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特開2023-149145被処理水の処理方法、超純水の製造方法、複層床式の樹脂塔及び超純水製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149145
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】被処理水の処理方法、超純水の製造方法、複層床式の樹脂塔及び超純水製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20230101AFI20231005BHJP
   B01J 49/05 20170101ALI20231005BHJP
【FI】
C02F1/42 B
B01J49/05
C02F1/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057557
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000245531
【氏名又は名称】野村マイクロ・サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 克美
【テーマコード(参考)】
4D025
【Fターム(参考)】
4D025AA04
4D025BA08
4D025BA13
4D025BA22
4D025BB02
4D025BB03
4D025BB04
4D025BB07
4D025BB09
4D025BB15
4D025BB16
4D025BB18
4D025CA10
4D025DA01
4D025DA03
4D025DA04
4D025DA05
4D025DA10
(57)【要約】
【課題】複層床式の樹脂塔において流通する被処理水の水質の低下を防止できる被処理水の処理方法を提供する。
【解決手段】被処理水の処理方法は、筒状の塔体31の内側に被処理水と接触する第1の樹脂粒子41Aを含む第1充填層41を形成し、透水性を有する仕切り部材50であって、第1の樹脂粒子41Aとは異なる第2の樹脂粒子42Aの重量に応じて弾性変形可能な程度の柔軟性を有する素材で形成された仕切り部材50を、第1充填層41の上に塔体31に対して非拘束状態で配置し、仕切り部材50の上に第2の樹脂粒子42Aを含む第2充填層42を形成し、塔体31の内側で被処理水を上側から下側に流通させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の塔体の内側に被処理水と接触する第1の樹脂粒子を含む第1充填層を形成し、
透水性を有する仕切り部材であって、前記第1の樹脂粒子とは異なる第2の樹脂粒子の重量に応じて弾性変形可能な程度の柔軟性を有する素材で形成された仕切り部材を、前記第1充填層の上に前記塔体に対して非拘束状態で配置し、
前記仕切り部材の上に第2の樹脂粒子を含む第2充填層を形成し、
前記塔体の内側で被処理水を上側から下側に流通させることを特徴とする、
被処理水の処理方法。
【請求項2】
前記第1の樹脂粒子又は前記第2の樹脂粒子は、イオン交換樹脂であり、非再生式で用いられることを特徴とする、
請求項1に記載の被処理水の処理方法。
【請求項3】
外縁に枠部材を有する前記仕切り部材を配置することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の被処理水の処理方法。
【請求項4】
複数の前記仕切り部材が互いに重ね合わせ可能、及び、同一面内で展開可能に連結された仕切り部材連結体であって複数の前記仕切り部材が重ね合わせられた状態の前記仕切り部材連結体を前記塔体の内側に搬送し、
搬送された複数の前記仕切り部材を前記塔体の内側で展開し、
展開された状態の前記仕切り部材連結体を前記第1充填層の上に配置することを特徴とする、
請求項3に記載の被処理水の処理方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の被処理水の処理方法によって処理された被処理水を用いて超純水を製造することを特徴とする、
超純水の製造方法。
【請求項6】
筒状の塔体と、
前記塔体の内側に充填され被処理水と接触する第1の樹脂粒子を含む第1充填層と、
第1の樹脂粒子とは異なる第2の樹脂粒子を含み前記塔体の内側で前記第1充填層の上側に充填された第2充填層と、
透水性を有する仕切り部材であって、前記第1充填層と前記第2充填層との境界に前記塔体に対して非拘束状態で配置され、第2の樹脂粒子の重量に応じて弾性変形可能な程度の柔軟性を有する素材で形成された仕切り部材と、
を備えることを特徴とする複層床式の樹脂塔。
【請求項7】
原水に前処理が施される前処理部と、
前記前処理部によって処理された原水が濾過される一次純水製造部と、
前記一次純水製造部によって処理された一次純水の純度を高めることによって超純水を製造する二次純水製造部と、
前記前処理部と前記一次純水製造部と前記二次純水製造部とのうち少なくともいずれかに設けられた請求項6に記載の複層床式の樹脂塔と、
を備えることを特徴とする超純水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水の処理方法、超純水の製造方法、複層床式の樹脂塔及び超純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超純水製造装置の一次純水製造部や二次純水製造部等に設置される樹脂塔として、特許文献1及び特許文献2のようなイオン交換樹脂塔が知られている。イオン交換樹脂塔の内側には、特定のイオン成分を吸着する樹脂粒子が充填された充填層が床として設けられる。1つの樹脂塔の内側に配置される床としては、1つの充填層のみが用いられる単層床と、2つ以上の充填層が上下方向に沿って積層される複層床とがある。
【0003】
超純水製造時には、被処理水が、イオン交換樹脂塔内を上側から下側に流通する。イオン交換樹脂塔内で充填層を通過した被処理水は、イオン交換樹脂塔の後段に設置された所定の処理設備を通過することによって、最終的に超純水へと処理される。なお、超純水製造時には、被処理水が、イオン交換樹脂塔内を下側から上側に流通する場合もあるが、その場合には、樹脂層が乱れないように特別な工夫をする。
【0004】
一方、イオン交換等の処理に伴い、樹脂粒子のイオン成分の吸着性能は低下する。また、樹脂粒子のイオン成分の吸着性能の低下に伴って、樹脂粒子は収縮もしくは膨張する。低下したイオン成分の吸着性能を回復する方法として、特許文献1及び特許文献2では、被処理水の通水終了時、塩酸や苛性ソーダ等の薬品を含む再生液を塔内で下側から上側に流通させ、かつ、充填層を再生液に接触させることによって吸着性能を逆洗・再生する方法(以下、単に「再生式」とも称する。)が開示されている。
【0005】
