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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149144
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】積層体及び包装袋
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20231005BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20231005BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B32B27/32 C
B65D65/40 D
B65D75/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057556
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】石川 峻
(72)【発明者】
【氏名】河野 真一朗
(72)【発明者】
【氏名】高杉 祐也
(72)【発明者】
【氏名】中田 清
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E067AA01
3E067AA03
3E067AA05
3E067AB01
3E067AB81
3E067AB83
3E067BA12
3E067BA31
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3E067EA06
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3E067EE02
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD07
3E067GD10
3E086AB01
3E086AD01
3E086AD08
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA24
3E086BA33
3E086BB31
3E086BB51
3E086BB62
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA28
3E086CA29
3E086DA02
4F100AA17D
4F100AA37D
4F100AB17D
4F100AB20D
4F100AK04A
4F100AK04C
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4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】リサイクル性に優れ、レーザー照射により引裂き性を良好に向上できる積層体を提供する。
【解決手段】延伸基材とシーラント層とを少なくとも備える積層体であって、延伸基材は、ポリエチレンを主成分として含有し、シーラント層は、第1の層と第2の層とを少なくとも備え、第1の層が、エチレン/α-オレフィン共重合体を主成分として含有し、第1の層の融点が、112℃以下であり、第2の層が、ポリエチレンを主成分として含有し、第2の層の融点が、114℃以上であり、積層体の一方の表面層が、第1の層であり、積層体は、延伸基材とシーラント層との間に、レーザーを吸収して発熱する発熱物質を含有する発熱層をさらに備える、積層体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸基材とシーラント層とを少なくとも備える積層体であって、
前記延伸基材は、ポリエチレンを主成分として含有し、
前記シーラント層は、
第1の層と第2の層とを少なくとも備え、
前記第1の層が、エチレン/α-オレフィン共重合体を主成分として含有し、
前記第1の層の融点が、112℃以下であり、
前記第2の層が、ポリエチレンを主成分として含有し、
前記第2の層の融点が、114℃以上であり、
前記積層体の一方の表面層が、前記第1の層であり、
前記積層体は、前記延伸基材と前記シーラント層との間に、レーザーを吸収して発熱する発熱物質を含有する発熱層をさらに備える、
積層体。
【請求項2】
前記第1の層の密度が0.915g/cm3以下であり、
前記第2の層の密度が0.916g/cm3以上である、
請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記発熱物質が、金属酸化物、ビスマス系化合物、モリブデン、モリブデン系化合物、銅、銅系化合物及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記発熱物質が、金属酸化物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記発熱層が、前記延伸基材上に設けられた印刷層である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記発熱層と前記シーラント層との間に、接着層をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記積層体全体におけるポリエチレンの含有割合が、80質量%以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体を備える包装袋であって、
前記包装袋が、
内容物を収容する収容部と、
前記積層体の前記シーラント層同士が接合されているシール部と、
前記積層体の変質部を含む易開封線と
を有し、
前記シール部が、前記収容部を画成する内縁を含み、
前記易開封線が、前記シール部の前記内縁に交わる第1交点及び第2交点を含み、前記包装袋を平面視した場合に前記収容部を横切る線である、
包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
液体及び粉体などの流動性を有する内容物を収容するための包装袋として、包装袋が用いられている。包装袋は、基材及びシーラント層を備える積層体から構成される。例えば、ポリエチレンから構成される樹脂フィルムは、柔軟性及び透明性を有すると共にヒートシール性に優れることから、シーラント層として広く使用されている。また、ポリエステル又はポリアミドから構成される樹脂フィルムは、強度及び耐熱性に優れることから、基材として広く使用されている。
【0003】
近年、環境負荷低減の観点から、包装袋をリサイクルすることが求められている。リサイクルの観点からは、基材とシーラント層とがそれぞれ同種の樹脂材料から構成されること(モノマテリアル化)が好ましい。例えば特許文献1は、基材及びシーラント層をポリエチレンから構成することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-55156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装袋の手による開封を容易化するという観点から、包装袋に易開封線が形成されることがある。本開示者らは、積層体にレーザーを照射して変質部を形成することにより、易開封線を形成することを検討した。変質部(易開封線)に沿って積層体を容易に引き裂くことができると考えられる。
【0006】
シーラント層を構成する樹脂材料とは異種の樹脂材料を基材が含有する場合、基材には吸収されるがシーラント層には吸収されないレーザーを選択することにより、選択的に基材に変質部を形成できる。しかしながら、リサイクルの観点から、基材とシーラント層とをそれぞれ同種の樹脂材料であるポリエチレンから構成する場合、基材がレーザーを充分に吸収できず、基材に変質部が良好に形成されない傾向にある。したがって、レーザー照射による引裂き性の向上が充分ではなかった。
【0007】
本開示の一つの課題は、リサイクル性に優れ、レーザー照射により引裂き性を良好に向上できる積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の積層体は、延伸基材とシーラント層とを少なくとも備え、延伸基材は、ポリエチレンを主成分として含有し、シーラント層は、第1の層と第2の層とを少なくとも備え、第1の層が、エチレン/α-オレフィン共重合体を主成分として含有し、第1の層の融点が、112℃以下であり、第2の層が、ポリエチレンを主成分として含有し、第2の層の融点が、114℃以上であり、積層体の一方の表面層が、第1の層であり、積層体は、延伸基材とシーラント層との間に、レーザーを吸収して発熱する発熱物質を含有する発熱層をさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、リサイクル性に優れ、レーザー照射により引裂き性を良好に向上できる積層体を提供することができる。本開示の積層体を用いることにより、リサイクル性及び開封性に優れる包装袋を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
図2図2は、シーラント層の一実施形態を示す模式断面図である。
図3図3は、シーラント層の一実施形態を示す模式断面図である。
図4図4は、シーラント層の一実施形態を示す模式断面図である。
図5図5は、包装袋の一実施形態を示す正面図である。
図6図6は、易開封線の貫通孔の一例を示す断面図である。
図7図7は、変質部の幅の測定方法を説明するための図である。
図8図8は、易開封線の一例を示す正面図である。
図9図9は、包装袋の一実施形態を示す正面図である。
図10図10は、包装袋の一実施形態を示す正面図である。
図11図11は、包装袋の一実施形態を示す正面図である。
図12図12は、引裂き強度を測定するための試験片の正面図である。
図13図13は、積層体の断面形状の観察画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施でき、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さ及び形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
以下の説明において、登場する各成分(例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン、α-オレフィン、樹脂材料、添加剤及び発熱物質)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
「主成分」とは、層又は基材中に50質量%以上含まれている成分を意味する。
【0013】
[積層体]
本開示の積層体は、延伸基材とシーラント層とを少なくとも備える。
本開示の積層体は、包装材料として好適に用いることができる。
【0014】
延伸基材は、ポリエチレンを主成分として含有する。
シーラント層は、それぞれ後述する第1の層と第2の層とを少なくとも備える。
本開示の積層体は、延伸基材とシーラント層との間に、レーザーを吸収して発熱する発熱物質を含有する発熱層をさらに備える。このような構成により、例えば、積層体にレーザーを照射することで変質部を形成でき、該積層体の手による引裂き性、よって該積層体を備える包装袋の開封性を向上できる。例えば、積層体の縦方向(MD)、横方向(MDに対して垂直な方向、TD)、又はMDに対して斜め45°の方向に沿って変質部を形成することにより、各方向の引裂き性を向上できる。特に、積層体のMD及びTDだけでなく、MDに対して斜め45°の方向における引裂き性も向上できる。
【0015】
一実施形態において、延伸基材を構成する樹脂及びシーラント層を構成する樹脂の主成分がいずれもポリエチレンであることにより、例えば、積層体のリサイクル性を向上できる。
【0016】
本開示の積層体全体におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。これにより、例えば、積層体を用いてモノマテリアル化した包装袋を作製でき、包装袋のリサイクル性を向上できる。ポリエチレンの含有割合の上限は特に限定されないが、99質量%でもよく、95質量%でもよい。
【0017】
<延伸基材>
延伸基材は、ポリエチレンを主成分として含有する。
【0018】
