(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149140
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】機器選定システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/50 20180101AFI20231005BHJP
【FI】
F24F11/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057552
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真之
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260BA65
3L260BA71
3L260CA29
3L260CB86
3L260DA15
3L260FA20
3L260FC33
(57)【要約】
【課題】従来のように、建物内における無線端末の位置を推定する技術では、同一のフロアに設置されている室内機を把握することができない、という課題がある。
【解決手段】機器選定システム1は、複数の室内機20と、管理装置と、を備える。複数の室内機20は、建物BL内に設置されている、室内機20a、室内機20b、及び室内機20cを含む。管理装置は、基点となる室内機20aを選定すると、室内機20aと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20bを選定する。管理装置10は、この操作を繰り返すことにより、室内機20aに基づいて選定した室内機20b及び室内機20cを含む室内機20を、室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20として、室内機20aと同一のグループに設定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置されている、第1機器(20a)、第2機器(20b)、及び第3機器(20c)を含む、複数の機器(20)と、
前記機器の固有情報を記憶し、前記機器と通信可能である、管理装置(10)と、
を備え、
前記機器は、
互いに無線通信を行う、通信部(27)と、
無線通信によって送受信する電磁波に関する情報と、無線通信を行った前記機器の固有情報と、を取得する、取得部(291)と、
を有し、
前記管理装置は、基点となる前記第1機器を選定すると、前記第1機器と互いに無線通信を行った前記機器の中から、前記電磁波に関する情報に基づいて、前記第2機器を選定し、前記第2機器と互いに無線通信を行った前記機器の中から、前記電磁波に関する情報に基づいて、前記第3機器を選定する、ことを繰り返すことにより、前記第1機器に基づいて選定した前記第2機器及び前記第3機器を含む前記機器を、前記第1機器と同一のフロアに設置されている前記機器として、前記第1機器と同一のグループに設定する、
機器選定システム(1)。
【請求項2】
前記管理装置は、前記第1機器と同一のグループに属する前記機器が取得した前記電磁波に関する情報と、前記第1機器と同一のグループに属する前記機器の固有情報と、を対応付けて記憶する、
請求項1に記載の機器選定システム(1)。
【請求項3】
前記電磁波に関する情報は、電波強度、又は往復時間を含み、
前記管理装置は、電波強度、又は往復時間に、所定の閾値(T)を適用して、前記機器を選定する、
請求項1又は2に記載の機器選定システム(1)。
【請求項4】
前記閾値は、前記建物内の異なるフロアの間で無線通信を行う際の、到達可能な電波強度、又は電磁波の往復に要する往復時間、に基づいて決定される、
請求項3に記載の機器選定システム(1)。
【請求項5】
前記閾値は、前記建物の構造、又は前記建物内の各フロアの階高、に基づいて決定される、
請求項3又は4に記載の機器選定システム(1)。
【請求項6】
前記管理装置は、前記第1機器に基づいて前記機器を選定していく過程において、過去に選定した前記機器を再度選定しない、
請求項1から5のいずれか1つに記載の機器選定システム(1)。
【請求項7】
前記管理装置は、選定できる前記機器がなくなったときに、前記第1機器に基づく前記機器の選定を終了する、
請求項6に記載の機器選定システム(1)。
【請求項8】
前記管理装置は、
前記機器の位置情報(81)をさらに記憶し、
前記位置情報から算出される前記建物内の第1フロアに設置された前記機器の台数と、前記第1フロアに設置されている前記第1機器に基づいて選定した、前記第1機器を含む前記機器の台数と、が一致したときに、前記第1機器に基づく前記機器の選定を終了する、
請求項6に記載の機器選定システム(1)。
【請求項9】
入力部(62)と、表示部(63)と、を有し、前記管理装置と通信可能である、無線端末(60)、
をさらに備え、
前記管理装置は、前記入力部を用いて選定された前記第1機器に基づいて、前記第1機器と同一の第1グループに属する前記機器を選定し、
前記表示部は、前記管理装置から取得した、前記第1グループに属する前記機器の固有情報を表示する、
請求項1から8のいずれか1つに記載の機器選定システム(1)。
【請求項10】
前記管理装置は、前記入力部を用いて入力された前記建物のフロアに関する情報と、前記第1グループに属する前記機器の固有情報と、を対応付けて記憶する、
請求項9に記載の機器選定システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
機器選定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2008-175734号公報)に示されているように、建物内における無線端末の位置を推定する技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
建物内の複数の設置箇所に設置されている複数の機器に対して、設置箇所の位置情報と、当該設置箇所に設置されている機器の固有情報と、を対応付けて登録する場合、登録方法によっては、同一のフロアに設置されている機器を把握しておく必要がある。しかし、特許文献1のように、建物内における無線端末の位置を推定する技術では、同一のフロアに設置されている機器を把握することができない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の機器選定システムは、複数の機器と、管理装置と、を備える。複数の機器は、建物内に設置されている、第1機器、第2機器、及び第3機器を含む。管理装置は、機器の固有情報を記憶し、機器と通信可能である。機器は、通信部と、取得部と、を有する。通信部は、互いに無線通信を行う。取得部は、無線通信によって送受信する電磁波に関する情報と、無線通信を行った機器の固有情報と、を取得する。管理装置は、基点となる第1機器を選定すると、第1機器と互いに無線通信を行った機器の中から、電磁波に関する情報に基づいて、第2機器を選定する。管理装置は、第2機器を選定すると、第2機器と互いに無線通信を行った機器の中から、電磁波に関する情報に基づいて、第3機器を選定する。管理装置は、この操作を繰り返すことにより、第1機器に基づいて選定した第2機器及び第3機器を含む機器を、第1機器と同一のフロアに設置されている機器として、第1機器と同一のグループに設定する。
