(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149259
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、当該情報処理装置を用いた方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20231005BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057736
(22)【出願日】2022-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】520349551
【氏名又は名称】株式会社Yanekara
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】松藤 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】本橋 悠人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】船渡 勇吾
(72)【発明者】
【氏名】長▲崎▼ 舜
(72)【発明者】
【氏名】松田 響生
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB11
5G064CB21
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】電力の供給を制御する情報処理装置、当該情報処理装置を用いた方法及びプログラムを提供することを目的としたものである。
【解決手段】電力系統3と電気自動車1に係る二次電池2を接続する電路の開閉を制御する開閉器9と接続されている情報処理装置20であって、情報処理装置20は、最大電力の許容値から、電気自動車1以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力を算出し、算出された総電力を、電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車1の台数を算出し、算出された電気自動車1の台数と、二次電池2の充電状況に基づき、開閉器9に制御命令を出力する制御手段21を有する構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置であって、
当該情報処理装置は、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出し、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出し、算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力する制御手段を有することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段が、
前記電池の充電状況が、所定の日時までに0(ゼロ)になっている場合には、前記最大電力の許容値を低く更新し、
所定の日時までに0(ゼロ)になっていない場合には、前記最大電力の許容値を高く更新することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置を用いる方法であって、
当該情報処理装置の制御手段が、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出するステップと、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出ステップと、
算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力するステップを有することを特徴とする、方法。
【請求項4】
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置を動作させるプログラムであって、
当該プログラムは、情報処理装置を、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出させ、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出し、算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力させる制御手段として動作させることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の供給を制御する情報処理装置、当該情報処理装置を用いた方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車とは電気を使用して運行される自動車を意味するものであって、大きく純粋電気自動車(Battery powered Elctric Vehicle)とハイブリッド電気自動車(Hybrid Electirc Vehicle)とに区分される。ここで、純粋電気自動車とは化石燃料を利用することなく電気のみを使用して走行する自動車であって、一般に電気自動車と称される。そして、ハイブリッド電気自動車とは電気及び化石燃料を使用して走行するものを意味する。そして、このような電気自動車には走行のための電気を供給するバッテリ(二次電池)が具備される。特に、純粋電気自動車及びプラグイン(Plug-in)タイプのハイブリッド電気自動車は外部の電源から供給される電力を利用してバッテリを充電し、バッテリに充電された電力を利用して電気モーターを駆動する。
【0003】
一般的に、電気自動車のバッテリは、例えば、高速道路のSA(サービスエリア)や駐車場に充電スタンドが設けられ、専用の充電装置を備えた充電スタンドを利用して充電される。
【0004】
例えば、特許文献1では、充電スタンドにおいて、多くの電気自動車が次々に効率よく充電できるように、充電を終えた電気自動車は、速やかに充電エリアを離れるように強く促す構成が開示されている。詳しくは、電気自動車の充電中に充電エリアから人が離れると警告メッセージを出力し、充電エリアに戻るように促す構成が開示されている。
【0005】
しかし、所定の場所に設置された充電スタンドでしかバッテリに充電できないということでは、設置されている充電スタンドの数もまだ少ないという現状とあいまって、電気自動車の使い勝手が悪い。
【0006】
