(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149310
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】超音波治療システム、超音波検査システム、治療方法、検査方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A61H23/02 341
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057817
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】517182918
【氏名又は名称】ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大岡 佳生
(72)【発明者】
【氏名】中野 学
(72)【発明者】
【氏名】星 貴之
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074AA03
4C074AA04
4C074AA05
4C074BB05
4C074CC03
4C074DD05
4C074EE10
4C074GG20
(57)【要約】
【課題】患部に接触することなく皮膚疾患の治療又は検査を行う技術を提供する。
【解決手段】皮膚疾患の患部の治療を行う超音波治療システム1は、超音波を放射するフェーズドアレイ15と、フェーズドアレイ15を制御することで、フェーズドアレイ15から放射される超音波を患部の近傍の焦点に集束させる制御手段と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚疾患の患部の治療を行う超音波治療システムであって、
超音波を放射する複数の超音波振動子と、
複数の前記超音波振動子を制御することで、複数の前記超音波振動子から放射された超音波を前記患部の近傍の焦点に集束させる制御手段と、
を有する超音波治療システム。
【請求項2】
前記患部の状態を示すセンサ情報を取得する取得手段を有し、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記センサ情報に基づいて、複数の前記超音波振動子を制御する、
請求項1に記載の超音波治療システム。
【請求項3】
前記焦点の位置を示す光を発する発光部を有する、請求項1に記載の超音波治療システム。
【請求項4】
皮膚疾患の患部の検査を行う超音波検査システムであって、
超音波を放射する複数の超音波振動子と、
複数の前記超音波振動子を制御することで、複数の前記超音波振動子から放射される超音波を前記患部の近傍の焦点に集束させる制御手段と、
前記制御手段により制御された前記超音波振動子から放射された超音波が前記患部において反射することで発生する反射波の特徴量に基づいて、前記患部の状態を判断する判断手段と、
を有する超音波検査システム。
【請求項5】
前記判断手段は、複数の超音波マイクにより受信された前記反射波の特徴量を処理することで、前記患部の状態を判断する、請求項4に記載の超音波検査システム。
【請求項6】
前記患部の特定の位置に前記焦点が位置しているかを判定する判定手段を有し、
前記判断手段は、前記患部の特定の位置に前記焦点が位置していると前記判定手段により判定された場合における前記反射波の特徴量に基づいて、前記患部の状態を判断する、
請求項4に記載の超音波検査システム。
【請求項7】
皮膚疾患の患部の治療を行う治療方法であって、
超音波を放射する複数の超音波振動子を制御することで、複数の前記超音波振動子から放射された超音波を前記患部の近傍の焦点に集束させる、
治療方法。
【請求項8】
皮膚疾患の患部の検査を行う検査方法であって、
超音波を放射する複数の超音波振動子を制御することで、複数の前記超音波振動子から放射される超音波を前記患部の近傍の焦点に集束させ、
制御された前記超音波振動子から放射された超音波が前記患部において反射することで発生する反射波の特徴量に基づいて、前記患部の状態を判断する、
検査方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の超音波治療システム、又は請求項4から請求項6の何れか1項に記載の超音波検査システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波治療システム、超音波検査システム、治療方法、検査方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水虫やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に対して、薬剤塗布による治療が行われている。薬剤が患者の体質に合わない場合や、薬剤治療による効果が不足する場合には、薬剤以外の治療方法が求められる。
