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▶ 株式会社松風の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149301
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】抗菌性を有する人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/40 20060101AFI20231005BHJP
   A61Q 3/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K8/40
A61Q3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057804
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄己
(72)【発明者】
【氏名】下曽山 俊
(72)【発明者】
【氏名】山口 豊
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC892
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD092
4C083CC28
4C083DD01
4C083EE05
(57)【要約】
【課題】
高い抗菌活性及び透明性を発現する人工爪組成物を提供すること。
【解決手段】
重合性官能基としての不飽和二重結合を有さない第四級アンモニウム塩を、組成物全量に対して0.01~5質量%の量で含有する人工爪組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)第四級アンモニウム塩を含む人工爪組成物であって、前記成分(A)第四級アンモニウム塩は、重合性官能基としての不飽和二重結合を有さず、且つ、組成物全量に対して0.01~5質量%含有することを特徴とする人工爪組成物。
【請求項2】
前記成分(A)第四級アンモニウム塩が一般式(1)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の人工爪組成物。
(式中、Xは炭素数12~16のアルキル基、R1~R3は各々炭素数1又は2のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Yはアニオンを表す。)
【請求項3】
前記成分(A)第四級アンモニウム塩のアニオン種がホスフィン酸イオン、ホスホン酸イオン、リン酸イオン、スルフィン酸イオン、スルホン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工爪組成物。
【請求項4】
成分(B)炭素数1~5のアルコールを含有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の人工爪組成物。
【請求項5】
成分(C)水を含有することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の人工爪組成物。
【請求項6】
成分(D)重合性化合物及び成分(E)重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の人工爪組成物。
【請求項7】
組成物全量に対して、
成分(A)第四級アンモニウム塩 0.01~5質量%
成分(B)炭素数1~5のアルコール 0~10質量%
成分(C)水 0~5質量%
成分(D)重合性化合物 70~99.7質量%
成分(E)重合開始剤 0.1~10質量%
を含有する請求項1~3、及び請求項6の何れか一項に記載の人工爪組成物。
【請求項8】
前記成分(D)重合性化合物がウレタン(メタ)アクリレート化合物又はエチレン性不飽和基を有する重合性単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6又は7に記載の人工爪組成物。
【請求項9】
前記成分(E)重合開始剤が光重合開始剤であることを特徴とする請求項6~8の何れか一項に記載の人工爪組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い抗菌活性及び透明性を有する人工爪組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネイルポリッシュ、ジェルネイル、アクリルネイル等の人工爪は、人の爪に施した際の耐久性が良好で、数週間にわたり美的外観が維持できることが特徴である。しかし、人工爪と爪の表面との間で細菌や真菌が繁殖する、又はウイルスに感染することで、様々な爪の異常や病気が発生することが問題となっている。一例として、一般的にはグリーンネイルと呼ばれる、爪が緑色になる現象がある。これは緑膿菌が出す、ピオシアニンやピオヴェルディンという色素が沈着することで起こる。緑膿菌は、日常生活の中で身の回りにある常在菌の一つであり、通常は人体に害をなさないが、非衛生的環境下において繁殖すると、上記にあるように色素沈着が起こり外観不良に繋がる。また、その他細菌の繁殖は爪周囲炎、真菌の繁殖は爪白癬、爪甲剥離などの皮膚疾患の原因になりうる。
【0003】
前述のような菌の繁殖を抑え、爪の衛生状態を良好に保つため、人工爪組成物に抗菌性を有する材料を添加する試みがある。このような人工爪組成物としては、特許文献1又は特許文献2に例示されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-70254
【特許文献2】特開2010-75366
