(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149216
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】測定装置、測定方法及び測定プログラム
(51)【国際特許分類】
G01B 15/02 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01B15/02 A
G01B15/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057657
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】東 浩平
(72)【発明者】
【氏名】西田 和史
【テーマコード(参考)】
2F067
【Fターム(参考)】
2F067AA27
2F067AA28
2F067BB01
2F067CC08
2F067EE03
2F067EE04
2F067GG01
2F067HH04
2F067HH06
2F067JJ03
2F067JJ05
2F067KK06
2F067NN03
2F067NN05
2F067NN10
2F067PP04
2F067PP05
2F067RR08
2F067RR12
(57)【要約】
【課題】厚い測定対象の測定精度を確保できる測定装置、測定方法及び測定プログラムを提供する。
【解決手段】測定装置10は、測定対象80に対して放射線を射出する線源22と、測定対象80を透過した放射線を検出して検出信号を出力する検出器24とを有する測定部20と、検出器24から出力される検出信号をサンプリング範囲の上限を設定してサンプリングすることによって得られたサンプリング信号に基づいて測定対象80の厚みを算出する制御部70とを備える。制御部70は、サンプリング範囲の上限を、測定対象80の厚みに基づいて設定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に対して放射線を射出する線源と、前記測定対象を透過した放射線を検出して検出信号を出力する検出器とを有する測定部と、
前記検出器から出力される検出信号をサンプリング範囲の上限を設定してサンプリングすることによって得られたサンプリング信号に基づいて前記測定対象の厚みを算出する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記サンプリング範囲の上限を、前記測定対象の厚みに基づいて設定する、
測定装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記線源及び前記検出器を移動させる駆動部を更に有し、
前記制御部は、前記線源及び前記検出器が前記測定対象を走査するように、前記駆動部によって前記線源及び前記検出器を移動させる、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記測定部を収容する筐体と、前記筐体に設置されている校正サンプルとを更に有し、
前記制御部は、前記線源と前記検出器との間に前記測定対象が存在しない期間のうち少なくとも一部の期間において前記線源及び前記検出器が前記校正サンプルを挟む位置に移動するように前記駆動部を制御し、前記校正サンプルを透過した放射線を前記検出器に検出させる、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記線源と前記検出器との間に校正サンプルを挿入可能に構成されるサンプル挿入部を更に有し、
前記制御部は、前記線源と前記検出器との間に前記測定対象が存在しない期間のうち少なくとも一部の期間において前記校正サンプルが前記線源と前記検出器との間に挿入されるように前記サンプル挿入部を制御し、前記校正サンプルを透過した放射線を前記検出器に検出させる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記校正サンプルは、少なくとも第1校正サンプルと第2校正サンプルとを含み、
前記第1校正サンプルにおける放射線の透過率と、前記第2校正サンプルにおける放射線の透過率とが互いに異なり、
前記制御部は、前記第1校正サンプル又は前記第2校正サンプルの少なくとも一方を透過した放射線を、前記検出器に検出させる、請求項3又は4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記測定対象の厚みと前記サンプリング信号との関係を特定する検量線に基づいて前記測定対象の厚みを算出し、
前記検量線は、前記サンプリング範囲の上限が異なる値に設定される場合のそれぞれに対応するように生成される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
測定対象を透過した放射線の検出信号をサンプリング範囲の上限を設定してサンプリングすることによって得られたサンプリング信号に基づいて前記測定対象の厚みを算出するステップと、
前記サンプリング範囲の上限を、前記測定対象の厚みに基づいて設定するステップと
を含む、測定方法。
【請求項8】