一般的に、逆洗、もしくは再生の際に、樹脂は、上向きの水流によって、展開(浮遊して対流を起こす状態)する。そのため、処理後には樹脂層が少なからず乱れた状態となることは避けられない。また、樹脂層の乱れは処理水の水質の悪化の原因となる。一方、このような再生処理を行わない樹脂塔は「非再生式」と称し、この場合には、逆洗や再生による樹脂層の乱れは起きず、この操作による水質の悪化は起きない。
【0006】
複層床の樹脂塔の方式としては、特許文献1~3が例示される。特許文献1は、2床を直接積層させるものである。これは、構造がシンプルであるが、2層が混合することが常に問題となる方法である。特に逆洗や再生を行う際、混合の可能性が高くなる。通常は、上層に粒子の細かい、かつ/または、比重の小さいイオン交換樹脂を用いて、下層には粒子の大きい、かつ/または、比重の大きい樹脂を用いることによって、混合を避けるようにしているが、完全に2層を分けておくことは難しい。また、塔高が高くなる問題がある。
【0007】
また、特許文献2や特許文献3は、2床の間に固定式の多孔板を設置するものである。これは、実質的に、単層床の2塔式と同じである。この場合2層が混ざる恐れはないが、特に塔高が高くなる問題や塔の構造が複雑となる問題がある。
【0008】
また、単層床式の樹脂塔では、層間の混合の問題は起きないが、それでも、逆洗もしくは再生時の樹脂層の乱れが問題となる場合がある。そこで、この対策として、パックトベッド方式を採用することがある。これは、イオン交換樹脂塔内部の隙間をできるだけ少なくした方式で、逆洗、もしくは再生時の樹脂層の乱れは抑制されるが、逆洗による樹脂層内に混入した異物を排出することができないため再生が不十分となる懸念がある。
【0009】
また、特許文献4では、イオン交換樹脂の充填層が、イオン交換樹脂塔の内部の下側に配置されると共に、イオン交換樹脂の充填層の上に不活性樹脂粒子の充填層が配置される。そして、不活性樹脂粒子の充填層の上には、透水性を有するメッシュディスクが配置される。メッシュディスクの上には、ガラスビーズの充填層が配置される。ガラスビーズの充填層は、再生液が塔内を上昇する際、不活性樹脂粒子の充填層を押さえる押え層として働く。特許文献4によれば、再生処理の際、収縮もしくは膨張したイオン交換樹脂に再生液を通しても、イオン交換樹脂の充填層の下部の展開(流動化)に起因する充填層の乱れが、メッシュディスクによって抑制されるとされている。
【0010】
また、特許文献5では、特許文献4と同様、イオン交換樹脂の充填層が、イオン交換樹脂塔の内部の下側に配置されると共に、イオン交換樹脂の充填層の上に不活性樹脂粒子の充填層が配置される。そして、不活性樹脂粒子の充填層の上には、透水性を有する可動プレートが配置される。可動プレートの上には、再生液が塔内を上昇する際、不活性樹脂粒子の充填層を押さえる押え水が配置される。特許文献5によれば、特許文献4と同様、再生処理の際、収縮もしくは膨張したイオン交換樹脂に再生液を通しても、イオン交換樹脂の充填層の下部の展開(流動化)に起因する充填層の乱れが、可動プレートによって抑制されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006-192354号公報
【特許文献2】特開昭62-210095号公報
【特許文献3】特開2000-202440号公報
【特許文献4】特開2015-080749号公報
【特許文献5】特開2015-080750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ある現場の超純水製造装置の非再生式の複層床式のイオン交換樹脂塔に実際に通水したところ、著しく水質が悪い問題が発生するケースがあった。そこで、この現場の樹脂塔を詳細に確認したところ、樹脂層が図11の第1充填層41のように乱れていた。また、この原因を調査したところ、次の現象が起きることが判明した。
【0013】
樹脂塔の内側に、水と接触していない樹脂粒子を含む第1充填層41と第2充填層42とが配置された後、配置された充填層に対して最初に通水する際(本願においては、以下、水はり工程という)、塔内の下側の第1充填層41の樹脂粒子の間に存在した空気が、結合して気泡が発生する。発生した気泡は、下側の第1充填層41の層中を上昇する。上昇した気泡が塔内の下層の第1充填層41と上層の第2充填層42の境に到達し、さらに上層へ上昇していく際、下側の第1充填層41の第1の樹脂粒子41Aを伴いながら気泡は上昇していくので、下層の第1の樹脂粒子41Aと上側の第2充填層42の第2の樹脂粒子42Aとが混合する。もしくは、部分的に上層の第2充填層42の樹脂層が薄くなってしまう(図11中の状態b)。場合によっては、第2充填層42の樹脂層が消失してしまう(図11中の状態a)。
【0014】
すると、複層床を流通する被処理水に対する処理能力の均一性の低下を伴い、結果、被処理水の水質が低下するという問題が生じる。すなわち、図11中の状態aのような乱れがあると、例えば、第2充填層42が還元性樹脂の場合には、被処理水に含まれる過酸化物が直接第1充填層41のイオン交換樹脂と接触し、酸素が発生する。そのため、処理水の酸素濃度(DO)が増加する。また、図11中の状態bのような乱れがあると、図11中の状態bの直上の第2充填層42のイオン交換樹脂の層高は低くなっているので、通水を継続すると、図11中の状態bの直上の第2充填層42のイオン交換樹脂が失活し、過酸化物が図11中の状態bの直上の第2充填層42を通過し、第1充填層41のイオン交換樹脂と接触する。そのため、処理水の酸素濃度(DO)が増加する。
【0015】
単層床式の樹脂塔における充填層の混合を防止する手段として、上下方向で隣接する充填層の境界に、特許文献4のメッシュディスク又は特許文献5の可動プレートのような部材を、仕切り部材として配置する方法が考えられる。しかし、特許文献4のメッシュディスクは、再生処理時に用いられる押え部材であるため、非再生式の複層床式の樹脂塔の内側で隣接する充填層の境界に配置されることは、検討されていない。また、再生処理時でない通常の水処理の際、特に樹脂充填後の水はり時における、効果も検討されていない。また、不活性樹脂層やガラスビーズ層が必要となる為、塔が高くなってしまう問題がある。
【0016】
また、特許文献5の可動プレートも、上記と同様であるとともに、プレート自体の高さが必要であるため、塔が高くなってしまう問題がある。一般的に樹脂塔は高さが必要であるという弱点があり、純水装置の設置において常に問題となる。特に、特許文献4や特許文献5では、塔径の25%以上高くなるので、樹脂塔の設置場所が限定される問題が生じ、超純水装置の設置における大きな問題となる。
【0017】
加えて、特許文献4では、メッシュディスクが水平状態を保ったまま上下動するためのガイドプレートを固定するリングを、メッシュの外縁部に設ける必要がある。このため、仕切り部材としての重量が増えると共に製造コストが嵩むという問題も生じ得る。また、特許文献5では、可動プレートが水平状態を保ったまま上下動するための棒状の連結体を目板の外縁部に固定する必要がある。このため、特許文献4の場合と同様、仕切り部材としての重量が増えると共に製造コストが嵩むという問題が生じ得る。
