(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149370
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/10 20060101AFI20231005BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D43/10 BRP
B65D1/26 120
B65D1/26 BSF
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057904
(22)【出願日】2022-03-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和4年2月16日から18日に開催された「スーパーマーケット・トレードショー2022」に出展 2.令和4年2月16日に中央化学株式会社が発行した「CHUO NewCollection 中央化学株式会社 新商品シリーズ特別号2022」の33ないし34頁に掲載 3.令和4年3月14日から6月30日まで開催されている自社常設展示会場に展示 4.令和4年3月21日に日報ビジネス株式会社が発行した「包装タイムス」に掲載 5.令和4年3月18日にインターネットサイト(Youtube)において動画配信(URL「https://www.youtube.com/watch?v=Mgt5cyK7Kc8」) 6.令和4年3月24日にインターネットサイト(インスタグラム)に投稿(URL「https://www.instagram.com/p/CbeJNRiF73h/?utm_medium=copy_link」) 7.令和4年3月3日に頒布した「製品説明書」に掲載
(71)【出願人】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】泉 李沙
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA16
3E033BA18
3E033CA02
3E033DA04
3E033DA05
3E033DA08
3E033DC10
3E033DD01
3E033EA07
3E033FA01
3E033FA04
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB12
3E084JA10
3E084KA06
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】容器本体を潰すことなく容器本体に蓋を嵌合させることができる包装用容器を提供する。
【解決手段】包装用容器1は、蓋18の内寸が、容器本体2の外寸よりも小さく形成され、内寸と外寸との直径差は、0.25ミリメートル以上である。蓋18の蓋側嵌合部22には、アンダーが形成され、アンダーの長さは、蓋側嵌合部22の周長の50パーセント以上を占めている。容器本体2の本体側嵌合部12には、内側に向けて窪んだ切欠き部13が形成され、開口部11における円周のうち、三つの切欠き部13の長さの合計は、開口部11の周長の20~50パーセントを占めている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、前記開口部に着脱される蓋と、を有し、
前記蓋のうち、前記開口部に嵌合する蓋側嵌合部の内寸が、前記開口部のうち、前記蓋側嵌合部と嵌合する本体側嵌合部の外寸よりも小さく、前記内寸と前記外寸との直径差が、0.25ミリメートル以上であり、
前記蓋側嵌合部の嵌合凸部の長さが、前記蓋の周長の50パーセント以上を占め、
前記本体側嵌合部に、前記蓋側嵌合部から離れる方向に窪んだ切欠き部が形成された、
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記本体側嵌合部が、前記開口部において外側に向って伸びたフランジ部と、前記フランジ部の先から外側かつ斜め下方に向けて伸びたフランジ先端部と、を有し、
前記フランジ部に対する前記フランジ先端部の角度が、45度以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載された包装用容器。
【請求項3】
前記本体側嵌合部が、内側に向けた撓んだ状態で前記蓋側嵌合部と嵌合する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された包装用容器。
【請求項4】
