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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149254
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20231005BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L33/48
G02B5/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057729
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000224798
【氏名又は名称】DOWAホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】宮下 雅仁
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 健一
【テーマコード(参考)】
2H148
5F142
【Fターム(参考)】
2H148GA01
2H148GA04
2H148GA18
2H148GA30
2H148GA32
2H148GA51
2H148GA61
5F142AA22
5F142BA32
5F142CD13
5F142CD18
5F142CD32
5F142DB02
5F142DB20
5F142GA31
5F142HA01
(57)【要約】
【課題】特定波長より長波長側の光の出力の減衰を抑制しながら特定波長より短波長側の光を十分に低減することができる光半導体装置を提供する。
【解決手段】光半導体装置100は、パッケージ基板1と、パッケージ基板1の上面に、光取り出し側の面である出射面21が上面となるように配置された発光素子2と、パッケージ基板1との間に閉鎖空間Sを形成し、発光素子2を覆う透明蓋3と、発光素子2の上面側に配置され、特定波長の透過率が50%であるフィルタ4と、を備え、フィルタ4は、上方に向けて凸形状とされており、頂部を形成する面が上面視において出射面21の中央部を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板の上面に、光取り出し側の面である出射面が上面となるように配置された発光素子と、
前記パッケージ基板との間に閉鎖空間を形成し、前記発光素子を覆う透明蓋と、
前記透明蓋の表面に、特定波長の透過率が50%である光干渉方式のフィルタと、を備え、
前記フィルタは、
上方に向けて凸形状とされており、
前記凸形状の頂部を形成する面が上下方向視において前記出射面の中央部を含む光半導体装置。
【請求項2】
前記フィルタは、側面視において、前記凸形状の頂部を形成する面が前記出射面と平行な平坦部となっている請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記フィルタは、側面視において、多角形状の一部、又は、前記頂部を形成する面以外が曲線を持つ形状である請求項1又は2に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記フィルタの側面視において、前記出射面の外周から前記頂部を形成する面に向かう垂線に対して、前記出射面の直上からの離れる方向に斜めに向かう光線の傾斜角度をθとしたときに、前記頂部以外の面が0°<θ≦90°の範囲のいずれかの傾斜角度を法線とする面である、請求項1から3の何れか一項に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記特定波長は、波長が280nm以上320nm以下である請求項1から4の何れか一項に記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記発光素子は、発光中心波長が300nm以上350nm以下の紫外LEDであり、
前記特定波長が前記発光素子の発光中心波長より3nm以上10nm以下短い波長である請求項1から5の何れか一項に記載の光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に照射して種々の治療を行う紫外線として、300~340nmの波長の光源が使用される場合がある。従来、それらの光源としては水銀ランプやエキシマライトなどが使用されてきた。
【0003】
近年、300~340nmの波長の光源としての水銀ランプやエキシマライトを紫外LEDへの置き換えたいという要望が高まっている。
【0004】
