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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149149
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】製函装置及び製函方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/02 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B65B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057563
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100157325
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】大道 亮太
【テーマコード(参考)】
3E003
【Fターム(参考)】
3E003AA01
3E003AB01
3E003BA03
3E003BB02
3E003BC01
3E003BD05
3E003BE02
3E003CA02
3E003CA05
3E003CB02
3E003CB06
3E003CB07
3E003DA04
3E003DA06
(57)【要約】
【課題】内フラップ押上手段を交換することなく高さ寸法の異なる力ートンの製函を可能にする。
【解決手段】ブランクシート10上のパンチ部材PRを保持するパンチ保持手段12と、曲げ方向(Z方向)へのパンチ部材PRに対する相対移動により、一対の突合せ内フラップ107を折り曲げる内フラップ押上手段25と、曲げ方向へのパンチ部材PRに対する相対移動により、後壁面部103に当接して曲げ方向に押し進むことにより、後壁面部103と一対の突合せ外フラップ108とを折り曲げる前後壁ダイ手段24とを有し、内フラップ押上手段25は、前後壁ダイ手段24に対する相対高さδを調整可能に構成されており、相対高さδが所定相対高さ以上であるとき、後壁面部103と一対の突合せ外フラップ107とを折り曲げる際に、内フラップ押上手段25のパンチ部材PRの押圧面に対する相対高さδが所定値以下に制限される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクシートを折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンを形成する製函装置であって、
前記ブランクシートは、第1の方向に沿った前壁面部、基底面部、後壁面部、蓋面部と、前記第1の方向と直交する第2の方向に前記後壁面部を挟む一対の突合せ内フラップと、前記第2の方向に前記天面部を挟む一対の突合せ外フラップとを含み、
前記ブランクシートが載設される基台と、
前記ブランクシートの基底面部に載設されたパンチ部材を保持するパンチ保持手段と、
前記パンチ部材に相対する曲げ方向への前記パンチ部材に対する相対移動により、前記一対の突合せ内フラップに当接して、前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップを根元の折り曲げ線にてそれぞれ前記曲げ方向に折り曲げる内フラップ押上手段と、
前記曲げ方向への前記パンチ部材に対する相対移動により、前記後壁面部に当接して前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップの折り曲げ後に、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを前記後壁面部の根元の折り曲げ線において前記曲げ方向に折り曲げるダイ手段とを有し、
前記内フラップ押上手段は、前記ダイ手段に対する相対高さを調整可能に構成されており、
前記相対高さが所定相対高さ以上であるとき、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる際に、前記内フラップ押上手段の前記パンチ部材の押圧面に対する相対高さが所定値以下に制限される
製函装置。
【請求項2】
前記内フラップ押上手段は、前記相対高さが所定相対高さ以上であって、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる際に、前記ダイ手段の前記曲げ方向への相対移動に伴って前記相対高さを減少させて、前記曲げ方向への相対移動を制限する
請求項1に記載の製函装置。
【請求項3】
ブランクシートを折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンを形成する製函方法であって、
前記ブランクシートは、第1の方向に沿った前壁面部、基底面部、後壁面部、蓋面部と、前記第1の方向と直交する第2の方向に前記後壁面部を挟む一対の突合せ内フラップと、前記第2の方向に前記天面部を挟む一対の突合せ外フラップとを含み、
基台に前記ブランクシートが載設する工程と、
前記ブランクシートの基底面部に載設されたパンチ部材を保持する工程と、
内フラップ押上手段を前記パンチ部材に相対する曲げ方向に前記パンチ部材に対して相対移動させて、前記一対の突合せ内フラップに当接して、前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップを根元の折り曲げ線にてそれぞれ前記曲げ方向に折り曲る工程と、
ダイ手段を前記曲げ方向に前記パンチ部材に対して相対移動させて、前記後壁面部に当接して前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップの折り曲げ後に、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを前記後壁面部の根元の折り曲げ線において前記曲げ方向に折り曲げる工程を有し、
前記内フラップ押上手段は、前記ダイ手段に対する相対高さを調整可能に構成されており、
前記相対高さが所定相対高さ以上であるとき、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる工程では、前記内フラップ押上手段の前記パンチ部材の押圧面に対する相対高さが所定値以下に制限される
製函方法。
【請求項4】
前記内フラップ押上手段は、前記相対高さが所定相対高さ以上であるとき、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる工程では、前記ダイ手段の前記曲げ方向への相対移動に伴って前記相対高さを減少させて、前記曲げ方向への相対移動を制限する
請求項3に記載の製函方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製品を包装するための包装装置に関し、特に、ブランクシートから製函され製品が充填された半函カートンを製函する動作を行う製函装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品を包装するための製造ラインにおいて、ラップラウンド型カートンのブランクシートから製品を詰め込んだ半函カートンを製函するという製函・包装工程が導入されており、例えば、特許文献1には、この工程に用いる製函装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-96482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、高さ寸法が短い力ートンは、後壁面部から幅方向の両側に延伸する内フラップ押上手段が蓋面部から幅方向の両側に延伸する突き合わせ外フラップに接触して引っかかることがあり、製函時の梱包箱の傷が発生するという問題があり、これを避けるために、内フラップ押上手段の高さを低く設定する必要があった。
【0005】
しかしながら、この場合には、高さ寸法の長いカートンの内フラップを十分に折り曲げることができないという問題が生じる。そのため、力ートンの高さ寸法に応じて、高さの異なる内フラップ押上手段を用いる対応が必要となり、変更の作業負荷が生じるとともに生産効率を低下させる要因となっていた。
【0006】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、内フラップ押上手段を交換することなく高さ寸法の異なる力ートンの製函を可能にするとともに、製函時の梱包箱の傷を抑制する製函装置及び製函方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様である製函装置は、ブランクシートを折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンを形成する製函装置であって、前記ブランクシートは、第1の方向に沿った前壁面部、基底面部、後壁面部、天面部と、前記第1の方向と直交する第2の方向に前記後壁面部を挟む一対の突合せ内フラップと、前記第2の方向に前記天面部を挟む一対の突合せ外フラップとを含み、前記ブランクシートが載設される基台と、前記ブランクシートの基底面部に載設されたパンチ部材を保持するパンチ保持手段と、前記パンチ部材に相対する曲げ方向への前記パンチ部材に対する相対移動により、前記一対の突合せ内フラップに当接して、前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップを根元の折り曲げ線にてそれぞれ前記曲げ方向に折り曲げる内フラップ押上手段と、前記曲げ方向への前記パンチ部材に対する相対移動により、前記後壁面に当接して前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップの折り曲げ後に、前記後壁面と前記一対の突合せ外フラップとを前記後壁面の根元の折り曲げ線において前記曲げ方向に折り曲げるダイ手段とを有し、前記内フラップ押上手段は、前記ダイ手段に対する相対高さを調整可能に構成されており、前記相対高さが所定相対高さ以上であるとき、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる際に、前記内フラップ押上手段の前記パンチ部材に対する相対高さが所定値以下に制限されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る製函装置及び製函方法によれば、内フラップ押上手段を交換することなく高さ寸法の異なる力ートンの製函を可能にするとともに、製函時の梱包箱の傷を抑制する製函装置及び製函方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、実施の形態に係る製函装置1に供給される半函カートンを製造するためのラップラウンドカートンの平面図、(b)は、製函装置1に供給される半函カートンの斜視図である。
図2】(a)(b)は、実施の形態に係る製函装置1を示す斜視図である。
図3】製函装置1の構成を示す平面図である。
図4】製函装置1の構成を示す正面図である。
図5図3における断面A-Aで切断した正断面図である。
図6】製函装置1の構成を示す左側面図である。
図7】製函装置1により高さ寸法が長い半函カートン100Hを製函している状態を示す斜視図である。
図8】製函装置1により高さ寸法が短い半函カートン100Lを製函する状態を示す斜視図である。
図9】従来の製函装置により半函カートンを製函している状態を示す斜視図である。
図10】(a)は、製函装置1による半函カートン100Hに対する製函動作を説明するための左側面図、(b)は模式正面図である。
図11】(a)は、製函装置1による半函カートン100Hに対する製函動作を説明するための左側面図、(b)は模式正面図である。
図12】(a)は、製函装置1による半函カートン100Hに対する製函動作を説明するための左側面図、(b)は模式正面図である。
図13】(a)は、製函装置1による半函カートン100Hに対する製函動作を説明するための左側面図、(b)は模式正面図である。
図14】(a)は、製函装置1による半函カートン100Lに対する製函動作を説明するための左側面図、(b)は模式正面図である。
図15】(a)は、製函装置1による半函カートン100Lに対する製函動作を説明するための左側面図、(b)は模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪発明を実施するための形態の概要≫
