(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149273
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】定性調査支援方法、定性調査支援サーバおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057752
(22)【出願日】2022-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年5月5日、https://companyinfo.researchdemo.com/およびhttps://mktdemo.com/で掲載。
(71)【出願人】
【識別番号】522128620
【氏名又は名称】株式会社MD
(74)【代理人】
【識別番号】100120581
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 政喜
(72)【発明者】
【氏名】石井 賢介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】 クライアントの条件設定から定性調査の実行までの一連の処理を仲介者などを介することなくコンピュータシステムで実行することで、短時間で安価の調査の支援を提供すること。
【解決手段】 定性調査支援サーバ101は、クライアント端末111からアクセスを受け、種々の情報や設定条件を受信してデータベースに格納し管理するとともに、定性調査支援サービスを実行するため端末を接続する属性設定モジュール201、ビデオ通話による定性調査支援の提供を行うため、モニターなどの映像や、音声を端末に送信して表示、出力させるビデオ通話提供モジュール202、端末からモニターへの質問を受信し、それに対応するモニターからの回答を提供することによって、対象モニターを抽出するスクリーニング基準設定モジュール203、およびクライアントとモニターとのマッチングを取るマッチング管理モジュール204を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して端末間を接続し、クライアントとモニターとの間の調査を支援する定性調査支援方法であって、
前記クライアントのクライアント端末により、予め登録されたモニターのうちから対象となるモニターの範囲を定めるモニター属性を設定するモニター属性設定ステップと、
前記クライアント端末により、前記対象のモニターに対する定性調査を所望する候補日時を設定する日時設定ステップと、
前記クライアント端末により、前記定められたモニター属性に含まれるモニターのうちから、より所望に近い対象モニターを抽出するスクリーニング基準を設定する基準設定ステップと、
前記スクリーニング基準により抽出された対象モニターのモニター端末と、前記クライアント端末との間で前記クライアントが所望する日時に調査を実行するようマッチングを取るマッチングステップと、
前記マッチングを取られたモニターのモニター端末と、前記クライアント端末とを接続して前記クライアントが定性調査を実行する調査実行ステップと
を備えることを特徴とする定性調査支援方法。
【請求項2】
前記モニターの属性は、モニターの性別、年代、子供の有無、職業により定められることを特徴とする請求項1に記載の定性調査支援方法。
【請求項3】
前記スクリーニング基準は、前記クライアントの所定の質問、および該質問に対する前記モニターからの回答内容に対して設定されることを特徴とする請求項2に記載の定性調査支援方法。
【請求項4】
前記調査実行ステップは、前記クライアント端末と前記モニター端末とを接続して、ビデオ通話を提供することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の定性調査支援方法。
【請求項5】
前記マッチングステップは、前記設定された属性に含まれるモニターに前記クライアントの所望する日時の定性調査の募集情報を提供する調査情報提供ステップと、前記提供された情報に対して応募したモニター端末の情報を前記クライアントに提供する応募モニター提供ステップと、前記提供された応募モニターのうちから前記スクリーニング基準に基づいて選択された一の対象モニターを前記クライアント端末から受信して、当該選択されたモニターに通知するモニター決定ステップとを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の定性調査支援方法。
【請求項6】
前記スクリーニング基準は、前記クライアントの所定の質問、および該質問に対する前記モニターからの回答内容に対して設定され、
前記応募モニター提供ステップは、前記応募したモニター端末の情報とともに、前記クライアントの所定の質問に対する前記モニターからの回答内容を提供することを特徴とする請求項5に記載の定性調査支援方法。
【請求項7】
コンピュータに、ネットワークを介して端末間を接続し、クライアントとモニターとの間の調査を支援する定性調査支援方法を実行させるプログラムであって、
前記クライアントのクライアント端末により、予め登録されたモニターのうちから対象となるモニターの範囲を定めるモニター属性を設定するモニター属性設定ステップと、
前記クライアント端末により、前記対象のモニターに対する定性調査を所望する候補日時を設定する日時設定ステップと、