特許文献1には、光半導体チップをパッケージに封入してなる光半導体素子としての紫外線発光素子が記載されている。この紫外線発光素子は、金属ベース(パッケージ)上に載置された紫外線発光チップと、金属ベースに接合されていると共に紫外線発光チップの側方を囲むように配置された略円筒状の金属キャップ(パッケージ)と、金属キャップの開口を封止するガラス窓(パッケージ)と、絶縁材によって絶縁されつつ金属ベースを貫通し、かつ導電性ワイヤを介して紫外線発光チップと接続されたリードとにより構成されている。ガラス窓の外面には、二酸化ケイ素などの低屈折率膜と、二酸化ハフニウムなどの高屈折率膜とを組み合わせて積層し、可視光線および赤外線をカットして紫外線のみを透過させるように構成された、光学機能性膜としての紫外線透過フィルタ膜が、真空蒸着法によって形成されている。紫外線発光チップから発光した光は、この紫外線透過フィルタ膜を通過することによって、可視光線及び赤外線がカットされて外部に出光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-158006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水銀ランプやエキシマライトの発光スペクトルに比べると、紫外LEDの発光スペクトルの半値幅は広い。例えば、紫外LEDの最大強度の波長であるピーク波長を308nmとした場合、エキシマライト(波長308nm、XeCl)における300nm未満の発光強度がピーク波長の発光強度の約10%であるのに対し、紫外LEDでは、300nm未満の発光強度がピーク波長の発光強度の約30%といった具合に、300nm未満の発光強度がエキシマライトよりも強くなる傾向にある。300nm未満の光は人体に悪影響が生じる場合があるため、紫外LEDへの置き換えにおいては、300nm未満の短い波長域をカットする必要がある。
【0007】
また、水銀ランプやエキシマライトは、形状が直管状などであって線光源であり、その直管の表面に対し均一に垂直方向の光が放射される構造であるため、特定波長以下の波長をカットするには、単一の光カットフィルタを直管からの光放射方向に対して配置すればよかった。しかし、LEDチップは点光源であり、LEDチップから出る光の方向は全方位である。そのため、LEDチップを内蔵するSMDなどの出射面が平坦な光半導体装置の配光は広く、垂直方向から±60°程度の角度範囲にわたり光が放射される場合がある。
【0008】
特定波長以下の波長をカットするフィルタ、すなわちハイパスフィルタとしては、単膜あるいは多層膜として構成される誘電体薄膜などを用いた光干渉性を利用するフィルタや、光干渉性を利用するものとは異なり、材料に起因する吸収現象などを利用するフィルタがある。光干渉性を利用するフィルタ(以下、光干渉フィルタと称する場合がある)は透過率が90%となる波長と透過率が10%となる波長の波長差を小さくすることができるため、LEDチップの波長プロファイルにおける特定波長よりも短波長側をカットしつつ、特定波長よりも長波長側の光出力を高くしたい場合に有効である。しかし、光干渉フィルタは、フィルタへの光の入射角度によってフィルタ内での光路長が変わるため、観測角度(入射角度)によっては特定波長以下の波長を有効にカットできないという問題がある。
【0009】
そのため、例えばLEDチップのような点光源を内蔵した光半導体装置において、特定波長より長波長側の光の出力の減衰を抑制しながら特定波長より短波長側の光を十分に低減することができる光半導体装置の提供が望まれる。
【0010】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、特定波長より長波長側の光の出力の減衰を抑制しながら特定波長より短波長側の光を十分に低減することができる光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る光半導体装置は、
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板の上面に、光取り出し側の面である出射面が上面となるように配置された発光素子と、
前記パッケージ基板との間に閉鎖空間を形成し、前記発光素子を覆う透明蓋と、
前記透明蓋の表面に、特定波長の透過率が50%である光干渉方式のフィルタと、を備え、
前記フィルタは、
上方に向けて凸形状とされており、
前記凸形状の頂部を形成する面が上下方向視において前記出射面の中央部を含む。
【発明の効果】
【0012】
特定波長より長波長側の光の出力の減衰を抑制しながら特定波長より短波長側の光を十分に低減することができる光半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】第一実施形態に係る光半導体装置の上面図である。
図1B】第一実施形態に係る光半導体装置の上面図の変形例である。
図2】第一実施形態に係る光半導体装置の断面図である。
図3】フィルタの透過スペクトルの一例を示すグラフである。
図4A】実施例における発光スペクトルを示す図である。
図4B】実施例におけるλ1より長波長の配光分布特性である。
図4C】実施例におけるλ1以下の波長の配光分布特性である。
図5A】比較例における発光スペクトルを示す図である。
図5B】比較例におけるλ1より長波長の配光分布特性である。
図5C】比較例におけるλ1以下の波長の配光分布特性である。
図6】配光分布特性の測定方法の説明図である。
