(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149381
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/16 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B23B27/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057922
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 翔太
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 純
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046EE01
3C046EE17
(57)【要約】
【課題】切削インサートを小型化してコスト削減しつつ、切削インサートを安定して保持可能な切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具を提供する。
【解決手段】クランプ部材6により工具本体4のインサート取付座5に着脱可能に取り付けられる切削インサートのクランプ構造10であって、柱状をなし、少なくとも前方端部に切刃24が配置される切削インサート2と、切削インサート2を保持するサポーター3と、切削インサート2を上下方向に貫通するインサート孔25に挿入される凸部7と、を備え、サポーター3は、サポーター3の前方端部から後方に窪む凹状をなし、切削インサート2が配置されるポケット33と、ポケット33に向けて進退可能に弾性変形する把持アーム32と、を有し、把持アーム32は、切削インサート2の外周面23を押圧し、凸部7との間で切削インサート2を挟持する押圧面32aを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ部材により工具本体のインサート取付座に着脱可能に取り付けられる切削インサートのクランプ構造であって、
柱状をなし、少なくとも前方端部に切刃が配置される切削インサートと、
前記切削インサートを保持するサポーターと、
前記切削インサートを上下方向に貫通するインサート孔に挿入される凸部と、を備え、
前記サポーターは、
前記サポーターの前方端部から後方に窪む凹状をなし、前記切削インサートが配置されるポケットと、
前記ポケットに向けて進退可能に弾性変形する把持アームと、を有し、
前記把持アームは、前記切削インサートの外周面を押圧し、前記凸部との間で前記切削インサートを挟持する押圧面を有する、
切削インサートのクランプ構造。
【請求項2】
前記サポーターは、前記切削インサートの下面に接触する台座を有し、
前記凸部は、前記台座から上側に突出する、
請求項1に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項3】
前記台座は、前記台座を上下方向に貫通し、前記押圧面に沿って延びる第1スリットを有し、
前記把持アームは、前記第1スリットの幅寸法を変化させるように弾性変形する、
請求項2に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項4】
前記サポーターは、上下方向において前記台座と前記把持アームとの間に配置される第2スリットを有し、
前記第2スリットは、上下方向と垂直な方向に拡がり、前記ポケットに開口する、
請求項2に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項5】
前記切刃は、前記切削インサートに複数設けられ、
前記切削インサートは、上下方向から見て、正多角形状をなし、
各前記切刃は、上下方向から見て、前記切削インサートの全ての角部に配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項6】
前記インサート孔は、円孔状であり、
前記凸部は、前記インサート孔の内周面のうち少なくとも一部と接触する凸曲面を有し、
前記凸曲面は、前記押圧面と間隔をあけて対向する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項7】
前記把持アームは、一対設けられ、
一対の前記把持アームの各前記押圧面と、前記凸部との間で前記切削インサートが挟持される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の切削インサートのクランプ構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の切削インサートのクランプ構造と、
前記インサート取付座を有する前記工具本体と、
前記インサート取付座に前記切削インサートのクランプ構造を固定する前記クランプ部材と、を備える、
刃先交換式切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の刃先交換式切削工具が知られている。この刃先交換式切削工具は、インサート取付座を有する工具本体と、硬質材料からなる切削インサートと、切削インサートを保持するキャリア本体と、切削インサートおよびキャリア本体をインサート取付座に固定するクランプ部材と、を備える。特許文献1では、キャリア本体を用いることで高価な切削インサートの外形をコンパクトに抑えることができ、コスト削減の効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、キャリア本体で切削インサートを安定して保持する点に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、切削インサートを小型化してコスト削減しつつ、切削インサートを安定して保持可能な切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、クランプ部材により工具本体のインサート取付座に着脱可能に取り付けられる切削インサートのクランプ構造であって、柱状をなし、少なくとも前方端部に切刃が配置される切削インサートと、前記切削インサートを保持するサポーターと、前記切削インサートを上下方向に貫通するインサート孔に挿入される凸部と、を備え、前記サポーターは、前記サポーターの前方端部から後方に窪む凹状をなし、前記切削インサートが配置されるポケットと、前記ポケットに向けて進退可能に弾性変形する把持アームと、を有し、前記把持アームは、前記切削インサートの外周面を押圧し、前記凸部との間で前記切削インサートを挟持する押圧面を有する。
また、本発明の刃先交換式切削工具の一つの態様は、上述の切削インサートのクランプ構造と、前記インサート取付座を有する前記工具本体と、前記インサート取付座に前記切削インサートのクランプ構造を固定する前記クランプ部材と、を備える。
【0007】
本発明の切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具では、サポーターが切削インサートを保持することにより、例えば超硬合金などの高価な硬質材料からなる切削インサートの外形を小さく抑えることができる。このため、工具コストを削減できる。
【0008】
本発明では、切削インサートのクランプ構造、すなわち切削インサートおよびサポーターを、クランプ部材によってインサート取付座に取り付けるクランプ時において、把持アームが弾性変形する。具体的には、クランプ部材をサポーターに係止し、例えばこのクランプ部材に後方への引き込み力を付与することにより、把持アームをインサート取付座の側壁に押し付けて弾性変形させる。把持アームが弾性変形することで、把持アームの押圧面が切削インサートの外周面を押圧する。切削インサートのインサート孔には、凸部が挿入されており、把持アームが切削インサートを押圧することで、インサート孔の内周面と凸部とが密着し、インサート孔の内周面が凸部に拘束される。すなわち、把持アームの押圧面と凸部との間で、切削インサートが挟持される。これにより、切削インサートをポケットに安定してクランプし、固定することができる。