測定対象を透過した放射線の検出信号をサンプリング範囲の上限を設定してサンプリングすることによって得られたサンプリング信号に基づいて前記測定対象の厚みを算出するステップと、
前記サンプリング範囲の上限を、前記測定対象の厚みに基づいて設定するステップと
を測定装置に実行させる測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置、測定方法及び測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート部材の厚さを測定する坪量測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定対象が厚くなった場合でも測定精度を確保することが求められる。
【0005】
本開示は、上述の点に鑑みてなされたものであり、厚い測定対象の測定精度を確保できる測定装置、測定方法及び測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る測定装置は、測定対象に対して放射線を射出する線源と、前記測定対象を透過した放射線を検出して検出信号を出力する検出器とを有する測定部と、前記検出器から出力される検出信号をサンプリング範囲の上限を設定してサンプリングすることによって得られたサンプリング信号に基づいて前記測定対象の厚みを算出する制御部とを備える。前記制御部は、前記サンプリング範囲の上限を、前記測定対象の厚みに基づいて設定する。このようにすることで、サンプリングで変換した離散値の1カウントに対応する面積重量の変化量が小さくなる。その結果、面積重量の測定分解能が高くなる。
【0007】
一実施形態に係る測定装置において、前記測定部は、前記線源及び前記検出器を移動させる駆動部を更に有してよい。前記制御部は、前記線源及び前記検出器が前記測定対象を走査するように、前記駆動部によって前記線源及び前記検出器を移動させてよい。このようにすることで、測定装置は、測定対象を走査できる。その結果、測定装置の利便性が高められる。
【0008】
一実施形態に係る測定装置において、前記測定部を収容する筐体と、前記筐体に設置されている校正サンプルとを更に有してよい。前記制御部は、前記線源と前記検出器との間に前記測定対象が存在しない期間のうち少なくとも一部の期間において前記線源及び前記検出器が前記校正サンプルを挟む位置に移動するように前記駆動部を制御し、前記校正サンプルを透過した放射線を前記検出器に検出させてよい。このようにすることで、校正作業の頻度が高められる。その結果、測定精度が高められる。
【0009】
一実施形態に係る測定装置において、前記測定部は、前記線源と前記検出器との間に校正サンプルを挿入可能に構成されるサンプル挿入部を更に有してよい。前記制御部は、前記線源と前記検出器との間に前記測定対象が存在しない期間のうち少なくとも一部の期間において前記校正サンプルが前記線源と前記検出器との間に挿入されるように前記サンプル挿入部を制御し、前記校正サンプルを透過した放射線を前記検出器に検出させてよい。このようにすることで、校正作業の頻度が高められる。その結果、測定精度が高められる。
【0010】
一実施形態に係る測定装置において、前記校正サンプルは、少なくとも第1校正サンプルと第2校正サンプルとを含んでよい。前記第1校正サンプルにおける放射線の透過率と、前記第2校正サンプルにおける放射線の透過率とが互いに異なってよい。前記制御部は、前記第1校正サンプル又は前記第2校正サンプルの少なくとも一方を透過した放射線を、前記検出器に検出させてよい。このようにすることで、校正作業が容易に実行され得る。その結果、測定精度が高められる。
【0011】
一実施形態に係る測定装置において、前記制御部は、前記測定対象の厚みと前記サンプリング信号との関係を特定する検量線に基づいて前記測定対象の厚みを算出してよい。前記検量線は、前記サンプリング範囲の上限が異なる値に設定される場合のそれぞれに対応するように生成されてよい。このようにすることで、面積重量が容易に算出される。その結果、測定装置の利便性が高められる。
【0012】
幾つかの実施形態に係る測定方法は、測定対象を透過した放射線の検出信号をサンプリング範囲の上限を設定してサンプリングすることによって得られたサンプリング信号に基づいて前記測定対象の厚みを算出するステップと、前記サンプリング範囲の上限を、前記測定対象の厚みに基づいて設定するステップとを含む。このようにすることで、サンプリングで変換した離散値の1カウントに対応する面積重量の変化量が小さくなる。その結果、面積重量の測定分解能が高くなる。
【0013】
幾つかの実施形態に係る測定プログラムは、測定対象を透過した放射線の検出信号をサンプリング範囲の上限を設定してサンプリングすることによって得られたサンプリング信号に基づいて前記測定対象の厚みを算出するステップと、前記サンプリング範囲の上限を、前記測定対象の厚みに基づいて設定するステップとを測定装置に実行させる。このようにすることで、サンプリングで変換した離散値の1カウントに対応する面積重量の変化量が小さくなる。その結果、面積重量の測定分解能が高くなる。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る測定装置、測定方法及び測定プログラムによれば、厚い測定対象の測定精度が確保され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】比較例に係る測定装置で用いられる検量線のグラフである。