本開示においてポリエチレンとは、全繰返し構成単位中、エチレン由来の構成単位の含有割合が50モル%以上の重合体をいう。この重合体において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。上記含有割合は、NMR法により測定できる。
【0019】
本開示においてポリエチレンは、エチレンの単独重合体でもよく、エチレンと、エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体でもよい。エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテン等の炭素数2以上20以下のα-オレフィン;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルモノマー;並びに(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0020】
本開示においてポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが挙げられる。延伸基材の強度及び耐熱性という観点から、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンが好ましい。延伸基材の製膜性及び加工適性という観点から、直鎖状低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンが好ましい。特に中密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリエチレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。
【0021】
本開示においてポリエチレンの密度は、以下のとおりである。
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.945g/cm3を超える。高密度ポリエチレンの密度の上限は、例えば0.965g/cm3である。中密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.930g/cm3を超えて0.945g/cm3以下である。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3を超えて0.930g/cm3以下である。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3を超えて0.930g/cm3以下である。超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以下である。超低密度ポリエチレンの密度の下限は、例えば0.860g/cm3である。ポリエチレンの密度は、JIS K7112(特にD法(密度勾配管法、23℃))に準拠して測定する。
【0022】
低密度ポリエチレンは、通常、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)である。直鎖状低密度ポリエチレンは、通常、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒又はメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いた重合法によりエチレン及び少量のα-オレフィンを重合して得られるポリエチレンである。
【0023】
密度又は分岐が異なるポリエチレンは、重合方法を適宜選択することによって得られる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒、又はメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合及び高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段又は2段以上の多段で重合を行うことが好ましい。
【0024】
ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.2g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上であり、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは30g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下、特に好ましくは5.0g/10分以下である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210に準拠し、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。MFRの測定温度は、190℃である。
以上のポリエチレンの説明は、他の箇所においても適用できる。
【0025】
ポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性という観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは140℃以下である。Tmは、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる融解ピーク温度である。
【0026】
延伸基材におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上又は95質量%以上である。このような構成により、例えば、積層体のリサイクル性を向上できる。
【0027】
延伸基材は、ポリエチレン以外の樹脂材料を含有してもよい。このような樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン以外のポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
【0028】
延伸基材は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、相溶化剤、顔料及び改質用樹脂が挙げられる。
【0029】
延伸基材は、延伸処理が施された基材である。これにより、例えば、基材の強度、耐熱性及び透明性を向上できる。延伸処理は、一軸延伸でもよく、二軸延伸でもよい。縦方向(基材の流れ方向、MD)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、2倍以上でもよく、3倍以上でもよく、10倍以下でもよく、7倍以下でもよい。横方向(MDに対して垂直な方向、TD)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、2倍以上でもよく、3倍以上でもよく、10倍以下でもよく、7倍以下でもよい。延伸基材は、例えば、縦方向(MD)に延伸処理された一軸延伸フィルムである。
【0030】
延伸基材は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。延伸基材は、ポリエチレンを主成分として含有するポリエチレン層を1層備えてもよく、2層以上備えてもよい。多層構造を有するポリエチレン基材は、例えば、強度、耐熱性、印刷適性及び延伸適性のバランスに優れるという観点から好ましい。多層構造を有するポリエチレン基材の場合のポリエチレン層の層数は、2層以上でもよく、3層以上でもよく、7層以下でもよく、5層以下でもよく、例えば、3層、5層又は7層である。
【0031】
ポリエチレン層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上又は95質量%以上である。
【0032】
延伸基材のヘイズ値は、25%以下でもよく、15%以下でもよく、10%以下でもよい。ヘイズ値のその下限値は、0.1%又は1%でもよい。延伸基材のヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定する。
【0033】
延伸基材の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、積層体の強度及び耐熱性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、積層体の加工適性を向上できる。
【0034】
延伸基材は、例えば、ポリエチレン又はその樹脂組成物をインフレーション成形法又はTダイ成形法等により製膜してフィルムを作製した後、該フィルムを延伸することにより作製できる。インフレーション成形法によれば、製膜と延伸とを同時に行うことができる。延伸基材は、一実施形態において、共押出樹脂フィルムである。延伸基材は、一実施形態において、ポリエチレン層を構成する2以上の材料を共押出インフレーション法により共押出製膜し、さらに延伸処理して得られた樹脂フィルムである。
【0035】
延伸基材には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、延伸基材と他の層との密着性を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ処理、オゾン処理、酸素ガス及び/又は窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理;並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
【0036】
多層構造を有するポリエチレン基材として、以下の例が挙げられる。
(1)中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、この順に備える基材;
(2)中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、この順に備える基材;
(3)中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、直鎖状低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層とを、この順に備える基材;
(4)中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層とを、この順に備える基材;
(5)高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、直鎖状低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層とを、この順に備える基材;
(6)中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン含有層と、直鎖状低密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層とを、この順に備える基材;
(7)中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、直鎖状低密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層とを、この順に備える基材;
(8)高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層又は超低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とを、この順に備える基材;
(9)高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレのブレンド層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層又は超低密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層とを、この順に備える基材;
(10)高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンとを、この順に備える基材;
(11)中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、直鎖状低密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、この順に備える基材。
