(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149358
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】皮膚洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20231005BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20231005BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231005BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20231005BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/44
A61K8/34
A61K8/98
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057886
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】501208497
【氏名又は名称】株式会社 ナチュラル
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】吉▲崎▼ 正治
(72)【発明者】
【氏名】町田 茂
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AB032
4C083AB442
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC661
4C083AC662
4C083CC23
4C083DD27
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】洗浄力があり、且つ、優れた使用感を与える皮膚洗浄用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩、(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩、(C)多価アルコール及び(D)脱脂粉乳を含む皮膚洗浄用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩
(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩
(C)多価アルコール
(D)脱脂粉乳
を含む皮膚洗浄用組成物。
【請求項2】
前記(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の高級脂肪酸の量が、組成物の全質量を基準として、15.0質量%~35.0質量%である、請求項1記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項3】
前記(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩の量が、組成物の全質量を基準として、1.45質量%~7.25質量%である、請求項1又は2記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項4】
前記(C)多価アルコールの量が、組成物の全質量を基準として、7.0質量%~27.0質量%である、請求項1乃至3のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【請求項5】
前記(D)脱脂粉乳の量が、組成物の全質量を基準として、0.3質量%~2.5質量%である、請求項1乃至4のいずれかに記載の皮膚洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の汚れ等を洗い落す皮膚洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚洗浄用組成物に関して、皮膚の汚れに対して高い洗浄力を発揮し、その一方で、使用感の良いものが望まれている。
【0003】
特に、過剰に分泌された皮脂はニキビや肌荒れの原因となるので、近年、そのような皮脂汚れを除去するために強い洗浄力を備えた皮膚洗浄用組成物が提案されており、具体的には、アルキルエーテルカルボン酸型界面活性剤;N-アシルグリシン系界面活性剤、特定の多価アルコール、マルチトールヒドロキシ脂肪族エーテル及び脂肪酸石鹸の組み合わせ;脂肪酸石鹸、特定の油剤若しくは非イオン性界面活性剤及び特定の吸油性粉体の組み合わせ;脂肪酸石鹸、ポリグリセリルポリオキシブチレンアルキルエーテル及びコレステロールの組み合わせ等を含む皮膚洗浄用組成物が提案されている(特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6445089号公報
【特許文献2】特許第4551557号公報
【特許文献3】特許第5897803号公報
【特許文献4】特許第3448395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、強力な洗浄効果をもたらす成分を含む皮膚洗浄用組成物を使用すると、皮脂が過剰に除去され、ツッパリ感等が発生して使用感が低下する。
【0006】
