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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149359
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231005BHJP
   B65G 47/84 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 109
B41J2/01 305
B65G47/84 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057887
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】山西 美実
(72)【発明者】
【氏名】今峯 一也
【テーマコード(参考)】
2C056
3F072
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EA14
2C056FB01
2C056FB09
2C056HA29
2C056HA44
2C056HA60
3F072AA07
3F072KC01
(57)【要約】
【課題】印刷ヘッドへの硬化媒体の拡散媒体の照射を防ぎつつ、印刷処理能力の向上を担保できる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、搬送経路に沿って印刷対象物を搬送する搬送部と、搬送経路に沿って搬送される過程で印刷対象物にノズルからインクを吹き付けて印刷を行う印刷ヘッドと、印刷対象物PBに吹き付けられるインクを硬化するための硬化媒体、例えば硬化光を印刷対象物に向けて照射する光源と、印刷対象物に照射される硬化光の拡散光がノズルに照射されるのを遮るための遮蔽体と、を備え、遮蔽体は、拡散光を遮ることができる遮蔽位置と、搬送部による印刷対象物の搬送の妨げにならない退避位置と、の間を移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って印刷対象物を搬送する搬送部と、
前記搬送経路に沿って搬送される過程で前記印刷対象物にノズルからインクを吹き付けて印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷対象物に吹き付けられる前記インクを硬化するための硬化媒体を前記印刷対象物に向けて照射する媒体源と、
前記印刷対象物に照射される前記硬化媒体の拡散媒体が前記ノズルに照射されるのを遮るための遮蔽体と、を備え、
前記遮蔽体は、
前記拡散媒体を遮ることができる遮蔽位置と、
前記搬送部による前記印刷対象物の搬送の妨げにならない退避位置と、の間を移動する、印刷装置。
【請求項2】
前記遮蔽体は、
位置が固定される前記印刷ヘッドおよび前記光源に対向する側の開口と、
前記開口を除く、前記印刷対象物の水平方向の周囲を覆う遮蔽領域と、を備え、かつ、
前記印刷対象物が搬送されるのに伴って移動する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記遮蔽体は、
平面視した形状が、コの字形または円弧状をなす、
請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記遮蔽体は、
水平方向または鉛直方向において、前記遮蔽位置と前記退避位置との間を移動する、
請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記遮蔽体は、
その一部が、前記遮蔽位置と前記退避位置との間を移動する、
請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
単一の前記遮蔽体が、
複数の前記印刷対象物に対応して設けられる、
請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記搬送部は、
複数の前記印刷対象物を円弧状の前記搬送経路に沿って搬送する回転テーブルと、
回転しながら前記印刷対象物を前記回転テーブルに連続的に受け渡す回転ホィールと、を備え、
前記遮蔽体は、前記回転ホィールからの前記回転テーブルへの前記印刷対象物の受け渡しの際にその妨げにならない前記退避位置にいる、
請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記遮蔽体は、
前記回転テーブルの回転を駆動源として、前記遮蔽位置と前記退避位置との間を前記回転テーブルの径方向に移動する、
請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記搬送部は、複数の前記印刷対象物を直線状の前記搬送経路に沿って搬送し、
前記印刷ヘッドおよび前記光源は、直線状の前記搬送経路に沿う所定範囲に設けられ、
複数の前記遮蔽体は、前記所定範囲に対応する前記遮蔽位置と、前記所定範囲以外に対応する前記退避位置と、の間を移動する、
請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記搬送部は、複数の前記遮蔽体が移動する、直線状の前記搬送経路を含む循環経路を備える、
請求項9に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷対象物としての例えば飲料用の容器に文字、模様などの装飾を施す印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料製の容器に充填された飲料製品において、環境保護の観点から、樹脂材料製のフィルムからなるラベルをなくすラベルレス化が推奨されている。ラベルレス化を実現するために、例えば特許文献1に開示されるように、容器の表面に印刷を施すことによるラベルの代替としての文字、模様などの装飾を施すことが検討されている。
【0003】
