(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149150
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】物品移載装置、及び物品移載方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20231005BHJP
B65G 47/53 20060101ALI20231005BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65G47/86 G
B65G47/53 D
B65G47/68 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057564
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100157325
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】大道 亮太
【テーマコード(参考)】
3F016
3F070
3F072
【Fターム(参考)】
3F016AA01
3F016BA01
3F016BA07
3F016CD01
3F070AA12
3F070BA10
3F070BD01
3F070EA24
3F070EC08
3F072AA12
3F072GA10
3F072GC07
3F072GG03
3F072KA01
3F072KC01
3F072KC07
(57)【要約】
【課題】搬送手段から別の搬送手段に物品を移載する際に、物品を選択的に除外する。
【解決手段】物品Wを搬送する第1の搬送手段10と、第1の搬送手段上の所定の位置における物品の通過を検知可能な検知手段20と、第1の搬送手段の後段に配された第2の搬送手段40と、第1の搬送手段の後段、かつ、第2の搬送手段の前段に配され、物品を第1の搬送手段から第2の搬送手段に移載可能な移載手段30と、第1の搬送手段の後段に配された排出路50と、を備え、検知手段が、物品が適切に通過したことを検知した正規状態においては、移載手段は第1の搬送手段から当該物品を取得して第2の搬送手段に移載し、検知手段が、物品が適切に通過しなかったことを検知した非正規状態においては、移載手段は第1の搬送手段から当該物品を取得して第2の搬送手段に移載せず、物品は第1の搬送手段から排出路に排出される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を移載する物品移載装置であって、
物品を搬送する第1の搬送手段と、
前記第1の搬送手段上の所定の位置における物品の通過を検知可能な検知手段と、
前記第1の搬送手段の後段に配された第2の搬送手段と、
前記第1の搬送手段の後段、かつ、前記第2の搬送手段の前段に配され、物品を前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に移載可能な移載手段と、
前記第1の搬送手段の後段に配された排出路と、を備え、
前記検知手段が、物品が適切に通過したことを検知した正規状態においては、前記移載手段は前記第1の搬送手段から当該物品を取得して前記第2の搬送手段に移載し、
前記検知手段が、物品が適切に通過しなかったことを検知した非正規状態においては、前記移載手段は前記第1の搬送手段から当該物品を取得して前記第2の搬送手段に移載せず、当該物品は前記第1の搬送手段から前記排出路に排出される
物品移載装置。
【請求項2】
前記移載手段は、
第1の軸の周りを回転可能な回転部材と、
前記回転部材に配され、前記回転部材の回転に伴って前記第1の軸の周りを回転するとともに、前記第1の軸に平行な第2の軸の周りを自転することにより、前記回転に伴って前記第1の軸に垂直な面内の向きが変化しないように構成された吸着ヘッドと、
前記吸着ヘッドに負圧を付勢可能な真空排気装置と、
前記回転部材の前記第1の軸の周りの回転角度に基づき、前記吸着ヘッドへの負圧の付勢及び解除を制御可能であって、前記回転部材の前記第1の軸の周りの回転角度が、前記吸着ヘッドが前記第1の搬送手段の上方に位置する第1の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧又は解除を選択可能であり、前記吸着ヘッドが前記第2の搬送手段の上方に位置する第2の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧の解除が可能であり、前記第1の角度と前記第2の角度との間の第3の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧の付勢が可能な、回転バルブ機構とを備え、
前記回転バルブ機構は、前記回転角度が前記第1の角度であるときに、前記正規状態では前記吸着ヘッドに負圧が付勢し、前記非正規状態では前記吸着ヘッドに負圧を付勢しない
請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
さらに、前記吸着ヘッドに陽圧を付勢可能な真空破壊手段を備え、
前記回転バルブ機構は、
前記回転角度が前記第1の角度であるときに、前記正規状態では前記吸着ヘッドに負圧を付勢し、前記非正規状態では前記吸着ヘッドに負圧及び陽圧を付勢し、
前記回転角度が前記第2の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧及び陽圧を付勢し、
前記回転角度が前記第3の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧を付勢する
請求項2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記第1の搬送手段では、複数の物品が並列に搬送され、
前記移載手段は、並列に搬送される複数の物品を同時に吸着保持し、吸着保持した複数の物品を前記第2の搬送手段の搬送方向に対し直列に変換して前記第2の搬送手段に移載し、
前記第2の搬送手段では、複数の物品が直列に搬送される
請求項2又は3に記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記物品は長尺状であり、
前記第1の搬送手段では、前記物品は長尺方向に平行に搬送され、
前記移載手段は、長尺方向に平行に搬送される物品を吸着保持し、吸着保持した物品を搬送方向と長尺方向とが垂直になるように変換して前記第2の搬送手段に移載し、