そのため、近年では、事業所や個人住宅等に具備されたコンセント(プラグ受け、ソケット)が提供する50Hz、あるいは60Hzの商用グリッド電力を利用して充電できるものが登場している。
【0007】
例えば、特許文献2では、太陽光パネル等の複数の外部電源から供給される直流電力を、家庭内機器で利用するために交流電力に変換すると共に、電気自動車に搭載された蓄電池に対して充放電を行う電力変換システムの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-125893号公報
【特許文献2】特開2019-193444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、多数の電気自動車についてまとめて充電を行った場合、単位時間あたりの利用電力量のピークが高くなり、ブレーカが遮断される。あるいは、電力会社に対し、違約金の支払いが生じたり、契約を更新する必要が生じる等、不都合が生じる。
【0010】
またそもそも、事業所や個人住宅等に具備されたコンセントを利用して電気自動車の充電を行う場合、充電を行う電気自動車の数に関わらず、電気自動車以外の電気機器の需要を考慮しないと、ブレーカが遮断される等、上記と同様の不都合が生じる。
【0011】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するものとして、電力の供給を制御する情報処理装置、当該情報処理装置を用いた方法及びプログラムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置であって、
当該情報処理装置は、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出し、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出し、算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力する制御手段を有する、情報処理装置とした。
【0013】
また、請求項2の発明は、
前記制御手段が、
前記電池の充電状況が、所定の日時までに0(ゼロ)になっている場合には、前記最大電力の許容値を低く更新し、
所定の日時までに0(ゼロ)になっていない場合には、前記最大電力の許容値を高く更新する、請求項1に記載の情報処理装置とした。
【0014】
また、請求項3の発明は、
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置を用いる方法であって、
当該情報処理装置の制御手段が、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出するステップと、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出ステップと、
算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力するステップを有する、方法とした。
【0015】
また、請求項4の発明は、
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置を動作させるプログラムであって、
当該プログラムは、情報処理装置を、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出させ、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出し、算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力させる制御手段として動作させる、プログラムとした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1~4の発明を用いることによって、単位時間あたりの利用電力量のピークの値が低減する。即ち、本発明では、最大電力の許容値を超えないように、電気自動車の電池に供給する総電力を調整する。そして、電力を調整することで、電力の積み重ねである単位時間あたりの利用電力量のピークの値を低減させる。その結果、ブレーカが遮断される。あるいは、電力会社に対し、違約金の支払いが生じたり、契約を更新する必要が生じる等の単位時間あたりの利用電力量のピークの値が高くなることによって生じる不都合が生じなくなり、便宜である。
【0017】
また、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を踏まえて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出する構成であるため、電気自働車の充電によって、例えば事業所内の他の電気機器の使用を妨害することがなく、便宜である。
【0018】
特に、請求項2の発明は、過去の電池の充電状況に応じて、最大電力の許容値を更新する構成であるため、電力の使用状況に合わせて適切に電気自動車に係る電池に電力を供給することができ、便宜である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態例1の電力供給システムを模式的に示した構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態例1の電力供給システムに係る情報処理装置の概略図である。
【
図3】本発明の実施の形態例1の電力供給システムに係る情報処理装置の消費電力P
EV記憶領域の構成を模式的に示した図である。
【
図4】本発明の実施の形態例1の電力供給システムの動作を示した説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態例1の電力供給システムの動作を示した説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態例1の電力供給システムの動作を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態例1)
まず、本発明の実施の形態例1の電気自動車に備えた二次電池に対する電力の供給を制御する電力供給システムAの構成を、
図1に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、本電力供給システムAでは、電気自動車1に係る複数の二次電池2を、商用の電力系統3(電力源の一例)と並列に接続し、商用の電力系統3から電気自動車1に備えた各二次電池2に電力を供給する。なお、各電気自動車1には、AC/DCコンバータ7が設けられており、AC/DCコンバータ7は、電力系統6から供給された交流電力を、直流電力に変換して、各二次電池2に供給する。また、
