IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミネベア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-多方向入力装置 図1
  • 特開-多方向入力装置 図2
  • 特開-多方向入力装置 図3
  • 特開-多方向入力装置 図4
  • 特開-多方向入力装置 図5
  • 特開-多方向入力装置 図6
  • 特開-多方向入力装置 図7
  • 特開-多方向入力装置 図8
  • 特開-多方向入力装置 図9
  • 特開-多方向入力装置 図10
  • 特開-多方向入力装置 図11
  • 特開-多方向入力装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149239
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】多方向入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H01H25/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057699
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健二
【テーマコード(参考)】
5G031
【Fターム(参考)】
5G031AS10H
5G031AS10J
5G031AS10K
5G031AS27H
5G031AS27J
5G031AS27K
5G031AS31H
5G031AS31J
5G031AS31K
5G031HU23
5G031HU24
5G031HU96
5G031KS08
(57)【要約】
【課題】操作性を向上しつつ操作ノブの動きの検出感度を向上させることができる多方向入力装置を提供する。
【解決手段】操作者が操作する操作ノブ40と、操作ノブ40の後方に対向して設けられたベース20と、操作ノブ40の中央部に対して偏心した位置に配置された複数の検出板30と、を備え、検出板30上に形成された第1の段部には歪ゲージ60を設け、操作ノブ40側に突出した第2の段部には、操作ノブ40と連結する被連結部を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作力が入力される操作ノブと、
前記操作ノブの背面側に対向して設けられたベースと、
前記操作ノブの周方向に沿って延在され、前記ベースに支持された被支持部と、前記操作力が伝達されることで変形する検出部と、を含んで構成された複数の検出板と、
前記検出部に設けられ、前記検出部の変形時の歪を検出する歪ゲージと、
前記操作ノブと前記検出部とを相対移動不能に連結すると共に、前記操作ノブの中央部に対して偏心した位置に配置された複数の連結部と、
を備え、
前記検出部は、周方向に段部を備え、第1の段部には前記歪ゲージが設けられ、第2の段部には前記連結部が連結される被連結部を備えていることを特徴とする多方向入力装置。
【請求項2】
前記第2の段部の周方向に隣接して前記第1の段部が形成され、前記第2の段部は、前記第1の段部よりも軸方向の前記操作ノブ側に突出して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項3】
前記第2の段部は、前記第1の段部に両側を挟まれて凸状に形成され、前記第1の段部から前記第2の段部までの高さが、両端とも同じである、請求項1または2に記載の多方向入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の多方向入力装置(シートスイッチ構造体)では、ノブが、軸部の先端部に設けられており、検出板の板状部が、軸部の基端部に設けられている。板状部の一側面には、4箇所の歪ゲージが設けられている。また、検出板の板状部の外周部は、枠体によって固定されている。そして、ノブに対する操作時における検出板の歪を歪ゲージが検出することで、ノブの回転操作、傾倒操作、押込み操作の各操作を検知することができる。そのため、歪ゲージを用いた入力装置では、例えば、比較的少ない操作量でノブに対する操作を検出することができるため、多方向入力装置の操作性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-82034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、検出板が軸部に対して直交しているため、操作ノブの回転方向への作動に対しては検出板が歪みにくく、ユーザの弱い操作を検出できない虞があるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、操作性を向上しつつ操作ノブの動きの検出感度を向上させることができる多方向入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、操作力が入力される操作ノブと、前記操作ノブの背面側に対向して設けられたベースと、前記操作ノブの周方向に沿って延在され、前記ベースに支持された被支持部と、前記操作力が伝達されることで変形する検出部と、を含んで構成された複数の検出板と、前記検出部に設けられ、前記検出部の変形時の歪を検出する歪ゲージと、前記操作ノブと前記検出部とを相対移動不能に連結すると共に、前記操作ノブの中央部に対して偏心した位置に配置された複数の連結部と、を備え、前記検出部には、周方向に段部を備え、第1の段部に前記歪ゲージが設けられ、第2の段部に前記連結部が連結される被連結部を備えた多方向入力装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、操作性を向上しつつ操作ノブの動きの検出感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る多方向入力装置を示す斜視図である。
図2図1に示される多方向入力装置を、操作ノブおよび基板を取外した状態で示す前方から見た正面図である。