図7】第二実施形態に係る光半導体装置の断面図である。
図8】第二実施形態の変形例に係る光半導体装置の断面図である。
図9】第三実施形態に係る光半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る光半導体装置について説明する。
【0015】
(第一実施形態)
(概要の説明)
図1A図1Bには、本実施形態に係る光半導体装置100の上面図を示している。図2には、光半導体装置100の断面(図1AのII-II矢視断面)を示している。
【0016】
以下では、図2における、光半導体装置100において、パッケージ基板1から見て透明蓋3の側を上、透明蓋3から見てパッケージ基板1の側を下と称し、上側の面を上面、下側の面を下面と称し、図2以降の図及び他の実施形態でもこれを基準に説明を行う。例えば、透明蓋3の発光素子側の面を蓋下面32と称し、透明蓋3の発光素子側と反対の面を蓋上面31と称す。また、透明蓋3の表面とは透明蓋3の蓋上面31および蓋下面32の両面またはいずれかの面をいう。
【0017】
本実施形態における上下方向視とは、透明蓋3を透明蓋3の中央部Pの厚み方向に俯瞰する場合であって、蓋上面31を上から見る視点(上面視とする)と、蓋下面32を下から見る視点(下面視とする)の両方であることを意味する。なお、本実施形態で「外側」とは中央部Pから離れる側をいい、「内側」とは中央部P側をいう。同様に「外周」とは中央部Pから遠い側の端部をいい、「内周」とは中央部P側の端部をいう。
【0018】
まず、光半導体装置100の概要を説明する。光半導体装置100は、図2に示すように、パッケージ基板1と、パッケージ基板1の上面に、光取り出し側の面である出射面21が上面となるように配置された発光素子2と、パッケージ基板1との間に閉鎖空間Sを形成し、発光素子2を覆う透明蓋3(図1A図1B図2参照)と、透明蓋3の表面に配置され特定波長であるλ1の透過率が50%である光干渉方式のフィルタ4と、を備えている。当該フィルタ4はハイパスフィルタである。
【0019】
フィルタ4は、出射面21の上方に向けて凸形状とされており、頂部を形成する面(図1Aにおける平坦部4a)が上下方向視において出射面21の中央部Pを含む。より好ましくは、頂部を形成する面が上下方向視において出射面21を含む。
【0020】
本実施形態における側面視とは、図1AのII-II矢視断面である図2のように、発光素子の中央部Pを通り出射面21の一辺に対して水平に切断した断面を、当該断面の垂線方向から見る視点とする。
【0021】
フィルタ4は、透明蓋3の形状に応じて、出射面21から上方に向けて凸形状となるように形成されることが好ましい。凸形状は出射面21の上方に向けて順次窄んでおり、側面視において、凸形状の頂部を形成する面が出射面21と平行な平坦部となっていることが好ましい。
【0022】
凸形状は側面視の断面形状が、多角形状の一部、または、頂部を形成する面以外が曲線を持つ形状であり、例えば、台形、半楕円(半円を含む)が外接する多角形状、頂部に平坦部を有する半楕円とされてよい。特に、側面視における頂部に平坦部を有する半楕円は、出射面21からの距離が一定となる形状を有することも好ましい。
【0023】
また、図2に示すように、フィルタ4は、側面視において、出射面21の外周から透明蓋3に向かう垂線に対して、出射面21の直上から離れる方向に斜めに向かう光線の角度を傾斜角度θとしたときに、頂部以外の面(図2においては傾斜部4及び傾斜部4c)が0°<θ≦90°の範囲のいずれかの傾斜角度を法線とする面に形成されることが好ましい。
【0024】
本実施形態においてフィルタ4は、透明蓋3の蓋上面31の表面に沿わせるようにして透明蓋3上に配設される。すなわち本実施形態においてフィルタ4は、蓋上面31の表面の形状に沿った形状とされる。
【0025】
光半導体装置100では、発光素子2の出射面21から出射した光を透明蓋3を介して外部に放射する。この際、出射面21から出射した光はフィルタ4を通過し、λ1より短波長側の光がカットされる。
【0026】
光半導体装置100は、特定波長としてのλ1より長波長側の光の出力の減衰を抑制しながらλ1より短波長側の光をカットすることができる。
【0027】
(各部の説明)
以下、光半導体装置100の各部について詳細を説明する。図2に示すように、光半導体装置100は、上述のごとく、パッケージ基板1と、発光素子2と、透明蓋3と、透明蓋3の表面に配置された光干渉方式のフィルタ4とを備えている。光半導体装置100は、図2に示すように、一例として図1AのII-II矢視断面が左右対称である。その他、光半導体装置100は、図示しない電極などを備えている。
【0028】
図2に示すように、出射面21の外周を起点に出射面の真上から離れる方向に斜めに放射された光線の光路の、出射面21の外周から透明蓋3に向かう垂線に対する角度を傾斜角度θとする。図2では、傾斜角度θが0°、10°、20°、30°、40°、50°に対応する放射された光の仮想線をそれぞれθ0、θ10、θ20、θ30、θ40、θ50、の符号で示している。