図1においては、実線は有線又は無線の電力線、点線は有線又は無線の通信線を示している。
【0022】
二次電池2は、電気自動車1に備えられている電池であって、蓄えている電力を、繰り返し放電したり、充電したりすることができる。なお、本実施の形態例1では、各電気自動車1には、2個の二次電池2が備えられている。
【0023】
商用の電力系統3は、電力会社からの交流電力を供給するためのシステムである。電力計4は、電力系統3から供給される電力を計測する。そして、電力計4は、後述する情報処理装置20と、有線、あるいは無線で相互通信可能に接続されている。分電盤5は、電力系統3に接続され、交流電力を負荷6に供給するための設備である。負荷6は、交流電力で駆動する交流駆動型の電気機器である。
【0024】
商用の電力系統3と、電気自動車1に係る二次電池2に差し込むインレット8を接続する各電路上の適宜の箇所に、当該電路の開閉を制御する開閉器(スイッチ)9が設けられている。そして、各開閉器9は、後述する情報処理装置20と、有線、あるいは無線で相互通信可能に接続されている。なお、
図1においてインレット8は、7個示されており、この後の本実施の形態例1の説明の便宜上、7個のインレット8を識別するため、81~87と付番する。
【0025】
また、開閉器9と、電気自動車1に係る二次電池2に差し込むインレット8を接続する各電路上の適宜の箇所に、当該電路に流れる電力を測定する電力計10が設けられている。そして、各電力計10は、後述する情報処理装置20と、有線、あるいは無線で相互通信可能に接続されている。なお、
図1において電力計10は、7個示されており、この後の本実施の形態例1の説明の便宜上、7個の電力計10を識別するため、11~17と付番する。
【0026】
情報処理装置20は、最大電力の許容値PPから、電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PLを減じて、電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)を算出し、算出された総電力MAX(PEV)を、電気自動車1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車2の台数を算出する。また、算出された電気自動車2の台数と、各二次電池2の充電状況に基づき、通信可能に接続されている各開閉器9に制御命令を出力する機能を有する。なお、情報処理装置20は、これらの機能を有する小型のユニット、ノートパソコン、サーバ等で実現できる。
【0027】
情報処理装置20は、
図2に示すように、CPU(=Central Processing Unit)等の制御手段21と、RAM(=Random Access Memory)22、ROM(=Read Only Memory)23、フラッシュメモリ等の記憶手段24、インタフェイス27、計時手段28、及びこれらの機器を接続するバス29を有している。
【0028】
制御手段21は、「最大電力の許容値PP」から、「電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PL」を減じて、「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を算出する制御を行う。また、制御手段21は、「算出された総電力MAX(PEV)」を、電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車1の台数を算出する制御を行う。更に、制御手段21は、算出された電気自動車1の台数と、各二次電池2の充電状況に基づき、各開閉器9に制御命令を出力する制御を行う。
【0029】
上述した「最大電力の許容値PP」とは、電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PLと、電気自動車1の二次電池2に係る総電力PEVを合算した利用電力のピークの許容値である。制御手段21は、この最大電力の許容値PPを超えないように、電気自動車1の二次電池2に供給する総電力PEVを調整する。
【0030】
制御手段21は、所定の周期(例えば、1日~1週間おき)で最大電力の許容値PPを更新する制御を行う。また、計時手段28を参照し、更新後の最大電力の許容値PPを、日時に関連付けて、記憶手段24内の許容値PP記憶領域241に記憶させる制御を行う。
【0031】
以下、詳しく説明する。制御手段21は、電気自動車1に係る二次電池2の充電が完了すべき日時T(例えば、業務の開始日時等、ユーザが電気自動車1を使用する日時)において、後述する記憶手段24内の消費電力記憶領域244から二次電池2の充電状況(各電路に供給されている電力)を読み出した結果、電気自動車1の二次電池2に供給する総電力PEVが、「0」(=ゼロ)の場合(=全ての電路で電力が供給されていない)、最大電力の許容値PPを、「PP-ΔPP」に更新する制御を行う。そして、この更新後の最大電力の許容値PPを、日時に関連付けて、記憶手段24内の許容値PP記憶領域241に記憶させる制御を行う。なお、「ΔPP」は、例えば、PPの3~10%の値である。即ち、この場合、充電を完了すべき日時Tまでに充電が完了しているため、制御手段21は、利用電力のピークの許容値である最大電力の許容値PPを、「ΔPP」分、低く更新する。
【0032】
一方、制御手段21は、電気自動車1に係る二次電池2の充電が完了すべき日時Tにおいて、記憶手段24内の消費電力記憶領域244から二次電池2の充電状況(各電路に供給されている電力)を読み出した結果、電気自動車1の二次電池2に供給する総電力PEVが、「0」(=ゼロ)より大きい場合(=いずれかの電路で電力が供給されている)、最大電力の許容値PPを、「PP+ΔPP」に更新する制御を行う。そして、この更新後の最大電力の許容値PPを、日時に関連付けて、記憶手段24の許容値PP記憶領域241に記憶させる制御を行う。即ち、この場合、充電を完了すべき日時Tまでに充電が完了していないため、制御手段21は、利用電力のピークの許容値である最大電力の許容値PPを、「ΔPP」分、高く更新する。
【0033】
なお、記憶手段24の許容値PP記憶領域241に最初に記憶させる、最大電力の許容値PPの初期値は、例えば、対象となる建物や施設の契約電力としても良い。