【
図3】一実施形態に係る測定装置の構成例を示す側面図である。
【
図4】一実施形態に係る測定装置の構成例を示す平面図である。
【
図5】一実施形態に係る測定装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】一実施形態に係る測定装置で用いられる検量線のグラフである。
【
図7】一実施形態に係る測定方法の手順例を示すフローチャートである。
【
図8】検量線を作成する手順例を示すフローチャートである。
【
図9】校正サンプルをスライドで挿入する構成例を示す側面図である。
【
図10】校正サンプルを回転で挿入する構成例を示す平面図である。
【
図11】複数の校正サンプルをスライドで切り替える構成例を示す平面図である。
【
図12】複数の校正サンプルを回転で切り替える構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(比較例)
図1に示されるように、比較例に係る測定装置90は、線源91と、検出器92と、駆動部93と、筐体94とを備える。測定装置90は、線源91と検出器92との間に測定対象95が位置するように、筐体94又は測定対象95の少なくとも一方を移動させる。また、測定装置90は、駆動部93によって、測定対象95の任意の位置に線源91と検出器92とを移動させる。測定装置90は、線源91から放射線を射出し、線源91と検出器92との間に位置する測定対象95を透過した放射線を検出器92で検出し、検出した放射線の強度に基づいて測定対象95の任意の位置の厚みを算出する。
【0017】
測定対象95における放射線の透過率は、測定対象95が厚くなるほど低下する。線源91から射出される放射線の強度が既知である場合、測定対象95における放射線の透過率は、測定対象95を透過した放射線の強度の検出結果に対応する。測定対象95の厚みは、単位面積当たりの重量(面積重量)として表される。測定対象95の厚みに対応する面積重量と、測定対象95を透過した放射線強度との関係は、
図2のグラフとして示され得る。横軸は面積重量を表し、縦軸は放射線強度を表す。測定対象95の面積重量が0のとき、すなわち測定対象95が線源91と検出器92との間に存在しない場合の放射線強度は、I
0として表されている。
【0018】
測定装置90は、デジタル回路で実現される場合、検出器92による放射線の検出信号をサンプリングして放射線強度の離散値に変換する。面積重量と放射線強度との関係が
図2のグラフで表される場合、測定装置90は、SCとして表される、放射線強度が0からI
0までの範囲で、検出器92で検出した放射線強度をサンプリングして放射線強度の離散値に変換する。測定装置90は、測定対象95を透過した放射線強度の離散値のカウントと測定対象95の面積重量とを対応づけたテーブルに基づいて測定対象95の面積重量を算出する。測定対象95の面積重量を算出できる範囲は、SCとして表される放射線強度の範囲に対応する面積重量が0以上の範囲であり、MCとして表される。
【0019】
放射線強度は、一定のサンプリング間隔でサンプリングされる。したがって、放射線強度の離散値が1カウント変化したときの放射線強度の変化量、放射線強度の大小にかかわらず一定である。一方で、面積重量と放射線強度との関係を表すグラフの傾きは、面積重量が大きくなるほど緩やかになる。この場合、測定対象95の面積重量が大きいほど、放射線強度の離散値が1カウント変化したときの面積重量の変化量が大きくなる。そうすると、測定装置90における測定対象95の面積重量の測定値は、測定対象95の面積重量が大きいほど広い間隔で算出される。言い換えれば、測定対象95の面積重量が大きいほど面積重量の測定の分解能が低下する。
【0020】
測定装置90は、測定対象95の面積重量が0~1200g/m2の範囲内であるときに0.1%の分解能で面積重量を測定できるように設計されているとする。ここで、全固体電池で用いられる電極シートの面積重量は、約2000g/m2である。また、全固体電池で用いられる電極シートの面積重量を0.1%の分解能(約2g/m2)で測定することが求められる。
【0021】
しかし、約2000g/m2の電極シートにおいて放射線の透過率が0.1%程度しかない。このとき、透過した放射線強度の検出結果を14ビットのADコンバータでサンプリングしたときの1カウントに対応する面積重量の分解能は約10g/m2である。そうすると、約2000g/m2の電極シートで必要とされる0.1%の分解能(約2g/m2)が得られない。したがって、比較例に係る測定装置90は、測定対象95が厚い場合に十分に高い分解能を得られないことがある。
【0022】
そこで、本開示は、厚いシートを測定する場合にでも高い分解能を確保できる測定装置10(
図3~
図5等参照)について説明する。
【0023】
(本実施形態に係る測定装置10の構成例)
図3及び