【0037】
上記(1)~(11)の基材は、それぞれ5層備える。各層を外側から順に第1層~第5層と記載する。第1層及び第5層のそれぞれの厚さは、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよく、10μm以下でもよく、8μm以下でもよく、5μm以下でもよい。第2層及び第4層のそれぞれの厚さは、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよく、15μm以下でもよく、10μm以下でもよく、8μm以下でもよい。第3層の厚さは、1μm以上でもよく、2μm以上でもよく、5μm以上でもよく、50μm以下でもよく、40μm以下でもよく、30μm以下でもよい。
【0038】
多層構造を有するポリエチレン基材として、以下の例も挙げられる。
(12)高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、この順に備える基材;
(13)高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とを、この順に備える基材。
【0039】
<アンカーコート層>
本開示の積層体は、延伸基材と発熱層との間に、アンカーコート層を備えてもよい。これにより、例えば、層間の密着性を向上できる。
【0040】
アンカーコート剤としては、例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリエチレンイミン系又はエポキシ樹脂系のアンカーコート剤が挙げられる。アンカーコート剤は、一実施形態において、2液硬化型樹脂であり、例えば、主剤のポリオールと硬化剤のポリイソシアネートとからなる。アンカーコート剤は、一実施形態において、ポリイソシアネートを含む。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び(メタ)アクリルポリオールが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、並びにヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。アンカーコート層は、一実施形態において、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンからなる。ポリウレタンとしては、具体的には、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン及びポリ(メタ)アクリルポリウレタンが挙げられる。
【0041】
アンカーコート層は、例えば、延伸基材にアンカーコート剤を塗布することにより形成できる。アンカーコート剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法及びキスコート法等のコート法、又は印刷法によって塗布できる。
【0042】
アンカーコート層の厚さは、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。
【0043】
<発熱層>
本開示の積層体は、レーザーを吸収して発熱する発熱物質を含有する発熱層を備える。これにより、例えば、積層体にレーザーを照射することで変質部を含む易開封線を形成でき、包装袋の開封性を向上できる。発熱層は、延伸基材とシーラント層との間に設けられている。発熱層は、バインダー樹脂をさらに含有してもよい。
【0044】
レーザーを吸収して発熱する発熱物質としては、例えば、金属酸化物、ビスマス系化合物、モリブデン又はモリブデン系化合物、銅又は銅系化合物及びカーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、無機物質が好ましく、金属酸化物がより好ましい。
【0045】
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化ネオジム、マイカ、ゼオライト、カオリナイト、銅・モリブデン複合酸化物及び銅・タングステン複合酸化物が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンが好ましい。発熱層は、例えば白色層でもよく、酸化チタンを含有する白色層でもよい。
【0046】
ビスマス系化合物としては、例えば、酸化ビスマス、硝酸ビスマス及びオキシ硝酸ビスマス等の硝酸ビスマス系、塩化ビスマス等のハロゲン化ビスマス系、オキシ塩化ビスマス、硫酸ビスマス、酢酸ビスマス、クエン酸ビスマス、水酸化ビスマス、チタン酸ビスマス並びに次炭酸ビスマスが挙げられる。
【0047】
モリブデン系化合物としては、例えば、二酸化モリブデン及び三酸化モリブデンなどの酸化モリブデン、塩化モリブデン並びにモリブデン酸金属が挙げられる。モリブデン酸金属における金属成分としては、例えば、K、Zn、Ca、Ni、ビスマス及びMgが挙げられる。
【0048】
銅系化合物としては、例えば、酸化銅、ハロゲン化銅、ギ酸、クエン酸、サリチル酸、ラウリル酸、シュウ酸及びマレイン酸等の有機酸銅、リン酸銅並びにヒドロキシリン酸銅が挙げられる。
【0049】
発熱層における上記発熱物質の含有割合は、5質量%以上でもよく、10質量%以上でもよく、20質量%以上でもよく、50質量%以上でもよく、85質量%以下でもよく、80質量%以下でもよく、75質量%以下でもよい。
【0050】
バインダー樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂及びセルロース樹脂が挙げられる。発熱層におけるバインダー樹脂の含有割合は、15質量%以上でもよく、20質量%以上でもよく、25質量%以上でもよく、95質量%以下でもよく、90質量%以下でもよく、80質量%以下でもよく、50質量%以下でもよい。
【0051】
発熱層の厚さは、0.5μm以上でもよく、1.0μm以上でもよく、4.0μm以下でもよく、3.5μm以下でもよく、3.0μm以下でもよい。厚さが下限値以上であると、例えば、包装袋の開封性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、積層体のリサイクル性を向上できる。
【0052】
発熱層の位置は、例えば、延伸基材とシーラント層との間である。また、積層体を平面視した場合において、発熱層を全面に設けてもよく、積層体から包装袋を作製する際に易開封線が形成される個所にのみ設けてもよい。
【0053】
発熱層は、例えば、バインダー樹脂及び発熱物質を含有する組成物を、延伸基材等に塗布し乾燥することにより形成できる。塗布方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法及びフレキソ印刷法などの印刷法が挙げられる。すなわち発熱層は、延伸基材上に設けられた印刷層であってもよい。また、積層体を平面視した場合において、上記印刷層を全面に設けてもよく、積層体から包装袋を作製する際に易開封線が形成される個所にのみ設けてもよい。
【0054】
<印刷層>
本開示の積層体は、発熱層以外の印刷層を備えてもよい。印刷層は画像を含む。画像としては、例えば、文字、図形、模様、記号及びこれらの組合せが挙げられる。画像は、商品名、包装袋中の内容物の名称、製造者及び原材料名等の文字情報を含んでもよい。画像は、単色無地(いわゆるベタ画像)でもよい。
【0055】
印刷層は、例えば、顔料及び染料などの色材を含有する。印刷層は、例えば、バイオマス由来のインキを用いて形成してもよい。これにより、例えば、環境負荷をより低減できる。発熱層が、画像を含む印刷層として機能してもよい。
【0056】
印刷層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法及びフレキソ印刷法などの従来公知の印刷法が挙げられる。環境負荷低減という観点から、フレキソ印刷法を用いてもよい。
【0057】
印刷層の厚さは、0.5μm以上でもよく、1.0μm以上でもよく、10μm以下でもよく、6.0μm以下でもよく、4.0μm以下でもよい。
【0058】
印刷層は、延伸基材のいずれの面上に形成されていてもよい。印刷層と外気との接触を抑制でき、印刷層の経時的な劣化を抑制できることから、印刷層は、延伸基材におけるシーラント層側の面上に形成されていることが好ましい。
【0059】
<シーラント層>
本開示の積層体は、シーラント層を備える。
シーラント層は、一実施形態において、ポリエチレンを主成分として含有する。これにより、包装袋のモノマテリアル化を図ることができる。使用済みの包装袋を回収した後、延伸基材とシーラント層とを分離する必要がなく、包装袋のリサイクル性を向上できる。
【0060】
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが挙げられ、ヒートシール性という観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリエチレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。
【0061】
ヒートシール性という観点からは、シーラント層は低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含有することが好ましい。引裂き性という観点からは、シーラント層は低密度ポリエチレンを含有することが好ましい。シーラント層が低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含有する場合、直鎖状低密度ポリエチレンの含有割合(質量%)が低密度ポリエチレンの含有割合(質量%)よりも大きくてもよい。
【0062】
シーラント層を構成するポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性及びヒートシール性のバランスという観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下である。
【0063】
シーラント層を構成するポリエチレンのMFRは、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上であり、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは30g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下である。MFRが下限値以上であると、例えば、シーラント層の加工適性を向上できる。MFRが上限値以下であると、例えば、製膜性を向上できる。
【0064】
シーラント層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。これにより、例えば、包装袋のリサイクル性を向上できる。
【0065】
シーラント層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0066】
シーラント層の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。多層構造を有するシーラント層は、その総厚さが上記範囲にあることが好ましい。厚さが下限値以上であると、例えば、シーラント層のヒートシール性及び包装袋のリサイクル性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、積層体の加工適性を向上できる。
【0067】
シーラント層は、ヒートシール性という観点から、好ましくは未延伸の樹脂フィルムであり、より好ましくは未延伸の共押出樹脂フィルムであり、シーラント層を構成する各層は、共押出樹脂層である。上記樹脂フィルムは、例えば、キャスト法、Tダイ法又はインフレーション法等を利用することにより作製できる。「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
【0068】
例えば、シーラント層に対応する未延伸の樹脂フィルムを必要に応じて接着層を介して延伸基材上に積層してもよく、ポリエチレン又はその樹脂組成物を延伸基材上に溶融押出しすることによりシーラント層を形成してもよい。後者の場合、接着層が設けられていなくてもよい。接着層としては、例えば、後述する接着層が挙げられる。
【0069】
