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特開2023-149261電子部品の封止に使用する樹脂組成物、及び該樹脂組成物で封止された電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149261
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】電子部品の封止に使用する樹脂組成物、及び該樹脂組成物で封止された電子部品
(51)【国際特許分類】
   C08G 75/045 20160101AFI20231005BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08G75/045
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057738
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】内田 滉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直志
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 聖
【テーマコード(参考)】
4J030
4M109
【Fターム(参考)】
4J030BA22
4J030BA51
4J030BB07
4J030BC43
4J030BF04
4J030BF09
4J030BF10
4J030BF19
4J030BG04
4J030BG09
4J030BG10
4M109AA01
4M109BA03
4M109CA04
4M109CA12
4M109EA02
4M109EA15
4M109EB06
4M109EB13
4M109EC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の目的は、未硬化の状態で高い形状安定性を有し、硬化後は低温下における柔軟性を有し、且つ耐水性に優れる樹脂組成物を提供にすることにある。
【解決手段】(A)(メタ)アクリル基を2~3個有するウレタン(メタ)アクリレート化合物と、(B)式(1)で表されるポリチオール化合物と、を含有し、(B)のチオール基のモル数と(A)の(メタ)アクリル基のモル数の割合(チオール基/(メタ)アクリル基)が0.5~5.0であり、(A)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は2,000~20,000である電子部品の封止用の樹脂組成物を提供する。

(R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又はフェニル基、R、R、R及びRはそれぞれ独立にメルカプトメチル基、メルカプトエチル基及びメルカプトプロピル基から選ばれる。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(メタ)アクリル基を2~3個有するウレタン(メタ)アクリレート化合物と、
(B)式(1)で表されるポリチオール化合物と、
【化1】

(R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又はフェニル基、R、R、R及びRはそれぞれ独立にメルカプトメチル基、メルカプトエチル基及びメルカプトプロピル基から選ばれる。)
を含有し、
(B)のチオール基のモル数と(A)の(メタ)アクリル基のモル数の割合(チオール基/(メタ)アクリル基)が0.5~5.0であり、
(A)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は2,000~20,000である電子部品の封止に使用する樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂組成物を用いて封止された電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の封止に使用する樹脂組成物に関するものである。詳細には、未硬化の状態で高い形状安定性を有し、硬化後は低温下における柔軟性を有し、耐水性に優れる樹脂組成物に関するものである。また、前記樹脂組成物を用いて封止された電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビやスマートフォン等の電子機器は、劣化の原因となる水分等の外部要因から電子部品を保護するため、封止材を使用している。従来、この封止材には耐水性に優れるエポキシ樹脂を配合した組成物が用いられてきた(特許文献1)。しかしながら、そのエポキシ樹脂組成物からなる封止材は緻密で耐水性に優れる反面で柔軟性が低い。加えて、近年では電子部品の小型化に伴い、封止部も小面積化される中、封止部と基材との接着面積が縮小し、特に低温下において剥がれや割れを生じやすくなるという問題があった。また、封止部の小面積化において、より精密に封止材を塗工することが必要となり、未硬化の状態では、硬化するまでに基材上で濡れ広がらない形状安定性も求められている。形状安定性の向上にはフィラーを添加しチクソ性を高めることが有用であることが知られている(特許文献2)。しかしながら、フィラーを多量に添加することで封止材の柔軟性が低下し、基材からの剥がれや割れが生じやすくなる問題があった。また、チクソ性を高めるフィラーには親水性基を含有するものが多いことから、封止材の耐水性が悪化する問題や、フィラーを添加することで封止材が不透明になるため使用用途が限定される問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-302201号公報