図3図1に示される多方向入力装置を示す上方から見た分解斜視図である。
図4図1に示される多方向入力装置を、ベースおよび基板を取外した状態で示す下方から見た斜視図である。
図5図1に示される多方向入力装置を操作ノブおよび基板を取外した状態で示す上方から見た斜視図である。
図6】第2実施形態に係る多方向入力装置を示す上方から見た分解斜視図である。
図7図6の一点鎖線で示される検出部DT1を拡大した断面図である。
図8図6に示される多方向入力装置を、操作ノブおよび基板を取外した状態で示す上方から見た斜視図である。
図9】第3実施形態に係る多方向入力装置を示す上方から見た分解斜視図である。
図10図9の一点鎖線で示される検出部DT2を拡大した断面図である。
図11図9に示される多方向入力装置を、操作ノブおよび基板を取外した状態で示す上方から見た斜視図である。
図12】変形例に係る検出部DT3を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
以下、図1図5を用いて、第1実施形態に係る多方向入力装置10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印Aは、多方向入力装置10の前方を示しており、以下の説明において、前後の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、多方向入力装置10の前後方向を示すものとする。そして、多方向入力装置10の後方が、本発明の背面側に対応し、前後方向が本発明の対向方向に対応している。また、以下の説明においては、前後方向に直交する方向を第1方向(図1の矢印B方向および矢印C方向参照)とし、前方から見て第1方向に直交する方向を第2方向(図1の矢印D方向および矢印E方向参照)としている。
【0010】
図1図3に示されるように、多方向入力装置10は、全体として前後方向を高さ方向とする略円柱状に形成されており、多方向入力装置10の高さが低く設定されている。多方向入力装置10は、ベース20と、検出板30と、操作ノブ40と、基板50と、複数(本実施の形態では8個)の歪ゲージ60と、を含んで構成されている。また、多方向入力装置10は、押圧操作、スライド操作、および回転操作可能に構成されている。ここで、操作者の操作力は、操作ノブ40から入力される。操作者の多方向入力装置10の押圧操作では、操作ノブ40が後方へ押圧操作され、多方向入力装置10のスライド操作では、操作ノブ40が径方向にスライド操作され、多方向入力装置10の回転操作では、操作ノブ40が周方向に回転操作されるようになっている。以下、多方向入力装置10の各構成について説明する。
【0011】
(ベース20について)
図2に示されるように、ベース20は、樹脂材によって構成されると共に、前後方向を軸方向とする2重の円筒状に形成されている。また、後述する操作ノブ40の後方(背面側)に対向して設けられている。具体的には、ベース20は、外周部を構成する外筒22と、内周部を構成する内筒24と、を含んで構成されている。また、ベース20は、外筒22および内筒24を連結する複数(本実施の形態では4箇所)の支持部としてのベース支持部26を有している。ベース支持部26は、前後方向を厚み方向とする略矩形ブロック状に形成され、外筒22および内筒24の間に配置されて両者を連結している。具体的には、ベース支持部26は、ベース20の第1方向両側部分および第2方向両側部分にそれぞれ配置されている。ベース支持部26の前後面は、外筒22および内筒24の前後面とそれぞれ面一に配置されている。ベース支持部26には、後述する基板50を固定するための固定ボス27が形成されている。固定ボス27は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ベース支持部26から前方へ突出している。尚、ベース20は、金属材によって構成してもよい。
【0012】
また、ベース20における外筒22と内筒24との間の空間が、後述する検出板30の第1の段部32および第2の段部33を収容するための収容部21として構成されており、収容部21が、ベース支持部26によって、ベース20の周方向に4箇所に区画されている。
【0013】
(検出板30について)
検出板30は、操作ノブ40の周方向に沿って延在され、ベース20に支持された被支持部31と、操作ノブ40から操作力が伝達されることで変形する検出部DTと、を含んで複数箇所(本実施の形態では4箇所)に構成されている。検出板30は、金属の板材によって構成されており、インサート成形等の手法によってベース20と一体に形成されている。検出板30は、前後方向を板厚方向とする略円環板状に形成されて、ベース20の外筒22と内筒24との間に配置されている。検出板30は、図2に示されるように、前方から見た正面視で、多方向入力装置10の軸線ALに対して偏心した位置において、ベース20の周方向に沿って円弧状に延在している。また、検出板30には、4箇所の被支持部31および図2の一点鎖線で示す検出部DTが、検出板30の周方向に交互に配置されている。検出部DTには、周方向に段部を備え、段部として第1の段部32および第2の段部33が隣接して形成されている。具体的には、検出板30には、図3に示されるように、収容部21の内部に、被支持部31と、第1の段部32と、第2の段部33と、を含んで形成されている。第1の段部32および第2の段部33は、折り曲げ加工等により検出板30と一体に形成されている。
【0014】
被支持部31は、ベース20に支持されている。被支持部31は、検出板30の一部が、ベース20に形成されたベース支持部26の前後方向中間部に埋設して形成され、ベース支持部26と一体になっている。
【0015】
第1の段部32は、操作力が伝達されることで変形する検出部である。第1の段部32は、被支持部31と第2の段部33に挟まれて形成されている。第1の段部32は、一方端を被支持部31によりベース20に固定され、他方端は第2の段部33よりも後方側に折り曲げられた状態で、第2の段部33と一体に形成されている。第1の段部32には、周方向で被支持部31に近い側、すなわち周方向外側に歪ゲージ60が配設されている。