前記第2の搬送手段では、前記物品は長尺方向と垂直に搬送される
請求項2から4の何れか1項に記載の物品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送手段から別の搬送手段に物品を移載する物品移載装置に関し、特に、移載の際に物品を選択的に除外する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加工食品、菓子、日用品等の製造工程では、被包装物である商品を袋詰して個々の包装体を形成したのち、複数個の包装体を集積してボール紙等からなる包装箱に箱詰して出荷される。箱詰工程への商品の供給を正確かつ迅速に行うために、供給される商品の搬送形態を箱詰めに適した商品の配列に並び替えて搬送する物品移載装置が用いられており、例えば、並列に搬送されて供給される複数の商品を直列に並べ替えて搬送する物品移載装置が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
この物品移載装置では、供給される商品の搬送周期の不良、並列搬送における位相ずれ、商品の欠品等の供給側においてピッチ不良が生じると、包装箱に箱詰めする際に不具合が生じる場合がある。そのため、従来の物品移載装置では、前段の供給工程において、コンベアの一部を傾けてピッチ不良の商品を工程外に排出するか、エアブローを用いて工程外に吹き飛ばして排出するといった排出方法が採られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-32060号公報
【特許文献2】特開2018-76165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、エアブローを用いてピッチ不要の商品を工程外に排出する方法では、正確に商品を排出できない場合があり、また、排出される商品そのものに損傷を与えることがあり、商品の再利用が困難になるといった課題があった。
【0006】
また、コンベアの一部を傾けてピッチ不良の商品を工程外に排出する方法では、流量が多く搬送速度が速い場合には、搬送周期が短く排出自体行うことが困難になるという課題があった。
【0007】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、搬送手段から別の搬送手段に物品を移載する際に、物品を選択的に除外することが可能な物品移載装置及び物品移載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様である物品移載装置は、物品を移載する物品移載装置であって、物品を搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送手段上の所定の位置における物品の通過を検知可能な検知手段と、前記第1の搬送手段の後段に配された第2の搬送手段と、前記第1の搬送手段の後段、かつ、前記第2の搬送手段の前段に配され、物品を前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に移載可能な移載手段と、前記第1の搬送手段の後段に配された排出路とを備え、前記検知手段が、物品が適切に通過したことを検知した正規状態においては、前記移載手段は前記第1の搬送手段から当該物品を取得して前記第2の搬送手段に移載し、前記検知手段が、物品が適切に通過しなかったことを検知した非正規状態においては、前記移載手段は前記第1の搬送手段から当該物品を取得して前記第2の搬送手段に移載せず、当該物品は前記第1の搬送手段から前記排出路に排出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、搬送手段から別の搬送手段に物品を移載する際に、物品を選択的に除外することが可能な物品移載装置及び物品移載方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る物品移載装置1の構成を示す斜視図である。
【
図4】物品移載装置1の構成を示す右側面図である。
【
図5】移載手段30の右側断面図であって、
図2におけるA-A断面図である。
【
図6】(a)は、吸着ユニット34、接続チューブ35、吸着ヘッド36の構成を示す正面図、(b)は、右側面図である。
【
図7】(a)は、
図3におけるB-B断面図、(b)は、は、
図3におけるC-C断面図である。
【
図8】(a)は、
図3におけるD-D断面図、(b)は、
図3におけるE-E断面図である。
【
図9】(a)は、物品移載装置1における、吸着ヘッド36の回転角度θと吸着ヘッド36との高さとの関係を示す図、(b)は、電磁弁27が開いている状態における吸着ヘッド36の回転角度θと回転出口孔37aに供給される圧力との関係を示す図、(c)は、電磁弁27が開いている状態における(b)と同様の図である。である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
≪本発明を実施するための形態の概要≫
本開示における実施の形態に係る物品移載装置は、物品を移載する物品移載装置であって、物品を搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送手段上の所定の位置における物品の通過を検知可能な検知手段と、前記第1の搬送手段の後段に配された第2の搬送手段と、前記第1の搬送手段の後段、かつ、前記第2の搬送手段の前段に配され、物品を前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に移載可能な移載手段と、前記第1の搬送手段の後段に配された排出路とを備え、前記検知手段が、物品が適切に通過したことを検知した正規状態においては、前記移載手段は前記第1の搬送手段から当該物品を取得して前記第2の搬送手段に移載し、前記検知手段が、物品が適切に通過しなかったことを検知した非正規状態においては、前記移載手段は前記第1の搬送手段から当該物品を取得して前記第2の搬送手段に移載せず、当該物品は前記第1の搬送手段から前記排出路に排出されることを特徴とする。
【0012】
係る構成により、移載装置の上流の搬送工程で工程外排出するのではなく、ピッチ不良が検出された物品を移載手段で移載せずにそのまま通過させるという構成を実現できる。これにより、搬送手段から別の搬送手段に物品を移載する際に、物品を選択的に除外することが可能な物品移載装置及び物品移載方法を提供することができる。
