し、U字ボルト31は、湾曲部分の内側に円筒鋼管1が配置され、取付プレート32は、横架材2を挟んで円筒鋼管1の反対側に配置される。これにより、取付金具3は、U字ボルト31と取付プレート32とが、円筒鋼管1と横架材2とを挟んで保持することができる。このため、円筒鋼管1と横架材2とが接触された状態を保持し易くなり、円筒鋼管1と横架材2とを強固に取り付けることが可能となる。
【0051】
本実施形態によれば、円筒鋼管1は、杭部11に螺旋状の螺旋羽根13が取り付けられる。これにより、円筒鋼管1を回転圧入させて地中に設置することができる。このため、施工時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る災害防護工100の一例を示す斜視図である。以下、第1実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0053】
取付金具3は、円筒鋼管1と横架材2とが接触された状態で、円筒鋼管1に横架材2を取り付ける。このとき、円筒鋼管1と断面円形状の横架材2とは、点で接触される。
【0054】
取付金具3は、一対のU字ボルト31と、取付プレート32と、を有する。取付金具3は、U字ボルト31と取付プレート32とが、円筒鋼管1と横架材2とを挟んで保持される。
【0055】
U字ボルト31は、幅方向Yに離間して一対配置される。U字ボルト31の湾曲部分の内側に、横架材2が配置される。
【0056】
取付プレート32は、鋼板が用いられる。取付プレート32は、幅方向Yに離間した一対のU字ボルト31を繋ぐ。取付プレート32は、U字ボルト31の先端が貫通され、U字ボルト31の先端には、ナット33が螺合される。
【0057】
取付プレート32は、円筒鋼管1を挟んで横架材2の反対側に配置される。取付プレート32は、円筒鋼管1と横架材2よりも下流側X2に配置され、円筒鋼管1に接触される。
【0058】
本実施形態によれば、取付金具3は、円筒鋼管1を挟んで幅方向Yに離間した一対のU字ボルト31と、一対のU字ボルト31を繋ぐ取付プレート32と、を有し、U字ボルト31は、湾曲部分の内側に横架材2が配置され、取付プレート32は、円筒鋼管1を挟んで横架材2の反対側に配置される。これにより、取付金具3は、U字ボルト31と取付プレート32とが、円筒鋼管1と横架材2とを挟んで保持することができる。このため、円筒鋼管1と横架材2とが接触された状態を保持し易くなり、円筒鋼管1と横架材2とを強固に取り付けることが可能となる。
【0059】
本実施形態によれば、横架材2は、円筒鋼管1よりも流下方向Xの上流側X1に配置され、取付プレート32は、円筒鋼管1よりも流下方向Xの下流側X2に配置される。これにより、取付プレート32が上流側X1から流下する流下物に接触するのを抑制できる。このため、取付プレート32の損傷を抑制し、円筒鋼管1と横架材2とを強固に取り付けることが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る災害防護工100の一例を示す斜視図である。図6は、第3実施形態に係る災害防護工100の一例を示す斜視図である。
【0061】
取付金具3は、円筒鋼管1と横架材2とが接触された状態で、円筒鋼管1に横架材2を取り付ける。このとき、円筒鋼管1と断面円形状の横架材2とは、点で接触される。
【0062】
取付金具3は、一対のU字ボルト31と、取付プレート32と、を有する。
【0063】
U字ボルト31は、上下方向Zに離間して一対配置される。U字ボルト31の湾曲部分の内側に、円筒鋼管1が配置される。
【0064】
取付プレート32は、鋼板が用いられる。取付プレート32は、上下方向Zに離間した一対のU字ボルト31を繋ぐ。取付プレート32は、U字ボルト31の先端が貫通され、U字ボルト31の先端には、ナット33が螺合される。
【0065】
取付プレート32は、横架材2よりも下流側X2に配置され、円筒鋼管1に溶接される。
【0066】
本実施形態によれば、横架材2は、円筒鋼管1よりも流下方向Xの上流側X1に配置され、取付金具3は、湾曲部分の内側に円筒鋼管1が配置されるU字ボルト31と、U字ボルト31に取り付けられる取付プレート32と、を有し、取付プレート32は、横架材2よりも流下方向Xの下流側X2に配置され、横架材2に溶接される。これにより、取付プレート32が上流側X1から流下する流下物に接触するのを抑制できる。このため、取付プレート32の損傷を抑制し、円筒鋼管1と横架材2とを強固に取り付けることが可能となる。
【0067】
本実施形態によれば、円筒鋼管1は、U字ボルト31を下方から支持する支持部14を有する。これにより、U字ボルト31の落下を抑制することができる。このため、円筒鋼管1と横架材2とを強固に取り付けることが可能となる。
【0068】
(第4実施形態)