特許文献1には、ニキビの患部に対してブラシヘッドによる振動を与えるとともに特定波長の光を照射することで、ニキビの治療を行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように患部に直接触れる治療方法は、かえって疾患を悪化させるおそれがある。また、目視で得られる以上の情報を得るために患部の検査を行う場合にも、患部への接触が疾患を悪化させる恐れがある。
【0005】
本開示の目的は、患部に接触することなく皮膚疾患の治療又は検査を行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の超音波治療システムは、皮膚疾患の患部の治療を行う超音波治療システムであって、超音波を放射する複数の超音波振動子と、複数の前記超音波振動子を制御することで、複数の前記超音波振動子から放射される超音波を前記患部の近傍の焦点に集束させる制御手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】超音波治療システムの構成例を示す図である。
【
図3】フェーズドアレイにより放射される超音波の集束を説明する図である。
【
図4】制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図16】フェーズドアレイの保持方法の例を示す図である。
【
図17】フェーズドアレイの移動方法の例を示す図である。
【
図18】超音波治療システムの筐体の例を示す図である。
【
図19】超音波治療システムの筐体の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0009】
(1)超音波治療システムの構成
超音波治療システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の超音波治療システムの構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、超音波治療システム1は、制御装置11と、データベース12と、出力装置13と、センサ14と、フェーズドアレイ15とを備える。データベース12と、出力装置13と、センサ14と、フェーズドアレイ15とは、それぞれ、制御装置11と有線又は無線で接続される。
【0011】
制御装置11は、超音波治療システム1に含まれる各装置を制御する。制御装置11は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0012】
データベース12は、制御装置11及びその他の機器から入力されるデータを記憶し、制御装置11からのリクエストに応じて制御装置11にデータを出力する。データベース12は、例えば、ウェブサーバである。
【0013】
出力装置13は、制御装置11から入力される情報に基づいて情報を出力する。情報の出力は、例えば画像表示又は音声出力により行われる。出力装置13は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、又はそれらの組み合わせである。
【0014】
センサ14は、患部10又は患部10近傍の状態を測定し、測定結果を示す情報を制御装置11へ出力する。センサ14は、例えば、カメラ、超音波用マイク、レーザードップラー計、又は距離計である。
【0015】
フェーズドアレイ15は、複数の超音波振動子を有し、制御装置11による制御に応じて、特定の焦点で集束する超音波を放射する。フェーズドアレイ15の詳細は
図2及び
図3を用いて後述する。
【0016】
超音波治療システム1は、フェーズドアレイ15から超音波を放射して、皮膚疾患(例えば水虫又はアトピー性皮膚炎)の患部10の近傍の焦点に超音波を集束させることで、患部10を治療する。具体的には、集束超音波により患部10近傍に超音波刺激(微細な振動)が与えられ、細胞接着分子(ケラチン及びコラーゲン)の産生が促進され、皮膚のバリア機能が向上する。その結果、患部10の炎症が抑制される。なお、超音波治療システム1による治療を行う際に、患部10に皮膚疾患の炎症を抑えるための薬剤20を塗布してもよい。薬剤20が塗布された患部10に対して超音波刺激を与えることで、薬剤がクリーミーになり、患部10の血行が良くなる。これにより、薬剤20の皮膚への浸透が促進され、患部10の炎症をさらに抑制することができる。
【0017】
なお、
図1に示す超音波治療システム1は、フェーズドアレイ15から超音波を放射して、皮膚疾患の患部10の近傍の焦点に超音波を集束させ、超音波が患部10において反射することで発生する反射波の特徴量をセンサ14により測定することで、患部10の検査を行うこともできる。すなわち、本実施形態の超音波治療システム1は、超音波検査システムとしても機能する。具体的には、患部10における皮膚の硬さにより反射波の特徴量(例えば振幅又は位相)が変化するため、反射波の特徴量の測定結果に基づいて患部10の炎症の程度や乾燥度を判断することができる。患部10の状態を定量的に測定することができるため、専門的な知見を有する医師でなくても皮膚疾患の検査を実施できる。これにより、日常的に(高頻度に)皮膚疾患の状態を確認するための患者の負担を軽減できる。
【0018】
(1-1)制御装置の構成
制御装置の構成について説明する。
