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  • 特開-ボイスコイルモータ、レンズ鏡筒 図1
  • 特開-ボイスコイルモータ、レンズ鏡筒 図2
  • 特開-ボイスコイルモータ、レンズ鏡筒 図3
  • 特開-ボイスコイルモータ、レンズ鏡筒 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149297
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ボイスコイルモータ、レンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/18 20060101AFI20231005BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20231005BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20231005BHJP
【FI】
H02K33/18 B
G02B7/04 E
G02B7/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057794
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】川崎 倫宏
(72)【発明者】
【氏名】福地 将
【テーマコード(参考)】
2H044
5H633
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE10
2H044BE20
2H044DA01
2H044DB02
5H633BB02
5H633GG03
5H633GG04
5H633GG06
5H633GG07
5H633HH02
5H633HH05
5H633HH10
(57)【要約】
【課題】配置と推進の効率を向上させることで製品外径の増大を抑えたボイスコイルモータ、レンズ鏡筒を提供すること
【解決手段】第1ヨークと第2ヨークとマグネットとコイルを有するボイスコイルモータにおいて、前記第1ヨークは、前記コイルに挿通され、凸部を有する多角形状であり、前記コイルは、通電により前記第1ヨークに沿って移動し、前記第2ヨークは、前記凸部に沿って配置され、前記第1ヨーク側にマグネットを保持することを特徴とするボイスコイルモータ
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヨークと第2ヨークとマグネットとコイルを有するボイスコイルモータにおいて、
前記第1ヨークは、前記コイルに挿通され、凸部を有する多角形状であり、
前記コイルは、通電により前記第1ヨークに沿って移動し、
前記第2ヨークは、前記凸部に沿って配置され、前記第1ヨーク側にマグネットを保持する
ことを特徴とするボイスコイルモータ。
【請求項2】
前記第1ヨークの断面形状は、凸多角形であることを特徴とする請求項1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項3】
前記第1ヨークは、矩形のヨークを積み重ねた構成であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボイスコイルモータ。
【請求項4】
前記第1ヨークは、前記矩形のヨークを前記コイルの移動方向に直交する方向に積み重ねる構成であり、前記第2ヨーク側に重ねるに従って、前記矩形のヨークの幅が狭くなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のボイスコイルモータ。
【請求項5】
前記第2ヨークと前記マグネットは、分割されることで前記凸部と正対することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載のボイスコイルモータ。
【請求項6】
前記コイルは、前記凸部に位置する前記第2ヨーク端部と前記マグネット端部を結ぶ前記第1ヨーク側の直線を範囲内に収まることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のボイスコイルモータ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のボイスコイルモータと、
前記第2ヨークを保持するヨーク保持部材と、
前記コイルと係合するレンズ保持枠とを有し、
前記コイルへ通電することで前記レンズ保持枠を移動させることでレンズを移動させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイスコイルモータ、レンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや交換レンズなど撮像装置は、野外へ持ち出して使用することが多いことから小型・軽量化の要望が高い。また、合焦速度の向上も要望が高い。
【0003】
加えて、最近は静止画の撮影だけでなく動画撮影も撮像装置の機能として求められる。動画撮影の場合、フォーカスレンズ駆動時の駆動音も撮影音として記録されてしまい好ましくない、従って、フォーカス駆動時の静音化も求められる。
【0004】
そこで、小型でありながら推力があり、フォーカス駆動時の駆動音も抑制されたアクチュエータとしてボイスコイルモータが挙げられる。