特許文献1は、印刷手段として印刷ヘッドを使用した光硬化型印刷インクを使用し、当該インクが印刷された後に、硬化媒体の一例である紫外線を照射することで印刷されたインクを硬化させる。特許文献1は、光硬化型印刷インクを使用する場合の課題として、インク硬化のために照射される紫外線に基づく容器からの拡散光が印刷ヘッドに照射されることを指摘する。印刷ヘッドに残る光硬化型印刷インクが硬化して印刷ヘッドのノズルが詰まると、以後の印刷品質が低下したり、印刷自体ができなくなったりするおそれがあるからである。そこで特許文献1は、紫外線の照射による印刷ヘッドのノズル詰まりを解消するために、平面視した形状がU字状の拡散光を遮蔽するためのシールドエンクロージャーで印刷対象物としての容器を取り囲むことを提案する。
【0004】
特許文献1において、回転テーブルに載せられ、円弧状の軌跡を搬送される過程で容器が印刷される。シールドエンクロージャーは、U字の開口部を回転体の径方向の外側を向いて固定された位置に配置される。この搬送用の回転テーブルに印刷前の容器を搬入し、また、搬送用の回転テーブルから印刷済みの容器を搬出するのに、スターホィールと称される回転体が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2015/0059600 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、スターホィールおよびスターホィールで保持される容器がシールドエンクロージャーと干渉するのを避ける必要があり、特許文献1においては径方向の外側を向くシールドエンクロージャーの開口部の間口を広くしている。ところが、シールドエンクロージャーの開口部の間口を広くすると、隣接して配置される容器同士のピッチが広くなるので、その分だけ搬送用の回転テーブルに載せることのできる印刷対象物としての容器の数が少なくなる。このことは、印刷処理能力の向上の妨げになる。
そこで、本開示は、印刷ヘッドへの硬化媒体に基づく拡散媒体の照射を防ぎつつ、印刷処理能力を向上できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る印刷装置は、搬送経路に沿って印刷対象物を搬送する搬送部と、搬送経路に沿って搬送される過程で印刷対象物にノズルからインクを吹き付けて印刷を行う印刷ヘッドと、印刷対象物に吹き付けられるインクを硬化するための硬化媒体を印刷対象物に向けて照射する媒体源と、印刷対象物に照射される硬化媒体の拡散媒体がノズルに照射されるのを遮るための遮蔽体と、を備える。
遮蔽体は、拡散光を遮ることができる遮蔽位置と、搬送部による印刷対象物の搬送の妨げにならない退避位置と、の間を移動する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、印刷ヘッドへの硬化媒体に基づく拡散媒体の照射を防ぎつつ、印刷処理能力を向上できる印刷装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る印刷装置の概略構成を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る印刷装置の構成を示す正面図である。
図3】第1実施形態に係る印刷装置の印刷手順を示す平面図である。
図4】本開示の第2実施形態に係る印刷装置の構成を示す平面図である。
図5】第2実施形態に係る印刷装置の部分拡大平面図(FP)と部分側面図(SV)である。
図6】本開示の第3実施形態に係る印刷装置の部分拡大平面図(FP)および側面図(SV)である。
図7】本開示の第4実施形態に係る印刷装置の平面図である。
図8】本開示の第5実施形態に係る印刷装置の平面図である。
図9】本開示の第6実施形態に係る印刷装置の平面図である。
図10】本開示の第7実施形態に係る印刷装置の平面図である。
図11】本開示における遮蔽体の移動方向の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示におけるいくつかの好適な実施形態について説明する。これらの実施形態は、印刷ヘッドへの拡散光の照射を防ぎつつ、印刷処理能力を向上できる印刷装置である点で共通する。そして、この共通点は、硬化媒体の一例である硬化光の印刷ヘッドへの照射を防ぐための遮蔽体が、印刷対象物PBからの硬化光に基づく拡散光を遮光できる遮光位置と、印刷対象物PBの供給および排出の妨げにならない退避位置との間を移動することにより実現される。以下、図面を参照しながら複数の実施形態を順に説明する。
【0011】
〔第1実施形態 印刷装置1A:図1図2図3
図1図3を参照して、第1実施形態に係る印刷装置1Aを説明する。
印刷装置1Aは、連続的に搬送される印刷対象物PB、例えば飲料用の容器の外表面に文字、イラストなどの印刷を施す。印刷装置1Aは、公転軸C1を中心にして回転する搬送部10により印刷対象物PBを搬送する過程で、印刷部30により印刷を施す。搬送部10は、公転テーブル11の径方向Rに沿って往復移動が可能な遮蔽機構20を備える。この径方向Rは水平方向Hに平行である。遮蔽機構20を含む搬送部10および印刷部30は、制御部100の指示にしたがって、所定の動作を行うことができる。
以下、印刷装置1Aについて、搬送部10および印刷部30の順にその構成を説明し、その後に印刷装置1Aの動作に言及する。
【0012】
[搬送部10:図1図2
搬送部10は、載せられた印刷対象物PBを周方向に沿って搬送するために公転テーブル11が所定の向き、例えば時計回りに回転するのに加えて、公転テーブル11に載せられた印刷対象物PBをその自転軸C2を中心にして回転する機能を有する。以下において、公転テーブル11が公転軸C1を中心にして所定の向きに回転することを印刷対象物PBの公転と称し、印刷対象物PBが自転軸C2を中心にして回転することを印刷対象物PBの自転と称する。
【0013】