図4は、本実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図4に示すように、制御装置11は、記憶装置111と、プロセッサ112と、入出力インタフェース113と、通信インタフェース114とを備える。
【0020】
記憶装置111は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置111は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0021】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0022】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0023】
プロセッサ112は、記憶装置111に記憶されたプログラムを起動することによって、制御装置11の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ112は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0024】
入出力インタフェース113は、制御装置11に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、制御装置11に接続される出力装置13に情報を出力するように構成される。入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
【0025】
通信インタフェース114は、制御装置11と超音波治療システム1に含まれる他の機器との間の通信を制御するように構成される。
【0026】
(1-2)フェーズドアレイ15の構成
フェーズドアレイ15の構成を説明する。
図2は、フェーズドアレイ15の構成を例示する図である。
図2に示すように、フェーズドアレイ15は、振動子盤16と、複数の超音波振動子15aとを有する。複数の超音波振動子15aは、振動子盤16にXY平面に沿う水平面に沿って並べられ、例えばアレイ状に配列される。複数の超音波振動子15aは、制御装置11による制御に従って駆動(すなわち振動)するように構成される。
【0027】
振動子盤16は、例えば、XY平面(つまり、Z方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という))で矩形状を有する。振動子盤16が、フェーズドアレイ15の放射面を形成している。複数の超音波振動子15aは、平面視で、六角形状をなすように、振動子盤16に配列されている。なお、振動子盤16の形状及び超音波振動子15aの配列は、
図2の例に限定されない。
【0028】
図3は、
図2に示すフェーズドアレイ15から放射された超音波が複数の焦点FP1~FP3に集束する様子を説明する図である。制御装置11は、複数の超音波振動子15aそれぞれを個別のタイミングで駆動する。各超音波振動子15aから放射される超音波は、互いに同じ音圧を有する。フェーズドアレイ15から放射される超音波は、各超音波振動子15aの振動の時間差に応じた位相差を有する。
図3に示すように、複数の超音波振動子15aのそれぞれから放射された超音波は、振動子盤16から所定の距離(以下「焦点距離」という)だけ離れた位置にある焦点FP1~FP3で集束する。すなわち、本実施形態におけるフェーズドアレイ15は、集束超音波を発生するように構成される。
【0029】
制御装置11は、各超音波振動子15aを駆動するタイミングを制御することで、
図3に例示するように、焦点の位置を任意に変更することができる。ここで、焦点距離は、フェーズドアレイ15の基準点を原点とした3次元座標系における原点からの距離で表現される。例えば、焦点FP1の焦点距離L1は、原点(0,0,0)と、FP1(x1,y1,z1)との距離となる。焦点FP2の焦点距離L2は、原点(0,0,0)と、FP2(x2,y2,z2)との距離となる。焦点FP3の焦点距離L3は、原点(0,0,0)と、FP3(x3,y3,z3)との距離となる。このように、制御装置11は、複数の超音波振動子15aから放射される集束超音波の焦点の位置を、3次元的に変更することができる。なお、
図3に示す原点の位置は、任意に変更することができる。
【0030】
(2)制御処理
本実施形態の制御処理について説明する。
図5は、本実施形態の制御装置11の動作例を示すフローチャートである。
図5の処理は、制御装置11の電源がONになり、超音波治療システム1の初期設定が終わったタイミングで開始される。ただし、
図5の処理の開始タイミングはこれに限定されない。
【0031】
制御装置11は、入力情報の取得(S130)を実行する。具体的には、制御装置11は、ユーザによる操作又はデータベース12からの入力を受け付けることで、入力情報を取得する。入力情報には、フェーズドアレイ15による超音波の放射を制御するための情報が含まれる。例えば、入力情報には、放射する超音波の強度、位相、タイミング、焦点位置、及び周波数の少なくとも何れかを示す情報が含まれる。