【0005】
しかし、合焦速度の向上やより大きなフォーカスレンズ群を駆動させるためには、ボイスコイルモータの推力向上が必要となる。しかし、ボイスコイルモータの推力向上を行おうとするとボイスコイルモータを構成する部材であるマグネットやヨークなどが大型化し重量も増加する。
【0006】
特許文献1は、ボイスコイルモータを構成するヨークにおいて、マグネットを保持する側のヨーク長辺を長くしたボイスコイルモータを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許6457701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のボイスコイルモータは、マグネットを保持する側のヨーク長辺を長くしていることから、このボイスコイルモータを円筒形状内に納める場合、ヨーク配置径を大きくとる必要があるという課題を有する。
【0009】
次に、前述したようにヨーク長辺が長くなるほど、円筒とヨーク長辺にスペースが存在してしまう。このスペースは推力に寄与しないので構造上無駄なスペースを有するという課題を有する。
【0010】
これらの課題を有するボイスコイルモータを交換レンズなどに採用した場合、交換レンズなどの製品外径の増大につながり大型化してしまうという課題を有する。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、配置と推進の効率を向上させることで製品外径の増大を抑えたボイスコイルモータ、レンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のボイスコイルモータは、第1ヨークと第2ヨークとマグネットとコイルを有するボイスコイルモータにおいて、前記第1ヨークは、前記コイルに挿通され、凸部を有する多角形状であり、前記コイルは、通電により前記第1ヨークに沿って移動し、前記第2ヨークは、前記凸部に沿って配置され、前記第1ヨーク側にマグネットを保持することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のレンズ鏡筒は、前記ボイスコイルモータと、前記第2ヨークを保持するヨーク保持部材と、前記コイルと係合するレンズ保持枠とを有し、前記コイルへ通電することで前記レンズ保持枠を移動させることでレンズを移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配置と推進の効率を向上させることで製品外径の増大を抑えたボイスコイルモータ、レンズ鏡筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係るボイスコイルモータを示す構成図
図2】本発明の実施例に係るボイスコイルモータの断面図
図3】本発明の実施例と従来例に係るボイスコイルモータの断面比較図
図4】本発明の実施例に係る別実施形態のボイスコイルモータ断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面に従って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。また、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係るボイスコイルモータ1を示す構成図である。尚、図1は、本発明の説明を簡単にするために簡略化されている。図2は、図1の点線部分にて切断し、K側から見たボイスコイルモータ1の断面図である。図3は、中央に位置する点線Cの左側に図示した本願発明のボイルコイルモータ1と右側に図示した従来のボイスコイルモータのそれぞれの断面図を比較した図面である。図4は、本願発明の別実施形態を示すボイスコイルモータ1の断面図である。
【0018】
また、各図面のボイスコイルモータ1をレンズ鏡筒に納める場合、各図面上側がレンズ鏡筒の外径側となり、下側が内径側となり、図中のコイル11に係合した不図示の移動レンズ群はレンズ内径側に位置することとなる。
【0019】
各図面に示すように、本願発明のボイスコイルモータ1は、第1ヨーク10、コイル11、マグネット12、第2ヨーク13、端部ヨーク14を備える。
【0020】
第1ヨーク10は、磁性体からなる。コイル11の進行方向に垂直な面での断面形状は凸部を有する形状をしている。図1に記載の第1ヨーク10は磁性体である矩形の鉄板を積み重ねることで構成される。
【0021】
コイル11は、第1ヨーク10の外周に沿った形状に銅線などの電線部材を繰り返し巻くことで形成される。コイル11の進行方向に垂直な面での断面形状は凸部を有する多角形である。
【0022】
コイル11とマグネット12による磁場において、コイル11への通電時に電磁力が発生する。駆動制御することでコイル11は第1ヨーク10に沿った方向つまり図1中の矢印方向に移動する。
【0023】
マグネット12は、第2ヨーク13の第1ヨーク10側に固定される。
【0024】
第2ヨーク13は、第1ヨーク10と同様に磁性体からなる。第1ヨークの凸部側に配置される。本願実施例の第2ヨーク13は、左右に分割して第1ヨーク10の凸部に沿った配置となっている。
【0025】