【0018】
また、複層床式の樹脂塔においては、特許文献1のメッシュディスク又は特許文献2の可動プレートのような部材を充填層同士の境界に仕切り部材として仮に配置した場合、仕切り部材と樹脂層の間に空間が形成され、これが問題の原因となる懸念がある。具体的には、超純水の製造処理において、被処理水の流通によって樹脂粒子が収縮もしくは膨張することにより、上記の空間が生じ、これが樹脂層の乱れと同様に水質の悪化を発生させる可能性がある。
【0019】
ここで、下層の充填層の最上部のイオン交換樹脂は、仕切り部材の下面と接触している。通水によって、下層のイオン交換樹脂が収縮すると、収縮は、完全に均一におきることはないので、部分的の収縮が激しい箇所があると、この部分において、樹脂層の最上部と仕切り部材の間に空間が生じてしまう。
【0020】
結果、下層の充填層の最上部の表面と仕切り部材の下面との間の隙間が生じる。なお、以下、下層の充填層の上部の表面と仕切り部材の下面との間の隙間を、単に「仕切り部材の下面側の隙間」とも称する。隙間の体積が増加すると、充填層を通り抜ける被処理水の水みち(換言すると「チャネル」)の領域が拡がるため、水質の悪化の原因ともなり得る。
【0021】
本発明は、上記の問題に着目して為されたものであって、複層床式の樹脂塔における複数のイオン交換樹脂の混合を抑制することにより、複層床式の樹脂塔において流通する被処理水の水質の低下を防止できる、被処理水の処理方法、この被処理水の処理方法を用いた超純水の製造方法、複層床式の樹脂塔、及び、この複層床式の樹脂塔を備える超純水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第一態様に係る被処理水の処理方法は、筒状の塔体の内側に被処理水と接触する第1の樹脂粒子を含む第1充填層を形成し、透水性を有する仕切り部材であって、前記第1の樹脂粒子とは異なる第2の樹脂粒子の重量に応じて弾性変形可能な程度の柔軟性を有する素材で形成された仕切り部材を、前記第1充填層の上に前記塔体に対して非拘束状態で配置し、前記仕切り部材の上に前記第2の樹脂粒子を含む第2充填層を形成し、前記塔体の内側で被処理水を上側から下側に流通させる。
【0023】
第一態様では、透水性を有する仕切り部材が、塔体の内側で第1充填層と第2充填層との境界に配置されるため、水張りの際の気泡による第1充填層と第2充填層との混合を防止できる。
【0024】
通水の際に、第1充填層中のイオン交換樹脂の収縮が起きた場合、第1充填層の最上面のイオン交換樹脂と仕切り部材の間に空間が生じる。すると、その空間の直上の第2の樹脂粒子がその空間を埋めるべく移動する。仕切り部材は弾性変形可能なため、それに応じて下側の第1充填層へ向かって変形する。このため、隙間の体積の増加に起因する第1充填層の乱れが抑制され、結果、複層床式の樹脂塔の処理能力の均一性の低下を抑制できる。
【0025】
よって、第一態様によれば、複層床式の樹脂塔において流通する被処理水の水質の低下を防止できる。
【0026】
第二態様では、前記第1の樹脂粒子又は前記第2の樹脂粒子は、イオン交換樹脂であり、非再生式で用いられる。
【0027】
第二態様では、イオン成分の吸着性能は、非再生式で用いられる。ここで、通常、非再生式で回復された処理能力の方が、再生式で回復された処理能力より高い。このため、超純水の水質をより向上できる。
【0028】
第三態様では、外縁に枠部材を有する前記仕切り部材を配置する。
【0029】
第三態様では、枠部材によって仕切り部材がめくれ難くなる、このため、第1充填層と第2充填層との混合をより効果的に抑制できる。
【0030】
第四態様では、複数の前記仕切り部材が互いに重ね合わせ可能、及び、同一面内で展開可能に連結された仕切り部材連結体であって複数の前記仕切り部材が重ね合わせられた状態の前記仕切り部材連結体を前記塔体の内側に搬送し、搬送された複数の前記仕切り部材を前記塔体の内側で展開し、展開された状態の前記仕切り部材連結体を前記第1充填層の上に配置する。
【0031】
第四態様では、仕切り部材連結体をコンパクトに折り畳めるので、例えば、塔体に設けられる作業孔が比較的小径であっても、作業孔を通過させることができる。そのため、設置作業を容易に行うことができる。
【0032】
第五態様に係る超純水の製造方法は、第一態様~第四態様のいずれかの被処理水の処理方法によって処理された被処理水を用いて超純水を製造する。
【0033】
第五態様では、超純水を水質の低下を防止して製造できる。
【0034】
第六態様に係る複層床式の樹脂塔は、筒状の塔体と、前記塔体の内側に充填され被処理水と接触する第1の樹脂粒子を含む第1充填層と、第1の樹脂粒子とは異なる第2の樹脂粒子を含み前記塔体の内側で前記第1充填層の上側に充填された第2充填層と、透水性を有する仕切り部材であって、前記第1充填層と前記第2充填層との境界に前記塔体に対して非拘束状態で配置され、第2の樹脂粒子の重量に応じて弾性変形可能な程度の柔軟性を有する素材で形成された仕切り部材と、を備える。
【0035】
第六態様では、第一態様と同様、複層床式の樹脂塔において流通する被処理水の水質の低下を防止できる。
【0036】
第七態様に係る超純水製造装置は、原水に前処理が施される前処理部と、前記前処理部によって処理された原水が濾過される一次純水製造部と、前記一次純水製造部によって処理された一次純水の純度を高めることによって超純水を製造する二次純水製造部と、前記前処理部と前記一次純水製造部と前記二次純水製造部とのうち少なくともいずれかに設けられた第六態様に記載の複層床式の樹脂塔と、を備える。
【0037】
第七態様では、第五態様と同様、超純水を水質の低下を防止して製造できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、複層床式の樹脂塔において流通する被処理水の水質の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本実施形態に係る超純水製造装置を説明するブロック図である。
図2】本実施形態に係る複層床式の樹脂塔を、一部を破断して説明する断面図である。
図3】本実施形態に係る複層床式の樹脂塔の内側で、樹脂粒子が収縮する前における、仕切り部材によって隔てられた第1充填層と第2充填層との状態を説明する断面図である。
図4】本実施形態に係る仕切り部材を説明する斜視図である。
図5図5(A)は、本実施形態に係る複層床式の樹脂塔の非通水時のイオン交換樹脂の状態を模式的に説明する断面図であり、図5(B)は、樹脂塔の水はり時の樹脂塔内のイオン交換樹脂の状態を模式的に説明する断面図であり、図5(C)は、図5(B)の水はりの工程がさらに進んだ際の樹脂塔内のイオン交換樹脂の状態を模式的に説明する断面図である。
図6】本実施形態に係る複層床式の樹脂塔の内側で、樹脂粒子が収縮した後における、仕切り部材によって隔てられた第1充填層と第2充填層との状態を説明する断面図である。
