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特開2023-149396ポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの原子移動ラジカル重合法による製造方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149396
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの原子移動ラジカル重合法による製造方法。
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/12 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
C08F8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057941
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(72)【発明者】
【氏名】渕上 清実
(72)【発明者】
【氏名】山本 健蔵
(72)【発明者】
【氏名】北田 直也
(72)【発明者】
【氏名】信野 和也
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AL03P
4J100AL03Q
4J100BA16H
4J100BA38H
4J100CA04
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA04
4J100FA03
4J100FA17
4J100HA08
4J100HA62
4J100HB39
4J100HC51
4J100HE05
4J100JA52
(57)【要約】
【課題】
医科歯科分野ではカルボキシレートセメント、グラスアイオノマーセメントが使用されているが、高い靭性を有し、低分子モノマーの溶出のない、且つ操作性の良い医科歯科用硬化性組成物を得ることは困難であった。さらに、従来のポリマーの合成方法(フリーラジカル重合法)では得られるポリマーのモル質量分布Mw/Mnが高いために、液成分の粘性が高く、練和性に劣った。また、その液成分の高い粘性のために粉液比の増加が出来ず、得られる硬化物の物理的強度は低かった。
【解決手段】
精密重合により合成されたポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーとそれらを含有する医科歯科用硬化性組成物を調製する事で、それらの課題が解決される事を発見し、本発明を完成させた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式で示されるポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造でイオン反応性を示す化学構造部位の出発原料がアクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステルである事を特徴とする製造方法。

【化1】

式中Aはイオン反応性を示す化学構造を有し、式中Bはラジカル重合性を示す化学構造を有する。また、Zは重合開始剤に由来する構造を示す。式中aおよびbは繰返し数を示し、aおよびbは何れも10~1000の範囲内であり、AおよびBはブロックに共有結合し、1.0~1.8のモル質量分布Mw/Mnを有する。
【請求項2】
請求項1記載の重合方法が原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization, ATRP)である事を特徴とするポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法。
【請求項3】
1)アクリル酸エステルAおよび/またはメタアクリル酸エステルAを請求項2記載の方法で重合する工程1、
2)工程1で合成したポリマーにアクリル酸エステルBおよび/またはメタアクリル酸エステルBを請求項2記載の方法でブロック重合する工程2、
3)得られたポリアクリル酸エステルAブロックおよび/またはポリメタアクリル酸エステルAブロックを加水分解する工程3、
4)工程3の加水分解にて生成したカルボキシル基に、イソシアネート基およびラジカル重合性基を同一分子内に有する化合物を脱炭酸を経てアミド結合にて反応させる工程4、
5)ブロックポリアクリル酸エステルBおよび/またはブロックポリメタアクリル酸エステルBを加水分解しポリカルボン酸にする工程5
以上の5工程を経るポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの請求項1または請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
アクリル酸エステルAおよびメタアクリル酸エステルAがターシャリーブチルエステルであり、アクリル酸エステルBおよびメタアクリル酸エステルBがメチルエステルおよび/またはエチルエステルである事を特徴とする請求項3記載のポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法。
【請求項5】
アクリル酸エステルAおよびメタアクリル酸エステルAがメチルエステルおよび/またはエチルエステルであり、アクリル酸エステルBおよびメタアクリル酸エステルBがターシャリーブチルエステルである事を特徴とする請求項3記載のポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法。
【請求項6】
1)アクリル酸エステルAおよび/またはメタアクリル酸エステルAを請求項2記載の方法で重合する工程1、
2)工程1で合成したポリマーにヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマーを請求項2記載の方法でブロック重合する工程2、
3)工程2にて生成したブロックコポリマーのヒドロキシ基に、イソシアネート基およびラジカル重合性基を同一分子内に有する化合物をウレタン結合にて反応させる工程3、
4)ポリアクリル酸エステルAブロックおよび/またはポリメタアクリル酸エステルAブロックのエステル結合を加水分解させカルボキシル基を生成させる工程4、
以上の4工程を経るポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの請求項1または請求項2記載の製造方法。
【請求項7】
ヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマーが2-ヒドロキシエチルアクリレート2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールモノメタアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタアクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタアクリレートの中から少なくとも一種類以上が選ばれる請求項6記載のポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法。
【請求項8】
アクリル酸エステルAおよびメタアクリル酸エステルAがターシャリーブチルエステル、メチルエステル、エチルエステルから選ばれた少なくとも一種類以上である事を特徴とする請求項6記載のポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医科・歯科の分野において用いられる新規な医科・歯科用硬化性組成物に使用されるポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization, ATRP)により合成されたポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医科・歯科の分野において骨欠損部への充填材、歯科補綴物等の合着では従来よりリン酸亜鉛セメント、カルボキシレートセメント、グラスアイオノマーセメント及びレジンセメントが用いられてきた。中でもレジンセメント等樹脂を基本とする修復材料はリン酸亜鉛セメント及びカルボキシレートセメントと比較し一般的に高い靭性を持つために、広く整形外科医学・歯学の分野において利用されていた。
【0003】
しかし、これらのレジンセメント等樹脂を基本とする生体接着充填材料は2-HEMA等の低分子のエチレン性不飽和基含有モノマーを有し、硬化後においても残留する未反応の低分子モノマーが溶出し、生体組織に対し多大な影響を与えると報告されている。またこの様な低分子のエチレン性不飽和基含有モノマーを含有しない材料として、先に述べたカルボキシレートセメント、グラスアイオノマーセメントが従来より使用されているが、これらの材料はその硬化体がかなり高い脆性を示すため使用部位が限定されていた。
【0004】
これらの問題を回避するため、それらの成分に水溶性低分子のエチレン性不飽和基含有モノマー及び重合開始剤を含有させた光重合性グラスアイオノマーセメントの開発も報告されているが、先ほど記載したように、硬化後においても残留する未反応の低分子モノマーが溶出し、生体組織に対し多大な影響を与えると報告されている。
【0005】
さらに、特開昭62-149715号公報等においては、酸基及び/またはその反応性誘導体基を含む重合可能な不飽和モノマー及び/またはオリゴマー及び/またはプレポリマーが報告されているが、一分子中に酸基及びエチレン性不飽和基を含有するモノマーを用いたとしても、硬化体からの未反応の低分子モノマーの溶出は防げず、また、一分子中に酸基及びエチレン性不飽和基を含有するプレポリマーを用いたとしても、そのエチレン性不飽和基の反応性及び水溶性にするためのグラフト化率の関係上、そのセメント組成物中には2-HEMA、Bis-GMA等の低分子モノマーの多量の添加が不可欠であった。
【0006】
特開平4-173713号公報には、ガラス粉末、水溶性ポリマーおよび水を含有するペーストとポリカルボン酸水溶液からなる作業性の改良された歯科用グラスアイオノマーセメント組成物が開示されている。しかしこの組成物から得られた硬化セメントは機械的特性が十分ではない。
【0007】
さらに、分子量制御されたポリ酸の歯科分野への応用に関しては特表2004-5162537に詳細な記述がなされているものの、従来のグラスアイオノマーセメントの域を出ておらず、十分な耐久性を有する医科歯科用硬化性組成物とは言えない。
【0008】
この様に従来の技術においては高い靭性を有し、低分子モノマーの溶出のない、且つ操作性の良いセメント組成物を得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62-149715号公報
【特許文献2】特開平4-173713号公報
【特許文献3】特表2004-5162537
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