搬送部10は、図1および図2に示すように、平面視して外形が円形の回転体である公転テーブル11と、公転テーブル11の外周縁の近傍に周方向に沿って設けられる複数の自転テーブル13と、を備える。搬送部10は、公転テーブル11対して印刷対象物PBを連続的に供給する搬入ホィール15と、公転テーブル11において印刷が施された印刷対象物PBを排出する搬出ホィール17と、を備える。搬入ホィール15から印刷対象物PBを受け取った公転テーブル11が一回転する間に、自転テーブル13に載せられかつ自転する印刷対象物PBに対して印刷が施される。なお、図1には印刷対象物PBの記載が省略されている。
【0014】
[公転テーブル11]
搬送部10は、公転軸C1の周りに公転テーブル11を回転させる公転電動モータ12を備える。公転電動モータ12は、制御部100の指示に従って、回転動作および停止動作が間欠的に行われる。この動作については後述する。
【0015】
[自転テーブル13]
自転テーブル13は、公転テーブル11の外側面11Cの近傍に周方向に一例として均等間隔のピッチで設けられる。また、自転テーブル13は、印刷対象物PBを載せた状態で、自転電動モータ14により回転駆動される。この回転駆動は、印刷対象物PBの外表面に印刷を施すために行われる。ここでは一例として20台の自転テーブル13が設けられているが、この台数はあくまで一例である。
【0016】
自転電動モータ14は、公転テーブル11の下方に配置され、その出力軸が公転テーブル11を貫通して自転テーブル13を支持し、自転電動モータ14は自転テーブル13を回転駆動する。自転電動モータ14もまた、制御部100の指示に従って、回転動作および停止動作が間欠的に行われる。この動作については後述する。
【0017】
搬入ホィール15は、図示を省略する電動モータにより回転駆動し、上流側から印刷対象物PBを受け取るとともに、下流側に位置する公転テーブル11の自転テーブル13に向けて受け渡す。搬入ホィール15は、一例としてスターホィールを採用しており、公転テーブル11により自転テーブル13が公転する速度およびピッチに対応して印刷対象物PBを連続的に自転テーブル13に受け渡す。
搬出ホィール17は、図示を省略する電動モータにより回転駆動し、上流側に位置する公転テーブル11から印刷対象物PBを受け取るとともに、下流側に向けて印刷対象物PBを受け渡す。搬出ホィール17は、一例としてスターホィールを採用しており公転テーブル11により自転テーブル13が公転する速度およびピッチに対応して印刷対象物PBを連続的に受け取る。
なお、実施形態において、上流および下流は印刷対象物PBが搬送される向きに従って特定される。
【0018】
[遮蔽機構20:図1図2
遮蔽機構20は、図1および図2に示すように、それぞれの自転テーブル13に対応するように、公転テーブル11に設けられる。
それぞれの遮蔽機構20は、印刷対象物PBからの拡散光が印刷ヘッド31に照射されるのを遮る目的の遮蔽体21と、遮蔽体21を公転テーブル11の径方向Rに沿って往復移動させる遮蔽駆動源23と、を備える。
【0019】
遮蔽体21は、一例として、図1に示すように平面視するとコの字型の形態を有しており、一例として径方向Rと直交する内方板21Aと、内方板21Aの両端のそれぞれに連なり、径方向Rに平行な一対の側方板21B,21Bと、を備える。一対の側方板21B,21Bは、互いに平行をなすとともに、内方板21Aに対向する先端側は開口21Dとされている。また、遮蔽体21の上端側も開口21Eとされている。このように遮蔽体21は、開口21Dを除く、印刷対象物PBの水平方向の周囲を覆う遮蔽領域を備えている。
【0020】
遮蔽体21の奥行き方向の寸法、つまり開口21Dと内方板21Aとの間の寸法L1は、自転テーブル13に載せられる印刷対象物PBの直径RPBよりも大きく、遮蔽位置P0にいる遮蔽体21の開口21Dから印刷対象物PBがはみ出さないか、はみ出しても微小量となるように設定される。また、遮蔽体21の周方向Cの寸法、つまり側方板21B,21Bとの間の寸法L2は、自転テーブル13に載せられる印刷対象物PBの直径RPBよりも大きく、遮蔽位置P0にいる遮蔽体21の側方板21B,21Bと印刷対象物PBとの間には隙間が設けられる。したがって、遮蔽位置P0において、遮蔽体21は印刷対象物PBを径方向Rおよび周方向Cに収容できる。ただし、開口21Dは開放されている。
また、遮蔽体21の鉛直方向Vの寸法L3は、自転テーブル13に載せられる印刷対象物PBの鉛直方向Vの頂部と少なくとも同等の高さを有するように設定される。したがって、遮蔽位置P0において、遮蔽体21は印刷対象物PBを鉛直方向Vにおいても収容できる。ただし、開口21Eは開放されている。また、上記寸法L3は一例であり、寸法L3が印刷対象物PBの鉛直方向Vの頂部よりも高くしてもよいし低くしてもよい。
【0021】
遮蔽体21は、印刷対象物PBからの拡散光を遮ることができる限り、その材質は問われず、金属材料、樹脂材料などが適用される。樹脂材料を遮蔽体21に適用する場合には、硬化光の照射を受けて遮蔽体21の温度が高くなるのに対応するために、耐熱性の樹脂材料を用いるのが好ましい。遮蔽体21は、遮蔽位置P0において、印刷対象物PBとの対向面は硬化光を吸収して反射を抑えることのできる黒色、特に艶消しの黒色とするのが好ましい。また、印刷対象物PBとの対向面の表面粗さも硬化光の反射に影響を与えるので、色に加えて表面粗さを調整することが望まれる。
【0022】
遮蔽駆動源23は、遮蔽体21よりも公転軸C1に近い内側に配置される。この遮蔽駆動源23の配置は一例に過ぎず、遮蔽体21を移動させることができ、かつ、他の部材と干渉しなければ、他の位置、例えば遮蔽体21の上方、側方などに配置できる。
