IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日油株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-硝安油剤爆薬組成物 図1
  • 特開-硝安油剤爆薬組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149263
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】硝安油剤爆薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C06B 31/28 20060101AFI20231005BHJP
   C10L 1/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C06B31/28
C10L1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057740
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩平
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、従来の硝安油剤爆薬と同様に取扱いが簡便であるという利点を損なうことなく、従来の硝安油剤爆薬に比べて雷管起爆感度が低く安全性の高い、かつ後ガス中の有毒成分濃度が従来の硝安油剤爆薬よりも低い硝安油剤爆薬組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、吸油率が9.0~18.0質量%、かさ密度が0.70~0.80g/mLである微小空隙を有するポーラスプリル硝酸アンモニウム、及び、GTL燃料を含有することを特徴とする、硝安油剤爆薬組成物を提供する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸油率が9.0~18.0質量%、かさ密度が0.70~0.80g/mLである微小空隙を有するポーラスプリル硝酸アンモニウム、及び、GTL燃料を含有することを特徴とする、硝安油剤爆薬組成物。
【請求項2】
前記GTL燃料は、30℃における動粘度が2.7mm/s以上であり、流動点が-20℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の硝安油剤爆薬組成物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硝安油剤爆薬組成物に関し、より詳しくは、特定の物性を備えたポーラスプリル硝酸アンモニウムおよび燃料油としてGTL燃料が含有されてなり、雷管起爆感度が低く、後ガスに優れた硝安油剤爆薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に硝安油剤爆薬は、酸化剤である硝酸アンモニウムと、軽油等の燃料油が混合された爆薬である。硝安油剤爆薬は、原料が安価で容易に製造でき、取扱いが簡便であり、安全性及び経済性に優れているため、広く利用されている。
【0003】
一般に硝安油剤爆薬は明かり発破に多く使用されているが、トンネル掘削工事にも一部使用されている。しかしながら、発破の際に発生するガス(後ガス)中には、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素等の有毒成分が含まれるため、トンネル内で使用する際は、後ガスが速やかに排除されるように通気を十分に行う必要があり、また後ガス中の有毒成分を抑えた硝安油剤爆薬の開発が望まれている。
【0004】
一般に硝安油剤爆薬に用いられる硝酸アンモニウムは、爆轟の反応性を向上させるために、粒状硝酸アンモニウムの内部細孔を増大させたポーラスプリル硝酸アンモニウムが用いられる。このポーラスプリル硝酸アンモニウムは、混合される燃料油等の吸収能を有しており、この吸油率は、主にポーラスプリル硝酸アンモニウム内部の細孔容積に左右され、細孔容積が大きなものほど大きい値となる。なお、吸油率が高くなると、かさ密度は低くなる関係がある。
【0005】
硝安油剤爆薬において、吸油率の高いポーラスプリル硝酸アンモニウム及びかさ密度が低いポーラスプリル硝酸アンモニウムを使用することにより、反応性の向上及び爆速の上昇が達成できることが既に報告されている(特許文献1:特開平7-69772号公報)。しかしながら、この方法によると硝安油剤爆薬の雷管起爆感度も同時に増大し、火薬学会規格ES-32(2)で爆轟起爆試験方法として規定されている塩ビ雨どい試験又はカートン試験において、6号雷管で完爆し、硝安油剤爆薬の規定から外れる可能性がある。そのため、ポーラスプリル硝酸アンモニウムの吸油率及びかさ密度には実用に適した適正な範囲が存在する。
【0006】