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の人工爪組成物は、抗菌剤自体が重合性の不飽和基を有するため、抗菌性を発現する構造部分が重合硬化後の分子内に固定化され、高い抗菌活性が得られないという問題があった。また、特許文献2の人工爪組成物は、抗菌性フィラーと人工爪組成物との親和性が低く、硬化体の透明性の低下を伴うという問題点もあった。このように、従来の人工爪組成物は高い抗菌活性を示しつつ、透明性などの品質において、高い性能を発現させることが困難であった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い抗菌活性及び透明性を発現する人工爪組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明の人工爪組成物は、重合性官能基としての不飽和二重結合を有さない第四級アンモニウム塩を、組成物全量に対して0.01~5質量%含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の人工爪組成物の一実施形態としては、前記第四級アンモニウム塩が一般式(1)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0009】
【化1】
【0010】
前記一般式(1)において、Xは炭素数12~16のアルキル基、R1~R3は各々炭素数1又は2のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Yはアニオンを表す。
【0011】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、前記第四級アンモニウム塩がホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、スルフィン酸塩、スルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0012】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、炭素数1~5のアルコールを含有することが好ましい。
【0013】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、水を含有することが好ましい。
【0014】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、重合性化合物及び重合開始剤を含有することが好ましい。
【0015】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、組成物全量に対して、第四級アンモニウム塩0.01~5質量%、炭素数1~5のアルコール0~10質量%、水0~5質量%、重合性化合物70~99.7質量%、重合開始剤0.1~10質量%を含有することが好ましい。
【0016】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、前記重合性化合物がウレタン(メタ)アクリレート化合物又はエチレン性不飽和基を有する重合性単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の人工爪組成物の他の実施形態としては、前記重合開始剤が光重合開始剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高い抗菌活性及び透明性を発現する人工爪組成物を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の人工爪組成物は、重合性官能基としての不飽和二重結合を有さない成分(A)第四級アンモニウム塩を、組成物全量に対して0.01~5質量%含有することを特徴とする。
【0020】
[第四級アンモニウム塩]
成分(A)第四級アンモニウム塩はアンモニウムカチオンと、その対イオンであるアニオンから構成され、本発明の人工爪組成物に抗菌性を与える成分である。前記成分(A)第四級アンモニウム塩は重合性官能基としての不飽和二重結合を有さない構造でなければならない。アンモニウムカチオンを本発明の人工爪組成物に含まれるその他の成分と重合硬化しない構造とすることで、重合硬化後の分子内に第四級アンモニウム塩が固定化されないため、高い抗菌活性を発現することができる。また、成分(A)第四級アンモニウム塩の含有量は組成物全量に対して0.01~5質量%の範囲内でなければならず、0.1~3質量%の範囲内であることが好ましく、0.2~1質量%の範囲内であることが更に好ましい。0.01~5質量%の範囲内にすることで、高い抗菌活性、及び透明性を発現できる。
【0021】
前記重合性官能基としての不飽和二重結合とは、光又は熱などにより重合反応を起こす二重結合である。このような二重結合を有する官能基を具体的に例示すると、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、アリル基、アリルエーテル基などのエチレン性不飽和基などが挙げられる。一方、重合反応が起こらなければ、不飽和二重結合を有する第四級アンモニウム塩を用いても良い。重合反応を起こさない不飽和二重結合を有する官能基を具体的に例示するとフェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などの芳香環を有する官能基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などの脂環構造を有する官能基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明における重合反応を起こす不飽和二重結合とは、本発明の人工爪組成物に配合された場合に重合反応を起こす二重結合を有する官能基と解釈されるべきであり、不飽和二重結合を有する化合物の潜在的な反応性の有無によって限定されるべきではない。
【0022】
尚、本明細書中における(メタ)アクリロイルという用語はアクリロイル、及びメタクリロイルの双方を包含し、(メタ)アクリロイルオキシという用語はアクリロイルオキシ、及びメタクリロイルオキシの双方を包含し、(メタ)アクリルアミドという用語はアクリルアミド、及びメタクリルアミドの双方を包含し、(メタ)アクリレートという用語はアクリレートおよびメタクリレートの双方を包含する。
【0023】
前記成分(A)第四級アンモニウム塩のアンモニウムカチオンは、一般式(2)で表わされる化合物であり、式中R1~R4はアルキル基であれば互いに同一であっても異なっていてもよく、公知のものを使用することができる。前記アルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、へプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アルキル基の異なる2種類以上のアンモニウムカチオンを選択し、成分(A)第四級アンモニウム塩を構成することもできる。即ち、本発明の人工爪組成物はカチオン種の異なる2種類以上の成分(A)第四級アンモニウム塩を含むことができる。