遮蔽駆動源23には、径方向Rに沿って前進後退運動する駆動軸24が設けられ、例えば直動型の電動モータ、油圧によるピストン・シリンダ機構などが適用される。遮蔽駆動源23が駆動して駆動軸24が前進すると遮蔽体21が遮蔽位置P0に位置し、遮蔽駆動源23が駆動して駆動軸24が後退すると遮蔽体21が退避位置P1に位置する。図1に示すように、搬出ホィール17と搬入ホィール15との間において遮蔽体21は退避位置P1に置かれるが、搬入ホィール15と搬出ホィール17との間において遮蔽体21は遮蔽位置P0に置かれる。退避位置P1における遮蔽体21は、搬入ホィール15から公転テーブル11に受け渡される印刷対象物PBとの干渉が避けられるとともに、公転テーブル11から搬出ホィール17に受け渡される印刷対象物PBとの干渉が避けられる。こうして、遮蔽体21を設けたとしても、印刷対象物PBの搬入および搬出が担保される。
【0023】
[印刷部30:図1図2
次に、印刷装置1Aの印刷部30について説明する。
印刷部30は、図1に示すように、公転テーブル11の外側面11Cから所定間隔、ここでは均等間隔を空けて設けられる複数の印刷ヘッド31と、それぞれの印刷ヘッド31に対応して設けられる光源33と、を備える。それぞれの印刷ヘッド31は、インクを吐出する図示が省略されるノズルを備えている。
【0024】
複数の印刷ヘッド31は、周方向に沿って均等な間隔を空けて配置され、また、光源33も周方向に沿って均等な間隔を空けて配置される。この周方向において、一例として、印刷ヘッド31と光源33が交互に配置される。他の例としては、二つの印刷ヘッド31,31と一つの光源33を一つのグループとして、このグループを交互に配置することができる。この場合、二つの印刷ヘッド31,31のそれぞれからは異なる色のインクが吐出される。
【0025】
印刷ヘッド31は、一例としてインクジェット方式のヘッドからなり、本実施形態においては一例として3つの異なる色の印刷を2本ずつのインデックス動作で行う場合を提案する。この3色は一例としてシアン、マゼンダ、イエローが揚げられる。つまり、図1において、印刷ヘッド31Aと印刷ヘッド31B、印刷ヘッド31Cと印刷ヘッド31D、印刷ヘッド31Eと印刷ヘッド32Fはそれぞれ同じ色のインクを吐出する。なお、公転テーブル11を大きくすることにより、印刷ヘッド31および光源33の数を多くすることができ、フルカラー印刷である6色印刷などに対応することができる。
【0026】
光源33は、印刷ヘッド31で印刷対象物PBの表面に塗布されたインクを乾燥、硬化するための紫外線を照射する。図1において、印刷ヘッド31A,31B,31C,31D,31E,31Fに対応することが分かるように、光源33A,33B,33C,33D,33E,33Fと表記される。例えば、印刷ヘッド31Aで塗布されたインクは光源33Aで硬化され、また、印刷ヘッド31Dで塗布されたインクは光源33Dで乾燥、硬化される。なお、光源33からの硬化光が隣接する印刷ヘッド31に照射されるのを防ぐために、遮蔽体を設ける、あるいは、レンズで硬化光を絞ることが好ましい。本開示における硬化媒体としては、硬化光としての紫外線に限るものではなく、電子線など他の硬化媒体を適用できる。
【0027】
本実施形態においては、印刷ヘッド31A,31B,31C,31D,31E,31Fと光源33A,33B,33C,33D,33E,33Fとのそれぞれが二台ずつグループをなして交互に配置されるが、これはあくまで一例に過ぎない。例えば、印刷ヘッド31A~31Fと光源33A~33Fとを一台ずつ交互に配置してもよいし、印刷ヘッド31A~31Fと光源33A~33Fとを三台以上ずつグループをなして交互に配置してもよい。
【0028】
[印刷装置1Aの動作:図3
次に、図3を参照して印刷装置1Aの動作を説明する。
[搬入工程~印刷工程]
搬入ホィール15から印刷対象物PBが公転テーブル11に受け渡された後に、印刷ヘッド31A,31Bの前に印刷対象物PB2,PB1が搬送されるところから印刷が開始される。なお、この説明において、最初に搬送されることから印刷対象物PB1と表記され、さらに2番目以降に搬送されるものについても印刷対象物PB2,PB3などと表記される。
搬入ホィール15から印刷対象物PB1,PB2…が公転テーブル11に受け渡される前までは、遮蔽機構20の遮蔽体21は退避位置P1で待機しているが、受け渡された後に、遮蔽体21は遮蔽位置P0へと移動する。このように、遮蔽体21は、印刷対象物PBが搬送されるのに伴って移動する。
【0029】
[印刷工程]
公転テーブル11が図中の時計周りに回転して、印刷ヘッド31A,31Bの前まで印刷対象物PB2,PB1のそれぞれが搬送されると、公転テーブル11の回転、つまり公転が停止される。公転テーブル11の公転が停止すると、印刷対象物PB2,PB1への印刷が始まる(図3 STEP1)。印刷対象物PB2,PB1への印刷は、印刷対象物PB2,PB1を載せたそれぞれの自転テーブル13,13が自転電動モータ14の駆動により回転するとともに、印刷ヘッド31A,31Bからインクを印刷対象物PB2,PB1の印刷対象面となる外表面に向けて吹き付けることにより行われる。この間、公転テーブル11の公転は停止している。なお、自転テーブル13は公転テーブル11の公転が行われている間に自転(回転)していてもよい。
【0030】
所定の公転停止時間を経た後に、公転テーブル11は所定の向きに所定の角度だけ公転(回転)する。そうすると、印刷対象物PB2,PB1が光源33A,33Bの前に搬送される。また、次の印刷対象物PB4,PB3が印刷ヘッド31A,31Bの前に搬送され、公転テーブル11の公転が停止される。
公転テーブル11の公転が停止すると、印刷対象物PB2,PB1への光源33A,33Bによる紫外線の照射および印刷対象物PB4,PB3への印刷ヘッド31A,31Bによる印刷が行われる(図3 STEP2)。この間、印刷対象物PB1~PB4を載せたそれぞれの自転テーブル13は自転する。印刷対象物PB1~PB4の自転、光源33A,33Bによる紫外線の照射、ならびに、印刷ヘッド31A,31Bからのインクの吹き付けは、公転テーブル11の公転が停止している間に行われる。
【0031】