図7図7(A)は、実施例に係る複層床式の樹脂塔の内側で、被処理水が流通する前における、仕切り部材によって隔てられた第1充填層と第2充填層との状態を説明する写真であり、図7(B)は、実施例に係る複層床式の樹脂塔の内側で、被処理水が流通した後における、仕切り部材によって隔てられた第1充填層と第2充填層との状態を説明する写真である。
図8図8(A)は、第1比較例に係る複層床式の樹脂塔の内側で、被処理水が流通する前における、仕切り部材によって隔てられた第1充填層と第2充填層との状態を説明する写真であり、図8(B)は、第1比較例に係る複層床式の樹脂塔の内側で、被処理水が流通した後における、仕切り部材によって隔てられた第1充填層と第2充填層との状態を説明する写真である。
図9】第2比較例に係る複層床式の樹脂塔の内側で、樹脂粒子が収縮した後における、仕切り部材によって隔てられた第1充填層と第2充填層との状態を説明する断面図である。
図10図10(A)は、変形例に係る仕切り部材連結体の複数の仕切り部材が展開された状態を説明する平面図であり、図10(B)は、図10(A)中の9B-9B線断面図であり、図10(C)は、変形例に係る仕切り部材連結体の複数の仕切り部材が重ね合わせられた状態を説明する断面図である。
図11】第1比較例に係る複層床式の樹脂塔の内部のイオン交換樹脂の状態を模式的に説明する樹脂塔の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分及び類似の部分には、同一の符号又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0041】
<超純水製造装置>
図1に示すように、本実施形態に係る超純水製造装置10は、前処理部12、一次純水製造部14、タンク16及び二次純水製造部18を備える。
【0042】
(前処理部)
前処理部12には、原水として、市水、井水、工業用水等が導入される。本実施形態では、前処理部12は、導入された原水の懸濁物質を除去することによって、前処理水を生成する。前処理部としては、原水に前処理が施される設備であれば、原水の水質等に応じて適宜構成できる。
【0043】
本発明では、前処理部としては、原水に前処理が施される設備であれば、原水の水質等に応じて適宜構成できる。例えば、前処理部12は、砂ろ過装置や精密ろ過装置等を備え、さらに必要に応じて被処理水の温度を調節するための熱交換器等を有してよい。
【0044】
(一次純水製造部)
一次純水製造部14では、前処理部12によって処理された原水、すなわち前処理水が濾過される。一次純水製造部14は、前処理水中の有機成分、イオン成分、溶存ガス等を除去することによって一次純水を製造し、製造された一次純水をタンク16に供給する。
【0045】
図示を省略するが、一次純水製造部14は、例えば、活性炭装置(AC)、二床三塔型装置(2ベット3タワー,2B3T)、逆浸透膜装置(RO)、紫外線酸化装置(TOC-UV)、混床式のイオン交換装置(MB)、脱気装置(DG)等の設備を備える。
【0046】
活性炭装置は、例えばヤシガラ活性炭等の活性炭を内部に備える活性炭塔である。活性炭装置は、被処理水中に含まれる有機物を活性炭に吸着させて除去する。二床三塔型装置は、第1のイオン交換装置と、脱炭酸装置と、第2のイオン交換装置とが、直列に配置された統合装置である。
【0047】
第1のイオン交換装置は、樹脂塔内にカチオン交換樹脂が収容された、例えば再生式単層床式もしくは再生式複層床式の陽イオン交換樹脂塔である。脱炭酸装置は、第1のイオン交換装置により処理された被処理水から炭酸成分を除去する。第2のイオン交換装置は、樹脂塔内にアニオン交換樹脂が収容された、例えば再生式単層床式もしくは再生式複層床式の陰イオン交換樹脂塔である。
【0048】
逆浸透膜装置は、二床三塔型装置で処理された被処理水中の不純物や塩類を、逆浸透膜(RO膜)により除去する。紫外線酸化装置は、逆浸透膜装置を通過した被処理水に紫外線を照射することによって、水中の微量有機物を分解除去する。イオン交換装置は、たとえば、樹脂塔内にカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが収容された混床式のイオン交換樹脂塔である。
【0049】
脱気装置は、イオン交換装置を通過した被処理水中に含まれる酸素等の気体成分を除去するための例えば膜脱気装置や真空脱気装置である。一次純水製造部14によって製造された一次純水は、例えば全有機炭素(TOC)濃度が5μgC/L以下、抵抗率が17MΩ・cm以上である。
【0050】
(タンク)
タンク16は、一次純水を貯留する。図示を省略するが、超純水製造装置10を構成するそれぞれの設備には、それぞれの設備の動作を制御する制御装置が接続される。制御装置によって、タンク16から、必要量の一次純水を二次純水製造部18に供給できる。
【0051】
(二次純水製造部)
二次純水製造部18は、一次純水製造部14によって処理された一次純水の純度を高めることによって超純水を製造する。具体的には、二次純水製造部18は、一次純水製造部14により製造された一次純水中の不純物を除去することによって、二次純水を製造する。製造された二次純水は、超純水として、超純水の使用場所であるユースポイントPOU(Point Of Use)に供給される。ユースポイントPOUを通過した余剰分の超純水は、タンク16によって回収される。
【0052】
図示を省略するが、二次純水製造部18は、タンク16の下流側に、例えば、熱交換器、紫外線酸化装置(TOC-UV)、過酸化水素除去装置、脱気膜装置、樹脂塔等の設備を備える。熱交換器は、タンク16から供給された一次純水の温度を調節する。紫外線酸化装置は、熱交換器で温度調節された一次純水に紫外線を照射して、水中の微量有機物を分解除去する。
【0053】
過酸化水素除去装置は、水中の過酸化水素を分解除去するための装置である。過酸化水素除去装置は、例えばパラジウム(Pd)担持樹脂によって過酸化水素を分解除去するパラジウム担持樹脂装置や、塩基性陰イオン交換樹脂に亜硫酸基及び/又は亜硫酸水素基を有する還元性樹脂を充填した還元性樹脂装置等である。
【0054】
脱気膜装置は、気体透過性を有する膜の二次側(すなわち、超純水の製造工程の下流測)を減圧して、一次側(すなわち、超純水の製造工程の上流測)を流通する水中の溶存ガスのみを二次側に透過させて除去する。
【0055】
本実施形態に係る樹脂塔は、第1充填層と第2充填層とを有する複層床式のイオン交換樹脂塔である。樹脂塔の内側に配置されたそれぞれの床は、ポリッシャーとして被処理水の中の微量の陽イオン成分又は陰イオン成分を吸着除去する。樹脂塔の内側には、本実施形態に係る仕切り部材が配置される。
【0056】
なお、本実施形態では、複層床式の樹脂塔が、二次純水製造部18における最終段、すなわちユースポイントPOUの直前の位置に設けられる限外ろ過膜装置(UF)の直前に設置する場合が例示される。本発明に係る樹脂塔は、例えば一次純水製造部14の最終段等、二次純水製造部18以外の設備の任意の位置に配置できる。本発明では、複層床式の樹脂塔は、前処理部12と一次純水製造部14と二次純水製造部18とのうち少なくともいずれかの位置に設けられればよい。