【0005】
第1観点の機器選定システムでは、管理装置は、基点となる第1機器を選定すると、第1機器と互いに無線通信を行った機器の中から、電磁波に関する情報に基づいて、第2機器を選定する。管理装置は、第2機器を選定すると、第2機器と互いに無線通信を行った機器の中から、電磁波に関する情報に基づいて、第3機器を選定する。管理装置は、この操作を繰り返すことにより、第1機器に基づいて選定した第2機器及び第3機器を含む機器を、第1機器と同一のフロアに設置されている機器として、第1機器と同一のグループに設定する。その結果、機器選定システムは、基点となる機器を選定することにより、選定した機器と同一のフロアに設置されている機器を、把握することができる。
【0006】
第2観点の機器選定システムは、第1観点の機器選定システムであって、管理装置は、第1機器と同一のグループに属する機器が取得した電磁波に関する情報と、第1機器と同一のグループに属する機器の固有情報と、を対応付けて記憶する。
【0007】
第3観点の機器選定システムは、第1観点又は第2観点の機器選定システムであって、電磁波に関する情報は、電波強度、又は往復時間を含む。管理装置は、電波強度、又は往復時間に、所定の閾値を適用して、機器を選定する。
【0008】
第4観点の機器選定システムは、第3観点の機器選定システムであって、閾値は、建物内の異なるフロアの間で無線通信を行う際の、到達可能な電波強度、又は電磁波の往復に要する往復時間、に基づいて決定される。
【0009】
第4観点の機器選定システムは、このような構成により、建物内の異なるフロアに設置された2つの機器が、同一のグループに属することを防止することができる。
【0010】
第5観点の機器選定システムは、第3観点又は第4観点の機器選定システムであって、閾値は、建物の構造、又は建物内の各フロアの階高、に基づいて決定される。
【0011】
第6観点の機器選定システムは、第1観点から第5観点のいずれかの機器選定システムであって、管理装置は、第1機器に基づいて機器を選定していく過程において、過去に選定した機器を再度選定しない。
【0012】
第6観点の機器選定システムは、このような構成により、効率的に機器を選定することができる。
【0013】
第7観点の機器選定システムは、第6観点の機器選定システムであって、管理装置は、選定できる機器がなくなったときに、第1機器に基づく機器の選定を終了する。
【0014】
第8観点の機器選定システムは、第6観点の機器選定システムであって、管理装置は、機器の位置情報をさらに記憶する。管理装置は、位置情報から算出される建物内の第1フロアに設置された機器の台数と、第1フロアに設置されている第1機器に基づいて選定した、第1機器を含む機器の台数と、が一致したときに、第1機器に基づく機器の選定を終了する。
【0015】
第9観点の機器選定システムは、第1観点から第8観点のいずれかの機器選定システムであって、無線端末をさらに備える。無線端末は、入力部と、表示部と、を有する。無線端末は、管理装置と通信可能である。管理装置は、入力部を用いて選定された第1機器に基づいて、第1機器と同一の第1グループに属する機器を選定する。表示部は、管理装置から取得した、第1グループに属する機器の固有情報を表示する。
【0016】
第9観点の機器選定システムでは、このような構成により、無線端末を持つ作業者は、第1機器を選定することにより、第1機器と同一のフロアに設置されている機器を把握することができる。
【0017】
第10観点の機器選定システムは、第9観点の機器選定システムであって、管理装置は、入力部を用いて入力された建物のフロアに関する情報と、第1グループに属する機器の固有情報と、を対応付けて記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】建物内に室内機が設置されている様子を示すための建物の断面図である。
【
図5】管理装置、及び無線端末の機能ブロック図である。
【
図7】グループ設定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)全体構成
図1は、機器選定システム1の概略構成図である。
図1に示すように、機器選定システム1は、建物BL内に設置されている複数の室内機20(機器)の中から、同一のフロアに設置されている室内機20を選定するシステムである。
【0020】
図1に示すように、機器選定システム1は、主として、管理装置10と、空気調和システム2と、作業者3が所持する無線端末60と、を有する。管理装置10と、空気調和システム2と、無線端末60とは、ネットワークNWによって、通信可能に接続されている。ネットワークNWは、LAN、WAN、インターネット、及び移動体通信網等を含む。
【0021】
(2)詳細構成
以下、例えば、室内機20a~20g等について、これらを区別せずに説明する場合は、室内機20等と記載することがある。
【0022】
(2-1)空気調和システム
空気調和システム2は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成し、対象空間の空気調和(冷房及び暖房等)を行う。本実施形態では、空気調和システム2は、いわゆるビル用マルチ式空気調和システムである。
図1に示すように、空気調和システム2は、建物BLに設置されている。空気調和システム2は、1つ又は複数の冷媒系統RSと、コントローラ40とを有する。それぞれの冷媒系統RSは、室外機30と、複数の室内機20とを有する。1つの冷媒系統RSを構成する複数の室内機20は、建物BLの同一のフロアにすべて設置されてもよいし、異なるフロアに分かれて設置されてもよい。室外機30と室内機20とは、通信線90によって、通信可能に接続されている。室外機30と、コントローラ40とは、通信線91によって、通信可能に接続されている。
【0023】
図2は、冷媒系統RSの冷媒回路50を示す図である。冷媒系統RSを構成する各室内機20についての説明は、基本的に同様であるため、
図2では、代表して、冷媒系統RSを構成する複数の室内機20の内の、1台の室内機20を示している。
図2に示すように、室外機30と、室内機20とは、液冷媒連絡配管51及びガス冷媒連絡配管52によって接続され、冷媒回路50を構成している。
【0024】
(2-1-1)室内機
本実施形態では、室内機20は、建物BL内のフロアの天井に設置される天井埋込型のユニットである。
図2に示すように、室内機20は、主として、室内熱交換器21と、室内ファン22と、室内膨張弁23と、通信部27と、室内記憶部28と、室内制御部29と、室内温度センサ等の各種センサと、を有する。また、