端部ヨーク14は、第1ヨーク10や第2ヨーク13と同様に磁性体からなる。第1ヨーク10と第2ヨーク13は、図1中の矢印方向に沿って平行な位置関係にあるので、端部ヨーク14によって両者を連結する。具体的には、第1ヨーク10と第2ヨーク13はそれぞれ突出部を有し、端部ヨーク14は、それぞれの突出部が嵌合する嵌合部を有する。第1ヨーク10と第2ヨーク13のそれぞれの突出部が端部ヨーク14の嵌合部へ嵌合することで第1ヨーク10と第2ヨーク13は端部ヨーク14と連結する。その結果、コイル11とマグネット12による磁束の漏れを減らした磁気回路が構成される。
【0026】
ここで、コイル11について説明する。本願実施例のコイル10は、第1ヨーク10が挿通されており、第1ヨーク10の外周を囲むように銅線が繰り返し巻かれたものであるので、凸部を有する形状となる。
【0027】
図2は、ボイスコイルモータ1をコイル11の移動方向に垂直である図1の点線部分を含む断面図である。
【0028】
図2を用いてコイル11を説明する。コイル11の断面形状は、凸部を有する多角形であり、本願実施例のコイル11の断面形状は凸部を有する五角形となる。LaとLeの辺から凸部が形成される。LbとLdが側辺となり、Lcが底辺となる。コイル11に通電すると、La→Lb→Lc→Ld→Leの順に流れる。また制御によって反対回りに流すことも可能である。
【0029】
コイル11に流す電流の方向と生じる推力の関係は、磁場の向きが分かっているのでフレミング左手の法則が成り立つ。従って、コイル11に生じさせたい推力に応じて電流の方向が決定する。いずれの方向の電流であっても、マグネット12から生じる磁束に対して、凸部を形成するLaとLeの辺から推力が生じる。同時に、凸部を形成するLaとLeの辺に対して、第1ヨーク10を介した位置に位置する底辺Lcに流れる電流は前述の磁束に対して逆向きとなる。従って、底辺Lcからは逆向きの推力が生じることとなる。
【0030】
次に、コイル11に生じる推力を説明する。
コイルに生じる推力をF(N)、コイルに流れる電流をI(A)、磁束密度をB(T)、磁束を通過するコイルの長さL(m)とすると、以下の式が成り立つ。
F=I×B×L (1)
【0031】
ここで、図3は本願発明と従来型のコイルである矩形形状のコイルの断面を比較した図である。本願実施例に用いるコイル11も従来型のコイルも左右対称であるのでそれぞれの片側を用いて説明する。点線Cは、それぞれのコイルの線対称となる対称軸であり、左側は本願発明のコイル11とマグネット12と第2ヨーク13を表し、右側は従来型の矩形形状のコイルに合わせてマグネット12と第2ヨーク13を配置した場合を表す。コイル11の凸部に着目すると、推力が生じるマグネット12とコイル11の重なる部分の長さをL0、同様に従来型のコイルとマグネットの重なる部分の長さをL1とする。L0とL1は、L0を斜辺、L1を底辺とした直角三角形とすることが出来ることから、以下の式が成り立つ。
L0>L1 (2)
【0032】
そうすると、各コイルに対する磁束密度をB、流れる電流をIとした時、式(1)と式(2)から以下の式(3)が成り立つ。
I×B×L0>I×B×L1 (3)
【0033】
これは、式(1)からわかるように発生する推力は、磁束が通過するコイルの長さに比例することがわかる。この長さは、従来型のコイルよりも本願発明のコイル11の方が長いことが式(2)からもわかるので、本願発明のコイル11に発生する推力は従来型のコイルに発生する推力よりも大きいことが式(3)から確認できる。
【0034】
次に、これまで述べてきたようにボイスコイルモータを駆動するためにコイルへ電流を流すと、各コイルのマグネット12とヨーク側に位置する図3中のL0とL1部分からは推力が生じる。一方、前述したように本願発明のコイル11も従来型のコイルも電線部材が繰り返し巻かれる構成となっているので、マグネット12と第2ヨーク13とは反対側に位置するコイルにも逆方向の電流が流れる。その結果、本願発明も従来型のコイルもマグネット12と第2ヨーク13の反対側の部分から逆方向の推力が発生する。
【0035】
ここで、それぞれのコイル内部に位置するヨークに着目する。本願発明のコイル11と従来型のコイルを比較すると、本願発明のコイル11の方がコイルに囲まれる空間が大きいことが図3からもわかる。そうすると、本願発明のコイル11に囲まれる空間に図2に記載のように第1ヨーク10を入れることが可能である。よって、第1ヨーク10は、従来型のコイルに囲まれる空間に入れられるヨークよりも体積が大きくなる。つまり、本願発明のボイスコイルモータ1は、逆方向の推力を発生するコイルへ漏れる磁束が従来型のコイルを用いたボイスコイルモータよりも小さい。従って、本願発明のコイル11の底辺(図2中のLcに該当)の磁束密度Bは従来型のコイルよりも小さくなる。
【0036】
よって、逆方向の推力の大きさも式(1)が成り立つことから。本願発明のコイル11が生じる逆方向の推力は、従来型のコイルが生じる逆方向の推力よりも小さくなることがわかる。
【0037】
以上のことから、本願発明のボイスコイルモータは、従来型のコイルを用いたボイスコイルモータと比較すると、磁束を通過するコイルの長さを長くすることで発生する推力が大きくなり、コイルへ挿通するヨークの体積を大きくすることで逆方向の推力を生じさせるコイルへ漏れる磁束を小さくすることで逆方向の推力を小さくすることが可能となっている。
【0038】