医科歯科分野ではカルボキシレートセメント、グラスアイオノマーセメントが従来より使用されているが、これらの材料はその硬化体がかなり高い脆性を示すため使用部位が限定されていた。これらの問題を回避するため、それらの成分に水溶性低分子のラジカル重合性基含有モノマー及び重合開始剤を含有させた光重合性グラスアイオノマーセメントの開発も報告されているが、硬化後においても残留する未反応の低分子モノマーが溶出し、生体組織に対し多大な影響を与えると報告されている。この様に従来の技術においては高い靭性を有し、低分子モノマーの溶出のない、且つ操作性の良い医科歯科用硬化性組成物を得ることは困難であり、この問題を解決する事が重要な課題であった。さらに、従来のポリマーの合成方法(フリーラジカル重合法)では得られるポリマーのモル質量分布Mw/Mnが高いために、液成分の粘性が高く、それに起因し、練和性に劣った。また、その液成分の高い粘性のために粉液比の増加が出来ず、得られる硬化物の物理的強度は低かった。従い、本発明の目的・課題は高い靭性を有し、低分子モノマーの溶出がないか、又は極力抑制された生体硬組織接着性を有する、操作性に優れた医科・歯科用硬化性組成物に使用されるポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの原子移動ラジカル重合法による製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、発明者等の鋭意検討の結果、以下の構造式で表わされるポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーを精密合成し、そのポリマーを含有する医科・歯科用硬化性組成物を調製する事で、それらの課題が解決される事を発見し、本発明を完成させた。より詳しくは、1)アクリル酸エステルAおよび/またはメタアクリル酸エステルAを請求項2記載の方法で重合する工程1、2)工程1で合成したポリマーにアクリル酸エステルBおよび/またはメタアクリル酸エステルBを請求項2記載の方法でブロック重合する工程2、3)得られたポリアクリル酸エステルAブロックおよび/またはポリメタアクリル酸エステルAブロックを加水分解する工程3、4)工程3の加水分解にて生成したカルボキシル基に、イソシアネート基およびラジカル重合性基を同一分子内に有する化合物を脱炭酸を経てアミド結合にて反応させる工程4、5)ブロックポリアクリル酸エステルBおよび/またはブロックポリメタアクリル酸エステルBを加水分解しポリカルボン酸にする工程5の5工程を経るポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法、または、1)アクリル酸エステルおよび/またはメタアクリル酸エステルを請求項2記載の方法で重合する工程1、2)工程1で合成したポリマーにヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマーを請求項2記載の方法でブロック重合する工程2、3)工程2にて生成したブロックコポリマーのヒドロキシ基に、イソシアネート基およびラジカル重合性基を同一分子内に有する化合物をウレタン結合にて反応させる工程3、4)ポリアクリル酸エステルブロックおよび/またはポリメタアクリル酸エステルブロックを加水分解する工程4の4工程を経るポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法が安定容易かつ低コストにて製造可能な事を発見し、本発明を完成させた。
【0012】
【化1】
【0013】
式中Aはイオン反応性を示す化学構造を有し、式中Bはラジカル重合性を示す化学構造を有する。また、Zは重合開始剤に由来する構造を示す。式中aおよびbは繰返し数を示し、何れも10~1000の範囲内であり、AおよびBはランダムに共有結合し、1.0~1.8のモル質量分布Mw/Mnを有する。なお、Zは以下の重合開始剤に由来する構造を有する事を特徴とするポリカルボン酸を基本骨格としエチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ブロックコポリマー。なお、結合しているハロゲン原子はBr、Cl、Iの何れでも良く、重合触媒由来のハロゲン原子はアリルトリブチル錫などハロゲン除去剤を用いてハロゲンを含まない原子および官能基に置換しても良い。
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】
【発明の効果】
【0016】
本発明にて製造したポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーを含有する医科・歯科用硬化性組成物は従来技術のリン酸亜鉛セメント、カルボキシレートセメント、グラスアイオノマーセメント及びレジンセメントに比べ高い靭性を有し、低分子モノマーの溶出のない、且つ操作性の良い硬化性組成物が得られるという効果が得られた。さらに、本発明による製造方法では安定・容易かつ低コストにて目的とするポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの反応における概念図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明にて製造したポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの代表的な分子構造は、以下に示される構造であり、1種または複数の組み合わせで用いても良い。

【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】
本発明にて製造したポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーを用いた医科歯科用硬化性組成物に含まれる化学重合開始剤(重合開始剤)としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
【0030】
化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
【0031】
化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
【0032】
化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0033】
化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシンなどが挙げられる。
【0034】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールを具体的に例示すると、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレリックアシッド-n-ブチルエステルなどが挙げられる。
【0035】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルを具体的に例示すると、例えば、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,2,4-トリメチルペンチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルヘキサノエート、t-チルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート及びt-ブチルパーオキシマレリックアシッドなどが挙げられる。
【0036】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートを具体的に例示すると、例えば、ジ-3-メトキシパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
【0037】
化学重合開始剤が水系レドックス重合開始剤系である場合に好適に用いられる系として、過硫酸アンモニウム/アスコルビン酸、過硫酸カリウム/アスコルビン酸などが挙げられる。
【0038】
有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
【0039】
重合促進剤を具体的に例示すると、例えば、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物などが挙げられる。
【0040】
重合促進剤として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンを具体的に例示すると、例えば、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-オクチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-ラウリルジエタノールアミン、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N-メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N-エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN-メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
【0041】
芳香族アミンを具体的に例示すると、例えば、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3,5-ジメチルアニリン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3,4-ジメチルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-4-エチルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-4-イソプロピルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-4-t-ブチルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3,5-ジ-イソプロピルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3,5-ジ-t-ブチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-m-トルイジン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-3,4-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-4-エチルアニリン、N,N-ジメチル-4-イソプロピルアニリン、N,N-ジメチル-4-t-ブチルアニリン、N,N-ジメチル-3,5-ジ-t-ブチルアニリン、4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸-n-ブトキシエチルエステル、4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸-2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸-n-ブトキシエチルエステル及び4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0042】