図2に示すように、室内機20は、室内熱交換器21の液側端と、液冷媒連絡配管51と、を接続する液冷媒配管53aを有する。また、室内機20は、室内熱交換器21のガス側端と、ガス冷媒連絡配管52と、を接続するガス冷媒配管53bを有する。
【0025】
室内熱交換器21は、室内熱交換器21を流れる冷媒と、対象空間の空気と、の間で熱交換を行わせる。室内熱交換器21は、例えば、複数の伝熱フィンと、複数の伝熱管と、を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
【0026】
室内ファン22は、室内熱交換器21に、対象空間の空気を供給するファンである。室内ファン22は、例えば、ターボファンやシロッコファン等の遠心ファンである。
図2に示すように、室内ファン22は、室内ファンモータ22mによって駆動される。室内ファンモータ22mの回転数は、インバータによって制御可能である。
【0027】
室内膨張弁23は、液冷媒配管53aを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。本実施形態では、室内膨張弁23は、開度調節が可能な電子膨張弁である。
【0028】
通信部27は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信(無線通信)を行うためのネットワークインターフェイス機器である。通信部27は、BLE通信の電磁波を送受信すると共に、受信したBLE通信の電磁波の電波強度を測定する機能を有する。
【0029】
室内記憶部28は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。室内記憶部28は、室内制御部29が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。室内記憶部28は、自身の固有情報を記憶する。固有情報は、例えば、MACアドレスや、IPアドレス等の室内機20を識別可能な情報である。本実施形態では、特に断らない限り、固有情報として、MACアドレスを用いる。また、室内記憶部28は、後述するBLE通信情報80を記憶する。
【0030】
室内制御部29は、CPUやGPU等のプロセッサである。
図3は、空気調和システム2の機能ブロック図である。
図3では、簡単のため、1つの冷媒系統RSと、当該冷媒系統RSを構成する複数の室内機20の内の、1台の室内機20を示している。
図3に示すように、室内制御部29は、室内膨張弁23、室内ファンモータ22m、通信部27、及び室内記憶部28を含む、室内機20が有する各種機器と電気的に接続されている。室内制御部29は、室内記憶部28に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行うことで、室内機20を構成する各部の動作を制御する。また、室内制御部29は、プログラムに従って、演算結果を室内記憶部28に書き込んだり、室内記憶部28に記憶されている情報を読み出したりすることができる。室内制御部29は、操作用リモコン(図示せず)から送信される各種信号を、受信可能に構成されている。各種信号には、例えば、運転の開始及び停止を指示する信号や、各種設定に関する信号が含まれる。各種設定に関する信号には、例えば、設定温度や風量に関する信号が含まれる。また、室内制御部29は、室外機30と、通信線90を介して、制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等の各種情報のやりとりを行う。
【0031】
室内制御部29は、BLE通信により、他の室内機20や、無線端末60に、自身の固有情報を送信することができる。また、室内制御部29は、BLE通信により、他の室内機20が送信した他の室内機20の固有情報を受信することができる。また、室内制御部29は、他の室内機20にBLE通信の電磁波を送信し、これに対するリプライ通知を受信することにより、他の室内機20との間で、BLE通信の電磁波の往復時間を測定することができる。
【0032】
図3に示すように、室内制御部29は、機能ブロックとして、取得部291を有する。
【0033】
取得部291は、BLE通信によって送受信する電磁波に関する情報と、BLE通信を行った室内機20の固有情報と、を取得する。電磁波に関する情報は、電波強度、又は往復時間を含む。取得部291は、取得した、BLE通信によって送受信する電磁波に関する情報と、BLE通信を行った室内機20の固有情報とを、BLE通信情報80として、室内記憶部28に記憶する。電磁波に関する情報が電波強度である場合、室内機20のBLE通信情報80には、他の室内機20から受信した他の室内機20の固有情報と、当該他の室内機20から受信したBLE通信の電磁波の電波強度と、が対応付けて記憶される。電磁波に関する情報が往復時間である場合、室内機20のBLE通信情報80には、他の室内機20から受信した他の室内機20の固有情報と、当該他の室内機20との間でかかるBLE通信の電磁波の往復時間と、が対応付けて記憶される。本実施形態では、特に断らない限り、電磁波に関する情報として、電波強度を用いる。
【0034】
図4は、建物BL内に室内機20が設置されている様子を示すための建物BLの断面図である。
図4では、フロアAに、4台の室内機20a~20dが設置されている。フロアAの階下のフロアBに、3台の室内機20e~20gが設置されている。以下の表1は、室内機20aが取得したBLE通信情報80の一例である。以下、特に断らない限り、BLE通信情報80は、電波強度の降順にソートされているとする。
【0035】
【0036】
図4に示すように、室内機20aと室内機20b~20dとの距離は、室内機20b、室内機20c、及び室内機20dの順に近い。そのため、表1では、室内機20aが受信するBLE通信の電磁波の電波強度は、室内機20b、室内機20c、及び室内機20dの順に大きい。また、
図4に示すように、室内機20aと、室内機20f~20gとは、設置されているフロアが異なる。そのため、表1では、室内機20aは、室内機20f~20gから送信されるBLE通信の電磁波を受信していない。また、
図4に示すように、室内機20aと室内機20eとの近くには、階段(空洞)が設けられている。異なるフロアに設置された室内機20間であっても、近くに階段等の空洞がある場合には、反射や回折により、BLE通信の電磁波が届く場合がある。そのため、表1では、室内機20aは、電波強度は小さいが、室内機20eから送信されるBLE通信の電磁波を受信している。
【0037】
(2-1-2)室外機
室外機30は、建物BLの屋上等、建物BLの外に設置される。
図2に示すように、室外機30は、主として、圧縮機31と、流路切換弁32と、室外熱交換器33と、室外膨張弁34と、アキュムレータ35と、室外ファン36と、液側閉鎖弁37aと、ガス側閉鎖弁37bと、室外記憶部38と、室外制御部39と、室外温度センサ等の各種センサと、を有する。また、室外機30は、吸入管54aと、吐出管54bと、ガス冷媒配管54c,54eと、液冷媒配管54dと、を有する。