本発明は、洗浄力があり、且つ、優れた使用感を与える皮膚洗浄用組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、
(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩
(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩
(C)多価アルコール
(D)脱脂粉乳
を含む皮膚洗浄用組成物によって達成することができる。
【0008】
前記(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の高級脂肪酸の量が、組成物の全質量を基準として、15.0質量%~35.0質量%であることが好ましい。
【0009】
前記(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩の量が、組成物の全質量を基準として、1.45質量%~7.25質量%であることが好ましい。
【0010】
前記(C)多価アルコールの量が、組成物の全質量を基準として、7.0質量%~27.0質量%であることが好ましい。
【0011】
前記(D)脱脂粉乳の量が、組成物の全質量を基準として、0.3質量%~2.5質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の皮膚洗浄用組成物は、洗浄力があり、且つ、優れた使用感を与えることができる。
【0013】
本発明の皮膚洗浄用組成物は高い洗浄力を備えることができる。したがって、本発明の皮膚洗浄用組成物は皮膚上の汚れを良好に除去することができる。特に、本発明の皮膚洗浄用組成物は毛穴に存在する過剰に分泌された皮脂等の汚れを良好に除去することができる。
【0014】
また、本発明の皮膚洗浄用組成物は、優れた使用感を発揮することができる。例えば、本発明の皮膚洗浄用組成物は、使用時には、豊かな泡立ちをもたらすことが可能であり、更に、弾力のある泡の触感を与えることができる。また、本発明の皮膚洗浄用組成物は、使用後には、ツッパリ感、刺激感が少なく、一方で、シットリ感、ツルツル感等の良好な使用感を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは鋭意検討の結果、(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩と共に(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩、(C)多価アルコール及び(D)脱脂粉乳を含む皮膚洗浄用組成物が、洗浄力があり、且つ、優れた使用感を与えることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
理論にこだわるものではないが、強い洗浄力を発揮する(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩と共に(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩を使用することで、洗浄力が適度に調整され、使用感が向上し、刺激も抑制され、また、(C)多価アルコール及び(D)脱脂粉乳を使用することで、使用感が更に向上するものと考えられる。なお、(D)脱脂粉乳は、モチモチとした弾力のある泡の触感にも寄与すると考えられる。
【0017】
斯くして、本発明の皮膚洗浄用組成物は、
(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩
(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩
(C)多価アルコール
(D)脱脂粉乳
を含む。
【0018】
以下、各成分について詳述する。
【0019】
[炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩]
本発明の組成物は、(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩を含む。(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩として、1種類の炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩を使用してもよく、2種類以上の炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩を併用してもよい。
【0020】
(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩を構成する高級脂肪酸は炭素原子数12~18のものであり、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでも構わない。具体的にはラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、イソステアリン酸(C18)、オレイン酸(C18)、リノール酸(C18)であり、これらのいずれかを含むヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸も使用することができる。
【0021】