【0032】
制御装置11は、超音波の放射(S131)を実行する。具体的には、制御装置11は、取得した入力情報に基づく制御指示をフェーズドアレイ15に送信することで、フェーズドアレイ15から入力情報に応じた集束超音波を放射させる。
【0033】
制御装置11は、センサ情報の取得(S132)を実行する。具体的には、制御装置11は、センサ14が患部10又はその近傍の状態を測定することで得られたセンサ情報を、センサ14から取得する。センサ情報には、例えば、患部10を撮影した画像、超音波振動によるセンサ14と患部10との距離の変化を示す情報、及び患部10で超音波が反射することで発生した反射波の特徴量を示す情報の、少なくとも何れかが含まれる。
【0034】
制御装置11は、制御を終了するか否かの判定(S133)を実行する。具体的には、超音波照射を終了するための指示が制御装置に入力された場合、又は特定の条件が満たされた場合に、制御装置11は制御を終了すると判定し、
図5の処理を終了する。特定の条件には、例えば、超音波の照射時間が所定の時間に達したこと、又は超音波の放射先に患部10が存在しなくなったことが含まれる。
【0035】
一方、制御を終了しないと判定した場合、制御装置11は、S131に戻って超音波の放射を行う。この際、制御装置11は、S130において取得した入力情報を、S132において取得したセンサ情報に基づいて更新してもよい。すなわち、制御装置11は、センサ14から取得したセンサ情報に基づいてフェーズドアレイ15を制御してもよい。
【0036】
(3)超音波治療の説明
図6を用いて超音波治療の例を説明する。フェーズドアレイ15は、制御装置11による制御に応じて各超音波振動子から超音波パルスを放射し、皮膚疾患の患者の皮膚における患部10の近傍の焦点で超音波を集束させる。集束超音波により患部10に起こされる微小な振動により、皮膚のバリア機能が向上し、炎症が軽減される。このような構成により、非接触で且つ低侵襲な方法で、皮膚疾患の治療を行うことができる。
【0037】
また、センサ14は、超音波放射時における患部10の状態を測定する。例えば、センサ14としてカメラ又はレーザードップラー計を用い、患部10における皮膚の変位を測定することで、制御装置11は、患部10がどの程度振動しているか(すなわちどの程度の強度の超音波刺激を患部10に与えられているか)を判断する。そして制御装置11は、センサ情報に基づいて、フェーズドアレイ15から放射される超音波の強度を調整する。これにより、適切な強度の超音波刺激を患部に与えることができる。
【0038】
また、センサ14は、患部10の状態を測定するものに限定されない。例えば、センサ14は、患者が存在する空間における気温や湿度などの環境情報を測定してもよい。気温や湿度により、患部10の皮膚の硬さ(すなわち超音波による振動のしやすさ)は変化しうる。そこで制御装置11は、センサ14から取得した環境情報に応じて、超音波の強度を調整してもよい。これにより、より適切な強度の超音波刺激を患部に与えることができる。
【0039】
また、制御装置11は、カメラや距離計などのセンサ14による測定結果に基づいて、超音波の放射先(すなわちフェーズドアレイ15に対向する位置)に患部10が存在するか否かを判断してもよい。そして制御装置11は、患部10が存在しない場合に、超音波の放射が停止されるようにフェーズドアレイ15を制御してもよい。これにより、患部10以外の対象が超音波に暴露することを抑制できる。なお、制御装置11は、超音波の放射有無だけではなく、放射強度を制御してもよい。例えば、患部10と超音波の焦点とがずれている場合に放射強度を弱くし、患部10と超音波の焦点とが一致している場合に放射強度を強くしてもよい。
【0040】
なお、患部10の範囲が広い場合には、広い範囲に超音波刺激を与えることが望ましい。そこで制御装置11は、フェーズドアレイ15から放射される超音波が集束する焦点位置を制御する。
図7は、焦点制御の例を示す図である。例えば、
図7(a)に示すように、フェーズドアレイ15は支持部71により支持され、支持部71はアクチュエータにより可動となるように構成される。制御装置11は、アクチュエータを制御して支持部71を動かすことで、フェーズドアレイ15の傾きを制御する。フェーズドアレイ15の傾きが変化すると、それに伴って超音波が集束する焦点位置が移動する。このようにして焦点位置を連続的に移動させることで、照射範囲70の全体に超音波刺激を与えることができる。
【0041】
また例えば、
図7(b)に示すように、制御装置11は、フェーズドアレイ15に含まれる複数の超音波振動子が放射する超音波の位相を制御することにより、焦点位置を移動させる。また例えば
図7(c)に示すように、制御装置11は、フェーズドアレイ15に含まれる複数の超音波振動子が放射する超音波の位相を制御することにより、複数の焦点72において超音波を集束させる。超音波振動は焦点の近傍にも伝達するため、複数の焦点72に超音波を集束させることで、広い範囲に超音波刺激を与えることができる。ここで、制御装置11は、複数の焦点72に同時に超音波が集束するように制御してもよいし、複数の焦点72に順番に超音波が集束するように制御してもよい。