本開示の積層体において、シーラント層は、以下に説明する第1の層と第2の層とを備える。第1の層は、エチレン/α-オレフィン共重合体を主成分として含有し、且つ、112℃以下の融点を有する。第2の層は、ポリエチレンを主成分として含有し、且つ、114℃以上の融点を有する。第1の層により低温シール性を向上できると共に、第2の層により剛性及び手切れ性を向上できる。
【0070】
ポリエチレンを主成分として含有する延伸基材は、従来のようなポリエステルやナイロンといった樹脂フィルムよりも融点が低いポリエチレンから構成されているため、積層体を用いて包装袋を製造する際のヒートシール温度をあまり高くすることができない。第1の層及び第2の層を備えるシーラント層の場合は、第1の層が第2の層よりも低温でヒートシールできるため、ポリエチレンから構成される延伸基材と組み合せた場合であっても、包装袋のシール性を維持することができる。
【0071】
ポリエチレンから構成される延伸基材は、ポリエステルやナイロンといった樹脂フィルムよりも引裂き強度が高いため、積層体を包装袋に加工した際に開封時の手切れ性(引裂き性)が低下することがある。延伸基材と上記実施形態のシーラント層とを組み合わせることで、積層体の引裂き性が向上する。この理由は明らかではないが、シーラント層が、融点が114℃以上の第2の層を備えることで靱性を向上し、積層体の引裂き性がさらに向上したものと推測できる。なお本開示では、上述したように積層体に易開封線を設けることで引裂き性を向上できるところ、上記シーラント層を用いることで、引裂き性をさらに向上できる。
【0072】
本明細書において、層の融点は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121:2012に準拠して求めた値である。具体的には、シーラント層の各層から試料を採取し、実施例欄に記載した方法により、融点を測定する。
【0073】
(第1の層)
シーラント層における第1の層は、エチレン/α-オレフィン共重合体を主成分として含有し、且つ、112℃以下の融点を有する。これにより、上述した通り、シーラント層の低温シール性を向上できる。第1の層は、シーラント層における一方の表面層であり、積層体の一方の表面層でもある。第1の層は、包装袋中に収容される内容物側を向く層である。
【0074】
エチレン/α-オレフィン共重合体としては、例えば、直鎖状ポリエチレンが挙げられる。直鎖状ポリエチレンとは、例えば、チーグラー・ナッタ触媒に代表されるマルチサイト触媒又はメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を使用して得られる、エチレンとα-オレフィンとの共重合体である。0.930g/cm3以下の密度を有する直鎖状ポリエチレンは、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0075】
上記共重合体のコモノマーであるα-オレフィンは、例えば炭素数3以上20以下のα-オレフィンであり、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、1-オクテン、1-ノネン及び4-メチルペンテンが挙げられ、炭素数が多いほど引裂き性が向上する傾向にある。低温シール性と引裂き性とを考慮すると、α-オレフィンとしては、1-へキセン及び1-オクテンが好ましい。
【0076】
ポリエチレンは、例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒、又はメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いて、製造できる。シングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成し得る触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物又は非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調製される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点の構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造を有する重合体を得ることができるため好ましい。シングルサイト触媒としては、メタロセン触媒が好ましい。また、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン/α-オレフィン共重合体を、第1の層で用いることにより、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたエチレン/α-オレフィン共重合体を用いた場合に比べて、例えば低温シール性をより向上できる。メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン/α-オレフィン共重合体を、後述する第2の層又は第3の層で用いることにより、チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造されたエチレン/α-オレフィン共重合体を用いた場合に比べて、例えば耐衝撃性をより向上できる。
【0077】
第1の層の融点は、シーラント層の低温シール性の観点から、好ましくは110℃以下、より好ましくは105℃以下、さらに好ましくは100℃以下であり、80℃以上でもよく、90℃以上でもよい。
【0078】
第2の層の融点と第1の層の融点との差は、シーラント層の低温シール性及び剛性のバランスの観点から、好ましくは4℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは48℃以下、さらに好ましくは46℃以下であり、例えば40℃以下でもよい。
【0079】
第1の層の密度は、好ましくは0.915g/cm3以下、より好ましくは0.912g/cm3以下、さらに好ましくは0.908g/cm3以下であり、0.890g/cm3以上でもよく、0.900g/cm3以上でもよい。第1の層の密度を0.915g/cm3以下とすることにより、例えば、シーラント層の低温シール性を向上できる。第1の層の密度を0.890g/cm3以上とすることにより、例えば、積層体の耐ブロッキング性を向上できる。
【0080】
第1の層におけるエチレン/α-オレフィン共重合体の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0081】
第1の層は、一実施形態において、好ましくは0.912g/cm3以下、より好ましくは0.908g/cm3以下、さらに好ましくは0.905g/cm3以下の密度を有するエチレン/α-オレフィン共重合体を含有する。該エチレン/α-オレフィン共重合体の密度は、好ましくは0.890g/cm3以上、より好ましくは0.895g/cm3以上である。第1の層が0.912g/cm3以下の密度を有するエチレン/α-オレフィン共重合体を含有することにより、例えば、シーラント層の低温シール性を向上できる。該エチレン/α-オレフィン共重合体の密度が0.890g/cm3以上であることにより、例えば、積層体の耐ブロッキング性を向上できる。
【0082】
第1の層の厚さは、5μm以上でもよく、15μm以上でもよく、50μm以下でもよく、30μm以下でもよい。第1の層は、単層でも、各層が同一組成の多層でもよい。第1の層が多層である場合、第1の層の厚さは、各層の合計厚さである。
【0083】
シーラント層の厚さに対する第1の層の厚さの割合は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、特に好ましくは15%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。これにより、例えば、シーラント層の低温シール性及び剛性のバランスをより向上できる。
【0084】
第1の層は、一実施形態において、第2の層又は第3の層に接していることが好ましく、第2の層に接していることがより好ましい。すなわち、第1の層は、一実施形態において、接着層を介さずに、第2の層又は第3の層に接していることが好ましい。
第1の層は、一実施形態において、未延伸の樹脂層である。
【0085】
第1の層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0086】
(第2の層)
シーラント層における第2の層は、ポリエチレンを主成分として含有し、且つ、114℃以上の融点を有する。これにより、上述した通り、シーラント層の剛性を向上できる。
【0087】
第2の層の融点は、シーラント層の剛性の観点から、好ましくは117℃以上、より好ましくは120℃以上であり、150℃以下でもよく、135℃以下でもよい。
【0088】
第2の層の密度は、好ましくは0.916g/cm3以上、より好ましくは0.917g/cm3以上、さらに好ましくは0.920g/cm3以上、特に好ましくは0.930g/cm3以上であり、0.950g/cm3以下でもよく、0.945g/cm3以下でもよい。第2の層の密度を0.916g/cm3以上とすることにより、例えば、シーラント層の剛性及び引裂き性を向上できる。第2の層の密度を0.950g/cm3以下とすることにより、例えば、シーラント層の耐衝撃性を向上できる。
【0089】
第2の層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0090】
第2の層は、一実施形態において、好ましくは0.915g/cm3以上、より好ましくは0.935g/cm3以上の密度を有するポリエチレンを含有する。該ポリエチレンの密度は、好ましくは0.970g/cm3以下、より好ましくは0.960g/cm3以下である。第2の層が0.915g/cm3以上の密度を有するポリエチレンを含有することにより、例えば、シーラント層の剛性及び引裂き性を向上できる。該ポリエチレンの密度が0.970g/cm3以下であることにより、例えば、シーラント層の耐衝撃性を向上できる。
【0091】
第2の層は、上記ポリエチレンとして、エチレン/α-オレフィン共重合体を含有してもよい。第2の層におけるエチレン/α-オレフィン共重合体の含有割合は、第2の層の全体に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。エチレン/α-オレフィン共重合体の含有割合を50質量%以上とすることにより、例えば、シーラント層の耐衝撃性を向上できる。エチレン/α-オレフィン共重合体の含有割合を90質量%以下とすることにより、例えば、シーラント層の引裂き性を向上できる。
【0092】
第2の層は、上記ポリエチレンとして、エチレンの単独重合体を含有してもよい。第2の層におけるエチレンの単独重合体の含有割合は、第2の層の全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。エチレンの単独重合体の含有割合を10質量%以上とすることにより、例えば、シーラント層の引裂き性を向上できる。エチレンの単独重合体の含有割合を50質量%以下とすることにより、例えば、シーラント層の耐衝撃性を向上できる。
【0093】
一実施形態において、シーラント層が2つの層から構成される場合、第2の層は、シーラント層における延伸基材側の表面層である。一実施形態において、シーラント層が3つ以上の層から構成される場合、第2の層は、シーラント層における延伸基材側の表面層及び/又は中間層である。この場合、第1の層と中間層とは、低温シール性及び剛性のバランスの観点から、構成材料が異なることが好ましい。
【0094】
中間層とは、シーラント層の一方の表面層と他方の表面層との間に位置する層を意味する。中間層は、単層でもよく、多層でもよい。中間層が多層である場合、各中間層の組成は、同一でもよく、異なってもよい。
【0095】
第2の層は、ポリエチレンを主成分として含有し、且つ、114℃以上の融点を有する層であれば、シーラント層内に複数存在する層でもよい。例えば、延伸基材側の表面層及び中間層の両方が第2の層でもよい。
【0096】
第2の層の厚さは、10μm以上でもよく、45μm以上でもよく、250μm以下でもよく、170μm以下でもよい。第2の層が多層である場合、第2の層の厚さは、各層の合計厚さである。