前記容器本体の側面部に、複数の凹凸が形成された、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載された包装用容器。
【請求項5】
平面視において、前記容器本体の底面部が三角形であり、前記開口部が、前記底面部における三角形の角部よりも曲率半径の大きな曲線で形成された、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載された包装用容器。
【請求項6】
前記底面部の面積と前記開口部の面積との比率が、1:2~1:10である、
ことを特徴とする請求項5に記載された包装用容器。
【請求項7】
前記蓋側嵌合部と前記本体側嵌合部とが、前記容器本体を深さ方向に潰す際の外力よりも弱い外力で嵌合する、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載された包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サラダや惣菜等は、スーパーマーケット等で販売される際、プラスチック製の容器に収容された状態で陳列されている。一般的に、プラスチック製の容器は、廃棄される際、嵩張らないように潰せることが好まれるところ、そのような容器として、例えば、下記特許文献1に記載された樹脂成型品(以下、「公知文献1発明」と記す)や、下記特許文献2に記載された包装用容器(以下、「公知文献2発明」と記す)等がある。
【0003】
公知文献1発明、公知文献2発明は、何れも、器となる容器本体に、被収容物を覆うための蓋が取り付けられるものであり、使用後に押し潰されることで、体積が小さくなるように工夫されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5431822号公報
【特許文献2】特許第4496468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、公知文献1発明及び公知文献2発明は、容器本体が押し潰されることを前提とした構造である一方で、容器本体に蓋が嵌合する構造でもあることから、蓋を嵌合させる際、不本意に容器本体が潰れることが懸念される。すなわち、両発明は、容器本体が比較的潰れやすい構造である一方で、容器本体が潰される際に加えられる外力の向きと同じ向きで、容器本体に蓋が嵌合させられるため、潰すことを目的とせずに容器本体に蓋を嵌合させようとしたときにも、容器本体が潰れてしまう場合がある。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、容器本体を潰すことなく容器本体に蓋を嵌合させることができる包装用容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る包装用容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部に着脱される蓋と、を有し、前記蓋のうち、前記開口部に嵌合する蓋側嵌合部の内寸が、前記開口部のうち、前記蓋側嵌合部と嵌合する本体側嵌合部の外寸よりも小さく、前記内寸と前記外寸との直径差が、0.25ミリメートル以上であり、前記蓋側嵌合部の嵌合凸部の長さが、前記蓋の周長の50パーセント以上を占め、前記本体側嵌合部に、前記蓋側嵌合部から離れる方向に窪んだ切欠き部が形成された、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る包装用容器は、前記本体側嵌合部が、前記開口部において外側に向って伸びたフランジ部と、前記フランジ部の先から外側かつ斜め下方に向けて伸びたフランジ先端部と、を有し、前記フランジ部に対する前記フランジ先端部の角度が、45度以下である、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る包装用容器は、前記本体側嵌合部が、内側に向けた撓んだ状態で前記蓋側嵌合部と嵌合する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る包装用容器は、前記容器本体の側面部に、複数の凹凸が形成された、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る包装用容器は、平面視において、前記容器本体の底面部が三角形であり、前記開口部が、前記底面部における三角形の角部よりも曲率半径の大きな曲線で形成された、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る包装用容器は、前記底面部の面積と前記開口部の面積との比率が、1:2~1:10である、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る包装用容器は、前記蓋側嵌合部と前記本体側嵌合部とが、前記容器本体を深さ方向に潰す際の外力よりも弱い外力で嵌合する、ことを特徴とする。