【0034】
そして、「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を算出する」際には、制御手段21は、記憶手段24内の許容値PP記憶領域241に記憶されている最新の最大電力の許容値PPを読み出して用いる。
【0035】
上述した「電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PL」について、制御手段21は、「事業所や個人住宅等の建物や施設全体の電力PG」から「電気自動車1の二次電池2に係る総電力PEV」を減じて算出する。なお、制御手段21は、所定の間隔(例えば、5~60分間隔)で電力計4及び計時手段18を参照し、建物や施設全体の電力PGを、取得している。そして、取得した建物や施設全体の電力PGを、取得した日時に関連付けて記憶手段24内の総電力PG記憶領域242に記憶させている。そして「電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PL」を算出する際には、制御手段21は、総電力PG記憶領域242に記憶されている建物や施設全体の電力PGのうち、例えば、最新のものを読み出して用いる。あるいは、新しい順に6個の値を読みだして、それらの値の平均値を算出して用いる。
【0036】
制御手段21は、
図3に示すように、所定の間隔(例えば、5~60分間隔)で、電力計11~17を通じて、各電路に供給されている電力を認識し、当該電力を、各電力計を識別する識別情報に関連付けて、時系列で、記憶手段24内の消費電力記憶領域244に記憶させ、消費電力P
EV(各電路に供給されている電力の合計)及び各二次電池2の充電状況(各電路に供給されている電力)を認識している。そして「電気自動車1以外の電気機器に係る総電力P
L」を算出する際の「電気自動車1の二次電池2に係る総電力P
EV」については、制御手段21は、消費電力記憶領域244に時系列で記憶されている各電路に供給されている電力のうち、「電気自動車1以外の電気機器に係る総電力P
L」を算出する制御を行う時点より、直前の日時に係る各電路に供給されている電力を合計して、消費電力P
EVを算出して用いる。一方、「算出された電気自動車1の台数と、各二次電池2の充電状況に基づき、各開閉器9に制御命令を出力する」際には、制御手段21は、消費電力記憶領域244に時系列で記憶されている各二次電池2の充電状況のうち、最新の各二次電池2の充電状況を読み出して用いる。
【0037】
「算出された電気自動車1の台数と、各二次電池2の充電状況に基づき、各開閉器9に制御命令を出力する」とは、詳しくは、制御手段21は、算出された電気自動車1の台数と、各二次電池2の充電状況に基づき、各開閉器9に対し、「当該電路を開かせる」あるいは「当該電路を閉じさせる」旨の制御命令を出力することを指す。
【0038】
RAM22は各種データ、プログラム等を一時的に記憶するためのものであり、制御手段21の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ROM23は、内部に基本I/Oプログラム等のプログラム、基本処理において使用する各種データ等を記憶する。
【0039】
フラッシュメモリ等の記憶手段24は補助記憶装置であり、大容量メモリとして機能する。記憶手段24には、アプリケーションプログラム、OS、制御プログラム、関連プログラム等を記憶する。そして、記憶手段24内には、許容値PP記憶領域241、総電力PG記憶領域242、電力PN記憶領域243、及び消費電力記憶領域244が設けられている。
【0040】
許容値P
P記憶領域241には、最大電力の許容値P
Pが、日時に関連付けて記憶される。また、総電力P
G記憶領域242には、建物や施設全体の電力P
Gが、日時に関連付けて記憶される。電力P
N記憶領域243には、電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力P
N(例えば、1~10kW)が記憶されている。消費電力記憶領域244には、
図3に示すように、二次電池2の充電状況として、電力計11~17を識別する識別情報に関連付けて、時系列で、電力計11~17に係る各電路に供給されている電力が、記憶される。そして各電路に供給されている電力を合計したものが、消費電力P
EVとなる。
【0041】
なお、ユーザが、記憶手段24等に情報や命令を入力する必要が生じた場合には、情報処理装置20にキーボードやポインティングデバイス等の入力手段(図示省略)及びディスプレイ等の表示手段(図示省略)を接続して入力しても良い。
【0042】
27はインタフェイスであり、このインタフェイス27を介して、情報処理装置20は、電力計4、各開閉器9、電力計11~17等の他の装置との情報や命令のやり取りを行う。計時手段28は、現在時刻を計測し、また時間を計測するタイマである。バス29は、情報処理装置20内の情報・命令の流れを司るものである。
【0043】
また、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアにより、ハードウェア装置の代替として構成することもできる。
【0044】
本実施の形態例では、本実施の形態例に係るプログラム及び関連データを直接RAM22にロードして実行させる例を示しているが、これ以外にも、本実施の形態例に係るプログラムを動作させる度に、既にプログラムがインストールされている記憶手段24からRAM22にロードするようにしてもよい。また、本実施の形態例に係るプログラムをROM23に格納しておき、これをメモリマップの一部をなすように構成し、直接制御手段21で実行することも可能である。
【0045】
また、本実施の形態例1では、説明の便宜のため、情報処理装置20を1つの装置で実現した構成について述べるが、複数の装置にリソースを分散した構成によって実現してもよい。例えば、記憶や演算のリソースを複数の装置に分散した形に構成してもよい。或いは、情報処理装置20上で仮想的に実現される構成要素毎にリソースを分散し、並列処理を行うようにしてもよい。
【0046】