【0009】
以上より本発明によれば、切削インサートを小型化してコスト削減しつつ、切削インサートを安定して保持可能である。
【0010】
前記切削インサートのクランプ構造において、前記サポーターは、前記切削インサートの下面に接触する台座を有し、前記凸部は、前記台座から上側に突出することが好ましい。
【0011】
例えば、凸部がインサート取付座のシート部材や工具本体に設けられる場合と比べて、上記構成のように、凸部がサポーターの台座に設けられていると、切削インサートのクランプ構造の構成が簡素化され、部材を取り扱いやすい。また、把持アームと凸部との相対位置が安定し、これらの間でより安定して切削インサートを挟持することができ、切削インサートのクランプ状態が安定する。
【0012】
前記切削インサートのクランプ構造において、前記台座は、前記台座を上下方向に貫通し、前記押圧面に沿って延びる第1スリットを有し、前記把持アームは、前記第1スリットの幅寸法を変化させるように弾性変形することが好ましい。
【0013】
この場合、台座に設けられた第1スリットによって、把持アームの弾性変形量が安定して確保される。このため、把持アームによって安定して切削インサートをクランプできる。
【0014】
前記切削インサートのクランプ構造において、前記サポーターは、上下方向において前記台座と前記把持アームとの間に配置される第2スリットを有し、前記第2スリットは、上下方向と垂直な方向に拡がり、前記ポケットに開口することが好ましい。
【0015】
この場合、第2スリットが設けられることで、把持アームが台座に対して変位可能とされる。すなわち、把持アームは、ポケットに向けて弾性変形可能とされる。台座に設けられた凸部と把持アームとの間で、安定して切削インサートを挟持することができる。
【0016】
前記切削インサートのクランプ構造において、前記切刃は、前記切削インサートに複数設けられ、前記切削インサートは、上下方向から見て、正多角形状をなし、各前記切刃は、上下方向から見て、前記切削インサートの全ての角部に配置されることが好ましい。
【0017】
この場合、切削インサートが正多角形柱状をなしており、切削インサートの各角部には、それぞれ切刃が配置される。上記構成によれば、上述したように切削インサートのクランプ強度を安定して高めつつ、使用コーナ数(切刃数)を増やすことができ、切削インサートの工具寿命を延ばすことができる。
【0018】
前記切削インサートのクランプ構造において、前記インサート孔は、円孔状であり、前記凸部は、前記インサート孔の内周面のうち少なくとも一部と接触する凸曲面を有し、前記凸曲面は、前記押圧面と間隔をあけて対向することが好ましい。
【0019】
この場合、凸部は、例えば円柱状や半円柱状等であり、その外周面に、湾曲する凸曲面を有する。またインサート孔の内周面は、湾曲する凹曲面状である。このため、凸曲面がインサート孔に安定して密着し、凸部と把持アームとの間で、切削インサートが安定して挟持される。
【0020】
前記切削インサートのクランプ構造において、前記把持アームは、一対設けられ、一対の前記把持アームの各前記押圧面と、前記凸部との間で前記切削インサートが挟持されることが好ましい。
【0021】
この場合、一対の把持アームがそれぞれ弾性変形することにより、一対の把持アームの各押圧面と凸部との間で、切削インサートが挟持される。すなわち、切削インサートが2つの押圧面と凸部との3点(3箇所)で支持されるため、切削インサートのクランプ状態がより安定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の前記態様の切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具によれば、切削インサートを小型化してコスト削減しつつ、切削インサートを安定して保持可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造、および刃先交換式切削工具の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造、および刃先交換式切削工具の一部を示す上面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造、および刃先交換式切削工具の一部を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造、および刃先交換式切削工具の一部を示す正面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造を示す上面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造を示す側面図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の切削インサートのクランプ構造を示す正面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態のサポーターを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本実施形態のサポーターを示す上面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態のサポーターを示す側面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態のサポーターを示す正面図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の切削インサートを示す斜視図である。
【
図14】
図14は、本実施形態の切削インサートを示す上面図である。
【
図15】
図15は、本実施形態の変形例のサポーターを示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本実施形態の変形例のサポーターを示す上面図である。
【
図17】
図17は、本実施形態の変形例のサポーターを示す側面図である。
【
図18】
図18は、本実施形態の変形例のサポーターを示す正面図である。
【
図19】
図19は、参考例の切削インサートのクランプ構造を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態の切削インサートのクランプ構造10、およびこれを備える刃先交換式切削工具1について、
図1~
図14を参照して説明する。本実施形態の刃先交換式切削工具1は、旋削加工(ターニング)に用いられる刃先交換式バイトであり、図示しない旋盤などの工作機械の刃物台等に着脱可能に装着される。なお本実施形態では、刃先交換式切削工具1を、単に切削工具または工具などと呼ぶ場合がある。
【0025】
図1~
図4に示すように、刃先交換式切削工具1は、切削インサートのクランプ構造10と、インサート取付座5を有する工具本体4と、インサート取付座5に切削インサートのクランプ構造10を固定するクランプ部材6と、を備える。
切削インサートのクランプ構造10は、クランプ部材6により工具本体4のインサート取付座5に着脱可能に取り付けられる。切削インサートのクランプ構造10は、柱状をなす切削インサート2と、切削インサート2を保持するサポーター3と、凸部7と、を備える。
【0026】
図5~
