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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149178
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20231005BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16K17/04 E
F16K47/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057609
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 拓也
【テーマコード(参考)】
3H059
3H066
【Fターム(参考)】
3H059AA06
3H059BB38
3H059CD05
3H059EE01
3H066AA01
3H066BA32
3H066BA33
(57)【要約】
【課題】バルブにおいて弁体の開弁時の異音の発生を防止する。
【解決手段】バルブ100は、作動流体が供給される供給通路25を有するシート部材20と、シート部材20の環状のシート部21に着座して供給通路25を閉塞する弁体30と、弁体30をシート部21に向けて付勢する付勢部材としてのスプリング40と、を備え、弁体30は、シート部21の中心軸O1に対して垂直方向の力成分を有する付勢力をスプリング40から受ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が供給される供給通路を有するシート部材と、
前記シート部材の環状のシート部に着座して前記供給通路を閉塞する弁体と、
前記弁体を前記シート部に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
前記弁体は、前記シート部の中心軸に対して垂直方向の力成分を有する付勢力を前記付勢部材から受けることを特徴とするバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブであって、
前記付勢部材は、前記弁体に接触する端面が前記中心軸に垂直な方向に対して傾斜して設けられることを特徴とするバルブ。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブであって、
前記シート部の前記中心軸と、前記付勢部材の中心軸と、はずれて設けられることを特徴とするバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧油ポートと排油ポートとの間の圧油室に設けられ弁座を有する弁本体と、弁座に対し進退方向に移動することにより弁座の油路を開閉するポペット式の弁体と、を有するリリーフ弁が開示されている。弁体はばねにより弁座に向けて付勢され、弁体が弁座に着座することにより圧油ポートから排油ポートへの流体の流れが禁止される。圧油ポート側から弁体に作用する油圧がリリーフ圧を超えると、弁体が弁座から離座することにより圧油ポートから排油ポートへの流体の流れが許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-101695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようなリリーフ弁では、弁体の開弁時に、作動流体の流体圧によって弁体に径方向の力が作用し、弁体が径方向に振動することが考えられる。これにより、弁体の開弁時に異音が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、バルブにおいて弁体の開弁時の異音の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バルブであって、作動流体が供給される供給通路を有するシート部材と、シート部材の環状のシート部に着座して供給通路を閉塞する弁体と、弁体をシート部に向けて付勢する付勢部材と、を備え、弁体は、シート部の中心軸に対して垂直方向の力成分を有する付勢力を付勢部材から受けることを特徴とする。
【0007】
この発明では、弁体には、シート部の中心軸に沿った付勢力と、シート部の中心軸に対して垂直な付勢力と、が作用する。そのため、弁体が開弁し供給通路から作動流体が導かれても、弁体の一部が付勢部材によりシート部材に押し付けられる。これにより、弁体が径方向に振動することが防止される。
【0008】
また、本発明は、付勢部材は、弁体に接触する端面が中心軸に垂直な方向に対して傾斜して設けられることを特徴とする。
【0009】
この発明では、付勢部材の端面を加工することで、弁体が径方向に振動することが容易に防止される。
【0010】
また、本発明は、シート部の中心軸と、付勢部材の中心軸と、はずれて設けられることを特徴とする。
【0011】
この発明では、シート部と付勢部材との位置関係を調整することで、弁体が径方向に振動することが容易に防止される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バルブにおいて弁体の開弁時の異音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るバルブの断面模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るバルブの断面模式図であり、弁体が開弁した状態を示す。
図3】本発明の実施形態の変形例1に係るバルブの断面模式図である。
図4】本発明の実施形態の変形例3に係るバルブの断面模式図である。
図5】本発明の実施形態の変形例4に係るバルブの断面模式図である。
