(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149338
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ライトガイドの輝度検査方法およびライトガイドの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20231005BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20231005BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231005BHJP
【FI】
G01M11/00 T
F21V8/00 310
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057860
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】中谷 篤史
(72)【発明者】
【氏名】坂元 飛鳥
【テーマコード(参考)】
2G086
3K244
【Fターム(参考)】
2G086EE12
3K244AA04
3K244DA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各ピラーの照光領域の重なりを低減可能なライトガイドの輝度検査方法およびライトガイドの製造方法を提供する。
【解決手段】所定方向に互いに隣接する一方のピラーのみの先端部が開口部から露出するように遮光マスクをセットする第1セッティング工程と、光源から第1セッティング工程後の遮光マスク越しにピラーに向けて照光する第1照光工程と、一方のピラーから照光面を通ってスクリーンに映った照光領域を検査する第1検査工程と、一方のピラーを遮光し、他方のピラーのみの先端部が開口部から露出するように遮光マスクをセットする第2セッティング工程と、光源から第2セッティング工程後の遮光マスク越しにピラーに向けて照光する第2照光工程と、他方のピラーから照光面を通ってスクリーンに映った照光領域を検査する第2検査工程と、を含むライトガイドの輝度検査方法、およびその検査方法を含むライトガイドの製造方法に関する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトガイドの輝度検査方法であって、
前記ライトガイドは、一方の面に突出部としての複数本のピラーを備えると共に、当該一方の面と反対側の面に、前記ピラー側から入光した光が前記ライトガイドの内部を導光して出光する照光面を備えており、
前記輝度検査方法は、
前記複数本のピラーの内の一部のピラーから入光させると共に、当該一部以外の他のピラーからの入光を遮光する1または2以上の遮光マスクを用いて輝度を検査する方法であって、
前記複数本のピラーにおける所定方向に互いに隣接する一方の前記ピラーのみの先端部が前記遮光マスクの開口部から露出するように前記遮光マスクをセットする第1セッティング工程と、
前記遮光マスクに対して前記ピラーと反対側の光源から、前記第1セッティング工程後の前記遮光マスク越しに前記ピラーに向けて照光する第1照光工程と、
前記一方の前記ピラーから前記照光面を通って前記スクリーンに映った照光領域を、前記輝度検査装置を用いて検査する第1検査工程と、
前記一方の前記ピラーを遮光し、前記一方の前記ピラー以外の他方の前記ピラーの一部若しくは全部のみの先端部が前記遮光マスクの開口部から露出するように前記遮光マスクをセットする第2セッティング工程と、
前記光源から、前記第2セッティング工程後の前記遮光マスク越しに前記ピラーに向けて照光する第2照光工程と、
前記他方の前記ピラーから前記照光面を通って前記スクリーンに映った照光領域を、前記輝度検査装置を用いて検査する第2検査工程と、
を含むことを特徴とするライトガイドの輝度検査方法。
【請求項2】
前記遮光マスクは、前記一方の前記ピラーのみの先端部を前記開口部から露出させる第1開口群と、前記他方の前記ピラーの一部若しくは全部のみの先端部を前記開口部から露出させる第2開口群と、を共にまたは別々に有する1または2以上の遮光マスクであって、
前記第1セッティング工程は、前記第1開口群の開口部から前記一方の前記ピラーの先端部が露出するように前記遮光マスクをセットする工程であり、
前記第2セッティング工程は、前記第2開口群の開口部から前記他方の前記ピラーの先端部が露出するように前記遮光マスクをセットする工程であることを特徴とする請求項1に記載のライトガイドの輝度検査方法。
【請求項3】
前記遮光マスクは、前記第1開口群と前記第2開口群とを有した1つのマスクであって、
前記第2セッティング工程は、前記第1セッティング工程の状態から、前記遮光マスクおよび前記ライトガイドの内の少なくとも一方を他方と相対的に移動させて行われることを特徴とする請求項2に記載のライトガイドの輝度検査方法。