【0013】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、前記移載手段は、第1の軸の周りを回転可能な回転部材と、前記回転部材に配され、前記回転部材の回転に伴って前記第1の軸の周りを回転するとともに、前記第1の軸に平行な第2の軸の周りを自転することにより、前記回転に伴って前記第1の軸に垂直な面内の向きが変化しないように構成された吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドに負圧を付勢可能な真空排気装置と、前記回転部材の前記第1の軸の周りの回転角度に基づき、前記吸着ヘッドへの負圧の付勢及び解除を制御可能であって、前記回転部材の前記第1の軸の周りの回転角度が、前記吸着ヘッドが前記第1の搬送手段の上方に位置する第1の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧又は解除を選択可能であり、前記吸着ヘッドが前記第2の搬送手段の上方に位置する第2の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧の解除が可能であり、前記第1の角度と前記第2の角度との間の第3の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧の付勢が可能な、回転バルブ機構とを備え、前記回転バルブ機構は、前記回転角度が前記第1の角度であるときに、前記正規状態では前記吸着ヘッドに負圧が付勢し、前記非正規状態では前記吸着ヘッドに負圧を付勢しない構成としてもよい。
【0014】
係る構成により、物品移載装置に物品吸引時における真空破壊が可能な回転バルブ機構を用いた構成を採ることにより、搬送手段から別の搬送手段に物品を移載する際に、物品を選択的に除外することが可能な物品移載装置及び物品移載方法を具体的に実現できる。
【0015】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、さらに、前記吸着ヘッドに陽圧を付勢可能な真空破壊手段を備え、前記回転バルブ機構は、前記回転角度が前記第1の角度であるときに、前記正規状態では前記吸着ヘッドに負圧を付勢し、前記非正規状態では前記吸着ヘッドに負圧及び陽圧を付勢し、前記回転角度が前記第2の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧及び陽圧を付勢し、前記回転角度が前記第3の角度であるときに前記吸着ヘッドに負圧を付勢する構成としてもよい。
【0016】
係る構成により、搬送手段から別の搬送手段に物品を移載する際に、物品を選択的に除外することが可能な回転バルブ機構を具体的に実現できる。
【0017】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、前記第1の搬送手段では、複数の物品が並列に搬送され、前記移載手段は、並列に搬送される複数の物品を同時に吸着保持し、吸着保持した複数の物品を前記第2の搬送手段の搬送方向に対し直列に変換して前記第2の搬送手段に移載し、前記第2の搬送手段では、複数の物品が直列に搬送される構成としてもよい。
【0018】
係る構成により、並列に搬送されて供給される複数の商品を直列に並べ替えて搬送する複列合流搬送により、箱詰めに適した商品の配列への並び替えが可能となる。
【0019】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、前記物品は長尺状であり、前記第1の搬送手段では、前記物品は長尺方向に平行に搬送され、前記移載手段は、長尺方向に平行に搬送される物品を吸着保持し、吸着保持した物品を搬送方向と長尺方向とが垂直になるように変換して前記第2の搬送手段に移載し、前記第2の搬送手段では、前記物品は長尺方向と垂直に搬送される構成としてもよい。
【0020】
係る構成により、物品の搬送形態を商品の形態や梱包形態に適合できる。
【0021】
≪実施の形態≫
実施の形態に係る物品移載装置1の構成について図面を用いて説明する。ここで、本明細書では、各図におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ、幅方向、奥行方向、高さ方向とする場合があり、高さ方向の正方向を「上」方向、負方向を「下」方向とする場合がある。また、各図面における部材の縮尺は必ずしも実際のものと同じであるとは限らない。また、本明細書において、数値範囲を示す際に用いる符号「~」は、その両端の数値を含む。また、本実施形態で記載している、材料、数値等は好ましいものを例示しているだけであり、それに限定されることはない。また、本開示の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。また、他の実施形態との構成の一部同士の組み合わせは、矛盾が生じない範囲で可能である。
【0022】
<物品移載装置1の構成について>
物品移載装置1の構成について図面を用いて説明する。
図1は、実施の形態に係る物品移載装置1の構成を示す斜視図、
図2は平面図、
図3は正面図、
図4は右側面図である。
図5は、移載手段30の右側断面図であって、
図2におけるA-A断面図である。
【0023】
(全体構成)
図1~4に示すように、物品移載装置1は、物品Wを搬送するの搬送手段10と、搬送手段10上の所定の位置における物品Wの通過を検知可能な検知手段20と、搬送手段10の後段に配された搬送手段40と、物品Wを搬送手段10から搬送手段40に移載可能な移載手段30と、排出路50と、真空排気装置60と、真空破壊手段70と、制御部80とを備える。
【0024】
(各部の構成概要)
以下、物品移載装置1における、各部の構成の概要について、説明する。
【0025】
[物品W]
物品移載装置1に用いる物品Wの構成について説明する。被包装物である内容物は、例えば、加工食品、菓子、日用品等、一般に流通する商品である。
【0026】
物品Wは、筒状の包装部材に被包装物と気体が封入された包装体胴部L0とその両端のエンドシール部L1を有する、ピロー包装体を用いることができる。ピロー包装体は、例えば、樹脂フィルムからなる長尺筒状の包装部材に被包装物を気体と共に封入し、被包装物の前後を、例えば、ヒートシール等により封止した後、シール部分を含む範囲を所定長さに切断することにより形成されており、通常、平面視において扁平な長尺状の形態を成す。本明細書では、包装体の両端に位置する2つのエンドシール部L1を結ぶ方向を長尺方向とし、長尺方向に垂直な2方向のうち長さの長い方を幅方向、短い方を厚み方向とする。