【0016】
第2の段部33は、周方向両側を第1の段部32に挟まれて形成されており、第1の段部32よりも軸方向の操作ノブ40側に突出した凸状に形成されている。また、第2の段部33は、連結部としての後述する連結軸42が連結される被連結部34を備えている。具体的には、第2の段部33の長手方向中間部には、後述する連結軸42を連結するための被連結部34が貫通形成されている。
【0017】
上記のように、検出板30には、被連結部34が、それぞれの検出板30の第1方向一方側(図2の矢印B方向側)且つ第2方向一方側(図2の矢印D方向側)の部分、つまり、検出板30の長手方向中間部分に形成されており、4箇所の被連結部34が検出板30の周方向に90度毎に配置されている。また、検出板30には、複数(本実施の形態では8個)の歪ゲージ60が配設されている。
【0018】
(操作ノブ40について)
操作ノブ40は、図3に示されるように、後方へ開放された略有底円筒状に形成されている。具体的には、操作ノブ40は、前後方向を板厚方向とする円板状のノブベース部40Aと、ノブベース部40Aの外周部から後方へ延出された円筒状のノブ筒部40Bと、を含んで構成されている。そして、操作ノブ40が、ベース20と同軸上に配置されると共に、ノブベース部40Aがベース20を前方から覆い、ノブ筒部40Bがベース20を径方向外側から覆っている。すなわち、軸線ALが、操作ノブ40の中央部を通過している。
【0019】
図4に示されるように、ノブベース部40Aには、複数(本実施形態では、4箇所)の連結部としての連結軸42が一体に設けられている。連結軸42は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されると共に、前述した検出板30の被連結部34と同軸上に配置されている。また、連結軸42は、ノブベース部40Aから後方へ延出されており、連結軸42の後端が、検出板30の第2の段部33の前方に隣接して配置されている。そして、連結ネジSC1が、被連結部34内に後方から挿入され、連結軸42の内周部に螺合されて、連結軸42の後端部が、第2の段部33に相対移動不能に連結されている。すなわち、操作ノブ40(多方向入力装置10)の軸線ALに対して偏心した位置に配置された連結軸42によって、操作ノブ40と検出板30とが相対移動不能に連結されている。
【0020】
(基板50について)
図3に示されるように、基板50は、前後方向を板厚方向とする略十字形板状に形成されている。具体的には、基板50は、自身の中央部から第1方向両側および第2方向両側へ延出している。基板50は、操作ノブ40のノブベース部40Aとベース20との間に配置されて、ベース20の固定ボス27の前方に隣接配置されている。基板50には、固定ボス27に対応する位置において、4箇所の固定孔51が貫通形成されている。そして、固定ネジSC2が、固定孔51内に前方から挿入され、固定ボス27の内周部に螺合されて、基板50が固定ボス27に固定されている。基板50の前面には、操作ノブ40の中央側部分の後方において、図示しない制御部における、例えば、LED等の複数の電装部品が実装されている。
【0021】
(歪ゲージ60について)
図2図3図5に示されるように、歪ゲージ60は、前後方向を厚み方向とする略矩形シート状に形成されて、検出板30の第1の段部32の前面に貼着されている。具体的には、歪ゲージ60が、8箇所の第1の段部32のベース支持部26に近い側に、それぞれ貼着されている。なお、図2および図5においては、8個の歪ゲージ60を区別して図示するために、歪ゲージ60の符号の末尾に数字の番号を追加している。具体的には、第1方向一方側のベース支持部26に対して検出板30の周方向一方側(図2の矢印F方向側)に隣接配置された歪ゲージ60を、歪ゲージ60-1とし、歪ゲージ60-1を先頭として周方向一方側へ向かうにつれて、追加される数字番号が増加するように記載している。
【0022】
また、歪ゲージ60は、自身の長手方向を第1の段部32の長手方向と略一致させた状態にして、第1の段部32に貼着されている。具体的には、第1方向両側に配置されたベース支持部26に対して第2方向両側に配置された歪ゲージ60(歪ゲージ60-1、60-4、60-5、60-8)は、第2方向を長手方向として配置されており、第2方向両側に配置されたベース支持部26に対して第1方向両側に配置された歪ゲージ60(歪ゲージ60-2、60-3、60-6、60-7)は、第1方向を長手方向として配置されている。歪ゲージ60は、自身の長手方向に作用する引張荷重または圧縮荷重に基づいて、第1の段部32の歪を検出する歪ゲージとして構成されている。詳細については後述するが、歪ゲージ60は、操作ノブ40に各操作がなされたときに、第2の段部33の変形により生じる第1の段部32の歪を検出するための歪ゲージとして構成されている。
【0023】
歪ゲージ60は、それぞれホイートストンブリッジ回路(図示省略)を形成しており、当該ホイートストンブリッジ回路が、図示しない制御部に電気的に接続されている。そして、制御部によって各ホイートストンブリッジ回路に印加電圧をかけることで、印加電圧に比例し且つ歪ゲージ60の電気抵抗変化に比例した出力電圧が制御部に出力されるようになっている。また、歪ゲージ60に圧縮荷重が作用した場合に、制御部が、マイナスの歪値を検出し、歪ゲージ60に引張荷重が作用した場合に、制御部が、プラスの歪値を検出するようになっている。そして、制御部が、8個の歪ゲージ60から検出された歪値のプラス・マイナスのパターンに基づいて、操作ノブ40に対する各操作を検出するようになっている。
【0024】
(作用効果)
次に、操作者の多方向入力装置10に対する押圧操作、スライド操作、および回転操作について説明しつつ、本実施形態の作用および効果について説明する。
【0025】
(押圧操作)