換言すれば、本発明に係る包装用容器の圧縮方法は、前記容器本体を深さ方向に潰す際の外力よりも弱い外力で、前記蓋側嵌合部を前記本体側嵌合部に嵌合させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る包装用容器は、開口部を有する容器本体と、開口部に着脱される蓋とを有し、蓋のうち、開口部に嵌合する蓋側嵌合部の内寸が、開口部のうち、蓋側嵌合部と嵌合する本体側嵌合部の外寸よりも小さく、内寸と前記外寸との直径差が、0.25ミリメートル以上であり、蓋側嵌合部の嵌合凸部の長さが、蓋の周長の50パーセント以上を占め、本体側嵌合部に、蓋側嵌合部から離れる方向に窪んだ切欠き部が形成されている。すなわち、本体側嵌合部の外寸よりも、蓋側嵌合部の内寸の方が小さいことから、両者が嵌合する際、容器本体が蓋のサイズに合わせて収縮して堅固に嵌合する。更に、両者の直径差が、0.25ミリメートル以上あることから、嵌合の度合いが顕著となる。両者を堅固に嵌合させる場合、一般的には、強い外力を要するが、本発明は、蓋側嵌合部が、蓋の周長の1/2以上を占めることから、蓋側嵌合部が、変形しやすく、本体側嵌合部と嵌合しやすい。また、本発明は、本体側嵌合部に切欠き部が形成されたことによって、本体側嵌合部と蓋側嵌合部との間に隙間が形成され、この隙間において、両者は嵌合しない。すなわち、本体側嵌合部と蓋側嵌合部とが嵌合しない領域が存在する分、嵌合する領域が狭くなるため、両者は容易に嵌合する。以上のとおり、本発明は、両者を堅固に嵌合することができる一方で、本体側嵌合部と蓋側嵌合部とが、嵌合しやすい構造であるため、容器本体を潰すことなく容器本体に蓋を嵌合させることができる。また、切欠き部が蓋側嵌合部から離れているため、蓋が容器本体から取り外される際、利用者の指が、本体側嵌合部と蓋側嵌合部との間において、切欠き部に引っ掛かる。したがって、利用者は、蓋を容器本体から容易に取り外すことができる。
【0015】
本発明に係る包装用容器は、本体側嵌合部が、開口部において外側に向って伸びたフランジ部と、フランジ部の先から外側かつ斜め下方に向けて伸びたフランジ先端部とを有し、フランジ部に対するフランジ先端部の角度が、45度以下である。すなわち、フランジ先端部が、フランジ部に対して緩やかに傾斜して伸びているため、フランジ先端部は、水平である場合と比較して撓みやすい。したがって、本発明は、本体側嵌合部と蓋側嵌合部とが、嵌合しやすく、容器本体を潰すことなく容器本体に蓋を嵌合させることができる。
【0016】
本発明に係る包装用容器は、本体側嵌合部が、内側に向けた撓んだ状態で蓋側嵌合部と嵌合する。すなわち、本体側嵌合部と蓋側嵌合部とが嵌合する際、本体側嵌合部は、蓋側嵌合部に押されて撓むため、両者は容易に嵌合する。両者が嵌合する際、本体側嵌合部は、上方から蓋側嵌合部に押されることで、内側のみならず下方にも撓むところ、両者が嵌合する瞬間に、下方に撓んでいた本体側嵌合部が弾かれて蓋側嵌合部に嵌合することから、弾かれた本体側嵌合部が蓋側嵌合部に衝突した際の衝撃が、利用者の手に伝搬する。したがって、利用者は、両者の嵌合を直観的に知覚することができる。また、本体側嵌合部と蓋側嵌合部とが嵌合する際、本体側嵌合部が内側に撓んで収縮した状態で、蓋側嵌合部と嵌合するところ、本体側嵌合部は、蓋側嵌合部と嵌合した状態で、復元力によって元の状態に戻ろうとするため、両者は堅固に嵌合する。
【0017】
本発明に係る包装用容器は、容器本体の側面部に、複数の凹凸が形成されている。この構成により、側面部が堅牢となり、容器本体が潰れにくい。一方で、使用後の容器本体が廃棄される際に潰されると、凹凸によって塑性変形が助長されるため、容器本体は潰れた状態が維持され、元の器(うつわ)の状態に戻りにくい。
【0018】