【0057】
二次純水製造部において、例えば、脱気膜装置の後段に本発明に係るイオン交換樹脂塔が配置され、かつ、イオン交換樹脂塔の後段に限外ろ過膜装置(UF)が配置されてもよい。限外ろ過膜装置は、樹脂塔によって処理された被処理水を処理することにより、例えば粒子径50nm以上(より好ましくは10nm以上)の微粒子を除去して超純水(すなわち、二次純水)を製造する。
【0058】
本実施形態に係る超純水製造装置10によって製造される超純水の水質としては、例えば粒子径50nm以上の微粒子数が50pcs./L以下、全有機炭素(TOC)濃度が1μgC/L以下、抵抗率が18MΩ・cm以上である。鉄(Fe)濃度が0.05μg/L以下、溶存酸素(DO)濃度2μg/L以下である。
【0059】
なお、本発明では、超純水製造装置を構成する設備又は装置は、適宜設定できる。例えば、ユースポイントPOUで使用された超純水を蓄えるタンク及びタンクに接続された廃水回収装置が設けられてもよい。廃水回収装置によって回収された排水としての超純水は、前処理部12のライン中の所定の装置に被処理水として送り出されることによって、超純水製造装置のラインを再び流通してもよい。
【0060】
<複層床式の樹脂塔>
次に、本実施形態に係る複層床式の樹脂塔を、図2図6を参照して具体的に説明する。図2に示すように、本実施形態に係る複層床式の樹脂塔25は、塔体31と、第1充填層41と、第2充填層42と、仕切り部材50と、を備える。
【0061】
(塔体)
塔体31は、円筒状の容器であると共に、樹脂塔25の本体である。なお、本発明では、塔体の形状は円筒状に限定されず、角筒状等、他の筒状であってよい。塔体31の筒の径は、例えば、300mm~2000mm程度である。樹脂塔25の塔体31の上部には、入口管32が設けられる。入口管32は、塔体31の内側に入口水としての被処理水を導く。また、樹脂塔25の塔体31の下部には、出口管34が設けられる。出口管34は、出口水としての被処理水を塔体31の外側に導く。
【0062】
(第1充填層及び第2充填層)
図3に示すように、第1充填層41は、複数の第1の樹脂粒子41Aを含む。第2充填層42は、複数の第2の樹脂粒子42Aを含む。第1充填層41は、塔体31の内側の内部空間における下側に充填されると共に、第2充填層42は、塔体31の内側で第1充填層41の上側に充填される。
【0063】
(第1の樹脂粒子)
本実施形態では、第1充填層41を形成する第1の樹脂粒子41Aは、被処理水との接触によって収縮することによって体積変化が生じるイオン交換樹脂の粒子である。なお、本発明では、樹脂粒子は、膨張してもよい。また、本発明では、第1の樹脂粒子41Aとしては、強酸性イオン交換樹脂(SC)、強塩基性イオン交換樹脂(SA)、強酸性イオン交換樹脂(SC)と強塩基性イオン交換樹脂(SA)との混合等を適宜採用できる。
【0064】
本実施形態に係る第1の樹脂粒子41Aの粒径R1は、例えば、0.4mm程度~0.5mm程度である。図3中に例示された粒径R1は、被処理水が第1充填層41を流通する前、すなわち、第1の樹脂粒子41Aが収縮する前の大きさである。なお、本発明では、第1の樹脂粒子41Aの径は、これに限定されず適宜変更できる。また、本実施形態では、説明の便宜のため、すべての第1の樹脂粒子41Aが同じ粒径R1を有するように例示されているが、実際には第1の樹脂粒子41Aの粒径は、それぞれ異なる場合がある。
【0065】
(第2の樹脂粒子)
本実施形態では、第2充填層42を形成する第2の樹脂粒子42Aは、第1の樹脂粒子41Aと同様、被処理水との接触によって収縮するイオン交換樹脂の粒子である。第2の樹脂粒子42Aの種類は、第1の樹脂粒子41Aの種類と異なる。
【0066】
第2の樹脂粒子42Aとしては、各種の強酸性イオン交換樹脂(SC)、シリカ除去用の強塩基性イオン交換樹脂(SA)、亜硫酸基及び/又は亜硫酸水素基を担持した強塩基性イオン交換樹脂樹脂(還元性樹脂)、N-グルカミン基等のホウ素選択性をもつ交換基ももつホウ素選択性樹脂(B)、貴金属触媒担持樹脂等を適宜採用できる。貴金属触媒担持樹脂の貴金属は、例えばパラジウム(Pd)又は白金(Pt)等を採用できる。
【0067】
本実施形態に係る第2の樹脂粒子42Aの粒径R1は、第1の樹脂粒子41Aと同様に、0.4mm程度~0.5mm程度である。図3中に例示された粒径R1は、第1の樹脂粒子41Aと同様、第2の樹脂粒子42Aが収縮する前の大きさである。なお、本発明では、第2の樹脂粒子42Aの径は、これに限定されず、適宜変更できる。また、第1の樹脂粒子41Aの場合と同様に、すべての第2の樹脂粒子42Aが同じ粒径R2を有するように例示されているが、実際には第2の樹脂粒子42Aの粒径は、それぞれ異なる場合がある。
【0068】
本実施形態に係る樹脂塔25は、通常、同規模の複数並列の樹脂塔で構成される。また、再生時に超純水製造装置の運転停止を避けるため、予備の樹脂塔を備える場合もある。
【0069】
本実施形態に係る樹脂塔25は非再生式の樹脂塔である。このため、第1充填層41又は第2充填層42のイオン交換能力が低下した場合は、装置を停止して、塔体31の内側から取り外される。取り外された充填層は、例えば工場等、超純水製造装置とは別の場所で再生処理が施されることによって再利用できる。また、取り外された充填層が再利用されることなく、新たな充填層が、第1充填層41又は第2充填層42として、樹脂塔25の内側に配置されてもよい。
【0070】
本発明の樹脂塔25は非再生式のため、樹脂交換の頻度を下げるため、前段に再生式のイオン交換装置等の脱イオン装置を備える。例えば、本発明の樹脂塔25が1次系に設置される場合、前段に、逆浸透装置、再生式イオン交換装置、2B3T装置、電気再生式イオン交換装置(EDI)等の脱イオン装置が設置される。本発明の樹脂塔25が2次系に設置される場合には、1次系に備えられた逆浸透装置、再生式イオン交換装置、2B3T装置、電気再生式イオン交換装置(EDI)等がこの役目を担う。
【0071】
本発明は、イオン交換樹脂の充填の際に仕切り部材を設置するだけでよく、また樹脂層高さも変化しない。また、仕切り部材は既存の装置のマンホール塔から出し入れできるので、既存の単層床もしくは複層床の樹脂塔をなんら改造せずに適用することができる。なお、単層床の場合は、複層床に変更する際に採用可能である。また、本発明を用いると、イオン交換樹脂の粒径や比重の制限がなくなるので、イオン交換樹脂の選択が自由になる。そのため、例えば、最適な水質を得るに適した樹脂や低価格の樹脂を制限なく選ぶ等が可能となる。
【0072】
また、複層床の場合、下層には一般的な樹脂、すなわち、カチオンかアニオン、もしくは、その両方を全般的に除去する樹脂が充填され、上層には下層の樹脂層の機能を補う等の何か特別な機能を追加するための樹脂を充填する場合が多い。そのため、下層の樹脂層が厚く、上層の樹脂層が薄くなる傾向がある。したがって、本願の課題のような、樹脂層の乱れが起きる場合、薄い上層は特に樹脂層の乱れの影響を受けやすく、上層が担う機能が著しく低下する場合が多い。本発明を用いることにより、この問題を解決することができる。