図4に示されるように、本開示の一実施形態に係る測定装置10は、測定部20と、筐体30とを備える。筐体30は、測定部20を収容する。測定部20は、線源22と、検出器24とを備える。線源22は、ベータ線又はX線等の放射線を射出するように構成される。検出器24は、線源22から射出される放射線を検出可能に構成される。検出器24は、放射線の検出結果を検出信号として出力する。検出器24は、線量計等の種々の態様で構成されてよい。
【0024】
測定装置10は、線源22と検出器24との間に位置する測定対象80に対して線源22から放射線を射出し、測定対象80を透過した放射線を検出器24で検出し、放射線の検出結果に基づいて測定対象80の厚みを測定する。測定対象80は、XY平面に沿って広がるシート状の物体であるとする。線源22と検出器24とは、線源22及び検出器24の間にXY平面に沿って広がる測定対象80が入るように、Z軸方向に所定の間隔を空けて並んで位置する。
【0025】
測定装置10は、XY平面に沿って広がる測定対象80の任意の位置の厚みを測定するために、測定部20と測定対象80との位置関係をXY平面に沿って変更可能に構成される。本実施形態において、測定部20は、駆動部26を更に備える。駆動部26は、線源22及び検出器24をX軸方向に移動させるように構成される。また、測定装置10は、測定対象80を、筐体30に対してY軸方向に移動させるように構成されるとする。これによって、測定部20は、XY平面に沿って広がる測定対象80の任意の位置に移動でき、測定対象80を走査できる。測定装置10は、測定対象80を移動させる代わりに、筐体30をY軸方向に移動させるように構成されてもよい。測定部20が測定対象80を走査できることによって、測定装置10の利便性が高められる。
【0026】
図5に示されるように、測定装置10は、制御部70と、インタフェース60とを更に備える。制御部70は、測定部20又はインタフェース60等の測定装置10の各構成部を制御する。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成されてよい。制御部70は、所定のプログラムを実行することによって、測定装置10の種々の機能を実現してよい。
【0027】
制御部70は、記憶部を備えてよい。記憶部は、制御部70の動作に用いられる各種情報、又は、制御部70の機能を実現するためのプログラム等を格納してよい。記憶部は、制御部70のワークメモリとして機能してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部は、制御部70と別体で構成されてもよい。
【0028】
インタフェース60は、例えば、LAN(Local Area Network)等の通信インタフェースを備えてよい。インタフェース60は、有線又は無線によって外部装置と通信可能に接続されてよい。インタフェース60は、これらに限られず、他の種々の通信デバイスを含んで構成されてよい。
【0029】
インタフェース60は、表示デバイスを備えてもよい。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ等の種々のディスプレイを含んでよい。インタフェース60は、スピーカ等の音声出力デバイスを備えてもよい。インタフェース60は、これらに限られず、他の種々の出力デバイスを含んで構成されてよい。
【0030】
インタフェース60は、ユーザからの入力を受け付ける入力デバイスを含んでもよい。入力デバイスは、例えば、キーボード又は物理キーを含んでもよいし、タッチパネル若しくはタッチセンサ又はマウス等のポインティングデバイスを含んでもよい。入力デバイスは、これらの例に限られず、他の種々のデバイスを含んで構成されてよい。
【0031】
(本実施形態に係る測定装置10の動作例)
測定対象80における放射線の透過率は、測定対象80が厚くなるほど低下する。測定装置10の制御部70は、線源22から射出される放射線の強度と検出器24で検出した放射線の強度とに基づいて、測定対象80における放射線の透過率を算出できる。測定対象80が厚いほど、測定対象80における放射線の透過率は低くなる。制御部70は、測定対象80の厚みと測定対象80における放射線の透過率との関係に基づいて、検出器24で検出した放射線の強度から測定対象80の厚みを算出できる。
【0032】
測定対象80の厚みは、単位面積当たりの重量として表される。単位面積当たりの重量は、面積重量とも称される。線源22から射出される放射線強度が既知である場合、放射線の透過率は、測定対象80を透過した放射線強度として表される。測定対象80の面積重量と測定対象80を透過した放射線強度との関係は、
図6のグラフとして示されるとする。横軸は面積重量を表し、縦軸は放射線強度を表す。測定対象80の面積重量が0のとき、すなわち測定対象80が線源22と検出器24との間に存在しない場合の放射線強度は、I
0として表されている。放射線は、測定対象80だけでなく空気によっても吸収又は散乱される。したがって、測定対象80が存在しない場合の放射線強度I
0は、線源22と検出器24との間に存在する空気層を透過した放射線の強度である。
【0033】