【請求項4】
前記遮光マスクは、前記第1開口群と前記第2開口群とを、前記所定方向と異なる方向に離して配置しており、
前記第2セッティング工程は、前記第1セッティング工程の状態から、前記遮光マスクおよび前記ライトガイドの内の少なくとも一方を前記所定方向と異なる方向に移動させて行われることを特徴とする請求項3に記載のライトガイドの輝度検査方法。
【請求項5】
前記遮光マスクは、前記第1開口群と前記第2開口群とを、前記所定方向と同じ方向に離して配置しており、
前記第2セッティング工程は、前記第1セッティング工程の状態から、前記遮光マスクおよび前記ライトガイドの内の少なくとも一方を前記所定方向と同じ方向に移動させて行われることを特徴とする請求項3に記載のライトガイドの輝度検査方法。
【請求項6】
前記遮光マスクは、円板の形状を有し、
前記第1開口群と前記第2開口群は、前記円板の面の周方向に沿って離して配置されており、
前記第2セッティング工程は、前記第1セッティング工程の状態から、前記遮光マスクおよび前記ライトガイドの内の少なくとも一方を前記円板の中心に沿って回転させて行われることを特徴とする請求項3に記載のライトガイドの輝度検査方法。
【請求項7】
ライトガイドの製造方法であって、
前記ライトガイドは、一方の面に突出部としての複数本のピラーを備えると共に、当該一方の面と反対側の面に、前記ピラー側から入光した光が前記ライトガイドの内部を導光して出光する照光面を備えており、
前記製造方法は、
透光性を有する材料を用いて前記ライトガイドの形状に賦形する賦形工程と、
前記賦形工程後に、前記ライトガイドの輝度を検査する検査工程と、
を含み、
前記検査工程は、請求項1から6のいずれか1項に記載のライトガイドの輝度検査方法を含む工程であることを特徴とするライトガイドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトガイドの輝度検査方法およびライトガイドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明装置として、フィラメントを備えるハロゲン電球や当該ハロゲン電球を利用した照明装置が普及していた。しかしながら、近年における省電力および長寿命化のニーズに伴い、LED等の発光素子を光源として利用するLED電球若しくはLEDランプ、又はLEDを用いた照明装置の普及が進んでいる。このようなLEDを用いた照明装置には、LEDからの光を一方から集光して内部に導き他端から発光可能なライトガイドが搭載されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
上記特許文献1に開示される公知のライトガイドは、その厚さ方向一端側に複数本のピラーと称する突出部と、他端側にほぼ平滑な照光面と、を備える。当該ライトガイドの製造工程の後半では、各ピラーの輝度の検査が行われる。ピラーの内部に気泡や傷が存在し、あるいはピラーが部分的に低透光性を有すると、特定のピラーの輝度が低くなり、ライトガイドの照光面に低輝度の領域が生じるリスクがある。ライトガイドの輝度検査は、このような欠陥品を市場に出す前にはじくために実施される。
【0004】
図12は、ライトガイドの輝度を検査する従来の方法を説明するための図を示す。
【0005】
検査に先立ち、ライトガイド1のピラー11側であってピラー11から離れた位置に、光源2が配置される。ライトガイド1の照光面10側であって、照光面10から離れた位置にスクリーン3が配置される。スクリーン3への投影を撮像して輝度を測定する輝度測定装置4は、スクリーン3の斜め前であってライトガイド1に重ならない位置に配置される。光源2から光をライトガイド1のピラー11に向けて照射すると、その光は、各ピラー11に入り、照光面10から発光し、スクリーン3に投影される。次に、輝度測定装置4を用いてスクリーン3の投影面に輝度の異常領域がないかどうかが検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図13は、
図12の方法でスクリーンに投影された照光領域およびその一部Aの拡大図を例示する。
【0008】
従来の輝度の検査手法では、隣り合うピラーからの照光領域5同士が重なり合うことがある。特に、隣り合うピラー11,11の隙間が小さい場合には、照光領域5同士の重なり合う領域6が大きくなる。このような領域6が多いと、導光特性の低いピラー11があっても、発見しにくい。このため、照光領域5同士が重なることを防止して精度の高い輝度検査を行うことが求められている。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、各ピラーの照光領域の重なりを低減可能なライトガイドの輝度検査方法およびライトガイドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係るライトガイドの輝度検査方法において、