【0097】
第2の層は、一実施形態において、未延伸の樹脂層である。
【0098】
第2の層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0099】
(第3の層)
シーラント層は、第1の層及び第2の層以外に、第3の層をさらに備えてもよい。第3の層は、ポリエチレンを主成分として含有する層であって、第1の層及び第2の層には該当しない層である。
【0100】
一実施形態において、第3の層は、延伸基材側の表面層及び/又は中間層である。
第3の層は、シーラント層内に複数存在する層でもよい。
【0101】
第3の層は、一実施形態において、未延伸の樹脂層である。
【0102】
第3の層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0103】
(シーラント層の構成)
ポリエチレンを主成分として含有するシーラント層の層構成としては、例えば、
・第1の層/第2の層、
・第1の層/第2の層/第1の層、
・第1の層/第2の層/第2の層、
・第1の層/第2の層/第3の層、
・第1の層/第3の層/第2の層、
が挙げられる。「/」は層間を意味する。
【0104】
例えば、シーラント層が第1の層と中間層と延伸基材側の表面層とを備える場合、延伸基材側の表面層の融点よりも、中間層の融点の方が高いことが好ましい。また、第1の層の融点よりも、中間層の融点の方が高いことが好ましい。また、第1の層の融点よりも、延伸基材側の表面層の融点の方が高いことが好ましい。このような構成により、例えば、シーラント層の低温シール性、剛性及び耐衝撃性をより向上できる。
【0105】
例えば中間層の融点と延伸基材側の表面層の融点との差は、0℃以上30℃以下でもよく、1℃以上でもよく、2℃以上でもよく、また、25℃以下でもよく、20℃以下でもよく、15℃以下でもよく、10℃以下でもよい。例えば中間層の融点と第1の層の融点との差は、2℃以上50℃以下でもよく、4℃以上でもよく、15℃以上でもよく、また、40℃以下でもよく、35℃以下でもよい。例えば延伸基材側の表面層の融点と第1の層の融点との差は、2℃以上40℃以下でもよく、4℃以上でもよく、15℃以上でもよく、また、35℃以下でもよく、30℃以下でもよい。
【0106】
第1の層と中間層と延伸基材側の表面層とを備えるシーラント層において、該シーラント層の厚さに対する第1の層の厚さの割合及び延伸基材側の表面層の厚さの割合は、それぞれ独立に、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、特に好ましくは15%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。
【0107】
第1の層と中間層と延伸基材側の表面層とを備えるシーラント層において、該シーラント層の厚さに対する中間層の厚さの割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上であり、好ましくは94%以下、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下、特に好ましくは70%以下である。
【0108】
シーラント層は、一実施形態において、該シーラント層を構成する第1の層、第2の層及び任意に第3の層から選ばれる各層の間に、接着層を有さない。例えば、シーラント層は、共押出樹脂フィルムである。
【0109】
シーラント層におけるエチレン/α-オレフィン共重合体の含有割合は、シーラント層の全体に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。エチレン/α-オレフィン共重合体の含有割合を50質量%以上とすることにより、例えば、シーラント層の耐衝撃性を向上できる。エチレン/α-オレフィン共重合体の含有割合を90質量%以下とすることにより、例えば、シーラント層の引裂き性を向上できる。
【0110】
シーラント層におけるエチレンの単独重合体の含有割合は、シーラント層の全体に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。エチレンの単独重合体の含有割合を10質量%以上とすることにより、例えば、シーラント層の引裂き性を向上できる。エチレンの単独重合体の含有割合を50質量%以下とすることにより、例えば、シーラント層の耐衝撃性を向上できる。
【0111】
シーラント層における第1の層の反対側に位置する面には、表面処理が施されてもよい。これにより、隣接する層との密着性を向上できる。表面処理の具体例は、上述したとおりである。
【0112】
<接着層>
本開示の積層体は、延伸基材とシーラント層との間、例えば発熱層とシーラント層との間などの任意の層間に、接着層を備えてもよい。これにより、延伸基材とシーラント層との間の密着性を向上できる。
【0113】
接着層の厚さは、0.1μm以上でもよく、0.2μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、10μm以下でもよく、8.0μm以下でもよく、6.0μm以下でもよい。接着層の厚さは、2.0μm以下でもよい。
【0114】
接着層は、一実施形態において、接着剤により構成される接着剤層でもよい。接着剤は、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、及び非硬化型の接着剤のいずれでもよい。接着剤は、無溶剤型の接着剤でもよく、溶剤型の接着剤でもよい。
【0115】
無溶剤型の接着剤、すなわちノンソルベントラミネート接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤及びウレタン系接着剤が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系接着剤が好ましく、2液硬化型のウレタン系接着剤がより好ましい。
【0116】
無溶剤型の接着剤は、一実施形態において、主剤と硬化剤とを有する2液硬化型接着剤である。主剤に含まれる重合体成分の重量平均分子量(Mw)は、塗工適性という観点から、好ましくは800以上10,000以下、より好ましくは1,200以上4,000以下である。主剤に含まれる重合体成分の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは2.8以下、より好ましくは1.2以上2.7以下、さらに好ましくは1.5以上2.6以下、特に好ましくは2.0以上2.5以下である。ここでMnは、主剤に含まれる重合体成分の数平均分子量である。各平均分子量は、JIS K7252-1(2008)に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算の値である。
【0117】
溶剤型の接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、オレフィン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤及びウレタン系接着剤が挙げられる。
【0118】
一実施形態において、無溶剤型の接着剤を用いて接着層を形成することにより、例えば、積層体における残留溶剤量、具体的には残留有機溶剤量をより低減できる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、n-ヘキサン及びメチルシクロヘキサン等の炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル及び酢酸イソブチル等のエステル溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコール等のアルコール溶剤;並びにアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶剤が挙げられる。
【0119】
一実施形態において、無溶剤型の接着剤を用いることにより、溶剤型の接着剤を用いた場合に比べて、例えば、接着層を薄くできる。これにより、積層体全体におけるポリオレフィンの含有割合をさらに向上できる。このような積層体は、モノマテリアル化された包装袋の作製に好適である。一実施形態において、無溶剤型の接着剤を用いることにより、溶剤型の接着剤を用いた場合に比べて、積層体の引裂き性をより向上できる。
【0120】
以下、2液硬化型のウレタン系接着剤について説明する。このウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール等のポリオール化合物を含む主剤と、イソシアネート化合物を含む硬化剤とを有する接着剤が好ましい。
【0121】
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び(メタ)アクリルポリオールが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールが好ましい。
【0122】
ポリエステルポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上有する。ポリエステルポリオールは、主骨格として、例えば、ポリエステル構造又はポリエステルポリウレタン構造を有する。ポリエステルポリオールは、例えば、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との脱水縮合反応や、エステル交換又は開環反応により得られる。
【0123】
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンジメタノール等のジオール;グリセリン、トリエチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等の3官能以上のポリオールが挙げられる。
【0124】
多価カルボン酸成分としては、例えば、脂肪族多価カルボン酸、脂環族多価カルボン酸及び芳香族多価カルボン酸、並びにこれらのエステル誘導体及び酸無水物が挙げられる。脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸及びダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。脂環族多価カルボン酸としては、例えば、1,3-シクロペンタンジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。芳香族多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸及び1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸が挙げられる。
【0125】
ポリエステルポリオールは、必要に応じてポリイソシアネートにて予め鎖長させることもできる。ポリイソシアネートとしては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、α、α、α’α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート;並びにジイソシアネートのビュレット体、ヌレート体又はトリメチロールプロパンアダクト体が挙げられる。
【0126】
ポリエステルポリオール等のポリオール化合物の重量平均分子量(Mw)は、塗工適性という観点から、好ましくは800以上10,000以下、より好ましくは1,200以上4,000以下である。ポリエステルポリオール等のポリオール化合物の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは2.8以下、より好ましくは1.2以上2.7以下、さらに好ましくは1.5以上2.6以下、特に好ましくは2.0以上2.5以下である。ここでMnは、ポリオール化合物の数平均分子量である。各平均分子量は、JIS K7252-1(2008)に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算の値である。
【0127】
イソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する。
イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートが挙げられる。イソシアネート化合物は、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物でもよい。
【0128】
イソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びα、α、α’α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート;これらのジイソシアネートの3量体;並びにこれらのジイソシアネート化合物と、低分子活性水素化合物若しくはそのアルキレンオキシド付加物、又は高分子活性水素化合物とを反応させて得られる、アダクト体、ビュレット体及びアロファネート体が挙げられる。
【0129】
低分子活性水素化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,8-オクタメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びメタキシリレンジアミンが挙げられる。高分子活性水素化合物としては、例えば、ポリエステル、ポリエーテルポリオール及びポリアミドが挙げられる。
【0130】
接着層は、熱可塑性樹脂を含有する接着性樹脂層でもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン-マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、及びポリオレフィンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はエステル単量体をグラフト重合又は共重合した樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、化石燃料由来の材料を使用してもよく、バイオマス由来の材料を使用してもよく、これらの両方を使用してもよい。
【0131】
本開示の積層体は、一実施形態において、延伸基材と、シーラント層に対応する樹脂フィルムとを、無溶剤型の接着剤を用いたノンソルベントラミネート法により貼り合わせて製造してもよく、溶剤型の接着剤を用いたドライラミネート法により貼り合わせて製造してもよい。
【0132】
<積層体の層構成>
以下、本開示の積層体の層構成について、具体例を挙げる。図1に示す積層体30は、延伸基材40と、発熱層50と、接着層60と、シーラント層70とをこの順に備える。図1において、延伸基材40は多層構造を有してもよい。図1におけるシーラント層70は、例えば図2図4に示す層構成を有する。
【0133】
図2に示すシーラント層70は、シール層としての第1の層72と、ラミネート層としての第2の層74とをこの順に備える。図3に示すシーラント層70は、シール層としての第1の層72と、中間層としての第2の層74と、ラミネート層としての第2の層74とをこの順に備える。2つの第2の層74は相互に同一でもよく異なってもよい。図4に示すシーラント層70は、シール層としての第1の層72と、中間層としての第2の層74と、ラミネート層としての第3の層76とをこの順に備える。
【0134】
[包装袋]
本開示の積層体は、包装材料用途に好適に使用できる。包装材料は、包装袋を作製するために使用される。本開示の積層体を少なくとも用いることにより、引裂き性に優れる包装袋を製造できる。包装袋は、ボトルなどの容器へ詰め替えられる、液体や粉体などの流動性を有する内容物を収容する詰替えパウチ、特にスタンディングパウチでもよい。
【0135】
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型及びガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。
【0136】
本開示の包装袋は、本開示の積層体を備える。
本開示の包装袋は、
内容物を収容する収容部と、
積層体のシーラント層同士が接合されているシール部と、
積層体の変質部を含む易開封線と
を有する。
シール部は、収容部を画成する内縁を含む。
易開封線は、シール部の内縁に交わる第1交点及び第2交点を含み、包装袋を平面視した場合に収容部を横切る線である。
包装袋は、引き裂きの起点となるノッチ部をさらに有してもよい。
【0137】
<シール部>
包装袋は、積層体のシーラント層同士が接合されているシール部を有する。
シール部の形成方法としては、例えば、加熱などによって積層体のシーラント層を溶融させ、シーラント層同士を融着させるヒートシールが挙げられ、具体的には、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール及び超音波シールが挙げられる。
【0138】
<易開封線>
包装袋は、包装袋を引き裂く際の経路として、易開封線を有する。
易開封線は、積層体が変質している部分である変質部を含む。
易開封線に含まれる変質部の幅W1は、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは70μm以上であり、250μm以下でもよく、230μm以下でもよく、200μm以下でもよい。これにより、例えば、包装袋の開封性を向上できる。幅W1は、延伸基材におけるシーラント層側の端面において測定される。発熱層がレーザーから吸収するエネルギーが大きいほど、幅W1は大きくなる傾向にある。
幅W1の算出方法の具体例は、後述する。
【0139】
包装袋を構成する積層体は、易開封線を2以上有してもよい。易開封線の本数は、1以上でもよく、2以上でもよく、3以上でもよく、10以下でもよく、8以下でもよく、5以下でもよい。易開封線は、後述する表面フィルム及び裏面フィルムの両方に形成されていてもよい。この場合、表面フィルム及び裏面フィルムが、それぞれ、上記本数の易開封線を有してもよい。
【0140】
変質部を含む易開封線は、例えば、包装袋を構成する積層体にレーザーを照射することにより形成できる。積層体に変質部が形成される理由は、以下のように推察される。積層体にレーザーを照射すると、発熱層に含まれる上記発熱物質がレーザーを吸収することにより、発熱層の温度が上昇する。これにより、例えば、加熱された発熱層の周囲にガスが発生する。ガスの温度が上昇し、ガスの圧力が増加すると、延伸基材の一部が飛散し、変質部が形成される。変質部は、延伸基材を貫通していてもよく、発熱層をさらに貫通していてもよく、接着剤層をさらに貫通していてもよい。貫通孔が形成されなくとも、例えば、発熱層が膨張して延伸基材が部分的に盛り上げられる、或いは剥離することにより変質部が形成されていてもよい。なお、別の原理によって変質部が形成されていてもよい。
【0141】
レーザーの照射は、積層体におけるレーザーの照射位置を移動させながら実施できる。例えば、レーザーを積層体に向けて放射するレーザー照射装置を積層体に対して相対的に移動させてもよい。これにより、レーザー照射装置の移動経路に沿って変質部が形成される。この結果、レーザー照射装置の移動経路に対応する方向に延びる易開封線が積層体に形成される。相対的な移動は、レーザー照射装置を積層体に対して移動させることを含んでいてもよく、積層体をレーザー照射装置に対して移動させることを含んでいてもよい。また、ガルバノミラーなどを用いてレーザーの軌道を変化させることにより、積層体におけるレーザーの照射位置を移動させてもよい。
【0142】
シーラント層側から積層体にレーザーを照射してもよい。
延伸基材側から積層体にレーザーを照射してもよい。
【0143】
レーザー照射の走査速度は、10mm/s以上でもよく、20mm/s以上でもよく、50mm/s以上でもよい。走査速度を一定値以上にすることにより、例えば、発熱層が過剰にレーザーのエネルギーを吸収することを抑制できる。これにより、シーラント層にダメージが生じることを抑制でき、また、変質部の幅W1が大きくなり過ぎることを抑制できる。レーザー照射の走査速度は、レーザーの種類及び波長に応じて適宜選択することができる。
【0144】
レーザー照射の走査速度は、2000mm/s以下でもよく、1500mm/s以下でもよく、1000mm/s以下でもよい。これにより、例えば、発熱層がレーザーのエネルギーを適切に吸収できる。
【0145】
レーザーの出力は、1W以上でもよく、2W以上でもよく、100W以下でもよく、80W以下でもよく、50W以下でもよい。レーザーの線幅は、40μm以上でもよく、60μm以上でもよく、500μm以下でもよく、200μm以下でもよく、100μm以下でもよい。
【0146】
レーザーは、UVレーザーでもよく、可視光レーザーでもよく、赤外線レーザーでもよい。レーザーの波長は、200nm以上でもよく、300nm以上でもよく、500nm以上でもよく、800nm以上でもよく、1000nm以上でもよく、20μm以下でもよく、15μm以下でもよく、2000nm以下でもよく、1800nm以下でもよく、1500nm以下でもよい。
【0147】
レーザーとしては、例えば、ファイバーレーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、半導体レーザー及び炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)が挙げられる。引裂き性(特に後述する斜め45°の方向の引裂き性)の観点からは、ファイバーレーザーが好ましく、生産性の観点からは、CO2レーザーが好ましい。
【0148】
<内容物>
包装袋中に収容される内容物としては、例えば、液体、固体、粉体及びゲル体が挙げられる。内容物は、飲食品でもよく、化学品、化粧品及び医薬品等の非飲食品でもよい。包装袋中に内容物を収容した後、包装袋の開口部をヒートシールすることにより、包装袋を密封できる。
【0149】
内容物としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫剤、洗剤;ソース、醤油、ドレッシング、食用油、マヨネーズ、ケチャップ、シロップ、料理用酒類、他の液体又は粘稠体の調味料;果汁類;香辛料;液体飲料、ゼリー状飲料、液体スープ、粉末スープ、インスタント食品、他の飲食品;クリーム;が挙げられる。
【0150】
<包装袋の作製>
一実施形態において、本開示の積層体を、延伸基材が外側、シーラント層が内側に位置するように二つ折にして重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。他の実施形態において、複数の本開示の積層体をシーラント層同士が対向するように重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。包装袋の全部が上記積層体で構成されてもよく、包装袋の一部が上記積層体で構成されてもよい。
【0151】
<包装袋の実施形態>
以下、本開示の包装袋の実施形態の数例を、図面に基づき説明する。
図5は、一実施形態の包装袋10を示す正面図である。図5には、内容物が充填される前の状態(内容物が収容されていない状態)の包装袋10が示されている。包装袋10は、自立可能に構成されたガセット式のパウチである。包装袋10は、上部11、下部12及び側部13を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。「上部」、「下部」及び「側部」などの名称、並びに、「上方」及び「下方」などの用語は、ガセット部を下にして包装袋10が自立している状態を基準として包装袋10やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。包装袋10の輸送時や使用時の姿勢などは、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
【0152】
包装袋10は、収容部17、シール部19及び易開封線26を有する。収容部17は、内容物を収容する。シール部19は、収容部17を画成する内縁19xを含む。シール部19は、包装袋10を構成する積層体のシーラント層同士を接合することによって構成されている。図5などの平面図においては、シール部19にハッチングが施されている。
【0153】
収容部17は、注出口部20を含んでいてもよい。注出口部20は、包装袋10から内容物を取り出す際に内容物が通る部分である。注出口部20の幅は、収容部17のその他の部分の幅よりも狭い。このため、使用者は、注出口部20を通って包装袋10から注出される内容物の注出方向を精度良く定めることができる。