図8に示すように、サポーター3は、板状である。本実施形態ではサポーター3が、中心軸C1を中心とする四角形板状であり、具体的には正方形板状である。すなわち、サポーター3は、多角形板状である。サポーター3は、中心軸C1が延びる方向つまり中心軸C1の軸方向において、互いに反対方向を向く一対の板面3a,3bを有する。またサポーター3は、サポーター3の4つの角部のうち1つの角部に配置される凹状のポケット33を有する(
図9参照)。ポケット33には、切削インサート2が配置される。
【0027】
〔方向の定義〕
本実施形態では、サポーター3の一対の板面3a,3bが向く方向を、上下方向と呼ぶ。各図に示すXYZ直交座標系において、上下方向は、Z軸方向に相当する。上下方向のうち、一方の板面3aから他方の板面3bへ向かう方向(-Z側)を下側と呼び、他方の板面3bから一方の板面3aへ向かう方向(+Z側)を上側と呼ぶ。本実施形態では、一方の板面3aを上面3aと呼び、他方の板面3bを下面3bと呼ぶ場合がある。なお上下方向は、サポーター3の中心軸C1の軸方向に相当する。このため上下方向は、軸方向と言い換えてもよい。また上下方向は、サポーター3の板の厚さ方向に相当する。このため上下方向は、板厚方向と言い換えてもよい。
【0028】
上下方向と直交する方向のうち、サポーター3のポケット33が配置される一の角部と、サポーター3の中心軸C1とを通る所定方向を、前後方向と呼ぶ。本実施形態において前後方向は、一の角部と、一の角部の対角に位置する他の角部とを通る方向でもある。各図において前後方向は、X軸方向に相当する。前後方向のうち、中心軸C1から一の角部(ポケット33)へ向かう方向(-X側)を前方と呼び、一の角部から中心軸C1へ向かう方向(+X側)を後方と呼ぶ。
【0029】
上下方向および前後方向と直交する方向を、左右方向と呼ぶ。各図において左右方向は、Y軸方向に相当する。左右方向のうち一方側(+Y側)を左側と呼び、他方側(-Y側)を右側と呼ぶ。+Y側は、切削インサートのクランプ構造10を前方から見たときの左側に相当し、-Y側は、切削インサートのクランプ構造10を前方から見たときの右側に相当する。
【0030】
なお本実施形態において、上側、下側、前方、後方、左側および右側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係以外の配置関係等であってもよい。
【0031】
また、サポーター3の中心軸C1と直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸C1に近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸C1から離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
また、サポーター3の中心軸C1回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
なお中心軸C1は、サポーター中心軸C1と言い換えてもよく、軸方向は、サポーター軸方向と言い換えてもよい。また径方向は、サポーター径方向と言い換えてもよい。周方向は、サポーター周方向と言い換えてもよい。
【0032】
また、切削インサート2の中心軸であるインサート中心軸C2が延びる方向を、インサート軸方向と呼ぶ。切削インサート2のインサート中心軸C2は、サポーター3の中心軸C1よりも前方に位置し、中心軸C1と平行に延びる。すなわち、インサート軸方向は、上下方向、サポーター軸方向および板厚方向に相当する。
【0033】
インサート中心軸C2と直交する方向をインサート径方向と呼ぶ。インサート径方向のうち、インサート中心軸C2に近づく方向をインサート径方向の内側と呼び、インサート中心軸C2から離れる方向をインサート径方向の外側と呼ぶ。
インサート中心軸C2回りに周回する方向をインサート周方向と呼ぶ。
【0034】
〔工具本体〕
工具本体4は、例えば鋼材等の金属製である。
図1~
図4に示すように、工具本体4は、略角柱状であり、図示しない工具中心軸に沿って延びる。インサート取付座5は、工具本体4の両端部(第1端部4aおよび図示しない第2端部)のうち、第1端部4aに配置される。なお本実施形態において、工具中心軸が延びる方向を工具軸方向と呼んでもよい。また、工具軸方向のうち、第2端部から第1端部4aへ向かう方向を先端側と呼び、第1端部4aから第2端部へ向かう方向を後端側と呼んでもよい。
【0035】
工具本体4は、互いに反対方向を向く頂面41および底面42、互いに反対方向を向く一対の横面43,44、ならびに、第1端部4aの端面に位置する先端面45を有する。一対の横面43,44は、一方の横面43と、他方の横面44と、を含む。
【0036】
工具本体4の外面のうち、頂面41は、上側を向く。頂面41のうち工具本体4の第1端部4aつまり先端部に位置する部分は、第1端部4a以外の部分よりも、上側に突出する。
工具本体4の外面のうち、底面42は、下側を向く。
工具本体4の外面のうち、一方の横面43は、左側を向く。
工具本体4の外面のうち、他方の横面44は、右側を向く。
【0037】
工具本体4は、切削インサート2およびサポーター3が着脱可能に装着されるインサート取付座5と、雌ネジ孔46と、レバー収容部(図示省略)と、を有する。
【0038】
インサート取付座5は、板状のシート部材51を有する。シート部材51は、インサート取付座5の一部(底面)を構成する。シート部材51は、シート部材51を上下方向に貫通するシート孔(図示省略)を有する。本実施形態ではシート部材51が、四角形板状であり、具体的には正方形板状である。シート部材51は、例えば超硬合金製等である。
【0039】
インサート取付座5は、工具本体4の第1端部4aつまり先端部において、頂面41、他方の横面44および先端面45に開口する。インサート取付座5は、工具本体4の頂面41、他方の横面44および先端面45から窪む凹状である。インサート取付座5は、切削インサートのクランプ構造10、すなわち切削インサート2およびサポーター3を受け入れ可能な凹所である。本実施形態ではインサート取付座5が、略四角形凹状であり、具体的には略正方形凹状である。
【0040】
インサート取付座5は、サポーター3の下面3bと接触する底壁5aと、サポーター3の外周面3cと接触する側壁5bと、を有する。
底壁5aは、シート部材51の一対の板面のうち、上側を向く一方の板面(上面)により構成される。側壁5bは、複数設けられる。本実施形態ではインサート取付座5が、一対の側壁5bを有する。本実施形態では、上下方向から見て、一対の側壁5b間に形成される角度が、例えば、90°である。
【0041】
雌ネジ孔46は、工具本体4の第1端部4aに配置される。雌ネジ孔46は、インサート取付座5よりも後端側に位置し、インサート取付座5と隣り合って配置される。雌ネジ孔46は、略上下方向に延びており、具体的には、サポーター3の中心軸C1と略平行に延びる。雌ネジ孔46の両端部は、工具本体4の頂面41と底面42とに開口する。雌ネジ孔46は、内周面に雌ネジ部を有する。
【0042】
特に図示しないが、レバー収容部は、工具本体4の第1端部4aの内部に配置される凹部または孔である。レバー収容部は、クランプ部材6の後述するクランプレバー61の一部を収容する。レバー収容部は、サポーター径方向に延びる。具体的に、レバー収容部は、略工具軸方向に延びる。
【0043】
レバー収容部の先端側の端部は、上下方向から見て、シート部材51のシート孔およびサポーター3の後述する貫通孔31aと重なる。レバー収容部の先端部は、シート部材51のシート孔を通して、サポーター3の貫通孔31aと連通する。
レバー収容部の後端側の端部は、雌ネジ孔46と接続される。レバー収容部の後端部は、雌ネジ孔46と連通する。
【0044】