前記(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩は、炭素原子数12から18の高級脂肪酸のカルボキシ基を塩基で中和することにより得ることができる。塩基の種類は特には限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機塩基;アンモニア、モノエタノールアミン、ジタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等の有機塩基が挙げられる。無機塩基が好ましい。
【0022】
(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩は、あらかじめ塩の形態で本発明の組成物に配合されてもよく、或いは、高級脂肪酸及び塩基をそれぞれ独立に配合して、本発明の組成物中で塩の形態としてもよい。
【0023】
(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の高級脂肪酸としては、例えば、花王(株)社製「ルナックL-55」、「ルナックL-98」、「ルナックMY-98」、「ルナックMY-PV」、「ルナックP-95」、「ルナックS-98」、「ルナックO-A」、「ルナックO-V」、「ルナックO-LL-V」、「ルナックSO-90L」、日油(株)社製「NAA-122」、「NAA-312」、「NAA-142」、「NAA-160」、「NAA-171」、「NAA-172」、「NAA-173K」、「NAA-174」、「NAA-175」、「NAA-176」、「NAA-180」、「NAA-1865」、「NAA-1850」、「NAA-34、「NAA-35」、「NAA-400オレイン酸」、「リノール酸90」等の市販品を使用することができる。
【0024】
(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の本発明の組成物中の量は、特には限定されるものではないが、炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の高級脂肪酸に換算して、組成物の全質量を基準として、5.0質量%~45.0質量%が好ましく、15.0質量%~35.0質量%がより好ましい。
【0025】
[N-長鎖アシルアミノ酸塩]
本発明の組成物は(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩を含む。(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩として、1種類のN-長鎖アシルアミノ酸塩を使用してもよく、2種類以上のN-長鎖アシルアミノ酸塩を併用してもよい。
【0026】
(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩の長鎖アシル基は特に限定されないが、例えば、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状の脂肪族アシル基が挙げられる。長鎖アシル基の炭素原子数は8以上が好ましい。また、長鎖アシル基の炭素原子数は30以下が好ましく、24以下がより好ましく、20以下が更により好ましい。長鎖アシル基としては、例えば、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基(ラウロイル基)、テトラデカノイル基(ミリストイル基)、ヘキサデカノイル基(パルミトイル基)、オクタデカノイル基(ステアロイル基、イソステアロイル基)、オレオイル基、リノレイル基、リノレニル基、ヤシ油脂肪酸由来のアシル基(ココイル基)、パーム油脂肪酸由来のアシル基等が挙げられる。
【0027】
(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩のアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、メチルアラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アルギニン、サルコシン等が挙げられる。なかでも、メチルアラニン、グルタミン酸が好ましい。
【0028】
前記(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩は、N-長鎖アシルアミノ酸のカルボキシ基を塩基で中和することにより得ることができる。塩基の種類は特には限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機塩基;アンモニア、モノエタノールアミン、ジタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等の有機塩基が挙げられる。有機塩基が好ましい。
【0029】
前記(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩としては、例えば、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ココイルグルタミン酸K、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸2Na、ラウロイルグルタミン酸Na、ラウロイルグルタミン酸K、ミリストイルグルタミン酸Na、ミリストイルグルタミン酸K、パーム脂肪酸グルタミン酸Na、ステアロイルグルタミン酸Na、ココイルアラニンNa、ココイルアラニントリエタノールアミン、ココイルグリシンNa、ココイルグリシンK、ココイルメチルアラニンNa等が挙げられる。
