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特開2023-149373経路自動更新機能付きメッシュネットワークシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149373
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】経路自動更新機能付きメッシュネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/12 20090101AFI20231005BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20231005BHJP
   H04L 45/24 20220101ALI20231005BHJP
【FI】
H04W40/12
H04W84/18
H04L45/24
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057907
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(71)【出願人】
【識別番号】508047288
【氏名又は名称】アーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】リンドン クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ノビコフ ステパン
【テーマコード(参考)】
5K030
5K067
【Fターム(参考)】
5K030GA11
5K030HC17
5K030HD03
5K030JA11
5K030LB06
5K030MB01
5K030MD02
5K030MD07
5K067AA42
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】従来技術では各ノード間の通信品質情報を得るために往復の通信が必要とされ通信量が多かった。
【課題を解決するための手段】各ノード間の通信品質情報を得るためのビーコン信号は受信側で通信品質を判定する。送信側へ応答を返さない代わりに自ノードが得た隣接ノード間の通信品質情報をビーコン信号として発信したり、直接隣接しないノードからのビーコン信号を転送したりすることで達成する。各ノードがビーコン情報の受信に基づいて全ノード間の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を持つことにより、各ノードが経路選択することもできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードから構成されるクラスタ内でのネットワークシステムであって、
各ノードは、
各ノードの識別情報である自ノード識別情報を含み、自身が信号を送信可能なノードである隣接ノードのノード識別情報と関連付けてその隣接ノードとの間の通信品質を示す情報である隣接ノード通信品質情報を保持する隣接ノード通信品質情報保持部(A)と、
保持されている隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに送信する隣接ノード通信品質情報送信部(B)と、
隣接ノードから受信した隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに転送する隣接ノード通信品質情報転送部(C)と、
受信した隣接ノード通信品質情報に基づいてクラスタ内でのすべてのノード間相互の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を取得するクラスタ内通信品質情報取得部(D)と、
取得したクラスタ内通信品質情報を保持するクラスタ内通信品質情報保持部(E)と、
自ノードが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているクラスタ内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的ノードに至るクラスタ内のノード経由情報であるクラスタ内ノード経由情報を取得するクラスタ内ノード経由情報取得部(F)と、
クラスタ内ノード経由情報と関連付けて前記情報を出力する情報出力部(G)と、
クラスタ内ノード経由情報と関連付けられた他ノードが最初の発信源となった情報を受信する情報受信部(H)と
受信した前記他ノードが最初の発信源となった情報を関連付けられているクラスタ内ノード経由情報で示される自ノードに隣接している転送先ノードに転送する情報転送部(J)と、
を有するメッシュネットワークシステム。
【請求項2】
前記ノードに変えて前記クラスタとし、前記クラスタに代えてネットワークとした請求項1に記載のメッシュネットワークシステム。
【請求項3】
前記クラスタに変えて前記ネットワークとし、前記ネットワークに代えてネットワークシステムとした請求項2に記載のメッシュネットワークシステム。
【請求項4】
計算機である複数のノードから構成されるクラスタ内でのネットワークシステムの動作方法であって、
各ノードは、
各ノードの識別情報である自ノード識別情報を含み、自身が信号を送信可能なノードである隣接ノードのノード識別情報と関連付けてその隣接ノードとの間の通信品質を示す情報である隣接ノード通信品質情報を保持する隣接ノード通信品質情報保持ステップ(a)と、
保持されている隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに送信する隣接ノード通信品質情報送信ステップ(b)と、
隣接ノードから受信した隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに転送する隣接ノード通信品質情報転送ステップ(c)と、
受信した隣接ノード通信品質情報に基づいてクラスタ内でのすべてのノード間相互の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を取得するクラスタ内通信品質情報取得ステップ(d)と、
取得したクラスタ内通信品質情報を保持するクラスタ内通信品質情報保持ステップ(e)と、
自ノードが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているクラスタ内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的ノードに至るクラスタ内のノード経由情報であるクラスタ内ノード経由情報を取得するクラスタ内ノード経由情報取得ステップ(f)と、
クラスタ内ノード経由情報と関連付けて前記情報を出力する情報出力ステップ(g)と、
クラスタ内ノード経由情報と関連付けられた他ノードが最初の発信源となった情報を受信する情報受信ステップ(h)と
受信した前記他ノードが最初の発信源となった情報を関連付けられているクラスタ内ノード経由情報で示される自ノードに隣接している転送先ノードに転送する情報転送ステップ(j)と、
を有する計算機であるメッシュネットワークシステムの動作方法。
【請求項5】
前記ノードに変えて前記クラスタとし、前記クラスタに代えてネットワークとした請求項4に記載の計算機であるメッシュネットワークシステムの動作方法。
【請求項6】
前記クラスタに変えて前記ネットワークとし、前記ネットワークに代えてネットワークシステムとした請求項5に記載の計算機であるメッシュネットワークシステムの動作方法。
【請求項7】
計算機である複数のノードから構成されるクラスタ内でのネットワークシステムに読み込み動作可能なプログラムであって、
各ノードは、各ノードの識別情報である自ノード識別情報を含み、自身が信号を送信可能なノードである隣接ノードのノード識別情報と関連付けてその隣接ノードとの間の通信品質を示す情報である隣接ノード通信品質情報を保持する隣接ノード通信品質情報保持ステップ(a)と、
保持されている隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに送信する隣接ノード通信品質情報送信ステップ(b)と、
隣接ノードから受信した隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに転送する隣接ノード通信品質情報転送ステップ(c)と、
受信した隣接ノード通信品質情報に基づいてクラスタ内でのすべてのノード間相互の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を取得するクラスタ内通信品質情報取得ステップ(d)と、
取得したクラスタ内通信品質情報を保持するクラスタ内通信品質情報保持ステップ(e)と、
自ノードが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているクラスタ内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的ノードに至るクラスタ内のノード経由情報であるクラスタ内ノード経由情報を取得するクラスタ内ノード経由情報取得ステップ(f)と、
クラスタ内ノード経由情報と関連付けて前記情報を出力する情報出力ステップ(g)と、
クラスタ内ノード経由情報と関連付けられた他ノードが最初の発信源となった情報を受信する情報受信ステップ(h)と
受信した前記他ノードが最初の発信源となった情報を関連付けられているクラスタ内ノード経由情報で示される自ノードに隣接している転送先ノードに転送する情報転送ステップ(j)と、
を有する計算機であるメッシュネットワークシステムに読み込み動作可能なプログラム。
【請求項8】
前記ノードに変えて前記クラスタとし、前記クラスタに代えてネットワークとした請求項4に記載の計算機であるメッシュネットワークシステムに読み込み動作可能なプログラム。
【請求項9】
前記クラスタに変えて前記ネットワークとし、前記ネットワークに代えてネットワークシステムとした請求項5に記載の計算機であるメッシュネットワークシステムに読み込み動作可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュを構成する最小単位であるノードが自クラスタ内の全経路の品質情報を補持し、自動的に隣接ノード間との通信品質を取得するメッシュネットワークシステムに関する。また、計算機であるノードからなるシステムの動作方法、及び計算機であるノードからなるシステムに読み取り可能なプログラム、または前記動作プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