【特許文献2】特開2014-77122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、未硬化の状態で高い形状安定性を有し、硬化後は低温下における柔軟性を有し、且つ耐水性に優れる樹脂組成物、および該樹脂組成物を用いて封止された電子部品を提供にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究を重ねる中で、(A)ウレタン(メタ)アクリレート化合物と(B)式(1)で表されるポリチオール化合物の間で相互作用が大きい事に着目し、未硬化の状態で高い形状安定性を有し、硬化後は低温下における高い柔軟性を有する樹脂組成物が得られることを見出した。さらに、この樹脂組成物の硬化物は耐水性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕~〔2〕である。
〔1〕
(A)(メタ)アクリル基を2~3個有するウレタン(メタ)アクリレート化合物と、
(B)式(1)で表されるポリチオール化合物と、
【化1】

(R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又はフェニル基、R、R、R及びRはそれぞれ独立にメルカプトメチル基、メルカプトエチル基及びメルカプトプロピル基から選ばれる。)
を含有し、
(B)のチオール基のモル数と(A)の(メタ)アクリル基のモル数の割合(チオール基/(メタ)アクリル基)が0.5~5.0であり、
(A)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は2,000~20,000である、電子部品の封止に使用する樹脂組成物。
〔2〕
前記の〔1〕に記載の樹脂組成物を用いて封止された電子部品。
【0006】
本発明において数値範囲を示す「○○~××」とは、別途記載が無い限り、その下限値(「○○」)や上限値(「××」)を含む概念である。すなわち、正確には「○○以上××以下」を意味する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、未硬化の状態で高い形状安定性を有し、硬化後は低温下における柔軟性を有し、耐水性に優れる樹脂組成物、および該樹脂組成物を用いて封止された電子部品を提供にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によれば、未硬化の状態で高い形状安定性を有し、硬化後は低温下における柔軟性を有し、耐水性に優れる樹脂組成物を提供することができる。また、上記樹脂組成物を用いて封止した電子部品を提供することにある。
以下に、本発明について詳しく説明する。本発明の樹脂組成物は、電子部品の封止に使用するものであり、下記(A)、(B)を必須成分とする。
【0009】
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)>
ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)は、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物、およびヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物、またはポリイソシアネート化合物およびヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物を公知の方法で反応させることで得られる。ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。このような化合物が含有するウレタン基は、ウレタン基同士および他の極性基と水素結合のような強い相互作用を発現できる。また、上記の水素結合は共有結合と比べて柔軟であることから、樹脂組成物の硬化物は、低温下においても柔軟性を保つことができる。ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)は、2~3個の(メタ)アクリル基を有する化合物であり、(メタ)アクリル基の数がこの範囲であることで、樹脂組成物の硬化物の柔軟性が高く、低温下においても柔軟性を有することができる。
【0010】
(ポリイソシアネート化合物)
前記ポリイソシアネート化合物としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。具体的には、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートポリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ジイソシアネートの三量体であるイソシアヌル骨格含有トリイソシアネート等が挙げられる。その中でも、樹脂組成物の硬化物が低温下における柔軟性を保持できる観点から、2価のジイソシアネート化合物が好ましい。
【0011】
(ポリオール化合物)
前記ポリオール化合物としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素からなるポリオールが挙げられる。ポリオール化合物は、反応後得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物の柔軟性の観点から、2価のジオール化合物が好ましい。
【0012】
前記ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸化合物とポリオール化合物を縮合反応させた化合物を用いることができる。また、塩基性化合物の存在下で、ジヒドロキシカルボン酸に環状エステル類を開環付加重合したポリエステルポリオールを使用することもできる。
前記ジカルボン酸化合物としては、具体的には、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸等が挙げられる。その中でも、アジピン酸、ピメリン酸が好ましい。
また、ポリオール化合物は、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物が挙げられる。ジオール化合物は、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。トリオール化合物は、具体的には、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。その中でも、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