操作者の多方向入力装置10に対する押圧操作では、操作者が操作ノブ40を後方へ押圧する。そのため、後方への押圧力が、操作ノブ40に入力されると共に、連結軸42から検出板30における第2の段部33の長手方向中間部に作用する。検出板30には、第2の段部33の長手方向両端部が第1の段部32を介して被支持部31に接続されており、被支持部31が、ベース20のベース支持部26に固定されている。このため、検出板30では、4箇所の第2の段部33の長手方向が後方へ変位し、第2の段部33の両側の8箇所の第1の段部32に曲げ変形が発生する。そして、引張荷重が歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8に作用して、制御部が、全ての歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8において、プラスの歪値を検出する。よって、制御部が、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の多方向入力装置10への押圧操作を検出する。
【0026】
操作者の多方向入力装置10に対するスライド操作では、操作者が操作ノブ40を径方向に押圧する。例えば、操作者が操作ノブ40を第2方向一方側(図4および図5の矢印D方向側)へスライド操作した場合に、第2方向一方側へのスライド力が操作ノブ40に入力される。すなわち、連結軸42の前端部に第2方向一方側へのスライド力が入力される。また、連結軸42には、連結軸42の後端部が、検出板30の第2の段部33に相対移動不能に連結されている。このため、操作ノブ40では、第2方向一方側が後方へ変位し、第2方向他方側が前方へ変位するように、操作ノブ40が傾倒するようになる。そのため、第2方向一方側に配置された検出板30には、それぞれの第2の段部33の長手方向中間部が後方へ変位し、第2の段部33の両側に形成されている第1の段部32に曲げ変形が発生する(図5の矢印a参照)。このとき、検出板30は、第2の段部33が、操作ノブ40側に向かって突出して形成されていることによって、周方向の歪みのみでなく、上下左右方向への曲げ変形も発生する。そして、引張荷重が歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-4に作用して、制御部が、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-4において、プラスの歪値を検出する。一方、第2方向他方側に配置された検出板30には、それぞれの第2の段部33の長手方向中間部が前方へ変位するように、2箇所の第1の段部32に曲げ変形が発生する(図5の矢印b参照)。その結果、圧縮荷重が歪ゲージ60-5~歪ゲージ60-8に作用して、制御部が、歪ゲージ60-5~歪ゲージ60-8において、マイナスの歪値を検出する。よって、制御部が、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の第2方向一方側へのスライド操作を検出する。
【0027】
操作者の多方向入力装置10に対する回転操作では、操作者が操作ノブ40に周方向の回転力を付与する。例えば、操作者が操作ノブ40を周方向一方側(図4および図5の矢印F方向側)へ回転操作した場合に、周方向一方側への回転力が操作ノブ40に入力される。このため、連結軸42に周方向一方側への回転力が入力される。また、連結軸42には、連結軸42の後端部が、検出板30の第2の段部33に相対移動不能に連結されている。このため、第2の段部33の両側に形成されている第1の段部32に曲げ変形が発生する(図5の矢印c参照)。このとき、検出板30は、第2の段部33が、前方に向かって突出して形成されていることによって、周方向の歪みのみでなく、上下方向への曲げ変形も発生する。そのため、連結軸42に対して周方向一方側に配置された歪ゲージ60-2、歪ゲージ60-4、歪ゲージ60-6、歪ゲージ60-8には、引張荷重が作用して、制御部が、歪ゲージ60-2、歪ゲージ60-4、歪ゲージ60-6、歪ゲージ60-8において、プラスの歪値を検出する。一方、連結軸42に対して周方向他方側に配置された歪ゲージ60-1、歪ゲージ60-3、歪ゲージ60-5、歪ゲージ60-7には、圧縮荷重が作用して、制御部が、歪ゲージ60-1、歪ゲージ60-3、歪ゲージ60-5、歪ゲージ60-7において、マイナスの歪値を検出する。よって、制御部が、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の周方向一方側への回転操作を検出する。
【0028】
以上、説明したように、多方向入力装置10には、ベース20が操作ノブ40の裏面側に設けられている。また、検出板30が操作ノブ40の周方向に沿って延在されており、検出板30の被支持部31がベース20のベース支持部26に固定されてベース20に支持されている。また、検出板30は、周方向に第1の段部32と第2の段部33を備え、第1の段部32には、歪ゲージ60が設けられている。また、第2の段部には、連結部としての連結軸42が連結される被連結部34を備えている。そして、連結軸42によって、操作ノブ40が第2の段部33に相対移動不能に連結されている。そのため、操作ノブ40に入力される操作力が第2の段部33を介して第1の段部32に伝達し、第1の段部32の変形により生じる歪を歪ゲージ60によって検出することができる。また、第2の段部33が、軸方向の操作ノブ40に向かって突出して形成されていることによって、被連結部34が設けられた第1の段部32と歪ゲージ60が設けられた第2の段部33とを軸方向にずらして配置できる。これにより、操作ノブ40が回転操作された場合に、第1の段部32を上下方向に大きく変形させることが可能となる。すなわち、歪ゲージ60は、第1の段部32に発生している周方向の歪みのみでなく上下方向への曲げ変形による歪みを検出することが可能となり、歪みを検出することが容易になる。また、第2の段部33が軸方向の操作ノブ40側に突出していることによって、操作ノブ40と、第2の段部33との連結長が短くなり、小型化および軽量化することができる。つまり、第1の段部32には、操作ノブ40に対して少ない操作量であっても歪みが発生しやすくなることによって操作性が向上し、操作ノブ40の動きを検出する感度を向上させると共に、小型化および軽量化することができる。そのため、操作性を向上しつつ操作ノブの動きの検出感度を向上させることができる。