〔切削インサート〕
切削インサート2は、例えば、超硬合金製、PCD(多結晶ダイヤモンド)製、cBN(立方晶窒化ホウ素)製、サーメット製、セラミック製等である。切削インサート2は、工具本体4よりも硬度が高い硬質焼結体である。切削インサート2は、サポーター3のポケット33に着脱可能に取り付けられる。切削インサート2は、サポーター3にクランプされることにより、ポケット33に固定される。
【0045】
図13および
図14に示すように、切削インサート2は、インサート中心軸C2を中心とする柱状である。本実施形態では、切削インサート2が多角形柱状であり、具体的には正方形柱状である。すなわち、切削インサート2は、上下方向から見て、正多角形状をなし、具体的には正方形状をなす。切削インサート2は、その外周部に角部を計4つ有する。
【0046】
切削インサート2は、上下方向を向く上面21および下面22と、上面21と下面22とに接続される外周面23と、少なくとも上面21と外周面23とが接続される稜線部に配置される切刃24と、切削インサート2を上下方向に貫通するインサート孔25と、を有する。
【0047】
上面21は、多角形状である。本実施形態では、上面21が正多角形状であり、具体的には正方形状である。上面21は、上側を向く。上面21は、すくい面26を有する。すくい面26は、上面21の角部に配置される。すくい面26は、上面21のうち切刃24と隣接する部分に配置される。すくい面26は、切刃24と接続される。
【0048】
下面22は、多角形状である。本実施形態では、下面22が正多角形状であり、具体的には正方形状である。下面22は、下側を向く。下面22は、着座面27を有する。着座面27は、インサート中心軸C2と垂直な方向に拡がる平面状である。
【0049】
外周面23は、インサート径方向の外側を向き、インサート周方向に延びる。外周面23は、逃げ面28を有する。逃げ面28は、外周面23のうちインサート軸方向の端部に配置される。逃げ面28は、外周面23のうち切刃24と隣接する部分に配置される。逃げ面28は、切刃24と接続される。
【0050】
外周面23は、インサート周方向に並ぶ複数(本実施形態では4つ)の平面状の側壁23a,23bを有する。具体的に、外周面23は、前方を向く前側壁23aと、後方を向く後側壁23bと、を有する。
【0051】
前側壁23aは、外周面23のうち前方部分に配置される。前側壁23aは、外周面23のうち前方を向き、かつ左右方向を向く部分に配置される。前側壁23aは、一対設けられる。一対の前側壁23aは、インサート周方向に並んで配置される。本実施形態では、外周面23のうち一対の前側壁23a間に、前方に向けて凸となる凸曲面部が配置される。
【0052】
後側壁23bは、外周面23のうち後方部分に配置される。後側壁23bは、外周面23のうち後方を向き、かつ左右方向を向く部分に配置される。後側壁23bは、一対設けられる。一対の後側壁23bは、インサート周方向に並んで配置される。本実施形態では、外周面23のうち一対の後側壁23b間に、後方に向けて凸となる凸曲面部が配置される。
また本実施形態では、外周面23のうち、インサート周方向に隣り合う前側壁23aと後側壁23bとの間に、左右方向に向けて凸となる凸曲面部が配置される。
【0053】
切刃24は、切削インサート2のうち少なくとも前方端部に配置される。切刃24は、すくい面26と逃げ面28とが接続される稜線部に配置される。切刃24は、前方に向けて突出する凸V字状である。切刃24は、コーナ刃部24aと、直線刃部24bと、を有する。
【0054】
コーナ刃部24aは、前方に向けて膨らむ凸曲線状である。直線刃部24bは、コーナ刃部24aの端部と接続され、直線状に延びる。直線刃部24bの刃長は、コーナ刃部24aの刃長よりも長い。本実施形態では、コーナ刃部24aが延びる刃長方向の両端部に、一対の直線刃部24bが接続される。すなわち直線刃部24bは、切刃24に一対設けられる。本実施形態では、
図14に示すようにインサート軸方向(上下方向)から見て、一対の直線刃部24b間に形成される角度が、例えば、90°である。
【0055】
インサート孔25は、インサート中心軸C2を中心とする円孔状であり、上下方向に延びる。インサート孔25の両端部は、切削インサート2の上面21と下面22とに開口する。
【0056】
図13および
図14に示すように、本実施形態では切削インサート2が、インサート軸方向つまり上下方向において、表裏(上下)反転対称形状である。また切削インサート2は、前後方向において前後反転対称形状である。また切削インサート2は、左右方向において左右反転対称形状である。切削インサート2は、インサート中心軸C2を中心として、少なくとも180°回転対称形状とされており、本実施形態では90°回転対称形状である。
【0057】
また、切削インサート2は、
図14に示すように上下方向から見て、インサート中心軸C2を通り前後方向に延びる基準線Rを対称軸とする左右対称(線対称)形状である。また、切削インサート2は、上下方向から見て、インサート中心軸C2を通り基準線Rと直交する(つまり左右方向に延びる)仮想線Vを対称軸とする前後対称(線対称)形状である。
【0058】
このため切刃24は、切削インサート2に複数設けられる。各切刃24は、上下方向から見て、切削インサート2の全ての角部に配置される。具体的に、切刃24は、上面21における4つの角部にそれぞれ(つまり4つ)設けられ、かつ、下面22における4つの角部にそれぞれ(つまり4つ)設けられる。すなわち、切刃24は、切削インサート2に計8つ設けられる。言い換えると、本実施形態の切削インサート2は、使用コーナ数が8つである。
【0059】
図5~
図7に示すように、切削インサート2がサポーター3に保持された状態で、切削インサート2の前方端部に位置する切刃24は、サポーター3よりも前方に突出して配置される。また切削インサート2の後方端部は、サポーター3の中心軸C1よりも前方に位置する。
【0060】
〔サポーター〕
サポーター3は、例えば鋼材等の金属製である。サポーター3は、切削インサート2よりも硬度が低く、靭性が高く、廉価な材料により構成される。
図1~
図4に示すように、サポーター3は、クランプ部材6により工具本体4のインサート取付座5に着脱可能に取り付けられる。サポーター3は、切削インサート2の外周面23を、少なくとも後方から保持する。本実施形態ではサポーター3が、表裏反転対称形状である。
【0061】
図5~
図12に示すように、サポーター3は、一対の板面3a,3bと、外周面3cと、を有する。一対の板面3a,3bは、上下方向を向く。一対の板面3a,3bのうち、一方の板面(上面)3aは、上側を向く。一方の板面3aは、中心軸C1と垂直な方向に拡がる平面状である。一対の板面3a,3bのうち、他方の板面(下面)3bは、下側を向く。他方の板面3bは、中心軸C1と垂直な方向に拡がる平面状である。
【0062】
本実施形態では、切削インサート2の上面21が、上下方向において一方の板面3aと同じ位置、つまりサポーター3の上面3aと面一に配置される。また、切削インサート2の下面22は、他方の板面3bよりも上側に配置される。
図3および
図4に示すように、サポーター3の下面3bは、インサート取付座5の底壁5aすなわちシート部材51の上面と接触する。
【0063】
図5~
図12に示すように、外周面3cは、上下方向の両端部が一対の板面3a,3bと接続される。外周面3cは、周方向(サポーター周方向)に並ぶ複数の側面3d,3eを有する。本実施形態では外周面3cが、4つの側面3d,3eを有する。4つの側面3d,3eは、上下方向から見て略四角形状をなすサポーター3の4つの辺部に配置される。具体的に、外周面3cは、前方を向く前側面3dと、後方を向く後側面3eと、を有する。
【0064】