本開示における実施の形態に係る製函装置は、ブランクシートを折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンを形成する製函装置であって、前記ブランクシートは、第1の方向に沿った前壁面部、基底面部、後壁面部、天面部と、前記第1の方向と直交する第2の方向に前記後壁面部を挟む一対の突合せ内フラップと、前記第2の方向に前記天面部を挟む一対の突合せ外フラップとを含み、前記ブランクシートが載設される基台と、前記ブランクシートの基底面部に載設されたパンチ部材を保持するパンチ保持手段と、前記パンチ部材に相対する曲げ方向への前記パンチ部材に対する相対移動により、前記一対の突合せ内フラップに当接して、前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップを根元の折り曲げ線にてそれぞれ前記曲げ方向に折り曲げる内フラップ押上手段と、前記曲げ方向への前記パンチ部材に対する相対移動により、前記後壁面に当接して前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップの折り曲げ後に、前記後壁面と前記一対の突合せ外フラップとを前記後壁面の根元の折り曲げ線において前記曲げ方向に折り曲げるダイ手段とを有し、前記内フラップ押上手段は、前記ダイ手段に対する相対高さを調整可能に構成されており、前記相対高さが所定相対高さ以上であるとき、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる際に、前記内フラップ押上手段の前記パンチ部材の押圧面に対する相対高さが所定値以下に制限されることを特徴とする。
【0011】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、前記内フラップ押上手段は、前記相対高さが所定相対高さ以上であって、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる際に、前記ダイ手段の前記曲げ方向への相対移動に伴って前記相対高さを減少させて、前記曲げ方向への相対移動を制限する構成としてもよい。
【0012】
係る構成により、内フラップ押上手段を交換することなく高さ寸法の異なる力ートンの製函を可能にするとともに、製函時の梱包箱の傷を抑制する製函装置を実現することができる。
【0013】
また、本開示における実施の形態に係る製函方法は、ブランクシートを折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンを形成する製函方法であって、前記ブランクシートは、第1の方向に沿った前壁面部、基底面部、後壁面部、天面部と、前記第1の方向と直交する第2の方向に前記後壁面部を挟む一対の突合せ内フラップと、前記第2の方向に前記天面部を挟む一対の突合せ外フラップとを含み、基台に前記ブランクシートが載設する工程と、前記ブランクシートの基底面部に載設されたパンチ部材を保持する工程と、内フラップ押上手段を前記パンチ部材に相対する曲げ方向に前記パンチ部材に対して相対移動させて、前記一対の突合せ内フラップに当接して、前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップを根元の折り曲げ線にてそれぞれ前記曲げ方向に折り曲る工程と、ダイ手段を前記曲げ方向に前記パンチ部材に対して相対移動させて、前記後壁面に当接して前記曲げ方向に押し進むことにより、前記一対の突合せ内フラップの折り曲げ後に、前記後壁面と前記一対の突合せ外フラップとを前記後壁面の根元の折り曲げ線において前記曲げ方向に折り曲げる工程を有し、前記内フラップ押上手段は、前記ダイ手段に対する相対高さを調整可能に構成されており、前記相対高さが所定相対高さ以上であるとき、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる工程では、前記内フラップ押上手段の前記パンチ部材の押圧面に対する相対高さが所定値以下に制限されることを特徴とする。
【0014】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、前記内フラップ押上手段は、前記相対高さが所定相対高さ以上であるとき、前記後壁面部と前記一対の突合せ外フラップとを折り曲げる工程では、前記ダイ手段の前記曲げ方向への相対移動に伴って前記相対高さを減少させて、前記曲げ方向への相対移動を制限する構成としてもよい。
【0015】
係る構成により、内フラップ押上手段を交換することなく高さ寸法の異なる力ートンの製函を可能にするとともに、製函時の梱包箱の傷を抑制する製函方法を実現することができる。
【0016】
≪実施の形態≫
実施の形態に係る製函装置1の構成について図面を用いて説明する。ここで、本明細書では、各図におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ、幅方向、奥行方向、高さ方向とする場合があり、高さ方向の正方向を「上」方向、負方向を「下」方向とする場合がある。
【0017】
また、各図面における部材の縮尺は必ずしも実際のものと同じであるとは限らない。また、本明細書において、数値範囲を示す際に用いる符号「~」は、その両端の数値を含む。また、本実施形態で記載している、材料、数値等は好ましいものを例示しているだけであり、それに限定されることはない。また、本開示の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。また、他の実施形態との構成の一部同士の組み合わせは、矛盾が生じない範囲で可能である。
【0018】
<ブランクシート、半函カートンの構成>
本開示の一実施の形態に係る製函装置1に供給されるブランクシート100、及びブランクシート100から製函される半函カートン100Aの構成について説明する。
【0019】
図1(a)は、実施の形態に係る製函装置1に供給される半函カートンを製造するためのラップラウンドカートンの平面図である。
【0020】
ブランクシート100は、シート状に展開されたボール紙、段ボールからなるカートンのブランクシートであり、折り曲げ線によって立体を構成する複数の面に分割され、折り曲げ線で折り曲げることによって箱形状に製函される。
【0021】
図1(a)はブランクシート100を示す図であり、基底面部101、前壁面部102、後壁面部103、蓋面部104を主要部分として構成され、基底面部101、前壁面部102、後壁面部103、蓋面部104には、それぞれ、左側壁を構成するフラップ105L~108L、右側壁を構成するフラップ105R~108Rが折り曲げ線を挟んで連設されている。また、蓋面部104には、製函後において前壁面部102の外面に重なり糊しろとなるフラップ109が折り曲げ線を挟んで連設されている。
【0022】
図1(b)は、製函装置1によってブランクシート100から製函された半函カートン100Aの斜視図である。図1(b)に示すように、半函カートン100Aは、ブランクシート100の前壁面部102、後壁面部103、フラップ105L~107L、フラップ105R~107Rを、それぞれの根元の曲げ線で上方に折り曲げて、基底面部101を底面として成形した蓋付半函カートンである。ブランクシート100の基底面部101が製函における基準面となる。