【0029】
<第2の実施形態>
次に、図6図8を用いて第2の実施形態に係る多方向入力装置100について説明する。第2の実施形態の多方向入力装置100には、以下に示す点を除いて、多方向入力装置10と同様に構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0030】
多方向入力装置100は、図6に示されるように、ベース20と、検出板30Aと、操作ノブ40と、基板50と、複数(本実施の形態では8個)の歪ゲージ60と、を含んで構成されている。
【0031】
(検出板30Aについて)
検出板30Aの第2の段部33は、第1の段部32Aに両側を挟まれて凸状に形成され、第1の段部32Aから第2の段部33までの高さが、両端とも同じである。
【0032】
検出板30Aは、操作ノブ40の周方向に沿って延在され、ベース20に支持された被支持部31と、操作ノブ40から操作力が伝達されることで変形する検出部DT1と、を含んで複数箇所(本実施の形態では4箇所)に構成されている。検出板30Aには、4箇所の被支持部31および図6の一点鎖線で示す検出部DT1が、検出板30Aの周方向に交互に配置されている。検出部DT1には、段部として第1の段部32Aおよび第2の段部33が隣接して形成されている。具体的には、検出板30Aは、図7に示されるように、収容部21の内部に、被支持部31と、第1の段部32Aと、第2の段部33と、を含んで形成されている。第1の段部32Aおよび第2の段部33は、折り曲げ加工等により検出板30Aと一体に形成されている。
【0033】
第1の段部32Aは、操作力が伝達されることで変形する検出部である。第1の段部32Aは、被支持部31と第2の段部33に挟まれて形成されている。第1の段部32Aは、一方端を被支持部31によりベース20に固定され、他方端は第2の段部33よりも後方側に折り曲げられた状態で、第2の段部33と一体に形成されている。また、同じ検出部DT1内に設けられた2箇所の第1の段部32Aは、第1の段部32Aから第2の段部33までの高さが、両端とも同じである。第1の段部32Aには、周方向で被支持部31に近い側、すなわち周方向外側に歪ゲージ60が配設されている。
【0034】
(作用効果)
次に、多方向入力装置100に対する作用および効果について説明する。
【0035】
操作者の多方向入力装置10に対する押圧操作では、操作者が操作ノブ40を後方へ押圧する。そのため、後方への押圧力が、操作ノブ40に入力されると共に、連結軸42から検出板30における第2の段部33の長手方向中間部に作用する。検出板30には、第2の段部33の長手方向両端部が第1の段部32を介して被支持部31に接続されており、被支持部31が、ベース20のベース支持部26に固定されている。このため、検出板30には、4箇所の第2の段部33の長手方向が後方へ変位し、第2の段部33の両側の8箇所の第1の段部32に曲げ変形が発生する。また、第1の段部32Aから第2の段部33までの高さが、両端とも同じであることによって、同じ検出部DT内に設けられた2箇所の第1の段部32Aには、同等な曲げ変形が発生する。そして、引張荷重が歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8に作用して、制御部が、全ての歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8において、プラスの歪値を検出する。よって、制御部が、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の多方向入力装置10への押圧操作を検出する。
【0036】
操作者の多方向入力装置100に対するスライド操作では、操作者が操作ノブ40を径方向に押圧する。例えば、操作者が操作ノブ40を第2方向一方側(図8の矢印D方向側)へスライド操作した場合に、第2方向一方側へのスライド力が操作ノブ40に入力される。すなわち、連結軸42の前端部に第2方向一方側へのスライド力が入力される。また、連結軸42には、連結軸42の後端部が、検出板30の第2の段部33に相対移動不能に連結されている。このため、操作ノブ40では、第2方向一方側が後方へ変位し、第2方向他方側が前方へ変位するように、操作ノブ40が傾倒するようになる。そのため、第2方向一方側に配置された検出板30Aには、それぞれの第2の段部33の長手方向中間部が後方へ変位し、第2の段部33の両側に形成されている第1の段部32Aに曲げ変形が発生する(図8の矢印a参照)。また、第1の段部32Aから第2の段部33までの高さが、両端とも同じであることによって、スライド力が入力された方向に対して線対称となる位置に配置された第1の段部32Aには、同等な曲げ変形が発生する。そして、引張荷重が歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-4に作用して、制御部が、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-4において、プラスの歪値を検出する。一方、第2方向他方側に配置された検出板30Aには、それぞれの第2の段部33の長手方向中間部が前方へ変位し、第1の段部32Aに曲げ変形が発生する(図8の矢印b参照)。その結果、圧縮荷重が歪ゲージ60-5~歪ゲージ60-8に作用して、制御部が、歪ゲージ60-5~歪ゲージ60-8において、マイナスの歪値を検出する。よって、制御部が、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の第2方向一方側へのスライド操作を検出する。
【0037】