前記クライアント端末により、前記定められたモニター属性に含まれるモニターのうちから、より所望に近い対象モニターを抽出するスクリーニング基準を設定する設定ステップと、
前記スクリーニング基準により抽出された対象モニターのモニター端末と、前記クライアント端末との間で前記クライアントが所望する日時に調査を実行するようマッチングを取るマッチングステップと、
前記マッチングを取られたモニターのモニター端末と、前記クライアント端末とを接続して前記クライアントが定性調査を実行する調査実行ステップと
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
ネットワークを介して端末間を接続し、外部クライアントと外部モニターとの間の調査を支援する定性調査支援サーバであって、
モニター連携により接続可能な外部データベースに登録された外部モニターのうちから、前記外部クライアントの設定により所望の対象のものとして抽出された対象モニターの外部モニター端末と、前記外部データベースを管理する外部サーバに接続された外部クライアント端末との間で前記外部クライアントが所望する日時に調査を実行するようマッチングを取るマッチング手段と、
前記マッチングを取られた外部モニターの外部モニター端末と前記外部クライアント端末とを接続して前記外部クライアントが定性調査を実行する調査実行手段と、
前記外部データベースへ接続するモニター連携を提供するモニター連携提供手段と
を備えることを特徴とする定性調査支援サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は定性調査支援方法、定性調査支援サーバおよびプログラムに関し、より具体的には、予めモニターを登録しておき、登録されているモニターから特定の対象モニターを選択して実行される定性調査を支援する定性調査支援方法、定性調査支援サーバおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品のマーケティングにおいて、実際の消費者の具体的な商品についての知識や、一般的な消費行動などの情報を取得するために市場調査が行われている。市場調査には大きく分けて、定量調査と定性調査があり、定量調査については、消費者の様々な指標について具体的な数値を調査するものであることから、近年ではインターネットを介して消費者から直接データを入手するといった迅速な調査が行われているのに対し、定性調査は、消費者一人一人あるいはグループで個別に双方向のコミュニケーションをとる必要があるため、調査者と調査対象者との対話の場所や日時の設定などの段取りが不可欠であり、これを支援するシステムが様々提案されている。例えば、非常に短時間で定性調査を実施できる定性調査システムを提供することを目的とし、抽出手段28が抽出条件データを受信すると、抽出手段28は、会員情報データベース24aにアクセスして、全会員情報の中からステータスが「オン」の会員情報を抽出し、ステータスが「オン」になっている会員情報の属性データと抽出条件データとを比較し、抽出条件データに合致する会員情報が抽出され、通信手段16bは、定性調査を依頼する旨のメッセージを抽出結果によって特定される会員端末14に対して送信するメッセージ送信システムおよび定性調査システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、定性調査におけるインタビューの利便性を向上させることを目的とし、インターネット等の通信ネットワークNWを介して接続されている情報処理端末30を介して、消費者に対するインタビューを伴う定性調査を支援するための定性調査支援サービスを提供する定性調査支援サーバであって、参加者画面及び司会者画面を介した参加者と司会者との間のコミュニケーション(ビデオチャット及びテキストチャット)を実現しつつ、当該司会者画面及び依頼者画面を介した司会者と依頼者との間のコミュニケーション(テキストチャット)を実現するから、参加者に対するオンラインでのインタビューを司会者が進行させつつ、当該インタビューの進行について、司会者と依頼者との間で相談する(例えば、依頼者が司会者に対して指示する)ことを可能とする定性調査支援サーバ10が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-24474号公報
【特許文献2】特開2020-198050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の特許文献1に記載されているようなメッセージ送信システムおよび定性調査システムでは、短期間の準備で依頼者と会員とのコミュニケーションは取れるものの、あくまでテキストによるチャットでのやり取りになるため、従来行われていた対面式の定性調査における調査品質には遠く及ばないという問題がある。