前側面3dは、外周面3cのうち前方部分に配置される。前側面3dは、外周面3cのうち前方を向き、かつ左右方向を向く部分に配置される。前側面3dは、平面状である。前側面3dは、一対設けられる。一対の前側面3dは、周方向に並んで配置される。一対の前側面3d間には、ポケット33が開口する。本実施形態では、
図6および
図10に示すように上下方向から見て、一対の前側面3d間に形成される角度が、例えば、90°である。
【0065】
後側面3eは、外周面3cのうち後方部分に配置される。後側面3eは、外周面3cのうち後方を向き、かつ左右方向を向く部分に配置される。後側面3eは、一対設けられる。一対の後側面3eは、周方向に並んで配置される。各後側面3eは、周方向に並ぶ2つの平面部3f,3gを有する。2つの平面部3f,3gのうち、後側面3eの後方部分に配置される一方の平面部3fは、本体側平面部3fであり、後側面3eの前方部分に配置される他方の平面部3gは、アーム側平面部3gである。すなわち、外周面3cには、本体側平面部3fが一対設けられ、アーム側平面部3gが一対設けられる。
【0066】
本実施形態では、
図6および
図10に示すように上下方向から見て、一対の本体側平面部3f間に形成される角度が、例えば、90°である。また上下方向から見て、一対のアーム側平面部3g間に形成される角度は、例えば、90°を超え100°以下である。すなわち、上下方向から見て、一対のアーム側平面部3g間に形成される角度は、一対の本体側平面部3f間に形成される角度よりも大きい。このため、上下方向から見た上面視で、アーム側平面部3gは、本体側平面部3fの仮想延長線Lよりも外側に出っ張る。また、上下方向から見て、一対のアーム側平面部3g間に形成される角度は、インサート取付座5の一対の側壁5b間に形成される角度よりも大きい。
【0067】
また
図5~
図12に示すように、サポーター3は、サポーター本体31と、把持アーム32と、台座36と、ポケット33と、スリット34と、を有する。
【0068】
サポーター本体31は、サポーター3のうち中央部および後方部分に位置する。サポーター本体31は、前後方向に延びる。サポーター本体31のうち前方部分、つまりサポーター3の中央部に相当する部分は、略円筒状である。サポーター本体31のうち後方部分は、略三角形柱状である。サポーター本体31には、一対の本体側平面部3fが配置される。一対の本体側平面部3fは、サポーター本体31の略三角形柱状の部分に配置される。一対の本体側平面部3fは、サポーター本体31のうち後方を向く壁部に配置される。
【0069】
サポーター本体31は、貫通孔31aと、拘束面31bと、を有する。貫通孔31aおよび拘束面31bは、サポーター本体31の前方部分(つまり略円筒状の部分)に配置される。
【0070】
貫通孔31aは、サポーター3の中心軸C1上に位置し、サポーター本体31を上下方向に貫通する。すなわち、貫通孔31aは、サポーター3を上下方向に貫通する。貫通孔31aは、円孔状であり、上下方向に延びて一対の板面3a,3bに開口する。貫通孔31aの中心軸は、サポーター3の中心軸C1と同軸に配置される。サポーター3の貫通孔31aは、一般的なISO規格に準ずる四角形板状(本実施形態では正方形板状)の切削インサート(四角インサート、正方形インサート)の貫通孔と、同一の内径寸法を有する。
【0071】
図1および
図2に示すように、貫通孔31aには、貫通孔31aの下側から、クランプ部材6の後述するクランプレバー61の上端部が挿入されて、係止される。すなわち貫通孔31aには、クランプ部材6の一部が挿入されて係止される。
【0072】
図5、
図6、
図9および
図10に示すように、拘束面31bは、サポーター本体31のうち前方を向く壁部に配置される。拘束面31bは、四角形状の平面である。本実施形態では拘束面31bが、一対設けられる。一対の拘束面31bは、周方向に並んで配置される。一対の拘束面31bは、左右方向において互いに間隔をあけて対向する。
【0073】
一対の拘束面31bのうち左側の一方の拘束面31bは、前方に向かうに従い左側に位置する。一対の拘束面31bのうち右側の他方の拘束面31bは、前方に向かうに従い右側に位置する。すなわち、一対の拘束面31bは、前方に向かうに従い、左右方向において互いに離れる。
【0074】
一対の拘束面31bは、切削インサート2の一対の後側壁23bと接触し、または隙間をあけて対向する。具体的に、各拘束面31bは、各後側壁23bの後方の端部に接触し、または隙間をあけて対向する。
【0075】
把持アーム32は、サポーター本体31から上下方向と直交する方向に突出する。本実施形態では把持アーム32が、サポーター本体31の左右方向を向く壁部のうち前後方向の略中央部分から左右方向に突出し、周方向に延びて前方へ向かうように湾曲する。把持アーム32は、サポーター本体31の略円筒状の前方部分を径方向外側から囲うように延びる。把持アーム32の前方端部は、サポーター本体31よりも前方に突出する。すなわち把持アーム32は、サポーター本体31よりも前方に位置する部分を含む。把持アーム32は、サポーター本体31に対して弾性変形可能である。把持アーム32は、ポケット33に向けて進退可能に弾性変形する。
把持アーム32には、アーム側平面部3gおよび前側面3dが配置される。アーム側平面部3gおよび前側面3dは、把持アーム32のうち径方向外側を向く壁部に配置される。
【0076】
本実施形態では把持アーム32が、一対設けられる。一対の把持アーム32のうち左側の一方の把持アーム32は、サポーター本体31の左側を向く壁部から左側に突出し、周方向に沿って前方へ延びる。一対の把持アーム32のうち右側の他方の把持アーム32は、サポーター本体31の右側を向く壁部から右側に突出し、周方向に沿って前方へ延びる。
【0077】
把持アーム32は、押圧面32aを有する。押圧面32aは、把持アーム32のうち前方を向く壁部に配置される。押圧面32aは、四角形状の平面である。本実施形態では押圧面32aの表面積が、拘束面31bの表面積よりも大きい。
【0078】
押圧面32aは、一対の把持アーム32にそれぞれ設けられる。つまり押圧面32aは、一対設けられる。一対の押圧面32aは、左右方向において互いに間隔をあけて対向する。一対の押圧面32aのうち、左側の一方の把持アーム32に設けられる一方の押圧面32aは、前方に向かうに従い左側に位置する。一対の押圧面32aのうち、右側の他方の把持アーム32に設けられる他方の押圧面32aは、前方に向かうに従い右側に位置する。すなわち、一対の押圧面32aは、前方に向かうに従い、左右方向において互いに離れる。
【0079】
一対の押圧面32aは、切削インサート2の一対の後側壁23bと接触する。具体的に、各押圧面32aは、各後側壁23bのうち少なくとも前方の端部に接触する。本実施形態では押圧面32aが、後側壁23bのうち後方の端部以外の部分に接触する。把持アーム32が弾性変形することで、各押圧面32aは、切削インサート2の各後側壁23bを押圧する。すなわち、把持アーム32は、切削インサート2を前方に向けて押圧する。
【0080】
押圧面32aは、切削インサート2の外周面23を押圧し、後述する凸部7との間で切削インサート2を挟持する。本実施形態では、一対の把持アーム32の各押圧面32aと、凸部7との間で、切削インサート2が挟持される。すなわち、切削インサート2は、インサート径方向の内側と外側から支持され、本実施形態では3点支持される。
【0081】
台座36は、サポーター3の下側の端部に配置される。台座36は、板状であり、その一対の板面が上下方向を向く。本実施形態では台座36が、中心軸C1と垂直な方向に拡がる多角形板状である。台座36は、サポーター3の前方端部に位置する部分を有する。台座36のうちサポーター3の前方端部に位置する部分は、ポケット33の下側に配置される。本実施形態では台座36が、サポーター本体31の前端部から前方に向けて突出する。