【0042】
(3)超音波検査の説明
図8を用いて超音波検査の例を説明する。フェーズドアレイ15は、制御装置11による制御に応じて各超音波振動子から超音波パルスを放射し、皮膚疾患の患者の皮膚における患部10の近傍の焦点で超音波を集束させる。センサ14は、超音波マイクにより構成され、フェーズドアレイ15から放射された超音波が患部10において反射することで発生した反射波80を受信する。そしてセンサ14は、受信した反射波80の波形に基づいて、反射波80の特徴量(例えば位相及び振幅)を測定する。患部10の肌状態(例えば炎症の程度や乾燥度)により患部10の弾性が変化し、患部10の弾性に応じて反射波の特徴量が変化する。そのため、センサ14からセンサ情報を取得することで、制御装置11は、非接触で且つ低侵襲な方法で、患部10の状態を検査することができる。
【0043】
また、制御装置11は、センサ14による反射波80の測定結果に基づいて、超音波の放射先(すなわちフェーズドアレイ15に対向する位置)に患部10が存在するか否かを判断してもよい。そして制御装置11は、患部10が存在しない場合に、超音波の放射が停止されるようにフェーズドアレイ15を制御してもよい。これにより、患部10以外の対象が超音波に暴露することを抑制できる。なお、制御装置11は、超音波の放射有無だけではなく、放射強度を制御してもよい。例えば、患部10と超音波の焦点とがずれている場合に放射強度を弱くし、患部10と超音波の焦点とが一致している場合に放射強度を強くしてもよい。
【0044】
また、超音波治療システム1が上述した超音波治療と超音波検査との両方を行う場合、制御装置11は、センサ14から取得したセンサ情報に基づいて、超音波治療時のフェーズドアレイ15による超音波放射を制御してもよい。これにより、患部10の状態の検査結果に応じた適切な治療が可能となる。
【0045】
なお、患部の硬さの測定方法は反射波の特徴量に基づく測定に限定されない。例えば、
図6に示すようにセンサ14としてカメラを用いる構成において、制御装置11は、センサ14から患部10の撮影画像を取得し、超音波振動による患部の変位量を判断する。患部10の皮膚が硬いほど、同じ音圧を付加した際の変位は小さくなるため、制御装置11は、変位量に基づいて患部の硬さを測定することができる。
【0046】
また、センサ14は、患部10の状態を測定するものに限定されない。例えば、センサ14は、患者が存在する空間における気温や湿度などの環境情報を測定してもよい。気温や湿度により、同じ炎症度合でも患部10の皮膚の硬さは変化しうる。そこで制御装置11は、センサ14から取得した環境情報と反射波の測定結果とに応じて、患部10の炎症度合を判断してもよい。これにより、炎症度合の検査の精度を向上させることができる。
【0047】
なお、皮膚疾患の重症度を判断するためには、広い範囲の皮膚の状態を検査することが望ましい。そこで制御装置11は、フェーズドアレイ15から放射される超音波が集束する焦点位置を制御する。
図9は、焦点制御の例を示す図である。例えば、
図7(a)に示すように、制御装置11は、フェーズドアレイ15に含まれる複数の超音波振動子が放射する超音波の位相を制御することにより、焦点位置を移動させる。このようにして焦点位置を連続的に移動させることで、広い範囲の皮膚の状態を検査することができる。
【0048】
また例えば、
図7(b)に示すように、制御装置11は、患部10より広い範囲の検査範囲90内を焦点が移動するようにフェーズドアレイ15を制御してもよい。そして、制御装置11は、焦点を移動させながら取得したセンサ情報に対して所定の統計処理を行うことで、患部10の近傍に焦点が位置していた時点における反射波の特徴量を取得してもよい。このような構成によれば、ユーザがフェーズドアレイ15を患部に対して厳密に位置合わせしなくても、制御装置11は患部10の状態を検査することができる。
【0049】
(4)別の超音波検査方法の説明
図10を用いて、反射波の測定とは別の方法による超音波検査を説明する。フェーズドアレイ15は、制御装置11による制御に応じて各超音波振動子から超音波パルスを放射し、皮膚疾患の患者の皮膚における患部10の近傍の焦点で超音波を集束させる。ここで、制御装置11は、超音波強度を変化させながら、複数回の超音波放射をフェーズドアレイ15に行わせる。患者は、超音波が放射されたタイミングで、患部10における超音波刺激を知覚したか否かを制御装置11に入力する。
【0050】
例えば、
図10(a)に示すように炎症が重症である場合、患者は患部10に対する刺激に敏感であるため、超音波強度が弱い際でも超音波刺激を知覚する。一方、
図10(b)に示すように炎症が軽傷である場合、患者は患部10に対する刺激に鈍感であるため、超音波強度が強くならないと超音波刺激を知覚しない。
【0051】
そこで制御装置11は、患者による知覚有無の入力とその際の超音波強度とに基づいて、患者が超音波刺激を知覚可能な閾値となる超音波強度を判定する。そして制御装置11は、閾値の超音波強度が低いほど、患部10の炎症が重症であると判断する。このような方法により、制御装置11は、患部10の炎症度合を検査することができる。