制御部70は、検出器24で放射線強度を検出した結果として得られた検出信号をサンプリングして離散値に変換する。本実施形態において、制御部70は、14ビットのADコンバータを備えるとする。14ビットのADコンバータは、検出器24の検出信号をサンプリングして0カウントから16383カウントまでの16384個(214個)の離散値のいずれかに変換する。各離散値は、その離散値を含む放射線強度の区間を代表する値である。ADコンバータは、検出信号として入力される放射線強度の値を、その放射線強度が含まれる区間を代表する離散値に変換する。ADコンバータのビット数は、14ビットに限られず13ビット以下であってもよいし15ビット以上であってもよい。制御部70は、検出信号をサンプリングする構成として、ADコンバータに限られず他の種々の回路又は素子等を含んでもよい。
【0034】
制御部70は、測定対象80の面積重量と検出器24の検出信号から変換した離散値のカウントとの関係を取得する。測定対象80の面積重量とカウントとの関係は、
図6にグラフとして例示される関係において、縦軸の放射線強度をサンプリングして離散値に変換することによって生成される。測定対象80の面積重量とカウントとの関係は、検量線によって表されてよい。制御部70は、検量線を用いて放射線強度をサンプリングして変換した離散値のカウントを測定対象80の面積重量に変換することによって、面積重量を容易に算出できる。その結果、測定装置10の利便性が高められる。
【0035】
検量線は、指数関数、又は、多項式等の種々の数式を含む近似式として表されてよい。検量線は、曲線を複数の線分を含む折れ線で近似することによって表されてよい。検量線を近似する折れ線は、折れ線に含まれる複数の線分がつながる節点における面積重量の値と放射線強度の値との組み合わせによって特定され得る。例えば、表1に示されるように、検量線を近似する63本の折れ線の始点又は終点に対応するN-3からN+60までの64個の節点が特定され得る。節点の数は、63個以下であってもよいし、65個以上であってもよい。
【表1】
【0036】
面積重量とカウントとが対応づけられる検量線において、放射線強度の離散値の1カウントに対応する放射線強度の変化量が小さいほど、放射線強度の離散値の1カウントに対応する面積重量の変化が小さくなる。放射線強度の離散値の1カウントに対応する面積重量の変化が小さいほど、制御部70は、面積重量を高い分解能で算出できる。放射線強度の離散値の1カウントに対応する放射線強度の変化量は、検出器24の検出信号をサンプリングするときに用いられる、各離散値によって代表される区間の放射線強度の幅で定まる。したがって、制御部70は、各離散値によって代表される区間の放射線強度の幅を狭くすることによって、面積重量を高い分解能で算出できる。
【0037】
本実施形態に係る測定装置10において、制御部70は、サンプリングの対象とする検出信号の強度範囲の上限を、測定対象80が存在しないときの放射線強度I0に対応する検出信号の強度よりも低くする。サンプリングの対象とする検出信号の強度範囲の上限を低くすることによってサンプリングの範囲が狭くなる。制御部70が14ビットのADコンバータを用いてサンプリングして検出信号を0カウントから16383カウントまでの離散値に変換する際に、サンプリングの範囲が狭いほど、1カウントの離散値を含む区間の幅が狭くなる。
【0038】
一方で、測定対象80を透過した放射線の強度に対応する検出信号の強度がサンプリングの範囲から外れる場合、検量線を用いて測定対象80の面積重量を算出できない。したがって、制御部70は、サンプリングの対象とする検出信号の強度範囲の上限を、測定対象80を透過した放射線の強度に対応する検出信号の強度以上に設定する。このようにすることで、制御部70は、測定対象80の面積重量の分解能を高めつつ、測定対象80の面積重量を測定できる。
【0039】
図6のグラフにおいて、サンプリングの対象とする検出信号の強度範囲の上限に対応する放射線強度はI
1として表される。この場合、制御部70は、放射線強度が0からI
1までの範囲に対応する検出信号の強度範囲で検出信号をサンプリングして離散値に変換する。サンプリングの対象となる放射線強度が0からI
1までの範囲はSRとして表される。放射線強度I
1に対応する面積重量はW
1として表される。サンプリングの対象となる放射線強度の範囲が0からI
1までである場合、制御部70は、面積重量がW
1以上となる範囲で検量線によって面積重量を算出できる。サンプリングの対象となる放射線強度をSRで表される範囲に限定したときに面積重量を算出できる範囲はMRとして表される。逆に言えば、制御部70は、サンプリングの対象となる放射線強度の範囲の上限をI
1に引き下げた場合、測定対象80の面積重量を含まない、面積重量がW
1未満となる範囲(MRとして表される範囲外)を検量線から外すことができる。
【0040】
SRで表される範囲は、放射線強度が0からI0までの範囲よりも狭い。SRで表される範囲を14ビットのADコンバータで16384個の離散値に変換する場合の各離散値を含む区間の幅は、放射線強度が0からI0までの範囲を16384個の離散値に変換する場合の各離散値を含む区間の幅よりも狭い。言い換えれば、放射線強度が0からI0までの範囲をサンプリングの対象とする場合よりも、SRで表される範囲をサンプリングの対象とする場合において、離散値が1カウント変化したときの面積重量の変化量が小さい。その結果、制御部70は、サンプリングの対象とする範囲をSRで表される範囲に狭めることによって、面積重量の測定の分解能を高めることができる。