【0024】
【化2】
【0025】
その中でも、前記アンモニウムカチオンは一般式(3)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0026】
【化3】
【0027】
ここで、前記一般式(3)において、式中Xは炭素数12~16のアルキル基、R1~R3は互いに同一であっても異なっていてもよく、各々炭素数1又は2のアルキル基を表す。炭素数12~16のアルキル基を具体的に例示すると、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基などが挙げれられるが、これらに限定されるものではない。その中でも、直鎖状のドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。このようなアンモニウムカチオンとすることで高い抗菌活性を発現することができるだけでなく、第四級アンモニウム塩の製造も容易になる。
【0028】
前記成分(A)第四級アンモニウム塩のアニオン種に特に制限はなく、公知のアニオンとすることができる。前記アニオンを具体的に例示すると、ホスホン酸イオン、ホスフィン酸イオン、リン酸イオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、塩素イオン、ブロモイオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、直鎖状のスルホンイミドアニオン、環状のイミドアニオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオンなどカルボン酸イオン、グリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒドロキシアクリル酸イオン、オキシ酪酸イオン、グリセリン酸イオン、リンゴ酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオンなどのヒドロキシカルボン酸イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオンなど芳香族カルボン酸イオン、サッカリン酸イオン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリリン酸、ポリスルホン酸などに由来する高分子イオンなどが挙げれられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのアニオンからなる群より選ばれる2種類以上を選択し、第四級アンモニウム塩を構成することもできる。即ち、本発明の人工爪組成物はアニオン種の異なる2種類以上の成分(A)第四級アンモニウム塩を含むことができる。中でも、工業原料を入手しやすいという観点から、ホスフィン酸イオン、ホスホン酸イオン、リン酸イオン、スルフィン酸イオン、スルホン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0029】
即ち、前記成分(A)第四級アンモニウム塩は一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0030】
【化4】
【0031】
ここで前記一般式(1)において、式中、Xは炭素数12~16のアルキル基、R1~R3は各々炭素数1又は2のアルキル基で互いに同一であっても異なっていてもよく、Yはホスフィン酸イオン、ホスホン酸イオン、リン酸イオン、スルフィン酸イオン、スルホン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。このような成分(A)第四級アンモニウム塩とすることで、高い抗菌活性を発現できるだけでなく、第四級アンモニウム塩の製造も容易になる。
【0032】
[アルコール]
成分(B)アルコールは、炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(-OH)で置換した物質である。また、芳香環の水素原子をヒドロキシ基で置換した物質であるフェノール類も含まれる。前記成分(B)アルコールの種類に特に制限はなく、公知のアルコールを用いることができる。具体的な化合物を例示すると、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、3-メチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-2-ペンタノール、1,3-ペンタジオール、1-ヘキサノール、2-メチル-2-ヘキサノール、1,3-ヘキサジオール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、1,3-ヘプタジオール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、フェノール、クレゾール、ナフトール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは2種類以上を組み合わせて使用しても良い。中でも、炭素数が1~5のアルコールであることが好ましい。具体的な化合物を例示すると、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、3-メチル-2-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、エタノール、2-プロパノールの少なくとも一種を用いることが更に好ましい。
【0033】
前記成分(B)アルコールの含有量に特に制限はないものの、組成物全量に対して0~10質量%の範囲内であることが好ましく、1~8質量%の範囲内であることがより好ましく、2~6質量%の範囲内であることが更に好ましい。0~10質量%の範囲内にすることで、人工爪組成物と第四級アンモニウム塩との親和性が良くなり、高い透明性を発現することができるだけでなく、人工爪組成物の保存安定性も良好なものとすることができる。