本発明に係る包装用容器は、平面視において、容器本体の底面部が三角形であり、開口部が、底面部における三角形の角部よりも曲率半径の大きな曲線で形成されている。例えば、所定の曲線で形成された開口部が円形であった場合、側面部は、開口部から底面部に至って、円形から三角形に三次元的に変化した形状となることから、平面視における側面部の形状は、曲率半径が大きな開口部近傍から、底面部において曲率半径が小さな三箇所の角部に至って、徐々に集束している。上方からの外力が開口部に加えられた容器本体は、設置面との間に挟まれて潰されていくところ、側面部における応力は、曲率半径が大きな開口部の近傍において分散するものの、曲率半径が小さな部位において集中する。したがって、側面部は、応力が集中した底面部側から、開口部側に向かって、徐々に座屈していき、容器本体は、潰れて扁平な状態となる。以上のとおりであるため、容器本体は、容易に潰れる。なお、仮に、開口部と底面部とが何れも四角形であった場合、四つの角が、開口部から底面部に至って柱状となるため、容器本体は潰れにくくなる。
【0019】
本発明に係る包装用容器は、底面部の面積と開口部の面積との比率が、1:2~1:10である。すなわち、開口部の面積に対する底面部の面積が、所定の割合であれば、外力が比較的弱い場合であっても、容器本体に加えられる圧力が強くなるため、容器本体が容易に潰れる。
【0020】
本発明に係る包装用容器は、蓋側嵌合部と本体側嵌合部とが、容器本体を深さ方向に潰す際の外力よりも弱い外力で嵌合する。したがって、利用者が容器本体に蓋をする際、不本意に容器本体が潰れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る包装用容器が分解されて示された分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る包装用容器の容器本体が示された平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る包装用容器の容器本体が示された側面図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV断面であって、本発明の実施形態に係る包装用容器の容器本体の縦断面が示された縦断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る包装用容器の蓋が示された平面図である。
【
図6】
図6は、
図5のVI-VI断面であって、本発明の実施形態に係る包装用容器の蓋の縦断面が示された縦断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る包装用容器として、蓋が容器本体に取り付けられた状態の縦断面が拡大されて示された縦断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、本発明の実施形態に係る包装用容器の説明である。以下、本実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1には、包装用容器1の外観が示されている。
【0023】
図1に示されているとおり、包装用容器1は、被収容物(図示省略)が収容される器(うつわ)である容器本体2と、被収容物を覆うための蓋18とから構成されている。なお、被収容物には、惣菜の他、例えば、果物、野菜、鮮魚、精肉等の生鮮品が含まれる。容器本体2は、底面部3と、この底面部3の周縁から立ち上がった側面部5と、この側面部5の上端に形成された開口部11とを有している。開口部11は、蓋18が着脱される際に嵌合する本体側嵌合部12を有している。一方で、蓋18は、天板部19と、この天板部19の周縁に形成されて本体側嵌合部12と嵌合する蓋側嵌合部22とを有している。蓋18が容器本体2に取り付けられると、蓋側嵌合部22が本体側嵌合部12の外側を覆うことから、包装用容器1は、いわゆる外嵌合式である。
【0024】
容器本体2及び蓋18の材料はプラスチックであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン(PP:polypropylene)等のオレフィン系樹脂等である。容器本体2及び蓋18は、何れも、例えば、真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等の方法によって成形される。成形前の合成樹脂シートの厚みは、例えば、0.19~0.6ミリメートルであり、好ましくは、0.21~0.5ミリメートルであり、より好ましくは、0.23~0.35ミリメートルである。なお、容器本体2及び蓋18は透明であるが、半透明又は有彩色でもよい。
【0025】
ここで、容器本体2を、図面に基づいて詳説する。
図2ないし4には、容器本体2の外観、断面及び拡大された一部分が示されている。