また、従来の特許文献2に記載されているような定性調査支援サーバにおいては、ビデオチャットにより調査を進めることができ、対面によるのと同等の調査品質が得られるが、調査には司会者が必須であることから、調査の実施にあたっては少なくとも司会者やコーディネータなど、依頼者以外の仲介者が必要になるため、短時間、安価に調査を行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、定性調査を所望するクライアント本人がクライアント端末から条件を設定し、モニターを選択することにより、司会者やコーディネータなどの仲介者を介在させることなく、所望のモニターの定性調査を実行することが可能な定性調査支援方法、定性調査支援サーバおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ネットワークを介して端末間を接続し、クライアントとモニターとの間の調査を支援する定性調査支援方法であって、クライアントのクライアント端末により、予め登録されたモニターのうちから対象となるモニターの範囲を定めるモニター属性を設定するモニター属性設定ステップと、クライアント端末により、対象のモニターに対する定性調査を所望する候補日時を設定する日時設定ステップと、クライアント端末により、定められたモニター属性に含まれるモニターのうちから、より所望に近い対象モニターを抽出するスクリーニング基準を設定する基準設定ステップと、スクリーニング基準により抽出された対象モニターのモニター端末と、クライアント端末との間で前記クライアントが所望する日時に調査を実行するようマッチングを取るマッチングステップと、マッチングを取られたモニターのモニター端末と、クライアント端末とを接続してクライアントが定性調査を実行する調査実行ステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の定性調査支援方法において、モニターの属性は、モニターの性別、年代、子供の有無、職業により定められることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の定性調査支援方法において、スクリーニング基準は、クライアントの所定の質問、および質問に対するモニターからの回答内容に対して設定されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の定性調査支援方法において、調査実行ステップは、クライアント端末とモニター端末とを接続して、ビデオ通話を提供することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の定性調査支援方法において、マッチングステップは、設定された属性に含まれるモニターにクライアントの所望する日時の定性調査の募集情報を提供する調査情報提供ステップと、提供された情報に対して応募したモニター端末の情報をクライアントに提供する応募モニター提供ステップと、提供された応募モニターのうちからスクリーニング基準に基づいて選択された一の対象モニターをクライアント端末から受信して、選択されたモニターに通知するモニター決定ステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の定性調査支援方法において、スクリーニング基準は、クライアントの所定の質問、および該質問に対するモニターからの回答内容に対して設定され、応募モニター提供ステップは、応募したモニター端末の情報とともに、クライアントの所定の質問に対するモニターからの回答内容を提供することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、コンピュータに、ネットワークを介して端末間を接続し、クライアントとモニターとの間の調査を支援する定性調査支援方法を実行させるプログラムであって、クライアントのクライアント端末により、予め登録されたモニターのうちから対象となるモニターの範囲を定めるモニター属性を設定するモニター属性設定ステップと、クライアント端末により、対象のモニターに対する定性調査を所望する候補日時を設定する日時設定ステップと、クライアント端末により、定められたモニター属性に含まれるモニターのうちから、より所望に近い対象モニターを抽出するスクリーニング基準を設定する設定ステップと、スクリーニング基準により抽出された対象モニターのモニター端末と、クライアント端末との間でクライアントが所望する日時に調査を実行するようマッチングを取るマッチングステップと、マッチングを取られたモニターのモニター端末と、クライアント端末とを接続してクライアントが定性調査を実行する調査実行ステップとを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、ネットワークを介して端末間を接続し、外部クライアントと外部モニターとの間の調査を支援する定性調査支援サーバであって、モニター連携により接続可能な外部データベースに登録された外部モニターのうちから、外部クライアントの設定により所望の対象のものとして抽出された対象モニターの外部モニター端末と、外部データベースを管理する外部サーバに接続された外部クライアント端末との間で外部クライアントが所望する日時に調査を実行するようマッチングを取るマッチング手段と、マッチングを取られた外部モニターの外部モニター端末と外部クライアント端末とを接続して外部クライアントが定性調査を実行する調査実行手段と、外部データベースへ接続するモニター連携を提供するモニター連携提供手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、クライアントのクライアント端末により、予め登録されたモニターのうちから対象となるモニターの範囲を定めるモニター属性を設定するモニター属性設定ステップと、クライアント端末により、対象のモニターに対する定性調査を所望