前記ライトガイドは、一方の面に突出部としての複数本のピラーを備えると共に、当該一方の面と反対側の面に、前記ピラー側から入光した光が前記ライトガイドの内部を導光して出光する照光面を備えており、
前記輝度検査方法は、
前記複数本のピラーの内の一部のピラーから入光させると共に、当該一部以外の他のピラーの一部または全部からの入光を遮光する1または2以上の遮光マスクを用いて輝度を検査する方法であって、
前記複数本のピラーにおける所定方向に互いに隣接する一方の前記ピラーのみの先端部が前記遮光マスクの開口部から露出するように前記遮光マスクをセットする第1セッティング工程と、
前記遮光マスクに対して前記ピラーと反対側の光源から、前記第1セッティング工程後の前記遮光マスク越しに前記ピラーに向けて照光する第1照光工程と、
前記一方の前記ピラーから前記照光面を通って前記スクリーンに映った照光領域を、前記輝度検査装置を用いて検査する第1検査工程と、
前記一方の前記ピラーを遮光し、前記一方の前記ピラー以外の他方の前記ピラーの一部若しくは全部のみの先端部が前記遮光マスクの開口部から露出するように前記遮光マスクをセットする第2セッティング工程と、
前記光源から、前記第2セッティング工程後の前記遮光マスク越しに前記ピラーに向けて照光する第2照光工程と、
前記他方の前記ピラーから前記照光面を通って前記スクリーンに映った照光領域を、前記輝度検査装置を用いて検査する第2検査工程と、
を含む。
(2)別の実施形態に係るライトガイドの輝度検査方法において、好ましくは、
前記遮光マスクは、前記一方の前記ピラーのみの先端部を前記開口部から露出させる第1開口群と、前記他方の前記ピラーの一部若しくは全部のみの先端部を前記開口部から露出させる第2開口群と、を共にまたは別々に有する1または2以上の遮光マスクであって、
前記第1セッティング工程は、前記第1開口群の開口部から前記一方の前記ピラーの先端部が露出するように前記遮光マスクをセットする工程であり、
前記第2セッティング工程は、前記第2開口群の開口部から前記他方の前記ピラーの先端部が露出するように前記遮光マスクをセットする工程であっても良い。
(3)別の実施形態に係るライトガイドの輝度検査方法において、好ましくは、
前記遮光マスクは、前記第1開口群と前記第2開口群とを有した1つのマスクであって、
前記第2セッティング工程は、前記第1セッティング工程の状態から、前記遮光マスクおよび前記ライトガイドの内の少なくとも一方を他方と相対的に移動させて行われても良い。
(4)別の実施形態に係るライトガイドの輝度検査方法において、好ましくは、
前記遮光マスクは、前記第1開口群と前記第2開口群とを、前記所定方向と異なる方向に離して配置しており、
前記第2セッティング工程は、前記第1セッティング工程の状態から、前記遮光マスクおよび前記ライトガイドの内の少なくとも一方を前記所定方向と異なる方向に移動させて行われても良い。
(5)別の実施形態に係るライトガイドの輝度検査方法において、好ましくは、
前記遮光マスクは、前記第1開口群と前記第2開口群とを、前記所定方向と同じ方向に離して配置しており、
前記第2セッティング工程は、前記第1セッティング工程の状態から、前記遮光マスクおよび前記ライトガイドの内の少なくとも一方を前記所定方向と同じ方向に移動させて行われても良い。
(6)別の実施形態に係るライトガイドの輝度検査方法において、好ましくは、
前記遮光マスクは、円板の形状を有し、
前記第1開口群と前記第2開口群は、前記円板の面の周方向に沿って離して配置されており、
前記第2セッティング工程は、前記第1セッティング工程の状態から、前記遮光マスクおよび前記ライトガイドの内の少なくとも一方を前記円板の中心に沿って回転させて行われても良い。
(7)上記目的を達成するための一実施形態に係るライトガイドの製造方法において、
前記ライトガイドは、一方の面に突出部としての複数本のピラーを備えると共に、当該一方の面と反対側の面に、前記ピラー側から入光した光が前記ライトガイドの内部を導光して出光する照光面を備えており、
前記製造方法は、
透光性を有する材料を用いて前記ライトガイドの形状に賦形する賦形工程と、
前記賦形工程後に、前記ライトガイドの輝度を検査する検査工程と、
を含み、
前記検査工程は、上述のいずれか1つのライトガイドの輝度検査方法を含む工程である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、各ピラーの照光領域の重なりを低減可能なライトガイドの輝度検査方法およびライトガイドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る検査方法および当該検査の工程を含む製造方法の対象となるライトガイドの正面図(a)、背面図(b)および平面図(c)を示す。
【
図2】
図2は、