図7(a)は、第4実施形態に係る災害防護工100の第1例を示す断面図であり、図7(b)は、第4実施形態に係る災害防護工100の第2例を示す断面図である。
【0069】
図7(a)に示すように、円筒鋼管1は、地中に設置される杭部11と、杭部11の上方に一体的に形成される支柱部12と、を有する。円筒鋼管1では、杭部11と支柱部12とが溶接継手Wにより一体的に形成される。杭部11の下端部11aは、地中に設置され、杭部11の上端部11bは、地表から露出される。支柱部12は、杭部11の上端部11bに溶接継手Wにより一体的に形成される。
【0070】
図7(b)に示すように、円筒鋼管1は、地中に設置される杭部11と、杭部11の上方に一体的に形成される支柱部12と、を有する。円筒鋼管1では、杭部11と支柱部12とが機械式継手6により一体的に形成される。杭部11の下端部11aは、地中に設置され、杭部11の上端部11bは、地表から露出される。支柱部12は、杭部11の上端部11bに機械式継手6により一体的に形成される。
【0071】
杭部11は、上端部11bを補剛する杭補剛部4を有する。杭補剛部4は、杭部11の内部に設けられる。杭補剛部4は、例えば複数の鋼板41が用いられる。鋼板41は、杭部11の内面に溶接される。複数の鋼板41は、杭部11の内部において、互いに交差するように配置される。
【0072】
支柱部12は、下端部12aを補剛する柱補剛部5を有する。柱補剛部5は、支柱部12の内部に設けられる。柱補剛部5は、例えば複数の鋼板51が用いられる。鋼板51は、支柱部12の内面に溶接される。複数の鋼板51は、支柱部12の内部において、互いに交差するように配置される。
【0073】
機械式継手6は、鋼管同士を接続する公知の機械式継手が用いられる。機械式継手6は、杭部11の上端部1bに設けられる雌側継手部61と、支柱部12の下端部12aに設けられる雄側継手部62と、雌側継手部61と雄側継手部62とを貫通するピン部材63と、を有する。雄側継手部62は、雌側継手部61に挿入される。雌側継手部61と雄側継手部62は、ピン部材63を介して互いに接合される。
【0074】
機械式継手6は、例えばつい太郎(登録商標)が用いられてもよい。なお、機械式継手6として、例えばボルト継手が用いられてもよい。
【0075】
次に、第4実施形態に係る災害防護工の施工方法の一例について説明する。災害防護工の施工方法は、第1実施形態と同様に、設置工程と、架設工程と、を備える。
【0076】
設置工程では、円筒鋼管1を流下物の流下方向Xと交わる幅方向Yに間隔を空けて地中に複数設置する。詳細には、設置工程では、先ず杭部11を地中に設置し、その後杭部11の上端部11bに支柱部12を溶接継手W又は機械式継手6により一体的に形成する。これにより、円筒鋼管1を設置する。その後、第1実施形態と同様に、架設工程を行う。
【0077】
本実施形態によれば、杭部11と支柱部12は、溶接継手W又は機械式継手6により一体的に形成される。これにより、杭部11を地中に埋設した後に、支柱部12を一体化させることができる。このため、円筒鋼管1が1本の鋼管で構成される場合よりも、現場に搬入するクレーン等の揚重装置を小型化することができ、現場の省スペース化を図ることが可能となる。
【0078】
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態に係る災害防護工100の一例を示す背面図である。第5実施形態に係る災害防護工100では、幅方向Yに離間した複数の円筒鋼管1の間に、捕捉ネット7が設けられる。捕捉ネット7は、例えば鋼製のネットが用いられる。捕捉ネット7は、例えば円筒鋼管1及び横架材2よりも上流側X1に設けられることが好ましい。
【0079】
本実施形態によれば、幅方向Yに離間した複数の円筒鋼管1の間に、捕捉ネット7が設けられる。これにより、流下物を捕捉ネット7により捕捉することができる。このため、流下物の捕捉を更に効果的に行うことが可能となる。
【0080】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
100 :災害防護工
1 :円筒鋼管
1-1 :円筒鋼管
1-2 :円筒鋼管
11 :杭部
11a :下端部
11b :上端部
12 :支柱部
12a :下端部
13 :螺旋羽根
14 :支持部
2 :横架材
3 :取付金具
31 :U字ボルト
32 :取付プレート
33 :ナット
4 :杭補剛部
41 :鋼板
5 :柱補剛部
51 :鋼板
6 :機械式継手
7 :捕捉ネット
O1 :軸心
O2 :軸心
P1 :接触点
P2 :接触点
W :溶接継手
X :流下方向
X1 :上流側
X2 :下流側
Y :幅方向
Z :上下方向
d :施工誤差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8