【0023】
また、フラップ106L、107Lはフラップ105Lの内方に、フラップ106R、107Rはフラップ105Rの内側に入り込んで、それぞれ左側壁、右側壁となる。したがって、フラップ106L、107Lと、フラップ106R、107Rは、それぞれ一対の突合せ内フラップを構成する。また、フラップ105L、108Lと、フラップ105R、108Rは、それぞれ一対の突合せ外フラップを構成する。
【0024】
この半函カートン100Aは、フラップ105L、105R、108L、108R、109の内表面の一部に接着剤を塗布し、フラップ105Lの内表面は側壁面106Lおよび107Lの外面と接着し、また、フラップ105Rの内表面は側壁面106Rおよび107Rの外面と接着して製函することにより構成される。
【0025】
そして、何らかの方法により製品が内包された半函カートン100Aに対して、製函工程では、フラップ109の内面が前壁面部102の外面に、フラップ105L、108Lの内面が左側壁を成すフラップ106L、107Lの外面に、フラップ105R、108Rの内面が右側壁を成すフラップ106R、107Rの外面にそれぞれ接着されることで、製品が内包されたカートンが形成される。
【0026】
<製函装置1の構成について>
次に、実施の形態に係る製函装置1の構成について図面を用いて説明する。
【0027】
図2(a)、(b)は、製函装置1の構成を示す斜視図、図3は平面図、図4は正面図、図5は、図3における断面A-Aで切断した正断面図、図6は左側面図である。
【0028】
(全体構成)
製函装置1は、ラップラウンド型カートンのブランクシート100を折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンAを形成する機構ユニットである。
【0029】
図2~6に示すように、製函装置1は、ブランクシート100が載設される基台40と、ブランクシート100の基底面部101に製品PRを載設されて保持する製品供給保持手段10と、ダイ機構ユニット20(雌型)を有する。
【0030】
さらに、製函装置1は、製品供給保持手段10、ダイ機構ユニット20を制御する制御部50を備え、それぞれの要素が連関して動作するように制御されている。制御部は、例えば、一般的なCPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)と、これらで実行されるプログラムを備えるコンピュータとして実現される。制御部は、記憶装置等から製函装置1にかかる制御プログラムをRAMに読みだして実行することにより、製函装置1を構成する各要素それぞれが連関して動作するように制御して製函装置1の機能を実現する。
【0031】
なお、本実施の形態では、製函対象となるブランクシート100として、半函カートン100Aを製函するためのラップラウンド形状のカートンのブランクシートを例に、製函装置1の態様について説明する。しかしながら、使用できるブランクシート100は、突合せ内フラップと突合せ外フラップを有する構造のものであればよく、ラップラウンド型以外に、例えば、ストレート型等、他の形状であってもよい。
【0032】
(各部の構成概要)
以下、製函装置1における、各部の構成の概要について、説明する。
【0033】
[製品PR]
製品PRはブランクシート100の被包装物(内容物)であって、例えば、加工食品、菓子、日用品等、一般に流通する商品が立方体形状や直方体形状の箱に詰められた形態のものを用いることができる。製函装置1では、XYZ各方向の寸法が異なる複数の種類の製品PRを用いることができる。この場合、製品PRのサイズに対応するブランクシート100を準備し、当該ブランクシート100を、製品PRをパンチ部材(雄型)として製函することにより、製品PRが収容された半函カートンAを形成することができる。
【0034】
[製品供給保持手段10]
製品供給保持手段10は、基台40に載置されたブランクシート100の基底面部101に製品PRを載設するとともに、製函動作時に載設された製品PRの天面を保持する機構ユニットである。
【0035】
製品供給保持手段10は、ワークヘッド11、製品保持手段12、製品供給手段13、ロボットハンド14、ロボットアーム15、ロボット本体基部16、製品搬送台17を有する。
【0036】
ロボットアーム15は、例えば、設備の天井等に設置されたロボット本体基部16など、ロボットアーム15自身よりも上方に位置する部材から吊り下げられて延伸した態様の天吊りロボットアームである。
【0037】
ロボットアーム15は、ロボットハンド14を介してワークヘッド11を回動自在に支持し、製品保持手段12、製品供給手段13を保持するワークヘッド11をYZ平面からなる2次元空間の中で所定の位置への移動を可能とする機構を用いることができる。
【0038】
また、ロボットアーム15は、駆動手段(例えば、モータ)を含み、制御部(不図示)から発せられる制御信号に基づき駆動され、ワークヘッド11のYZ面内の位置を変更することができる。
【0039】
ロボットハンド14は、ロボットアーム15の先端に接続されることでYZ面内の2次元空間内を移動する保持手段であり、ワークヘッド11を保持する。
【0040】
ワークヘッド11は、ロボットアーム15の先端に接続されたロボットハンド14に回転自在に保持された構造部材であって、製品保持手段12、製品供給手段13を構成する各種機構部材が下面から下方に向けて立設している。これらの構成部材をYZ方向に2次元空間内の所望の位置に移動させることによって機能を実現する。
【0041】
製品供給手段13は、基台40に載置されたブランクシート100の基底面部101に製品PRを載設するための製品保持部材であり、背面保持部132と前面保持部133と一対の側面保持部134L、R(まとめて「側面保持部134」と記す場合がある)と、これら保持部の位置を製品PRのサイズに合わせて変更する位置可変機構131からなる。
【0042】
製品PRは、平面視において背面保持部132と前面保持部133と側面保持部134に囲まれた状態で、ワークヘッド11によって製品搬送台17をブランクシート100の基底面部101までスライドさせて移送される。
【0043】
製品保持手段12は、製函動作時にブランクシート100の基底面部101に載設された製品PRの天面を保持する押圧手段であり、基本保持部122と付加的保持部121からなる。