以上の印刷対象物PBへのインクの吹き付けおよび硬化光である紫外線の照射を繰り返すことにより、先頭および2番目で供給された印刷対象物PB2,PB1は、印刷ヘッド31E,31Fによる印刷および光源33E,33Fによる紫外線の照射を完了して、所望する装飾、文字などを含む印刷が終了する(図3 STEP7)。
【0032】
以上の印刷工程が行われている間、遮蔽体21は遮蔽位置P0に配置されることにより、印刷ヘッド31への印刷対象物PBからの拡散光の照射を遮ることができる。
いま、光源33Aの前の印刷対象物PB2に向けて紫外線を照射すると、紫外線は印刷対象物PB2に照射されるが、印刷対象物PB2で反射されることで拡散光が生ずる。しかし、印刷対象物PB2は遮蔽位置P0にある遮蔽体21により径方向Rの内側および周方向Cの両側が閉じられているので、拡散光は隣接する印刷ヘッド31A,31Bおよびその他の印刷ヘッド31に向けた照射が遮られる。遮蔽体21は径方向Rの外側に開口21Dが、また、鉛直方向Vの上端に開口21Eがあり、そこから拡散光は漏れ出るおそれがあるものの、開口21Dおよび開口21Eから漏れ出る拡散光が進む方向は、印刷ヘッド31に向かう方向とは相当にずれており、印刷ヘッド31に照射される拡散光はないかあったとしても微量である。
【0033】
[搬出工程]
所望する印刷が施された先頭および2番目で供給された印刷対象物PB2,PB1は、公転テーブル11の自転テーブル13から搬出ホィール17に受け渡され、さらに下流に向けて搬出される。この受け渡しに関わるときには、遮蔽体21はそれまでの遮蔽位置P0から退避位置P1に移動する。遮蔽体21の退避位置P1への移動は、搬入ホィール15からの印刷対象物PBの搬入に関わるまで継続される。
【0034】
[印刷装置1Aによる効果]
印刷装置1Aによれば、以下の効果を奏する。
印刷装置1Aは、印刷対象物PBが載せられる自転テーブル13のそれぞれに対応して遮蔽機構20が設けられる。遮蔽機構20の遮蔽体21は、印刷工程および硬化光照射工程が行われる間には、遮蔽位置P0にあって、印刷対象物PBからの拡散光が印刷ヘッド31に照射されないように拡散光を遮る。
また、遮蔽機構20の遮蔽体21は、硬化光の照射に関わらない搬出ホィール17への印刷対象物PBの受け渡しと搬入ホィール15からの印刷対象物PBの受け取りの間には退避位置P1にあって、印刷対象物PBの受け渡しおよび受け取りとの干渉を回避する。
そして、遮蔽体21においては、開口21Dにおける周方向Cの寸法L2を必要以上に大きくしなくても、搬入または搬出される印刷対象物PBとの干渉を回避できるので、隣接する自転テーブル13,13の間のピッチを狭くできる。これにより、同じ寸法の公転テーブル11の上に設ける自転テーブル13の数を増やすことができるので、高い印刷処理能力を得ることができる。
【0035】
[第2実施形態 印刷装置1B:図4図5
次に、第2実施形態に係る印刷装置1Bについて、図4および図5を参照して説明する。
印刷装置1Bは、公転テーブル11の回転力を遮蔽体21の直線の動きに変換するカム機構40により遮蔽体21の遮蔽位置P0と退避位置P1との間の移動を行う。
カム機構40は、公転テーブル11の表面から所定の間隔を隔てて設けられる主動節としての溝カム43と、溝カム43の内部を走行する従動節としてのローラ47と、を備える。
【0036】
公転テーブル11から所定の距離を空けて設けられる溝カム43は、周方向Cに連なっており、公転テーブル11が回転するのに対して、位置が固定されている。溝カム43は、その内側にローラ47が走行移動するカム通路45を備えており、公転軸C1からカム通路45までの距離を変えることにより、遮蔽体21の遮蔽位置P0と退避位置P1との間の移動を実現する。具体的には、遮蔽位置P0においては公転軸C1からの距離を相対的に大きくする一方、退避位置P1においては公転軸C1からの距離を相対的に小さくする。遮蔽位置P0における公転軸C1からの距離は一定である。溝カム43は、一例として、遮蔽体21よりも微小量だけ上側において、ローラ47を受け入れる。なお、溝カム43において、遮蔽体21が遮蔽位置P0にいる領域を遮蔽領域A0といい、遮蔽体21が退避位置P1にいる領域を退避領域A1という。溝カム43、後述するローラ47およびスライド機構50は、各々の機能を発揮できることを前提として、例示される位置以外に設けることもできる。
【0037】
ローラ47は、遮蔽体21のそれぞれに対応して設けられ、公転テーブル11の公転に伴って溝カム43のカム通路45を走行する。ローラ47は、一例として、遮蔽体21の内方板21Aに固定される支持体49の上端に回転可能に支持された状態で、カム通路45に配置される。このように、カム通路45を走行するローラ47が支持体49を介して遮蔽体21と繋がっているので、カム通路45の公転軸C1からの距離に応じるローラ47の公転軸C1からの移動に従って、遮蔽体21が移動する。この移動は、遮蔽位置P0と退避位置P1との間において行われる。
【0038】
カム機構40における円滑な動作を担保するために、印刷装置1Bはスライド機構50を備える。スライド機構50は、一例として、遮蔽体21をその下方から支持するとともに、径方向Rへの往復移動を実現する。
スライド機構50は、図5に示すように、自転テーブル13を間に挟み公転テーブル11に固定される一対のガイドレール51と、一対のガイドレール51のそれぞれに沿って移動する走行ホィール53と、を備える。走行ホィール53は、遮蔽体21の下端に、一つのガイドレール51について二つずつが回転自在に設けられている。
【0039】
[印刷装置1Bの動作]
以下、印刷装置1Aに対する印刷装置1Bの特徴的な動作を説明する。
図5に示すように、遮蔽体21に付随するローラ47が溝カム43の退避領域A1の範囲を走行している間は、印刷対象物PBの搬出および搬入の妨げにならないように、遮蔽体21は退避位置P1にある。一方、遮蔽体21に付随するローラ47が溝カム43の遮蔽領域A0の範囲を走行している間は、拡散光を抑えるために、遮蔽体21は遮蔽位置P0にある。