【0026】
図2ないし4に示されているとおり、平面視において(
図2参照)、底面部3は、ほぼ正三角形である。ここで、三角形の三つの頂点である角部4は、平面視において曲率半径を観念できる程度に丸みを帯びている。換言すれば、角部4は尖っていない。具体的には、角部4の曲率半径R
Bは、R
B≦20ミリメートルである。好ましくは、角部4の曲率半径R
Bは、R
B≦15ミリメートル、R
B≦10ミリメートルである。
【0027】
平面視において(
図2参照)、開口部11は、角部4の曲率半径R
Bよりも大きな曲率半径R
Tの曲線を含んだ円形である。すなわち、R
B<R
Tであり、具体的には、開口部11の曲率半径R
Tは、20<R
Tである。好ましくは、40<R
Tであり、より好ましくは、55<R
Tである。
【0028】
開口部11の本体側嵌合部12は、円環状のフランジである。本体側嵌合部12には、内側に向けて窪んだ三つの切欠き部13が形成されている。切欠き部13は、円周上において、等間隔に配置されている。開口部11における円周のうち、三つの切欠き部13の長さの合計は、開口部11の周長の20~50パーセントを占めている。より好ましくは、22~40パーセントを占めており、さらに好ましくは25~35パーセントを占めている。
【0029】
図4に示されているとおり、本体側嵌合部12は、側面部5の上端に連接されたフランジ基部14と、このフランジ基部14に連接されて開口部11の外側に向って伸びたフランジ部15と、このフランジ部15の先端に連接されて開口部11の外側に向って伸びたフランジ先端部16と、このフランジ先端部16の先端に連接されたフランジ最先端部17とを有している。フランジ基部14は、側面部5の上端から外側かつ斜め上方に向けて伸びている。フランジ部15は、水平方向に伸びている。フランジ部15に対するフランジ基部14の角度は、約45度である。フランジ先端部16は、フランジ部15から外側かつ斜め下方に向けて伸びている。フランジ部15に対するフランジ先端部16の角度θ
Fは、10度以上、45度以下であり、好ましくは15度以上、40度以下であり、より好ましくは25度以上、35度以下である。
【0030】
開口部11は、底面部3よりも大きく形成されている。したがって、側面部5は、開口部11から底面部3に向けて徐々に窄まっており、すり鉢状又は漏斗状である。側面部5は、深さ方向に四段で構成され、開口部11に連接された上段部6と、この上段部6の下部に連接された第一中段部7と、この第一中段部7の下部に連接された第二中段部8と、この第二中段部8の下部に連接された下段部9とを有している。下段部9は、底面部3に連接されている。側面部5は、上段部6から下段部9に渡って、徐々に容積が小さくなっている。
【0031】
開口部11が円形であり、底面部3が三角形であることから、側面部5は、開口部11から底面部3に至る間に、上段部6から下段部9に渡って、円形から三角形に三次元的に変化した形状である。平面視における側面部5の形状は、底面部3の角部4よりも曲率半径が大きな開口部11近傍から、底面部3に向けて、開口部11よりも曲率半径が小さな三箇所の角部4に至って、徐々に集束している。したがって、下段部9から角部4に至って、第二中段部8から角部4に至って、又は、第一中段部7から角部4に至って、集束柱部10が形成されている。
【0032】
側面部5には、ダイヤモンドカットが施されたことによって、複数の凹凸が形成されている。詳説すれば、側面部5の各段部6,7,8,9は、周方向に並んだ複数の三角形の面が形成されるようにカットされている。
【0033】
底面部3の面積と開口部11の面積との比率は、1:2~1:10であり、好ましくは、1:2.5~1:8であり、より好ましくは、1:3~1:5である。容器本体2の高さと開口部11の面積との比率は、1:12~1:50であり、好ましくは、1:15~1:45であり、より好ましくは、1:20~1:35である。容器本体2の高さと底面部3の面積との比率は、1:4~1:10であり、好ましくは、1:5~1:9であり、より好ましくは、1:6~1:8である。
【0034】
側面部5における各段部6,7,8,9の深さは(垂直距離)、7~25ミリメートルであり、好ましくは、8~20ミリメートルであり、より好ましくは、9.5~16.5ミリメートルである。各段部6,7,8,9の段差数(各段部6,7,8,9の境界の数)は、2~5であり、好ましくは、2~4であり、より好ましくは、本実施形態のとおり3である。
【0035】
次に、蓋18を、図面に基づいて詳説する。