【0027】
しかしながら、物品移載装置1に使用することができる物品Wは、ピロー包装体に限定されるものではない。例えば、立方体形状や直方体形状の箱に被包装物である内容物が詰められた形態のものであってもよい。
【0028】
[搬送手段10]
搬送手段10は、前段の工程から移載された物品Wを後段の移載手段30に搬送する搬送機構である。
【0029】
本実施の形態では、搬送手段10は、搬送方向に直列に配された複数のコンベア11(1)~(5)(以後、まとめて「コンベア11」と記す場合がある)及びコンベア16から構成され、制御部80の指示に基づき移載手段30の動きと連動するように駆動され、一対の物品Wを一組にして所定の間隔を空けて、
図3における紙面左方から右方に向けて搬送する(
図1、
図2、
図3、における、T1、T2)。また、このとき、物品Wは、搬送方向と物品Wの長尺方向とを平行にした状態で、一方のエンドシール部L1を搬送方向に向けた状態で搬送される。
【0030】
コンベア11は、一対のローラ12(1)~(5)と、その間に懸架された吸引搬送ベルト13(1)~(5)と、物品Wを吸着するための吸着手段(不図示)を備える。
【0031】
コンベア11は、搬送方向に向かって左右2つのコンベアL、Rに分割されており、制御部80の指示に基づき左右に分割されたコンベアL、Rを異なる速度で独立に搬送動作させることができるように構成されている。
【0032】
本実施の形態では、コンベア11における左右のコンベアL、Rには、一対の物品Wのそれぞれが1つずつ吸着保持され、一対の物品Wを1単位として搬送されるように構成されている。
【0033】
コンベア16は、一対のローラ126と、その間に懸架された吸引搬送ベルト136と、物品Wを吸着するための吸着手段(不図示)を備える。コンベア16には、コンベア15から供給される一対の物品Wがそれぞれ吸着保持され、一対の物品Wが1単位となり搬送されるように構成されている。
【0034】
[検知手段20]
検知手段20は、搬送手段10における搬送経路上の所定の位置に配され、物品Wの通過を検出する物品通過検知手段である。検知手段20には、反射型又は透過型の光センサ、レーザー検出器、撮像素子、ライン状の複数の画素について画像を取得可能なラインカメラ等を用いることができる。また、検知手段20は、発光部と受光部とが搬送経路を挟んで上下に配されていてもよい。
【0035】
検知手段20は、搬送手段10の搬送方向に沿って複数個所に配されている構成を採る。本実施の形態では、検知手段21がコンベア11(1)の直前に配され、別の検知手段22がコンベア11(5)とコンベア16との間の配された構成を採る(検知手段21、22はまとめて「検知手段20」と記す場合がある)。
【0036】
検知手段20は、コンベア11における左右のコンベアL、Rを搬送される一対の物品Wそれぞれについて、当該物品Wが検知手段20を通過する時刻を検出することができる。これにより、コンベアL、Rを搬送される一対の物品Wの通過時刻の差(物品搬送周期の位相差)や、左右何れかの物品Wの欠品を検出して制御部80に検出結果を出力することができる。
【0037】
具体的には、検知手段21において、コンベアL、Rによって搬送される物品の何れかに物品に所定時間以上の遅れが検出された場合には、制御部80の指示に基づき、後段のコンベア11(1)~(5)の何れか又は全部について、コンベアL、Rを異なる速度で駆動することにより、遅れを補正することができる。このとき、コンベア11(1)~(5)における各コンベアL、Rの速度又は速度差が、コンベア11(1)~(5)ごとに異なるように設定される構成としてもよい。
【0038】
また、検知手段22において、コンベアL、Rによって搬送される物品の何れかに所定時間以上の遅れが検出された場合には、制御部80の指示に基づき、後段の移載手段30により、当該一対の物品は搬送手段40に移載することなく、排出路50にそのまま通過させて排出する処理が行われる。検知手段21において、左右何れかの物品Wの欠品が検出された場合にも同様の処理が行われる。
【0039】
[移載手段30]
移載手段30は、物品Wを搬送手段10から搬送手段40に移載可能な機構ユニットである。
【0040】
図1~4に示すように、主な要素として、フレーム31と、固定軸32と、上部回転板33と、吸着ユニット34(1)~(6)と、接続チューブ35(1)~(6)と、吸着ヘッド36(1)~(6)と、主ロータ37と、ステータ38と、モータ39とを備える。
【0041】
以下、移載手段30における、各部の構成について、説明する。
【0042】
フレーム31は、基盤31aから立設され、移載手段30の主軸30Axを軸支するための逆L字形状をした構造部材である。
【0043】
固定軸32は、フレーム31によって主軸30Axに沿って軸支される鉛直方向に延伸する固定軸である。
【0044】
上部回転板33は、軸受け33aを介して固定軸32に軸支されており、主軸30Axの回りを半時計方向(
図1、
図2、におけるR1)に回転する円盤状の部材である。上部回転板33は、後述する主ロータ37の回転に伴って主軸30Axの回りを回転する。
【0045】
上部回転板33には、周縁部付近に複数の吸着ユニット34(1)~(6)が、それぞれの中心軸34Axの回りを自転(
図1、
図2、におけるR2)可能な状態で周方向に等間隔に懸架されており、吸着ユニット34(1)~(6)には、物品Wを吸着保持するための吸着ヘッド36(1)~(6)が最下部に接続されている。
【0046】
上部回転板33の回転に伴って吸着ユニット34(1)~(6)も主軸30Axの回りを回転(
図1、
図2、におけるR1)する際に、各吸着ユニット34は、主軸30Axの回りの回転に伴って、それぞれが中心軸34Axの回りを半時計方向に自転して(
図1、
図2、におけるR2)、結果として、中心軸34Ax回りの角度は変化しないように構成されている。そのため、吸着ユニット34(1)~(6)に保持された吸着ヘッド36(1)~(6)は、主軸30Axの回りの回転に伴って中心軸34Ax回りの角度が変化することなく、吸着ヘッド36に吸着保持された物品WのX-X平面方向の向きも変化しない。
【0047】
これより、移載手段30によれば、物品Wの平面方向の向きを変えることなく、搬送手段10から物品Wを搬送手段40に移載することができる。
【0048】
主ロータ37は、上部回転板33と一体となって、主軸30Axの回りを半時計方向(
図1、
図2、におけるR1)に回転する円盤状の部材である。
【0049】