【0154】
易開封線26は、包装袋10の引裂き性を高めるために包装袋10に形成されている。易開封線26は、包装袋10の平面視において収容部17を横切る。収容部17を横切る易開封線26の方向は特に限定されず、例えば積層体のMD方向でもよく、MD方向に対して任意の角度の方向(例えばTD方向や、45°の方向)でもよい。図5に示す例において、易開封線26は、平面視において注出口部20を横切る。図5に示すように、包装袋10の外縁には、易開封線26に隣接する切り欠き28が形成されていてもよい。切り欠き28に替えて切り込みが包装袋10の外縁に形成されていてもよい。
【0155】
使用者が易開封線26に沿って包装袋10を引き裂く時、包装袋10を構成するフィルムにせん断力が加えられる。シーラント層70の破断が易開封線26に沿って進行することにより、フィルムが引き裂かれる。引裂き性とは、フィルムに加えられるせん断力に基づいて生じる包装袋10の破断の進行のし易さを意味する。フィルムが高い引裂き性を有する場合、使用者が適度なせん断力を包装袋10に加えることにより、易開封線26に沿って包装袋10のフィルムを破断させることができる。フィルムが低い引裂き性を有する場合、使用者が大きなせん断力を包装袋10に加えたとしても、易開封線26に沿う包装袋10の破断が進行しにくい。例えば、包装袋10に加えるせん断力が、包装袋10の一部の層を伸ばす力として利用されたり、包装袋10の一部の層を他の層から剥離させる力として利用されたりする。このため、フィルムの破断が進行しにくい。
【0156】
包装袋10は、表面を構成する表面フィルム14、裏面を構成する裏面フィルム15、及び、下部12を構成する下部フィルム16を備える。下部フィルム16は、折り返し部16fで折り返された状態で、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に配置されている。
【0157】
表面フィルム14及び裏面フィルム15のいずれか一方又は両方が、本開示の積層体30により構成される。下部フィルム16も、本開示の積層体30により構成されてもよい。積層体30は、一実施形態において、図6に示すように、延伸基材40と、発熱層50と、接着層60と、シーラント層70とを備える。
【0158】
積層体30は、内面30x及び外面30yを含む。内面30xは、内容物に接する面である。外面30yは、内面30xの反対側に位置する面である。シーラント層70は、延伸基材40に対して内面30xの側に位置している。発熱層50は、延伸基材40とシーラント層70との間に位置する。
【0159】
「表面フィルム」、「裏面フィルム」及び「下部フィルム」という用語は、位置関係に応じて各フィルムを区画したものに過ぎず、包装袋10を製造する際のフィルムの提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、包装袋10は、表面フィルム14と裏面フィルム15と下部フィルム16とが連設された1枚のフィルムを用いて製造されてもよく、表面フィルム14と下部フィルム16が連設された1枚のフィルムと1枚の裏面フィルム15の計2枚のフィルムを用いて製造されてもよく、1枚の表面フィルム14と1枚の裏面フィルム15と1枚の下部フィルム16の計3枚のフィルムを用いて製造されてもよい。
【0160】
図5に示すように、シール部19は、下部シール部12a、側部シール部13a及び注出口シール部20aを含む。下部シール部12aは、下部12に広がっている。側部シール部13aは、一対の側部13に沿って延びている。注出口シール部20aは、注出口部20を画成している。注出口シール部20aの内縁の間の距離は、一対の側部シール部13a間の内縁の間の距離よりも小さい。注出口部20が包装袋10の上部11と側部13との間の隅部に形成される場合、注出口シール部20aは側部シール部13aに接続される。
【0161】
内容物が収容されていない状態の包装袋10においては、図5に示すように、包装袋10の上部11は開口部11bになっている。開口部11bを介して包装袋10に内容物を収容した後、表面フィルム14のシーラント層と裏面フィルム15のシーラント層とを上部11において接合することにより、開口部11bに上部シール部が形成される。これにより、収容部17が包装袋10の外部から封止される。
【0162】
側部シール部13a、注出口シール部20a及び上部シール部は、表面フィルム14のシーラント層と裏面フィルム15のシーラント層とを接合することによって構成される。下部シール部12aは、表面フィルム14のシーラント層と下部フィルム16のシーラント層とが接合されている部分、及び、裏面フィルム15のシーラント層と下部フィルム16のシーラント層とが接合されている部分を含む。図5において符号13cが付された点線で示すように、下部フィルム16の一部に切り欠きが形成されていてもよい。切り欠きの位置においては、表面フィルム14のシーラント層と裏面フィルム15のシーラント層とが接合されていてもよい。
【0163】
易開封線26について詳細に説明する。図6は、表面フィルム14に形成されている易開封線26を示す図である。図6は、図5において符号Aで示すように、易開封線26が延びる方向に直交する方向に沿って表面フィルム14を切断した場合を示す断面図である。図示はしないが、裏面フィルム15にも易開封線26が形成されていてもよい。表面フィルム14の易開封線26と裏面フィルム15の易開封線26とは、表面フィルム14の法線方向に沿って見た場合に重なっていてもよい。易開封線26は、延伸基材40を貫通する貫通孔27を含む。易開封線26は、積層体30にレーザーを照射することによって形成される。図8に示すように、包装袋10は、収容部17を横切る複数の易開封線26を有してもよい。
【0164】
変質部の幅の算出方法を、図7を参照して説明する。図7に示すように、易開封線26は、第1交点261及び第2交点262においてシール部19の内縁19xに交わる。点P1、P2、P3は、第1交点261から第2交点262までの易開封線26の区間を4分割した場合の境界に位置する。易開封線26が延びる方向に直交するとともに点P1、P2、P3を通る直線に沿って包装袋10を切断する。3つの切断面を観察し、幅を測定する。幅の3つの測定値の平均値を、変質部の幅W1として用いる。切断面を観察する装置としては、例えば、キーエンス社製のデジタルマイクロスコープ VHX-6000を用いる。観察倍率は1000倍である。変質部の幅の測定は、VHX-6000の測長機能により実施される。
【0165】
次に、下部フィルム16の層構成について説明する。
表面フィルム14のシーラント層及び裏面フィルム15のシーラント層と接合可能な内面を有する限りにおいて、下部フィルム16の層構成は任意である。例えば、表面フィルム14及び裏面フィルム15と同様に、下部フィルム16として上述の積層体30を用いてもよい。本開示の積層体30とは異なる構成のフィルムを、下部フィルム16として用いてもよい。
【0166】
包装袋10は、例えば、以下のようにして作製できる。積層体30を準備する。続いて、積層体30にレーザーを照射して易開封線26を形成する。易開封線26が形成された積層体30を2つに切断する。これにより、表面フィルム14及び裏面フィルム15が得られる。続いて、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に、折り返した状態の下部フィルム16を挿入する。続いて、各フィルムのシーラント層同士をヒートシールすることにより、下部シール部12a、側部シール部13a、注出口シール部20aなどのシール部を形成する。ヒートシールによって互いに接合されたフィルムを適切な形状に切断する。これにより、図5に示す包装袋10が得られる。
【0167】
続いて、包装袋10の収容部17に内容物を充填する。その後、上部11をヒートシールすることによって上部シール部を形成する。このようにして、内容物が収容され封止された包装袋10が得られる。
【0168】
以上の実施形態の説明においては、包装袋10がガセット式のパウチである例を示したが、包装袋10の具体的な構成が特に限定されることはない。
【0169】
例えば、包装袋10は、図9及び図10に示すように、下部フィルム16を備えていなくてもよい。図9及び図10において、包装袋10の下部シール部12a及び側部シール部13aは、それぞれ積層体30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15のシーラント層同士を接合することによって形成されている。包装袋10に内容物を収容した後、表面フィルム14のシーラント層と裏面フィルム15のシーラント層とを上部11の開口部11bにおいて接合することにより、包装袋10が封止される。図9及び図10においても、包装袋10は、平面視において収容部17を横切る易開封線26を備える。これにより、包装袋10の引裂き性を高めることができる。
【0170】
図11に示すように、包装袋10は、ピローパウチでもよい。包装袋10は、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する積層体30の端部を重ねることにより構成される合掌部18を含む。合掌部18は、積層体30のシーラント層同士が接合された合掌部シール部18aを含む。図11に示す例において、易開封線26は、収容部17及び合掌部18を横切るよう形成されている。図11に示すように、合掌部の外縁に、易開封線26に接する切り欠き28又は図示せぬ切り込みが形成されていてもよい。
【0171】
本開示は、例えば以下の[1]~[8]に関する。
[1]延伸基材とシーラント層とを少なくとも備える積層体であって、前記延伸基材は、ポリエチレンを主成分として含有し、前記シーラント層は、第1の層と第2の層とを少なくとも備え、前記第1の層が、エチレン/α-オレフィン共重合体を主成分として含有し、前記第1の層の融点が、112℃以下であり、前記第2の層が、ポリエチレンを主成分として含有し、前記第2の層の融点が、114℃以上であり、前記積層体の一方の表面層が、前記第1の層であり、前記積層体は、前記延伸基材と前記シーラント層との間に、レーザーを吸収して発熱する発熱物質を含有する発熱層をさらに備える、積層体。
[2]前記第1の層の密度が0.915g/cm3以下であり、前記第2の層の密度が0.916g/cm3以上である、前記[1]に記載の積層体。
[3]前記発熱物質が、金属酸化物、ビスマス系化合物、モリブデン、モリブデン系化合物、銅、銅系化合物及びカーボンブラックから選択される少なくとも1種である、前記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記発熱物質が、金属酸化物である、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5]前記発熱層が、前記延伸基材上に設けられた印刷層である、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6]前記発熱層と前記シーラント層との間に、接着層をさらに備える、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層体。
[7]前記積層体全体におけるポリエチレンの含有割合が、80質量%以上である、前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層体。
[8]前記[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層体を備える包装袋であって、前記包装袋が、内容物を収容する収容部と、前記積層体の前記シーラント層同士が接合されているシール部と、前記積層体の変質部を含む易開封線とを有し、前記シール部が、前記収容部を画成する内縁を含み、前記易開封線が、前記シール部の前記内縁に交わる第1交点及び第2交点を含み、前記包装袋を平面視した場合に前記収容部を横切る線である、包装袋。
【実施例0172】
以下、実施例により本開示の積層体をより具体的に説明するが、本開示の積層体は以下の実施例に限定されない。
【0173】
[延伸基材の作製]
延伸基材の作製において、以下の材料を使用した。
・中密度ポリエチレン(MDPE)
商品名:Elite5538G、Dowchemical社製、