【0052】
(5)集束超音波の位置合わせ
フェーズドアレイ15から放射される超音波は焦点で集束する。焦点が患部10の近傍に位置する場合に、患部10に対して大きい超音波刺激を与えることができる。そこで、超音波治療システム1は、集束超音波の位置合わせ(患部10の近傍の焦点で超音波が集束するようにする調整)を容易にするための構成を有する。
【0053】
図11を用いて焦点の可視化方法の例を説明する。例えば、
図11(a)に示すように、超音波治療システム1は、レーザー光を発する複数の発光部61を有する。そして、複数の発光部61から発されたレーザー光は、フェーズドアレイ15から放射される超音波の焦点位置において交差する。このような構成によれば、ユーザは、患部10の位置でレーザー光が交差しているかどうかを見ることにより、患部10の位置で超音波が集束しているかを判断することができる。集束位置が患部10からずれている場合、ユーザは患部10またはフェーズドアレイ15を動かして調整することができる。
【0054】
また例えば、
図11(b)に示すように、超音波治療システム1は、LEDとレンズを有する発光部62を備える。発光部62から発された光は、フェーズドアレイ15から放射される超音波の焦点位置において集束する。このような構成によれば、ユーザは、照射された光が患部10の位置で集束しているかを見ることにより、患部10の位置で超音波が集束しているかを判断することができる。集束位置が患部10からずれている場合、ユーザは患部10またはフェーズドアレイ15を動かして調整することができる。
【0055】
なお、
図11に示すように超音波の放射方向に応じて光を発することで、どの方向に超音波が放射されているかをユーザに対して示すこともできる。また、患者の皮膚で反射した光の方向により、患者の皮膚で反射した超音波の放射方向も示すことができる。これにより、ユーザは超音波がどの方向に漏れているかを認識することができ、意図しない超音波暴露を抑制することができる。制御装置11は、フェーズドアレイ15からの超音波の放射有無に合わせて、発光部61又は発光部62の発光の有無を制御してもよい。
【0056】
図12を用いて、放射位置のずれ検出の例を説明する。例えば
図12(a)に示すように、カメラとして構成されたセンサ14は、フェーズドアレイ15による超音波の放射先の位置を撮影する。そして制御装置11は、センサ14から取得した撮影画像に基づいて、超音波の放射先に患部10が位置するかを判定し、判定結果を出力装置13に出力する。これにより、ユーザは出力装置13の表示を見ることで、集束位置が患部10からずれているか否かを認識できる。なお、制御装置11は、フェーズドアレイ15又は患部をどちらの方向に動かせば位置合わせに成功するかを示す情報を、出力装置13に出力してもよい。これにより、ユーザの利便性がさらに向上する。
【0057】
また例えば
図12(b)に示すように、超音波マイクとして構成されたセンサ14は、患者の皮膚により反射した超音波の反射波の特徴量を測定する。そして制御装置11は、センサ14から取得した特徴量に基づいて、超音波の放射先に患部10が位置するかを判定し、判定結果を出力装置13に出力する。この場合、複数の超音波マイクをセンサ14として使用し、各マイクが受信した反射波を比較することで、より高精度に、焦点と患部10との位置ずれを検出することができる。
【0058】
また、上述したような超音波検査を行う場合、焦点が患部10に位置合わせされているだけでなく、複数回の検査時において患部10の同じ位置に焦点を位置させることができれば、同じ位置における皮膚状態の測定結果の変化を比較することができるため望ましい。そこで
図13に示すように、制御装置11は、センサ14から取得した撮影画像を、過去の超音波検査時にセンサ14から取得した撮影画像と比較することで、過去の検査時の焦点位置52と現在の焦点位置51とのずれを判定してもよい。2つの撮影画像の比較には、例えば特徴点抽出やパターンマッチングを用いることができる。そして制御装置11は、ずれ判定の結果に基づいて、過去と現在の焦点位置を合わせるためのユーザへの指示を出力装置13に出力してもよい。あるいは、制御装置11は、アクチュエータを制御してフェーズドアレイ15を移動させることで、現在の焦点位置51を過去の焦点位置52に近づけてもよい。このような構成によれば、複数の異なる時点で超音波検査を行う際に、患者の皮膚の同じ位置における状態を測定することができる。なお、上述した超音波治療を行う場合にも、同様の方法を用いることで、複数回の治療において同じ位置に超音波刺激を与えることができる。
【0059】
図14を用いて超音波の放射角度の調整について説明する。上述した超音波治療を行う場合、フェーズドアレイ15の中心と超音波の焦点とを結ぶ直線が患部10に対して垂直になっているときが、最も効率的に患部10に超音波刺激を与えられる。また、上述した超音波検査を行う場合、フェーズドアレイ15の傾きによってセンサ14が受信する反射波の特徴量が変化してしまうため、毎回同じ傾き(例えばフェーズドアレイ15の中心と超音波の焦点とを結ぶ直線が患部10に対して垂直になる角度)になっていることが望ましい。