【0029】
図2に示す発光素子2は、例えばLEDチップである。LEDチップは、要求される波長域に応じて選択すればよい。発光素子2は、好ましくは紫外LEDでる。発光素子2は、例えば300nm以上350nm以下の間に発光中心波長を有し、発光中心波長が310nmである場合を例に説明を行う。発光素子2の出射面21は平面状に形成されている。上面視における出射面21の形状は、光半導体装置100の用途、機能又は製造上の都合に応じて、四角形や長方形や多角形や円形など、任意の形状を選択可能である。本実施形態では、一例として、発光素子2が上面視で正方形である場合を示している(図1Aおよび図1B参照)。
【0030】
図2に示すように、パッケージ基板1は、発光素子2を載置して固定する座となる部分である。パッケージ基板1は、発光素子2をマウントするために適したものであれば良いが、特に、放熱性を有していることが好ましい。パッケージ基板1の形成に適した材料としては、AlNやAl-SiC、Mg-SiCなどのセラミックス、Al、Mo、Cu、Cu-W、Cu-Mo、コバールなどの金属が例示される。パッケージ基板1を形成する材料は、好ましくはAlN焼成体である。
【0031】
パッケージ基板1は、例えば平板状や凹部を有する形状に形成されてよい。図2では、パッケージ基板1が、凹部を有する形状の一例として有底筒状に形成されて、その断面が角張ったU字状形状である場合を示している。パッケージ基板1の筒内部の底面11(パッケージ基板1の上面)は、平面状に形成されている。底面11上には、発光素子2が、光取り出し側の面である出射面21が上面となるように載置されている。パッケージ基板1の筒部13の上端部には、後述する透明蓋3が載置されている。
【0032】
透明蓋3は、発光素子2の光を透過する材料で形成されている。透明蓋3の形成に用いられる材料の一例は、ガラス(ソーダ石灰ガラス)、石英及びサファイアなどの金属酸化物結晶である。透明蓋3は、好ましくは、合成石英(屈折率:1.49)、溶融石英(屈折率:1.49)、サファイア(屈折率:1.80)である。
【0033】
透明蓋3は、上方に向けて凸形状に形成されており、凸部の頂部を形成する面が上下方向視において出射面21の中央部Pを含む。そして、側面視において、凸形状の頂部を形成する面が出射面21と平行な平坦部となっている。例えば、本実施形態では、蓋上面31と蓋下面32の両方が法線方向が異なる平坦面を組み合わせて上方に向けて凸形状に形成される。後述する他の実施形態に示すように蓋上面31と蓋下面32のいずれか一方が上方に向けて凸形状に形成されている凸部分を有するようにしても良い。凸形状は上方に向けて順次窄んで行く形状をしている。透明蓋3の凸部分の形状は、側面視の断面形状が、例えば、台形、半楕円が外接する多角形状、頂部に平坦部を有する半楕円とされてよい。透明蓋3は、側面視において、出射面21の外周から透明蓋3に向かう垂線に対して、出射面21の直上から離れる方向に斜めに向かう光線の角度を傾斜角度θとしたときに、頂部以外の面(図2においては傾斜部31bおよび31c、傾斜部32bおよび32c)が0°<θ≦90°の範囲のいずれかの傾斜角度を法線とする面に形成されることが好ましい。
【0034】
透明蓋3の凸部分の形状は、凸多面体形状の一部であってよい。上方に向けて順次窄んで行く形状を有するため、透明蓋3の凸部分が有する傾斜の山折り線となる位置が、中央部Pに近づくに従い上方に向かう形状となる。なお、凸多面体とは、いわゆる多面体のうち、全ての辺(稜)における二面角(隣接する2つの面で作られる角度)が180°未満であり、かつ自己交差を持たないもののことを言う。具体的には、正多面体、半正多面体、カタランの立体、ジョンソンの立体、デルタ多面体、ゾーン多面体、切稜立方体であり、角柱、反角柱および星型正多面体はこれに含まれない。また、頂部の平坦面が六角形で、六角形の辺に長方形の傾斜面があり、六角形の頂点を起点とする三角形の傾斜面を有するような多面体のように、面方位の異なる複数の面(等価な面を含む)から構成される多面体も含む。
【0035】
図2では、透明蓋3として、蓋上面31が凸形状の頂部として平坦面を有する場合を示している。側面視において、上平面部31aが出射面21と平行となっている。側面視において、底面部32aも出射面21と平行となっている。
【0036】
図1Aの場合の蓋上面31の形状の一例として、側面視の断面形状が多角形状の一部であり、出射面21と平行に平面状の頂部となる上平面部31aを形成された形状とされている場合を示している。図1Bは、図1Aにおいて山折りとなる角部を、上下方向視において同一平面に出射面21を投影したときの出射面21からの距離と等しい長さの曲率半径をもつようにした場合を示している。なお、図1A図1B図2では、上平面部31aの外側に位置する斜面を傾斜面部31bおよび傾斜面部31cとして示している。
【0037】