密度:0.941g/cm3、融点:129℃、MFR:1.3g/10分
・高密度ポリエチレン(HDPE)
商品名:Elite5960G、Dowchemical社製、
密度:0.960g/cm3、融点:134℃、MFR:0.8g/10分
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
商品名:Elite5400G、Dowchemical社製、
密度:0.916g/cm3、融点:123℃、MFR:1.3g/10分
【0174】
<ポリエチレン基材>
70部のMDPEと30部のLLDPEとを混合して、平均密度0.934g/cm3のブレンドPE(A)を得た。70部のMDPEと30部のHDPEとを混合して、平均密度0.947g/cm3のブレンドPE(B)を得た。LLDPE、ブレンドPE(A)及びブレンドPE(B)を、インフレーション成形法により、ブレンドPE(B)層15μm/ブレンドPE(A)層22.5μm/LLDPE層50μm/ブレンドPE(A)22.5μm/ブレンドPE(B)層15μmの層厚さ比で5層共押出しを行いチューブ状に製膜し、総厚さ125μmのポリエチレンフィルムを得て、チューブ状のフィルムをニップ箇所で折り畳み、2枚重ねにした。得られたポリエチレンフィルムを縦方向(MD)に5倍延伸し、さらに、一方のブレンドPE(B)層にコロナ処理を行った後、端部をスリットし、2枚に分けて、厚さ25μmのポリエチレン基材(以下「PE基材」ともいう)を得た。
【0175】
<他の延伸基材>
Ny基材:厚さ15μmの二軸延伸ナイロン基材(出光ユニテック、G-100)
【0176】
[シーラントフィルムの作製]
シーラントフィルムの作製において、以下の材料を使用した。
・エチレン/α-オレフィン共重合体(以下「共重合体A」と記載する)
エチレンとC8オレフィンとの共重合体、
密度:0.902g/cm3、MFR:1.0g/10分、
重合触媒:メタロセン触媒
・エチレン/α-オレフィン共重合体(以下「共重合体B」と記載する)
エチレンとC8オレフィンとの共重合体、
密度:0.918g/cm3、MFR:0.8g/10分、
重合触媒:メタロセン触媒
・エチレン/α-オレフィン共重合体(以下「共重合体C」と記載する)
エチレンとC8オレフィンとの共重合体、
密度:0.941g/cm3、MFR:1.3g/10分、
重合触媒:メタロセン触媒
・高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)
密度:0.919g/cm3、MFR:2.0g/10分
・スリップ剤マスターバッチ(スリップ剤MB)
ベース材料:ポリエチレン、
スリップ剤:エルカ酸アミド、スリップ剤の含有割合:2.0質量%、
密度:0.921g/cm3、MFR:5.4g/10分
・アンチブロッキング剤マスターバッチ(AB剤MB)
ベース材料:ポリエチレン、アンチブロッキング剤:アクリル樹脂、
アンチブロッキング剤の含有割合:30質量%、
密度:0.959g/cm3、MFR:2.5g/10分
【0177】
第1の層(シール層)として、93質量部の共重合体Aと、1質量部のスリップ剤MBと、6質量部のAB剤MBとの混合物を用い、第2の層(中間層)として、69質量部の共重合体Cと、30質量部のLDPEと、1質量部のスリップ剤MBとの混合物を用い、第2の層(ラミネート層)として、89質量部の共重合体Bと、10質量部のLDPEと、1質量部のスリップ剤MBとの混合物を用い、第1の層(シール層):第2の層(中間層):第2の層(ラミネート層)の厚さ比が1:3:1となるようにして3層押出製膜により、厚さ130μmのシーラントフィルム(以下「PEフィルム(A)」ともいう)を得た。
PEフィルム(A)のラミネート層面にコロナ処理を行った。
【0178】
得られたPEフィルム(A)における各層の融点を、以下の方法に基づき、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121:2012に準拠して求めた。その結果、第1の層(シール層)の融点は99℃、第2の層(中間層)の融点は122℃、第2の層(ラミネート層)の融点は117℃であった。また、密度については、第1の層(シール層)の密度は0.906g/cm3、第2の層(中間層)の密度は0.934g/cm3、第2の層(ラミネート層)の密度は0.918g/cm3であった。
【0179】
(融点の測定)
シーラントフィルムにおける各層の融点を、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121:2012に準拠して求めた。示差走査熱量計としては、日立ハイテクサイエンス社製の熱分析装置TA7000シリーズを使用した。具体的には、シーラントフィルムから各層の試料を採取した。約10mgの試料をアルミニウム製のセルに入れ、窒素雰囲気下において、10℃/minの加熱速度で20℃から融点より充分に高い温度(例えば、200℃)まで昇温し、その到達温度で10分間保持した後、10℃/minの冷却速度で20℃まで冷却した。この昇温、保持及び冷却をもう一度繰り返し、2回目の昇温の際に観測される最大吸熱ピークの融解ピーク温度を求め、これを融点とした。
【0180】
[接着剤]
以下の接着剤を用いた。
無溶剤型接着剤(NSL):ロックペイント製、2液硬化型ウレタン系無溶剤型接着剤、主剤:RN-920、硬化剤:HN-920=1:1で配合。主剤に含まれる重合体成分の重量平均分子量(Mw)は2,000から2,500の範囲にあり、主剤に含まれる重合体成分の多分散度(Mw/Mn)は2.0から2.5の範囲にあった。
【0181】
溶剤型接着剤(DL):ロックペイント製、2液硬化型ウレタン系溶剤型接着剤、主剤:RU-80、硬化剤:H-5=10:1.15で配合。主剤に含まれる重合体成分の重量平均分子量(Mw)は30,000から34,000の範囲にあり、数平均分子量(Mn)は7,500から9,500の範囲にあった。
【0182】
[塗工液の調製]
以下の組成を有する白色層用塗工液を調製した。
(白色層用塗工液)
・合成樹脂 12質量部
・酸化チタン 30質量部
・溶剤 58質量部
【0183】
[積層体の作製]
以下の実施例及び比較例の記載において、既出の層に関してすでに説明した内容(例えば層の形成条件及び厚さ)については、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0184】
[実施例1]
PE基材のコロナ処理面に、グラビア印刷機を用いて、白色層用塗工液を塗布し熱風乾燥させて、厚さ1.0μmの白色層を形成した。該基材における白色層面に、無溶剤型接着剤を塗布して厚さ1.0μmの接着剤層を形成し、該接着剤層面をPEフィルム(A)のコロナ処理面と貼り合わせた。貼り合わせ後、40℃×4日間のエージング処理を行った。以上のようにして、積層体を作製した。
【0185】
[実施例2~4]
PE基材のコロナ処理面に、グラビア印刷機を用いて、
・実施例2では油性グラビアインキ(DICグラフィックス製、商品名:フィナート)を塗布し熱風乾燥させて印刷層を形成し、その上に白色層用塗工液を塗布し熱風乾燥させて白色層を形成し;
・実施例3では上記油性グラビアインキを塗布し熱風乾燥させて印刷層を形成し、その上に白色層用塗工液を塗布し熱風乾燥させて白色層を形成し、その上に上記油性グラビアインキを塗布し熱風乾燥させて印刷層を形成し;
・実施例4では白色層用塗工液を塗布し熱風乾燥させて白色層を形成し、その上に上記油性グラビアインキを塗布し熱風乾燥させて印刷層を形成した。
それぞれの層の厚さは1.0μmである。
【0186】
PE基材における白色層面又は印刷層面に、無溶剤型接着剤を塗布して厚さ1.0μmの接着剤層を形成し、該接着剤層面をPEフィルム(A)のコロナ処理面と貼り合わせた。貼り合わせ後、40℃×4日間のエージング処理を行った。
以上のようにして、積層体を作製した。
【0187】
[比較例1及び2]
PE基材又はNy基材のコロナ処理面に、溶剤型接着剤を塗布し熱風乾燥させて厚さ3.0μmの接着剤層を形成し、該接着剤層面をPEフィルム(A)のコロナ処理面と貼り合わせた。貼り合わせ後、40℃×4日間のエージング処理を行った。以上のようにして、積層体を作製した。
【0188】
[包装袋の作製]
得られた積層体を2枚準備し、シーラント層が向かい合うように積層体同士を重ね合わせ、2辺をヒートシールすることで胴部を形成した。次いで、さらにもう1枚の積層体を、シーラント層が外側になるようにV字状に折り、胴部の一端から挟み込み、ヒートシールすることにより底部を形成し、スタンディングパウチを作成した。ヒートシール条件は、温度140℃、圧力1kgf/cm2、1秒とした。
【0189】
[引裂き強度]
JIS P8116、JIS K7128に準拠して、実施例及び比較例で作製した積層体を63mm×76mmの大きさにカットして、試験片を作製した。ここで、積層体の縦方向(MD)、横方向(TD)又はMDに対して斜め45°の方向に長さ63mmの短辺の向きが揃うように、積層体をカットした。試験片の長辺の中央部において、積層体の基材側から、試験片の短辺の向きに沿って、各装置の(平均)出力に対する出力80%及び走査速度100mm/s又は1000mm/sでレーザーを照射して直線状の易カット線(易開封線)を形成した。易開封線は5本形成した(図12参照)。易開封線の間隔は4mmとした。
【0190】
以下のレーザー照射装置を用いた。
・CO2レーザー照射装置
(キーエンス製、3-Axis CO2レーザマーカ ML-Z9520、
CO2レーザー、波長10.6μm、平均出力30W)、
・ファイバーレーザー照射装置
(パナソニック製、LP-Z250、
Yb:ファイバーレーザー、波長1060nm、平均出力25W、
印字パルス周期10μs、線幅70μm)
・UVレーザー照射装置
(キーエンス製、3-Axis UVレーザマーカ MD-U1000C、
YVO4レーザー、波長355nm、出力2.5W)
【0191】
易開封線に沿った引裂き強度を、JIS K7128-2:1998のエルメンドルフ引裂法に準拠して測定した。測定器は、エルメンドルフ引裂度試験機(東洋精機製作所S-01)を使用した。積層体を4枚重ねて試験片を作製し、2個の試験片について測定を行い、結果を4倍して16枚単位の値に換算して得られた値の平均値を引裂き強度(N)とした。実施例1の積層体に易開封線を形成しなかった場合の評価を参考例1として記載した。
【0192】
[手切れ性評価]
積層体の手切れ性を、上記引裂き強度に基づき評価した。
A :3.0N未満
B :3.0N以上
C :OVER(測定不可)
【0193】
[モノマテリアル率]
積層体におけるポリエチレンの含有割合が90質量%以上の場合を「A」と評価し、積層体におけるポリエチレンの含有割合が90質量%未満の場合を「B」と評価した。
【0194】
[変質部の断面観察及び幅W1の測定]
試験片の短辺に沿って形成された易開封線を4分割した場合の境界に位置する点P1、P2、P3を設定した。易開封線が延びる方向に直交するとともに点P1、P2、P3をそれぞれ通る直線に沿って積層体を切断した。3つの切断面を観察し、変質部の幅を測定した。幅の3つの測定値の平均値を、変質部の幅W1として用いた。表中では、幅W1を「線幅」と記載した。
キーエンス社製のデジタルマイクロスコープ VHX-6000を用いて、実施例1(CO2レーザー照射、出力:80%、走査速度:1000mm/sec)の積層体の断面形状を観察した(観察倍率1000倍)。積層体の観察結果を図13に示す。図13は、MD方向に沿ってレーザー照射された積層体の、MD方向に対して垂直な断面の画像である。VHX-6000の測長機能を用いて、図13の変質部の幅W1を測定した。その結果、109μmであった。
【0195】
【表1】
【0196】
【表2】
【0197】
【表3】
【符号の説明】
【0198】
10 包装袋
11 上部
12 下部
12a 下部シール部
13 側部
13a 側部シール部
14 表面フィルム
15 裏面フィルム
16 下部フィルム
17 収容部
20 注出口部
20a 注出口シール部
26 易開封線
27 貫通孔
28 切り欠き
30 積層体
30x 内面
30y 外面
40 延伸基材
50 発熱層
60 接着層
70 シーラント層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13