図6】本発明の実施形態の変形例5に係るバルブの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るバルブ100について説明する。
【0015】
バルブ100は、作動油の圧力が設定圧に達すると開弁し、作動油の圧力が異常に高圧となることを防止するリリーフ弁として用いられる。本実施形態では、作動流体として作動油が用いられるが、作動水や圧縮空気などの他の流体を用いてもよい。また、バルブ100は、リリーフ弁以外であってもよい。
【0016】
図1に示すように、バルブ100は、供給ポート1及び排出ポート2が設けられるケース10と、供給ポート1から作動油が供給される供給通路25を有するシート部材20と、シート部材20の環状のシート部21に着座して供給通路25を閉塞する弁体30と、弁体30をシート部21に向けて付勢する付勢部材としてのスプリング40と、を備える。
【0017】
ケース10内には、収容空間11が設けられる。収容空間11の長手方向の端部には、供給ポート1及び排出ポート2が開口する。供給ポート1は外部の通路に接続され、排出ポート2はタンク(図示せず)に接続される。収容空間11には、供給ポート1側から排出ポート2側に向かって、シート部材20、弁体30、及びスプリング40がこの順で収容される。収容空間11は、シート部材20により二つに区画され、ケース10には、供給ポート1に連通する供給側空間11aと、排出ポート2に連通する排出側空間11bと、が形成される。ケース10には、弁体30とは反対側のスプリング40の端部が挿入されスプリング40の端部の外周を支持する支持部としての支持孔12が排出側空間11bに臨んで設けられる。支持孔12の内径は、スプリング40の外径と略等しく設けられる。支持孔12の底面には、スプリング40を支持するワッシャ50が設けられる。なお、支持部は、支持孔12に限定されず、スプリング40に挿入されスプリング40を内周から支持する突起部でもよい。
【0018】
シート部材20は、円筒状に形成され、ケース10の収容空間11に圧入されて固定される。これにより、シート部材20の外周面と収容空間11の内周面との間を通じた作動油の流れが遮断され、上記のように収容空間11が供給側空間11aと排出側空間11bに区画される。供給通路25は、シート部材20の中央を軸方向に貫通して形成される断面円状の貫通孔である。供給通路25は、供給側空間11aと排出側空間11bとに臨み、それぞれを連通する。シート部材20における排出側空間11bに臨む面には、弁体30が着座する環状のシート部21が設けられる。シート部21は、供給通路25における排出側空間11bに臨む端部が拡径されてテーパ状に設けられる。シート部21の中心軸O1は、ケース10の支持孔12の中心軸O2と一致して設けられる。
【0019】
弁体30は、略円柱状に形成され、中心軸がシート部材20のシート部21の中心軸O1と同軸状に設けられる。弁体30は、円盤状のフランジ部30aと、フランジ部30aの一方の端面からシート部21に向けて軸方向に突出して設けられる円錐状の弁部30bと、フランジ部30aの他方の端面から軸方向に突出して設けられる円柱状の突出部30cと、を有する。フランジ部30aは、両方の端面がシート部21の中心軸O1に垂直な方向に延びて設けられる。フランジ部30aには、圧縮されたスプリング40の一方の端面40bが接触する。これにより、弁体30は、シート部材20のシート部21に向けて付勢される。弁部30bは、供給通路25に先端部が挿入されてシート部21に着座する。具体的には、弁部30bは、シート部21における供給通路25との境界部21aと、弁部30bの側面と、が環状に線接触してシート部21に着座する。これにより、供給通路25を通じた供給側空間11aと排出側空間11bとの連通が遮断される。突出部30cは、スプリング40の内側に設けられる。突出部30cによりスプリング40が内側から支持されることで、弁体30からスプリング40が脱落することが防止される。
【0020】
スプリング40は、弁体30のフランジ部30aとワッシャ50との間に圧縮されて設けられる。スプリング40は、ケース10の支持孔12、シート部材20のシート部21、及び弁体30と同軸状に設けられ、弁体30をシート部21に向けて付勢する。スプリング40は、ワッシャ50に接触する端面40aがワッシャ50とともにシート部21の中心軸O1に垂直な方向に延びて設けられる。また、スプリング40は、弁体30のフランジ部30aに接触する端面40bがシート部21の中心軸O1に平行な方向及び中心軸O1に垂直な方向に対して傾斜して設けられる。具体的には、スプリング40は、端面40bが一方から他方に向けて一様に傾斜する。図1においては、スプリング40は、排出ポート2側が短く形成され、端面40bが右下がりに傾斜する。端面40bは、切削等により加工される。スプリング40の端面40bは、弁体30のフランジ部30aに対して傾斜する。よって、スプリング40は、周方向の全体ではなく、周方向の一部のみ(図1においては左側のみ)がフランジ部30aに接触して弁体30を付勢する。
【0021】
弁体30には、スプリング40との接触部Aから、シート部21の中心軸O1に沿った力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直方向の力と、が作用する。図1においては、スプリング40の端面40bが右下がりに傾斜するため、弁体30に作用する「シート部21の中心軸O1に対して垂直方向の力」は、図1における右側に向けた力となる。よって、弁体30は、シート部21に向けて付勢されるとともに、供給通路25の内周面に向けて(図1においては右側に向けて)付勢される。このように、弁体30は、シート部21の中心軸O1に沿った力成分と、シート部21の中心軸O1に対して垂直方向の力成分と、を有する付勢力をスプリング40から受ける。なお、弁体30は、自身の中心軸から離れた位置において上記の付勢力をスプリング40から受けるため、図1においては、スプリング40との接触部Aから時計回りに回転しようとする。しかしながら、弁体30が開弁していない状態では、弁部30bとシート部21との環状の接触部で作用する摩擦力により、弁体30は回転せずに姿勢が保たれる。