する候補日時を設定する日時設定ステップと、クライアント端末により、定められたモニター属性に含まれるモニターのうちから、より所望に近い対象モニターを抽出するスクリーニング基準を設定する基準設定ステップと、スクリーニング基準により抽出された対象モニターのモニター端末と、クライアント端末との間で前記クライアントが所望する日時に調査を実行するようマッチングを取るマッチングステップと、マッチングを取られたモニターのモニター端末と、クライアント端末とを接続してクライアントが定性調査を実行する調査実行ステップとを備えているので、クライアントの条件設定から定性調査の実行までの一連の処理を仲介者などを介することなくコンピュータシステムで実行することで、短時間で安価な調査の支援を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態の全体のシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態の定性調査支援サーバおよびクライアント端末の一例の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態の定性調査支援サーバおよびモニター端末の一例の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態の基本コンセプトを説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態の全体の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態の定性調査におけるクライアント側の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態のクライアント端末が定性調査支援サーバに接続する画面の一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態のクライアント端末におけるモニター候補の属性を選択する画面の一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態のクライアント端末における候補日時の選定の画面の一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態のクライアント端末における質問を作成する画面の一例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態のクライアント端末におけるモニター選択画面の一例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態のクライアント端末におけるビデオ通話の画面の一例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態の定性調査におけるモニター側の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の一実施形態のモニター端末における会員登録を行う画面の一例を示す図である。
【
図15】本発明の一実施形態のモニター端末における詳細情報登録を行う画面の一例を示す図である。
【
図16】本発明の一実施形態のモニター端末におけるインタビューリクエスト一覧画面の一例を示す図である。
【
図17】本発明の一実施形態のモニター端末におけるビデオ通話の画面の一例を示す図である。
【
図18】本発明の別の実施形態の全体のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の定性調査支援方法、定性調査支援サーバおよびプログラムについて図面を参照して実施形態を説明する。なお、異なる図面でも、同一の処理、構成を示すときは同一の符号を用いる。
【0018】
本発明は、従来対面で行われてきた定性調査を完全オンライン化することにより、安価に、かつクライアントの依頼から調査の実行まで極めて短期間にサービスを提供することが可能な定性調査支援システムに関するものである。従来、多数のモニターをオンラインで接続して定量調査を行うシステムは種々提案されてきたが、定性調査では、クライアントが調査を所望しても、定量調査のモニターのように対象者を画一的に選定することができず、モニターの選定や、調査の段取りなどを調査ごとに調整する必要があり、多くはクライアントとは別にインタビュアーを用いたり、モニターの選定や段取りなどのためのコーディネータが必要だったりすることから、大掛かりな調査となって多額の予算と多大な時間を要していた。確かに、例えば商品化の是非にも影響を与えるような判断のための定性調査では、綿密な計画のもと予算と時間をかける必要があるが、近年ではそのような網羅的な判断を行うためだけでなく、事前に市場の下調べを簡易的に実施することで、オリエンテーションをより効率的に生かすことを可能とすること、新商品のコンセプトを実際の消費者に見せて改善すべきポイントやコンセプトの強さなどを定期的に繰り返し検証すること、新商品をどう売っていくと販売が拡大できるのかを消費者の反応をもとに検証すること、新商品ローンチから販売において消費者の反応を見ることで強化すべき点を検証することなど、といった商品開発の前後において何度か繰り返し試行することが可能な簡易的な調査の重要性が増大していることから、簡易に安価で対応可能な定性調査のニーズが高まっている。また、定性調査に熟練したコーディネータなどを介さず、クライアントの担当者が直接対象者に対し調査を行うためには、適切な対象モニターを選定するためのシステムの支援が不可欠である。