前記環状エステル類としては、通常、ラクトン類で構成してもよい。ラクトン類(又は環状モノエステル類)としては、例えば、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-カプリロラクトン、γ-ラウロラクトン、エナントラクトン、ドデカノラクトン、ステアロラクトン、アルキル-ε-カプロラクトン等の炭素数が3~20のラクトンが好ましく、炭素数が4~15のラクトンより好ましい。
【0013】
前記ポリエーテルポリオールとしては、公知の化合物を用いることができる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール化合物、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール等のトリオール化合物が挙げられる。その中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールが好ましい。
【0014】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、炭酸ジエステルとポリオール化合物のエステル交換により得られる化合物を用いることができる。炭酸ジエステルとしては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。その中でも、ジエチルカーボネートが好ましい。ポリオール化合物は、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物が挙げられる。ジオール化合物は、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。トリオール化合物は、具体的には、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。その中でも、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
【0015】
前記炭化水素からなるポリオールとしては、公知の化合物を用いることができる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール等のジオール化合物、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールプロパン等のトリオール化合物が挙げられる。その中でも、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリンが好ましい。
【0016】
(ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物)
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物は、公知の化合物を用いることができる。具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を使用できる。その中でも、樹脂組成物の硬化物の水分バリア性を高めるという観点から2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0017】
ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の重量平均分子量は、樹脂組成物の硬化物が低温下における柔軟性を保持できるという観点から2,000以上が好ましく、2,500以上がより好ましい。また、耐水試験後における引張せん断強度の低下を抑制するという観点から20,000以下であることが好ましく、15,000以下がより好ましい。すなわち、樹脂組成物の硬化物が低温下における柔軟性が高く、且つ耐水性に優れるものとなるためには、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の重量平均分子量は2,000~20,000が好ましく、2,500~15,000がより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を使用して求められる。
【0018】
<式(1)で表されるポリチオール化合物(B)>
式(1)で表されるポリチオール化合物(B)は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。このような化合物を含有することで、骨格中のOやN原子およびチオール基と、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)のウレタン基との間で水素結合のような強い相互作用が生じ、高い凝集力が生まれるため未硬化の樹脂組成物が基材上で濡れ広がりにくく、高い形状安定性を有することができる。また、含有するチオール基は、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の(メタ)アクリル基とのチオール-エン反応によりチオエーテル結合を形成する。チオエーテル結合は、C、O、Nといった原子の結合と比べ、結合角を柔軟に変化できるため、樹脂組成物の硬化物は低温下においても高い柔軟性を有し、剥がれや割れの発生を抑制することができる。また、チオエーテル結合の結合角の高柔軟性から、樹脂組成物の硬化物は、原子同士が結合の隙間を埋めるように高密度に硬化できるため、耐水性が高まり、耐水試験後においても水分の影響を受けにくいため、引張せん断強度の低下を防ぐことができる。
式(1)で表されるポリチオール化合物(B)は、4個のチオール基を有することで、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)のウレタン基との相互作用を高め、未硬化の樹脂組成物が高い形状安定性を有し、且つ硬化後の樹脂組成物が低温下における高い柔軟性を有することができる。
【化1】

(R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又はフェニル基、R、R、R及びRはそれぞれ独立にメルカプトメチル基、メルカプトエチル基及びメルカプトプロピル基から選ばれる。)