【0041】
測定装置10がW1より大きいWTを面積重量の値として有する測定対象80を測定すると仮定する。面積重量の値がWTである場合の放射線強度はITで表される。制御部70は、サンプリングの対象となる範囲をSRで表される範囲に狭める。この場合、放射線強度ITを離散値に変換するときに各離散値の差が小さくなる。各離散値の差が小さくなることによって、各離散値に対応する面積重量の差が小さくなる。その結果、面積重量の分解能が高められる。また、各離散値の差が小さくなることによって放射線強度ITと離散値との差(量子化誤差)が小さくなる。その結果、面積重量の測定精度が向上する。以上述べてきたように、本実施形態に係る測定装置10は、WTのように大きい面積重量を有する測定対象80の測定の分解能を高め、測定精度を高めることができる。
【0042】
<実施例>
測定装置10は、放射線強度が0からI0までの範囲をサンプリングの対象とする場合に、測定対象80の面積重量が0~1200g/m2の範囲内であるときに0.1%の分解能で面積重量を測定できるように設計されているとする。このように設計されている測定装置10において、面積重量が約2000g/m2である全固体電池で用いられる電極シートは、測定範囲外である。そこで、測定装置10の制御部70は、サンプリングの対象とする範囲の上限を、面積重量が800g/m2のときに対応する放射線強度に設定する。このようにすることで、制御部70は、面積重量が約2000g/m2である全固体電池で用いられる電極シートを0.1%の分解能で測定できるようになる。制御部70は、測定対象80の面積重量が2000g/m2より大きいとわかっている場合、サンプリングの対象とする範囲の上限を、面積重量が2000g/m2のときに対応する放射線強度に設定してもよい。
【0043】
<測定手順のフローチャートの例>
測定装置10の制御部70は、測定方法として
図7のフローチャートに例示される手順を実行してよい。
図7のフローチャートに例示される手順は、制御部70を構成するプロセッサに実行させる測定プログラムとして実現されてもよい。測定プログラムは、電磁記憶媒体等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてもよい。
【0044】
制御部70は、測定対象80の厚みの範囲を取得する(ステップS1)。例えば、制御部70は、インタフェース60の入力デバイスによってユーザから測定対象80の厚みの範囲を指定する入力を受け付けてよい。制御部70は、インタフェース60の通信デバイスによって外部装置から測定対象80の厚みの範囲を取得してもよい。
【0045】
制御部70は、サンプリング範囲の上限を設定する(ステップS2)。具体的に、制御部70は、測定対象80の厚みの範囲の下限に対応する放射線強度を算出し、サンプリング範囲の上限を、算出した放射線強度に設定してもよいし、算出した放射線強度よりも大きい放射線強度に設定してもよい。
【0046】
制御部70は、上限を設定したサンプリング範囲における検量線を取得する(ステップS3)。具体的に、制御部70は、上限を設定したサンプリング範囲に含まれる各離散値に面積重量を対応づけた検量線を取得する。制御部70は、あらかじめ準備されている検量線に合うように、ステップS2の手順でサンプリング範囲の上限を設定してもよい。つまり、制御部70は、サンプリング範囲の上限として複数の候補値を想定し、各候補値をサンプリング範囲の上限としたときの検量線を取得してよい。検量線は、サンプリング範囲の上限が異なる値に設定される場合のそれぞれに対応するように生成されてよい。
【0047】
制御部70は、サンプリング信号を取得する(ステップS4)。具体的に、制御部70は、測定部20を測定対象80の測定位置に移動させる。制御部70は、測定位置において線源22から放射線を射出させ、測定対象80を透過した放射線を検出器24によって検出させる。制御部70は、検出器24から検出信号を取得し、検出信号をサンプリングすることによって離散値に変換したカウントを表すサンプリング信号を生成してよい。制御部70は、検出信号をサンプリングするADコンバータからサンプリング信号を取得してもよい。
【0048】
制御部70は、測定対象80の厚み(面積重量)を算出する(ステップS5)。具体的に、制御部70は、検量線に基づいて、サンプリング信号で表されるカウントに対応する面積重量の値を算出する。制御部70は、面積重量の値を測定対象80の厚みの値に変換してもよい。制御部70は、算出した測定対象80の面積重量の値又は厚みの値をインタフェース60の表示デバイスによって表示してユーザに通知してもよい。制御部70は、ステップS5の手順の実行後、
図7のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0049】
(測定装置10を校正する動作例)
測定装置10は、校正サンプル40を更に備える。制御部70は、線源22と検出器24との間に校正サンプル40が位置する状態で、線源22に放射線を射出させ、校正サンプル40を透過した放射線を検出器24に検出させる。制御部70は、検出器24の検出結果をサンプリングして離散値に変換し、変換した離散値に校正サンプル40の面積重量を対応づけることによって校正してよい。制御部70は、校正サンプル40の測定結果に基づいて検量線を補正してもよい。