【0073】
(仕切り部材)
図3に示したように、仕切り部材50は、第1充填層41と第2充填層42との境界に配置される。図4に示すように、仕切り部材50は、平面視で円形状である。仕切り部材50は、網目部52と枠部材54とを有する。
【0074】
(網目部)
網目部52は、面状であり、円形状の仕切り部材50の中央に位置する。網目部52には、第2充填層42の荷重が、上側から加えられる。図6に示すように、網目部52は、第2充填層42が含む複数の第2の樹脂粒子42Aの重量に応じて弾性変形可能な程度の柔軟性を有する素材で形成される。
【0075】
換言すると、仕切り部材50は、網目部52の上に第2充填層42が配置された状態で、被処理水の流通が実行される際に、弾性変形可能な柔軟性を有するように構成される。本実施形態の網目部52は、例えばポリ塩化ビニリデン等の有機系の素材で作製されることによって、網目部52が金属製である場合より、上下方向において、より柔軟に変形可能である。仕切り部材としては、サランネット(商品名)が好ましい。
【0076】
なお、図6中に例示された第1の樹脂粒子41Aの粒径R2は、被処理水が第1充填層41を流通した後、すなわち、第1の樹脂粒子41Aが収縮した後の粒径である。同様に、第2の樹脂粒子42Aの粒径R2は、被処理水が第1充填層41を流通した後、すなわち、第2の樹脂粒子42Aが収縮した後の粒径である。例えば、本発明では、網目部の柔軟性は、第2の充填層の層厚のうち一定の割合の厚みに応じた高さの分、下側に突出するように弾性変形可能であるように設定され得る。
【0077】
網目部52は、収縮した後の粒径R2を有する第2の樹脂粒子42Aのうち、最も小さい粒径を有する第2の樹脂粒子42Aが網目を通過することを妨げられるように、網目の形状が設定される。具体的には、本実施形態では例えば、網目部52のメッシュが60程度であると共に、網目部52の目開きは、0.3mm程度以下である。また、網目部52の織り方は、水の通過抵抗が低くなる観点から平織が好ましいが、畳折であってもよい。なお、本発明ではメッシュ、線径及び目開き等の寸法並びに織り方等を含む網目部の仕様は、適宜変更できる。
【0078】
(枠部材)
枠部材54は、図4に示したように、リング状である。枠部材54は、仕切り部材50の外縁に設けられる。枠部材54は、例えばチタンやステンレス等の耐腐食性が比較的高い金属素材によって作製できる。なお、樹脂や動物の毛髪等の金属素材以外の素材によって作製されてもよい。なお、枠部材54はなくてもかまわない。
【0079】
本実施形態では、枠部材54は、塔体31の内側で上下動可能な程度に塔体31の内壁面との間に僅かな隙間を有して配置される。このため、仕切り部材50は、塔体31に対して非拘束状態で配置される。なお、非拘束状態とは塔の壁面等に固定しないことを意味する。本実施形態では、枠部材54によって仕切り部材50がめくれ難くなる。
【0080】
図4中には、見易さのため、上下方向に沿って一定の厚みを有し、かつ、平面視で帯状の枠部材54が例示されているが、本実施形態では、枠部材54の厚みは、実質的に無視できる程度に薄い。具体的には、例えば、網目部52のメッシュを構成する線部材と同等程度の厚みを有する針金状の金属素材によって、枠部材54を作製できる。枠部材54の厚みを薄く設定することによって、仕切り部材50の軽量化及びコスト低減を図ることができる。なお、本発明では、枠部材54の厚みは、これに限定されず、適宜変更できる。
【0081】
本実施形態では、仕切り部材50は、網目部52が目開きを有することと、枠部材54が上下動可能な程度に塔体31の内壁面との間に僅かな隙間を有して配置されることとによって、透水性を有する。なお、本発明では、仕切り部材50の透水性は、網目部52が目開きを有することと、枠部材54が上下動可能な程度に塔体31の内壁面との間に僅かな隙間を有して配置されることのうちの一方のみによって実現されてもよい。また、例えば貫通孔等、目開き以外の水の通り道が形成されることによって、仕切り部材50の透水性が実現されてもよい。
【0082】
<被処理水の処理方法及び超純水の製造方法>
次に、本実施形態に係る被処理水の処理方法を説明する。まず、本実施形態に係る樹脂塔25を用意する。次に、樹脂塔25の塔体31の内側に第1充填層41を形成する。次に、仕切り部材50を、第1充填層41の上に塔体31に対して非拘束状態で配置する。次に、図5(A)に示すように、仕切り部材50の上に、第2充填層42を形成する。そして、図5(B)及び図5(C)に示すような水はり工程を経た後に、被処理水を上側から下側に流通させればよい。
【0083】
図5(B)中には、第1充填層41の内部に蓄積された被処理水Wの内部で、気泡Bが生じた状態が例示されている。また、図5(C)中には、第1充填層41の内部に蓄積された被処理水Wの内部で、気泡Bが上昇する状態と、気泡Bが仕切り部材50を通過する状態と第2充填層42の内部で気泡Bが上昇する状態が例示されている。
【0084】
また、本実施形態に係る樹脂塔25は、非再生式である。このため、本実施形態に係る被処理水の処理方法では、イオン交換樹脂の吸着性能が低下した場合、第1の樹脂粒子41A又は第2の樹脂粒子42Aを塔体31の内側から取り出す。そして、新品の樹脂を充填すればよい。
【0085】
上記の一連の処理によって、本実施形態に係る被処理水の処理方法を構成できる。また、本実施形態に係る被処理水の処理方法によって処理された被処理水が超純水製造装置10の製造ラインで用いられることによって、高純度な超純水を製造することが可能になる。
【0086】
なお、本発明では、被処理水の処理方法としては、超純水の製造方法に限定されず、樹脂塔25の内側で樹脂粒子を用いて処理が行われる方法であればよい。また、樹脂塔25の内側で樹脂粒子を用いて処理が行われる方法であれば、処理の対象物としては水に限定されず、任意の液体、気体等の流体が用いられてよい。
【実施例0087】
次に、本実施形態に係る樹脂塔25の試験例を実施例として説明する。透明なアクリル製の塔体31を用意した。塔体31の筒の内径は、約50mmであった。
【0088】
次に、塔体31の内側に、第1の樹脂粒子41Aとして強塩基性陰イオン交換樹脂(商品名:DuoliteAGP,ローム アンド ハース社製)を、約200ml充填することによって、第1充填層41を形成した。次に、塔体31の内側で第1充填層41の上に、網目部52がメッシュ50のサランネット製の仕切り部材50を装填した。
【0089】
次に、塔体31の内側で仕切り部材50の上に、第2の樹脂粒子42Aとして強酸性陽イオン交換樹脂(商品名:ダイヤイオンSKT10L,三菱ケミカル社製)を約200ml充填することによって、第2充填層42を形成した。そして、図7(A)に示すように、第1充填層41の上側に仕切り部材50を介して第2充填層42が配置された、実施例に係る複層床式の樹脂塔25を形成した。