ステータ38は、主ロータ37の下方に位置し回転のベースとなる部材であり、主軸30Axを駆動軸391とし主ロータ37を回転駆動するモータ39を内装する。
【0050】
また、主ロータ37、ステータ38は、吸着ヘッド36(1)~(6)への配管経路における回転バルブ機構として機能する。
【0051】
[移載手段30の詳細構成]
以下、物品移載装置1における、各部の構成の詳細について、説明する。
【0052】
図6(a)は、吸着ユニット34、接続チューブ35、吸着ヘッド36の構成を示す正面図、(b)は、右側面図である。
【0053】
図6(a)、
図6(b)に示すように、吸着ユニット34は、シャフト345にプーリー342が係合されており、軸方向に中心軸34Axを挟んで配される一対の軸受け341に回転自在に軸支され、軸受け341を介して上部回転板33と主ロータ37に取り付けられている。
【0054】
図7(a)は、
図3におけるB-B断面図である。同図に示すように、主ロータ37の上面には、固定軸32の回りに固定プーリー346が、周縁付近に周方向に等間隔にプーリー342(1)~(6)が、周方向におけるプーリー342(1)~(5)、(6)~(1)の間に5個の従動プーリー344が配されている。さらに、周方向におけるプーリー342(5)と(6)の間には、プーリー342(5)と(6)に対し固定プーリー348よりも離れた位置に、固定プーリー348を上下に挟むように一対の従動プーリー349が配されている。
【0055】
そして、エンドレスベルト343が、
図7(a)に示される経路、すなわち、プーリー342(1)~(5)の間では、プーリー342(1)~(5)と従動プーリー344とに交互に懸架され、プーリー342(5)~(6)の間では、一対の従動プーリー349を経由して固定プーリー348に懸架される経路で引き回される構成を採る。
【0056】
係る構成により、主ロータ37の回転に伴って吸着ヘッド36(1)~(6)に接続されるシャフト345と同心に接続されたプーリー342(1)~(6)が、主軸30Axの回りを回転したときに、プーリー342(1)~(6)はエンドレスベルト343によってそれぞれの中心軸34Ax回りの角度を一定に保ち、吸着ヘッド36(1)~(6)の中心軸34Ax回りの角度を一定に保つことができる。
【0057】
シャフト345の下端は上方からシリンダ346に挿抜自在に挿入されており、シリンダ346の下方には、気室347と吸着ヘッド36が、軸方向に当該順に接続されている。
【0058】
シリンダ346の外周面にはカムフォロア346aが突出しており、カムフォロア346aがステータ38の外周面に設けられたカム溝38aに沿って上下に動くことにより、シリンダ346は軸方向に往復移動して、吸着ヘッド36を上下に移動させることができる。
【0059】
図8(a)は、
図3におけるD-D断面図である。同図に示すように、吸着ヘッド36(1)~(6)に接続されたシリンダ346(1)~(6)に配されたカムフォロア346aが、ステータ38の周面のカム溝38aに係合して動作する。
【0060】
図9(a)は、物品移載装置1における、吸着ヘッド36の回転角度θと吸着ヘッド36との高さとの関係を示す図である。主ロータ37の円周と搬送手段10とが平行になるときの回転角度θ(
図8(a)における6時方向)を0度、主ロータ37の円周と搬送手段40とが平行になるときの回転角度θ(
図8(a)における3時方向)を+90度としたとき、カム溝38aは、
図9(a)に示すように、回転角度θが0度と90度付近において高さLまで吸着ヘッド36が下降し、その前後では吸着ヘッド36は高さHまで緩やかに上昇して高さHを維持するように構成されている。ここで、高さLとは吸着ヘッド36の吸着孔361が物品Wを吸引可能な高さをさし、高さHとは物品Wの移載に必要な高さをさす。
【0061】
吸着ヘッド36には、下面に複数の吸着孔361が設けられている。複数の吸着孔361は吸着ヘッド36の内に配設された管路36aと気室347内の管路347a、347bとを経由して、気室347の外周面から延出される接続チューブ35に接続される。
【0062】
図7(b)は、
図3におけるC-C断面図である。同図に示すように、平面視において、吸着ヘッド36(1)~(6)に接続された気室347(1)~(6)内の管路347bから延出される接続チューブ35(1)~(6)は主ロータ37の外周面において、主ロータ37内に設けられた管路37bに接続され、主ロータ37(1)~(6)の下面の回転出口孔37a(1)~(6)に挿通されている。本実施の形態では、回転出口孔37a(1)~(6)は、孔中心の主軸30Axの円周方向における角度(例えば、
図8(a)に示す6時方向(0°)に対する偏角)が、対応する吸着ユニット34(1)~(6)の中心軸34Axの主軸30Axの円周方向における角度と一致するように構成されている。そのため、回転出口孔37a(1)~(6)と吸着ヘッド36(1)~(6)との主軸30Axの周りを回転角度は一致する構成としている。しかしながら、回転出口孔37aが開設される主軸30Axの円周方向における角度は上記した例に限定されないことは言うもでもない。
【0063】
図8(a)は、
図3におけるD-D断面図、(b)は、
図3におけるE-E断面図である。
図8(a)に示すように、ステータ38の上面には、周方向における所定の角度の範囲に表面が凹陥没してなる固定バルブ気室381、382、383が形成されている。
【0064】
なお、固定バルブ気室381が設けられた角度範囲:θ1、固定バルブ気室382が設けられた角度範囲:θ2、固定バルブ気室383が設けられた角度範囲:θ3は、適宜、決定することができる。
【0065】
ステータ38の上面の固定バルブ気室381、382、383は、対向する主ロータ37下面の回転出口孔37a(1)~(6)と半径方向の位置が重なるように構成されており、主ロータ37の回転に伴って回転出口孔37aと固定バルブ気室381、382、383とが平面視において重なったとときに、固定バルブ気室381、382、383から回転出口孔37aへの流路が確保される。このように、主ロータ37とステータ38は、主ロータ37の回転に伴う相対的な角度変化によって流路のオン/オフが可能な回転バルブ機構として機能する。
【0066】
また、
図8(b)に示すように、ステータ38の固定バルブ気室381、382、383には底面にそれぞれ圧力供給孔381a、382a、383aが開設されており、孔381a、382a、383aは真空配管61を介して真空排気装置60に接続され、圧力供給孔383aは破壊エア配管71を介して真空破壊手段70に接続され、圧力供給孔381aは電磁弁72を介して破壊エア配管71に接続される構成を成す。