センサやスイッチ類などを多数配置し、センサからの物理情報の入手や、スイッチのオンオフ制御を行うために、前記センサやスイッチ類に各々結線することは多量の手間と資材がかかる。無線方式として各々に対し1対1で通信を行う場合には、無線到達範囲を考慮し中継器を配置するなどしなくてはならない。さらに1対1の通信では通信経路が、障害物の挿入、ノイズ源の出現、機器故障などにより断たれた場合に、容易に遮断されたままとなり、遮断理由を除外しなければ復旧できないという問題がある。冗長性を持たせるための複数経路を容易に構築するためにメッシュネットワークが用いられる。
【0003】
特許文献1には、複数のホップを介したルートを形成する際に、ある局が発信元となりルート発見メッセージを送信し、受信局が宛先局ではない場合は近隣へ伝搬し、宛先の場合には大元の発信局へルート応答メッセージを送信する無線通信装置が開示されている。ルート発見メッセージを受信した近隣局は経路のリンクメトリックを計算し、保持するルーティングテーブルを更新する。
【0004】
特許文献2には、通信装置が開示されている。ある局が近隣局間との1ホップ通信のメトリック値を調べるために送信し、近隣局はAckを返す。元の発信局は2ホップ以上の通信のメトリックを調べるための通信を行い、各局から1ホップ通信のメトリック値を受信し、自機との間のメトリック値を計算する。近隣局との1ホップ間通信において、2ホップ以上の通信のメトリック値の方が良い1ホップ経路を除外して、1ホップ経路のメトリック値の平均値を求める。前記平均値と、予め定めた2つの閾値とを比較し自機の通信品質を複数のレベルに分けて評価する。通信品質はデータ通信のたびに逐次更新され評価結果が出力されるので、メッシュネットワーク構築のためネットワークを構成する通信装置の設置位置を変更しつつ、逐次出力される評価結果をチェックするだけで最適位置に設置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2022-514910号
【特許文献2】特開2020-022002号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1発明では、ルート発見メッセージをある局が発信した際に、宛先局はルート応答メッセージを発信局へ送信する。各局がルート発見メッセージを発信した場合には対応するルート応答メッセージも発せられルート検索のための通信が往復し、通信量が多くなってしまう。
【0007】
特許文献2発明でも、ある局がメトリック値を調べるための通信を行うと受信局が応答を返すことから、各局が同様の通信を行えばメトリック値を調べるための通信が往復し通信量が多くなることと、直接通信できない局からのメトリック情報を入手できないという課題があった。
【0008】
そこで本発明では、各局は隣接ノード通信品質情報を取得するために、自ノード識別情報と、自ノードが所持する隣接ノード通信品質情報をビーコン信号として定期的に送信する。近隣の他ノードからの同様なビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号に基づいてビーコン信号送信元のノード識別情報を含む隣接ノード通信品質情報を更新し、転送されたビーコン信号に基づいてクラスタ内通信品質情報を取得して、自ノードが保持するクラスタ内通信品質情報を更新するメッシュネットワークシステムを提供する。通信品質情報を得るために自ノードが送信したビーコン信号に対する応答の代わりに、他ノードのビーコン信号を受信して他ノードとの隣接通信品質情報を取得することにより、通信量を減らすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決するために、本願では
第一の発明として、
複数のノードから構成されるクラスタ内でのネットワークシステムであって、
各ノードは、各ノードの識別情報である自ノード識別情報を含み、自身が信号を送信可能なノードである隣接ノードのノード識別情報と関連付けてその隣接ノードとの間の通信品質を示す情報である隣接ノード通信品質情報を保持する隣接ノード通信品質情報保持部(A)と、
保持されている隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに送信する隣接ノード通信品質情報送信部(B)と、
隣接ノードから受信した隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに転送する隣接ノード通信品質情報転送部(C)と、
受信した隣接ノード通信品質情報に基づいてクラスタ内でのすべてのノード間相互の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を取得するクラスタ内通信品質情報取得部(D)と、
取得したクラスタ内通信品質情報を保持するクラスタ内通信品質情報保持部(E)と、
自ノードが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているクラスタ内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的ノードに至るクラスタ内のノード経由情報であるクラスタ内ノード経由情報を取得するクラスタ内ノード経由情報取得部(F)と、
クラスタ内ノード経由情報と関連付けて前記情報を出力する情報出力部(G)と、
クラスタ内ノード経由情報と関連付けられた他ノードが最初の発信源となった情報を受信する情報受信部(H)と
受信した前記他ノードが最初の発信源となった情報を関連付けられているクラスタ内ノード経由情報で示される自ノードに隣接している転送先ノードに転送する情報転送部(J)と、
を有するメッシュネットワークシステムを提供する。
【0010】
第二の発明として、第一の発明を基礎として、
前記ノードに変えて前記クラスタとし、前記クラスタに代えてネットワークとしたメッシュネットワークシステム
を提供する。
【0011】
第三の発明として、第二の発明を基礎として、
前記クラスタに変えて前記ネットワークとし、前記ネットワークに代えてネットワークシステムとしたメッシュネットワークシステムを提供する。
【0012】
さらに、第一から第三の発明のメッシュネットワークシステムに対応した、計算機であるメッシュネットワークシステムの動作方法を提供する。
【0013】
さらに、第一から第三の発明のメッシュネットワークシステムに対応した、計算機であるメッシュネットワークシステムに読み込み可能な動作プログラムも提供する。
またそれぞれの動作プログラムは記録媒体に記録されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
主に以上のような構成をとる本発明によって、各ノードが隣接ノード通信品質情報を得るための通信量を削減し、各ノードが自身の属するクラスタ内のノード間相互の通信品質情報を得ることができるメッシュネットワークシステムを提供することができる。自クラスタ内の全経路の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を各ノードが保持することにより、自クラスタ内で通信エラーが発生した場合には送信不可ノードの手前のノードが経路再選択することができるために、管理PCなど別の管理場所でクラスタ内品質情報が保持され経路策定が行われる従来技術と比べ、速やかに通信再開することができる。または一つのクラスタ内のノードが通信品質の情報である通信品質情報を得るのと同様に、1つのネットワークを構成する複数のクラスタ(1つのクラスタは複数のノードから構成される)間の通信品質情報を得ることができるメッシュネットワークシステムを提供することができる。さらに、1つのネットワークシステムを構成する複数のネットワーク(1つのネットワークは複数のクラスタから構成される)間の通信品質情報を得ることができるメッシュネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1にかかる発明の機能ブロック図
図2】実施形態1にかかる発明の動作フローチャート図
図3】実施形態1にかかる発明のハードウエア図
図4】実施形態2にかかる発明の機能ブロック図
図5】実施形態2にかかる発明の動作フローチャート図
図6】実施形態2にかかる発明のハードウエア図
図7】実施形態3にかかる発明の機能ブロック図
図8】実施形態3にかかる発明の動作フローチャート図
図9】実施形態3にかかる発明のハードウエア図
図10】本発明のノードのハードウエア構成例
図11】本発明のメッシュネットワークシステム例の説明図
図12a】本発明のメッシュネットワークの使用例
図12b】本発明のメッシュネットワークの使用例の1クラスタ内の経路説明図
図13】本発明のメッシュネットワークの1クラスタ内の経路概略図例
図14】本発明のメッシュネットワークのクラスタ内通信品質情報例
図15】本発明の隣接ノード通信品質情報の品質判定例
図16】本発明の経路選択条件例
【発明を実施するための形態】
【0016】
<全実施形態の説明の前提>
<本発明を構成し得るハードウエアについて>
【0017】
本件発明は,マイクロコンピュータと、記憶装置と、通信を送受信するための装置と電源を備え、センサなどの情報を取得する機器や、ヒーターやモーターやスピーカやLEDなどの出力機器や、リレーやスイッチなどの制御機器のいずれか一または複数を制御する機器を複数接続したメッシュネットワークとその動作方法、動作プログラムに関する。マイクロコンピュータによって前記機器が制御され、さらに前記メッシュネットワークはPC等の外部管理機器とも接続されているため、各機器は電子計算機と類似したハードウエア構成を持ち、ソフトウエアとの協働によって本件発明が実現される。本件発明の通信を送受信するための機器は、望ましくは無線方式である。
【0018】
<システム全体構成>
図10に本メッシュネットワークシステムを構成するノードのハードウエア構成例を示す。電子計算機に類似した構成であり、CPUと揮発メモリと不揮発メモリと各種インターフェースから構成される。不揮発メモリには、ノードが実行すべき動作プログラムや、クラスタ内通信品質情報などが保持される。品質情報は揮発メモリに保持するように構成してもよいが、電力の瞬低や瞬断などがあって揮発メモリが消去された場合に対処できるように不揮発メモリにも保持されることが好ましい。本メッシュネットワークシステムを構成するノード、ゲートウェイノード、ルートノードは同一の構成の機器を使用することができる。すべて同じ機器を準備し、例えばDipスイッチでの設定や、不揮発メモリへの書き込みなどにより、ゲートウェイノード、ルートノードなどの役割を指定することができる。メッシュネットワーク形成後に、別途アプリケーションソフトウエアなどにより適宜ノードにゲートウェイノード、ルートノードを設定できるように構成することが好ましい。
【0019】