図1のライトガイドの背面側に遮光マスクを配置した状態から、ライトガイドおよび/または遮光マスクを相対的に移動させた状態を示す。
【
図3】
図3は、
図1のライトガイドをピラー側から見た図を示す。
【
図4】
図4は、
図1のライトガイドのピラーを2つのグループに分けて遮光マスクの移動により各グループで入光を切り替える機器を説明するための図を示す。
【
図5】
図5は、
図4の入光の切り替えを実現するための遮光マスクの移動を説明するための図を示す。
【
図6】
図6は、所定方向において互いに隣接するピラーの内の一方のピラーのみから入光させたときに、およびその状態から遮光マスクを移動させて、当該一方のピラー以外の他方のピラーのみから入光させたときにスクリーンに投影された各照光領域を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るライトガイドの製造方法およびライトガイドの検査方法のフロー図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の変形例1に係るライトガイドの輝度検査方法および製造方法を説明するための図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の変形例2に係るライトガイドの輝度検査方法および製造方法を説明するための図を示す。
【
図10】
図10は、本発明の変形例3に係るライトガイドの輝度検査方法および製造方法を説明するための図であって、ライトガイドと、遮光マスクと、枠体とを平面視にて示す。
【
図11】
図11は、枠体、遮光マスク、ライトガイドの順に重ねて、第1セッティング工程の状態から第2セッティング工程を実行して、入光するピラーを切り替える状況を説明する図を示す。
【
図12】
図12は、ライトガイドの輝度を検査する従来の方法を説明するための図を示す。
【
図13】
図13は、
図12の方法でスクリーンに投影された照光領域およびその一部Aの拡大図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る検査方法および当該検査の工程を含む製造方法の対象となるライトガイドの正面図(a)、背面図(b)および平面図(c)を示す。
【0015】
この実施形態に係るライトガイド1は、正面および背面からみて略長方形で、平面からみて背面側に凸状の弓形の形態を有する。ライトガイド1は、一方の面に突出部としての複数本のピラー11を備えると共に、当該一方の面と反対側の面に、ピラー11側から入光した光がライトガイド1の内部を導光して出光する照光面10を備えている。ピラー11は、好ましくは、ライトガイド1の曲面状の背面から略垂直に突出している。ピラー11は、ライトガイド1の背面に、長さ方向(
図1のX方向)に20本、幅方向(
図1のY方向)に2本の合計40本備えられている。すなわち、40本のピラー11は、ライトガイド1の背面に、2行×20列で配置されている。各ピラー11は、ピラー11の突出端面に対向して配置されるLEDに代表される光源からの光を入光して、ライトガイド1の内部に導き、照光面10から出光させる役割を有する。
【0016】
ライトガイド1は、透光性の部材で構成される。当該部材としては、ガラス、熱可塑性または熱硬化性の樹脂を好適に例示できる。より好ましい樹脂としては、透明性の高いポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)を挙げることができる。また、当該部材は、上記樹脂より低硬度で弾性変形可能なゴム材料でも良い。ゴム材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴムあるいはスチレンブタジエンゴム等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系あるいはフッ素系等の熱可塑性エラストマー; あるいはそれらの複合物等で構成される。これらゴム材料の中でも、透明度の高いシリコーンゴムが好ましい。
【0017】
図2は、
図1のライトガイドの背面側に遮光マスクを配置した状態から、ライトガイドおよび/または遮光マスクを相対的に移動させた状態を示す。
図3は、
図1のライトガイドをピラー側から見た図を示す。
【0018】
図2において、遮光マスク20は、ライトガイド1よりも紙面表側にある。遮光マスク20は、光源からの光が一部のピラー11の先端部から入光しないように部分遮光可能な板状のマスクである。より具体的には、遮光マスク20は、複数本のピラー11の内の一部のピラー11から入光させると共に、当該一部以外の他のピラー11の一部または全部からの入光を遮光するマスクである。遮光マスク20は、1つのみ、または2つ以上でも良い。この実施形態では、遮光マスク20は、複数本のピラー11における所定方向(この実施形態では