【0034】
[水]
成分(C)水としては、精製水、蒸留水、上水などを用いることができる。
【0035】
前記成分(C)水の含有量に特に制限はないもののは、組成物全量に対して0~5質量%の範囲内であることが好ましく、0.5~4質量%の範囲内であることがより好ましく、1~3質量%の範囲内であることが更に好ましい。0~5質量%の範囲内にすることで、第四級アンモニウム塩の安定性が良くなるだけでなく、人工爪組成物の保存安定性も良好なものとすることができる。
【0036】
[重合性化合物]
前記成分(D)重合性化合物は、光又は熱により反応し、重合体を形成する物質である。本発明の人工爪組成物に硬化性、表面硬度、強度、柔軟性、耐久性、除去性などの特性を与える。前記成分(D)重合性化合物は、重合性官能基としてのエチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に制限はなく、公知の重合性化合物を用いることができる。エチレン性不飽和基を具体的に例示すると、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、アリル基、アリルエーテル基、マレイミド基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、硬化性、表面硬度、耐久性の観点から、(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
【0037】
1分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する成分(D)重合性化合物を具体的に例示すると、メタクリル酸、アクリル酸、ウレタン(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサフタル酸、ステアリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル2-ブロモエチルハイドロジェンフォスフェート、メチロールアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ビニルクロライド、又はこれらのオリゴマー、ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。尚、本明細書におけるオリゴマーという用語は重合性単量体が2~数十個重合された重合体を意味する。また、ポリマーという用語は重合性単量体が数十個以上重合された重合体を意味する。
【0038】
1分子内に2個のエチレン性不飽和基を有する成分(D)重合性化合物を具体的に例示すると、ウレタンジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、又はこれらのオリゴマー、ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
1分子内に3個以上のエチレン性不飽和基を有する成分(D)重合性化合物を具体的に例示すると、ウレタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、又はこれらのオリゴマー、ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
前記成分(D)重合性化合物としての重合性単量体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000未満である。また、前記成分(D)重合性化合物としてのオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~30,000であり、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000~60,000である。この範囲であれば、硬化性、表面硬度、強度、柔軟性、耐久性、除去性などの特性を良好にすることができる。尚、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は標準物質としてポリスチレンを用いたゲルろ過クロマトグラフィー(Gel PermeationChromatography;GPC)で測定された値を採用した。
【0041】
前記成分(D)重合性化合物としての重合性単量体は、25℃雰囲気下で液体であり、流動性を有することが好ましい。具体的には、動的粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて測定される25℃、せん断速度10s-1における粘度が20Pa・s以下であると好ましい。前記成分(D)重合性化合物としてのオリゴマーは、25℃雰囲気下で流動性を有していても良いし、有していなくても良い。具体的には、動的粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて測定される25℃、せん断速度10s-1における粘度が20Pa・s以上であると好ましい。前記成分(D)重合性化合物としてのポリマーは、25℃雰囲気下で流動性を有していても良いし、有していなくても良い。
【0042】
前記成分(D)重合性化合物は2種類以上を選択し、人工爪組成物を構成することもできる。中でもメタクリル酸、アクリル酸、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、又はこれらのオリゴマー、ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。また、オリゴマー及び重合性単量体の双方を少なくとも1種以上含むことが好ましい。オリゴマー及び重合性単量体の双方を含むことで、柔軟性、耐久性、除去性、硬化性、表面硬度、強度などの特性を良好なものにすることができる。
【0043】
前記成分(D)重合性化合物は、オリゴマー及び重合性単量体の双方が含まれる場合において、オリゴマー及び重合性単量体の比率(質量比)は特に制限されないが、オリゴマー:重合性単量体の比率(質量比)が、50:50~95:5の範囲内であることが好ましく、60:40~90:10の範囲内であることがより好ましく、65:35~85:15の範囲内であることが更に好ましい。
【0044】