本メッシュネットワークシステムは、例えば各ノードに熱電対と、さらにサイリスタレギュレータ又はソリッドステートリレーを介してヒーターを接続し、大型部材の加熱処理などを行ったり、ノードに人感センサを接続してビル内に配置し防犯装置としたり、温度計を接続したノードを体育館や講堂などに配置し温度分布を収集して空調設備調整したりするといったことに用いる。または1つのビニールハウスを1ネットワークとし、畝1つを1クラスタとし、畝1つに複数のセンサを備えたノードを配置することにより、畑の土中水分量を検知し所定の閾値を下回ったら該当箇所付近の給水弁をあけて水分量の少ない部分に給水したり、気温ばらつきに応じて窓の局所開閉や暖房するといった局所空調をしたりするシステムや、教室の机上に照度計を備えたノードを配置し天井灯には輝度調節機能を備えたノードを配置して、机上での照度のばらつきが少なくなるように天井灯の輝度調整を行うシステムや、市内各所に設置した温度計、湿度計、気圧計、照度計、風向風速計の観測結果を収集するシステムなどが考えられる。
【0020】
<ハードウエア構成>
【0021】
図10は本発明のシステムのハードウエア構成の一例を示す図である。本実施形態におけるメッシュネットワークシステムのハードウエア構成について,図を用いて説明する。
【0022】
この図にあるように、回路基板上に構成される、CPU、不揮発性メモリ、メインメモリである揮発メモリ(SRAM)、シリアルバスや汎用各種インターフェース、無線インターフェース、A-D/D-Aコンバータ、パワーONリセットクロック発信機等からなる。これらはオペレーティングシステムや各種アプリケーションプログラムなどと協働して動作する。本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウエア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。
【0023】
図11に、本メッシュネットワークシステムの例を示す。複数のノードからクラスタを構成する。例えば最大32個のノードで1つのクラスタとし、最大32個のクラスタで1つのネットワークとし、複数のネットワークをもって1つのネットワークシステムとするといった、大別して3階層とする構成などである。なお、本発明はこの最大構成数32個にも階層数3にも限定されないが、以下では、前記構成のメッシュネットワークシステムであって、各ノード間の通信を無線方式で行う場合を例に用いて、説明を行う。なお「クラスタ」は原則的にそれに含まれている全ノードに対して、いずれのノードかを発信源とする情報をすべてのノードに伝達できる機能を有する。ただし、環境に起因した通信障害や、ノードのハードウエアやソフトウエアの故障によって一部のノードが通信から除外される場合があるが、その場合には、障害ノード、故障ノードとしてそのクラスタに含まれることとなる。ネットワーク、ネットワークシステムに関しても同様に定義する。
【0024】
図11に示した例では、各クラスタを構成する同型の最大32台のノードから構成される。1クラスタ内のノードは0~31までの識別番号をあらかじめ割振っておく。クラスタ内のノードの1台をゲートウェイノードとし、クラスタのいわば出入り口としてクラスタ間の通信を担当させる。クラスタを最大32個接続し一つのネットワークを構成する。クラスタ内のノードと類似の接続となる。クラスタ間は各クラスタのゲートウェイノードが送受信を行い、各クラスタ内のノードにはゲートウェイノードを経由して通信が伝達される。各クラスタにも0から31までの識別番号が振られる。ネットワークに対しネットワーク外との通信を担当するルートノードを1台設定する。ルートノードはネットワーク内のゲートウェイノードの一つが兼任する。ネットワークを複数接続して一つのネットワークシステムを構成する。ネットワークシステムと外部のPCなど管理機器との通信の窓口はルートノードのうちの一台が兼任する。したがってネットワークシステムの通信の出入り口となるノードは、ルートノードとゲートウェイノードの役務に加えて担当することとなる。ネットワークシステムを構成するノードは、ネットワークとクラスタに属し、クラスタ内での識別番号も有するため、例えばネットワーク1のクラスタ2のノード3であれば(1.2.3)などのように表現することができる。
【0025】
<実施形態1 概要>主に請求項1:クラスタ内ノード間
実施形態1のメッシュネットワークシステムは、各ノードがビーコン信号として、自ノード識別情報を含む隣接ノード間の通信品質情報である隣接ノード通信品質情報を送信し,他ノードから送信された隣接ノードや、遠方にある非隣接ノードから隣接しているノードの隣接ノード品質情報を受信したり、隣接していないノードの発する隣接ノード品質情報を受信したりするとともに受信した隣接ノード品質情報を隣接しているノードに転送して、自身が生成した隣接しているノードの隣接ノード品質情報と自信が隣接していないノードの離接ノード品質情報を利用してクラスタに含まれる全ノード間相互の通信品質情報を取得する。
【0026】
<実施形態1 基本的構成>
図1は、本実施形態のメッシュネットワークシステムのノード1つの機能ブロックを示す図である。同図に示すように、実施形態1のノード(0100)は、隣接ノード通信品質情報保持部(A)(0101)と、隣接ノード通信品質情報送信部(B)(0102)と、隣接ノード通信品質情報転送部(C)(0103)と、クラスタ内通信品質情報取得部(D)(0104)と、クラスタ内通信品質情報保持部(E)(0105)と、クラスタ内ノード経由情報取得部(F)(0106)と、情報出力部(G)(0107)、情報受信部(H)(0108)、情報転送部(J)(0109)、と、からなる。
【0027】
なお、上記機能ブロックは本発明を実施するための一例であって、本発明が克服すべき課題及びその効果と矛盾しない範囲において適宜その機能を省略したり、新たな機能を付加したりしてよい。
【0028】
以下に記載する本メッシュネットワークシステムを構成する各機能ブロックは、いずれもハードウエア、ソフトウエア、又はハードウエア及びソフトウエアのいずれによっても実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリなど)、有線・無線通信インターフェース、外部周辺装置用のインターフェース、GPS受信インターフェース、GPS用演算装置、ジャイロセンサ、加速度センサ、回転検知センサ、これらセンサの信号の処理装置、カメラ、画像ファイル処理回路、スピーカ、マイク、音声ファイル処理回路、通信用インターフェースなどのハードウエアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。特に無線ネットワーク及びインターフェースなどを利用する。
【0029】
メインメモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力されメモリやハードウエア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウエアやソフトウエアを制御するための命令が生成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、二以上のプログラムを組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0030】
また、本発明は、その一部をソフトウエアとして構成することも可能である。さらに、そのようなソフトウエアが記録された記憶媒体も当然に本発明の技術的な範囲に含まれる(本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。)。
【0031】
<実施形態1 構成の説明>
複数のノードから構成されるクラスタ内でのネットワークシステムの各ノードは以下に示す各部から構成される。
<実施形態1 隣接ノード通信品質情報保持部(A)(0101)>
「隣接ノード通信品質情報保持部(A)」(0101)は、各ノードの識別情報である自ノード識別情報を含み、自身が信号を送信可能なノードである隣接ノードのノード識別情報と関連付けてその隣接ノードとの間の通信品質を示す情報である隣接ノード通信品質情報を保持するように構成されている。
【0032】
ノードの識別情報である自ノード識別情報や隣接ノード識別情報は、番号やアルファベットなど、またはそれらの組合せでもよい。異なるネットワークの識別、異なるクラスタの識別、異なるクラスタ内ノードの識別ができればよい。例えば、数字にてネットワーク層、クラスタ層、ノード層が区分され表記される形式として前記のように、ネットワーク(1~254).クラスタ(0~31).ノード(0~31)のように、22.3.14(ネットワーク22のクラスタ3のノード14)と表記することができる。識別情報はあらかじめノードを設置する前に各ノードに設定しておくことが望ましい。又は配置後に識別情報を自動割り振りさせたり、半自動として1クラスタを構成するノードを1か所に集めた状態で起動し、識別情報を自動割り振りさせた後で、所定の位置に設置したりすることができる。ネットワークを組むには、ゲートウェイノードを担当させるノードを集めて同様に自動割り振りすることもできる。予め、おおよその設置予定場所が判明しているのであれば、事前に各ノードに識別情報を設定(ゲートウェイノードやルートノードの指定も含めて)しておくとよい。設置後ネットワークを試動してみて、通信品質に問題があるようであれば各ノードの位置を調整し最適化する。クラスタ間、又はネットワーク間の通信品質に問題があるようであれば、ゲートウェイノード、ルートノードの担当ノードを管理用PCから変更して最適化できることが好ましい。
【0033】
隣接ノードとの間の通信品質は何段階かに分類し、経路選択時の判定材料とすることができる。例えば通信品質の悪い方から良い順に並べると、No Link(通信不能)、Poor、Good、Excellentの4段階の品質ランクに分けるなどである。図15の表に通信品質ランク例を示す。これらの通信品質ランクは通信エラーとなり送信できなかった通信失敗回数、1回の通信の中におけるデータ欠損率、受信信号強度(以下、RSSI:Received Signal Strength Indicator)の値などの判定条件を総合して決める方法である。RSSIを判定に使うには、予め少なくとも一つの閾値を決めておき閾値以上か未満下で2分するなどの方法がある。自ノードが受信した隣接ノードからの通信の品質ランクを上述のように例えば4段階に分けて、隣接ノードの識別情報と関連付けて保持する。前記の通信品質ランクの判定条件により、通信品質ランクを判定し、保持する通信品質ランクを上下させて隣接ノード通信品質情報を更新する隣接ノード通信品質情報判定手段を隣接ノード通信品質情報保持部(A)に設けることができる。
【0034】