透明蓋3は、パッケージ基板1との間に閉鎖空間Sを形成し、発光素子2を上方から覆うように配置される。透明蓋3は、上下方向視で上平面部31aが出射面21の少なくとも中央部Pを含み、好ましくは上平面部31aが出射面21を内包している。図2では上面視で上平面部31aが発光素子2の出射面21を完全に覆うように配置される。すなわち、上面視における透明蓋3の発光素子2と重複する領域には、平面状、且つ、発光素子2の出射面21と平行とされる上平面部31aが位置する。発光素子2は、上下方向視でパッケージ基板1の底面11と透明蓋3との間に位置する状態で、閉鎖空間Sに封入される。
【0038】
パッケージ基板1の形状は、凹部を有する形状であっても板状であってもよい。パッケージ基板1の形状と、本実施形態および他の実施形態に図示する透明蓋3の形状とは、少なくとも一方が凹部を有し閉鎖空間Sを形成することが出来る形状とすればよい。
【0039】
後述するように、透明蓋3の表面にはフィルタ4が配置されるが、透明蓋3の表面の表面粗さはフィルタ4を配置するのに差し支えない範囲であれば任意である。本実施形態では、後述するように、透明蓋3の上面、すなわち、蓋上面31の表面上にフィルタ4が載置されて固定される。
【0040】
透明蓋3は、例えば接着層9を介してパッケージ基板1に接合される。接着層9は、接合材により形成されてよい。接合材の選択や接着層9の形成方法は任意であるが、例えば、パッケージ基板1や透明蓋3の接合すべき部分にそれぞれ金属層を形成した後に、これら金属層同士を圧着してもよいし、各種の半田や、樹脂系の接着剤を使用してもよい。接着層9は、好ましくは、AuSn半田である。
【0041】
フィルタ4は、光干渉性を利用した光カットフィルタである。フィルタ4は、透明蓋3の表面の全領域に配置されるのが好ましい。フィルタ4は、平坦部4aと、一つ以上の傾斜部(例えば傾斜部4b、傾斜部4c)とを含む。
【0042】
フィルタ4は、屈折率が異なる2種以上の誘電体層の積層体である。フィルタ4において、屈折率が異なる2種以上の層を繰り返して積層することが好ましく、繰り返し数としては3ペア以上100ペア以下の範囲とすることが好ましい。この範囲であれば、ペア数が多いほど、或いは屈折率差が大きいほど、特定波長としてのλ1近傍における透過率の急峻性を良好にすることができる。本実施形態におけるフィルタ4は、図3に示すように、所定の入射角(例えば0°)における所定の波長以下(短波長側)の透過率を50%以下とするハイパスフィルタである。なお、図3には、本実施形態で例示するフィルタ4の、入射角が0°以上60°以下の範囲における5°毎の透過率の波長依存性(透過スペクトル)の一例を示している。図3において、縦軸の「フィルタ透過率」は、フィルタ4の光の透過率である。図3に示すフィルタ4の透過スペクトルは、分光光度計(例えば、日本分光(株)製V-650)を用いて測定することができる。この測定に当たっては、光干渉フィルタを透明蓋3上に形成して、又はこれに代えて、石英ガラス基板もしくはサファイア基板上に形成して測定してよい。
【0043】
フィルタ4が2種の層である場合、第一の層の材料としては、例えばSiO(屈折率:1.46)が選択される。第二の層の材料としては、例えばTiO(屈折率:2.26)、HfO(屈折率:1.95)、Sc(屈折率:1.96)が選択される。フィルタ4が3種の層である場合、第三の層の材料として例えばAlO3(n=1.71)やMgO(n=1.74)を選択しても良い。4種以上からなる場合、例示した材料から適宜選択すれば良い。
【0044】
フィルタ4は、使用する層の材料、各層の厚さ及びペア数を設定することよって、その特性、すなわち透過スペクトルを決定することができる。本実施形態では、以下、フィルタ4がSiOの層とTiOの層を有する場合を例示して説明する。フィルタ4の透過スペクトルの一例を示している図3の光干渉フィルタにおける各層の屈折率及び膜厚のデータを表1に示す。SiO2膜、TiO2膜はスパッタリング法によって各膜厚となるように成膜し、フォトリソグラフィおよびリフトオフ法を用いて所定範囲に形成することができる。
【0045】
【表1】
【0046】
以下の説明では、特定波長としてのλ1が305nmである場合を例示して説明する。フィルタ4は、一例として、入射角0度で透過率50%となる波長λ1が305nmであり、λ1以下(短波長側)の透過率が50%以下である。なお、λ1は、発光素子2の発光中心波長(本実施形態では、一例として310nmの場合を説明)と、カットしたい波長域の中での最大波長(例えば300nm)との間の範囲内(例えば300nm以上310nm以下)において、カットしたい波長域の光出力を低減できるように設定したものである。発光素子2が、発光中心波長が300nm以上350nm以下の紫外LEDである場合、その波長プロファイルにおける半値幅は、発光中心波長の短波長側で4~8nm程度あることから、λ1は、当該発光中心波長より3~10nm短い波長であることが好ましい。例えば、λ1は、280nm以上320nm以下の紫外線領域の波長とされる。
【0047】