【0030】
(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩としては、例えば、川研ファインケミカル(株)製「アラノンACE」、「アラノンALE」、「アラノンME」、「アラノンALA」、「ソイポンSCE」、「ソイポンSLE」、「ソイポンSLTA」、「ソイポンSLP」、「ソイポンSLA」等、味の素ヘルシーサプライ(株)製「アミソフトCT-12S」、「アミソフトLT-12」、「アミソフトCK-22」、「アミソフトCS-11」、「アミソフトLS-11」、「アミソフトMS-11」、「アミライトGCK-12」、「アミライトGCS-11」等の市販品を使用することができる。
【0031】
前記(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩の配合量は、組成物の全質量を基準として、0.35質量%~8.35質量%が好ましく、1.45質量%~7.25質量%がより好ましい。
【0032】
[多価アルコール]
本発明の組成物は(C)多価アルコールを含む。(C)多価アルコールとして、1種類の多価アルコールを使用してもよく、2種類以上の多価アルコールを併用してもよい。
【0033】
(C)多価アルコールは糖アルコールではない。
【0034】
(C)多価アルコールとしては、二価アルコール又は三価アルコールを使用することができる。二価アルコールとしては、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサングリコール、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。三価アルコールとしてはグリセリン等が挙げられる。
【0035】
(C)多価アルコールとして市販品を用いてもよく、例えば、デュポン社製「Zemea Select(登録商標)Propanediol」(プロパンジオール);ダイセル化学工業(株)製「1,3-ブチレングリコール」、高級アルコール工業(株)製「ハイシュガーケインBG」、IMCDジャパン合同会社製「1,3-ブタンジオール」(1,3-ブチレングリコール);交洋ファインケミカル(株)製「DPG」、AGC(株)製「DPG―FC」、ダウ・ケミカル日本(株)/ダウ・東レ(株)製「DIPROPYLENE GLYCOL」(ジプロピレングリコール);シムライズ社製「ハイドロライト(登録商標)5」(ペンチレングリコール);感光社(株)製「KMO-6」(1,2-ヘキサンジオール);シムライズ社製「シムジオール(登録商標)68」(1,2-ヘキサンジオールと1,2-オクタンジオールの混合物);阪本薬品工業(株)製「化粧品用濃グリセリン」(グリセリン)等を例示することができる。
【0036】
(C)多価アルコ-ルとしては、プロパンジオール及びグリセリンの混合物が好ましい。プロパンジオールとグリセリンの混合物における両者の混合割合は特に限定されるものではなく、例えば、重量割合でプロパンジオール:グリセリン=1:1~1:16、プロパンジオール:グリセリン=1:3~2:15、プロパンジオール:グリセリン=1:5~3:14がより好ましい。
【0037】
本発明の組成物中の(C)多価アルコールの量は、組成物の全質量を基準として、3.0質量%~31.0質量%が好ましく、7.0質量%~27.0質量%がより好ましい。
【0038】
[脱脂粉乳]
本発明の組成物は(D)脱脂粉乳を含む。
【0039】
脱脂粉乳は、牛乳の脂肪分を除き、乾燥させて、粉末状にしたものであり、乳固形分からなる。
【0040】
(D)脱脂粉乳は、通常化粧品に用いられるものを使用可能であるが、具体的には乳固形分が95%以上、水分5%以下が望ましく、乳固形分中には蛋白質、乳糖、灰分等が含有されていてもよい。
【0041】
(D)脱脂粉乳は、水に不溶性であるカゼインタンパクを含むものが好ましい。カゼインは肌に馴染み易い成分であり、泡質の改善、洗浄後の使用感の向上等に寄与し得る。
【0042】
(D)脱脂粉乳としては、以下の平均成分組成を有するものが好ましい。
蛋白質(主にカゼイン) 約34%
炭水化物 約53%
灰分 約8%
脂質 約1%
水分 約4%
【0043】
本発明の組成物中の(D)脱脂粉乳の量は、組成物の全質量を基準として、0.1質量%~2.7質量%が好ましく、0.3質量%~2.5質量%がより好ましい。
【0044】
[任意成分]
本発明の組成物は任意成分を含むこともできる。
【0045】
任意成分としては、例えば、水(精製水等)、エタノール等の低級一価アルコール、カチオン化セルロース等のカチオン性ポリマー;無機粉体;液体油脂;炭化水素;高級一価アルコール;エステル類;(A)成分及び(B)成分以外のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤;増粘剤;保湿剤;被膜剤;金属イオン封鎖剤;糖類;糖アルコール類;アミノ酸類;有機アミン類;酸又はアルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機塩基)等のpH調整剤;皮膚栄養剤;ビタミン類;酸化防止剤;香料;顔料;染料等を挙げることができる。
【0046】
無機粉体としては、例えば、粘土鉱物が挙げられる。粘土鉱物としては、例えば、カオリン、ベントナイト、ヘクトライト、スメクタイト、モンモリロナイト等をあげることができる。粘土鉱物は、化学的に、例えば、アクリル酸、多糖類(カルボキシメチルセルロース)等で修飾されたものでもよい。