【0044】
基本保持部122は、製品PRの天面のX方向のサイズにかかわらず常に動作するワークヘッド11の下面から固定的に延設された製品PRの天面に当接する構造部材である。
【0045】
付加的保持部121は、基本保持部122に対しX方向に併設され、製品PRの天面のX方向のサイズが大きいときに動作して、基本保持部122と共に製品PRの天面に当接する構造部材である。
【0046】
付加的保持部121は、図4に示すように、押圧部121aと、押圧部121aを保持するスライドアーム121bと、スライドアーム121bをZ方向に往復移動可能なスライド機構121cを有し、押圧部121aがZ方向に往復移動可能に構成されている。これより、非動作時には製品PRの天面に当接しない高さまで上方に退避することができる。
【0047】
以上の構成からなる製品供給保持手段10は、制御部50の指示に基づき製品PRのサイズに適合するように動作し、基台40に載置されたブランクシート100の基底面部101に製品PRを載設するとともに、製函動作時に載設された製品PRの天面を保持する。
【0048】
[ダイ機構ユニット20]
ダイ機構ユニット20は、製函時にパンチ部材(雄型)に相当する製品PRをパンチ部材(雄型)にして、パンチ部材に相対する曲げ方向(本明細書ではZ方向(上方))に移動して、ブランクシート100を折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンAを形成するように移動する雌型機構である。
【0049】
例えば、図3に示すように、ダイ機構ユニット20は、ブランクシート100の基底面部101の4辺に対し、前壁面部102側に位置するそれぞれ2本の前後壁ダイ手段24L、R(まとめて「前後壁ダイ手段24」と記す場合がある)と、後壁面部103側に位置するそれぞれ2本の前後壁ダイ手段24L、Rと、フラップ105L、R側に位置するそれぞれ2本の側壁ダイ手段27L、R(まとめて「側壁ダイ手段27」と記す場合がある)を備える。
【0050】
また、これらのダイ手段24、27が上設される固定基部22と移動基部23と、移動基部23のX方向への往復移動を案内する2本のガイドレール21を備える。
【0051】
また、ブランクシート100の前壁面部102側に位置する左右一対の内フラップ押上手段26L、R(まとめて「内フラップ押上手段26」と記す場合がある)と、後壁面部103側に位置する左右一対の内フラップ押上手段25L、R(まとめて「内フラップ押上手段25」と記す場合がある)を備える。
【0052】
ガイドレール21は、X方向に延伸する長尺状のレール部材であり、固定基部22と移動基部23が上設され、Y方向に基台40を挟んで2本が配されている。ガイドレール21をZ方向に移送することにより、固定基部22と移動基部23上の部材を製函時のダイとして機能させる(図2図4~6、におけるMz)。
【0053】
固定基部22は、それぞれのガイドレール21のX方向の終端に配された構造部材である。
【0054】
ブランクシート100の前壁面部102側に位置する固定基部22には、前後壁ダイ手段24Lと内フラップ押上手段25Lと側壁ダイ手段27Lが立設されている。また、ブランクシート100の後壁面部103側に位置する固定基部22には、前後壁ダイ手段24Lと内フラップ押上手段25Lと側壁ダイ手段27Lが立設されている。
【0055】
移動基部23は、それぞれのガイドレール21上にX方向に往復移動可能に配された構造部材である。制御部50からの指示に基づき製品PR(図示せず)のX方向のサイズに適合するようにガイドレール21上をX方向に移動する(図2~5、におけるMx)。
【0056】
ブランクシート100の基底面部101の4辺に対し、前壁面部102側に位置する移動基部23には、前後壁ダイ手段24Rと内フラップ押上手段25Rと側壁ダイ手段27Rが立設されている。また、後壁面部103側に位置する移動基部23には、前後壁ダイ手段24Rと内フラップ押上手段25Rと側壁ダイ手段27Rが立設されている。
【0057】
前壁面部102側に位置する前後壁ダイ手段24は、ガイドレール21の上昇により、前壁面部102に当接してZ方向に押し進むことにより、前壁面部102を根元の折り曲げ線においてZ方向に折り曲げるための受け型手段である。前壁面部102側に位置する固定基部22に2本の前後壁ダイ手段24Lが、移動基部23に2本の前後壁ダイ手段24Rがそれぞれ立設している。
【0058】
一方、後壁面部103側に位置する前後壁ダイ手段24は、ガイドレール21の上昇により、後壁面部103に当接してZ方向に押し進むことにより、後壁面部103を根元の折り曲げ線においてZ方向に折り曲げるための受け型手段である。後壁面部103側に位置する固定基部22に2本の前後壁ダイ手段24Lが、移動基部23に2本の前後壁ダイ手段24Rがそれぞれ立設している。
【0059】
移動基部23から立設する前後壁ダイ手段24は、制御部50からの指示に基づき移動基部23によって製品PRのX方向のサイズに適合するようにガイドレール21上をX方向に移動することができる(図2~5、におけるMx)。
【0060】
側壁ダイ手段27L、Rは、フラップ105L、Rを根元の折れ線において折り曲げるための受け型手段である。前壁面部102側に位置する固定基部22と後壁面部103側に位置する固定基部22にそれぞれ1本の側壁ダイ手段27Lが立設している。また、前壁面部102側に位置する移動基部23と後壁面部103側に位置する移動基部23にそれぞれ1本の側壁ダイ手段27Lが立設している。
【0061】
移動基部23から立設する側壁ダイ手段27は、制御部50からの指示に基づき移動基部23によって製品PRのX方向のサイズに適合するようにガイドレール21上をX方向に移動することができる(図2~5、におけるMx)。
【0062】
内フラップ押上手段25、26は、ガイドレール21の上昇により、一対の突合せ内フラップ107、106に当接して、Z方向に押し進むことにより、フラップ107、106を根元の折り曲げ線にてそれぞれZ方向に折り曲げるレバー部材である。
【0063】
フラップ107L、106Lをそれぞれ折り曲げるレバー部材として、前壁面部102側に位置する固定基部22と後壁面部103側に位置する固定基部22にそれぞれ1本の内フラップ押上手段26L、25Lが立設している。
【0064】
また、フラップ107R、106Rをそれぞれ折り曲げるレバー部材として、前壁面部102側に位置する移動基部23と後壁面部103側に位置する移動基部23にそれぞれ1本の内フラップ押上手段26R、25Rが立設している。