【0050】
校正サンプル40は、
図3及び
図4に示されるように筐体30に配置されてよい。校正サンプル40は、測定対象80の平面視(測定対象80をZ軸方向に見たとき)において、測定対象80に重ならないように配置されてよい。
【0051】
制御部70は、線源22と検出器24との間に測定対象80が存在しない期間のうち少なくとも一部の期間において線源22及び検出器24が校正サンプル40を挟む位置に移動するように駆動部26を制御し、校正サンプル40を透過した放射線を検出器24に検出させてよい。このようすることで、測定装置10は、線源22及び検出器24をXY平面に沿って移動させることによって、校正サンプル40を容易に測定して校正作業を実行できる。
【0052】
制御部70は、
図3及び
図4に例示される構成において、測定部20で測定対象80をX軸方向に1回走査する毎に、測定部20を校正サンプル40に移動させて校正作業を実行してもよい。このようすることで、校正作業の頻度が容易に高められる。その結果、測定精度が高められ得る。
【0053】
<検量線の生成手順のフローチャートの例>
測定装置10の制御部70は、校正サンプル40を用いて検量線を生成してよい。制御部70は、検量線の生成方法として
図8のフローチャートに例示される手順を実行してよい。
図8のフローチャートに例示される手順は、制御部70を構成するプロセッサに実行させる検量線の生成プログラムとして実現されてもよい。検量線の生成プログラムは、電磁記憶媒体等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてもよい。
【0054】
制御部70は、サンプルを検定する(ステップS11)。具体的に、制御部70は、検量線の作成に用いる校正サンプル40の面積重量の値を検定する。制御部70は、複数の校正サンプル40それぞれの面積重量の値を検定してもよい。
【0055】
制御部70は、校正サンプル40を透過した放射線を検出した検出信号を取得する(ステップS12)。制御部70は、複数の校正サンプル40それぞれについて検出信号を取得してもよい。制御部70は、検量線を作成する演算を実行する(ステップS13)。具体的に、制御部70は、校正サンプル40を透過した放射線を検出した検出信号をサンプリングして離散値に変換する。制御部70は、変換した離散値のカウントと校正サンプル40の面積重量とを対応づけることによって検量線を作成する。制御部70は、複数の校正サンプル40について検出信号を取得した場合、各校正サンプル40の検出信号をサンプリングして変換した離散値のカウントと各校正サンプル40の面積重量とを対応づけることによって検量線を作成する。
【0056】
制御部70は、作成した検量線の近似誤差が判定値以上であるか判定する(ステップS14)。具体的に、制御部70は、作成した検量線と、理論的に得られるべき検量線との誤差を近似誤差として算出する。制御部70は、作成した検量線において任意の面積重量の値に対応づけられるカウントと、理論的な検量線において任意の面積重量に対応づけられるカウントとの差を算出し、算出した差と判定値とを比較してよい。制御部70は、複数の面積重量の値のそれぞれについて、作成した検量線において対応づけられるカウントと理論的な検量線において対応づけられるカウントとの差を算出してよい。制御部70は、1つ以上の面積重量の値について、作成した検量線において対応づけられるカウントと理論的な検量線において対応づけられるカウントとの差が判定値以上である場合に、作成した検量線の近似誤差が判定値以上であると判定してよい。制御部70は、所定数以上の面積重量の値について、作成した検量線において対応づけられるカウントと理論的な検量線において対応づけられるカウントとの差が判定値以上である場合に、作成した検量線の近似誤差が判定値以上であると判定してよい。制御部70は、判定に用いる全ての面積重量の値について、作成した検量線において対応づけられるカウントと理論的な検量線において対応づけられるカウントとの差が判定値以上である場合に、作成した検量線の近似誤差が判定値以上であると判定してよい。
【0057】
制御部70は、作成した検量線の近似誤差が判定値以上である場合(ステップS14:YES)、ステップS11の手順に戻り、検量線の作成をやり直す。
【0058】
制御部70は、作成した検量線の近似誤差が判定値以上でない場合(ステップS14:YES)、つまり、作成した検量線の近似誤差が判定値未満である場合、サンプルテストを実行する(ステップS15)。具体的に、制御部70は、サンプルテストとして、作成した検量線を適用して、既知の面積重量を有する校正サンプル40を測定してよい。制御部70は、異なる面積重量を有する校正サンプル40のそれぞれを測定してよい。また、制御部70は、線源22と検出器24との間に校正サンプル40が存在しない状態、つまり、線源22と検出器24との間に空気しか存在しない状態で測定してもよい。制御部70は、線源22と検出器24との間に放射線を遮断するシャッターを入れた状態で測定してもよい。制御部70は、所定の周期で校正サンプル40を測定してもよい。
【0059】