【0019】
本発明では、
図4に示すように、クライアントは、契約後発行されるアカウントで自由に定性調査のリクエストをオンラインで行うことができる。
図4は、本発明の一実施形態の基本コンセプトを説明するための図である。定性調査を所望するクライアントは、調査に必要な条件などを設定して調査対象のモニターへインタビューリクエストを行うと、クライアントとモニターとのマッチングが行われ、ビデオ通話などでインタビューが実施される。以上の一連の処理は、クライアント端末およびモニター端末を用いて、コーディネータなどのシステム側の人間が一切かかわることなく、すべてオンラインで実行されることから、最短1日で調査を完了することができる。ここで様々なクライアントの要求に対して円滑なマッチングを可能とするためには相当数のモニターが必要な場合があるが、モニターは、調査の対象としてインタビューを受けることにより、それに対するインセンティブが得られるようにすることで、通常は容易に獲得することができ、十分な個人情報が得られていれば、条件を細かく設定することで所望する調査に最適なモニターを選定することができるので、コーディネータなどの専門家に頼ることなく、クライアントが直接決定して、インタビューを行うことが可能となる。
【0020】
(第1実施形態)
(システム構成)
本実施形態では、
図1に示すように、各端末との送受信や、データ管理、端末間の接続、ビデオ通話提供、マッチング管理処理など定性調査サービスの提供に必要な処理を実行する定性調査支援サーバ101がネットワークに接続されており、ネットワーク103を介して調査発注側の各クライアント端末111、112やインタビューの対象側のモニター端末121、122に接続されている。本実施形態では、このサーバ101の機能は、クラウドを通じて各端末に提供することもできる。この場合、各端末ではブラウザや専用アプリを使用して主に入力、表示のみの処理を行い、データの管理、種々の処理は基本的にサーバ上で行われるが、クラウドの構成とせずインターネットや専用のネットワークを介して直接クライアントや端末などに提供するような構成とするなど、本技術分野で知られたいずれの構成とすることもできる。
【0021】
サーバとしては、定性調査支援サーバ101に加え、本技術分野で知られた様々なサービスを提供する各種サーバを備えることができる。また、図示しないデータベースを備え、データベースには、本実施形態で必要とされる各種データを格納しておくことができる。
【0022】
本実施形態では、調査者側の端末として、クライアント端末111、112が用いられ、ビデオ通話により遠隔のオンライン定性調査支援の提供を受けることができるが、調査を行う時間や条件を予め設定し、モニター端末の候補者リストが作成されており、このリストには本技術分野で知られた様々な情報も含まれているので、クライアントが所望のインタビューをできるようになっている。すなわち、対象者としての条件を詳細に設定するほか、クライアント端末においてモニターへの質問を作成することができ、この質問へのモニターからの回答内容により、対象者とすることがふさわしいと判断して対象モニターを選定することができるので、クライアントは安心して選定された対象モニターに対し調査が可能となる。本実施形態ではこの判断基準をスクリーニング基準と呼ぶが、このような質問と回答による基準に限られることなく、本技術分野で知られたいずれの基準を用いてスクリーニングすることができる。
【0023】
また、定性調査支援サービスの対象者側としては、サービスを提供するためにモニターのモニター端末121、122を使用して、定性調査支援サービスを受けるモニターの情報の入力などのために用いることもできる。
【0024】
端末111、112、121および122は、基本的に無線でネットワーク103に接続されており、スマートフォン、あるいはタブレット端末等とすることができるが、そのほか例えばモバイルパソコン等とすることができる。ここで、本実施形態でネットワーク103との接続は、携帯電話の回線や、Wi-fi、BLUETOOTH(登録商標)等の無線ネットワークにより行うことができるが、基本的にネットワークを介して定性調査支援サーバにアクセスして入力画面を表示、およびタッチパネル、マウスまたはキーボードで一定の入力操作をすることができれば、タブレット端末のほか、モバイルあるいはデスクトップのパソコン、専用端末などいずれの装置を用いることもできる。
【0025】
また、本実施形態の定性調査支援サービスに関する処理を主に実行するサーバとしては、定性調査支援サーバ101のみで処理を行うようにしているが、これに限られず複数のサーバに分けて、機能分担させることもできる。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態のサーバおよび定性調査を依頼するクライアントのクライアント端末の機能ブロック図である。定性調査支援サーバ101は、クライアント端末111からアクセスを受け、種々の情報や設定条件を受信してデータベースに格納し管理するとともに、定性調査支援サービスを実行するため端末を接続する属性設定モジュール201、ビデオ通話による定性調査支援の提供を行うため、モニターなどの映像や、音声を端末に送信して表示、出力させるビデオ通話提供モジュール202、スクリーニング基準として、端末からモニターへの質問を受信したり、それに対応するモニターからの回答を提供したりすることによって、対象モニターを抽出するスクリーニング基準設定モジュール203、およびクライアントとモニターとのマッチングを取るマッチング管理モジュール204を備える。