【0065】
移動基部23から立設する内フラップ押上手段25R、26Rは、制御部50からの指示に基づき移動基部23によって製品PRのX方向のサイズに適合するようにガイドレール21上をX方向に移動することができる(図2~5、におけるMx)。
【0066】
(内フラップ押上手段25の詳細)
内フラップ押上手段25L、Rは、図2(b)、図4、6に示すように、一対の突合せ内フラップ107L、R(まとめて「内フラップ107」と記す場合がある)に当接する内フラップ押上レバー251と、内フラップ押上レバー251を保持するスライドアーム252と、スライドアーム252をZ方向に往復移動可能なスライド機構253と、スライド機構253を保持する支柱254を有する。
【0067】
係る構成により、内フラップ押上手段25は、スライド機構253を動作させてスライドアーム252をZ方向の高さを変えることにより、スライドアーム252の前後壁ダイ手段24に対する相対高さδ(図4参照)を調整可能に構成されている。
【0068】
なお上述した、一対の突合せ内フラップ107L、Rを折り曲げる動作は、内フラップ押上手段25の前後壁ダイ手段24に対する相対高さδ(図4参照)が所定値以上である条件において、前後壁ダイ手段24のZ方向への移動と共に行う。
【0069】
その後、後壁面部103と一対の突合せ外フラップと108L、Rを折り曲げる動作時には、ガイドレール21の上昇に対し、スライド機構252によりスライドアーム252を下降させることで内フラップ押上レバー251が必要以上に上昇してしまうことを制限する。これにより、内フラップ押上レバー251の絶対高さを最適な高さとすることができる。
【0070】
図7は、製函装置1により高さ寸法が長い半函カートン100Hを製函している状態を示す斜視図であり、図8は、高さ寸法が短い半函カートン100Lを製函する状態を示した図である。図9は、従来の製函装置により半函カートンを製函している状態を示す斜視図である。
【0071】
従来の製函装置では、図9に示すように、内フラップ押上手段25Xにおいて、内フラップ押上レバー251Xが直接、支柱254Xに固定されており、内フラップ押上レバー251Xの高さを変動させることができない構造が採られていた。
【0072】
ところが、このような構造では、内フラップ押上レバー251を内フラップ107L、Rに十分に当接させて、フラップ107を折り曲げる際、製函対象として高さ寸法が長い半函カートン100Hと高さ寸法が短い半函カートン100Lとが混在する場合に、以下のような問題が生じていた。
【0073】
すなわち、例えば半カートン100Hに合わせて内フラップ押上レバー251Xの高さを高く設定すると、高さ寸法が短い半函カートン100Lに対し、前後壁ダイ手段24を押し上げて(図9、におけるMx)、後壁面部103と外フラップと108L、Rを折り曲げる際、内フラップ押上レバー251Xが外フラップ108と接触する(同図、におけるA部)という問題が発生する。
【0074】
他方、高さ寸法が短い半函カートン100Lに合わせて内フラップ押上レバー251Xの高さを低く設定すると、高さ寸法が長い半函カートン100Hの際に、内フラップ107L、Rの根元からの長さが長いために、内フラップ押上レバー251が内フラップ107L、Rに十分に当接することができなくなり、フラップ107の折り曲げ不良が発生するという問題があった。
【0075】
これに対し、本実施の形態に係る製函装置1は、図7(a)、(b)に示すように、内フラップ押上レバー251が必要以上に上昇することを制限できる構造であるため、高さ寸法が長い半函カートン100Hと、高さ寸法が短い半函カートン100Lとが混在する場合であっても、上述した問題の発生を抑制できる。
【0076】
具体的には、高さ寸法が長い半函カートン100Hに対する製函動作では、内フラップ押上レバー251の前後壁ダイ手段24に対する相対高さδHは所定の値以上に設定される。そして、内フラップ押上レバー251は、ガイドレール21の上昇により前後壁ダイ手段24と共に移動することにより、フラップ107をZ方向に折り曲げる。
【0077】
このとき、半函カートン100Hの高さが高くフラップ107の根元から先端までの長さが長い場合でも、相対高さδHを所定の値以上としたことにより、内フラップ押上レバー251を内フラップ107L、Rに十分に当接させることができ、フラップ107を上方に折り曲げることができる。
【0078】
その後、後壁面部103と外フラップと108L、Rを折り曲げる際に、前後壁ダイ手段24の上昇に伴って、スライド機構252の動作によりスライドアーム252を下降させて(図7、におけるMA)、内フラップ押上レバー251の上昇を制限する。
【0079】
その結果、後壁面部103と外フラップと108L、Rを折り曲げる際には、内フラップ押上レバー251が外フラップ108と十分に離間した状態となり両者が接触することはない。
【0080】
一方、高さ寸法が短い半函カートン100Lに対する製函動作では、図8に示すように、内フラップ押上レバー251の前後壁ダイ手段24に対する相対高さδLは所定の値より小さく設定される。そして、内フラップ押上レバー251は、ガイドレール21の上昇により前後壁ダイ手段24と共に移動することにより、フラップ107を上方に折り曲げる。
【0081】
このとき、内フラップ押上レバー251の前後壁ダイ手段24に対する相対高さδLは低いために、内フラップ押上レバー251が外フラップ108と十分に離間し、両者が接触することはない。
【0082】
<製函装置1の動作>
次に、製函装置1の動作について、図面を用いて説明する。
【0083】
先ず、高さ寸法が長い半函カートン100Hに対する製函動作について説明する。
【0084】
図10~12(a)は、製函装置1による半函カートン100Hに対する製函動作を説明するための左側面図であり、(b)は正面図である。
【0085】
先ず、初期状態では、高さ寸法が長い半函カートン100Hに対する製函動作では、内フラップ押上レバー251の前後壁ダイ手段24に対する相対高さδH(図7参照)は所定の値以上に設定され、シート搬入手段(不図示)により半函カートン100Hのブランクシート100(H)が基台40に載置される(図10(a)(b)、におけるT1)。
【0086】
次に、製品供給保持手段10により、平面視において背面保持部132、前面保持部133、一対の側面保持部134に囲まれた状態で、製品搬送台17からブランクシート100(H)上をスライドさせて移送され、ブランクシート100(H)の基底面部101に製品PRが載設される(図11(a)(b)、におけるT2)。