式中のR、R、R及びRは、式(1)に含有するCO二重結合と分子内水素結合ができるという観点からメルカプトエチル基及びメルカプトプロピル基が好ましい。また、R及びRは構造の立体障害を減らし、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)との相互作用を大きくする観点から、水素原子または、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。
【0019】
ポリチオール化合物(B)として、具体的には、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル(商品名:TS-G、四国化成工業社製)、1,3,4,6-テトラキス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリル(商品名:C3 TS-G、四国化成工業社製)、1,3,4,6-テトラキス(メルカプトメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(メルカプトメチル)-3a-メチルグリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)-3a-メチルグリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(3-メルカプトプロピル)-3a-メチルグリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(メルカプトメチル)-3a,6a-ジメチルグリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)-3a,6a-ジメチルグリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(3-メルカプトプロピル)-3a,6a-ジメチルグリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(メルカプトメチル)-3a,6a-ジフェニルグリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)-3a,6a-ジフェニルグリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(3-メルカプトプロピル)-3a,6a-ジフェニルグリコールウリル等が含まれる。これらは、それぞれ1種のみを単独で用いることも、また2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル及び1,3,4,6-テトラキス(3-メルカプトプロピル)グリコールウリルが好ましい。
【0020】
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)は、上記(A)、上記(B)及びその他に重合性化合物が添加される場合はその重合性化合物の光による硬化反応を促進するために添加され、樹脂組成物の硬化に必要な光照射を少なくすることができる。光重合開始剤(C)は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤等があげられる。光ラジカル重合開始剤は、反応時間を短縮する際に用いることが好ましく、光カチオン重合開始剤は、接着力を向上させる際に用いることが好ましく、光アニオン重合開始剤は、耐水性を付与する際に用いることが好ましい。
【0021】
光ラジカル重合開始剤は、具体的に、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0022】
光カチオン重合開始剤は、具体的に、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、2-(3,4-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
【0023】
光アニオン重合開始剤は、具体的に、アセトフェノンo-ベンゾイルオキシム、ニフェジピン、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デカ-5-エン、2-ニトロフェニルメチル4-メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシラート、1,2-ジイソプロピル-3-〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオナート、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5,-テトラメチルビグアニジウムn-ブチルトリフェニルボラート等が挙げられる。
【0024】
<多官能(メタ)アリル化合物(D)>
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、多官能(メタ)アリル化合物(D)を含有していてもよい。多官能(メタ)アリル化合物(D)は、ポリチオール化合物(B)とのチオール-エン反応によりチオエーテル結合を形成し、樹脂組成物の硬化物の低温下における柔軟性を維持しつつ、接着力や水分バリア性を向上させることができる。具体的には、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジ(メタ)アリルエステル、イソフタル酸ジ(メタ)アリルエステル、フタル酸ジ(メタ)アリルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アリルエステル、ジ(メタ)アリルメチルグリシジルイソシアヌレート、マグノロール、ジ(メタ)アリルジフェニルシラン、トリメチロールプロパンジ(メタ)アリルエーテル、2,2’-ビス(3-(メタ)アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-(メタ)アリル-4-アリルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-(メタ)アリル-4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、1,3-ジ(メタ)アリル-5-グリシジルイソシアヌレート、1,3-ジ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル、グリセリントリ(メタ)アリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、1,3,4,6テトラ(メタ)アリルグリコールウリル、1,3,4,6テトラ(メタ)アリル-3a-メチルグリコールウリル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アリルエーテル、テトラ(メタ)アリルオキシエタン等が挙げられる。