【0038】
吸入管54aは、流路切換弁32と圧縮機31の吸入側とを接続する。吸入管54aには、アキュムレータ35が設けられる。吐出管54bは、圧縮機31の吐出側と流路切換弁32とを接続する。ガス冷媒配管54cは、流路切換弁32と室外熱交換器33のガス側とを接続する。液冷媒配管54dは、室外熱交換器33の液側と液冷媒連絡配管51とを接続する。液冷媒配管54dには、室外膨張弁34が設けられている。液冷媒配管54dと液冷媒連絡配管51との接続部には、液側閉鎖弁37aが設けられている。ガス冷媒配管54eは、流路切換弁32とガス冷媒連絡配管52とを接続する。ガス冷媒配管54eとガス冷媒連絡配管52との接続部には、ガス側閉鎖弁37bが設けられている。液側閉鎖弁37a及びガス側閉鎖弁37bは、手動で開閉される弁である。
【0039】
図2に示すように、圧縮機31は、吸入管54aから低圧の冷媒を吸入し、圧縮機構(図示せず)によって冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を吐出管54bに吐出する。
【0040】
圧縮機31は、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積圧縮機である。圧縮機31の圧縮機構は、圧縮機モータ31mによって駆動される。圧縮機モータ31mの回転数は、インバータにより制御可能である。
【0041】
流路切換弁32は、冷媒の流路を、第1状態と第2状態との間で切り換える機構である。流路切換弁32は、第1状態のとき、
図2の流路切換弁32内の実線で示されるように、吸入管54aをガス冷媒配管54eと連通させ、吐出管54bをガス冷媒配管54cと連通させる。流路切換弁32は、第2状態のとき、
図2の流路切換弁32内の破線で示されるように、吸入管54aをガス冷媒配管54cと連通させ、吐出管54bをガス冷媒配管53eと連通させる。
【0042】
流路切換弁32は、冷房運転時には、冷媒の流路を第1状態とする。このとき、圧縮機31から吐出される冷媒は、冷媒回路50内を、室外熱交換器33、室外膨張弁34、室内膨張弁23、室内熱交換器21の順に流れ、圧縮機31へと戻る。第1状態では、室外熱交換器33は凝縮器として機能し、室内熱交換器21は蒸発器として機能する。
【0043】
流路切換弁32は、暖房運転時には、冷媒の流路を第2状態とする。このとき、圧縮機31から吐出される冷媒は、冷媒回路50内を、室内熱交換器21、室内膨張弁23、室外膨張弁34、室外熱交換器33の順に流れ、圧縮機31へと戻る。第2状態では、室外熱交換器33は蒸発器として機能し、室内熱交換器21は凝縮器として機能する。
【0044】
室外熱交換器33は、室外熱交換器33を流れる冷媒と、建物BLの外の空気との間で熱交換を行わせる。室外熱交換器33は、例えば、複数の伝熱フィンと、複数の伝熱管と、を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
【0045】
室外膨張弁34は、液冷媒配管54dを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。
図2に示すように、室外膨張弁34は、液冷媒配管54dに設けられる。本実施形態では、室外膨張弁34は、開度調節が可能な電子膨張弁である。
【0046】
アキュムレータ35は、流入する冷媒を、ガス冷媒と液冷媒とに分ける気液分離機能を有する容器である。アキュムレータ35に流入する冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とに分離され、上部空間に集まるガス冷媒が、圧縮機31へと流入する。
【0047】
室外ファン36は、室外熱交換器33に、建物BLの外の空気を供給するファンである。室外ファン36は、例えば、プロペラファン等の軸流ファンである。
図2に示すように、室外ファン36は、室外ファンモータ36mによって駆動される。室外ファンモータ36mの回転数は、インバータにより制御可能である。
【0048】
室外記憶部38は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。室外記憶部38は、室外制御部39が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。
【0049】
室外制御部39は、CPUやGPU等のプロセッサである。
図3に示すように、室外制御部39は、圧縮機モータ31m、流路切換弁32、室外膨張弁34、室外ファンモータ36m、及び室外記憶部38を含む、室外機30が有する各種機器に電気的に接続されている。室外制御部39は、室外記憶部38に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行うことで、室外機30を構成する各部の動作を制御する。また、室外制御部39は、プログラムに従って、演算結果を室外記憶部38に書き込んだり、室外記憶部38に記憶されている情報を読み出したりすることができる。室外制御部39は、室内機20と、通信線90を介して、制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等の各種情報のやりとりを行う。また、室外制御部39は、コントローラ40と、通信線91を介して、制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等の各種情報のやりとりを行う。
【0050】
(2-1-3)コントローラ
コントローラ40は、1つ又は複数の冷媒系統RSを集中して制御する、いわゆるエッジと呼ばれる装置である。コントローラ40は、例えば、建物BLのサーバ室等に設置されている。
図3に示すように、コントローラ40は、主として、記憶部41と、通信部44と、制御部49と、を有する。
【0051】
記憶部41は、RAM、ROM、及びHDD等の記憶装置である。記憶部41は、制御部49が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。記憶部41は、空気調和システム2を構成する、すべての室内機20の固有情報を記憶する。
【0052】
通信部44は、ネットワークNWを介して管理装置10と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器や、通信線91を介して室外機30と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器を含む。
【0053】
制御部49は、CPUやGPU等のプロセッサである。制御部49は、記憶部41に記憶されているプログラムを読み込んで実行し、コントローラ40の様々な機能を実現する。また、制御部49は、プログラムに従って、演算結果を記憶部41に書き込んだり、記憶部41に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0054】