【0082】
図7および
図8に示すように、台座36は、切削インサート2の下面22に接触する。詳しくは、台座36のうち上側を向く板面つまり上面が、切削インサート2の下面22の着座面27に接触する。台座36は、着座面27を下側から支持する。
【0083】
図3および
図4に示すように、台座36のうち下側を向く板面つまり下面は、インサート取付座5の底壁5aと接触する。本実施形態では台座36の下面が、シート部材51の上面と接触する。
【0084】
図9および
図10に示すように、台座36は、第1スリット36aと、面取り部36bと、を有する。
第1スリット36aは、台座36を上下方向に貫通し、押圧面32aに沿って延びる。第1スリット36aの数は、把持アーム32の数と同じであり、本実施形態では2つである。2つの第1スリット36aは、2つの押圧面32aに沿って、上下方向と直交する方向にそれぞれ延びる。
【0085】
本実施形態では第1スリット36aが、
図10に示すように上下方向から見て、直線状に延びる。一対の第1スリット36aのうち、左側の一方の第1スリット36aは、前方へ向かうに従い左側に向けて延びる。一対の第1スリット36aのうち、右側の他方の第1スリット36aは、前方へ向かうに従い右側に向けて延びる。すなわち、一対の第1スリット36aは、前方に向かうに従い、左右方向において互いに離れる。
【0086】
第1スリット36aの後方の端部(径方向内側の端部)は、後述するスリット34と接続される。第1スリット36aの前方の端部(径方向外側の端部)は、サポーター3の外周面3cに開口する。
本実施形態では一対の把持アーム32が、一対の第1スリット36aの幅寸法を変化させるように弾性変形する。第1スリット36aの幅寸法(スリット幅寸法)は、例えば、約0.2~0.3mmである。
【0087】
図9および
図10に示すように、面取り部36bは、台座36の前方端部に配置される。面取り部36bは、台座36の外周面に配置され、前方を向く。面取り部36bは、前後方向と垂直な方向に拡がる平面状である。
図5および
図7に示すように、面取り部36bは、切削インサート2の前方端部の切刃24が配置される一の角部よりも、後方に位置する。
【0088】
図9および
図10に示すように、ポケット33は、サポーター3の前方端部から後方に窪む凹状である。ポケット33は、サポーター3の一対の前側面3dおよび上面3aに開口する。ポケット33は、一対の拘束面31b、一対の押圧面32aおよび台座36の上面により画成される、切削インサート2の収容空間である。ポケット33は、一対の把持アーム32間に配置される。本実施形態では、ポケット33の後方端部と、貫通孔31aの前方端部とが、互いに繋がる。すなわち、ポケット33と貫通孔31aとは、前後方向において互いに連通する。
【0089】
スリット34は、サポーター3を上下方向に貫通し、一対の板面3a,3bに開口する。すなわちスリット34は、上下方向においてサポーター3の両側に開口する。スリット34は、サポーター本体31と把持アーム32との間に配置される。具体的に、スリット34は、サポーター本体31のうち略円筒状の前方部分と、把持アーム32とを径方向に分断するように、これらの間に配置される。
【0090】
スリット34は、
図6および
図10に示すように上下方向から見て、サポーター3の中心軸C1回りに延びる。本実施形態ではスリット34が、上下方向から見て円弧状である。スリット34は、貫通孔31aの周囲を延び、ポケット33に開口する。
【0091】
スリット34は、ポケット33に開口するポケット開口部34aを有する。ポケット開口部34aは、スリット34のうち前方端部に配置される。スリット34がポケット開口部34aを介してポケット33に開口することで、把持アーム32は、その後方端部がサポーター本体31に片持ち状態で支持される。ポケット開口部34aは、拘束面31bと押圧面32aとの間に配置される。ポケット開口部34aは、切削インサート2の後側壁23bと対向する。
【0092】
本実施形態ではスリット34が、一対設けられる。一対のスリット34のうち、左側の一方のスリット34は、サポーター本体31の前方部分のうち左側(径方向外側)を向く壁部と、左側の一方の把持アーム32の右側(径方向内側)を向く壁部と、の間に配置される。一方のスリット34のポケット開口部34aは、左側の一方の拘束面31bと、左側の一方の押圧面32aとの間に配置され、右側に向けてポケット33に開口する。
【0093】
一対のスリット34のうち、右側の他方のスリット34は、サポーター本体31の前方部分のうち右側(径方向外側)を向く壁部と、右側の他方の把持アーム32の左側(径方向内側)を向く壁部と、の間に配置される。他方のスリット34のポケット開口部34aは、右側の他方の拘束面31bと、右側の他方の押圧面32aとの間に配置され、左側に向けてポケット33に開口する。
【0094】
〔凸部〕
図9~
図12に示すように、凸部7は、柱状であり、本実施形態では円柱状である。凸部7は、インサート中心軸C2を中心として上下方向に延びる。凸部7は、台座36の上面から上側に突出する。すなわち、本実施形態では凸部7が、サポーター3に設けられる。凸部7は、サポーター3の前方端部に配置され、ポケット33内に位置する。
【0095】
図5および
図6に示すように、凸部7は、切削インサート2のインサート孔25に挿入される。本実施形態では、凸部7の上側を向く端面が、インサート中心軸C2と垂直な方向に拡がる平面状である。凸部7の上端面は、切削インサート2の上面21およびサポーター3の上面3aと、上下方向の位置が同じ(つまり面一)である。
【0096】
凸部7は、インサート孔25の内周面のうち少なくとも一部と接触する凸曲面7aを有する。凸曲面7aは、凸部7の外周面に配置される。具体的に、凸曲面7aは、凸部7の外周面のうち、少なくとも押圧面32aと向かい合う部分に配置される。凸曲面7aは、押圧面32aと間隔をあけて対向する。
【0097】
〔クランプ部材〕
図1および
図2に示すように、クランプ部材6は、インサート取付座5に、切削インサートのクランプ構造10のうち少なくともサポーター3を固定する。本実施形態のクランプ部材6は、レバーロック機構を有する。クランプ部材6は、クランプレバー61と、締結ネジ62と、を有する。クランプレバー61および締結ネジ62は、工具本体4の第1端部4aに配置される。
【0098】
クランプレバー61は、L字状に屈曲する部材である。クランプレバー61は、サポーター径方向に延びる第1延伸部(図示省略)と、略上下方向に延びる第2延伸部61aと、を有する。
【0099】
特に図示しないが、第1延伸部は、工具本体4のレバー収容部(図示省略)に配置される。第1延伸部は、略工具軸方向に延びる。第1延伸部の後端部は、雌ネジ孔46内に突出する。
第2延伸部61aの下端部は、第1延伸部の先端部と接続される。第2延伸部61aは、レバー収容部の先端部、シート部材51のシート孔、およびサポーター3の貫通孔31aにわたって配置される。
【0100】
締結ネジ62は、略上下方向に延びる。締結ネジ62は、雌ネジ孔46の雌ネジ部に螺着する雄ネジ部を有する。
締結ネジ62を雌ネジ孔46にねじ込んで、下側へ移動させることにより、締結ネジ62の一部が、第1延伸部の後端部に上側から接触する。さらに締結ネジ62をねじ込むことで、梃子の原理によりクランプレバー61は回動させられ、第2延伸部61aの上端部が、貫通孔31aの内周面を後方に向けて押圧する。
【0101】