図5及び6には、蓋18の外観、断面及び拡大された一部分が示されている。
【0036】
図5又は6に示されているとおり、平面視において(
図5参照)、蓋18は、容器本体2の開口部11に倣って、円形である。蓋18の天板部19は、円板形の平坦部20と、この平坦部20の周縁に連接された隆起部21とを有している。隆起部21は、平坦部20から隆起し、円環状である。蓋側嵌合部22は、円環状であって、側方視において(
図6参照)、隆起部21の周縁に連接された嵌合凹部としての懐23と、この懐23の下部に連接された嵌合凸部としてのアンダー24とを有している。懐23は、隆起部21から天板部19の外側に向って突出し、一方で、アンダー24は、懐23から天板部19の内側に向って突出している。蓋18における円周のうち、アンダー24の長さは、蓋側嵌合部22の周長の50~99パーセントを占めている。より好ましくは、75~90パーセント占めており、さらに好ましくは、93~96パーセントを占めている。アンダー24には、離型用に、四つの窪み部25が形成されている(
図5参照)。窪み部25は、円周上において、等間隔に配置されている。したがって、蓋側嵌合部22の円周のうち、窪み部25を除いた部分のすべてがアンダー24である。
【0037】
懐23を基準とした蓋側嵌合部22の内寸S
I(
図6参照)は、容器本体2のフランジ最先端部17を基準とした本体側嵌合部12の外寸S
O(
図4参照)よりも小さく形成され、内寸S
Iと外寸S
Oとの直径差は、0.25ミリメートル以上、2ミリメートル以下である。より好ましくは、1ミリメートル以下であり、さらに好ましくは0.8ミリメートル以下である。換言すれば、懐23を基準とした蓋側嵌合部22の周長と、フランジ最先端部17を基準とした本体側嵌合部12の周長との差は、1.5ミリメートル以上、2.8ミリメートル以下であり、より好ましくは1.9ミリメートル以上、2.5ミリメートル以下である。
【0038】
上記のとおり構成された容器本体2と蓋18とが嵌合して、包装用容器1となる。ここで、容器本体2と蓋18との嵌合の様子を、本実施形態の作用及び効果と共に説明する。
図7は、容器本体2と蓋18とが嵌合した状態における一部の断面が拡大されて示されている。
【0039】
蓋18が容器本体2に取り付けられる際、蓋側嵌合部22が、本体側嵌合部12に載せられる。具体的には、
図7において、蓋側嵌合部22のアンダー24が、本体側嵌合部12のフランジ部15又はフランジ先端部16に接触する。蓋18に、上方から外力が加えられるとフランジ先端部16が下方に向けて押されて撓む。フランジ先端部16は、フランジ部15に対して緩やかに傾斜して外側に向けて伸びているため、良好に撓む。したがって、比較的弱い外力であっても、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが嵌合しやすい。
【0040】
フランジ先端部16は、アンダー24から押されて下方に撓むと共に内側にも撓むため、比較的弱い外力であっても、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが嵌合しやすい。フランジ先端部16は、アンダー24を乗り越えて懐23に収容される際、下方に撓んでいた状態からアンダー24を乗り越える瞬間に弾かれ、懐23に衝突する。その際の衝撃は、外力を加えている利用者の手に伝搬する。したがって、利用者は、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12との嵌合を直観的に知覚することができる。
【0041】
アンダー24の長さは、蓋18における円周のうち、蓋側嵌合部22の周長の少なくとも50~99パーセントを占めていることから、比較的弱い外力であっても、蓋側嵌合部22は、変形しやすく、本体側嵌合部12と嵌合しやすい。
【0042】
本体側嵌合部12には、内側に向けて窪んだ三つの切欠き部13が形成されていることから(
図2参照)、本体側嵌合部12と蓋側嵌合部22とが嵌合した状態において、切欠き部13は、蓋側嵌合部22から離れている。切欠き部13によって、本体側嵌合部12と蓋側嵌合部22との間に隙間が形成され、この隙間において、両者は嵌合しないため、隙間の分だけ嵌合する領域が狭くなる。したがって、比較的弱い外力であっても、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが容易に嵌合する。更に、切欠き部13は、開口部11における円周のうち、開口部11の周長の少なくとも20~50パーセントを占めていることから(