重合促進剤として用いられるスルフィン酸及びその塩を具体的に例示すると、例えば、p-トルエンスルフィン酸、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸カリウム、p-トルエンスルフィン酸リチウム、p-トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0043】
重合促進剤として用いられるボレート化合物は、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p-クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p-フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p-ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m-ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p-ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m-ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p-ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m-ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p-オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m-オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn-ブチル基、n-オクチル基及びn-ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0044】
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p-クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p-フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p-ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m-ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p-ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m-ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p-ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m-ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p-オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m-オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn-ブチル基、n-オクチル基及びn-ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0045】
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p-クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p-フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p-ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m-ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p-ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m-ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p-ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m-ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p-オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m-オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn-ブチル基、n-オクチル基又はn-ドデシル基等から選択される1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0046】
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p-クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p-フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロ-2--メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p-ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m-ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p-ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m-ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p-ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m-ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p-オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m-オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p-フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p-ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m-ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p-ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m-オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p-オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0047】
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらアリールボレート化合物は1種又は2種以上を混合して用いることも可能である。
【0048】
重合促進剤として用いられるバビツール酸誘導体を具体的に例示すると、例えば、バルビツール酸、1,3-ジメチルバルビツール酸、1,3-ジフェニルバルビツール酸、1,5-ジメチルバルビツール酸、5-ブチルバルビツール酸、5-エチルバルビツール酸、5-イソプロピルバルビツール酸、5-シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-エチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-n-ブチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-イソブチルバルビツール酸、1,3-ジメチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-シクロペンチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-シクロヘキシルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-フェニルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-1-エチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、5-メチルバルビツール酸、5-プロピルバルビツール酸、1,5-ジエチルバルビツール酸、1-エチル-5-メチルバルビツール酸、1-エチル-5-イソブチルバルビツール酸、1,3-ジエチル-5-ブチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-メチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-オクチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-ヘキシルバルビツール酸、5-ブチル-1-シクロヘキシルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5-ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5-トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0049】
特に好適なバルビツール酸誘導体を具体的に例示すると、例えば、5-ブチルバルビツール酸、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩などが挙げられる。
【0050】