クランプレバー61の押圧により、サポーター3が後方に引き込まれることで、把持アーム32のアーム側平面部3gが、インサート取付座5の側壁5bに押圧されて、把持アーム32は弾性変形させられる。具体的には、一対の把持アーム32の各アーム側平面部3gが、一対の側壁5bにそれぞれ押圧され、各把持アーム32が弾性変形しつつポケット33に向けて前進する。一対の把持アーム32の各押圧面32aが、切削インサート2の一対の後側壁23bをそれぞれ押圧する。これにより、切削インサート2は、一対の把持アーム32と凸部7との間に挟持され、ポケット33に固定される。またサポーター3は、インサート取付座5に固定される。
【0102】
また、締結ネジ62の雌ネジ孔46に対するねじ込みを緩めて、締結ネジ62を上側へ移動させることにより、締結ネジ62の一部が、第1延伸部の後端部に下側から接触する。さらに締結ネジ62のねじ込みを緩めていくことで、梃子の原理によりクランプレバー61は回動させられ、第2延伸部61aの上端部による貫通孔31aの内周面に対する押圧が解除される。
【0103】
クランプレバー61の押圧が解除されることで、把持アーム32は復元変形し、把持アーム32による切削インサート2の押圧も解除される。これにより、切削インサート2をポケット33から取り出すことが可能になる。また、サポーター3をインサート取付座5から取り外すことが可能になる。
【0104】
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態の切削インサートのクランプ構造10および刃先交換式切削工具1では、サポーター3が切削インサート2を保持することにより、例えば超硬合金などの高価な硬質材料からなる切削インサート2の外形を小さく抑えることができる。このため、工具コストを削減できる。
【0105】
本実施形態では、切削インサートのクランプ構造10、すなわち切削インサート2およびサポーター3を、クランプ部材6によってインサート取付座5に取り付けるクランプ時において、把持アーム32が弾性変形する。具体的には、クランプ部材6をサポーター本体31に係止し、このクランプ部材6に後方への引き込み力を付与することにより、把持アーム32のアーム側平面部3gをインサート取付座5の側壁5bに押し付けて、把持アーム32を弾性変形させる。把持アーム32が弾性変形することで、把持アーム32の押圧面32aが切削インサート2の外周面23を押圧する。切削インサート2のインサート孔25には、凸部7が挿入されており、把持アーム32が切削インサート2を押圧することで、インサート孔25の内周面と凸部7とが密着し、インサート孔25の内周面が凸部7に拘束される。すなわち、把持アーム32の押圧面32aと凸部7との間で、切削インサート2が挟持される。これにより、切削インサート2をポケット33に安定してクランプし、固定することができる。
【0106】
以上より本実施形態によれば、切削インサート2を小型化してコスト削減しつつ、切削インサート2を安定して保持可能である。
【0107】
また本実施形態では、凸部7が、サポーター3の台座36から上側に突出する。
例えば本実施形態と異なり、凸部7がインサート取付座5のシート部材51や工具本体4の第1端部4aに設けられる場合と比べて、本実施形態のように、凸部7がサポーター3の台座36に設けられていると、切削インサートのクランプ構造10の構成が簡素化され、部材を取り扱いやすい。また、把持アーム32と凸部7との相対位置が安定し、これらの間でより安定して切削インサート2を挟持することができ、切削インサート2のクランプ状態が安定する。
【0108】
また本実施形態では、把持アーム32が、第1スリット36aのスリット幅寸法を変化させるように弾性変形する。
この場合、台座36に設けられた第1スリット36aによって、把持アーム32の弾性変形量が安定して確保される。このため、把持アーム32によって安定して切削インサート2をクランプできる。
【0109】
また本実施形態では、切削インサート2が正多角形柱状をなしており、切削インサート2の各角部には、それぞれ切刃24が配置される。すなわち、切刃24は、上下方向から見て、切削インサート2の全ての角部に配置される。本実施形態によれば、上述したように切削インサート2のクランプ強度を安定して高めつつ、使用コーナ数(切刃数)を増やすことができ、切削インサート2の工具寿命を延ばすことができる。
【0110】
また本実施形態では、切削インサート2のインサート孔25が円孔状であり、凸部7は、インサート孔25の内周面のうち少なくとも一部と接触する凸曲面7aを有し、凸曲面7aは、押圧面32aと間隔をあけて対向する。
具体的に、本実施形態では凸部7が円柱状であり、その外周面に、湾曲する凸曲面7aを有する。またインサート孔25の内周面は、湾曲する凹曲面状である。このため、凸曲面7aがインサート孔25に安定して密着し、凸部7と把持アーム32との間で、切削インサート2が安定して挟持される。
【0111】
また本実施形態では、サポーター3に把持アーム32が一対設けられており、一対の把持アーム32がそれぞれ弾性変形することにより、一対の把持アーム32の各押圧面32aと凸部7との間で、切削インサート2が挟持される。すなわち、切削インサート2が2つの押圧面32aと凸部7との3点(3箇所)で支持されるため、切削インサート2のクランプ状態がより安定する。
【0112】
また本実施形態では、サポーター3の貫通孔31aに、クランプ部材6の一部(クランプレバー61の上端部)が挿入されて係止される。
この場合、簡素な構造により、クランプ部材6をサポーター3に係止させることができる。
【0113】
また本実施形態では、例えば、一般的なISO規格に準ずる四角形板状の切削インサートがインサート取付座に装着される、既存の刃先交換式切削工具に対して、本実施形態の切削インサートのクランプ構造10を適用可能である。すなわち、従来品の工具本体のインサート取付座に本発明品を搭載することができ、汎用性が高められる。
【0114】
また本実施形態では、スリット34が、上下方向から見てサポーター3の中心軸C1回りに延びる。
この場合、把持アーム32が弾性変形したときの押圧面32aの変位量、すなわち前方および左右方向への変位量を大きく確保でき、把持アーム32によって切削インサート2を安定して保持できる。
【0115】
また本実施形態では、ポケット33と貫通孔31aとが互いに連通する。
この場合、サポーター本体31の略円筒状をなす前方部分のうち前端部(周壁の一部)が、ポケット33および貫通孔31aによって左右方向に分断されることになる。一対の拘束面31bが個別に変位可能となり、一対の拘束面31bと一対の後側壁23bとが接触する場合には、各拘束面31bと各後側壁23bとの密着性を高めることができる。
【0116】
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。なお、変形例および参考例の図示においては、前述の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、下記では主に異なる点について説明する。
【0117】
図15~
図18は、前述の実施形態で説明したサポーター3の変形例を表している。この変形例では、台座36が第1スリット36aを有していない。台座36は、サポーター本体31の略円筒状の前方部分、把持アーム32、およびスリット34の下側に配置される。台座36の後方端部は、サポーター本体31の略三角形柱状の後方部分と接続される。
【0118】
この変形例では、サポーター3が、上下方向において台座36と把持アーム32との間に配置される第2スリット36cを有する。第2スリット36cは、上下方向と垂直な方向に拡がる。詳しくは、サポーター本体31の略円筒状の前方部分、把持アーム32およびスリット34と、台座36とは、第2スリット36cによって上下方向に分断されている。第2スリット36cの前方端部は、ポケット33に開口する。
【0119】