以下では、ハイパスフィルタであるフィルタ4において、透過率50%となる波長が特定波長λ1となる入射角を最適角αと称する。以下、フィルタ4として図3に示すようなフィルタ透過率の角度依存性を有するフィルタを使用する場合について説明する。図3では、特定波長としてのλ1が305nmにおける透過率が50%となる角度が0°であり、最適角α=0°である。すなわち、図2に示すフィルタ4では、入射角が最適角αと等しくなる0°から大きくなるにつれて、透過率が50%以下となる波長域が短波長側にシフトする。フィルタ4の最適角αの好ましい範囲は、0°≦α≦20°であり、0°≦α≦5°とすることがより好ましい。
【0048】
図3に示す透過率特性を有する光干渉フィルタを、例えば透明蓋3の蓋上面31がすべて出射面21と水平である場合を考える。出射面21の外周からの傾斜角度θが大きくなるにつれて、透明蓋3の蓋上面31に設けられたフィルタへの入射角が大きくなるため、λ1以下の波長帯の光を効果的にカットすることができず、λ1以下の波長帯の光が光半導体装置100の外へ放射されてしまう。最適角以上の角度θの範囲では、フィルタ4の平坦部4aがλ1より短い波長をカットする効率は下がる。例えば、入射角15°ではカットしたい波長域の中での最大波長(例えば300nm)の透過率は10%未満であるが、入射角20°ではカットしたい波長域の中での最大波長(例えば300nm)の透過率は50%を超え、入射角25°ではカットしたい波長域の中での最大波長(例えば300nm)の透過率は90%を超える。
【0049】
そこで、図2に示すように、本実施形態においてフィルタ4は、側面視において出射面21に対して平行な平坦部4aと、出射面21の法線に対して傾斜した法線を有する傾斜部4bとを有する。図2では、フィルタの平坦部4aは上下方向視における出射面21の全面を包む。フィルタの平坦部4aは傾斜角度θ=0°を法線θaとしている。傾斜部は一つ以上あればよく、平坦部4aから離れるにしたがって出射面21の法線に対して大きく傾斜した法線を有しており、平坦部4aに近いものから4b、4c、4dのように称することができ、傾斜部はN個(Nは自然数)あるとする。凸形状におけるフィルタ4の側面視の断面形状を台形とするか多角形状とするか頂部を形成する面以外が曲線を持つ形状とするかは、当該N数を任意に増やすことで得ることができる。本実施形態では、フィルタ4の平坦部4aは、透明蓋3の蓋上面31の上平面部31aに配置され、上下方向視において出射面21の中央部を包む状態でフィルタ4における頂部となる。傾斜部4bおよび4cは蓋上面31の傾斜面部31bおよび傾斜面部31cに配置される。前述のとおり、N個ある傾斜部は各々、側面視において、0°<θ≦90°の範囲のいずれかの傾斜角度を法線とする。
【0050】
フィルタ4の配置の変形例としては、フィルタを蓋下面32に形成してもよい。その場合は、フィルタ4の平坦部4aは、透明蓋3の蓋下面32の底面部32aに配置され、上下方向視において出射面21の中央部を包む状態でフィルタ4における頂部となる。傾斜部4bおよび4cは蓋下面32の傾斜面部32bおよび傾斜面部32cに配置される。
【0051】
このように傾斜部4bおよび4cを有することで、傾斜部を有しない透明蓋3に大きな入射角で入射した場合に透過してしまうλ1より短波長側の波長の光を、効率よくカットすることができる。本実施形態において、平坦部4aと傾斜部4bとの境界(山折り線)は、傾斜角度θ=10°の位置にある。平坦部4aと傾斜部4bとの境界は、出射面21の外周部から、0≦θ≦20°となる範囲内であることが好ましく、0≦θ≦15°となる範囲内であることがより好ましい。
【0052】
側面視において、出射面21の外周から透明蓋3に向かう垂線に対して、傾斜部4b(傾斜面部31b)に斜めに向かう光線の傾斜角度をθとする。本実施形態における傾斜部4bはθ=θ20(傾斜角度θ=20°)を法線とする面である。これは傾斜面部31bの法線となる光線の傾斜角度と同じである。θは、上記の平坦部4aと傾斜部4bとの境の傾斜角度より大きいことが好ましい。これにより、フィルタ4の傾斜部4bにも発光素子2の出射面21からの光が 垂直に近い入射角度で入射するようになる。
【0053】
側面視において、出射面21の外周から透明蓋3に向かう垂線に対して、傾斜部4c(傾斜面部31c)に斜めに向かう光線の傾斜角度をθとする。本実施形態における傾斜部4cはθ=θ40(傾斜角度θ=40°)を法線とする面である。これは傾斜面部31cの法線となる光線の傾斜角度と同じである。これにより、フィルタ4の傾斜部4cにも発光素子2の出射面21からの光が垂直に近い入射角度で入射するようになる。
【0054】
本実施形態において、傾斜部4bと傾斜部4cの境界(山折り線)は、θ=30°の位置にある。傾斜部4bを設ける範囲(傾斜面部31bの範囲)としては、θ-15°≦θ≦θ+15°の範囲内とすることが好ましく、θ-10°≦θ≦θ+10°の範囲内とすることがより好ましい。また、傾斜部4bと傾斜部4cの境界はθとθの中間とすることが好ましい。
【0055】