図1のX方向)に互いに隣接する一方のピラー11のみの先端部を開口部23から露出させる第1開口群21と、当該一方のピラー11以外の他方のピラーのみの先端部を開口部24から露出させる第2開口群22と、を共に有する。ただし、第1開口群21と第2開口群22とを別々に有する2つの遮光マスク20を用いても良い。また、第1開口群21と第2開口群22に加えて1以上の開口群を有する1または2以上の遮光マスク20を用いても良い。この実施形態では、開口部23の数は、全ピラー11の数より少ない。同様に、開口部24の数も、全ピラー11の数より少ない。開口部23と開口部24の総数は、全ピラー11の数と同数である。ただし、第3開口群に属する第3開口部などを遮光マスク20に設ける場合には、開口部23と開口部24の総数は、全ピラー11の数より少ない。なお、「開口部」は、この実施形態では、好ましくは、遮光マスク20の厚さ方向に貫通する貫通孔である。
【0019】
第1開口群21は、ピラー11の先端部の大きさに相当する合計20個の開口部23で構成される。第2開口群22も、第1開口群21と同様、ピラー11の先端部の大きさに相当する合計20個の開口部24で構成される。第1開口群21の開口部23は、ライトガイド1の長さ方向(
図1のX方向)において、一列おきに配置されている。第2開口群22の開口部24も、また、ライトガイド1の長さ方向(
図1のX方向)において、一列おきに配置されている。第1開口群21および第2開口群22は、互いに相補的にピラー11から入光可能に開口部23および開口部24を配置している。開口部23および開口部24の配置に関して、次に、より詳細に説明する。
【0020】
図2における上方の図は、遮光マスク20の開口部23が、左から1列目(
図3では1
stLで示す)、3列目(
図3では3
rdLで示す)、5列目、7列目、9列目、11列目、13列目、15列目、17列目および19列目の奇数列のピラー11の先端部に位置するように遮光マスク20を配置させた状況を説明する図を示す。上方の図において、丸で囲ったピラー11は、開口部23を通じて入光可能なピラー11を示す。一方、
図2における下方の図は、遮光マスク20の開口部24が、左から2列目(
図3では2
ndLで示す)、4列目(
図3では4
thLで示す)、6列目、8列目、10列目、12列目、14列目、16列目、18列目および20列目(
図3では20
thLで示す)の偶数列のピラー11の先端部に位置するように遮光マスク20を配置させた状況を説明する図を示す。下方の図において、丸で囲ったピラー11は、開口部24を通じて入光可能なピラー11を示す。
【0021】
遮光マスク20は、
図2に示すように、第1開口群21と第2開口群22とをライトガイド1の幅方向(
図1のY方向)に離して配置している。より具体的には、第1開口群21の開口部23が上記の奇数列のピラー11の先端に位置した状態から、遮光マスク11を
図2の上方(またはライトガイド1を
図2の下方)に移動させると、第2開口群22の開口部24が上記の偶数列のピラー11の先端に位置するように、第1開口群21と第2開口群22が配置されている。この実施形態では、第1開口群21と第2開口群22は、好ましくは、ライトガイド1の幅方向において開口部23と開口部24とがライトガイド1の長さ方向において重ならないように配置されている。この結果、遮光マスク20とライトガイド1の相対移動によって、奇数列のピラー11と偶数列のピラー11とを切り替えて入光させることができる。
【0022】
図4は、
図1のライトガイドのピラーを2つのグループに分けて遮光マスクの移動により各グループで入光を切り替える機器を説明するための図を示す。
図5は、
図4の入光の切り替えを実現するための遮光マスクの移動を説明するための図を示す。
【0023】
図4において、(a)は、ライトガイド1を固定した遮光マスク駆動用の機器30をライトガイド1の固定側から見た斜視図である。(b)は、機器30を遮光マスク20の側から見た斜視図であり、シリンダーが分離した状態で矢印方向に取り付け可能な状況を示す。
図4では、遮光マスク20、機器30、ライトガイド1の順に重ねた構成を示している。
【0024】
機器30は、その主要本体であるプレート31の一方の面に、ライトガイド1を固定するための固定部32と、遮光マスク20を移動させるためのシリンダー33と、を備える。また、機器30は、プレート31の上記一方の面と反対側の面(他方の面という。)に遮光マスク20を備える。遮光マスク20は、ライトガイド1の幅方向に移動可能にプレート31に備えられている。シリンダー33の駆動部分は、プレート31を貫通して遮光マスク20の端部35に固定可能である。遮光マスク20は、シリンダー33の駆動により、ライトガイド1の幅方向に切り替え式で往復可動となっている。
【0025】
遮光マスク20を配置する側から機器30をみると、