この遮蔽体21の遮蔽位置P0と退避位置P1との間の移動は、公転テーブル11の回転に伴うカム機構40の動作によって実現される。
【0040】
[印刷装置1Bによる効果]
印刷装置1Bは、第1実施形態に係る印刷装置1Aの効果に加えて、以下の効果を奏する。
印刷装置1Bは、遮蔽体21のそれぞれに対応する遮蔽駆動源23が不要であるのに加えて、それぞれの遮蔽駆動源23の動作を制御する信号を制御部100から受信する必要がないので、制御信号を公転テーブル11の側に伝送するスリップリングなどの端子の数を抑えることができる。
【0041】
[第3実施形態 印刷装置1C:図6
次に、第3実施形態に係る印刷装置1Cについて、図6を参照して説明する。
印刷装置1Cは、印刷装置1Bによるカム機構40の代替として、公転テーブル11の回転力を遮蔽体21の直線の動きに変換する歯車機構60により遮蔽体21の遮蔽位置P0と退避位置P1との間の移動を行う。印刷装置1Cの歯車機構60として、ラック・アンド・ピニオン(rack and pinion)が適用される。
【0042】
歯車機構60は、遮蔽体21を退避位置P1から遮蔽位置P0まで移動させるのに用いられる前進主動ラック61Aと、遮蔽体21を遮蔽位置P0から退避位置P1まで移動させるのに用いられる後退主動ラック61Bと、を備えている。前進主動ラック61Aおよび後退主動ラック61Bは、印刷装置1Bにおける溝カム43と同様の役割を担い、公転テーブル11に対する位置が固定される。つまり、前進主動ラック61Aは遮蔽体21を退避位置P1から遮蔽位置P0に移動させるのに必要な範囲だけに配置され、後退主動ラック61Bは遮蔽体21を遮蔽位置P0から退避位置P1まで移動させるのに必要な範囲だけに配置される。前進主動ラック61Aおよび後退主動ラック61Bはともに、必要な範囲に対応して、平面視して円弧状の形態を有している。図示を省略するが、前進主動ラック61Aは径方向Rの内側にピニオンギア63と噛み合う歯が形成されており、後退主動ラック61Bは径方向Rの外側にピニオンギア63と噛み合う歯が形成されているものとする。また、前進主動ラック61Aおよび後退主動ラック61Bはともに溝カム43と同様の鉛直方向Vの位置に固定されている。
【0043】
歯車機構60は、前進主動ラック61Aおよび後退主動ラック61Bに噛み合うピニオンギア63と、ピニオンギア63に噛み合って径方向Rに沿って移動する従動ラック65と、を備える。ピニオンギア63と従動ラック65は、それぞれの遮蔽機構20に対応して設けられる。
【0044】
従動ラック65は、直線状の形態を有し、その一方側が遮蔽体21の内方板21Aの背面に固定され、径方向Rに沿うよう配置される。したがって、従動ラック65が径方向に前進または後退することにより、遮蔽体21も径方向に前進または後退する。なお、遮蔽体21はその下方において印刷装置1Bと同様のスライド機構50により支持されている。
【0045】
遮蔽体21が退避位置P1から遮蔽位置P0に移動する際に、ピニオンギア63は前進主動ラック61Aと従動ラック65の両方に噛み合う。このとき、公転テーブル11の回転に伴って遮蔽体21が周方向Cに移動すると、ピニオンギア63は、前進主動ラック61Aの内側の歯と噛み合いながら周方向Cに移動することで一例として反時計回りに回転する。このピニオンギア63の回転によりピニオンギア63と噛み合う従動ラック65は次第に径方向Rの外側に移動し、ピニオンギア63が前進主動ラック61Aの始点S1から終点E1まで移動すると、遮蔽体21は遮蔽位置P0に至る。これからさらに公転テーブル11の回転が進むと、ピニオンギア63と前進主動ラック61Aの噛み合いは解かれ、その後はピニオンギア63と従動ラック65との相対的な位置が維持されることで、後退主動ラック61Bに至るまで遮蔽体21の遮蔽位置P0も維持される。なお、ピニオンギア63は、一例とて公転テーブル11の表面に立設される支持筒64の上端に回転自在に支持される。支持筒64は公転テーブル11に対する位置が固定された状態で、公転テーブル11の回転に伴って周方向Cに移動する。
【0046】
遮蔽体21が遮蔽位置P0から退避位置P1に移動する際に、ピニオンギア63は後退主動ラック61Bと従動ラック65の両方に噛み合う。このとき、公転テーブル11の回転に伴って遮蔽体21が周方向Cに移動するのに伴って、ピニオンギア63は、後退主動ラック61Bの外側の歯と噛み合いながら周方向Cに移動することで一例として時計回りに回転する。このピニオンギア63の回転によりピニオンギア63と噛み合う従動ラック65は次第に径方向Rの内側に移動し、ピニオンギア63が後退主動ラック61Bの始点S1から終点E2まで移動すると、遮蔽体21は退避位置P1に至る。これからさらに公転テーブル11の回転が進むと、ピニオンギア63と後退主動ラック61Bの噛み合いは解かれ、その後はピニオンギア63と従動ラック65との相対的な位置が維持されることで、前進主動ラック61Aに至るまで遮蔽体21の退避位置P1も維持される。
【0047】
[印刷装置1Cによる効果]
印刷装置1Cは、第2実施形態に係る印刷装置1Bの効果に加えて、前進主動ラック61Aと後退主動ラック61Bを設ける範囲が周方向Cの一部で足りるので、製造コストを下げることができる。
【0048】
〔第4実施形態 印刷装置1D:図7
図7を参照して、第4実施形態に係る印刷装置1Dを説明する。
印刷装置1Dは、基本的な構成は印刷装置1Aと同じであるが、単一の遮蔽体21が対応する印刷対象物PBが複数ある。つまり、印刷装置1Dは、遮蔽体21で収容する印刷対象物PBが2本である。印刷装置1Dは印刷ヘッド31および光源33が2つずつ交互に配置されていることに対応しているが、遮蔽体21で収容する印刷対象物PBの数は3以上とすることもできる。ただし、収容する印刷対象物PBの数が多くなりすぎると、遮蔽体21を大きくする必要があり、遮蔽位置P0と退避位置P1との間を移動させる負荷が大きくなる。そこで、遮蔽体21で収容する印刷対象物PBの数は5以下にすることが好ましい。