操作者の多方向入力装置100に対する回転操作では、操作者が操作ノブ40に周方向の回転力を付与する。例えば、操作者が操作ノブ40を周方向一方側(図8の矢印F方向側)へ回転操作した場合に、周方向一方側への回転力が操作ノブ40に入力される。このため、連結軸42に周方向一方側への回転力が入力される。また、連結軸42には、連結軸42の後端部が、検出板30Aの第2の段部33に相対移動不能に連結されている。このため、第2の段部33の両側に形成されている第1の段部32Aに曲げ変形が発生する(図8の矢印c参照)。このとき、検出板30Aは、第2の段部33が、前方に向かって突出して形成されていることによって、周方向の歪のみでなく、上下方向への曲げ変形も発生する。そのため、連結軸42に対して周方向一方側に配置された歪ゲージ60-2、歪ゲージ60-4、歪ゲージ60-6、歪ゲージ60-8には、引張荷重が作用して、制御部が、歪ゲージ60-2、歪ゲージ60-4、歪ゲージ60-6、歪ゲージ60-8において、プラスの歪値を検出する。一方、連結軸42に対して周方向他方側に配置された歪ゲージ60-1、歪ゲージ60-3、歪ゲージ60-5、歪ゲージ60-7には、圧縮荷重が作用して、制御部が、歪ゲージ60-1、歪ゲージ60-3、歪ゲージ60-5、歪ゲージ60-7において、マイナスの歪値を検出する。よって、制御部が、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の周方向一方側への回転操作を検出する。
また、本実施形態では、第1の段部32Aから第2の段部33までの高さが両端とも同じであり、また、4つの検出板30Aの第1の段部32Aから第2の段部33までの高さは共通である。したがって、操作ノブ40の回転操作に対して、第2の段部33の連結軸42に対して周方向一方側に配置された歪ゲージ60-2、歪ゲージ60-4、歪ゲージ60-6、歪ゲージ60-8の歪値の値は同程度となる。また、操作ノブ40の回転操作に対して、連結軸42に対して周方向他方側に配置された歪ゲージ60-1、歪ゲージ60-3、歪ゲージ60-5、歪ゲージ60-7の歪値の値は同程度となる。これにより、制御部による操作ノブ40の操作方向の判定において、例えば、各歪ゲージ60の歪値に対するしきい値などの設定を均一にでき、判定制御を容易に行うことができる。
また、第1の段部32Aから第2の段部33までの高さが両端とも同じであるため、同一の操作力で操作ノブ40を周方向一方側に操作した場合と、周方向他方側に操作した場合とで、周方向一方側に配置された歪ゲージ60-2、歪ゲージ60-4、歪ゲージ60-6、歪ゲージ60-8と、周方向他方側に配置された歪ゲージ60-1、歪ゲージ60-3、歪ゲージ60-5、歪ゲージ60-7との歪値の値をそれぞれ同程度にすることができる。これにより、制御部による操作ノブ40の操作方向の判定において、例えば、各歪ゲージ60の歪値に対するしきい値などの設定を均一にでき、判定制御を容易に行うことができる。
【0038】
以上、説明したように、多方向入力装置100には、ベース20が操作ノブ40の裏面側に設けられている。また、検出板30が操作ノブ40の周方向に沿って延在されており、検出板30Aの被支持部31がベース20のベース支持部26に固定されてベース20に支持されている。また、検出板30Aは、周方向に第1の段部32Aと第2の段部33を備え、第1の段部32Aには、歪ゲージ60が設けられている。また、第2の段部には、連結部としての連結軸42が連結される被連結部34を備えている。そして、連結軸42によって、操作ノブ40が第2の段部33に相対移動不能に連結されている。そのため、操作ノブ40に入力される操作力が第2の段部33を介して第1の段部32Aに伝達し、第1の段部32Aの変形により生じる歪を歪ゲージ60によって検出することができる。また、第1の段部32から第2の段部33までの高さが、両端とも同じであることによって、同一の操作力で操作ノブ40を周方向一方側に操作した場合と、周方向他方側に操作した場合とで、周方向一方側に配置された歪ゲージ60-1と、周方向他方側に配置された歪ゲージ60-2との歪値の値をそれぞれ同程度にすることができる。これにより、制御部による操作ノブ40の判定制御を容易に行うことができる。
<第3の実施形態>
次に、図9図11を用いて第3の実施形態に係る多方向入力装置200について説明する。多方向入力装置200には、以下に示す点を除いて、多方向入力装置10および多方向入力装置100と同様に構成されている。なお、第1の実施形態および第2の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0039】
多方向入力装置200は、図9に示されるように、ベース20Bと、検出板30Bと、操作ノブ40と、基板50と、複数(本実施の形態では8個)の歪ゲージ60と、を含んで構成されている。
【0040】
(ベース20Bについて)
図9に示されるように、ベース20Bは、外筒22と連結する複数(本実施の形態では、4箇所)の支持部としてのベース支持部26Bを有している。外筒22の径方向で内側の空間が、後述する検出板30Bの第1の段部32Bと、第2の段部33Bとを収容するための収容部21Bとして構成されており、収容部21Bが、ベース支持部26Bによって、ベース20Bの周方向に4箇所に区画されている。
【0041】
(検出板30Bについて)
検出板30Bは、操作ノブ40の周方向に沿って延在され、ベース20Bに支持された被支持部31Bと、操作ノブ40から操作力が伝達されることで変形する検出部DT2と、を含んで複数箇所(本実施の形態では4箇所)に構成されている。検出板30Bは、図9に示されるように、前後方向を板厚方向とする略円環板状に形成され、周方向から見て、径方向内側へ向かうに従い前方へ傾斜している。また、検出板30Bには、4箇所の被支持部31Bおよび図9の一点鎖線で示す検出部DT2が、検出板30Bの周方向に交互に配置されている。検出部DT2には、周方向に段部を備え、段部として第1の段部32Bおよび第2の段部33Bが隣接して形成されている。具体的には、検出板30Bには、図10に示されるように、収容部21Bの径方向の内側に、被支持部31と、第1の段部32と、第2の段部33と、を含んで形成されている。第1の段部32Bおよび第2の段部33Bは、折り曲げ加工等により検出板30Bと一体に形成されている。