【0067】
図9は、吸着ヘッド36の回転角度θと回転出口孔37aに供給される圧力との関係を示す図であって、(b)は、電磁弁27が開いている状態、(c)は、電磁弁27が開いている状態での動作を表す図である。
【0068】
先ず、角度範囲θ2では、固定バルブ気室382から回転出口孔37aへの流路が確保され、回転出口孔37aから固定バルブ気室382に真空の圧力P1が付勢される。また、角度範囲θ3では、固定バルブ気室383から回転出口孔37aへの流路が確保され、固定バルブ気室383から回転出口孔37aに真空破壊エア(陽圧)が供給されて、真空が解除されて常圧P2が付勢される。
【0069】
さらに、角度範囲θ1では、固定バルブ気室382から回転出口孔37aへの流路が確保され、電磁弁27が閉じている場合には、
図9(b)に示すように、回転出口孔37aから固定バルブ気室382に真空の圧力P1が付勢される。
【0070】
一方、電磁弁27が開いている場合には、
図9(c)に示すように、固定バルブ気室383から回転出口孔37aに真空破壊エア(陽圧)が供給されて真空排気が解除されて常圧P2が付勢される。
【0071】
以上の構成により、主ロータ37の回転に伴って、回転出口孔37aが角度範囲θ1に存在する場合において、電磁弁27が閉じている場合には、吸着ヘッド36により物品Wが吸着保持され、回転動作により回転出口孔37aが角度範囲θ2に達した場合には、吸着ヘッド36により物品Wの吸着保持が継続され、さらに、回転出口孔37aが角度範囲θ3に到達したときに、吸着ヘッド36による物品Wの吸着保持が解除される。
【0072】
[搬送手段40]
搬送手段40は、移載手段30によって、搬送手段10から移載された物品Wを後段の工程に搬送する搬送機構である。本実施の形態では、搬送手段40は、搬送方向が搬送手段10の搬送方向と直交する向きに配されている。搬送手段40は、一対のローラ42と、その間に懸架された吸引搬送ベルト41と、物品Wを吸着するための吸着手段(不図示)を備える。
【0073】
搬送手段40は、制御部80の指示に基づき移載手段30の動きと連動するように駆動され、物品Wは、吸引搬送ベルト41に所定の間隔を空けて移載され、ベルト面に吸着された状態で、
図4における紙面左方から供給され、右方に向けて搬送される(
図1、
図2、
図4、におけるT3)。このとき、物品Wは、搬送方向に対し物品Wの長尺方向を直交させ、小端面を搬送方向に向けた状態で搬送される。
【0074】
なお、搬送手段40は、物品Wの流れにおける搬送手段10の後段に配されていればよく、搬送手段40と搬送手段10とのなす角度は上記に限定されるものではない。
[その他]
排出路50は、搬送手段10の後段に配された滑り台機構であり、物品Wの排出路として機能する。検知手段20が、物品Wが適切に通過しなかったことを検知したとき、移載手段30は搬送手段10から当該物品Wを取得して搬送手段40に移載せず、当該物品Wは搬送手段10から排出路50にそのまま排出される。
【0075】
真空排気装置60は、吸着ヘッド36に物品Wを吸着保持するための負圧P1を付勢するための真空ポンプであり、真空配管61を介して移載手段30のステータ38に内装された固定バルブ気室381、382、383の圧力供給孔381a、382a、383aに接続されている。
【0076】
真空破壊手段70は吸着ヘッド36に真空破壊エアを供給する陽圧供給手段であり、破壊エア配管71を介して移載手段30のステータ38に内装された固定バルブ気室381、383の圧力供給孔381a、383aに接続されている。真空破壊手段70から固定バルブ気室381、383に真空破壊エア(陽圧)が供給されると、負圧P1が解除されて常圧P2が付勢され、吸着ヘッド36による物品Wを吸着保持が解除される。
【0077】
制御部80は、搬送手段10と、検知手段20と、移載手段30と搬送手段40に電気的に接続され、制御信号を出力して各ユニットの動作を制御する。制御部80は、例えば、一般的なCPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)と、これらで実行されるプログラムを備えるコンピュータとして実現される。制御部80は、記憶装置等から物品移載装置1にかかる制御プログラムをRAMに読みだして実行することにより、物品移載装置1を構成する各ユニットそれぞれが連関して動作するように制御して、物品移載装置1の機能を実現する。
【0078】
(小 括)
以上のとおり、主ロータ37とステータ38からなる回転バルブ機構を用いた物品移載装置1によれば、吸着ヘッド36の回転角度θ1であるときにおいて、検知手段20が、物品Wが適切に通過したことが検知した正規状態においては、電磁弁27が閉じて吸着ヘッド36に負圧P1を付勢することにより、当該物品Wに対し移載手段30は搬送手段10から当該物品を取得して搬送手段40に移載する動作を行うことができる。
【0079】
他方、検知手段20が、物品Wが適切に通過しなかったことを検知した非正規状態においては、電磁弁27を開いて吸着ヘッド36に負圧P1を付勢しない、すなわち、移載手段30は当該物品Wに対し、搬送手段10から当該物品Wを取得して搬送手段40に移載する動作を行わず、当該物品Wは搬送手段10から排出路50に排出される動作が行われる。
【0080】
<物品移載装置1の動作について>
次に、本実施形態の物品移載装置1による、物品Wの移載動作について説明する。
【0081】
(搬送手段10、検知手段20による搬送動作)
搬送手段10では、搬送方向に直列に配された複数のコンベア11(1)~(5)に、一対の物品Wが一組となり所定の間隔を空けて、
図3における紙面左方から右方に向けて搬送される(
図1、
図2、
図3、におけるT1)。このとき、物品Wは、搬送方向と物品Wの長尺方向とを平行にした状態で、一方のエンドシール部L1を搬送方向に向けた状態で搬送される。
【0082】
また、コンベア11は、搬送方向に向かって左右2つのコンベアL、Rに分割されており、コンベアL、Rには、一対の物品Wのそれぞれが1つずつ吸着保持され、一対の物品Wを1単位として搬送される。
【0083】
搬送動作では、先ず、検知手段21により、コンベア11(1)の左右のコンベアL、Rに投入される一対の物品Wそれぞれについて、当該物品Wが検知手段21を通過する時刻を検出する。
【0084】