また第2スリット36cは、サポーター3に一対設けられる。一対の第2スリット36cのうち、左側の一方の第2スリット36cは、その左側の端部が、左側を向く前側面3dおよび左側を向く後側面3eに開口する。また一方の第2スリット36cは、その右側の端部が、貫通孔31aに開口する。
【0120】
一対の第2スリット36cのうち、右側の他方の第2スリット36cは、その右側の端部が、右側を向く前側面3dおよび右側を向く後側面3eに開口する。また他方の第2スリット36cは、その左側の端部が、貫通孔31aに開口する。
【0121】
この変形例によっても、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。具体的に、この変形例では、第2スリット36cが設けられることで、把持アーム32が台座36に対して変位可能とされる。すなわち、把持アーム32は、ポケット33に向けて弾性変形可能とされる。台座36に設けられた凸部7と把持アーム32との間で、安定して切削インサート2を挟持することができる。
【0122】
また、前述の実施形態では、凸部7が円柱状である例を挙げたが、これに限らない。特に図示しないが、凸部7は、例えば、後方に向けて凸となる凸曲面7aを有する半円柱状等であってもよい。
【0123】
また、凸部7が、サポーター3の台座36に設けられる例を挙げたが、これに限らない。特に図示しないが、例えば、サポーター3が台座36を有しておらず、凸部7が、インサート取付座5のシート部材51の上面から上側に突出する構成や、工具本体4の第1端部4aに設けられ、シート部材51を上下方向に通過して上下方向に延びる構成などを採用してもよい。すなわち、凸部7は、サポーター3に設けられる構成に限定されない。ただし、前述の実施形態で説明したように、凸部7がサポーター3に設けられる場合には、前述の優れた作用効果が得られるため、より好ましい。
【0124】
また、前述の実施形態では、上下方向から見て、切削インサート2の切刃24の一対の直線刃部24b間に形成される角度、サポーター3の一対の前側面3d間に形成される角度、サポーター3の一対の本体側平面部3f間に形成される角度、および、インサート取付座5の一対の側壁5b間に形成される角度が、それぞれ90°である例を挙げたが、これに限らない。特に図示しないが、上記の各角度は、例えば、35°、55°、80°や、あるいは60°などであってもよい。これらの場合においても、前述の実施形態と同様に、ISO規格に準ずる各種の切削インサート(菱形インサートや、あるいは三角インサート、正三角形インサート)を備えた既存の刃先交換式切削工具に対して、本発明品を適用可能である。
【0125】
また前述の実施形態では、把持アーム32が、サポーター3に一対設けられる例を挙げたが、これに限らない。把持アーム32は、サポーター3に1つのみ設けられてもよい。
また、スリット34の形状は、前述の実施形態で説明した湾曲状に限定されない。またサポーター3が、スリット34を有していなくてもよい。
【0126】
また切削インサート2が、表裏反転対称形状の両面タイプである例を挙げたが、これに限らない。切削インサート2は、表裏反転対称形状ではない片面タイプであってもよい。
【0127】
また、前述の実施形態では、クランプ部材6がレバーロック機構を有する例を挙げたが、これに限らない。特に図示しないが、クランプ部材6は、クランプ駒と、クランプネジと、を有していてもよい。
【0128】
この場合、クランプ駒は、工具本体4の頂面41のうち第1端部4aに位置する部分の上側に配置される。クランプ駒の前方端部は、インサート取付座5の上側に位置し、サポーター3の上面3aに接触する。クランプ駒は、クランプ駒を上下方向に貫通するネジ挿通孔と、クランプ駒の前方端部に配置され、クランプ駒の下面から下側に突出する突起部と、を有する。突起部は、サポーター3の貫通孔31aに上側から挿入される。
【0129】
クランプネジは、クランプ駒のネジ挿通孔に上側から挿入され、工具本体4の頂面41に開口するネジ穴に螺着される。クランプネジをネジ穴にねじ込んでいくことで、クランプ駒は、下側へ移動しつつ後方へ引き込まれる。これにより、クランプ駒の突起部が貫通孔31aの内周面に係止され、サポーター3を後方へ引き込む。また、クランプ駒の前方端部の下面のうち、突起部の周囲に位置する部分が、サポーター3の上面3aの一部に上側から接触し、サポーター3を下側へ押さえる。このようにして、サポーター3がインサート取付座5に固定される。また前述の実施形態と同様の作用により、切削インサート2が、サポーター3のポケット33に固定される。
【0130】
図19および
図20を参照して、参考例の切削インサートのクランプ構造100およびサポーター30について、説明する。この参考例では、切削インサートのクランプ構造100が、切削インサート20と、サポーター30と、を備えており、凸部7を備えていない。
【0131】
図19に示すように、この参考例では切削インサート20が、インサート孔25を有していない。また、切削インサート20の外周面23は、前方を向く前側壁23aと、後方を向く後側壁23bと、前側壁23aと後側壁23bとの間に位置し、左右方向を向く横側壁23cと、を有する。
【0132】
横側壁23cは、外周面23のうち前端部と後端部との間の中間部分に配置される。横側壁23cは、一対設けられる。一対の横側壁23cは、左右方向において互いに反対方向を向く。一対の横側壁23cのうち、一方の横側壁23cは左側を向き、他方の横側壁23cは右側を向く。
【0133】
また外周面23は、係止溝29を有する。係止溝29は、切削インサート2の外周面23から窪み、上下方向に延びる。係止溝29は、上下方向と垂直な断面の形状が、凹V字状である。本実施形態では係止溝29が、横側壁23cに配置される。係止溝29は、横側壁23cに、前後方向に互いに間隔をあけて複数(図示の例では一対)設けられる。係止溝29は、一対の横側壁23cに、それぞれ設けられる。
【0134】
図19および
図20に示すように、サポーター30は、貫通孔31aの後方に配置されるスリット34を有する。スリット34は、前後方向に沿って直線状に延びる。スリット34の前方端部は、貫通孔31aに接続される。
【0135】
把持アーム32の押圧面32aは、切削インサート20の外周面23のうち、後側壁23bおよび横側壁23cを押圧する。押圧面32aは、係止リブ38を有する。係止リブ38は、押圧面32aから突出し、上下方向に延びる。係止リブ38は、上下方向と垂直な断面の形状が、凸V字状である。係止リブ38は、押圧面32aに、前後方向に互いに間隔をあけて複数(図示の例では一対)設けられる。係止リブ38は、一対の把持アーム32の各押圧面32aに、それぞれ設けられる。
各係止リブ38は、切削インサート20の各係止溝29と係止される。
【0136】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例および参考例等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の切削インサートのクランプ構造および刃先交換式切削工具によれば、切削インサートを小型化してコスト削減しつつ、切削インサートを安定して保持可能である。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0138】
1…刃先交換式切削工具
2…切削インサート
3…サポーター
4…工具本体
5…インサート取付座
6…クランプ部材
7…凸部
7a…凸曲面
10…切削インサートのクランプ構造
22…切削インサートの下面
23…切削インサートの外周面
24…切刃
25…インサート孔
32…把持アーム
32a…押圧面
33…ポケット
36…台座
36a…第1スリット
36c…第2スリット