【0027】
一方、クライアント端末111は、定性調査に必要な情報を入力させ、入力された情報を管理するデータ入力管理モジュール205、様々なデータを送受信するデータ送受信モジュール206、およびビデオ通話による定性調査支援の提供を行うため、モニターなどの映像や、音声をサーバから受信して表示、出力するビデオ通話モジュール207を備えるが、本モジュールとして一般のビデオ通話ソフトウェアを用いることもできる。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態のサーバおよびモニター端末の機能ブロック図である。定性調査支援サーバ101は、モニター端末121から登録された各モニターのうち設定された条件を満たす属性に含まれるモニターをデータベースから検索し、クライアント端末に提供する属性設定モジュール201、ビデオ通話による定性調査の実行を支援するため、モニターなどの映像や音声を端末に送信して表示、出力させるビデオ通話提供モジュール202、スクリーニング基準として、端末からモニターへの質問を受信したり、それに対応するモニターからの回答を提供したりすることによって、対象モニターを抽出するスクリーニング基準設定モジュール203、およびクライアントとモニターとのマッチングを取るマッチング管理モジュール204を備える。
【0029】
一方、モニター端末121は、モニターに関する情報を入力させ、入力されたモニターに関する情報を管理するデータ入力管理モジュール301、様々なデータを送受信するデータ送受信モジュール302、およびビデオ通話による定性調査提供を行うため、クライアントの映像や音声をサーバから受信して表示、出力するビデオ通話モジュール303を備える。
【0030】
(本実施形態の全体の処理)
本発明の一実施形態の全体的処理に関し、
図5を参照して説明した後、
図6を参照してクライアント側の具体的な処理を説明する。
図5は、本発明の一実施形態の全体の処理の一例を示すフローチャートである。
【0031】
定性調査を所望するクライアントは、先ず契約等を締結し、本技術分野で知られたいずれかの手続きでアカウントを登録する(ステップ501)。アカウントが生成されると、クライアントはクライアント端末111、112からシステムに接続して、調査の対象者の属性およびインタビューの候補日時などを設定し、スクリーニング基準設定のための質問を作成して入力する(ステップ502)。クライアント端末111、112で必要な情報が入力されると、登録されたモニターに対して調査対応のオファーを提示し、モニターの応募を待つ(ステップ503)。一般に同一日時に複数のモニターが応募するため、クライアントと応募してきたモニターとの間でマッチングを取り対象モニターを決定する(ステップ504)。マッチングが取れた日時が到来すると、本技術分野で知られたいずれかのビデオ通話などの通信手段を用いて調査を実行する(ステップ505)。
【0032】
(本実施形態のクライアント側の処理)
本実施形態で、クライアントが定性調査の実施を所望する場合、クライアントはまず調査の目的に応じて対象とするモニターの属性を明確化し、その他の必要な情報を設定すると、定性調査支援サーバ101は、モニターの候補をリストアップしマッチングの支援を行うので、サーバの処理に合わせて必要な選択を行うことで、コーディネータなどの仲介を必要とすることなく、定性調査を実行することができる。以下、
図6ないし12を参照してクライアント側の処理を説明する。
図6は、本発明の一実施形態の定性調査におけるクライアント側の処理の一例を示すフローチャートであり、
図7は、本実施形態のクライアント端末が定性調査支援サーバに接続する画面の一例を示す図である。
図8は、本発明の一実施形態のクライアント端末におけるモニター候補の属性を選択する画面の一例を示す図であり、
図9は、本実施形態のクライアント端末における候補日時の選定の画面の一例を示す図である。
図10は、本発明の一実施形態のクライアント端末における質問を作成する画面の一例を示す図であり、
図11は、本実施形態のクライアント端末におけるモニター選択画面の一例を示す図である。
図12は、本発明の一実施形態のクライアント端末におけるビデオ通話の画面の一例を示す図である。
【0033】
まず、クライアント端末112において、システム接続画面701に表示されたクライアントを識別するクライアントメールアドレスフィールド702およびパスワード入力フィールド703にそのクライアントIDとしてメールアドレスと、パスワードを入力してシステムにアクセスし、モニター候補属性選択画面801を表示させる。モニター候補属性選択画面801には、「性別」802、「年代」803、「子供の有無」804、「職種」805等の条件の選択肢が表示され、所望の選択を行うことで、条件が設定される(ステップ601)。属性が設定されると、
図9に示すように、日程選択場面901のカレンダー902内の所望の日時枠903を選択することにより、対応可能な候補日を選定し、および