そして、コンベアL、Rによって搬送される物品の何れかに所定時間以上の遅れが検出された場合には、制御部80の指示に基づき後段のコンベア11(1)~(5)の何れか又は全部に対しコンベアL、Rを異なる速度で駆動するような駆動制御がされ、当該遅れの補正が図られる。
【0085】
次に、検知手段22により、コンベア16に投入される左右一対の物品Wそれぞれについて、当該物品Wが検知手段22を通過する時刻を検出する。
【0086】
そして、物品の何れかに所定時間以上の遅れが検出され、検知手段20が、物品Wが適切に通過しなかったことを検知した非正規状態においては、制御部80の指示に基づき、後段の移載手段30により、当該一対の物品は搬送手段40に移載することなく、物品Wを通過させて排出路50にそのまま排出する動作を行う。検知手段21において、左右何れかの物品Wの欠品が検出された場合にも同様の動作を行う。
【0087】
そして、物品の何れにも所定時間以上の遅れが検出されず、検知手段20が、物品Wが適切に通過したことを検知した正規状態においては、制御部80の指示に基づき、後段の移載手段30により、当該一対の物品は搬送手段40に移載する動作を行う。
【0088】
(移載手段30による移載又は排出動作)
主ロータ37は、ステータ38に配されたモータ39によって、主軸30Axの回りを半時計方向(
図1、
図2、におけるR1)に駆動回転されることで、吸着ユニット34(1)~(6)を主軸30Aを軸として公転させる。
【0089】
このとき、吸着ユニット34(1)~(6)それぞれは、反時計方向に自転(
図1、
図2、におけるR2)するように構成されており、その結果、、吸着ユニット34(1)~(6)、およびそれらそれぞれに接続される吸着ヘッド36(1)~(6)は、X-X平面方向の向きを一定に保った状態で、主軸30Axのりを回転(公転)する。
【0090】
吸着ユニット34(1)~(6)のカムフォロア346aがステータ38の外周面に設けられたカム溝38aに沿っては軸方向に往復移動して、吸着ヘッド36を上下に移動させ、主ロータ37の回転角度θが、上述した0度と90度付近において、吸着ヘッド36が物品Wを吸引可能な高さLまで下降し、その前後では物品Wの移載に必要な高さHに上昇する動作を行う。
【0091】
並行して、主ロータ37とステータ38からなる回転バルブ機構をより、吸着ヘッド36による物品Wの移載作が制御される。
【0092】
具体的には、主ロータ37の回転に伴って、回転出口孔37aが角度範囲θ1に存在する場合に、電磁弁27が閉じている場合には、吸着ヘッド36により搬送手段10上の物品Wが吸着保持し、回転出口孔37aが角度範囲θ2に達した場合には、吸着ヘッド36により物品Wの吸着保持が維持され、さらに、回転して角度範囲θ3に到達したときに、吸着ヘッド36による物品Wの吸着保持が解除され搬送手段40上に移載する動作が行われる。
【0093】
同時に、検知手段20による物品通過検知結果に基づいて、電磁弁27の動作状態を変更することにより、物品Wを搬送手段10から取得して搬送手段40に移載する移載動作と、移載操作を行わず物品Wを通過させて、搬送手段10から排出路50に排出される動作を選択的に行う動作を行う。
【0094】
具体的には、物品移載装置1により、検知手段20が、物品Wが適切に通過したことを検知した正規状態においては、吸着ヘッド36の回転角度θ1であるときにおいて、電磁弁27が閉じて吸着ヘッド36に負圧P1を付勢することにより、当該物品Wに対し移載手段30は搬送手段10から当該物品を取得して搬送手段40に移載する動作を行う。
【0095】
他方、検知手段20が、物品Wが適切に通過しなかったことを検知した非正規状態においては、移載手段30は、吸着ヘッド36の回転角度θ1であるときにおいて、電磁弁27を開いて吸着ヘッド36に負圧P1を付勢せず、当該物品Wを搬送手段10から搬送手段40に移載する動作は行わず、当該物品Wをそのまま通過させて、搬送手段10から排出路50に排出される動作を行う。
【0096】
<まとめ>
以上、説明したように、実施の形態に係る物品移載装置1は、物品Wを移載する物品移載装置であって、物品Wを搬送する搬送手段10と、搬送手段10上の所定の位置における物品Wの通過を検知可能な検知手段20と、搬送手段10の後段に配された搬送手段40と、搬送手段10の後段、かつ、搬送手段40の前段に配され、物品Wを搬送手段10から搬送手段40に移載可能な移載手段30と、搬送手段10の後段に配された排出路50とを備え、検知手段20が、物品Wが適切に通過したことを検知した正規状態においては、移載手段30は搬送手段10から当該物品Wを取得して搬送手段40に移載し、検知手段20が、物品Wが適切に通過しなかったことを検知した非正規状態においては、移載手段30は搬送手段10から当該物品Wを取得して搬送手段40に移載せず、当該物品Wは搬送手段10から排出路50に排出されることを特徴とする。
【0097】
従来の物品移載装置では、前段の供給工程において、コンベアの一部を傾けてピッチ不良の商品を工程外に排出するか、エアブローを用いて工程外に吹き飛ばして排出するといった排出方法が採られていたが、エアブローを用いた排出方法では、正確に商品を排出できない場合があり、また、排出される商品そのものに損傷を与えてしまうといった課題があった。
【0098】
また、コンベアの一部を傾斜する排出方法では、流量が多く搬送速度が速い場合には、搬送周期が短く排出自体行うことが困難になるという課題があった。
【0099】
これに対し、実施の形態に係る物品移載装置1では、移載装置の上流の搬送時に工程外排出するのではなく、ピッチ不良が検出された物品Wを移載手段30で移載せずにそのまま通過させるという構成を実現した。
【0100】
これにより、搬送手段から別の搬送手段に物品Wを移載する際に、物品Wを選択的に除外することが可能な物品移載装置及び物品移載方法を提供することができる。
【0101】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、移載手段30は、主軸30Axの周りを回転可能な回転部材37と、回転部材37に配され、回転部材37の回転に伴って主軸30Axの周りを回転するとともに、主軸30Axに平行な中心軸34Axの周りを自転することにより、回転に伴って主軸30Axに垂直な面内の向きが変化しないように構成された吸着ヘッド36と、吸着ヘッド36に負圧P1を付勢可能な真空排気装置60と、回転部材37の主軸30Axの周りの回転角度に基づき、吸着ヘッド36への負圧P1の付勢及び解除を制御可能であって、回転部材37の主軸30Axの周りの回転角度が、吸着ヘッド36が搬送手段10の上方に位置する第1の角度θ1であるときに吸着ヘッド36に負圧P1又は解除を選択可能であり、吸着ヘッド36が搬送手段40の上方に位置する第2の角度θ3であるときに吸着ヘッド36に負圧P1の解除が可能であり、第1の角度θ1と第2の角度θ3との間の第3の角度θ3であるときに吸着ヘッド36に負圧P1の付勢が可能な、回転バルブ機構37、38とを備え、回転バルブ機構37、38は、回転部材37の主軸30Axの周りの回転角度が第1の角度θ1であるときに、正規状態では吸着ヘッド36に負圧P1が付勢し、非正規状態では吸着ヘッド36に負圧P1を付勢しない構成としてもよい。