【0049】
[印刷装置1Dによる効果]
印刷装置1Dは、遮蔽体21、遮蔽駆動源23などの機械的要素の数を抑えながら、第1実施形態に係る印刷装置1Aの効果を奏することができる。なお、印刷装置1Dを第2実施形態のようにカム機構40で実現することもできるし、印刷装置1Dを第3実施形態の歯車機構60で実現することもできる。
【0050】
〔第5実施形態 印刷装置1E:図8
図9を参照して、第5実施形態に係る印刷装置1Eを説明する。
印刷装置1Eも基本的な構成は印刷装置1Aと同じであるが、遮蔽体21の全体を移動させるのではなく、内方板21Aおよび一対の側方板21B,21Bの中で、側方板21B,21Bだけ、つまり遮蔽体21の一部を遮蔽位置P0と退避位置P1との間を移動させる。この印刷装置1Eにおいては、周方向に繋げた平面視して円形の内方板21Aとする一方、一対の側方板21B,21Bは、内方板21Aの所定位置に形成されるスリット22,22を通過して、遮蔽位置P0と退避位置P1との間を往復移動させることができる。
【0051】
[印刷装置1Eによる効果]
印刷装置1Dは、可動部の省スペース化や有効配置あるいは可動質量の減少による駆動力低減に有効となりながらも、第1実施形態に係る印刷装置1Aの効果を奏することができる。
【0052】
〔第6実施形態 印刷装置1F:図9
図9を参照して、第6実施形態に係る印刷装置1Fを説明する。
印刷装置1Fは、遮蔽体21の一部が移動する点で印刷装置1Eと同じであるが、遮蔽体21の平面視した形状が異なるね。つまり、印刷装置1Fの遮蔽体21は、可動板21F、可動板21Gおよび固定板21Hの3つの要素から構成される。可動板21F、可動板21Gおよび固定板21Hは、いずれも平面視して円弧状の形態を有しており、これらの曲率半径は印刷対象物PBの半径よりも大きく設定されている。固定板21Hは、常に自転テーブル13の近傍であって径方向Rの内側の所定位置に固定される。また、可動板21Fおよび可動板21Gは、退避位置P1においては、固定板21Hの背後に径方向Rに重なって配置される。しかし、遮蔽位置P0においては、可動板21Fおよび可動板21Gはそれぞれ円弧状の軌跡にしたがって、径方向Rの外側に前進して、固定板21Hとともに拡散光の遮蔽に寄与する。
【0053】
[印刷装置1Fによる効果]
印刷装置1Fによる遮蔽体21は、遮蔽位置P0における可動板21F、可動板21Gおよび固定板21Hがなす平面視する形態が円弧状をなしており、この円弧状をなす遮蔽体21は可動域を含めた専有面積が「コ」字型の形態にくらべ小さくできる。したがって、印刷装置1Fによれば、他の機器との干渉回避などに有効である可動部の省スペース化や有効配置あるいは可動質量の減少による駆動力低減を実現しながら、第1実施形態に係る印刷装置1Aの効果を奏することができる。
【0054】
〔第7実施形態 印刷装置1G:図10
図10を参照して、第7実施形態に係る印刷装置1Gを説明する。印刷装置1Gは、直線状に搬送される印刷対象物PBに対して、遮蔽体21を遮蔽位置P0と退避位置P1の間を移動させながら、印刷対象物PBに印刷を施す。
【0055】
印刷装置1Gは、印刷対象物PBを直線状の搬送路に沿って搬送する搬送部10と、搬送部10の幅方向Wの一方の側に設けられる印刷部30と、搬送部10の幅方向Wの他方の側に設けられる遮蔽機構20と、を備える。
【0056】
印刷装置1Gにおける搬送部10は、例えばコンベヤ装置からなり、上流(U)の側から印刷対象物PBを受け取り、下流(L)に向けて印刷対象物PBを搬送する。搬送部10による印刷対象物PBの搬送の過程で、印刷対象物PBに印刷が施される。搬送部10により搬送される印刷対象物PBは、例えば自転テーブル13に載せられる印刷対象物PBは中心軸周りに回転するのとは異なり、搬送部10に載せられた姿勢が維持されたままで印刷が施される。
【0057】
印刷装置1Gにおける印刷部30も複数の印刷ヘッド31と複数の光源33とを備える。ただし、印刷装置1Gにおける印刷部30は、四つの印刷ヘッド31A,31B,31C,31Dと四つの光源33A,33B,33C,33Dとが、一つずつ交互に配置されている。つまり、印刷装置1Gにおける印刷部30は、一例として、4色のインクを用いて印刷対象物PBに印刷を施す。
【0058】
次に、印刷装置1Gにおける遮蔽機構20を説明する。
遮蔽機構20は、平面視してレーストラック状を有する循環経路25を備える。循環経路25は、直線路25A,25Bおよび反転路25C,25Dからなる周回軌道を構成する。遮蔽機構20の遮蔽体21は、循環経路25に沿って移動するとともに、搬送部10に対して進退移動することができる。遮蔽体21の移動は、一例としてリニアモータによって実現できる。つまり、リニアモータの一方の要素である電磁コイルが循環経路25に設けられ、リニアモータの他方の要素である永久磁石を遮蔽体21に設ける。これにより、遮蔽体21と循環経路25によりリニアモータが構成されるので、遮蔽体21を循環経路25の方向に移動させることができるのに加えて、遮蔽体21を印刷対象物PBが搬送される搬送部10に対して進退移動させることができる。この進退移動により、次に説明するように、遮蔽体21を遮蔽位置P0と退避位置P1との間を移動させることができる。
【0059】
印刷装置1Gにおける遮蔽機構20は、搬送部10に対向して設けられる直線路25Aの上流(U)および下流(L)の一部を除いて、遮蔽体21が遮蔽位置P0に置かれ、拡散光を遮蔽する。印刷対象物PBが最も下流(L)に位置する印刷ヘッド31Dによる印刷、光源33Dからの硬化光の照射を受けた後に所定位置に至ると、遮蔽体21は退避位置P1に後退する。退避位置P1に後退した遮蔽体21は、直線路25Aを通過した後に、反転路25C、直線路25Bおよび反転路25Dを通過して直線路25Aの所定位置に至るまで退避位置P1に留まる。
【0060】
[印刷装置1Gによる効果]