【0087】
次に、製品保持手段12により、製品PRの天面を保持した状態で(図12(a)(b)、におけるM1)、内フラップ押上手段25、26は、それぞれZ方向の先端部26a、251aがガイドレール21の上昇により、一対の突合せ内フラップ107、106に当接して、Z方向(上方)に押し進むことにより、フラップ107、106を根元の折り曲げ線にてそれぞれZ方向(上方)に折り曲げる(同図、におけるM2)。
【0088】
このとき、半函カートン100Hに対し、相対高さδH(図7参照)は所定の値以上としたことにより、内フラップ押上レバー251を内フラップ107に十分に当接させることができ、フラップ107をZ方向(上方)に問題なく折り曲げることができる。
【0089】
次に、前後壁ダイ手段24が、ガイドレール21の上昇により、前壁面部102又は後壁面部103に当接してZ方向(上方)に押し進むことにより、前壁面部102又は後壁面部103を根元の折り曲げ線においてZ方向(上方)に折り曲げる(図13(a)(b)、におけるM3)と同時に、内フラップ押上手段25は、前後壁ダイ手段24の上昇に伴って、スライド機構252の動作によりスライドアーム252を下降させて(同図、におけるMA)、内フラップ押上レバー251の上昇を制限する。
【0090】
これにより、後壁面部103と外フラップ108を折り曲げ時の内フラップ押上レバー251の先端251aの製品PRの押圧面(下面)に対する相対高さδH(図7参照)の最大値が所定値以下に制限され、内フラップ押上レバー251の先端部251aは外フラップ108と十分に離間した状態となり(同図、におけるδ1)両者が接触することが防止される。
【0091】
以上により、半函カートン100Hの製函動作が完了する。
【0092】
次に、高さ寸法が短い半函カートン100Lに対する製函動作について説明する。
【0093】
図14(a)は、製函装置1による半函カートン100Lに対する製函動作を説明するための左側面図、(b)は模式正面図である。
【0094】
先ず、初期状態では、高さ寸法が短い半函カートン100Lに対する製函動作では、内フラップ押上レバー251の前後壁ダイ手段24に対する相対高さδL(図8参照)は所定の値以下に設定される。その後の半函カートン100Lのブランクシート100(L)が基台40への載置と、製品供給保持手段10による、製品PRのブランクシート100(L)の基底面部101への載設かかる動作は、図10(a)(b)、図11(a)(b)に示す動作と同じである。
【0095】
次に、製品保持手段12により、製品PRの天面を保持した状態で(図14(a)(b)M1)、内フラップ押上手段25、26は、ガイドレール21の上昇により、一対の突合せ内フラップ107、106に当接して、Z方向(上方)に押し進むことにより、フラップ107、106を根元の折り曲げ線にてそれぞれZ方向(上方)に折り曲げる(同図、におけるM2)。
【0096】
このとき、相対高さδL(図8参照)は所定の値より小さく設定されているが、製函対象が半函カートン100Lであるので、内フラップ押上レバー251を内フラップ107に十分に当接させることができ、フラップ107をZ方向に問題なく折り曲げることができる。
【0097】
次に、前後壁ダイ手段24が、ガイドレール21の上昇により、前壁面部102、後壁面部103に当接してZ方向(上方)に押し進むことにより、前壁面部102、後壁面部103を根元の折り曲げ線においてZ方向(上方)に折り曲げる(図15(a)(b)、におけるM3)。
【0098】
このとき、内フラップ押上手段25は、前後壁ダイ手段24の上昇に伴って、スライド機構252の動作によりスライドアーム252を下降させず、内フラップ押上レバー251の上昇は制限されない。
【0099】
しかしながら、相対高さδL(図8参照)は製函対象が半函カートン100Lに適合させて所定の値より小さく設定されているので、後壁面部103と外フラップと108を折り曲げ時の内フラップ押上レバー251の先端251aの製品PRの押圧面(下面)に対する相対高さδL(図8参照)の最大値が所定値以下に制限される。これより、内フラップ押上レバー251の先端251aは外フラップ108と十分に離間した状態となり(同図、におけるδ1)両者が接触することが防止される。
【0100】
以上により、半函カートン100Lの製函動作が完了する。
【0101】
以上、説明したように、製函装置1では、異なる高さ寸法の半函カートンの製函において、シート搬入手段(不図示)によりブランクシート100を基台40に載置し、製品供給保持手段10により、ブランクシート100の基底面部101に製品PRを載設されて保持し、製品PRをパンチ部材(雄型)として用い、ダイ機構ユニット20を製品PRに相対する曲げ方向に移動させて、ブランクシート100を折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンAを形成し、搬出手段(不図示)により製函した半函カートンAを搬出する動作を行うことができる。
【0102】
<まとめ>
以上のとおり、実施の形態に係る製函装置1は、ブランクシート100を折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートン100Aを形成する製函装置1であって、ブランクシート100は、第1の方向に沿った前壁面部102、基底面部101、後壁面部103、蓋面部104と、第1の方向と直交する第2の方向に後壁面部103を挟む一対の突合せ内フラップ107L、Rと、第2の方向に蓋面部104を挟む一対の突合せ外フラップ108L、R(まとめて「外フラップ108」と記す場合がある)とを含み、ブランクシート100が載設される基台40と、ブランクシート100の基底面部101に載設されるパンチ部材PRを保持するパンチ保持手段12と、パンチ部材PRに相対する曲げ方向(Z方向)へのパンチ部材PRに対する相対移動により、一対の突合せ内フラップ107L、Rに当接して、曲げ方向に押し進むことにより、一対の突合せ内フラップ107L、Rを根元の折り曲げ線にてそれぞれ曲げ方向に折り曲げる内フラップ押上手段25と、曲げ方向へのパンチ部材PRに対する相対移動により、後壁面部103に当接して曲げ方向に押し進むことにより、一対の突合せ内フラップ107L、Rの折り曲げ後に、後壁面部103と一対の突合せ外フラップ108L、Rとを後壁面部103の根元の折り曲げ線において曲げ方向に折り曲げる前後壁ダイ手段24とを有し、内フラップ押上手段25は、前後壁ダイ手段24に対する相対高さδ(図4参照)を調整可能に構成されており、相対高さδが所定相対高さ以上であるとき、後壁面部103と一対の突合せ外フラップ108L、Rとを折り曲げる際に、内フラップ押上手段25のパンチ部材の押圧面に対する相対高さの最大値が所定値以下に制限されることを特徴とする。