このように、出射面21からの光線の角度が、フィルタ4に対して垂直に近い角度で入射するように、フィルタ4が配置される領域の角度を調整することで、特定波長としてのλ1より長波長側の光を効率的に光半導体装置100の外部に取り出しつつ、λ1より短波長側の光を適切にカットすることができるのである。
【0056】
上面視における平坦部4aの形状は、出射面21の形状に合わせて任意の形状としてよい。平坦部4aの形状は、四角形や長方形や多角形や円形などの形状を選択可能である。平坦部4aの形状は、上面視における出射面21の形状と相似する形(図1A参照)または、出射面21から等距離となるように角部に曲率半径を有する形(図1B参照)であることが好ましい。
【0057】
以下では、比較例と対比しつつ、本実施形態に係る実施例を説明する。
【0058】
(実施例)
図2に例示したような光半導体装置100を、以下のように構成し、実施例に係る光半導体装置とした。以下の説明において、寸法に関する記載は、図2に示す断面における値である。
【0059】
透明蓋3は、平板状の石英ガラス製とし、板の厚みは0.5mmとした。発光素子2には厚み0.44mmの紫外LEDチップ(1mm×1mm)を採用し、出射面21から透明蓋3の下平面部32aまでの距離は0.55mmとした。透明蓋3は、図2に示すように蓋上面31と蓋下面32の両方において、出射面21と水平な上平面部31aおよび下平面部32aを有し、出射面21の外周からの傾斜角度がθ=20°を法線とする傾斜面部31bおよび傾斜面部32bを有し、θ=40°を法線とする傾斜面部31cおよび傾斜面部32cを有している。発光素子2の発光中心波長は310nmである。パッケージ基板1はAINセラミックス製とし、発光素子2の側面からパッケージ基板1の凹部における内側側面までの距離は0.65mmとした。透明蓋3とパッケージ基板1との接着層9の幅は、0.6mmとした。
【0060】
カットしたい波長域の最大波長は300nmと定め、特定波長としてのλ1は305nmとした。そして、α=0°である上記の図3および表1に示したフィルタ4を透明蓋3の蓋上面31の上平面部31a、傾斜面部31b、傾斜面部31cの上に形成して、それぞれ平坦部4a、傾斜部4b、傾斜部4cとした。
【0061】
光半導体装置の発光スペクトルと配光分布特性とを測定し、実施例のフィルタを設ける場合と設けない場合の比較を行った。実施例に係る発光スペクトルを図4Aに示す。λ1より長波長の配光分布特性を図4Bに、λ1以下の波長の配光分布特性を図4Cに示す。
【0062】
発光スペクトルは、積分球を用いて全光束の測定とし、分光器を用いて行なった。配光分布特性は、以下のようにして計測することができる。図6には、本実施形態に係る光半導体装置100の配光分布特性の測定方法の説明図を示している。光半導体装置100から100mm離れた位置に、ファイバープローブAを配置して、そのファイバープローブAの先端の位置の観測角度を変えることによって、光半導体装置100から放射される光の観測角度依存性としての配光分布特性を測定することができる。ファイバープローブAの受光直径は例えば3.9mmとすることができ、ファイバープローブAの他端を分光器(例えばオーシャンオプティクス製QE65 Pro)に繋いで、発光スペクトルを測定することができる。本実施例では、光半導体装置100を固定し、ファイバープローブAを-60°から60°まで5°毎に回転させて、配光分布特性を測定した。配光分布特性の測定は、200nm以上400nm以下の波長を対象とし、得られたデータから200nm~305nmの値と、306nm~400nmの値とを抽出した。
【0063】
(比較例)
比較例に係る光半導体装置は、透明蓋3の蓋上面31および蓋下面32の全面が出射面21と平行であり、傾斜部4bと傾斜部4cが無く、全面が平坦部4aであるフィルタを蓋上面31に形成した以外は、実施例1と同様にして半導体装置を構成した場合である。比較例のフィルタを設ける場合と設けない場合の比較を行い、比較例に係る発光スペクトルを図5Aに示す。λ1より長波長の配光分布特性を図5Bに、λ1以下の波長の配光分布特性を図5Cに示す。
【0064】
比較例のように傾斜部をもたない場合は、図5Cに示すように、配光角の絶対値が15°より大きい角度では、λ1より短波長側の光の強度を低下させる能力が大きく低下することがわかる。一方、実施例のようにフィルタが傾斜部4bと傾斜部4cを有すると、図4Cに示すように、配光角の絶対値が15°より大きい角度でも、λ1より短波長側の光の強度を大きく低下させることが出来ており、図4Aに示すように、発光スペクトルにおいても、300nm以下の発光強度を零に近くすることが出来ていることが分かる。
【0065】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る光半導体装置100は、図7に示すように透明蓋3の形状が第一実施形態とは異なり、蓋上面31の全面が出射面21と平行である点、および、蓋下面32のみに設けられる傾斜部は2個ではなく1個であり凸形状の側面視の断面形状が台形である点で異なり、その他は第一実施形態と同様である。蓋上面31が出射面21と平行であるため、フィルタ4は透明蓋3の下面側に配置される。