制御部49は、管理装置10から受信する制御信号や、室内機20を介して操作用リモコンから受信する制御信号や、各種センサの計測信号等に基づいて、室内制御部29と室外制御部39の動作を制御する。
【0055】
制御部49は、例えば、空気調和システム2を構成する、すべての室内機20から、固有情報を取得し、記憶部41に記憶する。
【0056】
また、制御部49は、例えば、管理装置10から、ある室内機20のBLE通信情報80を要求されると、指定された室内機20にBLE通信情報80を取得させ、当該BLE通信情報80を、管理装置10に送信する。
【0057】
また、制御部49は、例えば、操作用リモコンから、室内機20を介して、冷房運転を行わせる旨の指示を受けると、流路切換弁32を、第1状態に切り換える。そして、制御部49は、室内熱交換器21内の冷媒温度が、設定温度に応じた目標冷媒温度となるように、圧縮機31の回転数、室外熱交換器33を流れる冷媒の温度、室外膨張弁34の開度、及び室内膨張弁23の開度等を調節する。
【0058】
また、制御部49は、例えば、操作用リモコンから、室内機20を介して、暖房運転を行わせる旨の指示を受けると、流路切換弁32を、第2状態に切り換える。そして、制御部49は、室内熱交換器21内の室内冷媒温度が、設定温度に応じた目標冷媒温度となるように、圧縮機31の回転数、室外熱交換器33を流れる冷媒の温度、室外膨張弁34の開度、及び室内膨張弁23の開度等を調節する。
【0059】
(2-2)管理装置
管理装置10は、クラウド上に設置されるコンピュータである。管理装置10は、空気調和システム2から収集する各種情報を用いて、空気調和システム2を管理する。なお、管理装置10は、建物BL以外の建物に設置されている空気調和システムからも各種情報を収集し、空気調和システム2を含む複数の空気調和システムを管理してもよい。
【0060】
図5は、管理装置10、及び無線端末60の機能ブロック図である。
図5に示すように、管理装置10は、主として、記憶部11と、入力部12と、表示部13と、通信部14と、制御部19と、を有する。
【0061】
(2-2-1)記憶部
記憶部11は、RAM、ROM、及びHDD等の記憶装置である。記憶部11は、制御部19が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。記憶部11は、空気調和システム2を構成する、すべての室内機20の固有情報を記憶している。また、記憶部11は、BLE通信情報80や、後述する位置情報81、及びアドレス登録情報82を記憶している。
【0062】
(2-2-2)入力部
入力部12は、キーボード、及びマウスである。管理装置10に対する各種命令や、各種情報は、入力部12を介して入力することができる。
【0063】
管理装置10の管理者は、室内機20の設置箇所の位置情報81として、室内機20が設置されたフロアと、当該フロア内の所定の点を基準とした室内機20の設置箇所の(2次元)座標と、当該設置箇所のアドレス(地番)と、を対応付けた情報を、入力部12を介して記憶部11に記憶する。ここで、「アドレス」は、管理者が適宜決定する。以下の表2は、
図4のように、室内機20a~20gが設置された場合の位置情報81の一例である。以下、特定の設置箇所を示すために、「アドレス」を用いて、設置箇所「A-1」等と記載することがある。
【0064】
【0065】
図4に示すように、フロアAには室内機20の設置箇所が4つあり、フロアBには室内機20の設置箇所が3つあるため、表2では、7つのレコードが記憶されている。なお、管理装置10が、後述するアドレス登録処理を行う前は、例えば、アドレス「A-1」に、どの室内機20が設置されているか(どの固有情報を有する室内機20が設置されているか)は、不明である。
【0066】
(2-2-3)表示部
表示部13は、モニターである。表示部13には、管理装置10に各種情報を入力するための入力画面や、記憶部11に記憶された各種情報等を表示することができる。
【0067】
(2-2-4)通信部
通信部14は、ネットワークNWを介して、空気調和システム2と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器である。
【0068】
(2-2-5)制御部
制御部19は、CPUやGPU等のプロセッサである。制御部19は、記憶部11に記憶されているプログラムを読み込んで実行し、管理装置10の様々な機能を実現する。また、制御部19は、プログラムに従って、演算結果を記憶部11に書き込んだり、記憶部11に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0069】
制御部19は、例えば、コントローラ40を介して、空気調和システム2を構成する、すべての室内機20の固有情報を取得し、記憶部11に記憶する。
【0070】
図5に示すように、制御部19は、主として、アドレス登録処理と、グループ設定処理と、を行う。
【0071】
(2-2-5-1)アドレス登録処理
アドレス登録処理は、建物BL内の複数の設置箇所に設置されている複数の室内機20に対して、設置箇所の位置情報81と、当該設置箇所に設置されている室内機20の固有情報と、を対応付けて登録する処理である。建物BL内に、室内機20が設置された直後は、管理装置10は、位置情報81により、室内機20の設置箇所を把握しているが、各設置箇所に、どの室内機20が設置されているかを把握していない。そのため、管理装置10は、アドレス登録処理を実行する。言い換えると、管理装置10は、位置情報81の各レコードに、設置されている室内機20の固有情報を追加した、アドレス登録情報82を作成する。
【0072】
図6は、アドレス登録処理の一例を示す図である。
図6に示すようにアドレス登録処理は、6つの工程を有する。
【0073】
第1工程は、同一のフロアに設置されている室内機20を選定する工程である。制御部19は、第1工程を、後述するグループ設定処理を実行することによって実現する。
図6の第1工程では、制御部19は、
図4におけるフロアAに設置された室内機20a~20dを、同一のフロアに設置されている室内機20(同一のグループに属する室内機20)として選定している。
【0074】
第2工程は、第1工程で選定した各室内機20間の距離を、推定する工程である。制御部19は、例えば、第1工程で選定した各室内機20のBLE通信情報80を取得し、電波強度や往復時間に基づいて、各室内機20間の距離を推定する。
図6の第2工程では、制御部19は、室内機20aと室内機20bとの距離を3.3mと、室内機20aと室内機20cとの距離を4.2mと、室内機20aと室内機20dとの距離を6.0mと、推定している。
【0075】
第3工程は、第1工程で選定した各室内機20の相対位置を推定する工程である。制御部19は、例えば、第2工程で推定した各室内機20間の距離に基づいて、各室内機20の相対位置を推定する。
【0076】