前記成分(D)重合性化合物の含有量に特に制限はないものの、組成物全量に対する前記成分(D)重合性化合物の含有量((D)重合性化合物を複数種類用いる場合にはその合計量)が70~99.7質量%の範囲内であることが好ましく、80~97質量%の範囲内であることがより好ましく、85~94質量%の範囲内であることが更に好ましい。70~99.7質量%の範囲内にすることで、人工爪組成物と第四級アンモニウム塩との親和性が良くなり、高い透明性を発現することができるだけでなく、高い抗菌活性を発現できる。
【0045】
[重合開始剤]
成分(E)重合開始剤は、前記成分(D)重合性化合物の重合反応を開始するための化合物である。前記成分(E)重合開始剤の種類に特に制限はなく、公知の重合開始剤を使用することができる。前記成分(E)重合開始剤としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線の照射によって重合反応の起点となる光重合開始剤、一定以上の温度に加熱することによって重合反応の起点となる熱重合開始剤、特定の物質を混合することによって重合反応の起点となる二剤以上を混合するタイプの化学重合開始剤などが挙げられるが、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、エネルギー線の照射によってラジカルを発生するラジカル重合開始剤、カチオンを発生するカチオン重合開始剤、アニオンを発生するアニオン重合開始剤などが挙げられるが、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカル光重合開始剤を具体的に例示すると、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、α-ジアルコキシアセトフェノン類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの重合開始剤の内2種類以上を選択し、人工爪組成物を構成することもできる。中でもα-ヒドロキシアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
【0046】
α-ヒドロキシアルキルフェノン類として具体的な化合物を例示すると、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、α-アミノアルキルフェノンなどが挙げられ、アシルホスフィンオキサイド類として具体的な化合物を例示すると、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドやビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられる。中でも、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0047】
前記成分(E)重合開始剤の含有量に特に制限はないものの、組成物全量に対して0.1~10質量%の範囲内であることが好ましく、1~8質量%の範囲内であることが好ましく、2~6質量%の範囲内であることが更に好ましい。0.1~10質量%の範囲内にすることで、人工爪組成物の安定性が良くなる。
【0048】
[その他の成分]
本発明の人工爪組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分(A)~(E)以外の他成分を含むことができる。その他成分としては、人工爪組成物において広く使用される、補助剤、添加剤、着色剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、重合促進材、重合禁止材、合一剤、保存剤、ワックス、増粘剤、芳香剤、UV遮蔽材、拡散剤、消泡剤、分散剤、充填材、界面活性剤、顔料、染料、賦形材、イオン放出剤、及びシランカップリング剤などが挙げられる。
【0049】
本発明の人工爪組成物の粘度に特に制限はないものの、操作性の観点から、25℃雰囲気下で流動性を有することが好ましい。具体的には、動的粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて測定される25℃、せん断速度10s-1における粘度が100Pa・s以下であることが好ましく、75Pa・s以下であることがより好ましく、50Pa・s以下であることが更に好ましい。一方、粘度の下限は特に制限されないが、1Pa・s以上であることが好ましい。尚、本発明の人工爪組成物の粘度は、前記成分(A)~(E)の種類及び含有量を適宜調整することにより変更できる。
【0050】
本発明の人工爪組成物は、爪、人工爪組成物によって塗膜が形成されている爪、人工の樹脂製チップ、フィルム又はシートなどの基材に対して塗布することができるが、これらに制限されるものではない。また、塗布の方法としては筆、スポンジ、スプレー、インクジェット、エアーナイフ、ロールなどで塗布する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
本発明の人工爪組成物の形態に特に制限はなく、ネイルポリッシュ、ジェルネイル、アクリルネイル等とすることができる。ネイルポリッシュは、ネイルラッカーやネイルエナメル、マニキュア等と呼ばれる爪用の塗料であり、含まれる溶剤を乾燥させる事で美的外観に優れた塗膜を作る組成物である。ジェルネイルは紫外線や可視光線によって硬化する樹脂成分を含有する材料であり、天然爪や人工爪上に塗布後、紫外線や可視光線を照射し硬化させることで美的外観に優れた塗膜を作る組成物である。アクリルネイルはポリマービーズと重合性単量体からなる粉液型材料であり、粉液混合後にポリマービーズ中に含有された過酸化物によって重合性単量体の重合が開始され硬化する組成物である。アクリルネイルは塗布だけでなく、築盛し形態の作製が可能である事が特徴であり主として爪の伸長に用いられる場合が多い。その中でも、本発明の人工爪組成物はジェルネイルの形態で提供されることが好ましい。ジェルネイルの形態とすることで、高い抗菌活性及び透明性を発現することができる。
【0052】