【0066】
図7に示すように、本実施形態の光半導体装置100では、透明蓋3が板状であり、蓋下面32が、上方に向けて凹む凹面状とされている。蓋下面32は、第一実施形態の蓋上面31(図1図2参照)と同様に、四角錘の上端を面取りした形状とされている。蓋下面32には、凹面状の形状を形成する面部分として、平面状の底面部32aと、傾斜面部32bとが形成されている。
【0067】
底面部32aは、出射面21に平行な範囲に形成されている。底面部32aにはフィルタ4の平坦部4aが配置される。
【0068】
本実施形態において、平坦部4aと傾斜部4bとの境界は、θ=15°の位置にある。平坦部4aと傾斜部4bとの境界は出射面21の外周部から、0≦θ≦20°となる範囲内であることが好ましく、0≦θ≦15°となる範囲内であることがより好ましい。
【0069】
傾斜部4bは、側面視において、出射面21の外周から透明蓋3に向かう垂線に対して、傾斜部4b(傾斜面部32b)に斜めに向かう光線の傾斜角度をθとしたときに、θ=30°の傾斜角度を法線とする面となる。傾斜部4bと傾斜面部32bの法線となる光線の傾斜角度は同じである。傾斜面部32bは、底面部32aの外側且つ、下側へ延在する四方の斜面として形成されている。傾斜面部32bにはフィルタ4の傾斜部4bが配置される。
【0070】
このようにフィルタ4が透明蓋3の下面側に配置されるようにすることで、透明蓋3に入射したあとの光の軌跡を考慮しないで済むため光カットフィルタの配置位置の設計が容易になる。
【0071】
(第二実施形態の変形例)
透明蓋3の蓋下面32が上方に向けて凹む凹面状に形成されて蓋下面32にフィルタ4を設けている場合において、図8に示すように、更に透明蓋3の上面側を上方に向けて凸形状となるように変形してもよい。この変形例では、透明蓋3の上面側が全体にわたって、球面の一部(図8では、半球状のレンズ形状)となるように形成されている場合を示している。
【0072】
(第三実施形態)
第三実施形態に係る光半導体装置100は、図9に示すように透明蓋3の形状が第一実施形態とは異なり、蓋下面32の全面が出射面21と平行である点、および、傾斜部は2個ではなく1個であり凸形状の側面視の断面形状が台形である点で異なり、その他は第一実施形態と同様である。蓋下面32の全面が出射面21と平行であるため、フィルタ4は透明蓋3の蓋上面31に配置される。
【0073】
蓋下面32の全面が出射面21と平行であるため、透明蓋3の蓋下面32に垂直以外の角度で入射した場合の光路は、透明蓋3の厚さおよび屈折率に依存して、閉鎖空間S、透明蓋3の境界面においてスネルの法則に従って屈折するため、折れ線のような光路をとる。そのため、蓋上面31から出射される光線は、蓋下面32に入る光線の直線からずれる。例えば、透明蓋3として合成石英(屈折率:1.49)を使用した場合、屈折率が1の閉鎖空間Sから蓋下面32に30°で入射した光は、透明蓋3の内部を進む光線の屈折角が19.6°となる。
【0074】
本実施形態においては、幾何学的な寸法形状により、透明蓋3の蓋下面32へ入射する傾斜角度の最大値は78°となる。したがって、蓋下面32への入射角は0°~78°の範囲となるが、透明蓋3の内部を進む光線の屈折角は0°~41°となる。さらに、傾斜部4bには傾斜部4bの法線に対して正負両方の入射角を有する光線が入射することを考慮すると、平坦部4aおよび傾斜部4bの境界は屈折角の範囲0°~41°の1/3に相当するθ=14°が好ましい。また、傾斜部4bの法線は屈折角の14°~41°の範囲の中間値に対応するθ=27°が好ましい。これにより、平坦部4aだけでなくフィルタ4の傾斜部4bにも発光素子2の出射面21からの光が垂直に近い入射角度で入射するようになる。具体的には、平坦部4aおよび傾斜部4bに入射する光線は、ともに0°~14°の範囲の入射角を有する光を主たる成分とすることができる。したがって、光干渉フィルタの入射角度依存性の影響を抑制することができ、特定波長としてのλ1より長波長側の光の出力の減衰を抑制しながらλ1より短波長側の光を効果的にカットすることができる。
【0075】
以上のようにして、光半導体装置を提供することができる。
【0076】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、光半導体装置に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
1 :パッケージ基板
100 :光半導体装置
11 :底面
13 :筒部
2 :発光素子
21 :出射面
3 :透明蓋
31 :蓋上面
31a :上平面部
31b :傾斜面部
31c :傾斜面部
32 :蓋下面
32a :底面部
32b :傾斜面部
32c :傾斜面部
4 :フィルタ
4a :平坦部
4b :傾斜部
4c :傾斜部
9 :接着層
A :ファイバープローブ
P :中心部
S :閉鎖空間
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9