図5に示すように、遮光マスク20は、第1開口群21が開口部23を通じて一部のピラー11からの入光を可能とする位置から、第2開口群22が開口部24を通じて上記一部のピラー11以外のピラー11からの入光を可能とする位置に切り替え可能である。
【0026】
図6は、所定方向において互いに隣接するピラーの内の一方のピラーのみから入光させたときに、およびその状態から遮光マスクを移動させて、当該一方のピラー以外の他方のピラーのみから入光させたときにスクリーンに投影された各照光領域を示す。
【0027】
図6に示すように、遮光マスク20の切り替えによって、各ピラー11からの照光領域5は、ライトガイド1の長さ方向(
図1のX方向)において重ならないようにすることができる。これによって、輝度異常を生じているピラー11を特定しやすくなる。ライトガイド1の幅方向(
図1のY方向)では、照光領域5がわずかに重なっているが、その重なる面積は、ライトガイド1の長さ方向(
図1のX方向)に比べて小さい。このような場合には、当該長さ方向の重なりを優先して防止し、輝度の正常または異常を検査することができる。なお、上述した幅方向の重なりをも防ぐようにする場合には、当該幅方向についても、1つ置きに開口させた開口群を用意しても良い。その場合、遮光マスク20に、第1開口群21、第2開口群22に加え、第3開口群と第4開口群を加え、遮光マスク20を、幅方向に2回と、長さ方向に2回の合計4回の切り替え移動を行い、それぞれの移動位置における輝度の検査を行うのが好ましい。
【0028】
図7は、本発明の実施形態に係るライトガイドの製造方法およびライトガイドの検査方法のフロー図を示す。
【0029】
この実施形態に係るライトガイドの製造方法は、賦形工程(ST100)と、その後に続く検査工程(ST200)と、を含む。賦形工程は、透光性を有する材料を用いてライトガイド1の形状に賦形する工程である。賦形方法は、金型成形、3Dプリンタを用いた成形などの如何なる方法であっても良い。検査工程は、賦形工程後に、ライトガイド1の輝度を検査する工程である。
【0030】
検査工程は、ライトガイド等(遮光マスク20、スクリーン3、光源2,輝度検査装置4も含めても良い。)を検査可能にセッティングする工程(ST210)に続き、第1セッティング工程(ST220)、第1照光工程(ST230)、第1検査工程(ST240)、第2セッティング工程(ST250)、第2照光工程(ST260)、第2検査工程(ST270)を含む。
【0031】
また、この実施形態に係るライトガイドの検査方法は、上記検査工程と同様、ST210~ST270を含む。以下、ライトガイドの製造方法と検査方法に共通する検査工程に含まれる各工程(ST220~ST270)について説明する。
【0032】
(第1セッティング工程: ST220)
この工程は、第1開口群21の開口部23から一方のピラー11の先端部が露出するように遮光マスク20をセットする工程である。この工程では、例えば、奇数列のピラー11が開口部23を通じて光源2から入光可能である。この状況の遮光マスク20の位置をパターン1という。
【0033】
(第1照光工程: ST230)
この工程は、遮光マスク20に対してピラーと反対側の光源2(
図12を参照。)から、第1セッティング工程後の遮光マスク20越しにピラー11に向けて照光する工程である。この工程では、第1開口群21を構成する開口部23に位置するピラー11のみから入光が許される。
【0034】
(第1検査工程: ST240)
この工程は、遮光マスク20にて遮光されていない上記一方のピラー11から照光面10を通ってスクリーン3に映った照光領域5を、輝度検査装置4を用いて検査する工程である(
図12および
図13を参照。)。
【0035】
(第2セッティング工程: ST250)
この工程は、第1セッティング工程の状態からの切り替え工程であって、この実施形態では、第1開口群21から第2開口群22に切り替えて、一方のピラー11を遮光して、第2開口群22の開口部24から一方のピラー11以外の他方のピラー11の先端部が露出するように遮光マスク20と同一または別の遮光マスク20をセットする工程である。この工程では、例えば、偶数列のピラー11が開口部24を通じて光源2から入光可能である。この状況の遮光マスク20の位置をパターン2という。この実施形態では、第1開口群21と第2開口群22の両方を備える1つの遮光マスク20を用いている。このため、第2セッティング工程は、遮光マスク20およびライトガイド1の内の少なくとも一方を他方と相対的に移動させて行われる。しかし、第1開口群21のみを備える遮光マスク20と、第2開口群22のみを備える別の遮光マスク20とを使い分けて、第1セッティング工程と第2セッティング工程とを行うようにしても良い。
【0036】
(第2照光工程: ST260)
この工程は、遮光マスク20に対してピラーと反対側の光源2(