図10に示すように質問作成画面1001において、モニターを選択するための有効な質問を作成して入力する(ステップ602)。以上により、定性調査支援サーバ101は、設定された属性に含まれるモニター端末121、122に候補日と質問を提供して応募可能であることを示す情報を提供する(ステップ603)。定性調査のオファーに対するモニター端末121,122からの応募があると(ステップ604のYes)、定性調査支援サーバ101は、これを集計し、
図11に示すモニター選択画面のように応募してきたモニターをリストアップする(ステップ605)が、各応募情報1102には質問に対するモニターからの回答が表示されており、クライアントがこの回答を参考にモニターを選択すると、選択モニター1103として表示される。本選択を最終確認することにより、当該モニター端末121、122に対象モニターとなったことが通知される(ステップ606)。以上の処理により、クライアントとモニターとの間でマッチングがとられ
図12に示すように、ビデオ通話などにより、定性調査が実行される。本実施形態では、クライアントとモニターとは1対1で定性調査を行う方法について説明したが、これに限られることなく、1名のクライアントに複数のモニター、複数のクライアントに対し1名のモニター、複数のクライアントに対し複数のモニター等本技術分野で知られたいずれかの手法を用いて修正することで定性調査を実行することができる。
【0034】
本実施形態では、定性調査支援サーバに登録され、管理されるモニターに対し定性調査を実行するが、これに限られず後述の第2実施形態でも使用されるモニター連携を用いて、定性調査以外の調査を実行可能な外部調査支援サーバを経由して、外部調査支援サーバの管理する外部モニターに対し定性調査を実行することもできる。すなわち、外部調査支援サーバが提供する、例えばAPIを介して外部モニターのモニター情報を取得し、クライアントに提供することができる。API連携のようなモニター連携によりデータベースを共有することにより、新たにモニターのデータベースを構築したり、管理したりすることなく、外部のモニターを活用することができ、対象モニター数を飛躍的に増大させることができる。以上の外部モニターに対するクライアント側処理と同様に、外部モニターを用いる場合以下のモニター側の処理も外部モニターに対しても適用することができる。
【0035】
(本実施形態のモニター側の処理)
本実施形態で、クライアントから定性調査のオファーがなされると、定性調査支援サーバ101は、設定された属性に含まれるモニターにそのオファーを提示し、オファーに対しモニターが応募することにより、クライアントとマッチングがとられ、インタビューが実行される。以下、
図13ないし17を参照してモニター側の処理を説明する。
図13は、本発明の一実施形態の定性調査におけるモニター側の処理の一例を示すフローチャートであり、
図14は、本実施形態のモニター端末における会員登録を行う画面の一例を示す図である。
図15は、本発明の一実施形態のモニター端末における詳細情報登録を行う画面の一例を示す図であり、
図16は、本実施形態のモニター端末におけるインタビューリクエスト一覧画面の一例を示す図である。
図17は、本発明の一実施形態のモニター端末におけるビデオ通話の画面の一例を示す図である。
【0036】
本実施形態では、クライアントの定性調査のオファーを受けてインタビューを所望するモニターは、本実施形態のシステムに予め登録することにより、クライアントが定性調査の募集の情報を提示し、インタビューを受けることが可能となる。まず、モニター申し込みのためモニター端末121からブラウザや専用アプリなどによりネットワーク経由で定性調査支援サーバ101に接続し、
図14に示す、メールアドレスの入力フィールド1402およびパスワード入力フィールド1403を含むモニター登録画面1401に入力すると(ステップ1301)、定性調査支援サーバ101は、
図15に示す、詳細情報登録画面1501をモニター端末に送信し、表示された詳細情報登録画面1501の生年月日1502、性別1503、都道府県1504、子供の有無1505、職業1506等の個人情報入力フィールドが表示され、必要情報を入力して送信ボタンがタッチされると、本技術分野で知られたいずれかの手続きでモニター登録をすることができる。本実施形態では、携帯電話番号を用いて仮登録を行って本登録を行うが、これに限らず本技術分野で知られたいずれの会員登録方法も用いることができる。また、ここでは、携帯電話番号を用いてユーザを特定したが、これに限られることなく、メールアドレスや、その他の識別情報を用いることもできる。
【0037】
上述のクライアント側処理により、定性調査の設定が行われると、定性調査支援サーバ101は、設定された属性に含まれるモニター端末121、122にその旨通知したり、アプリ等で
図16に示すようなインタビューリクエスト画面1601を表示させたりして、モニターがリクエストに応募できるようにする(ステップ1302)。インタビューリクエスト画面1601には、定性調査を所望するクライアントの各リクエスト1602ないし1604が表示され、いずれかのリクエスト項目を選択すると図示しないリクエストの詳細が表示される。モニターは、リクエストの内容を確認して所望のリクエストを選択する(ステップ1303)と、そのリクエストを設定したクライアント端末に応募されたことが通知される。それに対してクライアントが承諾を行う(ステップ1304のYes)と、モニター端末121、122にその旨送信され、