重合促進剤として用いられるトリアジン化合物を具体的に例示すると、例えば、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メチルチオフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2,4-ジクロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-ブロモフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-n-プロピル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(α,α,β-トリクロロエチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-スチリル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(p-メトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(o-メトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(p-ブトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(1-ナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-ビフェニリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-{N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-{N-ヒドロキシエチル-N-エチルアミノ}エトキシ]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-{N-ヒドロキシエチル-N-メチルアミノ}エトキシ]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-{N,N-ジアリルアミノ}エトキシ]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0051】
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジンであり、また保存安定性の点で、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、及び2-(4-ビフェニリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
【0052】
重合促進剤として用いられる銅化合物を具体的に例示すると、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅などが挙げられる。
【0053】
重合促進剤として用いられるスズ化合物を具体的に例示すると、例えば、ジ-n-ブチル錫ジマレート、ジ-n-オクチル錫ジマレート、ジ-n-オクチル錫ジラウレート、ジ-n-ブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ-n-オクチル錫ジラウレート及びジ-n-ブチル錫ジラウレートである。
【0054】
重合促進剤として用いられるバナジウム化合物は、好ましくはIV価及び/又はV価のバナジウム化合物類である。IV価及び/又はV価のバナジウム化合物類を具体的に例示すると、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)などが挙げられる。
【0055】
重合促進剤として用いられるハロゲン化合物を具体的に例示すると、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
【0056】
重合促進剤として用いられるアルデヒド類を具体的に例示すると、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p-メチルオキシベンズアルデヒド、p-エチルオキシベンズアルデヒド、p-n-オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p-n-オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
【0057】
重合促進剤として用いられるチオール化合物を具体的に例示すると、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸などが挙げられる。

【0058】
本発明における医科歯科用硬化性組成物で用いられる無機充填剤としては、それらの化学的組成は特に限定されないが、二酸化珪素、アルミナ、シリカ-チタニア、シリカ-チタニア-酸化バリウム、シリカ-ジルコニア、シリカ-アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック等が挙げられる。
【0059】
本発明における医科歯科用硬化性組成物で用いられる酸反応性無機粉末としては、歯科用グラスアイオノマーセメントやレジン強化型グラスアイオノマーセメントおよびレジンセメント等に使用されているフルオロアルミノケイ酸バリウムガラス、フルオロアルミノケイ酸ストロンチウムガラス、フルオロアルミノケイ酸ガラス等が好適に使用できる。ここで言うフルオロアルミノケイ酸ガラスとは、酸化珪素および酸化アルミニウムを基本骨格とし、非架橋性酸素導入のためのアルカリ金属を含む。さらに修飾・配位イオンとしてストロンチウムを含むアルカリ土類金属およびフッ素を有する。また、更なるX線不透過性を付与するためにランタノイド系列の元素を骨格に組み込んだ組成物である。このランタノイド系列元素は組成域により修飾・配位イオンとしても組成に参加する。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0060】
酸反応性無機粉末および無機充填剤の本発明における歯科用組成物での組成割合としては、特に限定されないが、好ましくは25~90重量%の範囲内である。25重量%以下である場合には、硬化物の機械的(物理的)強度が低いため好ましくない。また、90重量%以上では混合されるペーストの粘性が高すぎるため臨床上の操作性が悪く好ましくない。さらに、前記無機充填剤の平均粒子径は0.001~100μmであることが好ましく、より好ましくは0.001~10μmである。さらに、酸反応性無機粉末および無機充填剤の形状は球状あるいは不定形状の何れでもよい。
【0061】
本発明における医科歯科用硬化性組成物で用いられるラジカル重合性モノマーは歯科分野で用いられている物を何ら制限なく用いる事が出来る。例えば、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とのウレタン反応により合成される7,7,9-トリメチル-4,13-ジオキソ-3, 14-ジオキサ-5, 12-ジアザヘキサデカン-1, 16-ジイルジメタクリレート(UDMA)や、HEMAやHEAと2,4-トルイレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートまたはヘキサメチレンジイソシアネートの各々とのウレタン反応により合成されるラジカル重合性モノマー類や、脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートとグリセロール(メタ)クリレートや3-メタクリロール-2-ヒドロキシプロピルエステルとの反応によって得られるウレタンジアクリレート類や、1,3-ビス(2-イソシアナート, 2-プロピル)ベンゼンとヒドロキシ基を有する化合物とのウレタン反応物等が挙げられる。より具体的には、2,7,7,9,15-ペンタメチル-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルジアクリレート、2,7,7,9,15-ペンタメチル-4,13-18-トリオキソ-3,14,17-トリオキサ-5,12-ジアザイコス-19-エニルメタクリレート、2,8,10,10,15-ペンタメチル-4,13,18-トリオキソ-3,14,17-トリオキサ-5,12-ジアザイコス-19-エニルメタクリレート、2,7,7,9,15-ペンタメチル-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(シクロヘキサン-1,2-ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-((2-(((1-(アクリロイロキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)シクロヘキシル)メチルカルバモイロキシ)プロピルメタクリレート、2,2’-(シクロヘキサン-1,2-ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3,4-ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-((4-(((1-(アクリロイロキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-イル)メチルカルバモイロキシ)プロピルメタクリレート、2,2’-(ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3,4-ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、7,7,9-トリメチル-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルジアクリレート、7,7,9-トリメチル-4,13,18-トリオキソ-3,14,17-トリオキサ-5,12-ジアザイコス-19-エニルメタクリレート、8,10,10-トリメチル-4,13,18-トリオキソ3,14,17-トリオキサ-5,12-ジアザイコス-19-エニルメタクリレート、7,7,9-トリメチル-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルジアクリレート、4,13,18-トリオキソ-3,14,17-トリオキサ-5,12-ジアザイコス-19-エニルメタクリレート、4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、2-(1-(2-((2-(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)-4,4-ジメチルシクロヘキシル)エチルカルバモイロキシ)エチルメタクリレート、2-(1-(2-((2-(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)エチル)-5,5-ジメチルシクロヘキシルカルバモイロキシ)エチルメタクリレート、2-(2-(((1-(メタクリロイロキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)-2,5,5-トリメチルシクロヘキシルカルバモイロキシ)プロパン-1,3-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、2-(2-(((1-(メタクリロイロキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)-2,5,5-トリメチルシクロヘキシルカルバモイロキシ)プロパン-1,3-ジイルジアクリレート、2-(2-(((1-(アクリロイロキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)-2,5,5-トリメチルシクロヘキシルカルバモイロキシ)プロパン-1,3-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、3-(15-(2-(アクリロイロキシ)エチル)-3,12,19-トリオキソ-2,13,18-トリオキサ-4,11-ジアザヘニコス-20-エニル)ペンタン-1,5-ジイルジアクリレート、3-(15-(2-(アクリロイロキシ)エチル)-3,12,19-トリオキソ-2,13,18-トリオキサ-4,11-ジアザヘニコス-20-エニル)ペンタン-1,5-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(シクリヘキサン-1,2-ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-((2-(((2-(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)メチル)シクロヘキシル)メチルカルバモイロキシ)エチルメタクリレート、2,2’-(シクリヘキサン-1,2-ジイルビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,15-ビス(シクロヘキシルオキシメチル)-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルジアクリレート、2,15-ビス(シクロヘキシルオキシメチル)-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、2,15-ビス(シクロヘキシルオキシメチル)-4,13,18-トリオキソ-3,14,17-トリオキサ-5,12-ジアザイコス-19-エニルメタクリレート、1,18-ビス(シクロヘキシルオキシ)-5,14-ジオキソ-4,15-ジオキサ-6,13-ジアザオクタデカン-2,17-ジイルジアクリレート、1-(シクロヘキシルオキシ)-17-(シクロヘキシルオキシメチル)-5,14,19-トリオキソ-4,15,18-トリオキサ-6,13-ジアザヘニコス-20-エン-2-イルメタクリレート、1,18-ビス(シクロヘキシルオキシ)-5,14-ジオキソ-4,15-ジオキサ-6,13-ジアザオクタデカン-2,17-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、7,7,9-トリメチル-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルビス(2-メチルアクリレート)、7,7,9-トリメチル-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキサ-5,12-ジアザヘキサデカン-1,16-ジイルジアクリレート、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-メタクリレート)、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(3-(((2-(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)エチル メタクリレート、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(メチルアザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-メタクリレート)、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(メチルアザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-((3-((((2-(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)メチル)ベンジル)(メチル)カルバモイロキシ)エチル メタクリレート、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(3-(((2-(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)プロピル メタクリレート、2-(3-(((1-(アクリロイロキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)エチル メタクリレート、4,4’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビスオキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(4,1-フェニレン)ビス(2-メチルアクリレート)、4,4’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビスオキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(4,1-フェニレン)ジアクリレート、4-(3-(((4-(アクリロキシ)フェノキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)フェニル メタクリレート、4,4’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン-4,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、4,4’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン-4,1-ジイル)ジアクリレート、4-(3-(((4-(アクリロイロキシ)ブトキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)ブチル メタクリレート、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-フェノキシプロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-フェノキシプロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(3-(((1-(アクリロイロキシ)-3-フェノキシプロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)-3-フェノキシプロピル メタクリレート、2-2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(フェニルアミノ)プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2-2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(フェニルアミノ)プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(3-(((1-(アクリロイロキシ)-3-(フェニルアミノ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)-3-(フェニルアミノ)プロピル メタクリレート、2,2’-(1,3フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(フェニルチオ)プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(1,3フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(フェニルチオ)プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(3-(((1-(アクリロキシ)-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)-3-(フェニルチオ)プロピル メタクリレート、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(ベンジルオキシ)プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(ベンジルオキシ)プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(3-(((1-(アクリロイロキシ)-3-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)-3-(ベンジルオキシ)プロピル メタクリレート、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(メタアクリロイロキシ)プロパン-2,1-ジイル)ジベンゾエート、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(アクリロイロキシ)プロパン-2,1-ジイル)ジベンゾエート、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(2-フェニルアセトキシ)プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス
(3-(2-フェニルアセトキシ)プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(3-(((1-(アクリロイロキシ)-3-(2-フェニルアセトキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)メチル)ベンジルカルバモイロキシ)-3-(2-フェニルアセトキシ)プロピル メタクリレート2, 2’-(2, 2’-(1, 3-フェニレン)ビス(プロパン-2. 2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2, 1- ジイル)ビス(2-メタクリレート)、2, 2’-(2, 2’-(1, 3-フェニレン)ビス(プロパン-2. 2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2, 1- ジイル)ジアクリレート、2-(2-(3-(2-((2-(アクリロイルオキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイルオキシ)エチルメタクリレート、2, 2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(メチルアザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-メタクリレート)、2, 2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(メチルアザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-((2-(3-(2-(((2-(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イル)(メチル)カルバモイルキシ)エチル メタクリレート、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(2-(3-(2-((2-(アクリロイロキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイルキシ)プロピルメタクリレート、2-(2-(3-(2-((1-(アクリロイロキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン-2-イルカルバモイルキシ)エチル メタクリレート、4,4’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(4,1-フェニレン)ビス(2-メチルアクリレート)、4,4’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(4,1-フェニレン)ジアクリレート、4-(2-(3-(2-((4-(アクリロイロキシ)フェノキシ)カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイルキシ)フェニルメタクリレート、4,4’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン-4,1-ジイル)ビス(2-メタクリレート)、4,4’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(ブタン-4,1-ジイル)ジアクリレート、4-(2-(3-(2-((4-アクリロイロキシ)ブトキシ) カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイルキシ)ブチルメタクリレート、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-フェノキシプロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メタクリレート)、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-フェノキシプロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(2-(3-(2-((1-(アクリロイロキシ)-3-フェノキシプロパン-2-イルオキシ) カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイルキシ)-3-フェノキシプロピル メタクリレート、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(フェニルアミノ)プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メタクリレート)、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(フェニルアミノ)プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(2-(3-(2-((1-(アクリロイロキシ)-3-(フェニルアミノ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイロキシ)-3-(フェニルアミノ)プロピル メタクリレート、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(フェニルチオ)プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(フェニルチオ)プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(2-(3-(2-((1-(アクリロイロキシ)-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイロキシ)-3-(フェニルチオ)プロピル メタクリレート、2-2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(3-(ベンジロキシ)プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メチルアクリレート)、2-2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(3-(ベンジロキシ)プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(2-(3-(2-((1-(アクリロイロキシ)-3-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイロキシ)-3-(ベンジルオキシ)プロピル メタクリレート、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(メタクリロイロキシ)プロパン-2,1-ジイル)ジベンゾエート、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(アクリロイロキシ)プロパン-2,1-ジイル)ジベンゾエート、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(2-フェニルアセトキシ)プロパン-2,1-ジイル)ビス(2-メタクリレート)、2,2’-(2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2,2-ジイル))ビス(アザンジイル)ビス(オキソメチレン)ビス(オキシ)ビス(3-(2-フェニルアセトキシ)プロパン-2,1-ジイル)ジアクリレート、2-(2-(3-(2-((1-(アクリロイロキシ)-3-(2-フェニルアセトキシ)プロパン-2-イルオキシ)カルボニルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)プロパン-2-イルカルバモイロキシ)-3-(2-フェニルアセトキシ)プロピル メタクリレートなどが挙げられる。
本発明の医科歯科用硬化性組成物に含まれる重合開始剤としては、工業界で使用されている重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましく用いられる。特に、光重合及び化学重合の重合開始剤を、単独又は2種以上適宜組み合わせて使用される。以下具体的には、本発明の医科歯科用硬化性組成物に含まれる重合開始剤のうち光重合開始剤としては、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α-ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α-アミノケトン系化合物などが挙げられる。また、それらの割合はラジカル重合性モノマーに対し、0.5wt%~5wt%が好ましい。0.5wt%より低い濃度では未重合のラジカル重合性モノマーが多くなるため機械的強度が低下する。また、5wt%より高い濃度では重合度が低下し、機械的強度が低下するためである。
【0062】
光重合開始剤として用いられるアシルフォスフィンオキサイド類を具体的に例示すると、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6-テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ-(2,6-ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6-トリメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0063】
光重合開始剤として用いられるチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩を具体的に例示すると、例えば、チオキサントン、2-クロルチオキサンセン-9-オン、2-ヒドロキシ-3-(9-オキシ-9H-チオキサンテン-4-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-プロパンアミニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-(1-メチル-9-オキシ-9H-チオキサンテン-4-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-プロパンアミニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-(9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-プロパンアミニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-(1,3,4-トリメチル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロライドなどが挙げられる。
【0064】
光重合開始剤として用いられるα-ジケトン類を具体的に例示すると、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3-ペンタジオン、2,3-オクタジオン、9,10-フェナンスレンキノン、4,4’-オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。
【0065】