図12を参照。)から、第2セッティング工程後の遮光マスク20越しにピラー11に向けて照光する工程である。この工程では、第2開口群22を構成する開口部24に位置するピラー11のみから入光が許される。
【0037】
(第2検査工程: ST270)
この工程は、遮光マスク20にて遮光されていない上記他方のピラー11から照光面10を通ってスクリーン3に映った照光領域5を、輝度検査装置4を用いて検査する工程である(
図12および
図13を参照。)。
【0038】
この実施形態では、遮光マスク20は、第1開口群21と第2開口群22とを有した1つのマスクである。遮光マスク20は、第1開口群21と第2開口群22とを、所定方向(
図1のX方向)と異なる方向(
図1のY方向)に離して配置している。第1開口群21と第2開口群22との切り替えは、遮光マスク20およびライトガイド1の内の少なくとも一方を上記所定方向と異なる方向に移動させて行われる。しかし、後述するように、遮光マスク20およびライトガイド1の内の少なくとも一方を上記所定方向と同じ方向に移動して第1開口群21と第2開口群22との切り替えを行っても良い。
【0039】
図8は、本発明の変形例1に係るライトガイドの輝度検査方法および製造方法を説明するための図を示す。変形例1において、上述の実施形態と共通する事項については、重複説明を省略する。
【0040】
変形例1では、上記実施形態の遮光マスク20を遮光マスク20aに代えて、遮光マスク20aおよび/またはライトガイド1を、ライトガイド1の長さ方向(
図1のX方向)に相対移動させて、入光させるピラー11のグループを切り替えている。遮光マスク20aは、好ましくは、ライトガイド1の長さ方向に細長い形状を有する。遮光マスク20aにおいて、その長さ方向に、第1開口群21と第2開口群22とが横並びで形成されている。言い換えると、遮光マスク20aは、第1開口群21と第2開口群22とを、所定方向(
図1のX方向)と同じ方向に離して配置している。このような遮光マスク20aを用いると、第1セッティング工程では、第1開口群21の開口部23は、互いに隣り合うピラー11の一方のピラー11のみの位置に重なるようにセットされる。また、第2セッティング工程は、第1セッティング工程の状態から、遮光マスク20aおよびライトガイド1の内の少なくとも一方を所定方向(
図1のX方向)と同じ方向に移動させて行われる。例えば、遮光マスク20aのみを
図8の白抜きの矢印の方向に移動させ、またはライトガイド1のみを上記白抜き矢印と反対方向に移動させて、第2セッティング工程を行っても良い。第1セッティング工程および第2セッティング工程以外の工程については、
図7のフロー中の工程と同様である。
【0041】
図9は、本発明の変形例2に係るライトガイドの輝度検査方法および製造方法を説明するための図を示す。変形例2において、上述の実施形態と共通する事項については、重複説明を省略する。
【0042】
変形例2では、上記実施形態の遮光マスク20を遮光マスク20bに代えて、遮光マスク20bおよび/またはライトガイド1を、所定の中心点を中心とする円周上に沿って相対移動させて、入光させるピラー11のグループを切り替えている。遮光マスク20bは、好ましくは、円板形状を有する。遮光マスク20bにおいて、その中心から半径の長さ以内であって、円板の円周上に沿って、第1開口群21と第2開口群22とが重ならないように形成されている。言い換えると、遮光マスク20bは、第1開口群21と第2開口群22とを、円板の円周上に沿って離して配置している。このような遮光マスク20bを用いると、第1セッティング工程では、第1開口群21の開口部23は、互いに隣り合うピラー11の一方のピラー11のみの位置に重なるようにセットされる。また、第2セッティング工程は、第1セッティング工程の状態から、遮光マスク20bおよびライトガイド1の内の少なくとも一方を円板の中心に沿って回転させて行われる(例えばR方向の回転)。第1セッティング工程および第2セッティング工程以外の工程については、
図7のフロー中の工程と同様である。
【0043】
図10は、本発明の変形例3に係るライトガイドの輝度検査方法および製造方法を説明するための図であって、ライトガイドと、遮光マスクと、枠体とを平面視にて示す。
図11は、枠体、遮光マスク、ライトガイドの順に重ねて、第1セッティング工程の状態から第2セッティング工程を実行して、入光するピラーを切り替える状況を説明する図を示す。変形例3において、上述の実施形態と共通する事項については、重複説明を省略する。
【0044】