特に、本実施の形態例1では、記憶手段24内に総電力PG記憶領域242を設け、この記憶領域242に、所定の間隔で取得した建物や施設全体の電力PGを、取得した日時に関連付けて記憶する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、建物や施設全体の電力PGの値については、情報処理装置20と相互通知可能に接続されている、クラウド上の別のサーバ等の情報処理装置に記憶させ、建物や施設全体の電力PGを使用する際には、制御手段21が、当該情報処理装置から読み出す構成としても良い。また、本実施の形態例1では、記憶手段24内に消費電力記憶領域244を設け、この記憶領域に、所定の間隔で取得した電力PEVを、各二次電池2の充電状況として、各電力計の識別情報に関連付けて、時系列で電力計11~17に係る各電路に供給されている電力を記憶する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、各二次電池2の充電状況については、情報処理装置20と相互通知可能に接続されている、クラウド上の別のサーバ等の情報処理装置に記憶させ、使用する際に、制御手段21が、当該情報処理装置から読み出す構成としても良い。あるいは、記憶手段24自体を、クラウド上の別のサーバ等の情報処理装置に設け、使用する際に、制御手段21が、必要な情報を当該情報処理装置から読み出す構成としても良い。
【0047】
<情報処理装置20の動作の流れ>
次に、情報処理装置20の動作の流れを、
図1及び
図3~
図6を用いて説明する。
【0048】
図1に示すように、午前9時から午前10時の間に、電気自動車1が7台入庫し、ユーザによって、インレット8と二次電池2が夫々接続された。この時、各電気自動車1に備えられた二次電池2に蓄えられた電力量が0(kWh)であるとすると、充電に要する電力量は合計42(kWh)であった。即ち、各電気自動車1に備えられている二次電池2は2個であり、各二次電池2が蓄えることができる電力量は、3(kWh)である。そのため、「3(kWh)×2(個)×7(台)」で、合計42(kWh)である。なお、この時点では、各開閉器9は開いた状態であり、二次電池2に電力は供給されていない。
【0049】
情報処理装置20の制御手段21は、計時手段28を参照し、午前10時が到来したことを認識すると、全ての開閉器9を閉じる。また、制御手段21は、記憶手段24内の許容値PP記憶領域241から「最大電力の許容値PP」を読み出す。更に、制御手段21は、記憶手段24内の総電力PG記憶領域242から「建物や施設全体の電力PG」を読み出す。また、制御手段21は、記憶手段24内の電力PN記憶領域243から「電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力PN」を読み出す。また、制御手段21は、記憶手段24内の消費電力記憶領域244から、当該時点(午前10時)より、直前の日時に係る各電路に供給されている電力を読み出して合計し、合計したこの消費電力PEVを「電気自動車1の二次電池2に係る総電力PEV」として用いる。なお、今回の流れでは、充電を開始していないので、0(ゼロ)となる。
【0050】
そして、読み出した「最大電力の許容値PP」から、「電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PL」を減じて、その時点の「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を算出する制御を行う。そして、算出された「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を、電力PN記憶領域243から読み出した「電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力PN」で除して、充電可能な電気自動車1の台数を算出する制御を行う。その結果、充電可能な電気自動車1の台数は、2台であった。
【0051】
また、情報処理装置20の制御手段21は、記憶手段24内の消費電力記憶領域244から最新(午前10時)の「各二次電池2の充電状況」を読み出す。
図3に示すように、各電力計11~17について、3(KW)の電力の供給を検出したとの結果であった。これは、インレット81~87が夫々接続された各電気自動車1に係る二次電池2へ電力の供給(充電)されていることを示している。即ち、充電中の二次電池2に必要な総電力量は、42(kWh)であった。
【0052】
情報処理装置20の制御手段21は、充電可能な電気自動車1の台数(2台)と、各二次電池2の充電状況(全ての二次電池2の充電が未完了)に基づき、各開閉器9に制御命令を出力する制御を行う。ここでは、
図4に示すように、制御手段21は、インレット83~87に係る開閉器9に開く旨の制御命令を出力する。その結果、インレット81及び82が接続された電気自動車1に係る二次電池2に対してのみ、電力の供給(=充電)が継続される。そのため、
図3に示すように、午前11時の時点で、充電が必要な二次電池2の総電力量は、36(kWh)になる。
【0053】
次に、情報処理装置20の制御手段21は、計時手段28を参照し、午前11時が到来したことを認識すると、記憶手段24内の許容値PP記憶領域241から「最大電力の許容値PP」を読み出す。更に、制御手段21は、記憶手段24内の総電力PG記憶領域242から「建物や施設全体の電力PG」を読み出す。また、制御手段21は、記憶手段24内の電力PN記憶領域243から「電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力PN」を読み出す。また、制御手段21は、記憶手段24内の消費電力記憶領域244から、当該時点(午前11時)より、直前の日時に係る各電路に供給されている電力を読み出して合計し、合計したこの消費電力PEV(6kW)を「電気自動車1の二次電池2に係る総電力PEV」として用いる。
【0054】
そして、読み出した「最大電力の許容値PP」から、「電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PL」を減じて、その時点の「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を算出する制御を行う。そして、算出された「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を、「電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力PN」で除して、充電可能な電気自動車1の台数を算出する制御を行う。その結果、充電可能な電気自動車1の台数は、3台であった。
【0055】
また、情報処理装置20の制御手段21は、記憶手段24内の消費電力記憶領域244から最新(午前11時)の「各二次電池2の充電状況」を読み出す。