上記(メタ)アリル化合物の中でも、イソシアヌレート骨格を有する(メタ)アリル化合物が好ましく、具体的には、1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの多官能(メタ)アリル化合物(D)は、1種のみを単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。多官能(メタ)アリル化合物(D)の含有量は、(A)の100質量部に対して、1~25質量部が好ましい。
【0025】
<フィラー(E)>
フィラー(E)は特に限定されず、各種フィラーを使用することができる。例えば、シリカフィラー、酸化チタンフィラー、カーボンフィラー、アルミナフィラー、タルクフィラー、炭酸カルシウムフィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィラー、シリコーンフィラー、アクリルフィラー、ウレタンフィラー、スチレンフィラー等が挙げられる。また本発明において、フィラーは表面処理されていてもよい。中でも、シリカフィラー、炭酸カルシウムフィラー、アクリルフィラー、ウレタンフィラー、スチレンフィラーが好ましい。これらのフィラー(E)は、1種のみを単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。フィラーはチクソ性を高め、樹脂組成物の未硬化の状態で形状安定性を向上するために用いられ、硬化膜の柔軟性および耐水性が保持される範囲で使用してもよい。
本発明の樹脂組成物におけるフィラー(E)の含有量は、(A)と(B)の合計100質量部に対して、100質量部以下が好ましい。
【0026】
<その他成分>
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、密着付与剤、可塑剤、消泡剤、遮光材、導電材、スペーサー等の添加剤を含有していてもよい。
【0027】
<組成比>
本発明の樹脂組成物が、未硬化の状態における高い形状安定性と、硬化膜の高い耐水性を発現するためには、(B)のチオール基のモル数と(A)の(メタ)アクリル基のモル数の割合(チオール基/(メタ)アクリル基)が0.5~5.0であることが好ましく、1.5~4.0であることがより好ましい。(B)のチオール基のモル数と(A)の(メタ)アクリル基のモル数の割合(チオール基/(メタ)アクリル基)をこの範囲にすることでチオール化合物のチオール基と、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)のウレタン基との間で形成する相互作用により、高い形状安定性を有することができる。また、チオール基のモル数を(メタ)アクリル基のモル数より多い設計にすることで、ウレタン(メタ)アクリレートの硬化を完全に進行させ、ウレタン結合の加水分解による耐水性の低下を抑制できる。
尚、チオール基のモル数とは、(B)の質量部数/(B)のチオール当量、で表される数であり、(メタ)アクリル基のモル数とは、(A)の質量部数×(A)の官能基数/(A)の重量平均分子量で表される数である。
【0028】
<電子部品>
本発明の電子部品とはトランジスタ、コンデンサー、IC、ダイオードといった電子回路部品や太陽電池モジュール、液晶表示素子及びイメージセンサ等を指す。
<樹脂組成物の使用方法>
電子部品が施されている基板を覆うように本発明の樹脂組成物を塗布した後、または、一対の基板の外周を本発明の樹脂組成物で囲むように形成した後、光照射し硬化させることで、電子部品を封止できる。例えば、液晶表示素子では、一対の基板のうち、一方の基板の外周に本発明の樹脂組成物を塗布した後、その内側に液晶を滴下しもう一方の基板を重ね合わせ、光を照射し上記樹脂組成物を硬化させることで、封止できる。
上記樹脂組成物の塗布方法は特に制限されず、例えば、ディスペンサ塗工やインクジェット法、スクリーン印刷法や、シリンジや刷毛にて手塗りする方法等が適用される。
上記樹脂組成物に光照射する光源としては特に制限されず、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯といった水銀灯やブラックライトランプ、LEDランプ、ハロゲンランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、水銀蛍光灯、LED蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が適用される。
【0029】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【実施例0030】
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-1)の合成>
(ジオール化合物(b-1)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-1)、(A-9)の原料1)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ジエチルカーボネート175質量部、3-メチル-1,5-ペンタンジオール185質量部、テトライソプロピルチタネート0.01質量部を反応器に仕込み、常圧下に窒素雰囲気中でジエチルカーボネートを還流させながら、生成したエタノールをジエチルカーボネートと共に系外に留去しながら反応を行った。生成したエタノールの留出が少なくなった時点から徐々に昇温し、200℃に達してエタノールの留出が止まった時点で放冷した。真空ポンプで減圧にし、再び加熱しながら過剰のジオール成分を留去して、ジオール化合物(b-1)を得た(重量平均分子量:1,900)。なお、原料の合計の仕込み量は、1kgとした。