一般に硝安油剤爆薬に用いられる燃料油は、原油由来の軽油が用いられるが、軽油代替物質として、GTL燃料が知られている。GTLは、Gas to Liquidsの略称であり、天然ガス由来の燃料であり、硫黄分・金属分・芳香族分を含まない非毒性のパラフィン系燃料である。GTL燃料は、原油由来の軽油と同等の性状を保持しつつ、それ自体は無色、無臭であり、燃焼中に煤が生じず、また生分解性に優れた特徴を有しており、環境負荷の少ないクリーンな燃料として知られている。加えて、このGTL燃料は、原油由来の軽油と比較し、低い粘度を有すると共に、高い引火点を有しており、これら特性は硝安油剤爆薬の原料として優れた性質となる。
【0007】
また、特許文献2(特表2017-521509号公報)には、GTL燃料を使用した硝安油剤爆薬が報告されているが、GTL燃料の使用が雷管起爆感度に与える影響は考慮されておらず、硝安油剤爆薬の安全性を達成するための技術的要件が明示されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-69772号公報
【特許文献2】特表2017-521509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の硝安油剤爆薬と同様に取扱いが簡便であるという利点を損なうことなく、従来の硝安油剤爆薬に比べて雷管起爆感度が低く安全性の高い、かつ後ガス中の有毒成分濃度が従来の硝安油剤爆薬よりも低い硝安油剤爆薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、ポーラスプリル硝酸アンモニウムおよび燃料油の各種物理的性質およびその爆薬性能への影響を鋭意研究した結果、特定の物性を備えたポーラスプリル硝酸アンモニウムおよびGTL燃料からなる硝安油剤爆薬組成物が、従来の硝安油剤爆薬に比べて雷管起爆感度が低く、安全性が向上し、かつ後ガス中の有毒成分濃度が従来の硝安油剤爆薬よりも低いことを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、以下の硝安油剤爆薬組成物である。
【0011】
〔1〕
吸油率が9.0~18.0質量%、かさ密度が0.70~0.80g/mLである微小空隙を有するポーラスプリル硝酸アンモニウム、及び、GTL燃料を含有することを特徴とする、硝安油剤爆薬組成物。
〔2〕
前記GTL燃料は、30℃における動粘度が2.7mm/s以上であり、流動点が-20℃以下であることを特徴とする、〔1〕に記載の硝安油剤爆薬組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の硝安油剤爆薬と同様に取扱いが簡便であるという利点を損なうことなく、従来の硝安油剤爆薬に比べて雷管起爆感度が低く安全性の高い、かつ後ガス中の有毒成分濃度が従来の硝安油剤爆薬よりも低い硝安油剤爆薬組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例の硝安油剤爆薬組成物の帯電性の評価方法を説明するための概略説明図である。
図2】実施例の硝安油剤爆薬組成物の後ガス試験の方法を説明するための概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態について具体的に説明する。
なお、本発明において数値範囲を示す「〇〇~XX」とは、特に明示しない限りその上限「XX」と下限(〇〇)を含む。したがって、正確に表現すれば「〇〇以上XX以下」となる。
【0015】
[硝安油剤爆薬組成物]
硝安油剤爆薬は、日本産業規格(JIS)K4800:2000に定義されているように、硝酸アンモニウム及び油剤(引火点50℃以上)から成り、他の火薬、爆薬、又は鋭感剤となる金属粉などを含まない爆薬で、工業雷管又は電気雷管で起爆しないものである。
【0016】
本発明の硝安油剤爆薬組成物は、硝酸アンモニウムとしてポーラスプリル硝酸アンモニウム、及び、油剤としてGTL燃料を含有することを特徴とする硝安油剤爆薬である。ポーラスプリル硝酸アンモニウムを含有する硝安油剤爆薬組成物において、軽油を使用すると雷管起爆感度が高くなり、火薬学会規格を満たさない場合がある。本発明の硝安油剤爆薬組成物によると、GTL燃料を使用することにより、ポーラスプリル硝酸アンモニウムを含有する硝安油剤爆薬組成物において、雷管起爆感度を低下するという効果がある。また、軽油を使用する場合と比較して、後ガス中のNOxやCOの含有量を低減することができる。
【0017】
本発明の硝安油剤爆薬組成物のかさ密度は、特に制限されないが、例えば、0.75~0.85g/mLである。かさ密度をこの範囲とすることにより、適正な装薬長で管理でき、実用上問題なく使用することができる。
【0018】
本発明の硝安油剤爆薬組成物の爆速は、特に制限されないが、例えば、2500m/sであり、好ましくは2700m/s以上である。爆速を2500m/s以上とすることにより、発破において良好な起砕効果を得ることができる。
【0019】
本発明の硝安油剤爆薬組成物の帯電量は、特に制限されないが、例えば、-3.0~+3.0kVであり、好ましくは-1.0~+1.0kVであり、より好ましくは-0.5~+0.5kVである。帯電量をこの範囲とすることにより、取扱の安全性を確保することができる。
【0020】
<硝酸アンモニウム(硝安)>