通信品質情報の更新は、周期的に受信するビーコン信号だけではなく、通常のデータ通信を受信した場合にも、その通信の品質を判定し、保持している通信品質情報より悪い品質情報であれば更新するように構成することが好ましい。周期的なビーコン信号だけではなくデータ通信の通信品質情報をも使用して、保持している通信品質情報を更新するのは、各ノードが設置された環境から周期的なノイズが生じ通信品質に影響する場合をも考慮するためである。周期ノイズとしては電源ノイズや、リレーやスイッチのオンオフ切り替え時のノイズなどが考えられる。ビーコン信号の周期とはタイミングがずれて発生する周期性ノイズは、ビーコン信号だけを用いて隣接ノード通信品質情報を取得していると、その存在が判明しづらい。ビーコン信号の周期とは関係なく発信されるデータ通信が前記周期性ノイズの影響を受けて通信のデータ欠損が生じたり、RSSIが低下したり、データ通信に失敗したりした場合、影響を受けた経路の通信品質ランクを下げることができ、次回以降データ通信送る場合に前記経路を選択されにくくすることができる。
【0035】
隣接クラスタに近い場所に設置されたノードには、異なるクラスタ内の通信も到達する可能性があるが、他クラスタ内の通信については各ノードで受信可能であっても無視し、隣接クラスタ内の通信が自クラスタ宛てであっても、ゲートウェイノードを介して伝達される通信でなければ無視するように構成する。他クラスタ内の通信かどうかは上述したように、各送信元のノード識別情報に含まれるクラスタを識別する情報を参照して判別する。このように構成すれば同じ周波数の電波を使用してもクラスタ間の混信を防止出来る。通信に使用する電波の周波数をクラスタごとやネットワーク毎に分けるようにしてもよい。
【0036】
<実施形態1 隣接ノード通信品質情報送信部(B)(0102)>
「隣接ノード通信品質情報送信部(B)」(0102)は、保持されている隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに送信するように構成されている。
【0037】
自ノードから送信する隣接ノード通信情報としては、自ノードが隣接ノードから受信した通信の品質情報である通信品質情報(例えば通信品質ランク)を、受信した通信の送信元である隣接ノードの識別情報を関連付けて送信する。図13に示されるネットワーク5のクラスタ1内のノード(5.1.9)を例として説明する。図13ではノードが円で描かれ、通信可能なノード間が線で結ばれている。通信品質ランクにより、太実線(Excellent)、細実線(Good)、細点線(Poor)の3種に分けられている。ノード(5.1.9)は、通信可能なノードが(5.1.10)(5.1.8)(5.1.1)(5.1.2)(5.1.7)の5個である。仮に通信品質ランクの値を、通信不能(線で結ばれていない):0、Poor:1、Good:2、Excellent:3とする。ノード(5.1.9)は、自クラスタ内の隣接ノード番号と通信品質ランクを表す数字を組み合わせて、(1,1)(2,2)(7,1)(8,3)(10,2)をペイロードに格納し、ヘッダに自ノード識別情報を格納した通信であるビーコン信号を発信する。ビーコン信号にさらに時間情報を関連付けて送信するように構成してもよい。周期的にビーコン情報を発信するため、ビーコン信号を時間情報と発信元の自ノード識別情報とで識別できる。
【0038】
ビーコン信号は特に宛先を指定せずに、他ノードからのビーコン信号受信を待たずに、所定の周期で発信する。もし隣接する他クラスタまたは隣接する他ネットワークに属するノードがビーコン信号を受信した場合には、自ネットワークの自クラスタに属するノードから発せられたビーコン信号でなければ無視する。ビーコン信号の発信周期は、起動後すぐは通信品質の安定度合いが不明なため短周期で発信し、通信品質が安定していると確認できたならば頻度を落とし長周期とするなどのように、所定の周期を変動させると通信量を削減できる。ノード(5.1.9)と隣接するノード(5.1.8)は、ノード(5.1.9)からのビーコン信号を受信し、そのヘッダに格納されたノード(5.1.9)のノード識別情報と、受信した通信の品質情報を判定条件を用いて判定して得た通信品質ランクと、を関連付けて保持する。その際に例えば、ノード(5.1.9)から(5.1.8)が受信したビーコンにはノード(5.1.8)からの通信の通信品質ランクはExcellentとして記載されていたが、実際に受信した通信の通信品質ランクがGoodだった場合にはノード(5.1.8)はビーコン信号に格納されていた通信内容に拠らず、自ノードで判定した通信品質Goodとして、前記隣接ノード通信品質情報保持部(A)に保持する。
【0039】
<実施形態1 隣接ノード通信品質情報転送部(C)(0103)>
「隣接ノード通信品質情報転送部(C)」(0103)は、隣接ノードから受信した隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに転送するように構成されている。
【0040】
自クラスタ内の直接隣接しないノードから発せられた隣接ノード通信品質情報を含むビーコン信号を受信したノードは、自ノードから他のノードへ転送の為、ビーコン信号に含まれる隣接ノード品質情報の中身を変えずに発信をする。なお、この隣接ノード通信品質情報転送部で転送される情報には、自ノードとの通信品質情報を直接隣接するノードが測定した隣接ノード通信品質情報が含まれてもよいし、含まれなくてもよい。同じ隣接ノード品質情報を含むビーコン信号が複数発信されることとなると無駄な通信量が増えるので、一度受信したビーコン信号に含まれる隣接ノード品質情報が全く同一の信号は再度転送しないことが好ましい。隣接ノード通信品質情報であるビーコン信号に識別情報をつけて識別することにより達成できる。例えば最初に発信したノードがビーコン信号を生成した時間情報とノードの識別情報を関連づけてビーコン信号を識別するビーコン識別情報とする方法などである。隣接ノードが送信した隣接ノード通信品質情報を受信する隣接ノード通信品質情報受信部を設けるようにしてもよい。隣接ノード通信品質情報受信部内に、直接隣接しないノードから発せられて転送されたビーコン情報を受信した場合に、ビーコン信号識別情報を参照して、既に受信済みのビーコン信号であれば転送しない、受信していなかったビーコン信号であれば転送するといった判断を行う転送判断手段を前記隣接ノード通信品質情報受信部内に設けてもよい。隣接ノード直接通信できないノードから発信され転送された隣接ノード通信品質情報を含むビーコン信号を受信することにより、各ノードは自ノードが属する自クラスタ内の全ての通信可能な経路の通信品質情報を得ることができる。
【0041】
またすでに説明した構成要件である隣接ノード通信品質情報送信部(B)は、自ノードが生成した隣接ノード通信品質情報のみを送信する場合と、直接隣接する隣接ノードが生成した自ノードとの通信品質情報を送信する場合と、のいずれかであってもよいし、両者が処理されるように構成されていてもよい。さらに、すでに説明した構成要件である隣接ノード通信品質情報送信部(B)と、本構成要件である隣接ノード通信品質情報転送部(C)とは、協働で処理を進めるように構成されていてもよい。つまり、直接隣接する隣接ノードの通信品質情報と、直接には隣接しない隣接ノード通信品質情報とがノードにおいて蓄積されて両者が一のビーコン信号に含まれるように構成して送信(転送)するように構成することもできる。前記両者が一のビーコン信号に含まれるように構成した通信品質情報の例としてはクラスタ内通信品質情報のようにすべてのノード間相互の通信品質情報を含む態様であってもよい。このような協働処理を実現する構成も本件発明(具体的には請求項1並びに請求項1に従属する請求項に記載の発明)に含まれる。
【0042】
<実施形態1 クラスタ内通信品質情報取得部(D)(0104)>
「クラスタ内通信品質情報取得部(D)」(0104)は、受信した隣接ノード通信品質情報に基づいてクラスタ内でのすべてのノード間相互の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を取得するように構成されている。
【0043】
前記隣接ノード通信品質情報保持部(A)、隣接ノード通信品質情報送信部(B)、隣接ノード通信品質情報転送部(C)により、各ノードは隣接ノード通信品質情報を含むビーコン信号を、直接通信可能なノードからだけではなく、転送によって直接通信できないノードから発信されたビーコン信号をも受信することができる。受信した隣接ノード通信品質情報を統合し、自クラスタ内に属する各ノードが通信可能な通信経路とその通信品質情報を網羅した情報であるクラスタ内通信品質情報を取得することができる。
【0044】
図13のノード(5.1.9)は、自身が直接通信可能な5個の隣接ノードとの間の通信品質情報は、受信したビーコン信号の通信品質を判定することにより直接的に得ることができる。一方、例えばノード(5.1.1)のビーコン情報には、ノード(5.1.9)が直接通信できないノード(5.1.3)とノード(5.1.1)間の通信品質情報が記載されている。受信したノード(5.1.1)からの隣接ノード通信品質情報から、上記ノード(5.1.9)が直接通信できないノード(5.1.3)とノード(5.1.1)間の通信品質情報も取得する。また、例えばゲートウェイノードでもあるノード(5.1.5)は、ノード(5.1.9)と直接通信可能な5個のノードのどれとも直接通信可能な配置ではない。そのため、ノード(5.1.5)から発信された隣接ノード通信品質情報の転送を受信し、ノード(5.1.5)と(5.1.3)(5.1.4)(5.1.6)の3ノードとの間の隣接通信品質情報を得ることができる。
【0045】
これらの情報を例えばリーグ戦(総当たり戦)の表のように、縦横の軸の片側を送信、もう一方を受信とした通信品質情報の表を最終的に取得することができる。一般的には送信側と受信側の通信品質は同じであることが期待される。例えば図13の例であれば、ノード(5.1.8)から発信されノード(5.1.9)が受信する際の通信品質情報と、ノード(5.1.9)が発信しノード(5.1.8)が受信する通信品質情報は同様で、前記例の通信品質ランクで表現すると共にExcellentとなることが期待される。図13のクラスタ内の通信品質情報を前記判定例である4段階の通信品質ランクで表記すると図14のようになる。
【0046】
<実施形態1 クラスタ内通信品質情報保持部(E)(0105)>
「クラスタ内通信品質情報保持部(E)」(0105)は、取得したクラスタ内通信品質情報を保持するように構成されている。
【0047】
前記クラスタ内通信品質情報取得部(D)で取得したクラスタ内通信品質情報を保持する。保持されるクラスタ内通信品質情報は、例えば図14の太線枠で囲んだ三角形状の領域の通信品質ランクである。送信側と受信側双方ともに保持することが望ましいが、通常は、送信と受信は同様の通信品質ランクとなることが期待されるため、片側を保持することにより記憶領域を節約することができる。万一送信側と受信側で通信品質ランクが異なる場合は、通信品質ランクの優る方のデータを用いるようにしてもよい。
【0048】
<実施形態1 クラスタ内ノード経由情報取得部(F)(0106)>