【0031】
(ジオール化合物(b-2)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-2)の原料2)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ジエチルカーボネート175質量部、1,6-へキサンジオール185質量部、テトライソプロピルチタネート0.01質量部を反応器に仕込み、常圧下に窒素雰囲気中でジエチルカーボネートを還流させながら、生成したエタノールをジエチルカーボネートと共に系外に留去しながら反応を行った。生成したエタノールの留出が少なくなった時点から徐々に昇温し、200℃に達してエタノールの留出が止まった時点で放冷した。真空ポンプで減圧にし、再び加熱しながら過剰のジオール成分を留去して、ジオール化合物(b-2)を得た(重量平均分子量:2,100)。なお、原料の合計の仕込み量は、1kgとした。
【0032】
(ジオール化合物(b-3)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-3)の原料3)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、アジピン酸150.2質量部、3-メチル-1,5-ペンタンジオール161.3質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から18時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(b-3)を得た(重量平均分子量:1,600)。なお、原料の合計の仕込み量は、1kgとした。
【0033】
(ジオール化合物(b-4)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-4)の原料4)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ピメリン酸158.5質量部、3-メチル-1,5-ペンタンジオール202.1質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から18時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(b-4)を得た(重量平均分子量:1,750)。なお、原料の合計の仕込み量は、1kgとした。
【0034】
(ジオール化合物(b-5)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-8)の原料5)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ピメリン酸158.5質量部、3-メチル-1,5-ペンタンジオール202.1質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から48時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(b-4)を得た(重量平均分子量:4,000)。なお、原料の合計の仕込み量は、1kgとした。
【0035】
(ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-1の製造))
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、上記で得られたジオール化合物(b-I)190.3質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、ジブチルチンラウレート0.1質量部と、ポリイソシアネート化合物としてイソホロンジイソシアネート(3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル=イソシアナート)44.5質量部を加え、発熱に注意しながら内温を80℃に上昇させた後、温度を保ちながら3時間攪拌した。更に、重合禁止剤としてメトキノンを0.1質量部と、(メタ)アクリレート化合物としてアクリル酸2-ヒドロキシエチル23.2質量部を加えて、85℃で2時間攪拌して、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-1)を得た(重量平均分子量:5,000、官能基数:2)。なお、原料の合計の仕込み量は、1kgとした。
ジオール化合物、ポリイソシアネート化合物およびアクリレート化合物以外は上記方法と同様にしてウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-2)~(A-5)、(A-7)~(A-9)を得た。
【0036】
(ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-6の製造))
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、(メタ)アクリレート化合物としてプラクセル FA2D 51.6質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、ジブチルチンラウレート0.1質量部と、ポリイソシアネート化合物としてデュラネートTPA-100 53.8質量部と、重合禁止剤としてメトキノン0.1質量部を加えて、発熱に注意しながら内温を80℃に上昇させた後、温度を保ちながら3時間攪拌して、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A-6)を得た(重量平均分子量:3,000、官能基数:3)。なお、原料の合計の仕込み量は、1kgとした。
【0037】
<評価方法>
各実施例および比較例における樹脂組成物は、下記に記載の方法によってその性能を評価した。
【0038】
<形状安定性>