【0022】
バルブ100では、供給側空間11a内の圧力が、スプリング40におけるシート部21の中心軸O1に沿った付勢力によって設定されるリリーフ圧に達すると、シート部材20のシート部21から弁体30の弁部30bが離座し、弁体30が開弁する。これにより、供給側空間11a内の作動油は、供給通路25を通じて排出側空間11bに導かれ、排出ポート2を通じてタンクに排出される。
【0023】
ここで、スプリングにおける弁体に接触する端面がシート部材のシート部の中心軸に垂直な方向に延びるリリーフ弁では、弁体の開弁時に、作動油の流体圧によって弁体に径方向の力が作用し、弁体が径方向に振動することが考えられる。これにより、弁体の開弁時に異音が生じるおそれがある。
【0024】
これに対して、本実施形態のバルブ100では、弁体30には、シート部21の中心軸O1に沿った付勢力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直な付勢力と、が作用する。そのため、図2に示すように、供給側空間11a内の圧力がリリーフ圧に達すると、弁体30がスプリング40に向けて移動するとともに、弁体30が供給通路25の内周面に向けて傾き弁部30bがシート部21に押し付けられる。つまり、弁体30が開弁すると、弁部30bの一部(図2においては左側)のみがシート部21から離座し、両者の間を通じた作動油の流れが許容される。一方で、弁部30bの一部(図2においては右側)は、バルブ100の動作を通じて常にシート部21(具体的には、シート部21における供給通路25との境界部21a)に押し付けられる。このように、バルブ100では、弁体30が開弁し供給通路25から作動油が導かれても、弁部30bがスプリング40によりシート部21の中心軸O1に対して垂直にシート部材20に押し付けられる。そのため、弁体30が径方向に振動することが防止され、弁体30の開弁時の異音の発生を防止することができる。
【0025】
また、本実施形態のバルブ100では、スプリング40の端面40bをシート部21の中心軸O1に垂直な方向に対して傾斜させることで、弁体30が径方向に振動することが防止される。つまり、従来のバルブに既存のスプリングを加工して利用することで、部品点数を増加させずに弁体30の開弁時の異音の発生を防止することができる。
【0026】
なお、スプリング40の内径は、弁体30が傾いた際に突出部30cに接触しないように設定される。これにより、弁体30が開弁時に傾くことをスプリング40が阻害することが防止される。
【0027】
また、スプリング40の端面40bは、シート部21の中心軸O1に垂直な方向に対して、4度±1度の範囲内で傾斜することが望ましい。これにより、バルブ100の組立において弁体30のシート部材20への取り付け性が悪化せずに、弁体30の開弁時の異音の発生を防止することができる。しかしながら、端面40bの傾斜は、4度±1度の範囲外であってもよい。
【0028】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0029】
バルブ100では、弁体30には、シート部21の中心軸O1に沿った付勢力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直な付勢力と、が作用する。そのため、弁体30が開弁し供給通路25から作動油が導かれても、弁部30bがスプリング40によりシート部21の中心軸O1に対して垂直にシート部材20に押し付けられる。そのため、弁体30が径方向に振動することが防止され、弁体30の開弁時の異音の発生を防止することができる。
【0030】
なお、次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0031】
<変形例1>
上記実施形態では、スプリング40の一方の端面40bが、切削等により加工されシート部21の中心軸O1に垂直な方向に対して傾斜して設けられる。これに代えて、図3に示すように、ケース10の支持孔12の底面に設けられるワッシャ50の一方の端面50aが、切削等により加工されシート部21の中心軸O1に垂直な方向に対して傾斜して設けられてもよい。具体的には、図3においては、ワッシャ50の端面50aは、右下がりとなるようにシート部21の中心軸O1に垂直方向に対して傾斜する。スプリング40は、両方の端面40a,40bが自身の中心軸に垂直方向に対して傾斜せず、互いに平行に延びて設けられる。スプリング40は、ワッシャ50の端面50aに設けられ、両方の端面40a,40bがシート部21の中心軸O1に垂直な方向に対して傾斜する。これにより、本実施形態と同様に、スプリング40の端面40bがフランジ部30aに対して傾斜し、スプリング40の周方向の一部のみ(図3においては左側のみ)がフランジ部30aに接触して弁体30を付勢する。したがって、弁体30には、シート部21の中心軸O1に沿った付勢力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直な付勢力と、が作用するため、本実施形態と同様に、弁体30が径方向に振動することが防止される。このように、ワッシャ50の端面50aを加工することで、弁体30が径方向に振動することが容易に防止される。
【0032】
<変形例2>