「クラスタ内ノード経由情報取得部(F)」(0106)は、自ノードが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているクラスタ内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的ノードに至るクラスタ内のノード経由情報であるクラスタ内ノード経由情報を取得するように構成されている。
【0049】
自ノードが情報の最初の発信源となる場合とは、例えば管理PCからのデータ要求を受けて、返信する場合などである。ネットワーク外の管理PCなどへ送る場合、前記管理PCと接続するルートノードを宛先とする。ルートノードへ送信する場合、まず自クラスタ内では、経由する自クラスタのゲートウェイノードが直近の宛先とされる。図12の例を用いて説明する。図12aは飛行機の主翼など大型の部材を熱処理する際の模式図である。各ノードには、図示していないが、部材の温度を計測する熱電対と熱電対の起電力を測定するセンサと、部材の担当部分を加熱するためのヒーターとヒーターへの電流を制御するサイリスタ(またはソリッドステートリレー)が付けられている。各ノードはサイリスタ等を介したヒーターの出力制御による部材の加熱制御と、加熱によって生じる温度変化を熱電対を通じて把握することを、管理PCの指示により行う。各ノードにあらかじめ加熱処理の温度プロファイルを保持させ、温度プロファイルから所定範囲を超えてずれた、または所定範囲を超えそうになった時に、ヒーター制御量の修正値要求を温度データと共に管理PCに発信するばあいなどが、各ノードから管理PCへの送信が生じる場合の例である。一番左のクラスタ1に属するノード(1.1.7)から管理PCへ送信する場合、自クラスタのゲートウェイノード(1.1.1)へ送付し、隣接し通信可能なゲートウェイノード(1.2.1)を経由し、管理PCに接続されたルートノード(1.3.1)を最終送信先として送信する。
【0050】
自ノード(1.1.7)で発信予定のデータ(温度情報、ヒーター制御量の修正値要求など)をペイロードに格納し、発信元の自ノード識別情報として(1.1.7)をヘッダに格納し、最終宛先としてルートノードのノード識別情報(1.3.1)を格納する。送信経路として自クラスタ内ではまずは自ノード(1.1.7)からゲートウェイノード(1.1.1)へデータ送付する経路を策定する。図12bを用いて説明する。図12bには図12aに記載の熱処理システムに使われている本メッシュネットワークシステムのクラスタ1を抜き出している。図中クラスタ内の各ノード間の経路を示す直線は前記図13で説明したノード間の通信品質情報(通信品質ランク))の図と同様にExcellentが太実線、Goodが細実線、Poorが細点線で記載されている。これらのクラスタ内通信品質情報は、システム起動後に周期的なビーコン信号の送受信を通して各ノードが直接受信した隣接ノード通信品質情報の通信品質の判定(基準例は図15参照)を経て、または隣接ノード通信品質情報の転送を受けて取得し、クラスタ1内の全ノードが各々保持している情報である。ノード(1.1.7)からノード(1.1.1.)へのルートはいくつか存在するが、図16に示すような経路選択条件の例をもとに策定すると、(1.1.7)-(1.1.5)-(1.1.3)-(1.1.7)が3ホップ(ホップはノードからノードに1回データ送信されることを指す)と、最小ホップ数3でかつExcellentが1ホップ、Goodが2ホップと品質的にも最良の経路となり、この経路がこの通信でのクラスタ内ノード経由情報となる。他の例えば(1.1.7)-(1.1.6)-(1.1.4)-(1.1.2)-(1.1.1)では全4ホップかつGoodが4ホップとなるし、(1.1.7)-(1.1.6)-(1.1.3)-(1.1.1)では全4ホップかつExcellentが1ホップ、Goodが3ホップとなり、ホップ数で劣る。
【0051】
<実施形態1 情報出力部(G)(0107)>
「情報出力部(G)」(0107)は、クラスタ内ノード経由情報と関連付けて前記情報を出力するように構成されている。
【0052】
上記の図12の例を用いたクラスタ内ノード経由情報取得部(F)の説明で挙げたノード(1.1.7)からノード(1.3.1)への通信に際して、ノード(1.1.1)は自ノード識別情報と、最終宛先ノード(1.3.1)のノード識別情報のほか、クラスタ内ノード経由情報として自クラスタ内の経路情報(1.1.5)、(1.1.3)、(1.1.1)を、自ノード識別情報と、最終宛先のノード(1.3.1)のノード識別情報と、送信予定の温度やヒーター制御量の修正値要求のデータを送信する。
【0053】
<実施形態1 情報受信部(H)(0108)>
「情報受信部(H)」(0108)は、クラスタ内ノード経由情報と関連付けられた他ノードが最初の発信源となった情報を受信するように構成されている。
【0054】
上記図12の説明例でのノード(1.1.7)からノード(1.3.1)への通信例では、クラスタ1内のノード(1.1.5)は自身が中継のノードとしてクラスタ内ノード経由情報に記載された通信を受信する。他のノード、例えば、ノード(1.1.6)は自身のノード識別情報が含まれていないクラスタ内ノード経由情報を持ったデータ通信は無視する。ノード(1.1.5)は受信した信号を次の中継ノードであるノード(1.1.3)へ向かって後記情報転送部(J)により情報を転送のため、送信する。ノード(1.1.5)へ送信した通信の送信元であるノード(1.1.7)は、ノード(1.1.5)から次のノード(1.1.3)へ送信された無線通信を受信することで、自身が送信した通信が自身の次の中継ノードに受信され次々中継ノードへ向けて送信されたことを把握する。万一所定の時間経過してもノード(1.1.5)から次のノード(1.1.3)への送信を受信できなかった場合には、ノード(1.1.7)は、ノード(1.1.5)との間で通信エラーが生じたとして再送信を行う。なお、通信を受信したノード(1.1.3)が直前の送信元ノード(1.1.5)または大元の送信元ノード(1.1.7)へ受信した旨の応答(ack)を送信するように構成してもよい。
【0055】
所定回数再送信してもノード(1.1.5)からノード(1.1.3)への転送の送信をノード(1.1.7)が受信できなかった場合には、ノード(1.1.5)が故障したものと判断し、ノード(1.1.7)は別経路を再選択する。すると(1.1.5)を通らない経路選択とするため、(1.1.7)-(1.1.6)-(1.1.4)-(1.1.3)-(1.1.1)の経路が選択される。ノード(1.1.7)はクラスタ内ノード経由情報を上記に書き直し、通信の次の中継点をノード(1.1.6)として送信する。ノードごとにこのような動きを行う。通信を所定回数行っても届かなかったり(送信先ノードから、次の送信先への通信を受信できない)、全経路とも宛先に届かなかったりした場合は、データを送信できなかったノードまたは元の発信元のノードがエラー表示を出す。エラー自体が通信で送信できない可能性あるために、ノードに稼働状態を示すパイロットランプなどを備えておき、通常稼動時とエラーなどの異常状態時でパイロットランプの色や点滅でエラーを表示するとよい。管理PCからのデータ要求だった場合には、ノードからの応答が遅い場合に再度データ要求を出し、それで応答ない場合には異常があったクラスタのゲートウェイノードへ、クラスタ内に通信不能ノードがあるかどうかを問い合わせるなどの対応をとることができる。
【0056】
データ通信の通信異常が発生した時の再経路検索に関して、クラスタ内ノード経由情報を管理PCなどが所持している場合は、都度管理PCに通知し管理PCに保持された情報を基に再設定されたクラスタ内ノード経由情報を伝達されないと通信再開できず、通信再開まで時間と手間がかかる。しかし本メッシュネットワークシステムでは各ノードが最新のクラスタ内ノード経由情報を持つため、通信エラーが生じた直前のノードが経路を再選択することができ時間と手間を節約することができる。
【0057】
<実施形態1 情報転送部(J)(0109)>
「情報転送部(J)」(0109)は、受信した前記他ノードが最初の発信源となった情報を関連付けられているクラスタ内ノード経由情報で示される自ノードに隣接している転送先ノードに転送するように構成されている。
【0058】
上述したように、転送された通信を転送する。通信エラーとなった場合には上述のように経路再選択を行う。
【0059】
<実施形態1 処理の流れ>
図2は、実施形態1の計算機である複数のノードから構成されるクラスタ内での各ノードの動作処理のフローチャートである。本メッシュネットワークシステムの各ノードの動作方法は、隣接ノード通信品質情報保持ステップ(a)(S0201)と、隣接ノード通信品質情報送信ステップ(b)(S0202)と、隣接ノード通信品質情報受信ステップ(S0203)と、隣接ノード通信品質情報転送ステップ(c)(S0204)と、クラスタ内通信品質情報取得ステップ(d)(S0205)と、クラスタ内通信品質情報保持ステップ(e)(S0206)と、クラスタ内ノード経由情報取得ステップ(f)(S0207)と、情報出力ステップ(g)(S0208)と、情報受信ステップ(h)(S0209)と、情報転送ステップ(j)(S0210)と、を有する。
【0060】
ここで計算機であるメッシュネットワークシステムの動作方法は、
隣接ノード通信品質情報保持ステップ(a)(S0201)は、各ノードの識別情報である自ノード識別情報を含み、自身が信号を送信可能なノードである隣接ノードのノード識別情報と関連付けてその隣接ノードとの間の通信品質を示す情報である通信品質情報である隣接ノード通信品質情報を保持する処理を行い、
隣接ノード通信品質情報送信ステップ(b)(S0202)は、隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに送信する処理を行い、
隣接ノード通信品質情報受信ステップ(S0203)は、隣接ノードが送信した隣接ノード通信品質情報を受信する処理を行い、
隣接ノード通信品質情報転送ステップ(c)(S0204)は、隣接ノードから受信した隣接ノード通信品質情報を隣接ノードに転送する処理を行い、
クラスタ内通信品質情報取得ステップ(d)(S0205)は、受信した隣接ノード通信品質情報に基づいてクラスタ内でのすべてのノード間相互の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を取得する処理を行い、
クラスタ内通信品質情報保持ステップ(e)(S0206)は、取得したクラスタ内通信品質情報を保持する処理を行い、
クラスタ内ノード経由情報取得ステップ(f)(S0207)は、自ノードが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているクラスタ内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的ノードに至るクラスタ内のノード経由情報であるクラスタ内ノード経由情報を取得する処理を行い、
情報出力ステップ(g)(S0208)は、クラスタ内ノード経由情報と関連付けて前記情報を出力する処理を行い、