PETフィルム(東洋紡社製コスモシャインA4300、厚さ100μm)上に、ディスペンサを用いて、実施例および比較例で製造した樹脂組成物を50mm×2mm、膜厚100μmに塗布した。60℃の恒温槽で1時間静置し、樹脂組成物の幅を顕微鏡にて観察した。表3、表4、表5において、樹脂組成物が濡れ広がっている距離(μm)を記載した。
○:100μmを超えて濡れ広がっていない。
×:100μmを越えて濡れ広がっている。
【0039】
<耐水性>
2枚のPETフィルム(東洋紡社製コスモシャインA4300、厚さ100μm)の一方に、スクリーン印刷機を用いて、実施例および比較例で製造した樹脂組成物を塗布し、もう一方のPETフィルムを重ね合わせ、重ね合わせ長さ10mm、膜厚20μmに調整した。2枚のPETフィルムで挟み込んだ樹脂組成物に高圧水銀灯で紫外線照射(3000mJ/cm)を行い、樹脂組成物を硬化させ試験片を得た。得られた試験片をJIS-K-6850に準拠し、引張試験機(株式会社島津製作所社製オートグラフAG-IS)にて引張せん断強度を測定した(測定環境:温度25℃、引張速度:5mm/min)。下記式より初期引張せん断強度Aを計算した。
(式):引張せん断強度A(N/mm2)=最大荷重(N)/接着面積(mm2
上記初期引張せん断強度の評価と同様の手順で別途試験片を作製し、40℃の恒温水槽に浸水させた。48時間静置した後、恒温水槽から試験片を取り出し自然乾燥させ、得られた試験片を引張試験機(株式会社島津製作所社製オートグラフAG-IS)にて、JIS-K-6850に準拠して引張せん断強度を測定した(測定環境:温度25℃、引張速度:5mm/min)。下記式より耐水試験後の引張せん断強度Bを計算した。
(式):引張せん断強度B(N/mm2)=最大荷重(N)/接着面積(mm2
◎:15N/mm2以上で剥離する。
○:10N/mm2以上、15N/mm2未満で剥離する。
×:10N/mm2未満で剥離する。
尚、引張せん断強度Bの値が大きいほど、試験片の水耐性があると言え、表3、表4、表5において、試験の結果を示す。
【0040】
<低温柔軟性>
PETフィルム(東洋紡社製コスモシャインA4300、100mm×50mm、厚さ100μm)上に、スクリーン印刷機を用いて、実施例および比較例で製造した樹脂組成物を40mm×80mm、膜厚20μmで塗布し、高圧水銀灯で紫外線照射(3000mJ/cm)を行い、樹脂組成物を硬化させ試験片を得た。得られた試験片とNo.514塗膜屈曲試験機(安田精機製作所社製、マンドレル径:10mm)を-15℃の冷凍室に2時間静置した後、硬化膜が外側となるよう塗膜屈曲試験機で1秒をかけて180°折り曲げた。試験後、目視で剥がれや割れの有無を確認し、表3、表4、表5において結果を記載した。
○:剥がれや割れが無い。
×:剥がれや割れが有る。
【0041】
(表1)
表1 ウレタンアクリレート化合物の原料
【0042】
(表2)
表2 ウレタンアクリレート化合物の原料

使用した原料
ジオール化合物:PEG-400(富士フィルム和光純薬社製)、重量平均分子量:400
ジオール化合物:1,6-ヘキサンジオール(東京化成社製)、分子量:118.18
アクリレート化合物:プラクセルFA2D(ダイセルオルネクス社製)、分子量:344
ポリイソシアネート化合物:デュラネートTPA-100(旭化成社製)、NCO=23.1%
【0043】
本実施例および比較例で用いた各成分は、次のとおりである。
【0044】
(表3)
表3 実施例1-1~1-13
【0045】
(表4)
表4 実施例2-1
【0046】
(表5)
表5 比較例1~6

使用した材料
(B-1) ポリチオール:TS-G(四国化成工業社製)、チオール当量96g/eq
(B-2) ポリチオール:C3TS-G(四国化成工業社製)、チオール当量110g/eq
(B-3) ポリチオール:PEMP(SC有機化学社製)「ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)」、チオール当量122g/eq
(C) 光開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド
(D-1) 多官能(メタ)アリル化合物:1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート
(D-2) 多官能(メタ)アリル化合物:トリアリルイソシアヌレート
(E) フィラー:レオロシールCP-102(トクヤマ社製)
【0047】
上記試験の結果、各実施例の樹脂組成物は、(A)、(B)成分を本発明に規定された適切量を含有することで、未硬化の状態で高い形状安定性を有し、硬化後は低温下における柔軟性を有し、耐水性に優れていた。また、実施例2-1ではフィラーを含有する樹脂組成物も未硬化の状態で高い形状安定性を有し、硬化後は低温下における柔軟性を有し、耐水性に優れていた。
一方、比較例1では、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の重量平均分子量が規定の範囲より小さいため、樹脂組成物の硬化物は低温柔軟性が低いものであった。
比較例2では、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の重量平均分子量が規定の範囲より大きいため、樹脂組成物の硬化物は耐水性が低いものであった。
比較例3では、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の(メタ)アクリル基の個数が規定の範囲より大きいため、樹脂組成物の硬化物は低温柔軟性が低いものであった。
比較例4では、本発明の(B)成分ではないポリチオール化合物を使用したため、樹脂組成物の未硬化の形状安定性が低く、硬化物は低温柔軟性が低いものであった。
比較例5では、(B)のチオール基のモル数と(A)の(メタ)アクリル基のモル数の割合(チオール基/(メタ)アクリル基)が規定の範囲より大きいため、樹脂組成物の未硬化の形状安定性が低下した。
比較例6では、(B)のチオール基のモル数と(A)の(メタ)アクリル基のモル数の割合(チオール基/(メタ)アクリル基)が規定の範囲より小さいため、樹脂組成物の硬化物は耐水性が低いものであった。