硝酸アンモニウムは、硝安油剤爆薬組成物の基材となる粒子であり、酸素供給剤として機能するものであり、本発明の硝安油剤爆薬組成物は、多孔質粒子であるポーラスプリル硝酸アンモニウムを含有する。ポーラスプリル硝酸アンモニウムを含有することにより、爆速が向上するなど、爆薬としての性能が向上する。
【0021】
本発明中のポーラスプリル硝酸アンモニウムは、吸油率が9.0~18.0質量%、かさ密度が0.70~0.80g/mLである微小空隙を有するものである。ポーラスプリル硝酸アンモニウムの吸油率及びかさ密度が上記範囲以外の場合には、ポーラスプリル硝酸アンモニウムとGTL燃料の混合性のバランスが崩れ、本発明の雷管起爆感度を抑えるという効果や、爆速が高く優れた爆薬性能を得ることができない。吸油率の下限値は、好ましくは10.0質量%以上であり、より好ましくは11質量%以上である。吸油率の上限値は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは13質量%以下である。また、かさ密度の上限値は、好ましくは0.78g/mL以下である。
【0022】
また、ポーラスプリル硝酸アンモニウムの平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.1~5.0mmであり、好ましくは0.5~3.0mmである。平均粒径をこの範囲とすることにより、爆速の向上や雷管起爆感度の鈍化などの優れた効果を得ることができる。なお、平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
【0023】
(吸油率)
吸油率は、以下の方法にて測定できる。すなわち、ブフナーロート型ガラスフィルターにポーラスプリル硝酸アンモニウムを入れ(約50g)、ガラスフィルターの先に穴を塞いだゴム管を装着し、ポーラスプリル硝酸アンモニウムが完全に沈むまで2号軽油を加えて5分間放置する。放置後、ゴム管を外して2号軽油を2分間自然落下させ、真空ポンプをつないで5分間吸引する。吸引終了後、真空ポンプから取り外して重量を測る。吸油率は次式より算出する。
吸油率(質量%)=(B-A)/A×100
A:吸油前のポーラスプリル硝酸アンモニウムの重量(g)
B:吸油後のポーラスプリル硝酸アンモニウムの重量(g)
【0024】
(かさ密度)
かさ密度は、以下に示す測定方法によって得られる数値であり、日本産業規格(JIS)K4805:2006の「黒色火薬」のかさ密度の試験方法に準じて測定することができる。
【0025】
本発明の硝安油剤爆薬組成物中における硝酸アンモニウムの含有量は、例えば、90.0~96.0質量%であり、好ましくは93.0~95.0質量%である。硝酸アンモニウムの含有量を、この範囲とすることにより、燃料の燃焼に必要な酸素供給を行うことができる。
【0026】
<油剤>
本発明の硝安油剤爆薬組成物は、油剤としてGTL燃料を含有する。GTLは、Gas to Liquidsの略称であり、天然ガス由来の燃料であり、硫黄分・金属分・芳香族分を含まない非毒性のパラフィン系燃料である。GTL燃料は、原油由来の軽油と同等の性状を保持しつつ、それ自体は無色、無臭であり、燃焼中に煤が生じず、また生分解性に優れた特徴を有しており、環境負荷の少ないクリーンな燃料である。加えて、このGTL燃料は、原油由来の軽油と比較し、高い引火点を有しており、これら特性は硝安油剤爆薬の原料として優れた性質となる。
【0027】
本発明のGTL燃料の30℃における動粘度は、例えば、2.7mm/s以上である。30℃における動粘度は、好ましくは2.8mm/s以上であり、より好ましくは2.9mm/s以上であり、さらに好ましくは3.0mm/s以上である。30℃における動粘度が高い場合、硝安の細孔内で燃料油が長時間保持され、経時安定性に優れるという効果がある。30℃における動粘度の測定は、日本産業規格(JIS)K2283:2000の「5.動粘度試験方法」に準じて測定することができる。
【0028】
本発明のGTL燃料の流動点は、例えば、-20℃以下である。流動点が-20℃以下である場合、低温下でも流動状態を維持することができるため、低温環境下においてポーラスプリル硝酸アンモニウムと混合することができる。流動点の測定は、日本産業規格(JIS)K2269:1987の「3.流動点試験方法」に準じて測定することができる。
【0029】
本発明のGTL燃料の引火点は、例えば、70℃以上である。引火点が70℃以上であることにより、雷管起爆感度を低下し、火薬学会規格に適した硝安油剤爆薬組成物を提供することができる。引火点の測定は、日本産業規格(JIS)K2265-3:2007の「第3部:ペンスキーマルテンス密閉法」に準じて測定することができる。
【0030】
本発明のGTL燃料の硫黄分は、例えば、0.0003質量%以下である。硫黄分を0.0003質量%以下とすることにより、燃焼後に硫黄化合物の発生を低減することができる。硫黄分の測定は、日本産業規格(JIS)K2541-2:2013の「第2部:微量電量滴定式酸化法」に準じて測定することができる。
【0031】