【0090】
ここで、超純水製造装置では、通常、樹脂塔25の塔内に最初に通水する際、第1充填層41では、第1の樹脂粒子41Aの表面に付着していた空気が気泡として発生する。第1充填層41で発生した気泡は、水中を上昇する。上昇した気泡が第2充填層42に到達すると、第1充填層41と第2充填層42とが混合する。また、第2充填層42の複数の第2の樹脂粒子42Aの配列に乱れが生じる。結果、第1充填層41と第2充填層42とを流通する被処理水の水質が低下する。
【0091】
このため、実施例では、第1の樹脂粒子41Aの表面に付着する空気によって形成される気泡の動きを観察し易くするため、一定量の空気を、実施例に係る複層床式の樹脂塔25の下部から導入した。そして、試験用水を3[m/時間]の流速で、下側から上側に向かって流通させ、第1充填層41の内側に気泡を通過させた。試験用水の水温は、16℃であった。なお、この際イオン交換樹脂層が展開すなわち、水流によって樹脂が対流することはなかった。
【0092】
実施例では、第1充填層41の内側に通過させた気泡のほとんどは、仕切り部材50の網目部52に保持されることによって、上側の第2充填層42への移動が抑制された。このため、図7(B)に示すように、実施例では、第1充填層41の内側に気泡を通過させた後、第1充填層41と第2充填層42との境界が鮮明に観察できた。図7(A)中で、塔体31の外壁面に貼付された粘着部材に描かれた黒い横線の位置は、第1充填層41と第2充填層42との境界を示す。すなわち、第1充填層41と第2充填層42とが混合しなかった。また、第2充填層42の複数の第2の樹脂粒子42Aの配列に乱れが生じなかった。
【0093】
なお、図7(B)中では、塔体31の内側における第1充填層41と第2充填層42との境界の高さが、粘着部材に描かれた黒い横線の位置より低い。これは、通水によって第1の樹脂粒子41A間の空気が気泡として樹脂層外へ抜けたため、樹脂粒子同士が通水前より密に隣接した結果、第1充填層41全体としての厚みが減少したためである。
【0094】
<第1比較例>
一方、図8(A)に示すように、仕切り部材以外について実施例に係る樹脂塔25の仕様と同じ仕様を有する樹脂塔を第1比較例として用意し、第1比較例に係る樹脂塔を用いて、実施例の試験条件と同じ試験条件で、第1比較例に係る試験例を実施した。
【0095】
第1比較例の場合、図8(B)に示すように、第1充填層41の内側に通過させた気泡が上側の第2充填層42へ移動することによって、第1充填層41と第2充填層42との境界が観察できなくなった。すなわち、第1充填層41と第2充填層42とが混合すると共に、第2充填層42の複数の第2の樹脂粒子42Aの配列に乱れが生じた。なお、この例では樹脂層の境界面全体が乱れてしまい、図11のような状態は観察できなかったが、これは、使用した試験用のカラムが径の小さいものであるためと考えられる。
【0096】
<第2比較例>
また、本実施形態に係る仕切り部材50と異なり、柔軟性を有さない網目部を有する仕切り部材50Zが設けられた場合の樹脂塔を、第2比較例として用意した。図9に示すように、第2比較例では、網目部が柔軟性を有さないため、仕切り部材50Zの下面側では、第1の樹脂粒子41Aが縮小しても、網目部が隙間を埋めるように変形しない。このため、第2比較例では、通水を継続し、イオン交換樹脂の体積が変化する際に、仕切り部材50Zの下面側の隙間Gの体積の増加は、被処理水の流通に伴い、拡大し続けることになる。この隙間は水質悪化の原因となるばかりか、通水を継続すると、仕切り部材50は次第に水平を保ちにくくなり、傾いたり、転覆する恐れがある。
【0097】
本願発明の方法を用いると、イオン交換樹脂塔に新品のイオン交換樹脂を充填後に水はりを行う際に、下側の第1充填層41で発生した気泡が上昇して、第1充填層41と第2充填層42を横切る際、仕切り部材50によって、下側の第1の樹脂粒子41Aが気泡の上昇に伴って上側の第2充填層42に移動することが防止される。このため、気泡の上昇に起因する、下側の第1の樹脂粒子41Aと上側の樹脂粒子との混合が抑制される。
【0098】
また、図5(A)に示すように、初回に通水する際は、第1の樹脂粒子41A及び第2の樹脂粒子42Aのそれぞれの樹脂粒子間が水で満たされていないので、水の浮力は無い。また、図5(B)及び図5(C)に示すように、被処理水Wの中を気泡Bが上昇する際も、樹脂層(第1充填層41)の上部は水で満たされていないので、仕切り部材50の重しとなるので、仕切り部材50が転覆することはない。
【0099】
また、図5(C)に続き、通水を開始し、仕切り部材50の上側に被処理水Wが貯まると、常に上からの水流で第2の樹脂粒子42Aも仕切り部材50に押し付けられるので、そのままの状態が維持される。通水を停止しても、図5中の下側から上側に向かう逆洗をしなければ、そのままの状態を維持できる。
【0100】
<その他の実施形態>
本発明は下記の開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものではない。
【0101】
<変形例:仕切り部材連結体>
本実施形態では、図1に示したように、塔体31の内側に、平面視で円形状の1枚の仕切り部材50が配置される場合が例示されたが、本発明では、これに限定されない。例えば、図10(A)に示す変形例に係る仕切り部材連結体60のように、3つの仕切り部材が連結されることによって、平面視で円形状の1枚の仕切り部材連結体60が形成されてもよい。
【0102】
変形例に係る仕切り部材連結体60は、第1仕切り部材60Aと、第2仕切り部材60Bと、第3仕切り部材60Cと、第1連結具70と、第2連結具72とを備える。仕切り部材連結体60の径dは、塔体31の内径とほぼ等しい。また、第1仕切り部材60Aと、第2仕切り部材60Bと、第3仕切り部材60Cとは、図10(A)中で、それぞれ上下方向に沿って延びる。
【0103】
第1仕切り部材60Aは、網目部62Aと、網目部の外縁に設けられた枠部材64Aとを有する。第2仕切り部材60Bは、網目部62Bと、網目部の外縁に設けられた枠部材64Bとを有する。第3仕切り部材60Cは、網目部62Cと、網目部の外縁に設けられた枠部材64Cとを有する。なお、変形例に係る仕切り部材連結体60のそれぞれの仕切り部材の網目部の構造と枠部材との構造については、図1中に例示された仕切り部材50の場合と同様であるため、重複説明を省略する。
【0104】
第1仕切り部材60Aは、図10(A)中の仕切り部材連結体60における左右方向の中央に位置する。第1仕切り部材60Aは、仕切り部材連結体60の円の中心を含む部材である。第1仕切り部材60Aの外縁は、円の中心を挟んでそれぞれ、図10(A)中で上下方向に沿って延びる一対の直線部と、一対の直線部の上端同士を繋ぐ上側の円弧部と、一対の直線部の下端同士を繋ぐ下側の円弧部とを有する。第1仕切り部材60Aは、図10(A)中で、仕切り部材連結体60の円の中心を挟んで、上下対称かつ左右対称である。