【0047】
非イオン性界面活性剤としては、皮膚洗浄用組成物に通常用いられている成分を使用することができ、例えば、ポリソルベート20(商品名:NIKKOL TL-10 日光ケミカルズ(株)製、商品名:レオドール TW-L120 花王(株)製、商品名:ノニオン LT-20 日油(株)製、商品名:SP ツイーン20 MBAL クローダジャパン(株)製等)、ステアリン酸グリセリル(商品名:NIKKOL MGS-ASEV、NIKKOL MGS-BV)等が挙げられる。
【0048】
水の配合量は特には限定されるものではないが、例えば、組成物の全質量を基準として、15質量%~80質量%、20質量%~70質量%、25質量%~60質量%とすることができる。
【0049】
本発明の組成物は皮膚の洗浄に使用される。ここでの「皮膚」には、通常の皮膚に加えて、唇等の外皮上の粘膜も含まれる。
【0050】
本発明の組成物はクレンジング化粧料として使用されることが好ましく、皮脂等の皮膚の汚れ、特に、毛穴の皮脂汚れを除去するためのクレンジング化粧料として使用されることが好ましく、使用時に泡立つクレンジングフォーム化粧料として使用されることが更により好ましい。
【0051】
本発明の組成物の形態は特に限定されるものではなく、液状、ゲル状、クリーム状等の各種の流体の形態とすることができる。
【0052】
本発明の組成物は、皮膚に適用後に、水で洗い流してもよく、或いは、水で洗い流さずに拭き取ってもよい。拭き取る場合は、例えば、本発明の組成物の適量をコットン等に含浸させ、これを皮膚上で拭くことで使用することができる。
【実施例0053】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0054】
[実施例1~9及び比較例1]
(調製)
表1に示される実施例1~9及び比較例1の洗浄用組成物を、 表1に示される成分を混合して調製した。
【0055】
実施例1~9及び比較例1では、(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の高級脂肪酸及び(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩の配合量を変化させ、且つ、(C)多価アルコール及び(D)脱脂粉乳の配合量は一定とした。
【0056】
表1中の「高級脂肪酸」は、ステアリン酸、パルミチン酸及びミリスチン酸の5:5:15(質量比)の混合物であり、塩基である「水酸化カリウム」と共に、高級脂肪酸塩を形成する。このようにして形成された「高級脂肪酸」の塩は(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の代表例である。表1中の「N-アシルアミノ酸塩」は、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(30質量%水溶液)及びココイルメチルアラニン(25質量%水溶液)の12:3(質量比)の混合物であり、(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩の代表例である。表1中の「多価アルコール」は、グリセリン及びプロパンジオールの12:5(質量比)の混合物であり、(C)多価アルコールの代表例である。
【0057】
表1に示される成分の量に関する数値は、「N-長鎖アシルアミノ酸塩」を除き、全て純分としての重量(質量)%に基づくものである。一方、「N-長鎖アシルアミノ酸塩」は上記のココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(30質量%水溶液)及びココイルメチルアラニン(25質量%水溶液)の12:3(質量比)の混合物自体の量である。なお、「精製水」の「残部」とは、洗浄用組成物のうち表1に示される成分以外は全て全て精製水であるという意味である。
【0058】
【0059】
(官能評価)
実施例1~9及び比較例1の各組成物を官能評価で評価した。評価法は以下のとおりである。
【0060】
ノーマルスキンの10名の女性パネルに、朝8:00から12:00、13;00から16:00まで、室温20℃以上の室内でマスクを着用したのち、実施例1~9及び比較例1の組成物のそれぞれを3.0gを手の平にとり、同量のぬるま湯と混ぜ、よく泡立てたのち、顔にかるくマッサージをするようにして洗顔して、洗い落し、水洗して、顔の汚れを除去した。その後、軽く、タオルで水気をとった。各パネルが、洗浄力、毛穴の洗浄感、モチモチした泡質、洗浄後の、ツッパリ感、シットリ感、ツルツル感、刺激感の無さを下記の基準に従って評価した。
【0061】
(ア)洗浄力
洗浄力が非常に良い 5点
洗浄力が良い 4点
洗浄力が普通 3点
洗浄力があまりない 2点
洗浄力が全くない 1点
(イ)毛穴の洗浄感
洗浄感が非常にある 5点
洗浄感がある 4点
洗浄感が普通 3点
洗浄感あまりない 2点
洗浄感が全くない 1点
(ウ)モチモチした泡質
モチモチ感が非常にある 5点
モチモチ感がある 4点
モチモチ感が普通 3点
モチモチ感があまりない 2点
モチモチ感が全くない 1点
(エ)ツッパリ感
ツッパリ感が全くない 5点
ツッパリ感がほとんどない 4点
ツッパリ感があまりない 3点
ツッパリ感が少しある 2点
ツッパリ感がある 1点
(オ)シットリ感
シットリ感が非常にある 5点
シットリ感がある 4点
シットリ感は普通 3点
シットリ感があまりない 2点
シットリ感が全くない 1点
(カ)ツルツル感