光重合開始剤として用いられるクマリン化合物を具体的に例示すると、例えば、3,3’-カルボニルビス(7-ジエチルアミノ)クマリン、3-(4-メトキシベンゾイル)クマリン、3-チェノイルクマリン、3-ベンゾイル-5,7-ジメトキシクマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリン、3-ベンゾイル-6-メトキシクマリン、3-ベンゾイル-8-メトキシクマリン、3-ベンゾイルクマリン、7-メトキシ-3-(p-ニトロベンゾイル)クマリン、3-(p-ニトロベンゾイル)クマリン、3-ベンゾイル-8-メトキシクマリン、3,5-カルボニルビス(7-メトキシクマリン)、3-ベンゾイル-6-ブロモクマリン、3,3’-カルボニルビスクマリン、3-ベンゾイル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3-カルボキシクマリン、3-カルボキシ-7-メトキシクマリン、3-エトキシカルボニル-6-メトキシクマリン、3-エトキシカルボニル-8-メトキシクマリン、3-アセチルベンゾ[f]クマリン、7-メトキシ-3-(p-ニトロベンゾイル)クマリン、3-(p-ニトロベンゾイル)クマリン、3-ベンゾイル-8-メトキシクマリン、3-ベンゾイル-6-ニトロクマリン-3-ベンゾイル-7-ジエチルアミノクマリン、7-ジメチルアミノ-3-(4-メトキシベンゾイル)クマリン、7-ジエチルアミノ-3-(4-メトキシベンゾイル)クマリン、7-ジエチルアミノ-3-(4-ジエチルアミノ)クマリン、7-メトキシ-3-(4-メトキシベンゾイル)クマリン、3-(4-ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3-(4-エトキシシンナモイル)-7-メトキシクマリン、3-(4-ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3-(4-ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3-[(3-ジメチルベンゾチアゾール-2-イリデン)アセチル]クマリン、3-[(1-メチルナフト[1,2-d]チアゾール-2-イリデン)アセチル]クマリン、3,3’-カルボニルビス(6-メトキシクマリン)、3,3’-カルボニルビス(7-アセトキシクマリン)、3,3’-カルボニルビス(7-ジメチルアミノクマリン)、3-(2-ベンゾチアゾイル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾイル)-7-(ジブチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾイミダゾイル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾイル)-7-(ジオクチルアミノ)クマリン、3-アセチル-7-(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’-カルボニルビス(7-ジブチルアミノクマリン)、3,3’-カルボニル-7-ジエチルアミノクマリン-7’-ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10-[3-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-1-オキソ-2-プロペニル]-2,3,6,7-1,1,7,7-テトラメチル1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン、10-(2-ベンゾチアゾイル)-2,3,6,7-テトラヒドロ-1,1,7,7-テトラメチル1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン等の化合物などが挙げられる。
【0066】
クマリン化合物の中でも、特に、3,3’-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)及び3,3’-カルボニルビス(7-ジブチルアミノクマリン)が好適である。
【0067】
光重合開始剤として用いられるアントラキノン類を具体的に例示すると、例えば、アントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン、1-ブロモアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、1-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1-ヒドロキシアントラキノンなどが挙げられる。
【0068】
光重合開始剤として用いられるベンゾインアルキルエーテル類を具体的に例示すると、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0069】
光重合開始剤として用いられるα-アミノケトン類を具体的に例示すると、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンなどが挙げられる。
【0070】
光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及びその塩、α-ジケトン類、及びクマリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す組成物が得られる。
【0071】
本発明の医科歯科用硬化性組成物に含まれる重合開始剤のうち化学重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
【0072】
化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
【0073】
化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
【0074】
化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0075】
化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドを具体的に例示すると、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシンなどが挙げられる。
【0076】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールを具体的に例示すると、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレリックアシッド-n-ブチルエステルなどが挙げられる。
【0077】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルを具体的に例示すると、例えば、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,2,4-トリメチルペンチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルヘキサノエート、t-チルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート及びt-ブチルパーオキシマレリックアシッドなどが挙げられる。
【0078】
化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートを具体的に例示すると、例えば、ジ-3-メトキシパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。
【0079】
有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
【0080】
重合促進剤を具体的に例示すると、例えば、アミン類、スルフィン酸及びその塩、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物、アルデヒド類、チオール化合物などが挙げられる。
【0081】
重合促進剤として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンを具体的に例示すると、例えば、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-オクチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-ラウリルジエタノールアミン、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N-メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N-エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN-メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
【0082】
芳香族アミンを具体的に例示すると、例えば、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3,5-ジメチルアニリン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3,4-ジメチルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-4-エチルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-4-イソプロピルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-4-t-ブチルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3,5-ジ-イソプロピルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3,5-ジ-t-ブチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-m-トルイジン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-3,4-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-4-エチルアニリン、N,N-ジメチル-4-イソプロピルアニリン、N,N-ジメチル-4-t-ブチルアニリン、N,N-ジメチル-3,5-ジ-t-ブチルアニリン、4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸-n-ブトキシエチルエステル、4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸-2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸-n-ブトキシエチルエステル及び4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0083】