【0060】
例えば、
図14(a)に示す状態では、フェーズドアレイ15から放射された超音波の反射波は、センサ14-1とセンサ14-2の両方に同じ程度の強度で届く。一方、
図14(b)に示す状態では、センサ14-1が受信する超音波の強度は、センサ14-2が受信する超音波の強度よりも強くなる。制御装置11は、複数のセンサ14からセンサ情報を取得して比較することで、患部10に対するフェーズドアレイ15の傾きを判断する。そして制御装置11は、フェーズドアレイ15が傾いていると判断した場合に、傾いていることを示す情報又は傾きを調整することをユーザに促す通知を、出力装置13に出力する。
【0061】
あるいは、
図14(b)に示すように、制御装置11は、フェーズドアレイ15から放射される超音波の位相を制御することで、フェーズドアレイ15の中心と超音波の焦点とを結ぶ直線が患部10に対して垂直になるように調整を行う。具体的には、制御装置11は、複数のセンサ14から取得したセンサ情報の差分に基づいてフェーズドアレイ15の制御を行う。これにより、効率的に超音波治療又は超音波検査を行うことが可能となる。なお、制御装置11は、位相制御の代わりに、フェーズドアレイ15を動かすアクチュエータ制御することで、フェーズドアレイ15の傾きを補正してもよい。
【0062】
図15を用いて、超音波の放射距離の調整について説明する。上述した超音波治療を行う場合も、超音波検査を行う場合も、超音波を患部10の近傍の焦点で集束させることで、効率的な治療又は検査が可能となる。一方、フェーズドアレイ15の放射面から患部10までの距離と、フェーズドアレイ15から焦点までの距離とが異なる場合、十分な超音波振動を患部10に付加することができない。そこで、
図15(a)に示すように、制御装置11は、フェーズドアレイ15から放射された超音波が患部10で反射してセンサ14により受信されるまでの伝搬時間を測定し、伝搬時間と音速に基づいて、フェーズドアレイ15の放射面から患部10までの距離を計算する。なお、
図15(a)ではフェーズドアレイ15が有する超音波振動子をセンサ14として用いる例を示しているが、超音波マイクを有するセンサ14をフェーズドアレイ15とは別に設けてもよい。また、超音波の伝達時間以外の方法で距離を計測する距離計をセンサ14に用いてもよい。
【0063】
計測したフェーズドアレイ15から患部10までの距離が、フェーズドアレイ15から焦点までの距離と異なっていた場合、制御装置11は、距離がずれていることを示す情報又は距離を調整することをユーザに促す通知を、出力装置13に出力する。
【0064】
あるいは、
図15(b)に示すように、制御装置11は、フェーズドアレイ15から放射される超音波の位相を制御することで、フェーズドアレイ15から患部10までの距離を、フェーズドアレイ15から焦点までの距離と一致させる。具体的には、制御装置11は、センサ14から取得したセンサ情報の差分に基づいてフェーズドアレイ15の制御を行う。これにより、効率的に超音波治療又は超音波検査を行うことが可能となる。なお、制御装置11は、位相制御の代わりに、フェーズドアレイ15を動かすアクチュエータ制御することで、フェーズドアレイ15と患部10との距離を補正してもよい。
【0065】
以上の説明では、超音波の放射位置、放射角度、及び放射距離の少なくとも何れかがずれている場合に、それらを補正する構成について説明した。ただしこれに限らず、超音波検査時において上記のずれが検出された場合に、制御装置11は、センサ14から取得したセンサ情報を、検出したずれの情報に基づいて処理することで、センサ情報の補正を行ってもよい。
【0066】
(6)フェーズドアレイの保持方法
上述したように、効率的に超音波治療又は超音波検査を行うためには、患部10とフェーズドアレイ15とを所定の位置関係に保つことが要求される。以下ではそのためのハードウェア構成の例を説明する。
【0067】
図16(a)は、フェーズドアレイ15にユーザが把持可能な把持部161を設ける例を示す。ユーザは把持部151を把持してフェーズドアレイ15を動かすことで、任意の患部10に対して集束超音波を照射させることができる。
【0068】
図16(b)は、フェーズドアレイ15に、フェーズドアレイ15を支持する支持部162を設け、支持部162を患者の身体の患部10周辺に固定部163を介して固定する例を示す。このような構成によれば、患者が身体を動かしても、患部10とフェーズドアレイ15との位置関係が維持される。また、ユーザがフェーズドアレイ15を把持する必要がないため、ユーザの負担を軽減できる。支持部162及び固定部163は、患者の身体部位ごとに最適な形状に構成されていてもよい。この場合、支持部162及び固定部163をフェーズドアレイ15に対して着脱可能な構成とすることで、様々な身体部位に適用することができる。
【0069】