また、図2に記載の第1ヨーク10の断面は、凸部を有する多角形状であり、本願実施例の第1ヨーク10は、矩形形状の鉄板を第2ヨーク13側へ積み重ねた構成となっている。具体的には、第1ヨーク10の挿通されるコイル11の移動方向に垂直な面で切った断面図として、積み重ねた矩形形状の鉄板の幅は、第2ヨーク13側へ重ねるにしたがって狭くなることで、第1ヨーク10は凸部を有する形状となる。他にも、凸部形状に合わせるようにくの字形状の鉄板を重ねる構成としても問題ない。また、第1ヨーク10を磁性体の一体物としても問題ない。具体的には、鉄の塊から削り出しの一体物でも可能である。
【0039】
図4は本願実施例とは異なる積み重ねを構成とする第1ヨーク10の別実施例である。
【0040】
第1ヨーク10の矩形形状の鉄板の積み方は、図4に記載されるようにマグネット12側から鉄板の幅が狭くなるような積み方をしても問題ない。
【0041】
本願実施例のマグネット12と第2ヨーク13は第1ヨーク10の凸部に沿うように左右に分割されているが、くの字に曲がるような一体物でも問題ない。しかし、本願実施例のようにマグネット12と第2ヨーク13を左右分割とすることで、一体物とするのに加工が面倒であったり、マグネットをくの字形状とすることで左右分割に比べて磁力が弱まるなどの課題を回避することが可能である。
【0042】
図4に記載のようにマグネット12と第2ヨーク13については、前述したように、コイル11に生じる推力はコイル11とマグネット12が重なる部分の長さに比例するのでマグネット12の長さをL4と設定することが一般的である。しかし、コイル11は凸部を形成するL4の他にL5もL4と同様に磁束の影響を受ける為、推力が生じる。なお、L5部を通過する磁束の向きは、マグネット12と第2ヨーク13の設定次第で制御できる。
【0043】
具体的には、第2ヨーク13とマグネット12の端面を結んだ線を第1ヨーク10側へ延長した線(図4中の点線)をコイル11が含まれるようにマグネット12と第2ヨーク13の長さを設定する(図4中の点線(a)、(b))。こうすることでコイル11のL5にて生じる推力がL4で生じる推力と同じ方向になるように制御し、結果として本願発明のボイスコイルモータ1の推力を大きくすることが可能となる。
【0044】
これまで説明してきた本願発明のボイスコイルモータ1は、レンズ鏡筒へ用いることが可能である。具体的には、コイル11を不図示の合焦レンズ群や変倍レンズ群である移動レンズ群のレンズ保持枠と係合させ、第2ヨーク13をヨーク保持部材へ固定する。コイル11への通電することで移動レンズ群はコイル11と共に第1ヨーク10に沿った方向へ移動するので、電流を制御することで移動レンズ群の駆動を制御することが可能である。
【0045】
また、本願発明のボイスコイルモータ1をレンズ鏡筒へ用いる場合、前述したようにコイル11へ移動レンズ群を係合させるので、不図示の移動レンズ群の光軸は各図面に記載のコイル11の下側に位置することとなる。従って、本願発明のボイスコイルモータをレンズ鏡筒に配置する場合、各図面のボイスコイルモータ1の下側がレンズ鏡筒内径側、上側がレンズ鏡筒外径側となる。
【0046】
レンズ鏡筒は円筒形となることから、レンズ鏡筒外径側に位置するヨーク保持部材は円弧状となる。図3に記載の円弧Rは、ヨーク保持部材を示す。ヨーク保持部材に保持される第2ヨーク13は、効率的に配置するためには円弧Rに沿った配置とすることが望ましい。図3右側に記載のような従来型のボイスコイルモータは、コイルとヨーク保持部材を示す円弧Rの間に無駄な空間が生じてしまっている。一方、図3左側の本願発明のボイスコイルモータ1は、図3の円弧Rに沿って第2ヨーク13とマグネット12を配置することで無駄な空間を削減するとともに、前述したように生じさせる導体のコイル11と磁束を発生させるマグネット12の重なり合う長さを長くすることで生じる推力を増大することを実現する。
【0047】
また、各図面に記載の第1ヨーク10の断面は、凸部を有する多角形の形状であり、薄型の矩形形状の鉄板を重ねた構成とすると、コイル11の移動方向に垂直な方向を幅とすると重ねる鉄板の幅が異なることで段差が生じる。コイル11は、第1ヨーク10側の外周に沿うように銅線を繰り返し巻いて構成されるが、前述した第1ヨーク10を鉄板を重ねた構成とした際に生じる段差にコイル11の形状を合わせることなく段差の頂を直線で結んだ線と平行な直線としても問題ない。こうすることでコイル11の加工の手間を削減することが可能である。
【0048】
さらに、本願発明はコイル11の凸部を形成する辺で推力を生じさせる。本願実施例のコイル11の凸部は2辺で形成され、レンズ内径側に位置する3辺から形成される凹型と組み合わせた、五角形となっている。しかし、凸部を3辺で形成しコイル11を六角形としても問題ない。具体的には、凸部の3辺は正六角形上側の形状として、下側は図2に記載のLb~Ldの側辺と底辺の配置に組み合わせた形状としても問題ない。
【0049】
また、各図に記載の五角形のコイル11や前述の六角形のLb~Ldの側辺と底辺の内角は直角となっているが、正五角形や正六角形であっても問題ない。
【0050】
さらには第1ヨーク10のコイル11の移動方向に垂直な面での断面形状は、凸部を有する多角形であり。より望ましくは、全ての内角が二直角より小さい多角形所謂凸多角形である。第1ヨーク10の外周に沿ったコイル11の形状も同様である。
【符号の説明】
【0051】
1 ボイスコイルモータ
10 第1ヨーク
11 コイル
12 マグネット
13 第2ヨーク
14 端部ヨーク
図1
図2
図3
図4