【0103】
また、別の態様では、内フラップ押上手段25は、相対高さδが所定相対高さ以上であって、後壁面部103と一対の突合せ外フラップ108L、Rとを折り曲げる際に、前後壁ダイ手段24の曲げ方向への相対移動に伴って相対高さδを減少させて、曲げ方向への相対移動を制限する構成としている。
【0104】
従来の製函装置では、内フラップ押上手段の高さを変動させることができない構造が採られていた。
【0105】
そのため、高さ寸法が短い力ートンは、後壁面部から幅方向の両側に延伸する突き合わせ内フラップ押上手段が蓋面部から幅方向の両側に延伸する突き合わせ外フラップに接触して引っかかりが生じ、製函時の梱包箱の傷が発生するという問題があり、これを避けるために、内フラップ押上手段の高さを低く設定する必要があった。
【0106】
しかしながら、この場合には、高さ寸法の長いカートンの内フラップを十分に折り曲げることができないという問題が生じる。
【0107】
そのため、力ートンの高さ寸法に応じて、高さの異なる内フラップ押上手段を用いる対応が必要となり、変更の作業負荷が生じるとともに生産効率を低下させる要因となっていた。
【0108】
これに対し、上述した製函装置1によれば、製函対象となる半函カートン100Aの高さに適合させて相対高さδを異ならせるとともに、半函カートン100Hに対して、前壁面部102又は後壁面部103の折り曲げと同時に、内フラップ押上手段25は、前後壁ダイ手段24の上昇に伴って、スライドアーム252を下降させて、内フラップ押上レバー251の上昇を制限する動作を行う。
【0109】
これにより、後壁面部103と外フラップ108を折り曲げ時の内フラップ押上レバー251の先端251aの製品PRの押圧面(下面)に対する相対高さδの最大値が所定値以下に制限され、内フラップ押上レバー251の先端部251aは外フラップ108と十分に離間した状態となり、両者が接触することが防止される。
【0110】
以上により、製函装置によれば、製函対象となる半函カートン100の高さ寸法にかかわらず、製品PRをパンチ部材(雄型)として用い、ダイ機構ユニット20を製品PRに相対する曲げ方向に移動させて、ブランクシート100を折り曲げ線で折り曲げて開蓋半函カートンAを形成する動作を円滑に行うことができる。その結果、内フラップ押上手段を交換することなく高さ寸法の異なる力ートンの製函を可能にするとともに、製函時の梱包箱の傷を抑制する製函装置及び製函方法を提供することができる。
【0111】
≪変形例≫
実施の形態に係る製函装置を説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除
き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。以下では、そのような形態の一例として変形例を説明する。
【0112】
(1)上記実施の形態に係る製函装置1では、製函動作において、前後壁ダイ手段24が、ガイドレール21の上昇により、前壁面部102、後壁面部103に当接してZ方向に押し進むことにより、前壁面部102、後壁面部103を根元の折り曲げ線においてZ方向に折り曲げる構成とした。
【0113】
しかしながら、製函動作では、ダイ機構ユニット20は、製函時にパンチ部材(雄型)に相当する製品PRに相対する方向に相対的に移動して、ブランクシート100を折り曲げ線で折り曲げて半函カートンAを形成すればよく、例えば、パンチ部材(雄型)がダイ機構ユニット20と相対する方向に移動して、半函カートンAを形成する態様としてもよい。
【0114】
(2)上記実施の形態に係る製函装置1では、製品PRをパンチ部材(雄型)として製函動作を行う構成とした。しかしながら、パンチ部材には製品PRに替えてマンドレルを用いた雄型機構を用いる構成としてもよい。
【0115】
(3)上記実施の形態に係る製函装置1では、製函のための折り曲げ動作を、動作M2と動作M3に分けて順次行う例で説明したが、これに限るものではない。半函カートン100Aの状態によっては、同時、又はどちらか一方の押圧のみで製函が完成できる場合もあるため、適宜、選択すればよい。
【0116】
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていないものについては、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0117】
また、上記の方法が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記方法の一部が、他の方法と同時(並列)に実行されてもよい。
【0118】
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0119】
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示の一態様に係る製函装置は、製造ライン等において、製品、部品、工作物、包装、各種容器等の梱包箱を製函する製函装置に利用可能である。また、各種物流等において、荷物や梱包物を製函する製函装置としても好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 製函装置
10 製品供給保持手段
11 ワークヘッド
12 製品保持手段
121 付加的保持部
122 基本保持部
13 製品供給手段
131 位置可変機構
132 背面保持部
133 前面保持部
124 側面保持部
14 ロボットアーム
15 ロボットアーム
16 ロボット本体基部
17 製品搬送台
20 ダイ機構ユニット
21 ガイドレール
22 固定基部
23 移動基部
24 前後壁ダイ手段
25 内フラップ押上手段
251 内フラップ押上レバー
252 スライドアーム
252 スライド機構
253 支柱
26 内フラップ押上手段
27 側壁ダイ手段
40 基台
50 制御部
100 ブランクシート
100A 半函カートン
100H 背高カートン
100L 背低カートン
PR 製品(パンチ部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15