情報受信ステップ(h)(S0209)は、クラスタ内ノード経由情報と関連付けられた他ノードが最初の発信源となった情報を受信する処理を行い、
情報転送ステップ(j)(S0210)は、受信した前記他ノードが最初の発信源となった情報を関連付けられているクラスタ内ノード経由情報で示される自ノードに隣接している転送先ノードに転送する処理を行う。
このような一連の処理を計算機であるメッシュネットワークシステムに実行させる動作方法である。
【0061】
<実施形態1 ハードウエアの説明>
図3は、実施形態1のコンピュータ(計算機)であるメッシュネットワークシステムのメインボードやその周辺機器によって構成されるハードウエアを説明するための図である。図3はメッシュネットワークシステムのハードウエア構成例を示す。「CPU」、ノースブリッジとサウスブリッジからなる「チップセット」、「不揮発性メモリ」、「メインメモリ」、「I/Oコントローラ」、「USB、IEEE1394、HDMI(登録商標)、LAN端子、etc」、「BIOS」、「PCIスロット」、「リアルタイムクロック」などから構成される。
【0062】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0063】
すなわち図3に示すようにメッシュネットワークシステムでは、不揮発性メモリにはOS(オペレーティングシステム)とデバイスドライバのほかに、隣接ノード通信品質情報保持プログラムと、隣接ノード通信品質情報送信プログラムと、隣接ノード通信品質情報受信プログラムと、隣接ノード通信品質情報転送プログラムと、クラスタ内通信品質情報取得プログラムと、クラスタ内通信品質情報保持プログラムとを、クラスタ内ノード経由情報取得プログラムと、情報出力プログラムと、情報受信プログラムと、情報転送プログラムと、を有し、データとして、自ノード識別情報、ノード識別情報、隣接ノード通信品質情報、クラスタ内通信品質情報、クラスタ内ノード経由情報、他ノードが最初の発信源となった情報と、が保持されている。これらは、本システムがコンピュータ上で起動されることにより、メインメモリに展開されて、起動命令を受け付けることによって、CPUが順次プログラムとデータを利用した演算を行っていく。
【0064】
各ノードが隣接ノード通信品質情報を得るための通信量を削減し、各ノードが自ノードが属するクラスタ内のノード間相互の通信品質情報を得ることができるメッシュネットワークシステムを提供することができる。自クラスタ内で通信エラーが発生した場合に、管理PCなど別の管理場所でクラスタ内品質情報が保持され経路策定が行われる従来技術と比べ、送信不可となったノードの手前のノードが経路再選択することができるために速やかに通信再開することができる。
【0065】
<実施形態2 概要>主に請求項2:ネットワーク内クラスタ間
実施形態2は実施形態1のメッシュネットワークシステムを基礎として、実施形態1のノードを、ネットワークを構成する複数のクラスタの各々に一つずつ設定されたゲートウェイノードに置き換え、クラスタをネットワークに置き換えて、各ゲートウェイノードが実施形態1のノードと同様に、各ゲートウェイノード間の通信品質情報を同様に取得するように構成されているものである。あるクラスタ内のゲートウェイノードではないノードから、他クラスタ内のノード(ゲートウェイノードではない)へ宛てた通信は、まず自クラスタ内のゲートウェイノードへ送られ、自クラスタのゲートウェイノードから宛先のノードが属するクラスタのゲートウェイノードへ送られる。ゲートウェイノード間の通信は、実施形態1で説明した同一クラスタ内のノード間通信と同様に経路を選択して行われる。宛先ノードのゲートウェイノード迄送られた送信は、ゲートウェイノードからクラスタ内通信により宛先ノードへ送信される。
【0066】
<実施形態2 構成>
図4に実施形態1を基礎とした実施形態2のメッシュネットワークシステムのゲートウェイノード(0400)の機能ブロック図を示す。実施形態2のネットワーク内でクラスタ間の通信をつかさどるゲートウェイノードの構成を示すものである。そもそも本発明ではゲートウェイノードやルートノードも、クラスタ内のノードと同一の構成をとる機器でよい。そのため、上記のように実施形態1に対しノードをクラスタに、クラスタをネットワークと言葉を置き換え、以下構成説明しているが、前記実施形態1,本実施形態2,後記実施形態3では対応する構成各部や動作方法のステップの(A)や(a)などの添え字は同じものを使用している。
【0067】
<実施形態2 構成の説明>
複数のクラスタから構成されるネットワーク内での各クラスタのゲートウェイノードは以下に示す各部から構成される。
<実施形態2 隣接クラスタ通信品質情報保持部(A)(0401)>
「隣接クラスタ通信品質情報保持部(A)」(0401)は、各クラスタの識別情報である自クラスタ識別情報を含み、自身が信号を送信可能なクラスタである隣接クラスタのクラスタ識別情報と関連付けてその隣接クラスタとの間の通信品質を示す情報である通信品質情報である隣接クラスタ通信品質情報を保持するように構成されている。「クラスタ識別情報」は、例えばクラスタに属するゲートウェイノードのノード識別情報でもよい。その場合、自クラスタ識別情報は自ゲートウェイノードの自ノード識別情報とすることができ、隣接クラスタ識別情報は隣接クラスタのゲートウェイノードのノード識別情報とすることができる。
【0068】
クラスタ間をつなぐゲートウェイノードの間も、実施形態1のノードと同様周期的に隣接クラスタのゲートウェイノードから受信するビーコン信号を受信し、受信した通信の品質を示す情報である隣接クラスタ通信品質情報を保持する。隣接クラスタ通信品質情報を周期的に送信するビーコン信号だけではなく、通常のデータ通信を受信した場合にも、その通信の品質を判定し、保持している通信品質情報よりも悪い品質情報であれば更新するように構成することが好ましい。データ通信情報をも通信品質情報の更新に使用する理由については実施形態1で説明したように、ビーコン信号の周期とずれて発生しビーコン信号が影響されにくい周期性ノイズなどを見出すためである。
【0069】
隣接クラスタ通信品質情報を後記隣接クラスタ通信品質情報送信部(B)にて送信する際に、自クラスタ内の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を加えて送信するようにしてもよい。自クラスタ内の全ノード間全経路の通信品質情報であるクラスタ内通信品質情報を送受信するとデータ量が多くなるため、例えば自クラスタ内で通信不能なノードが存在するか否かの2値のデータで示す情報であるクラスタ内ノード稼動情報として送付するように構成することができる。隣接クラスタ通信品質情報保持部(A)は隣接クラスタとの間の通信品質情報と、隣接クラスタのゲートウェイノードのノード識別情報でもあるクラスタ識別情報と、隣接クラスタのクラスタ内ノード稼動情報を関連付けて保持するように構成できる。
【0070】
<実施形態2 隣接クラスタ通信品質情報送信部(B)(0402)>
「隣接クラスタ通信品質情報送信部(B)」(0402)は、保持されている隣接クラスタ通信品質情報を隣接クラスタに送信するように構成されている。
【0071】
<実施形態2 隣接クラスタ通信品質情報転送部(C)(0403)>
「隣接クラスタ通信品質情報転送部(C)」(0403)は、隣接クラスタから受信した隣接クラスタ通信品質情報を隣接クラスタに転送するように構成されている。
【0072】
実施形態1と同様に隣接クラスタから送信される隣接クラスタ通信品質情報を受信する隣接クラスタ通信品質情報受信部を設けることもできる。隣接クラスタ通信品質情報受信部には、転送されてきた直接隣接しないクラスタからのビーコン信号のビーコン識別情報を参照して、既に受信済みのビーコン信号であれば転送しない、受信していなかったビーコン信号であれば転送するといった判断を行う転送判断手段を設けることもできる。
【0073】
<実施形態2 ネットワーク内通信品質情報取得部(D)(0404)>
「ネットワーク内通信品質情報取得部(D)」(0404)は、受信した隣接クラスタ通信品質情報に基づいてネットワーク内でのすべてのクラスタ間相互の通信品質情報であるネットワーク内通信品質情報を取得するように構成されている。
【0074】
<実施形態2 ネットワーク内通信品質情報保持部(E)(0405)>
「ネットワーク内通信品質情報保持部(E)」(0405)は、取得したネットワーク内通信品質情報を保持するように構成されている。
【0075】
<実施形態2 ネットワーク内クラスタ経由情報取得部(F)(0406)>
「ネットワーク内クラスタ経由情報取得部(F)」(0406)は、自クラスタが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているネットワーク内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的クラスタに至るネットワーク内のクラスタ経由情報であるネットワーク内クラスタ経由情報を取得するように構成されている。
【0076】
ネットワーク内クラスタ経由情報を用いることにより、ネットワーク内の、自クラスタから、別のクラスタへ送信する際に、前記自クラスタのゲートウェイノードから、前記別のクラスタのゲートウェイノード迄の経路を選択することができる。経路の選択条件としては、例えば図16に示すような条件を使用することができる。
【0077】
<実施形態2 情報出力部(G)(0407)>
「情報出力部(G)」(0407)は、ネットワーク内クラスタ経由情報と関連付けて前記情報を出力するように構成されている。
【0078】
<実施形態2 情報受信部(H)(0408)>
「情報受信部(H)」(0408)は、ネットワーク内クラスタ経由情報と関連付けられた他クラスタが最初の発信源となった情報を受信するように構成されている。
【0079】
自クラスタに属するノード宛の情報であった場合、受信したゲートウェイノードは自クラスタ内の宛先ノードに対して自クラスタ内の経路選択を行い前記情報を送信する。
【0080】
<実施形態2 情報転送部(J)(0409)>
「情報転送部(J)」(0409)は、受信した前記他クラスタが最初の発信源となった情報を関連付けられているネットワーク内クラスタ経由情報で示される自クラスタに隣接している転送先クラスタに転送するように構成されている。
【0081】
<実施形態2 処理の流れ>
図5は、実施形態1を基礎とする実施形態2の計算機である複数のクラスタから構成されるネットワーク内での各クラスタのゲートウェイノードの動作処理のフローチャートである。本メッシュネットワークシステムの各ゲートウェイノード動作方法は、隣接クラスタ通信品質情報保持ステップ(a)(S0501)と、隣接クラスタ通信品質情報送信ステップ(b)(S0502)と、隣接クラスタ通信品質情報受信ステップ(S0503)と、隣接クラスタ通信品質情報転送ステップ(c)(S0504)と、ネットワーク内通信品質情報取得ステップ(d)(S0505)と、ネットワーク内通信品質情報保持ステップ(e)(S0506)と、ネットワーク内クラスタ経由情報取得ステップ(f)(S0507)と、情報出力ステップ(g)(S0508)と、情報受信ステップ(h)(S0509)と、情報転送ステップ(j)(S0510)と、を有する。