図3に示すように、電力計11及び電力計12から、それぞれ3(kW)の電力の供給を検出したとの結果であった。これは、インレット81及び82が接続された電気自動車1に係る二次電池2への電力の供給(充電)が継続されていることを示している。即ち、充電中の電気自動車1の台数は、2台であった。
【0056】
情報処理装置20の制御手段21は、充電可能な電気自動車1の台数(3台)と、各二次電池2の充電状況(2台の電気自動車1の二次電池2に充電中)に基づき、各開閉器9に制御命令を出力する制御を行う。ここでは、
図5に示すように、制御手段21は、インレット83に係る開閉器9に閉じる旨の制御命令を出力する。その結果、インレット83が接続された電気自動車1に係る二次電池2に電力の供給(=充電)が開始される。なお、インレット81及び82に係る開閉器9は閉じた状態が維持されており、インレット81及び82が接続された電気自動車1に係る二次電池2に対しての電力の供給(=充電)は継続される。そのため、
図3に示すように、午前12時の時点で、充電が必要な二次電池2の総電力量は、27(kWh)になる。
【0057】
次に、情報処理装置20の制御手段21は、計時手段28を参照し、午前12時が到来したことを認識すると、記憶手段24内の許容値PP記憶領域241から「最大電力の許容値PP」を読み出す。更に、制御手段21は、記憶手段24内の総電力PG記憶領域242から「建物や施設全体の電力PG」を読み出す。また、制御手段21は、記憶手段24内の電力PN記憶領域243から「電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力PN」を読み出す。また、制御手段21は、記憶手段24内の消費電力記憶領域244から、当該時点(午前12時)より、直前の日時に係る各電路に供給されている電力を読み出して合計し、合計したこの消費電力PEV(9kW)を「電気自動車1の二次電池2に係る総電力PEV」として用いる。
【0058】
そして、読み出した「最大電力の許容値PP」から、「電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PL」を減じて、その時点の「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を算出する制御を行う。そして、算出された「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を、「電気自動車1の1台あたりの二次電池2に係る充電に要する電力PN」で除して、充電可能な電気自動車1の台数を算出する制御を行う。その結果、充電可能な電気自動車1の台数は、5台であった。
【0059】
また、情報処理装置20の制御手段21は、記憶手段24内の消費電力P
EV記憶領域244から最新(午前12時)の「各二次電池2の充電状況」を読み出す。
図3に示すように、電力計11及び12から、0(KW)の電力の供給を検出したとの結果であった。これは、インレット81及び82が接続された電気自動車1に係る二次電池2への電力の供給(充電)は完了したことを示している。また、電力計13から、3(KW)の電力の供給を検出したとの結果であった。これは、インレット83が接続された電気自動車1に係る二次電池2に対する電力の供給(充電)が継続されていることを示している。即ち、充電中の電気自動車1の台数は、1台であった。
【0060】
情報処理装置20の制御手段21は、充電可能な電気自動車1の台数(5台)と、各二次電池2の充電状況(1台の電気自動車1の二次電池2に充電中)に基づき、各開閉器9に制御命令を出力する制御を行う。ここでは、
図6に示すように、制御手段21は、インレット84~インレット87に係る開閉器9に閉じる旨の制御命令を出力する。その結果、インレット84~87が接続された電気自動車1に係る二次電池2に電力の供給(=充電)が開始される。なお、インレット81~83に係る開閉器9は閉じた状態が維持されている。しかし、インレット81及び82が接続された電気車1に係る二次電池2については充電が完了しているため、電力は供給されない。一方、インレット83が接続された電気自動車1に係る二次電池2に電力の供給(=充電)は継続される。そのため、
図3に示すように、午後1時の時点で、充電が必要な二次電池2の総電力量は、12(kWh)になる。
【0061】
このように、本発明の実施の形態例1の電力供給システムAの情報処理装置20では、前回の制御開始日時から1時間が経過したと認識すると、新たな制御を開始する構成とした。そのため、1時間で利用する電力量を所定の値以下に抑えることができる。
【0062】
また、本発明の実施の形態例1の電力供給システムAの情報処理装置20を構成することによって、単位時間あたりの利用電力量のピークの値が低減する。即ち、本発明の実施の形態例1の電力供給システムAの情報処理装置20は、所定の時間毎に、最大電力の許容値PPを超えないように、電気自動車1の二次電池2に供給する総電力PEVを調整する。そして、所定の時間毎に、電力(例えば、kW)を調整することで、電力の積み重ねである単位時間あたりの利用電力量(例えば、kWh)のピークの値を低減させる。その結果、ブレーカが遮断される。あるいは、電力会社に対し、違約金の支払いが生じたり、契約を更新する必要が生じる等の単位時間あたりの利用電力量のピークの値が高くなることによって生じる不都合が生じなくなり、便宜である。
【0063】
また、電気自動車1以外の電気機器に係る総電力PLを踏まえて、電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)を算出する構成であるため、電気自働車1の充電によって、例えば事業所内の他の電気機器の使用を妨害することがなく、便宜である。
【0064】
なお、上述した情報処理装置20の動作の流れでは、充電開始前に、二次電池2が空の電気自動車1が、全てのインレットに接続され、電気自動車1の入れ替えがない場合で説明した。しかし、情報処理装置20は、上述したように、所定の間隔で、電力計11~17を通じて、各電路に供給されている電力を認識し、当該電力を、各電力計を識別する識別情報に関連付けて、時系列で、記憶手段24内の消費電力記憶領域244に記憶させ、各二次電池2の充電状況を認識している。そのため、新たに二次電池2が空の電気自動車1が、いずれかのインレットに接続された場合には、情報処理装置20は、新たな制御を行うタイミングで、記憶手段24内の消費電力記憶領域244から「各二次電池2の充電状況」を読み出して認識することで、新たに二次電池2が空の電気自動車1が、インレットに接続されたことを認識し、それに応じて各開閉器9に制御命令を出力する。