図17に示すように、ビデオ通話画面1701を用いてインタビューが実行可能となり(ステップ1305)、インタビューが実行されると、そのモニターのポイントが加算される等して(ステップ1306)、インセンティブが支払われるが、これに限られることなくインタビュー応募時に指定の条件を満たすとポイントを付与する等本技術分野で知られたいずれかの方法で付与することができる。
【0038】
さらに、クライアントおよびモニターは、定性調査支援サービス終了後、当該定性調査に対する評価あるいはモニターあるいはクライアントに対する評価を、クライアント端末やモニター端末からサーバに送信することができ、サーバ側では送信された評価情報を蓄積するとともに、分析を行ってシステム改善に用いるとともに、定期的にクライアントやモニターに通知することができる。評価の入力、分析、運用等は本技術分野で知られたいずれの手法も用いることができる。
【0039】
(第2実施形態)
本実施形態は、基本的には上述の第1実施形態と同様に定性調査を支援するシステムに関するものであり、属性の設定やクライアントとモニターとのマッチングなどの一連の処理は同様であるが、その構成が異なる。すなわち、
図18に示すように本実施形態では、第1実施形態の定性調査支援サーバ1800に加え、外部調査支援サーバ1801を備えている。
図18は、本発明の別の実施形態の全体のシステム構成図である。
図18に示すように、外部調査支援サーバ1801は、定性調査支援サーバ1800と同様に調査の対象であるモニターを登録してあるデータベース1802を別途備えており、定性調査ではない通常の調査をクライアントに提供することができる。一般的に、定性調査支援サーバ1800のデータベースに登録されているモニターと、データベース1802に登録されているモニターとは異なっており、本実施形態により外部調査支援サーバ1801に接続して通常の調査を行うクライアントも、外部調査支援サーバ1801を経由して定性調査支援サーバ1800に接続することで、定性調査支援サーバ1800のデータベースに登録されているモニターとは異なる外部モニターを使用することが可能となる。換言すると、本実施形態により、第1実施形態と同様の定性調査提供サービスを、さらに異なるモニターを対象として、外部調査支援サーバのクライアントである外部クライアントに可能とするものである。外部調査支援サーバ1800のデータべース1802には、定性調査支援サーバ1800のデータベースと同様のモニターの情報が管理されており、定性調査支援サーバ1800は、データベース1802の情報を用いることで、モニターのスクリーニングや接続などの、第1実施形態と同様の処理が可能となる。
【0040】
外部クライアントの外部クライアント端末1811が外部調査支援サーバ1801を介して定性調査支援サーバ1800に接続すると、定性調査支援サーバ1800は、外部クライアント端末1811に第1実施形態と同様のインタフェースおよび処理を提供することにより定性調査サービスを提供することができる。ここで、クライアント端末1811が外部調査支援サーバ1801を介して定性調査支援サーバ1800に接続する方法は、ここでは詳述しないが、本実施形態で知られたいずれのものも使用することができる。第1実施形態では、定性調査支援サーバ1800は、定性調査支援サーバ1800内のデータベースの外部モニターのモニター情報を使用するが、本実施形態では、外部調査支援サーバ1801のデータベース1802を使用するため、モニター連携の一例であるAPI連携によるデータ共有によりモニターの情報を取得する。例えば、
図18に示すように、外部調査支援サーバ1801が提供するAPI1803を介してデータベース1802のモニター情報を取得し、第1実施形態と同様のサービスをクライアントに提供することができる。ここで、外部モニター端末1821への接続は、定性調査支援サーバ1800から直接行うこともでき、あるいは外部調査支援サーバ1801を介して行うことができる。本実施形態では、このようなAPI連携によりデータベースを共有することにより、新たにモニターのデータベースを構築したり、管理したりすることなく、外部のモニターを活用することができ、対象モニター数を飛躍的に増大させることができるが、これに限られることなくファイル連携など本技術分野で知られたモニター連携機構を用いることができる。また、モニター端末1821も調査への対応実績に合わせたポイントなどのインセンティブも外部調査支援サーバ1801から取得することができるように、本技術分野で知られた、外部調査支援サーバ1801と定性調査支援サーバ1800とのインタフェースを備えることもできる。本実施形態では、モニターとして外部モニターを用いているが、これに限られず、定性調査支援サーバ1800が管理するモニターも使用することができる。
【0041】
以上、本実施形態の外部調査支援サーバに接続して通常調査をしているクライアントも同一のモニターを用いて定性調査を実行することが可能となる。一方、本実施形態により、外部調査支援サービスを提供している企業も、自己のクライアントに対し新たなシステムを構築することなく定性調査を提供することができるだけでなく、自己の管理するモニターのさらなる活用を可能とする。