ツルツル感が非常にある 5点
ツルツル感がかなりある 4点
ツルツル感がある 3点
ツルツル感があまりない 2点
ツルツル感が全くない 1点
(キ)刺激感の無さ
刺激感が全くない 5点
刺激感がほとんどない 4点
刺激感がない 3点
刺激感が少しある 2点
刺激感が非常にある 1点
【0062】
そして、全パネルの評価の平均値に基づき、以下の判定基準に従って、総合評価を行った。
全パネルの評価の平均値 総合評価
平均値が4.0以上 ◎
平均値が3.0以上4.0未満 ○
平均値が2.0以上3.0未満 △
平均値が2.0未満 ×
【0063】
結果を表2に示す。
【0064】
【0065】
(結果)
実施例1~9の組成物は、比較例1の組成物に比べて、ツッパリ感、刺激感が低く、その一方で、シットリ感、ツルツル感が高く、使用後の使用感がより優れている。また、実施例1~9の組成物は、比較例1の組成物よりも、モチモチした弾力のある泡質感がより高く、使用時の使用感もより優れている。
【0066】
なお、実施例1の組成物は、高級脂肪酸及びN-長鎖アシルアミノ酸塩の配合量が他の実施例の組成物に比べて少ないので、洗浄力、毛穴の洗浄感の点で他の実施例の組成物よりも若干劣る。また、実施例8及び9の組成物は、高級脂肪酸及びN-長鎖アシルアミノ酸塩の配合量が他の実施例の組成物に比べて多いので、洗浄後のツッパリ感において他の実施例の組成物よりも若干劣る。
【0067】
また、実施例9の組成物は、高級脂肪酸及びN-長鎖アシルアミノ酸塩の配合量が多いので、シットリ感、ツルツル感の点でも他の実施例の組成物よりも若干劣る。
【0068】
[実施例10~17]
(調製)
表3に示される実施例10~17の洗浄用組成物を、 表3に示される成分を混合して調製した。
【0069】
実施例10~17では、(C)多価アルコール及び(D)脱脂粉乳の配合量を変化させ、且つ、(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の高級脂肪酸及び(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩の配合量は一定とした。
【0070】
表3中の「高級脂肪酸」は、ステアリン酸、パルミチン酸及びミリスチン酸の5:5:15(質量比)の混合物であり、塩基である「水酸化カリウム」と共に、高級脂肪酸塩を形成する。このようにして形成された「高級脂肪酸」の塩は(A)炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩の代表例である。表3中の「N-アシルアミノ酸塩」は、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(30質量%水溶液)及びココイルメチルアラニン(25質量%水溶液)の12:3(質量比)の混合物であり、(B)N-長鎖アシルアミノ酸塩の代表例である。表3中の「多価アルコール」は、グリセリン及びプロパンジオールの12:5(質量比)の混合物であり、(C)多価アルコールの代表例である。
【0071】
表3には実施例5で使用された組成物を再掲する。
【0072】
表3に示される成分の量に関する数値は、「N-長鎖アシルアミノ酸塩」を除き、全て純分としての重量(質量)%に基づくものである。一方、「N-長鎖アシルアミノ酸塩」は上記のココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(30質量%水溶液)及びココイルメチルアラニン(25質量%水溶液)の12:3(質量比)の混合物自体の量である。なお、「精製水」の「残部」とは、洗浄用組成物のうち表1に示される成分以外は全て全て精製水であるという意味である。
【0073】
【0074】
(官能評価)
実施例10~17の各組成物を官能評価で評価した。評価法は実施例1~9及び比較例1の官能評価における評価法と同一である。結果を表4に示す。なお、表4には実施例5の結果を再掲する。
【0075】
【0076】
(結果)
実施例10~17の組成物も、洗浄力があり、毛穴の洗浄感、モチモチした泡質、洗浄後のツッパリ感の無さ、シットリ感、ツルツル感、刺激の無さの点で優れた使用感を与えることができる。
【0077】
なお、実施例10の組成物は、多価アルコール及び脱脂粉乳の配合量が他の実施例の組成物に比べて少ないので、モチモチした泡質、シットリ感、ツルツル感が他の実施例の組成物より若干劣る。また、実施例15においては、多価アルコールの量が多く、脱脂粉乳の配合量が少ないので、モチモチした泡質が他の実施例に比べ若干劣る。
【0078】
[評価]
実施例1~17より、炭素原子数12~18の高級脂肪酸塩、N-長鎖アシルアミノ酸塩、多価アルコール及び脱脂粉乳を含む洗浄用組成物は、洗浄力があり、毛穴の洗浄感、モチモチした泡質、洗浄後ツッパリ感の無さ、シットリ感、ツルツル感、刺激の無さの点で優れた使用感を与えることが分かる。実施例1~17のうち、最も好ましいものは実施例5である。
【0079】
上記の効果は、組成物の全質量を基準として15.0質量%~35.0質量%の高級脂肪酸と共に、組成物の全質量を基準として5.0質量%~25.0質量%のN-長鎖アシルアミノ酸塩水溶液(N-長鎖アシルアミノ酸塩の量に換算して、組成物の全質量を基準として、1.45質量%~7.25質量%)、組成物の全質量を基準として7.0質量%~27.0質量%の多価アルコール及び組成物の全質量を基準として0.3質量%~2.5質量%の脱脂粉乳を併用する場合に顕著である。