【0065】
<変形例>
上述した本実施の形態例1では、情報処理装置20の制御手段21が、前回の制御開始日時から1時間が経過したと認識すると、新たな制御を開始する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、前回の制御開始日時から30分が経過したと認識すると、新たな制御を開始する構成としても良いし、前回の制御開始日時から2時間が経過したと認識すると、新たな制御を開始する構成としても良い。また、前回の制御開始日時から1~5秒が経過したと認識すると、新たな制御を開始する構成としても良い。通常、ブレーカは、10秒程度の電力量がしきい値を超えると作動し、電路を遮断する。このように1~5秒間隔で新たな制御を行う構成とすれば、ブレーカの作動を防ぐことができ、便宜である。要は、所定の時間が経過したと認識すると、新たな制御を開始する構成であれば良い。
【0066】
また、本実施の形態例1では、電力系統3から各二次電池2へ向かう電路とは別個に情報処理装置20を設ける構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、電力系統3から各二次電池2へ向かう電路の途中に情報処理装置20を設ける構成としても良い。要は、上述した情報処理装置20の機能を果たすことが出来れば、電力供給システムA中のどこに情報処理装置20を設ける構成であっても良い。
【0067】
上述した本実施の形態例1では、各電気自動車1の二次電池2に係る充電に要する電力PNが同一である場合で説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、情報処理装置20は記憶手段24内に、各電気自動車1を識別する識別情報と関連付けて、各電気自動車1の二次電池2に係る充電に要する電力PNに係る情報が記憶されているテーブルが格納されている。また、情報処理装置20は、インレット81~87と夫々相互通信可能に接続されている。インレット8に電気自動車1に係る二次電池2が接続されると、当該インレット8を通じて、情報処理装置20に対し、二次電池2が接続された旨と、当該電気自動車1に係る識別情報が出力される。これらの情報を受信した情報処理装置20の制御手段21は、前記テーブルを参照して、当該電気自動車2の二次電池2に係る充電に要する電力PNを認識する構成としても良い。このような構成であれば、各電気自動車2に備えられている二次電池2に係る充電に要する電力PNが異なる場合であっても、電力供給システムAを用いて、各電気自動車1に備えられている二次電池2に適切に電力を供給することができ、便宜である。
【0068】
上述した本実施の形態例1では、電力の供給が必要な二次電池2に対して、情報処理装置20の制御手段21が、当該電気自動車1が入庫した順に、電力の供給を開始する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、ランダムに電力の供給を開始する構成としても良い。要は、予めユーザが、情報処理装置20に、適宜設定した通りの順で、電力の供給を開始させることが可能な構成であれば良い。
【0069】
また、上述した本実施の形態例1では、制御手段21は、所定の周期で最大電力の許容値PPを更新する。更新後の最大電力の許容値PPを、記憶手段24内の許容値PP記憶領域241に記憶させる。制御手段21は、所定の間隔(例えば、5~60分間隔)で電力計4及び計時手段18を参照し、建物や施設全体の電力PGを、取得する。そして、取得した建物や施設全体の電力PGを、取得した日時に関連付けて記憶手段24内の総電力PG記憶領域242に記憶させる。そして、制御手段21は、所定の日時が到来したことを認識すると、記憶手段24内の許容値PP記憶領域241から「最大電力の許容値PP」を読み出す。更に、制御手段21は、記憶手段24内の総電力PG記憶領域242から「建物や施設全体の電力PG」を読み出して、「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」の算出に用いる構成を示したが、この構成に限定されるものではない。
【0070】
例えば、制御手段21は、所定の日時が到来したことを認識すると、最大電力の許容値PPを更新する。制御手段21は、電力計4及び計時手段18を参照し、建物や施設全体の電力PGを、取得する。そして、リアルタイムで更新した最大電力の許容値PPと、リアルタイムで取得した建物や施設全体の電力PGを用いて、「電気自動車1に係る二次電池2に供給可能な総電力MAX(PEV)」を算出する構成としても良い。
【0071】
また、上述した本実施の形態例1では、情報処理装置20の制御手段21が、各電気自動車1の二次電池2の充電状況を、電力計11~17を用いて認識する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。通常、各電気自動車1には、自身に備えられた二次電池2の充電状況を計測する機器が設けられている。そこで例えば、制御手段21は、各電気自動車21に設けられている当該充電状況計測機器と相互通信を行い、各電気自動車1の二次電池2の充電状況を認識する構成としても良い。
【0072】
また、上述した本実施の形態例1では、各電気自動車1の内部にAC/DCコンバータ7が設けられている構成を示したが、この構成に限定されるものではない。要は、電力系統6から各二次電池2に至る電路のいずれかの箇所に設けられていれば良い。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施の形態例について述べたが、本発明に係る電力供給システムは上述した実施の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
A:電力供給システム、
1:電気自動車、
2:二次電池、
3:電力系統、
4:電力計、
5:分電盤、
6:負荷、
7:AC/DCコンバータ、
8(81~87): インレット
9:開閉器、
10(11~17):電力計
20:情報処理装置、21:制御手段、22:RAM、23:ROM、24:記憶手段、241:許容値PP記憶領域、242:総電力PG記憶領域、243:電力PN記憶領域、244:消費電力記憶領域、27:インタフェイス、28:計時手段、29:バス
【手続補正書】