図16(c)は、フェーズドアレイ15に、フェーズドアレイ15を支持する支持部164を設け、支持部164を物体165に固定する例を示す。物体165は、例えば、机やいすなどの家具である。このような構成によれば、患者の身体に部品を接触させることなく、フェーズドアレイ15を特定の位置に固定できる。
【0070】
図17(a)は、フェーズドアレイ15に、フェーズドアレイ15を支持する支持部171を設ける例を示す。支持部171は患者の身体に固定されておらず、身体に沿ってスライド移動可能である。このような構成によれば、フェーズドアレイ15と患者の皮膚との距離を保ちながら、集束超音波を照射する対象部位を変えることが可能となる。
【0071】
図17(b)は、フェーズドアレイ15に、フェーズドアレイ15を支持する支持部171と、フェーズドアレイ15に対して所定の方向(
図17(b)の下方向)の力を加えるダンパー部材172とを設け、ダンパー部材172をスライド部材173に接続する例を示す。スライド部材173は所定の方向(
図17(b)の左右方向)にスライド移動可能である。このような構成によれば、患者の身体の曲面に沿ってフェーズドアレイ15及び支持部171を移動させた場合であっても、フェーズドアレイ15と患者の皮膚との距離を保ちつつ、さらに患者の皮膚に対するフェーズドアレイ15の向きを一定に保つことが可能となる。
【0072】
図18(a)は、半円筒形状の筐体181の内面にフェーズドアレイ15を設ける例を示す。患者180が筐体181の内部の所定の位置に入ることで、患者とフェーズドアレイ15とが所定の位置関係に保たれる。また、
図18(b)に示すように、筐体181の内面に、複数のフェーズドアレイ15を設けてもよい。このような構成に寄れば、患者の身体の複数の部位に対して同時に集束超音波を照射することができ、全身の治療及び検査が可能となる。
【0073】
図19は、開口部を有する筒形状の筐体191の内面にフェーズドアレイ15を設ける例を示す。患者190が患部を筐体191の内部の所定の位置に入れることで、患部とフェーズドアレイ15とが所定の位置関係に保たれる。なお、筐体191の開口部の直径を、人間の頭部の直径よりも小さくすることで、人間の頭部を筐体191の内部に入れられないようにしてもよい。これにより、目や耳などの敏感な部位に対して意図せず集束超音波が放射されることを回避できる。
【0074】
なお、上述した各例におけるフェーズドアレイ15及びその筐体の角部分及び突起部分には、ゴム製の保護部材を設けてもよい。これにより、患者がフェーズドアレイ15を落下させた場合やぶつかった場合におけるケガを抑制できる。
【0075】
また、制御装置11は、フェーズドアレイ15またはその筐体に所定のカギが挿入されていない場合、フェーズドアレイ15から超音波が放射されないように制御してもよい。あるいは、制御装置11は、フェーズドアレイ15またはその筐体が所定の向きになっていない場合、フェーズドアレイ15から超音波が放射されないように制御してもよい。あるいは、制御装置11は、フェーズドアレイ15またはその筐体が接地していない場合、フェーズドアレイ15から超音波が放射されないように制御してもよい。これにより、意図しない超音波暴露を抑制できる。
【0076】
(7)ユーザインターフェース
制御装置11は、ユーザ操作に応じて超音波治療システム1を制御し、また、超音波治療システム1が取得した情報を出力装置13に出力することができる。ユーザ操作により制御装置11に入力される情報は、例えば、以下の何れかを含みうる。
・患者の年齢
・患部の身体部位
・患者の体温
・患者の既病歴
・患者の知覚情報
・空間の温度
・空間の湿度
【0077】
制御装置11に入力された情報に応じて制御装置11が行う制御は、例えば、以下の何れかを含みうる。
・超音波放射のON/OFF
・システムの緊急停止
・超音波の出力値の変更
・治療モードと検査モードの切り替え
・超音波の集束モード(例えば1点集束モード、多点集束モード、及び焦点移動モード)の切り替え
・超音波の放射時間の設定
【0078】
制御装置11が出力装置13に出力する情報は、例えば、以下の何れかを含みうる。
・超音波が放射中か否か
・超音波の放射強度
・超音波の放射継続時間
・治療又は検査の完了までの残り放射時間
・超音波測定の結果(例えば、皮膚の硬さ、乾燥度、炎症度、又は上皮被覆率)
・フェーズドアレイ15の位置合わせのための情報(例えば、傾き、ずれ量、比較画像の一致度)
・炎症の状態に対する対処法
【0079】
また、制御装置11は、超音波治療システム1により取得した情報を、データベース12に出力してもよい。データベース12は、制御装置11から入力された情報を記憶する。制御装置11は、治療又は検査の際にデータベース12に記憶された情報を用いることで、過去の治療履歴又は検査履歴に基づいて効率的に治療又は検査を行うことができる。また、患者を診察する医師が、データベース12に記憶された情報を診察に用いることもできる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 超音波治療システム
10 患部
11 制御装置
12 データベース
13 出力装置
14 センサ
15 フェーズドアレイ