【0042】
被支持部31Bは、ベース20Bに支持されている。被支持部31Bは、検出板30Bの一部が、ベース20Bに形成されたベース支持部26Bの前後方向中間部に埋設して形成され、ベース支持部26Bと一体になっている。
【0043】
第1の段部32Bは、ベース20Bに支持された被支持部31Bに一端が固定されている。また、第1の段部32Bには、周方向で被支持部31Bに近い側に歪ゲージ60が配設されている。
【0044】
第2の段部33Bは、第1の段部32Bに挟まれて形成され、第1の段部32Bよりも軸方向の操作ノブ40側且つ径方向の外側に向かって突出して形成されている。第2の段部33Bは、第2の段部33Bの長手方向中間部には、連結軸42Bを連結するための被連結部34Bが貫通形成されている。操作ノブ40における当該連結軸42Bは、検出板30Bの傾斜に対応して傾斜している。すなわち、連結軸42Bが、検出板30Bの前面に対して直交する方向を軸方向として配されると共に、被連結部34Bと同軸上に配置されている。また、連結ネジSC1が被連結部34Bの後面側から連結軸42Bに螺合されて、連結軸42Bが第2の段部33Bの被連結部34Bに相対移動不能に連結されている。
【0045】
(作用効果)
次に、多方向入力装置200に対する作用および効果について説明する。
操作者が操作ノブ40を、例えば、第2方向一方側(図11の矢印D方向側)へのスライド操作した場合に、第2方向一方側へのスライド力が操作ノブ40に入力される。すなわち、連結軸42Bの前端部に第2方向一方側へのスライド力が入力される。第2方向一方側に配置された検出板30Bには、それぞれの第2の段部33Bの長手方向中間部が後方へ変位し、第1の段部32Bに曲げ変形が発生する(図11の矢印a参照)。このとき、検出板30Bは、第2の段部33Bが、軸方向の操作ノブ40側且つ径方向の外側に突出して形成され、さらに、周方向から見て、径方向内側へ向かうに従い前方へ傾斜している。そのため、検出板30Bは、周方向の歪みのみでなく、傾斜方向および上下左右方向への曲げ変形が第1の段部32Bに発生する。そして、引張荷重が歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-4に作用することによって、制御部は、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-4において、プラスの歪値を検出する。一方、第2方向他方側に配置された検出板30Bには、それぞれの第2の段部33Bの長手方向中間部が前方へ変位し、第1の段部32Bに曲げ変形が発生する(図11の矢印b参照)。そのため、圧縮荷重が歪ゲージ60-5~歪ゲージ60-8に作用して、制御部が、歪ゲージ60-5~歪ゲージ60-8において、マイナスの歪値を検出する。そして、制御部は、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の第2方向一方側へのスライド操作を検出する。
【0046】
操作者が操作ノブ40を、例えば、周方向一方側(図11の矢印F方向側)へ回転操作した場合に、周方向一方側への回転力が操作ノブ40に入力される。このため、連結軸42Bに周方向一方側への回転力が入力される。また、連結軸42Bには、連結軸42Bの後端部が、検出板30Bの第2の段部33Bに相対移動不能に連結されている。このため、第2の段部33Bの両側に形成されている第1の段部32Bに曲げ変形が発生する(図11の矢印c参照)。このとき、検出板30Bは、第2の段部33Bが、軸方向の操作ノブ40側且つ径方向の外側に向かって突出して形成されている。さらに、検出板30Bは、周方向から見て、径方向内側へ向かうに従い前方へ傾斜している。そのため、検出板30Bは、周方向の歪みのみでなく、傾斜方向および上下左右方向への曲げ変形が第1の段部32Bに発生することによって、第1の段部32Bの変形は大きくなり、歪ゲージ60は、大きくなった曲げ変形による歪みを検出することができる。そのため、連結軸42Bに対して周方向一方側に配置された歪ゲージ60-2、歪ゲージ60-4、歪ゲージ60-6、歪ゲージ60-8には、引張荷重が作用して、制御部が、歪ゲージ60-2、歪ゲージ60-4、歪ゲージ60-6、歪ゲージ60-8において、プラスの歪値を検出する。一方、連結軸42Bに対して周方向他方側に配置された歪ゲージ60-1、歪ゲージ60-3、歪ゲージ60-5、歪ゲージ60-7には、圧縮荷重が作用して、制御部が、歪ゲージ60-1、歪ゲージ60-3、歪ゲージ60-5、歪ゲージ60-7において、マイナスの歪値を検出する。これにより、制御部は、歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の周方向一方側への回転操作を検出する。
【0047】
以上、説明したように、多方向入力装置200には、ベース20Bが操作ノブ40の裏面側に設けられている。また、検出板30Bが操作ノブ40の周方向に沿って延在されており、検出板30Bの被支持部31Bがベース20Bのベース支持部26Bに固定されてベース20Bに支持されている。検出板30Bは、周方向に第1の段部32B、第2の段部33Bを備えている。第1の段部32Bおよび第2の段部33Bは、折り曲げ加工等により検出板30Bと一体に形成されている。また、第2の段部33Bは、軸方向の操作ノブ40側且つ径方向の外側に突出して形成されている。第1の段部32Bは、ベース20Bに支持された被支持部31Bに一端が固定されている。第2の段部33Bは、連結部としての連結軸42Bが連結される被連結部34Bを備えている。そして、連結軸42Bによって、操作ノブ40が第2の段部33Bに相対移動不能に連結されている。操作ノブ40に入力される操作力が第2の段部33Bを介して第1の段部32Bに伝達し、第1の段部32Bの変形により生じる歪を歪ゲージ60によって検出することができる。また、第2の段部33Bが、軸方向の操作ノブ40側且つ径方向の外側に突出して形成されている。さらに、検出板30Bは、周方向から見て、径方向内側へ向かうに従い前方へ傾斜している。そのため、検出板30Bは、周方向の歪みのみでなく、傾斜方向および上下左右方向への曲げ変形が第1の段部32Bに発生することによって、第1の段部32Bの変形は大きくなり、歪ゲージ60は、大きくなった曲げ変形による歪みを検出することが可能となり、歪みを検出することが容易になる。そのため、第1の段部32Bには、操作ノブ40に対して少ない操作量でも歪みが発生しやすくなることによって操作性が向上し、操作ノブ40の動きを検出する感度を向上させることができる。したがって、操作性を向上しつつ操作ノブの動きの検出感度を向上させることができる。