第4工程は、第1工程で選定した複数の室内機20の内の1台と、複数の設置箇所の1つと、を対応付けて登録する工程である。制御部19は、例えば、建物BL内の作業者3から、無線端末60を介して、ある1つの設置箇所に設置された室内機20の固有情報を取得する。
図6の第4工程では、制御部19は、室内機20aと、設置箇所「A-1」と、を対応付けて登録している。以下の表3は、この段階におけるアドレス登録情報82を示している。
【0077】
【0078】
第5工程は、第4工程で登録した室内機20以外の各室内機20と、第4工程で登録した設置箇所以外の各設置箇所との距離が、全体として最小となるような、残りの室内機20の配置を決定する。制御部19は、例えば、最適化問題を解くことにより、残りの室内機20の配置を決定する。
【0079】
第6工程は、各設置箇所と、各設置箇所に最も近い位置に配置された室内機20とを、対応付けて登録する。
図6の第6工程では、制御部19は、室内機20aと設置箇所「A-1」とを、室内機20bと設置箇所「A-2」とを、室内機20cと設置箇所「A-3」とを、室内機20dと設置箇所「A-4」とを、を対応付けて登録している。以下の表4は、第6工程を終えた後のアドレス登録情報82を示している。
【0080】
【0081】
(2-2-5-2)グループ設定処理
グループ設定処理は、建物BL内の同一のフロアに設置されている室内機20を、同一のグループに設定する処理である。ここでは、
図4のフロアAに設置されている室内機20a~20dを、同一のグループに設定する場合について説明する。
【0082】
まず、制御部19は、基点となる室内機20(第1機器)を選定する。具体的には、制御部19は、基点となる室内機20の固有情報と、基点となる室内機20が設置されているフロアに関する情報とを、建物BL内の作業者3から、無線端末60を介して取得する。制御部19は、取得した固有情報を有する室内機20を、基点となる室内機20として選定する。ここでは、制御部19は、作業者3から、室内機20aの固有情報と、室内機20aがフロアAに設置されているという情報(建物BLのフロアに関する情報)とを取得し、室内機20a(第1機器)を、基点となる室内機20として選定する。
【0083】
制御部19は、室内機20aを選定すると、室内機20aと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20(第2機器)を選定する。具体的には、制御部19は、室内機20aからBLE通信情報80を取得し、当該BLE通信情報80と、室内機20aの固有情報とを、を対応付けて記憶する。そして、制御部19は、電波強度、又は往復時間に、所定の閾値Tを適用して、BLE通信情報80から室内機20を選定する。閾値Tは、建物BL内の異なるフロアの間でBLE通信を行う際の、到達可能な電波強度、又は電磁波の往復に要する往復時間、に基づいて決定される。閾値Tは、例えば、建物BL内の異なるフロアの間でBLE通信を行う際の、到達可能な電波強度の最大値である。このとき、制御部19は、BLE通信情報80から、電波強度が閾値Tより大きい室内機20を選定する。また、閾値Tは、例えば、建物BL内の異なるフロアの間でBLE通信を行う際の、電磁波の往復に要する往復時間の最小値である。このとき、制御部19は、BLE通信情報80から、往復時間が閾値Tより小さい室内機20を選定する。閾値Tは、建物BLの構造、又は建物BL内の各フロアの階高、に基づいて決定してもよい。以下の表5は、室内機20aから取得したBLE通信情報80に、電波強度と閾値Tとを比較した列を加えたものである。ここでは、制御部19は、電波強度が閾値Tより最も大きい室内機20b(第2機器)を選定する。
【0084】
【0085】
制御部19は、室内機20bを選定すると、室内機20bと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20(第3機器)を選定する。具体的には、制御部19は、室内機20bからBLE通信情報80を取得し、当該BLE通信情報80と、室内機20bの固有情報とを、を対応付けて記憶する。そして、制御部19は、電波強度、又は往復時間に、所定の閾値Tを適用して、BLE通信情報80から室内機20を選定する。ここで、制御部19は、室内機20を選定していく過程において、過去に選定した室内機20を再度選定しない。以下の表6は、室内機20bから取得したBLE通信情報80に、各レコードの電波強度と、閾値Tとを比較した列を加えたものである。ここでは、制御部19は、電波強度が閾値Tより最も大きい室内機20aを過去に選定しているため、室内機20aを選定しない。制御部19は、次に電波強度が閾値Tより大きい室内機20c(第3機器)を選定する。
【0086】
【0087】
制御部19は、室内機20cを選定すると、室内機20cと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20を選定する。具体的には、制御部19は、室内機20cからBLE通信情報80を取得し、当該BLE通信情報80と、室内機20cの固有情報とを、を対応付けて記憶する。そして、制御部19は、電波強度、又は往復時間に、所定の閾値Tを適用して、BLE通信情報80から室内機20を選定する。以下の表7は、室内機20cから取得したBLE通信情報80に、各レコードの電波強度と、閾値Tとを比較した列を加えたものである。ここでは、制御部19は、電波強度が閾値Tより最も大きい室内機20dを選定する。
【0088】
【0089】
制御部19は、室内機20dを選定すると、室内機20dと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20を選定する。具体的には、制御部19は、室内機20dからBLE通信情報80を取得し、当該BLE通信情報80と、室内機20dの固有情報とを、を対応付けて記憶する。そして、制御部19は、電波強度、又は往復時間に、所定の閾値Tを適用して、BLE通信情報80から室内機20を選定する。以下の表8は、室内機20dから取得したBLE通信情報80に、各レコードの電波強度と、閾値Tとを比較した列を加えたものである。ここでは、制御部19は、電波強度が閾値Tより大きい室内機20cを過去に選定しているため、室内機20cを選定しない。制御部19は、選定できる室内機20がなくなったため、室内機20aに基づく室内機20の選定を終了する。
【0090】
【0091】
制御部19は、位置情報81から算出される建物BL内のフロアA(第1フロア)に設置された室内機20の台数と、フロアAに設置されている室内機20aに基づいて選定した、室内機20aを含む室内機20の台数と、が一致したときに、室内機20aに基づく室内機20の選定を終了してもよい。例えば、制御部19は、表4の位置情報81に示すように、フロアAに設置された室内機20の台数が4台であり、室内機20aに基づいて選定した、室内機20aを含む室内機20の台数が、室内機20dを選定した時点で4台となるため、室内機20dを選定した時点で、室内機20aに基づく室内機20の選定を終了してもよい。
【0092】