制御部70は、作成した検量線がサンプルテストに合格したか判定する(ステップS16)。具体的に、制御部70は、作成した検量線を適用して既知の面積重量を有する校正サンプル40を測定して得られた面積重量の測定値と既知の面積重量との差が判定値未満である場合にサンプルテストに合格したと判定してよい。制御部70は、線源22と検出器24との間に空気しか存在しない状態における検出信号を変換した離散値のカウントが最大になる場合にサンプルテストに合格していると判定してよい。制御部70は、線源22と検出器24との間にシャッターが入っている状態における検出信号を変換した離散値のカウントが0になる場合にサンプルテストに合格していると判定してもよい。制御部70は、複数のテスト項目の全てに合格した場合に、作成した検量線がサンプルテストに合格したと判定してもよい。
【0060】
制御部70は、作成した検量線がサンプルテストに合格していない場合(ステップS16:NO)、ステップS11の手順に戻り、検量線の作成をやり直す。制御部70は、作成した検量線がサンプルテストに合格した場合(ステップS16:YES)、作成した検量線を採用して、
図8のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0061】
<校正サンプル40の他の構成例>
図9及び
図10に示されるように、測定部20が校正サンプル40を備えてもよい。測定部20は、校正サンプル40を線源22と検出器24との間に出し入れするサンプル挿入部50を備えてよい。
図9において、サンプル挿入部50は、校正サンプル40をX軸方向にスライドさせることによって、線源22と検出器24との間に挿入可能に構成される。
図10において、サンプル挿入部50は、校正サンプル40を回動させることによって、線源22と検出器24との間に挿入可能に構成される。
図9及び
図10において、実線で表される校正サンプル40は、線源22と検出器24との間に挿入されていない状態である。二点鎖線で表される校正サンプル40は、線源22と検出器24との間に挿入された状態である。サンプル挿入部50は、例えばモータを含んで構成されてよいし、他の種々のアクチュエータを含んで構成されてよい。サンプル挿入部50は、測定部20が測定対象80に移動したときに測定対象80に衝突しないように構成されるとする。サンプル挿入部50は、測定部20が測定対象80を測定している間、測定対象80が挿入される面よりもZ軸方向にずれた位置に校正サンプル40を退避させてよい。
【0062】
制御部70は、線源22と検出器24との間に測定対象80が存在しない期間のうち少なくとも一部の期間において校正サンプル40が線源22と検出器24との間に挿入されるようにサンプル挿入部50を制御し、校正サンプル40を透過した放射線を検出器24に検出させてよい。このようすることで、校正作業の頻度が容易に高められる。その結果、測定精度が高められ得る。
【0063】
図11及び
図12に示されるように、校正サンプル40は、第1校正サンプル41、第2校正サンプル42又は第3校正サンプル43を含んでよい。第1校正サンプル41における放射線の透過率と、第2校正サンプル42における放射線の透過率と、第3校正サンプル43における放射線の透過率とは、互いに異なってよい。
【0064】
図11において、サンプル挿入部50は、第1校正サンプル41及び第2校正サンプル42を含む校正サンプル40をX軸方向にスライドさせることによって、第1校正サンプル41又は第2校正サンプル42の一方を線源22と検出器24との間に挿入可能に構成される。
図12において、サンプル挿入部50は、第1校正サンプル41、第2校正サンプル42及び第3校正サンプル43を含む校正サンプル40を回動させることによって、第1校正サンプル41、第2校正サンプル42又は第3校正サンプル43の1つを、線源22と検出器24との間に挿入可能に構成される。つまり、校正サンプル40が切替可能に構成される。
図11及び
図12において、実線で表される第1校正サンプル41、第2校正サンプル42又は第3校正サンプル43は、線源22と検出器24との間に挿入されていない状態である。二点鎖線で表される第1校正サンプル41、第2校正サンプル42又は第3校正サンプル43は、線源22と検出器24との間に挿入された状態である。
【0065】
校正サンプル40が筐体30に設置されている場合においても、校正サンプル40は、異なる面積重量を有する複数の校正サンプル40を切替可能に構成されてもよい。
【0066】
校正サンプル40が切替可能に構成されることによって、測定装置10の校正作業が容易に実行され得る。その結果、測定精度が高められ得る。サンプル挿入部50は、放射線を遮断するシャッターを含んで構成されてよい。このようにすることで、校正サンプル40とシャッターとがまとめられる。その結果、測定部20が校正サンプル40を備える場合であっても大きくなりにくい。
【0067】
以上、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10 測定装置
20 測定部(22:線源、24:検出器、26:駆動部)
30 筐体
40 校正サンプル(41~43:第1~第3校正サンプル)
50 サンプル挿入部
60 インタフェース
70 制御部
80 測定対象