図2参照)、蓋側嵌合部22が、変形しやすく、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが嵌合しやすい。
【0043】
また、本体側嵌合部12及び蓋側嵌合部22は、円環状であることから(
図1参照)、撓みやすいため、比較的弱い外力であっても、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが嵌合しやすい。
【0044】
そもそも包装用容器1は、少なくとも0.19~0.6ミリメートルの厚みの合成樹脂シートが、成型過程において引き延ばされて成形されていることから、十分に薄いため、容器本体2及び蓋18が良好に撓む。したがって、比較的弱い外力であっても、蓋側嵌合部22及び本体側嵌合部12は、変形しやすく、容易に嵌合する。
【0045】
一方で、容器本体2の側面部5は、ダイヤモンドカットによる複数の凹凸によって堅牢となっているため(
図1参照)、蓋18が容器本体2に取り付けられる際にも、容器本体2は潰れにくい。なお、ダイヤモンドカットによって照明等の光が容器本体2に取り込まれると、被収容物の見栄えや鮮度の良さを演出することもできる。
【0046】
以上の構成及び作用からすれば、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが嵌合する際に蓋18に加えられる外力は、容器本体2を深さ方向に潰す際に要する外力よりも弱いもので足りる。すなわち、包装用容器1は、少なくとも、蓋18において、アンダー24の長さが、蓋18における円周のうち、蓋側嵌合部22の周長の少なくとも50~99パーセントを占めており(
図6参照)、容器本体2において、本体側嵌合部12に切欠き部13が形成されていることから(
図2参照)、比較的弱い外力であっても、蓋側嵌合部22及び本体側嵌合部12が、変形しやすく、容易に嵌合する。更に、包装用容器1は、十分に薄いうえ、容器本体2において、フランジ先端部16がフランジ部15に対して緩やかに傾斜して外側に向けて伸びており(
図4参照)、切欠き部13が開口部11の周長の少なくとも20~50パーセントであることからも(
図2参照)、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12との嵌合のし易さは、顕著である。
【0047】
上記のとおり、本実施形態は、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが容易に嵌合する一方で、嵌合の状態も堅固である。すなわち、蓋側嵌合部22の内寸S
Iが、本体側嵌合部12の外寸S
Oよりも小さく形成され、内寸S
Iと外寸S
Oとの直径差が、0.25ミリメートル以上であることから、フランジ先端部16が懐23に収容される際、本体側嵌合部12が懐23のサイズに合わせて内側に撓んで収縮した状態で、堅固に嵌合する(
図7参照)。更に、本体側嵌合部12は、懐23の内側で、復元力によって元の状態に戻ろうとするため、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが堅固に嵌合する。
【0048】
蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが堅固に嵌合する一方で、蓋18は、容器本体2から容易に取り外される。すなわち、容器本体2の切欠き部13が、蓋側嵌合部22から離れているため(
図7参照)、利用者が容器本体2から蓋18を取り外す際、利用者の指が、本体側嵌合部12と蓋側嵌合部22との間において、切欠き部13に引っ掛かる。したがって、利用者は、蓋18を容器本体2から容易に取り外すことができる。
【0049】
使用済の包装用容器1は廃棄されるところ、利用者は、包装用容器1を廃棄する際、適宜圧縮することができる。ここで、包装用容器1の圧縮手順を、本実施形態の作用及び効果と共に説明する。
【0050】