最後に、制御部19は、室内機20aに基づいて選定した、室内機20b、室内機20c、及び室内機20dを、室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20として、室内機20aと同一のグループに設定する。これにより、制御部19は、
図4のフロアAに設置されている、すべての室内機20a~20dを選定したことになる。制御部19は、例えば、以下の表9のように、無線端末60から取得した室内機20aがフロアAに設置されているという情報と、室内機20aと同一のグループに属する室内機20a~20dの固有情報とを、対応付けて記憶部11に記憶する。
【0093】
【0094】
制御部19は、基点となる室内機20aと同一のグループに属する室内機20a~20dの固有情報を、無線端末60に送信してもよい。
【0095】
制御部19は、仮に、表5に示すように、室内機20aから取得するBLE通信情報80に列挙されているすべての室内機20を、室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20として選定すると、室内機20aとは異なるフロアに設置されている室内機20eも、室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20として選定することになる。制御部19は、電波強度が閾値Tより大きい室内機20を、繰り返し選定していくことにより、室内機20aとは異なるフロアに設置されている室内機20eを、室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20として選定することを防止することができる。
【0096】
(2-3)無線端末
無線端末60は、建物BL内の作業者3が携帯する端末である。本実施形態では、無線端末60は、スマートフォンである。しかし、これに限定されず、無線端末60はタブレット等であってもよい。
図5に示すように、無線端末60は、主として、記憶部61と、入力部62と、表示部63と、第1通信部64aと、第2通信部64bと、制御部69と、を有する。
【0097】
記憶部61は、RAM、ROM、及びHDD等の記憶装置である。記憶部61は、制御部69が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。
【0098】
入力部62は、タッチパネルである。無線端末60に対する各種命令や、各種情報は、入力部62を介して入力することができる。
【0099】
表示部63は、タッチパネルである。言い換えると、タッチパネルは、入力部62と表示部63とを兼ねる。表示部63には、無線端末60に各種情報を入力するための入力画面や、記憶部61に記憶された各種情報等を表示することができる。
【0100】
第1通信部64aは、ネットワークNWを介して管理装置10と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器である。
【0101】
第2通信部64bは、BLE通信を行うためのネットワークインターフェイス機器である。第2通信部64bは、BLE通信の電磁波を送受信すると共に、受信したBLE通信の電磁波の電波強度を測定する機能を有する。
【0102】
制御部69は、CPUやGPU等のプロセッサである。制御部69は、記憶部61に記憶されているプログラムを読み込んで実行し、無線端末60の様々な機能を実現する。また、制御部69は、プログラムに従って、演算結果を記憶部61に書き込んだり、記憶部61に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0103】
制御部69は、例えば、BLE通信により室内機20から受信した固有情報と、受信したBLE通信の電磁波の電波強度と、を対応付けた電波強度リストを、表示部63に表示する。
図4の作業者3は、例えば、以下の表10のような電波強度リストを、表示部63に表示する。以下、特に断らない限り、電波強度リストは、電波強度の降順にソートされているとする。
【0104】
【0105】
図4では、作業者3は、室内機20aの真下にいるため、作業者3から最も近い室内機20aから受信するBLE通信の電磁波の電波強度が最も強い。言い換えると、作業者3は、室内機20の真下で電波強度リストを表示し、電波強度が最も強い室内機20に着目することにより、作業者3の真上にある室内機20の固有情報を把握することができる。
【0106】
制御部69は、例えば、表示部63に表示した電波強度リストの内の1つの室内機20が、作業者3により、入力部62を用いてタップ(選定)されると、タップされた室内機20の固有情報を、管理装置10に送信する。言い換えると、作業者3は、基点としたい室内機20の真下に移動し、表示部63に表示される電波強度リストの内の最も電波強度が強い室内機20をタップすることにより、作業者3の真上の室内機20の固有情報を、基点となる室内機20の固有情報として、管理装置10に送信することができる。
【0107】
また、制御部69は、作業者3により、入力部62を用いて、建物BLのフロアに関する情報が入力されると、入力された建物BLのフロアに関する情報を、管理装置10に送信する。言い換えると、作業者3は、基点となる室内機20が設置されているフロアに関する情報を、管理装置10に送信することができる。
【0108】
また、制御部69は、基点となる室内機20と同一のグループに属する室内機20の固有情報を、管理装置10から取得し、表示部63に表示してもよい。
【0109】
(3)処理
グループ設定処理の一例を、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0110】
ステップS1に示すように、管理装置10は、無線端末60から、作業者3によって選定された室内機20の固有情報を取得する。
【0111】
ステップS1を終えると、ステップS2に示すように、管理装置10は、無線端末60から取得した室内機20を、基点となる室内機20として選定する。
【0112】
ステップS2を終えると、ステップS3に示すように、管理装置10は、基点となる室内機20からBLE通信情報80を取得する。
【0113】
ステップS3を終えると、ステップS4に示すように、管理装置10は、BLE通信情報80から、過去に選定した室内機20を再度選定せずに、電波強度が閾値Tより大きい室内機20を選定できるか否かを判定する。管理装置10が、室内機20を選定できる場合、ステップS5に進む。管理装置10が、室内機20を選定できない場合、ステップS6に進む。
【0114】
ステップS4からステップS5に進むと、管理装置10は、BLE通信情報80から室内機20を選定する。その後、ステップS3に戻り、管理装置10は、選定した室内機20からBLE通信情報80を取得する。
【0115】
ステップS4からステップS6に進むと、管理装置10は、基点となる室内機20に基づいて選定したすべての室内機20を、基点となる室内機20と同一のフロアに設置されている室内機20として、基点となる室内機20と同一のグループに設定し、処理を終了する。