スプリング40の端面40bが傾斜せずに、スプリング40の端面40bと弁体30のフランジ部30aとの間に変形例1のワッシャ50が設けられる構成であってもよい。本変形例では、当該ワッシャがフランジ部30aに対して傾斜し、周方向の一部のみがフランジ部30aに接触する。そして、当該ワッシャを介してスプリング40が弁体30を付勢する。したがって、弁体30には、シート部21の中心軸O1に沿った付勢力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直な付勢力と、が作用するため、本実施形態と同様に、弁体30が径方向に振動することが防止される。
【0033】
<変形例3>
図4に示すように、スプリング40の端面40bが傾斜せずに、弁体30のフランジ部30aにおけるスプリング40に接触する端面が、シート部21の中心軸O1に垂直な方向に対して傾斜して設けられる構成であってもよい。これにより、本実施形態と同様に、スプリング40の端面40bがフランジ部30aに対して傾斜し、スプリング40の周方向の一部のみ(図4においては左側のみ)がフランジ部30aに接触して弁体30を付勢する。したがって、弁体30には、シート部21の中心軸O1に沿った付勢力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直な付勢力と、が作用するため、本実施形態と同様に、弁体30が径方向に振動することが防止される。
【0034】
<変形例4>
図5に示すように、スプリング40の端面40bが傾斜せずに、シート部材20のシート部21の中心軸O1と、ケース10の支持孔12の中心軸O2と、がずれて設けられてもよい。言い換えれば、シート部21の中心軸O1と、スプリング40の中心軸と、がずれて設けられてもよい。ここで、「ずれて設けられる」とは、具体的には、シート部21の中心軸O1と、支持孔12の中心軸O2と、が互いに平行で所定の距離を空けて設けられることである。支持孔12の中心軸O2は、弁体30がシート部材20に取り付け可能な範囲で、シート部21の中心軸O1とずれて設けられる。図5においては、支持孔12の中心軸O2が、シート部21の中心軸O1よりも右側にずれて設けられる。これにより、弁体30は、中心軸がシート部21の中心軸O1とずれてシート部21に着座する。よって、弁体30のフランジ部30aは、シート部21の中心軸O1に垂直な方向に対して傾斜する。これにより、本実施形態と同様に、スプリング40の端面40bがフランジ部30aに対して傾斜し、スプリング40の周方向の一部のみ(図5においては左側のみ)がフランジ部30aに接触して弁体30を付勢する。したがって、弁体30には、シート部21の中心軸O1に沿った付勢力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直な付勢力と、が作用するため、本実施形態と同様に、弁体30が径方向に振動することが防止される。このように、シート部21とスプリング40との位置関係を調整することで、弁体30が径方向に振動することが容易に防止される。
【0035】
<変形例5>
図6に示すように、スプリング40の端面40bが傾斜せずに、供給通路25及びシート部21が、支持孔12の中心軸O2に対して傾斜して設けられてもよい。弁体30は、弁部30bが供給通路25の内周面に沿って傾いて挿入されてシート部21に着座する。よって、弁体30のフランジ部30aは、支持孔12の中心軸O2に垂直な方向に対して傾斜する。これにより、本実施形態と同様に、スプリング40の端面40bがフランジ部30aに対して傾斜し、スプリング40の周方向の一部のみ(図6においては左側のみ)がフランジ部30aに接触して弁体30を付勢する。したがって、弁体30には、シート部21の中心軸O1に沿った付勢力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直な付勢力と、が作用するため、本実施形態と同様に、弁体30が径方向に振動することが防止される。
【0036】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0037】
バルブ100は、作動流体が供給される供給通路25を有するシート部材20と、シート部材20の環状のシート部21に着座して供給通路25を閉塞する弁体30と、弁体30をシート部21に向けて付勢する付勢部材としてのスプリング40と、を備え、弁体30は、シート部21の中心軸O1に対して垂直方向の力成分を有する付勢力をスプリング40から受ける。
【0038】
この構成では、弁体30には、シート部21の中心軸O1に沿った付勢力と、シート部21の中心軸O1に対して垂直な付勢力と、が作用する。そのため、弁体30が開弁し供給通路25から作動流体が導かれても、弁体30の一部がスプリング40によりシート部材20に押し付けられる。これにより、弁体30が径方向に振動することが防止される。
【0039】
また、スプリング40は、弁体30に接触する端面40bが中心軸O1に垂直な方向に対して傾斜して設けられる。
【0040】
この構成では、スプリング40の端面40bを加工することで、弁体が径方向に振動することが容易に防止される。
【0041】
また、バルブ100は、シート部21の中心軸O1と、スプリング40の中心軸と、はずれて設けられる。
【0042】
この構成では、シート部21とスプリング40との位置関係を調整することで、弁体30が径方向に振動することが容易に防止される。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0044】
10・・・ケース、12・・・支持孔(支持部)、20・・・シート部材、21・・・シート部、25・・・供給通路、30・・・弁体、40・・・スプリング(付勢部材)、40b・・・端面、O1,O2・・・中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6