【0048】
<変形例>
第2の実施形態において、検出板30Aの第2の段部33は、第1の段部32Aに両側を挟まれて凸状に形成され、第1の段部32Aから第2の段部33までの高さが、両端とも同じである例を説明したが、検出板30Aを検出板30Cに置き換えてもよい。検出板30Cは、図12に示すように、隣り合う被支持部31Caと被支持部31Cbとの間に、検出部DT3として、周方向にそれぞれ高さが異なる第1の段部32Caと、第1の段部32Cbと、第2の段部33とが形成されている。
【0049】
この場合には、操作ノブ40から入力される押圧操作、スライド操作、あるいは、回転操作において、同じ検出部DT3内に設けられた2箇所の第1の段部32Caおよび第1の段部32Cbに大きさが異なる曲げ変形を発生させることができる。そのため、第2の段部33が、操作ノブ40からの操作力を受けた場合には、例えば、第1の段部32Caが、第1の段部32Cbよりも操作ノブ40から遠い位置に配置されていることによって、第1の段部32Caの変形は第1の段部32Cbより大きくなる。すなわち、操作ノブ40が周方向一方側へ操作された場合と、周方向他方側へ操作された場合とで、第1の段部32Ca、32Cbに配置された操作方向側の歪ゲージ60の歪値に差を設けることが可能となる。このように、第1の段部32Ca、32Cbから第2の段部33までの高さを左右それぞれ異なるように構成することにより、例えば、左右の歪ゲージ60の歪値の補正を行うことが可能となる。
【0050】
なお、第1の実施形態~第3の実施形態においては、検出板30、30A、30Bがインサート成形によってベース20、ベース20A、ベース20Bに固定されているが、検出板30、30A、30Bのベース20、ベース20A、ベース20Bへの固定方法はこれに限らない。例えば、検出板30を、両面テープ等によって貼着して、ベース20に固定してもよいし、検出板30をねじ等の固定部材によってベース20に締結固定してもよい。
【0051】
また、第1の実施形態~第3の実施形態においては、連結軸42が操作ノブ40と一体に形成されているが、連結軸42を操作ノブ40と別体で構成して両者を一体化してもよい。
【0052】
また、第1の実施形態~第3の実施形態においては、操作ノブ40のノブベース部40Aが円板状に形成されているが、ノブベース部40Aに、例えば、照明用の孔部等を形成してもよい。この場合には、当該孔部を塞ぐ、カバー等を操作ノブ40に設けてもよい。
【0053】
また、第1の実施形態~第3の実施形態においては、歪ゲージ60は、例えば、検出板30の第1の段部32の前方側に貼着されているが、歪ゲージ60を、検出板30の第1の段部32の後方側に貼着してもよい。この場合、例えば、操作者の多方向入力装置10に対する押圧操作では、操作者が操作ノブ40を後方へ押圧すると、圧縮荷重が歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8に作用して、制御部が、全ての歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8において、マイナスの歪値を検出する。そして、制御部が、この歪ゲージ60-1~歪ゲージ60-8からの検出結果に基づいて、操作者の多方向入力装置10への押圧操作を検出するように構成してもよい。
また、操作者の多方向入力装置10に対するスライド操作、および、回転操作においても、歪ゲージ60を第2の段部33の後面に貼着した場合に、前面に貼着した場合に対して、各歪ゲージ60には反転した荷重(引張荷重、または、圧縮荷重)が入力され、制御部は各歪ゲージ60について反転した歪値を検出する。この検出結果に基づいて、制御部は、操作者の多方向入力装置10に対するスライド操作、および、回転操作を検出するように構成してもよい。
【0054】
また、第1の実施形態~第3の実施形態では、それぞれにおいて複数(各4つ)の検出板30、30A、30Bが一体にリング状に形成されているが、それぞれが分割されていてもよい。
また、第1の実施形態~第3の実施形態においては、検出板30、30A、30Bが円弧形状となっているが、例えば、矩形板状でもよく、複数の矩形板状の検出板30を、操作ノブ40の周方向に沿って延在するように、リング状に並べて配置してもよい。
【0055】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10;多方向入力装置
20;ベース
30;検出板
30A;検出板
30B;検出板
30C;検出板
31;被支持部
31B;被支持部
31Ca;被支持部
31Cb;被支持部
32;第1の段部
32B;第1の段部
32Ca;第1の段部
32Cb;第1の段部
33;第2の段部
33B;第2の段部
34;被連結部
34B;被連結部
40:操作ノブ
40A:ノブベース部
40B:ノブ筒部
42;連結軸
42B:連結軸
50:基板
60:歪ゲージ
100;多方向入力装置
200;多方向入力装置
DT;検出部
DT1;検出部
DT2;検出部
DT3;検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12