【提出日】2022-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置であって、
当該情報処理装置は、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出し、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出し、算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力し、
前記電池の充電状況が、所定の日時までに0(ゼロ)になっている場合には、前記最大電力の許容値を低く更新し、
所定の日時までに0(ゼロ)になっていない場合には、前記最大電力の許容値を高く更新する制御手段を有することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置を用いる方法であって、
当該情報処理装置の制御手段が、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出するステップと、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出するステップと、
算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力するステップと、
前記電池の充電状況が、所定の日時までに0(ゼロ)になっている場合には、前記最大電力の許容値を低く更新するステップと、
所定の日時までに0(ゼロ)になっていない場合には、前記最大電力の許容値を高く更新するステップを有することを特徴とする、方法。
【請求項3】
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置を動作させるプログラムであって、
当該プログラムは、情報処理装置を、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出させ、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出し、算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力させ、
前記電池の充電状況が、所定の日時までに0(ゼロ)になっている場合には、前記最大電力の許容値を低く更新させ、
所定の日時までに0(ゼロ)になっていない場合には、前記最大電力の許容値を高く更新させる制御手段として動作させることを特徴とする、プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項1の発明は、
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置であって、
当該情報処理装置は、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出し、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出し、算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力し、
前記電池の充電状況が、所定の日時までに0(ゼロ)になっている場合には、前記最大電力の許容値を低く更新し、
所定の日時までに0(ゼロ)になっていない場合には、前記最大電力の許容値を高く更新する制御手段を有する、情報処理装置とした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、請求項2の発明は、
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置を用いる方法であって、
当該情報処理装置の制御手段が、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出するステップと、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出するステップと、
算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力するステップと、
前記電池の充電状況が、所定の日時までに0(ゼロ)になっている場合には、前記最大電力の許容値を低く更新するステップと、
所定の日時までに0(ゼロ)になっていない場合には、前記最大電力の許容値を高く更新するステップを有する、方法とした。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、請求項3の発明は、
電力源と電気自動車に係る電池を接続する電路の開閉を制御する開閉器と接続されている情報処理装置を動作させるプログラムであって、
当該プログラムは、情報処理装置を、
最大電力の許容値から、電気自動車以外の電気機器に係る総電力を減じて、電気自動車に係る電池に供給可能な総電力を算出させ、
算出された総電力を、電気自動車1台あたりの電池に係る充電に要する電力で除して、充電可能な電気自動車の台数を算出し、算出された電気自動車の台数と、電池の充電状況に基づき、前記開閉器に制御命令を出力させ、
前記電池の充電状況が、所定の日時までに0(ゼロ)になっている場合には、前記最大電力の許容値を低く更新させ、
所定の日時までに0(ゼロ)になっていない場合には、前記最大電力の許容値を高く更新させる制御手段として動作させる、プログラムとした。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項1~3の発明を用いることによって、単位時間あたりの利用電力量のピークの値が低減する。即ち、本発明では、最大電力の許容値を超えないように、電気自動車の電池に供給する総電力を調整する。そして、電力を調整することで、電力の積み重ねである単位時間あたりの利用電力量のピークの値を低減させる。その結果、ブレーカが遮断される。あるいは、電力会社に対し、違約金の支払いが生じたり、契約を更新する必要が生じる等の単位時間あたりの利用電力量のピークの値が高くなることによって生じる不都合が生じなくなり、便宜である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
更に、請求項1~3の発明は、過去の電池の充電状況に応じて、最大電力の許容値を更新する構成であるため、電力の使用状況に合わせて適切に電気自動車に係る電池に電力を供給することができ、便宜である。