【0105】
第2仕切り部材60Bは、図10(A)中の第1仕切り部材60Aの左側に位置する。第2仕切り部材60Bの外縁は、図10(A)中の第1仕切り部材60Aの左側の直線部と間を空けて平行に上下方向に沿って延びる直線部と、直線部の左側で直線部の上端と下端とを繋ぐ円弧部とを有する。すなわち、第2仕切り部材60Bは、平面視で扇状であると共に、図10(A)中で、上下対称である。
【0106】
第3仕切り部材60Cは、図10(A)中の第1仕切り部材60Aの右側に位置する。第3仕切り部材60Cの外縁は、図10(A)中の第1仕切り部材60Aの右側の直線部と間を空けて平行に上下方向に沿って延びる直線部と、直線部の右側で直線部の上端と下端とを繋ぐ円弧部とを有する。すなわち、第3仕切り部材60Cは、平面視で扇状であると共に、図10(A)中で、上下対称である。
【0107】
図10(A)中、第2仕切り部材60Bと第3仕切り部材60Cとは、左右対称に配置される。すなわち、第2仕切り部材60Bと第3仕切り部材60Cとを部品として共通化できるので、作製コストの低減や保管スペースの削減等の観点で有利である。
【0108】
変形例では、仕切り部材連結体60が上下対称かつ左右対称であるように、3つの仕切り部材50が配置される。なお、本発明では「仕切り部材」の個数は、3つに限定されず、2つ以上の部材によって構成されてよい。
【0109】
第1連結具70は、図10(B)及び図10(C)に示すように、可撓性を有するフレキシブル部材で作製されることによって伸縮自在である。変形例では、第1連結具70は、第1仕切り部材60A及び第2仕切り部材60Bの間と、第1仕切り部材60A及び第3仕切り部材60Cの間とに、それぞれ6つずつ上下方向に互いに間を空けて配置される。なお、本発明では、第1連結具の素材、形状及び個数等については、これに限定されず、適宜変更できる。
【0110】
第2連結具72は、図10(A)に示すように、平面視で帯状である。第2連結具72は、図3中に例示された仕切り部材50の網目部と同様の透水性及び柔軟性を有する素材によって作製される網目状の部材である。また、第2連結具72の網目のメッシュは、塔体31の内側で第2連結具72の上側に位置する第2の樹脂粒子42Aの径よりも小さい。
【0111】
第2連結具72は、第1仕切り部材60A及び第2仕切り部材60Bの間と、第1仕切り部材60A及び第3仕切り部材60Cの間とに、それぞれ1つずつ配置される。具体的には、図10(A)及び図10(B)に示すように、左側の第2連結具72は、互いに間を空けて配置された第1仕切り部材60Aの外縁と及び第2仕切り部材60Bの外縁との両方に亘る程度の左右方向の幅を有する。
【0112】
また、図10(B)中の左側の第2連結具72は、第1仕切り部材60Aの上面と及び第2仕切り部材60Bの上面とに接合される。変形例では、第1仕切り部材60A及び第2仕切り部材60Bと第2連結具72とは、縫い付けによって接合される。なお、本発明では、接合方法はこれに限定されず、熱溶接や接着剤による接合等、任意である。
【0113】
透水性及び柔軟性を有する第2連結具72によって、第1仕切り部材60A及び第2仕切り部材60Bの間の位置における、第1充填層41と第2充填層42との混合が防止されると共に、第2連結具72の下面側で第1充填層41との間に形成される隙間を小さくすることができる。なお、図10(A)及び図10(B)中の右側の第2連結具72は、左側の第2連結具72と左右対称に配置されると共に、左側の第2連結具72と同様の構成を有する。
【0114】
図10(A)及び図10(B)に示したように、仕切り部材連結体60では、第1連結具70と第2連結具72とによって、第1仕切り部材60Aと第2仕切り部材60Bと第3仕切り部材60Cとが同一面内で展開可能に連結される。なお、本発明では、複数の仕切り部材の連結に際し、第1連結具70と第2連結具72との両方は必須ではなく、いずれか一方によってのみ、複数の仕切り部材が連結されてよい。
【0115】
また、図10(C)に示すように、変形例に係る仕切り部材連結体60では、第1連結具70と第2連結具72とによって、第1仕切り部材60Aと第2仕切り部材60Bと第3仕切り部材60Cとが互いに重ね合わせ可能である。なお、図10(C)中では、第2仕切り部材60Bと第3仕切り部材60Cとが、いずれも第1仕切り部材60Aの上側に重ね合わせられた状態が例示されたが、本発明では、重ね合わせ状態は、これに限定されない。本発明では、第2仕切り部材60Bと第3仕切り部材60Cとが、いずれも第1仕切り部材60Aの下側に重ね合わせられてよいし、或いは、第1仕切り部材60Aを挟んで互いに反対側の面上に重ね合わせられてもよい。
【0116】
また、変形例では、3つの仕切り部材のそれぞれに枠部材が設けられた場合が例示されたが、本発明では、枠部材は、複数の仕切り部材において塔体31の内壁面に対向する部分の外縁にのみ設けられてもよい。すなわち、枠部材は、互いに隣接する仕切り部材の外縁の直線部には設けられず、展開状態の仕切り部材連結体60の円形の外縁を構成する部分にのみ設けられてよい。隣接する仕切り部材の外縁の直線部に枠部材が設けられないので、枠部材が設けられない部分においても、網目部の柔軟性を確保できる。
【0117】
変形例に係る仕切り部材連結体60の使用方法としては、例えば図10(C)に示すように、まず、複数の仕切り部材が重ね合わせられた状態の仕切り部材連結体60を塔体31の内側に搬送する。そして、搬送された複数の仕切り部材を塔体31の内側で展開し、展開された状態の仕切り部材連結体60を第1充填層41の上に配置すればよい。
【0118】
また、仕切り部材を複数の部品としておいて、部品として塔内に持ち込み、塔内で結合させるようにしても良い。
【0119】
変形例では、仕切り部材連結体60をコンパクトに折り畳めるので、例えば、塔体31に設けられる作業孔が比較的小径であっても、作業孔を通過させることができる。
【0120】
また、図1図11中に例示した構成を部分的に組み合わせて、本発明を構成することもできる。以上のとおり本発明は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0121】
10 超純水製造装置
12 前処理部
14 一次純水製造部
16 タンク
18 二次純水製造部
25 樹脂塔
31 塔体
32 入口管
34 出口管
41 第1充填層
41A 第1の樹脂粒子
42 第2充填層
42A 第2の樹脂粒子
50 仕切り部材
50Z 仕切り部材
52 網目部
54 枠部材
60 仕切り部材連結体
60A,60B,60C 仕切り部材
62A,62B,62C 網目部
64A,64B,64C 枠部材
70 第1連結具
72 第2連結具
B 気泡
G 隙間
H 水位
POU ユースポイント
R1 粒径
R2 粒径
W 被処理水
d 径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11