印刷対象物PBが直線状の搬送経路を搬送される印刷装置1Gにおいても、遮蔽体21を遮蔽位置P0と退避位置P1との間を移動させることにより、搬送部10に載せる印刷対象物PBの間隔を狭くできる。したがって、印刷装置1Aなどと同様に、高い印刷処理能力を確保できる。
また、印刷装置1Gによれば、直線状の搬送部10を搬送される印刷対象物PBは回転されないため、印刷対象物PBの側面の片方の面に印刷を行うこととなり、角型の印刷対象物PBの印刷に特に有効である。もっとも、印刷装置1Gによれば、丸形の印刷対象物PBであっても周方向における限定される範囲における印刷は可能である。
また、印刷装置1Gによれば、印刷対象物PBの搬送を止めることなく、連続的に供給・排出できるため、公転テーブル11を間欠動作させる印刷装置1Aよりも高い処理能力得ることができる。
【0061】
印刷装置1Gにおいて水平方向Hに遮蔽体21が往復移動するが、例えば図11に示すように、遮蔽体21が鉛直方向Vに昇降する機構とすることができる。そうすれば、印刷ヘッド31および光源33を印刷対象物PBの対向する一対の側面の双方に設けることができるので、印刷対象物PBの移行する一対の側面に印刷することができる。
【0062】
[付記]
本開示の第1態様に係る印刷装置1A~1Gは、搬送経路に沿って印刷対象物(PB)を搬送する搬送部(10)と、搬送経路に沿って搬送される過程で印刷対象物にノズルからインクを吹き付けて印刷を行う印刷ヘッド(31)と、印刷対象物(PB)に吹き付けられるインクを硬化するための硬化媒体を印刷対象物に向けて照射する媒体源(33)と、
印刷対象物(PB)に照射される硬化媒体の拡散媒体がノズルに照射されるのを遮るための遮蔽体(21)と、を備える。
本開示における遮蔽体(21)は、拡散光を遮ることができる遮蔽位置(P0)と、搬送部(10)による印刷対象物(PB)の搬送の妨げにならない退避位置(P1)と、の間を移動する。
【0063】
本開示における第2態様は、第1態様に係る遮蔽体(21)は、好ましくは、位置が固定される印刷ヘッド(31)および光源(33)に対向する側の開口(21D)と、開口(21D)を除く、印刷対象物(PB)の水平方向の周囲を覆う遮蔽領域と、を備え、かつ、印刷対象物(PB)が搬送されるのに伴って移動する。
【0064】
本開示における第3態様の遮蔽体(21)は、第1態様または第2態様において、好ましくは、平面視した形状が、コの字形または円弧状をなす。
本開示における第4態様の遮蔽体(21)は、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、好ましくは、水平方向または鉛直方向において、遮蔽位置(P0)と退避位置(P1)との間を移動する。
本開示における第5態様の遮蔽体(21)は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、好ましくは、その一部が、遮蔽位置(P0)と退避位置(P1)との間を移動する。
本開示の第6態様において、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、好ましくは、単一の遮蔽体(21)が、複数の印刷対象物(PB)に対応して設けられる。
【0065】
本開示における第7態様の搬送部(10)は、第1態様から第6態様のいずれかにおいて、好ましくは、複数の印刷対象物(PB)を円弧状の搬送経路に沿って搬送する回転テーブル(11)と、回転しながら印刷対象物(PB)を回転テーブル(11)に連続的に受け渡す回転ホィール(15)と、を備える。この場合の遮蔽体(21)は、回転ホィール(15)からの回転テーブル(11)への印刷対象物(PB)の受け渡しの際にその妨げにならない退避位置(P1)にいる。
この形態の第8態様に係る遮蔽体(21)は、好ましくは、第7態様において、回転テーブル(11)の回転を駆動源として、遮蔽位置(P0)と退避位置(P1)との間を回転テーブル(11)の径方向に移動する。
【0066】
本開示の第9態様に係る搬送部(10)は、好ましくは、第1態様から第8態様のいずれかにおいて、複数の印刷対象物(PB)を直線状の搬送経路に沿って搬送し、印刷ヘッド(31)および光源(33)は、直線状の搬送経路に沿う所定範囲に設けられる。この形態における複数の遮蔽体(21)は、所定範囲に対応する遮蔽位置(P0)と、所定範囲以外に対応する退避位置(P1)と、の間を移動する。
この形態の第10態様に係る搬送部(10)は、好ましくは、第9態様において、複数の遮蔽体(21)が移動する、直線状の搬送経路を含む循環経路を備える。
【符号の説明】
【0067】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G 印刷装置
10 搬送部
11 公転テーブル
11C 外側面
12 公転電動モータ
13 自転テーブル
14 自転電動モータ
15 搬入ホィール
17 搬出ホィール
20 遮蔽機構
21 遮蔽体
21A 内方板
21B 側方板
21D,21E 開口
21F,21G 可動板
21H 固定板
22 スリット
23 遮蔽駆動源
24 駆動軸
25 循環経路
25A,25B 直線路
25C,25D 反転路
30 印刷部
31,31A,31B,31C,31D,31E,31F 印刷ヘッド
33,33A,33B,33C,33D,33E,33F 光源
40 カム機構
43 溝カム
45 カム通路
47 ローラ
49 支持体
50 スライド機構
51 ガイドレール
53 走行ホィール
60 歯車機構
61A 前進主動ラック
61B 後退主動ラック
63 ピニオンギア
64 支持筒
65 従動ラック
100 制御部
PB,PB1,PB2,PB3,PB4 印刷対象物
P0 遮蔽位置
P1 退避位置
A0 遮蔽領域
A1 退避領域
C1 公転軸
C2 自転軸
S1,S2 始点
E1,E2 終点
L 下流
U 上流
V 鉛直方向
H 水平方向
W 幅方向
R 径方向
C 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11