【0116】
(4)特徴
(4-1)
従来、建物内における無線端末の位置を推定する技術がある。建物内の複数の設置箇所に設置されている複数の室内機に対して、設置箇所の位置情報と、当該設置箇所に設置されている室内機の固有情報と、を対応付けて登録する場合、登録方法によっては、同一のフロアに設置されている室内機を把握しておく必要がある。しかし、従来のように、建物内における無線端末の位置を推定する技術では、同一のフロアに設置されている室内機を把握することができない、という課題がある。
【0117】
本実施形態の機器選定システム1は、複数の室内機20と、管理装置10と、を備える。複数の室内機20は、建物BL内に設置されている、室内機20a、室内機20b、及び室内機20cを含む。管理装置10は、室内機20の固有情報を記憶し、室内機20と通信可能である。室内機20は、通信部27と、取得部291と、を有する。通信部27は、互いにBLE通信を行う。取得部291は、BLE通信によって送受信する電磁波に関する情報と、BLE通信を行った室内機20の固有情報と、を取得する。管理装置10は、基点となる室内機20aを選定すると、室内機20aと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20bを選定する。管理装置10は、室内機20bを選定すると、室内機20bと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20cを選定する。管理装置10は、この操作を繰り返すことにより、室内機20aに基づいて選定した室内機20b及び室内機20cを含む室内機20を、室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20として、室内機20aと同一のグループに設定する。
【0118】
機器選定システム1では、管理装置10は、基点となる室内機20aを選定すると、室内機20aと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20bを選定する。管理装置10は、室内機20bを選定すると、室内機20bと互いにBLE通信を行った室内機20の中から、電磁波に関する情報に基づいて、室内機20cを選定する。管理装置10は、この操作を繰り返すことにより、室内機20aに基づいて選定した室内機20b及び室内機20cを含む室内機20を、室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20として、室内機20aと同一のグループに設定する。その結果、機器選定システム1は、基点となる室内機20aを選定することにより、選定した室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20を、把握することができる。
【0119】
(4-2)
本実施形態の機器選定システム1では、管理装置10は、室内機20aと同一のグループに属する室内機20が取得した電磁波に関する情報と、室内機20aと同一のグループに属する室内機20の固有情報と、を対応付けて記憶する。
【0120】
(4-3)
本実施形態の機器選定システム1では、電磁波に関する情報は、電波強度、又は往復時間を含む。管理装置10は、電波強度、又は往復時間に、所定の閾値Tを適用して、室内機20を選定する。
【0121】
(4-4)
本実施形態の機器選定システム1では、閾値Tは、建物BL内の異なるフロアの間でBLE通信を行う際の、到達可能な電波強度、又は電磁波の往復に要する往復時間、に基づいて決定される。
【0122】
その結果、機器選定システム1は、建物BL内の異なるフロアに設置された2つの室内機20が、同一のグループに属することを防止することができる。
【0123】
(4-5)
本実施形態の機器選定システム1では、閾値Tは、建物BLの構造、又は建物BL内の各フロアの階高、に基づいて決定される。
【0124】
(4-6)
本実施形態の機器選定システム1では、管理装置10は、室内機20aに基づいて室内機20を選定していく過程において、過去に選定した室内機20を再度選定しない。その結果、機器選定システム1は、効率的に室内機20を選定することができる。
【0125】
(4-7)
本実施形態の機器選定システム1では、管理装置10は、選定できる室内機20がなくなったときに、室内機20aに基づく室内機20の選定を終了する。
【0126】
(4-8)
本実施形態の機器選定システム1では、管理装置10は、室内機20の位置情報81をさらに記憶する。管理装置10は、位置情報81から算出される建物BL内のフロアAに設置された室内機20の台数と、フロアAに設置されている室内機20aに基づいて選定した、室内機20aを含む室内機20の台数と、が一致したときに、室内機20aに基づく室内機20の選定を終了する。
【0127】
(4-9)
本実施形態の機器選定システム1は、無線端末60をさらに備える。無線端末60は、入力部62と、表示部63と、を有する。無線端末60は、管理装置10と通信可能である。管理装置10は、入力部62を用いて選定された室内機20aに基づいて、室内機20aと同一の第1グループに属する室内機20を選定する。表示部63は、管理装置10から取得した、第1グループに属する室内機20の固有情報を表示する。
【0128】
その結果、機器選定システム1では、無線端末60を持つ作業者3は、室内機20aを選定することにより、室内機20aと同一のフロアに設置されている室内機20を把握することができる。
【0129】
(4-10)
本実施形態の機器選定システム1では、管理装置10は、入力部62を用いて入力された建物BLのフロアに関する情報と、第1グループに属する室内機20の固有情報と、を対応付けて記憶する。
【0130】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
本実施形態では、機器選定システム1によって選定される機器は、空気調和システム2を構成する室内機20であった。しかし、機器は、室内機20に限定されず、本実施形態の室内機20と同様の通信機能を有する、IoT機器等の通信機器であってもよい。
【0131】
(5-2)変形例1B
本実施形態では、アドレス登録処理やグループ設定処理は、管理装置10によって実行された。しかし、アドレス登録処理やグループ設定処理は、本実施形態の管理装置10と同様の機能を備えたコントローラ40によって実行されてもよい。
【0132】
(5-3)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0133】
1 機器選定システム
10 管理装置
20,20a~20c 室内機(機器、第1機器~第3機器)
27 通信部
291 取得部
60 無線端末
62 入力部
63 表示部
T 閾値
81 位置情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0134】