変形例3で用いられる遮光マスク20cは、上述した遮光マスク20,20a,20bと異なり、第1開口群21と第2開口群22とを備えるのではなく、1つのみの開口群を備える。その開口群は、複数個の開口部25から構成される。この変形例3では、ライトガイド1は、縦2行×横29列の合計58本のピラー11を備える。遮光マスク20cは、縦2行×横16列の合計32個の開口部25を備える。開口部25の数は、全ピラー11の数より少ない。遮光マスク20bの開口部25の横方向の間隔は、ほぼ等しい、横方向のピラー11同士の間隔もほぼ等しい。このように、所定方向(この変形例3では横方向)のピラー11同士の間隔がほぼ等しい場合には、変形例3のような1種類の開口群のみを有する遮光マスク20cを用いるのが好ましい。第1セッティング工程では、遮光マスク20cの開口部25がライトガイド1のピラー11の1列目、3列目、5列目、7列目、9列目、11列目、13列目、15列目、17列目、19列目、21列目、23列目、25列目、27列目、29列目の各位置に合うように、遮光マスク20cがセッティングされる。第2セッティング工程では、遮光マスク20cの開口部25がライトガイド1のピラー11の2列目、4列目、6列目、8列目、10列目、12列目、14列目、16列目、18列目、20列目、22列目、24列目、26列目、28列目の各位置に合うように、遮光マスク20cがセッティングされる。すなわち、第2セッティング工程では、遮光マスク20cは、第1セッティング工程の状態から、一列分のピラー11だけ横方向に移動される。
【0045】
枠体40は、そのほぼ中央領域に、厚さ方向に貫通した開口部41を有する。開口部41は、全てのピラー11からの入光を可能とするようにピラー11の領域と同一もしくは当該領域より広い開口面積を有する。遮光マスク20cは、枠体40とライトガイド1との位置関係を変えずに固定したまま、移動可能となっている。
【0046】
変形例3に基づくライトガイド1の輝度検査方法は、複数本のピラー11の内の一部のピラー11から入光させると共に、当該一部以外の他のピラー11の一部または全部からの入光を遮光する1つの遮光マスク20cを用いて輝度を検査する方法である。
図7のフローを参照して説明すると、当該方法は、ライトガイド1等のセッティング工程(ST210)の後に、複数本のピラー11における所定方向に互いに隣接する一方のピラー11のみ(例えば、奇数列のピラー11)の先端部が遮光マスク20cの開口部25から露出するように遮光マスク20cをセットする第1セッティング工程(ST220)と、
遮光マスク20cに対してピラー11と反対側の光源2から、第1セッティング工程後の遮光マスク20c越しにピラー11に向けて照光する第1照光工程(ST230)と、
当該一方のピラー11から照光面10を通ってスクリーン3に映った照光領域5を、輝度検査装置4を用いて検査する第1検査工程(ST240)と、
一方のピラー11を遮光し、当該一方のピラー11以外の他方のピラー11(この例では、偶数列のピラー11)のみの先端部が遮光マスク20cの開口部25から露出するように遮光マスク20cをセットする第2セッティング工程(ST250)と、
光源2から、第2セッティング工程後の遮光マスク20c越しにピラー11に向けて照光する第2照光工程(ST260)と、
他方のピラー11から照光面10を通ってスクリーン3に映った照光領域5を、輝度検査装置4を用いて検査する第2検査工程(ST270)と、を含む。
【0047】
変形例3に係るライトガイドの製造方法では、上記検査方法の各工程に先立ち、賦形工程(ST100)が行われる。
【0048】
本発明は、上述の実施形態および各種変形例に限定されず、種々変形可能である。
【0049】
例えば、第1開口群21に属する開口部23は、一列おきに形成されているが、二列または三列以上おきに形成されていても良い。第2開口群22に属する開口部24についても同様である。また、第1開口群21に属する開口部23は、一行おき、二行おきまたは三行以上おきに形成されていても良い。第2開口群22に属する開口部24についても同様である。
【0050】
第2セッティング工程は、一方のピラー11を遮光し、当該一方のピラー11以外の他方のピラー11の全部ではなく、一部のみの先端部が遮光マスクの開口部から露出するように遮光マスクをセットする工程でも良い。そのため、遮光マスクは、一方のピラー11のみの先端部を開口部から露出させる第1開口群と、他方のピラー11の一部のみの先端部を開口部から露出させる第2開口群と、を有するマスクでも良い。
【0051】
遮光マスクは、ライトガイド1との相対移動を通じて、パターン1とパターン2のような開口パターンの切り替えを行うのではなく、2種類以上のパターンの異なる遮光マスクを交換しながら、開口パターンを切り替えても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、ライトガイドを製造または利用する産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・ライトガイド、2・・・光源、3・・・スクリーン、4・・・輝度検査装置、5・・・照光領域、10・・・照光面、11・・・ピラー(突出部)、20,20a,20b,20c・・・遮光マスク、21・・・第1開口群、22・・・第2開口群、23,24,25・・・開口部。