本発明のGTL燃料のセタン指数は、例えば、60以上である。セタン指数を60以上とすることにより、自己着火性に優れ、爆薬として優れた性能を発揮するという効果がある。セタン指数の測定は、日本産業規格(JIS)K2280に準じて測定することができる。
【0032】
本発明のGTL燃料の蒸留性状は、例えば、90%留出温度が330℃以下である。90%留出温度は、好ましくは325℃以下であり、より好ましくは320℃以下であり、さらに好ましくは315℃以下であり、特に好ましくは310℃以下である。90%留出温度が330℃以下とすることにより、沸点のより高い炭化水素を排除でき、ポーラスプリル硝酸アンモニウムとの混合に適した低粘度留分を得ることができる。留出温度の測定は、日本産業規格(JIS)K2254:2018の「3.6 留出温度」に準じて測定することができる。
【0033】
本発明の硝安油剤爆薬組成物中における油剤の含有量は、例えば、4.0~10.0質量%であり、好ましくは5.0~7.0質量%である。油剤の含有量をこの範囲とすることにより、優れた燃焼性能を得ることができる。
【0034】
また、GTL燃料の含有量は、例えば、4.0~10.0質量%である。下限値として、好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは6.0質量%以上であり、さらに好ましくは7.0質量%以上である。上限値として、好ましくは9.0質量%以下であり、より好ましくは8.0質量%以下である。GTL燃料の含有量を増加することにより、固化試験における圧縮破壊強度を低下することができる。
【0035】
また、油剤には、GTL燃料の他、軽油や添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、着色料や帯電防止剤等が挙げられる。
【実施例0036】
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、表1に示す原料は、以下のものを使用した。
(硝安)
ポーラスプリル硝安:吸油量11.9質量%、かさ密度0.72g/mL、平均粒子径1~2mm
(油剤)
GTL燃料:「SMDS GTL SARAFUEL」(伊藤忠エネクス社製)、30℃における動粘度3.2mm/s、流動点-35℃、引火点93℃、硫黄分0.0001質量%、セタン指数82、90%留出温度308℃。
軽油:「軽油」(出光興産社製)、30℃における動粘度2.8mm/s、引火点58℃、90%留出温度329℃。
【0037】
<実施例1~2、比較例1~2>
表1に記載の組成で、以下の方法により硝安油剤爆薬組成物を製造した。GTL燃料1.98kgに、着色料0.0001kg、帯電防止剤0.02kgを混合して油剤を調製し、次いで、ポーラスプリル硝酸アンモニウム3.76kgと、油剤0.24kgをナイロン袋内で均一に混合することにより、硝安油剤爆薬組成物を得た。
【0038】
実施例及び比較例における硝安油剤爆薬組成物の特性を評価する方法について以下に示す。評価結果については、表1、表2に示した。
【0039】
(かさ密度)
日本産業規格(JIS)K4810:2019「5.7 仮比重」に規定される「5.7.2 仮比重法B」に準じて行った。
【0040】
(雷管起爆感度)
日本産業規格(JIS)K4801:2005「表2 硝安油剤爆薬の性能」に規定される「起爆感度試験A法」に準じて行った。
【0041】
(爆速)
日本産業規格(JIS)K4801:2005「表2 硝安油剤爆薬の性能」に規定される「爆速試験」に準じて行った。
【0042】
(帯電性)
図1のように、ポリ袋に試料を0.5kg入れ、回転させ、ポリ袋の上から集電式電位測定器で帯電圧を測定する。試験は、温度20±2℃、湿度50±5%の試験室で実施する。試験回数は2回とし、その平均値を成績とする。
【0043】
(後ガス試験)
試料火薬類の爆轟生成ガス成分を分析する試験である。
1)図2に示すコンクリートブロック内に試料を150g装薬する。
2)コンクリートブロックを臼砲内に装填する。
3)臼砲を坑道にセットする。
4)6号雷管で試料を起爆する。その際、試料を確実に爆ごうさせるために含水爆薬(日油社製)をブースターとして50g用いる。
5)坑道内の空気を循環器で循環する。
6)2ヶ所のガス採取孔より、北川式ガス検知管にてガス濃度(NOx、CO)を各々測定し、その平均値を成績とする。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
実施例1と比較例1を対比すると、比較例1ではポーラスプリル硝酸アンモニウムを含有する硝安油剤爆薬組成物において、軽油を使用した場合には、3ヵ月後に雷管起爆感度が発現したのに対して、実施例1では、軽油に代えてGTL燃料を使用することにより、3ヵ月後に雷管起爆感度は発現せず、雷管起爆感度の増大は見られなかった。
【0047】
なお、実施例1と比較例1を対比すると、GTL燃料を使用した実施例1は、軽油を使用した比較例1と比べてNOx、COの発生が少なかった。GTL燃料を使用する場合、軽油を使用する場合と比べて環境負荷が低減されることがわかった。
図1
図2