前記ジェルネイルは、一般的には基材に対してベース層、カラー層、トップコート層の順に積層し、塗膜が構成される。本発明の人工爪組成物の適用方法に特に制限はなく、ベース層、カラー層、トップコート層の何れの層とすることもできる。本発明の人工爪組成物は、高い抗菌活性と透明性を有しており、グリーンネイル等の皮膚疾患は爪とベース層との間で起こるため、本発明の人工爪組成物はベース層として用いることが好ましい。
【0053】
前記ジェルネイルには、手の爪に塗布するハンド用、足の爪に塗布するフット用、動物の爪に塗布する動物用などがある。本発明の人工爪組成物の用途に特に制限はなく、ハンド用、フット用、動物用などのいずれにも使用することができる。
【実施例0054】
以下に本発明の実施例及び比較例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
[人工爪組成物の調製に用いた成分]
実施例、及び比較例の人工爪組成物の調製に用いた成分を表1に記載した。表1中の重量平均分子量(Mw)は、標準物質としてポリスチレンを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)で測定された値を採用した。表1中の粘度は、動的粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて測定された値を採用した。
【0056】
【表1】
【0057】
[光硬化性人工爪組成物の調製]
表3記載の各配合割合に従い、それぞれの成分を計算し、大気圧下で自転・公転式混合機を使用して均一液状になるまで混合することで実施例、及び比較例の人工爪組成物を調製した。
【0058】
[試験例1:抗菌性の評価]
実施例及び比較例の人工爪組成物を、市販ジェルネイル用ライト(PRESTO LEDライト)にて20秒間光照射することで硬化させ、厚さ0.2mm、直径60.0mmの薄片を作製し、これを抗菌試験片とした。抗菌性の試験方法は、JIS Z 2801(フィルム密着法)を準用し、滅菌済シャーレ内に静置した試験片に緑膿菌からなる試験菌液0.4mLを滴下した。試験菌液の上に密着フィルムをかぶせ、試験菌液がフィルム全体に行きわたるように軽く押さえつけた後、シャーレの蓋を閉じ、温度35±1℃、相対湿度90%以上で24時間培養した。24時間後、試験片上の試験菌を洗い出し液(10mL)を用いて回収した後、洗い出し液(1mL)中の菌数を寒天平板培養法により測定し、下記の一般式(4)に従い抗菌活性値Rを算出した。尚、抗菌試験は3回行い、その平均値を抗菌活性値Rとした。
抗菌活性値R=[Ut]-[At] (4)
一般式(4)中[Ut]は、log(無加工試験片の培養後生菌数)であり、無加工試験片はポリエチレンフィルムである。一般式(4)中[At]は、log(抗菌試験片の培養後生菌数)である。尚、抗菌活性値Rは2.0以上であれば抗菌性を有していると判断し、3.0以上であれば好ましく、4.0以上であれば更に好ましい。
【0059】
[試験例2:透明性の評価]
実施例及び比較例の人工爪組成物を、市販ジェルネイル用ライト(PRESTO LEDライト)にて20秒間光照射することで硬化させ、厚さ0.5mm、直径60.0mmの薄片を作製し、これを試験片とした。フォントサイズ10のMSゴシック体(全角)黒色で印刷された「SHOFU INC」の文字上に試験片を静置し、試験片を介して文字を目視にて観測し、以下に示す基準により透明性を評価した。尚、透明性は文字が識別できれば透明性を有していると判断し、硬化物の透明性が特に優れており、文字が明瞭に識別できれば更に好ましい。
【0060】
【表2】
【0061】
[試験例3:接着性の評価]
ナイロン6製平板(縦15.0mm×横15.0mm×厚さ3.0mm)をアルコールで洗浄後、乾燥させて被着体とした。接着面に直径5mmの穴を開けた両面テープを貼り付け、この穴の内側に実施例及び比較例の人工爪組成物を塗布し、市販ジェルネイル用ライト(PRESTO LEDライト)にて20秒間光照射することで硬化させた。その上に、市販のトップコート(PRESTOトップジェル)を直径5mm×高さ2mmの円柱状になるように、プラスティックモールドを用いて成型し、市販ジェルネイル用ライト(PRESTO LEDライト)にて20秒間光照射することで硬化させた。一昼夜静置後、インストロン万能試験機(インストロン5943型)を使用し、クロスヘッドスピード10mm/minの条件下でせん断接着強度を測定した。尚、せん断接着強度の値は5.0[MPa]以上であれば実用的であると判断し、7.0[MPa]以上であれば好ましく、10.0[MPa]以上であれば更に好ましい。
【0062】
(実施例、及び比較例の評価結果)
表3~表6に各実施例及び比較例の抗菌性、透明性、接着性の評価結果を示した。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
実施例1~10の人工爪組成物は、成分(A)第四級アンモニウム塩の含有量及び/又は種類を変更した組成物である。
実施例11~18の人工爪組成物は、成分(B)アルコールの含有量及び/又は種類を変更した組成物である。
実施例19~24の人工爪組成物は、成分(C)水の含有量を変更した組成物である。
実施例25~30、37の人工爪組成物は、成分(D)重合性化合物の含有量及び/又は種類を変更した組成物である。
実施例31~36の人工爪組成物は、成分(E)重合開始剤の含有量及び/又は種類を変更した組成物である。
これら実施例に係る人工爪組成物は、何れも抗菌活性を有し、透明性、及び接着性に優れることが認められた。実施例2、6、10、12、15、18、20、23、26、29、32、35ではより優れた特性を示し、実施例3~5、9、13、14、17、21、22、27、28、33、34、37では何れも高い抗菌活性を有し、透明性、及び接着性も高いものであった。
一方、比較例1の人工爪組成物は、成分(A)第四級アンモニウム塩を含まない組成物である。比較例1は、抗菌活性を示さなかった。比較例2の人工爪組成物は、成分(A)第四級アンモニウム塩の含有量が5質量%より多い組成物である。比較例2は、抗菌活性を示すものの、透明性及び接着性が悪かった。比較例3の人工爪組成物は、不飽和基を有する成分(A)第四級アンモニウム塩を含む組成物である。比較例3は、抗菌活性が低かった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、高い抗菌活性及び透明性を発現する人工爪組成物を提供することが可能である。