【0082】
ここで計算機であるメッシュネットワークシステムの動作方法は、
隣接クラスタ通信品質情報保持ステップ(a)(S0501)は、各クラスタの識別情報である自クラスタ識別情報を含み、自身が信号を送信可能なクラスタである隣接クラスタのクラスタ識別情報と関連付けてその隣接クラスタとの間の通信品質を示す情報である通信品質情報である隣接クラスタ通信品質情報を保持する処理を行い、
隣接クラスタ通信品質情報送信ステップ(b)(S0502)は、隣接クラスタ通信品質情報を隣接クラスタに送信する処理を行い、
隣接クラスタ通信品質情報受信ステップ(S0503)は、隣接クラスタが送信した隣接クラスタ通信品質情報を受信する処理を行い、
隣接クラスタ通信品質情報転送ステップ(c)(S0504)は、隣接クラスタから受信した隣接クラスタ通信品質情報を隣接クラスタに転送する処理を行い、
ネットワーク内通信品質情報取得ステップ(d)(S0505)は、受信した隣接クラスタ通信品質情報に基づいてネットワーク内でのすべてのクラスタ間相互の通信品質情報であるネットワーク内通信品質情報を取得する処理を行い、
ネットワーク内通信品質情報保持ステップ(e)(S0506)は、取得したネットワーク内通信品質情報を保持する処理を行い、
ネットワーク内クラスタ経由情報取得ステップ(f)(S0507)は、自クラスタが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているネットワーク内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的クラスタに至るネットワーク内のクラスタ経由情報であるネットワーク内クラスタ経由情報を取得する処理を行い、
情報出力ステップ(g)(S0508)は、ネットワーク内クラスタ経由情報と関連付けて前記情報を出力する処理を行い、
情報受信ステップ(h)(S0509)は、ネットワーク内クラスタ経由情報と関連付けられた他クラスタが最初の発信源となった情報を受信する処理を行い、
情報転送ステップ(j)(S0510)は、受信した前記他クラスタが最初の発信源となった情報を関連付けられているネットワーク内クラスタ経由情報で示される自クラスタに隣接している転送先クラスタに転送する処理を行う。
このような一連の処理を計算機であるメッシュネットワークシステムに実行させる動作方法である。
【0083】
<実施形態2 ハードウエアの説明>
図6は、実施形態1を基礎とした実施形態2のコンピュータ(計算機)であるメッシュネットワークシステムのメインボードやその周辺機器によって構成されるハードウエアを説明するための図である。図6はメッシュネットワークシステムのハードウエア構成例を示す。「CPU」、ノースブリッジとサウスブリッジからなる「チップセット」、「不揮発性メモリ」、「メインメモリ」、「I/Oコントローラ」、「USB、IEEE1394、HDMI(登録商標)、LAN端子、etc」、「BIOS」、「PCIスロット」、「リアルタイムクロック」などから構成される。
【0084】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0085】
すなわち図6に示すようにメッシュネットワークシステムでは、不揮発性メモリにはOS(オペレーティングシステム)とデバイスドライバのほかに、隣接クラスタ通信品質情報保持プログラムと、隣接クラスタ通信品質情報送信プログラムと、隣接クラスタ通信品質情報受信プログラムと、隣接クラスタ通信品質情報転送プログラムと、ネットワーク内通信品質情報取得プログラムと、ネットワーク内通信品質情報保持プログラムとを、ネットワーク内クラスタ経由情報取得プログラムと、情報出力プログラムと、情報受信プログラムと、情報転送プログラムと、を有し、データとして、自クラスタ識別情報、クラスタ識別情報、隣接クラスタ通信品質情報、ネットワーク内通信品質情報、ネットワーク内クラスタ経由情報、他クラスタが最初の発信源となった情報と、が保持されている。これらは、本システムがコンピュータ上で起動されることにより、メインメモリに展開されて、起動命令を受け付けることによって、CPUが順次プログラムとデータを利用した演算を行っていく。
【0086】
各クラスタが隣接クラスタ通信品質情報を得るための通信量を削減し、各クラスタが自クラスタが属するネットワーク内のクラスタ間相互の通信品質情報を得ることができるメッシュネットワークシステムを提供することができる。ネットワーク内でゲートウェイノード間の通信エラーが発生した場合に、管理PCなど別の管理場所でネットワーク内品質情報が保持され経路策定が行われる従来技術と比べ、送信不可となったクラスタの手前のゲートウェイノードが経路再選択することができるために速やかに通信再開することができる。
【0087】
<実施形態3 概要>主に請求項2:ネットワークシステム内ネットワーク間
実施形態3は実施形態2のメッシュネットワークシステムを基礎として、実施形態2のゲートウェイノードを、ネットワークシステムを構成する複数のネットワークの各々に一つずつ設定されたルートノード(ゲートウェイノードと兼任)に置き換え、ネットワークをネットワークシステムに置き換えて、各ルートノードが実施形態2のゲートウェイノードと同様に、各ルートノード間の通信品質情報を同様に取得するように構成されているものである。あるネットワーク内のルートノードではないノードから、他ネットワーク内のノード(ルートノードではない)へ宛てた通信は、まず自クラスタ内のゲートウェイノードを経由して自ネットワーク内のルートノードへ送られ、自ネットワークのルートノードから宛先のノードが属するネットワークのルートノードへ送られる。ルートノード間の通信は、実施形態2で説明した同一ネットワーク内のゲートウェイノード間通信と同様に経路を選択して行われる。宛先ノードが属するネットワークのルートノード迄送られた送信は、宛先のノードが属するクラスタのゲートウェイノードまで送信され、宛先ノードが属するクラスタのゲートウェイノードからクラスタ内通信により、宛先のノードへ送信(転送)される。
【0088】
<実施形態3 構成>
図7に実施形態2を基礎とした実施形態3のメッシュネットワークシステムのルートノード(0700)の機能ブロック図を示す。実施形態3のネットワークシステム内でネットワーク間の通信をつかさどるルートノードの構成を示すものである。そもそも本発明ではルートノードやルートノードも、クラスタ内のノードと同一の構成をとる機器でよい。そのため、上記のように実施形態2に対しクラスタをネットワークに、ネットワークをネットワークシステムと置き換え、以下構成説明しているが、前記実施形態1,前記実施形態2,本実施形態3では対応する構成各部や動作方法のステップの(A)や(a)などの添え字は同じものを使用している。
【0089】
<実施形態3 構成の説明>
複数のネットワークから構成されるネットワークシステム内での各ネットワークのルートノードは以下に示す各部から構成される。
<実施形態3 隣接ネットワーク通信品質情報保持部(A)(0701)>
「隣接ネットワーク通信品質情報保持部(A)」(0701)は、各ネットワークの識別情報である自ネットワーク識別情報を含み、自身が信号を送信可能なネットワークである隣接ネットワークのネットワーク識別情報と関連付けてその隣接ネットワークとの間の通信品質を示す情報である隣接ネットワーク通信品質情報を保持するように構成されている。「ネットワーク識別情報」は、ネットワークに属するルートノードのノード識別情報で兼ねることができる。その場合、自ネットワーク識別情報は自ルートノードの自ノード識別情報とすることができ、隣接ネットワーク識別情報は隣接ネットワークのルートノードのノード識別情報とすることができる。
【0090】
ネットワーク間をつなぐルートノード間も、実施形態2のゲートウェイノードと同様周期的に隣接ルートノードから受信するビーコン信号を受信し、受信した通信の品質を示す情報を保持する。通信品質情報を周期的に送信するビーコン信号だけではなく、通常のデータ通信を受信した場合にも、その通信の品質を判定し、保持している通信品質情報よりも悪い品質情報であれば更新するように構成することが好ましい。データ通信情報をも通信品質情報の更新に使用する理由については実施形態1で説明したように、ビーコン信号の周期とずれて発生しビーコン信号が影響されにくい周期性ノイズなどを見出すためである。
【0091】
隣接ネットワーク通信品質情報を後記隣接ネットワーク通信品質情報送信部(B)にて送信する際に、自ネットワーク内の通信品質情報であるネットワーク内通信品質情報を加えて送信するようにしてもよい。自ネットワーク内の全クラスタ間全経路の通信品質情報であるネットワーク内通信品質情報を送受信するとデータ量が多くなるため、例えば自ネットワーク内で通信不能なクラスタが存在するか否かの2値のデータで示す情報であるネットワーク内クラスタ稼動情報として送付するように構成することができる。隣接ネットワーク通信品質情報保持部(A)は隣接ネットワークとの間の通信品質情報と、隣接ネットワークのルートノードのノード識別情報であるネットワーク識別情報と、隣接ネットワークのネットワーク内クラスタ稼動情報を関連付けて保持するように構成できる。
【0092】
<実施形態3 隣接ネットワーク通信品質情報送信部(B)(0702)>
「隣接ネットワーク通信品質情報送信部(B)」(0702)は、保持されている隣接ネットワーク通信品質情報を隣接ネットワークに送信するように構成されている。実施形態1と同様に隣接クラスタから送信される隣接クラスタ通信品質情報を受信する隣接クラスタ通信品質情報受信部を設けることもできる。隣接クラスタ通信品質情報受信部には、転送されてきた直接隣接しないクラスタからのビーコン信号のビーコン識別情報を参照して、既に受信済みのビーコン信号であれば転送しない、受信していなかったビーコン信号であれば転送するといった判断を行う転送判断手段を設けることもできる。
【0093】
<実施形態3 隣接ネットワーク通信品質情報転送部(C)(0703)>
「隣接ネットワーク通信品質情報転送部(C)」(0703)は、隣接ネットワークから受信した隣接ネットワーク通信品質情報を隣接ネットワークに転送するように構成されている。
【0094】
実施形態2と同様に隣接ネットワークから送信される隣接ネットワーク通信品質情報を受信する隣接ネットワーク通信品質情報受信部を設けることもできる。隣接ネットワーク通信品質情報受信部には、転送されてきた直接隣接しないネットワークからのビーコン信号のビーコン識別情報を参照して、既に受信済みのビーコン信号であれば転送しない、受信していなかったビーコン信号であれば転送するといった判断を行う転送判断手段を設けることもできる。