【0102】
係る構成により、物品移載装置1に物品W吸引時における真空破壊が可能な、回転バルブ機構37、38を用いた構成により、搬送手段10から別の搬送手段40に物品Wを移載する際に、物品Wを選択的に除外することが可能な物品移載装置及び物品移載方法を具体的に実現できる。
【0103】
また、別の態様では、上記何れかに記載の態様において、さらに、吸着ヘッド36に陽圧を付勢可能な真空破壊手段70を備え、回転バルブ機構37、38は、回転部材37の主軸30Axの周りの回転角度が第1の角度θ1であるときに、正規状態では吸着ヘッド36に負圧P1を付勢し、非正規状態では吸着ヘッド36に負圧P1及び陽圧を付勢し、回転部材37の主軸30Axの周りの回転角度が第2の角度θ3であるときに吸着ヘッド36に負圧P1及び陽圧を付勢し、回転部材37の主軸30Axの周りの回転角度が第3の角度θ3であるときに吸着ヘッド36に負圧P1を付勢する構成としてもよい。
【0104】
係る構成により、搬送手段から別の搬送手段に物品を移載する際に、物品Wを選択的に除外することが可能な回転バルブ機構を具体的に実現できる。
【0105】
≪変形例≫
実施の形態に係る物品移載装置を説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。以下では、そのような形態の一例として変形例を説明する。
【0106】
上記実施の形態に係る物品移載装置1では、搬送手段10では、複数の物品Wが並列に搬送され、移載手段30は、並列に搬送される複数の物品Wを搬送手段40の搬送方向に対し直列に変換して搬送手段40に移載し、搬送手段40では、複数の物品Wが直列に搬送される構成とした。
【0107】
しかしながら、搬送手段10、40における物品Wの搬送形態は製造される商品の形態や梱包形態に合わせて適宜変更してもよい。例えば、搬送手段10では、物品Wが直列に搬送される構成であり、移載手段30は、直列に搬送される物品Wを搬送手段40の搬送方向に対し並列に変換する、あるいは、直列の状態を維持して搬送手段40に移載する構成としてもよい。
【0108】
上記実施の形態に係る物品移載装置1では、物品Wは長尺状であり、搬送手段10では、物品Wは長尺方向に平行に搬送され、移載手段30は、長尺方向に平行に搬送される物品Wを搬送方向と長尺方向とが垂直になるように変換して搬送手段40に移載し、搬送手段40では、物品Wは長尺方向と垂直に搬送される構成とした。
【0109】
しかしながら、搬送手段10、40における物品Wの搬送形態は製造される商品の形態や梱包形態に合わせて適宜変更してもよい。例えば、搬送手段10では、物品Wは長尺方向と垂直な方向に搬送され、移載手段30は、長尺方向に垂直に搬送される物品Wを搬送方向と長尺方向とが平行になるように変換して、あるいは、長尺方向と搬送方向とが垂直な状態を維持して搬送手段40に移載する構成としてもよい。
【0110】
上記実施の形態に係る物品移載装置1では、供給される商品の搬送周期の不良や、並列搬送における位相ずれ、商品の欠品等の供給側のピッチ不良が生じると、検知手段20が、物品Wが適切に通過しなかったことを検知して、工程外に排出する構成とした。
【0111】
しかしながら、ピッチ不良以外に、検知手段20により、物品Wの形状や色、異種混合生産における物品の成否等を検知して、物品Wが適切に通過しなかったことを検知して工程外に排出する構成としてもよい。
【0112】
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていないものについては、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0113】
また、上記の方法が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記方法の一部が、他の方法と同時(並列)に実行されてもよい。
【0114】
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0115】
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本開示の一態様に係る物品移載装置は、各種包装体により包装された、例えば、飲料、食品、調味料、化粧品、洗剤等を集積して箱詰するための物品移載装置として好適に利用可能である。また、製造ライン等において、食品、製品、部品、工作物、包装、各種容器等の物品を箱詰する際の物品集積装置にも利用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 物品移載装置
10 搬送手段(第1の搬送手段)
11(1)~(5)、16 コンベア
12(1)~(5)、162 ローラ
13(1)~(5)、163 ベルト
20 検知手段
21 検知手段
22 検知手段
30 移載手段
31 フレーム
31a 基盤
32 固定軸
33 上部回転板
33a 軸受け
34(1)~(6) 吸着ユニット
341(1)~(6) 軸受け
342(1)~(6) プーリー
343 エンドレスベルト
344 従動プーリー
345 シャフト
346 シリンダ
346a カムフォロア
347(1)~(6) 気室
348 固定プーリー
349 従動プーリー
35(1)~(6) 接続チューブ
36(1)~(6) 吸着ヘッド
361 吸着孔
37 主ロータ
37a 回転出口孔
37b 菅路
38 ステータ
38a カム溝
381 固定バルブ気室
381a 圧力供給孔
382 固定バルブ気室
382a 入力孔
383 固定バルブ気室
383a 入力孔
39 モータ
40 搬送手段(第2の搬送手段)
41 ベルト
42 ローラ
50 排出路
60 真空排気装置
61 真空配管
70 真空破壊手段
71 破壊エア配管
72 電磁弁
80 制御部
W 物品
W0 胴部
W1 エンドシール部