初めに、蓋18が容器本体2に取り付けられる。具体的には、蓋側嵌合部22と本体側嵌合部12とが嵌合される。この状態で、蓋18に、上方から底面部3に向けた外力が加えられることで、容器本体2が押し潰される。具体的には、蓋18を介して上方からの外力が開口部11に加えられた容器本体2は、設置面との間に挟まれて潰されていくところ、側面部5における応力は、曲率半径が大きな開口部11の近傍において分散するものの、曲率半径が小さな集束柱部10において集中する。側面部5は、応力が集中した三つの集束柱部10が均等に座屈し、集束柱部10から応力が分散する開口部11側に向かって、下段部9、第二中段部8、第一中段部7、上段部6の順に、徐々に座屈していく。したがって、容器本体2は、容易に潰れる。更に、開口部11の面積に対する底面部3の面積が所定の割合であるため、外力が比較的弱い場合であっても、容器本体2に加えられる圧力が強くなり、容器本体2は容易に潰れる。容器本体2が潰れる過程において、包装用容器1の内側にある空気が、切欠き部13から排気されるため、容器本体2の内圧が低下し、容器本体2は更に容易に潰れる。
【0051】
容器本体2の側面部5に施されたダイヤモンドカットによる複数の凹凸によって(
図1参照)、塑性変形が助長されるため、容器本体2は、潰れた状態が維持され、元の器(うつわ)の状態に戻りにくい。更に、側面部5の各段部6,7,8,9が、所定の深さ及び段差数であるため、潰れた状態が維持される効果は、顕著である。
【0052】
容器本体2が潰れて扁平となった状態で、利用者によって、下方から底面部3に外力が加えられ、底面部3が蓋18に向けて押し上げられると、下段部9が内側に折り返されて底面部3が内側に陥没する。したがって、容器本体2は、元の器(うつわ)の状態に戻りにくくなる。潰されて圧縮された包装用容器1の厚みは、潰される前の包装用容器1の高さの1/3程度、又はそれ以下となるため、圧縮された包装用容器1は、廃棄物として嵩張らない。
【0053】
本発明の他の実施形態は、上記した実施形態に係る包装用容器1の上下を逆さまにしたものであり、容器本体2が蓋を担い、蓋18が容器本体を担う。この場合の実施形態は、いわゆる内嵌合式である。
他の実施形態は、フランジ先端部を有していない。
他の実施形態では、本体側嵌合部が、撓んでいない状態で蓋側嵌合部と嵌合する。
他の実施形態は、側面部に凹凸が形成されていない。
本発明の参考例では、蓋が、フィルム状のいわゆるトップシール材である。
本発明の参考例は、蓋を有していない。この参考例では、蓋が取り付けられずに、容器本体のみに直接外力が加えられ、潰される。
他の実施形態では、容器本体の底面部の形状は、正三角形に限られず、三つの角部を有している限りにおいて、直角三角形や二等辺三角形等も含む。なお、この実施形態においても、角部は、曲率半径を観念できる程度に丸みを帯びている。
他の実施形態では、容器本体の底面部の角部は、尖っている。
他の実施形態では、容器本体の開口部は、円形に限られず、底面部の角部よりも曲率半径が大きな曲線を含む限りにおいて、楕円形、長円形、多角形、星形等も含む。換言すれば、開口部は、20ミリメートル以下の曲率半径を含まない。
他の実施形態では、容器本体の切欠き部の数、形状及び間隔は、任意である。
他の実施形態では、側面部の段数は任意である。すなわち、各中段部が無く、側面部が二段で構成されている実施形態や、第三中段部、第四中段部等の複数の中段部から構成され、側面部が四段以上で構成されている実施形態もある。
他の実施形態では、側面部における各段部の深さが異なっている。
他の実施形態では、各段部の深さが、同じである。
他の実施形態では、各段部の深さが、上段部から下段部に至って徐々に大きくなっている。
他の実施形態では、各段部の深さが、上段部から下段部に至って徐々に小さくなっている。
他の実施形態では、水平面の側面部断面の曲率半径が、上段部から下段部に至って徐々に大きくなっている。
他の実施形態では、水平面の側面部断面の曲率半径が、上段部から下段部に至って徐々に小さくなっている。
他の実施形態では、蓋側嵌合部と本体側嵌合部とが、容器本体を深さ方向に潰す際の外力と同等の外力で嵌合する。
他の実施形態では、切欠き部の長さが開口部の周長の1/2以下である。
本発明の参考例は、切欠き部を有していない。
本発明の参考例では、アンダーの長さが蓋側嵌合部の周長の1/2以下である。
【0054】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 包装用容器
2 容器本体
3 底面部
4 角部
5 側面部
6 上段部
7 第一中段部
8 第二中段部
9 下段部
10 集束柱部
11 開口部
12 本体側嵌合部
13 切欠き部
14 フランジ基部
15 フランジ部
16 フランジ先端部
17 フランジ最先端部
18 蓋
19 天板部
20 平坦部
21 隆起部
22 蓋側嵌合部
23 懐
24 アンダー
25 窪み部
RB 角部の曲率半径
RT 開口部の曲率半径
SI 内寸
SO 外寸
θF 角度