【0095】
<実施形態3 ネットワークシステム内通信品質情報取得部(D)(0704)>
「ネットワークシステム内通信品質情報取得部(D)」(0704)は、受信した隣接ネットワーク通信品質情報に基づいてネットワークシステム内でのすべてのネットワーク間相互の通信品質情報であるネットワークシステム内通信品質情報を取得するように構成されている。
【0096】
<実施形態3 ネットワークシステム内通信品質情報保持部(E)(0705)>
「ネットワークシステム内通信品質情報保持部(E)」(0705)は、取得したネットワークシステム内通信品質情報を保持するように構成されている。
【0097】
<実施形態3 ネットワークシステム内ネットワーク経由情報取得部(F)(0706)>
「ネットワークシステム内ネットワーク経由情報取得部(F)」(0706)は、自ネットワークが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているネットワークシステム内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的ネットワークに至るネットワークシステム内のネットワーク経由情報であるネットワークシステム内ネットワーク経由情報を取得するように構成されている。
【0098】
ネットワークシステム内ネットワーク経由情報を用いることにより、ネットワークシステム内の、自ネットワークから、別のネットワークへ送信する際に、前記自ネットワークのルートノードから、前記別のネットワークのルートノード迄の経路を選択することができる。経路の選択条件としては、例えば図16に示すような条件を使用することができる。
【0099】
<実施形態3 情報出力部(G)(0707)>
「情報出力部(G)」(0707)は、ネットワークシステム内ネットワーク経由情報と関連付けて前記情報を出力するように構成されている。
【0100】
<実施形態3 情報受信部(H)(0708)>
「情報受信部(H)」(0708)は、ネットワークシステム内ネットワーク経由情報と関連付けられた他ネットワークが最初の発信源となった情報を受信するように構成されている。
【0101】
自ネットワークに属するノード宛の情報であった場合、受信したルートノードは自ネットワーク内の宛先ノードが属するクラスタのゲートウェイノードに対して自ネットワーク内の経路選択を行い、前記情報を転送するため送信する。宛先ノードが属するゲートウェイノードが転送された前記情報を受信し、宛先ノード迄の自クラスタ内での経路選択を行い、前記情報を送信する。
【0102】
<実施形態3 情報転送部(J)(0709)>
「情報転送部(J)」(0709)は、受信した前記他ネットワークが最初の発信源となった情報を関連付けられているネットワークシステム内ネットワーク経由情報で示される自ネットワークに隣接している転送先ネットワークに転送するように構成されている。
【0103】
<実施形態3 処理の流れ>
図8は、実施形態2を基礎とする実施形態3の計算機である複数のネットワークから構成されるネットワークシステム内での各ネットワークのルートノードの動作処理のフローチャートである。本メッシュネットワークシステムの各ルートノードの動作方法は、隣接ネットワーク通信品質情報保持ステップ(a)(S0801)と、隣接ネットワーク通信品質情報送信ステップ(b)(S0802)と、隣接ネットワーク通信品質情報受信ステップ(S0803)と、隣接ネットワーク通信品質情報転送ステップ(c)(S0804)と、ネットワークシステム内通信品質情報取得ステップ(d)(S0805)と、ネットワークシステム内通信品質情報保持ステップ(e)(S0806)と、ネットワークシステム内ネットワーク経由情報取得ステップ(f)(S0807)と、情報出力ステップ(g)(S0808)と、情報受信ステップ(h)(S0809)と、情報転送ステップ(j)(S0810)と、を有する。
【0104】
ここで計算機であるメッシュネットワークシステムの動作方法は、
隣接ネットワーク通信品質情報保持ステップ(a)(S0801)は、各ネットワークの識別情報である自ネットワーク識別情報を含み、自身が信号を送信可能なネットワークである隣接ネットワークのネットワーク識別情報と関連付けてその隣接ネットワークとの間の通信品質を示す情報である通信品質情報である隣接ネットワーク通信品質情報を保持する処理を行い、
隣接ネットワーク通信品質情報送信ステップ(b)(S0802)は、隣接ネットワーク通信品質情報を隣接ネットワークに送信する処理を行い、
隣接ネットワーク通信品質情報受信ステップ(S0803)は、隣接ネットワークが送信した隣接ネットワーク通信品質情報を受信する処理を行い、
隣接ネットワーク通信品質情報転送ステップ(c)(S0804)は、隣接ネットワークから受信した隣接ネットワーク通信品質情報を隣接ネットワークに転送する処理を行い、
ネットワークシステム内通信品質情報取得ステップ(d)(S0805)は、受信した隣接ネットワーク通信品質情報に基づいてネットワークシステム内でのすべてのネットワーク間相互の通信品質情報であるネットワークシステム内通信品質情報を取得する処理を行い、
ネットワークシステム内通信品質情報保持ステップ(e)(S0806)は、取得したネットワークシステム内通信品質情報を保持する処理を行い、
ネットワークシステム内ネットワーク経由情報取得ステップ(f)(S0807)は、自ネットワークが情報の最初の発信源となる場合に、保持されているネットワークシステム内通信品質情報を用いて発信すべき情報の目的ネットワークに至るネットワークシステム内のネットワーク経由情報であるネットワークシステム内ネットワーク経由情報を取得する処理を行い、
情報出力ステップ(g)(S0808)は、ネットワークシステム内ネットワーク経由情報と関連付けて前記情報を出力する処理を行い、
情報受信ステップ(h)(S0809)は、ネットワークシステム内ネットワーク経由情報と関連付けられた他ネットワークが最初の発信源となった情報を受信する処理を行い、
情報転送ステップ(j)(S0810)は、受信した前記他ネットワークが最初の発信源となった情報を関連付けられているネットワークシステム内ネットワーク経由情報で示される自ネットワークに隣接している転送先ネットワークに転送する処理を行う。
このような一連の処理を計算機であるメッシュネットワークシステムに実行させる動作方法である。
【0105】
<実施形態3 ハードウエアの説明>
図9は、実施形態2を基礎とした実施形態3のコンピュータ(計算機)であるメッシュネットワークシステムのメインボードやその周辺機器によって構成されるハードウエアを説明するための図である。図9はメッシュネットワークシステムのハードウエア構成例を示す。「CPU」、ノースブリッジとサウスブリッジからなる「チップセット」、「不揮発性メモリ」、「メインメモリ」、「I/Oコントローラ」、「USB、IEEE1394、HDMI(登録商標)、LAN端子、etc」、「BIOS」、「PCIスロット」、「リアルタイムクロック」などから構成される。
【0106】
不揮発性メモリに蓄積されている各種プログラム、データ(情報)は、本システムの起動によって、メインメモリに展開され、実行命令を受け付けることでCPUによって順次プログラムがデータを利用した演算をするように構成されている。
【0107】
すなわち図9に示すようにメッシュネットワークシステムでは、不揮発性メモリにはOS(オペレーティングシステム)とデバイスドライバのほかに、隣接ネットワーク通信品質情報保持プログラムと、隣接ネットワーク通信品質情報送信プログラムと、隣接ネットワーク通信品質情報受信プログラムと、隣接ネットワーク通信品質情報転送プログラムと、ネットワークシステム内通信品質情報取得プログラムと、ネットワークシステム内通信品質情報保持プログラムとを、ネットワークシステム内ネットワーク経由情報取得プログラムと、情報出力プログラムと、情報受信プログラムと、情報転送プログラムと、を有し、データとして、自ネットワーク識別情報、ネットワーク識別情報、隣接ネットワーク通信品質情報、ネットワークシステム内通信品質情報、ネットワークシステム内ネットワーク経由情報、他ネットワークが最初の発信源となった情報と、が保持されている。これらは、本システムがコンピュータ上で起動されることにより、メインメモリに展開されて、起動命令を受け付けることによって、CPUが順次プログラムとデータを利用した演算を行っていく。
【0108】
各ネットワークが隣接ネットワーク通信品質情報を得るための通信量を削減し、各ネットワークが自ネットワークが属するネットワークシステム内のネットワーク間相互の通信品質情報を得ることができるメッシュネットワークシステムを提供することができる。ネットワークシステム内でルートノード間の通信エラーが発生した場合に、管理PCなど別の管理場所でネットワークシステム内品質情報が保持され経路策定が行われる従来技術と比べ、送信不可となったネットワークの手前のルートウェイノードが経路再選択することができるために速やかに通信再開することができる。
【0109】
<効果>
以上の構成を有する本メッシュネットワークシステムを利用することにより、ネットワークシステムを構成するネットワーク間のネットワークシステム内通信品質情報を各ルートノードが保持し、ネットワーク内のクラスタ間のネットワーク内通信品質情報を各ゲートウェイノードが保持し、各クラスタ内のノード間のクラスタ内通信品質情報を各ノードが保持しているメッシュネットワークシステムを提供する。本メッシュネットワークシステムは、通信不良などの理由により途中で経路再選択が必要になった際に、各ノードは前記のように自クラスタ内のすべてのノード間の品質情報であるクラスタ内通信品質情報を保持するために、管理PCなどに処理を戻して経路再選択するまでもなく、通信不能となった直前のノードが経路再選択し通信を再開することができる。クラスタ間通信でのゲートウェイノード、またはネットワーク間通信でのルートノードも同様に通信品質情報を前記のように保持するため、同様に通信不良となった直前で経路を再選択できる。そのため異常発生時に通信再開するための手間(手順)が少なく短時間で復旧できる、信頼性の高いメッシュネットワークシステムを提供できる。

【符号の説明】
【0110】
ノード・・・0100
隣接ノード通信品質情報保持部(A) ・・・0101
隣接ノード通信品質情報送信部(B) ・・・0102
隣接ノード通信品質情報転送部(C) ・・・0103
クラスタ内通信品質情報取得部(D)・・・0104
クラスタ内通信品質情報保持部(E) ・・・0105
クラスタ内ノード経由情報取得部(F)・・・0106
情報出力部(G) ・・・0107
情報受信部(H) ・・・0108
情報転送部(J) ・・・0109
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15
図16