重合促進剤として用いられるスルフィン酸及びその塩を具体的に例示すると、例えば、p-トルエンスルフィン酸、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸カリウム、p-トルエンスルフィン酸リチウム、p-トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6-トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6-トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0084】
重合促進剤として用いられるボレート化合物は、1分子中に1個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p-クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p-フロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキル(p-ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m-ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p-ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(m-ブチルフェニル)ホウ素、トリアルキル(p-ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(m-ブチルオキシフェニル)ホウ素、トリアルキル(p-オクチルオキシフェニル)ホウ素及びトリアルキル(m-オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn-ブチル基、n-オクチル基及びn-ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0085】
また、1分子中に2個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、ジアルキルジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p-クロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p-フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジアルキルジ[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ素、ジアルキルジ(p-ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m-ニトロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p-ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m-ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p-ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m-ブチルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p-オクチルオキシフェニル)ホウ素及びジアルキルジ(m-オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn-ブチル基、n-オクチル基及びn-ドデシル基等からなる群から選択される少なくとも1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0086】
さらに、1分子中に3個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリ(p-クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p-フロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p-ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m-ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p-ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m-ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p-ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m-ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p-オクチルオキシフェニル)ホウ素及びモノアルキルトリ(m-オクチルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基はn-ブチル基、n-オクチル基又はn-ドデシル基等から選択される1種である)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩、ブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0087】
さらに1分子中に4個のアリール基を有するボレート化合物を具体的に例示すると、例えば、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p-クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p-フロロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロ-2--メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p-ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m-ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p-ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m-ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p-ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m-ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p-オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m-オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p-フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5-ビストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、(p-ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m-ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p-ブチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m-オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素及び(p-オクチルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩及びブチルキノリニウム塩などが挙げられる。
【0088】
これらアリールボレート化合物の中でも、保存安定性の観点から、1分子中に3個又は4個のアリール基を有するボレート化合物を用いることがより好ましい。また、これらアリールボレート化合物は1種又は2種以上を混合して用いることも可能である。
【0089】
重合促進剤として用いられるバビツール酸誘導体を具体的に例示すると、例えば、バルビツール酸、1,3-ジメチルバルビツール酸、1,3-ジフェニルバルビツール酸、1,5-ジメチルバルビツール酸、5-ブチルバルビツール酸、5-エチルバルビツール酸、5-イソプロピルバルビツール酸、5-シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-エチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-n-ブチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-イソブチルバルビツール酸、1,3-ジメチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-シクロペンチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-シクロヘキシルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-フェニルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-1-エチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、5-メチルバルビツール酸、5-プロピルバルビツール酸、1,5-ジエチルバルビツール酸、1-エチル-5-メチルバルビツール酸、1-エチル-5-イソブチルバルビツール酸、1,3-ジエチル-5-ブチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-メチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-オクチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-ヘキシルバルビツール酸、5-ブチル-1-シクロヘキシルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸及びチオバルビツール酸類、ならびにこれらの塩(特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属類が好ましい)が挙げられ、これらバルビツール酸類の塩としては、例えば、5-ブチルバルビツール酸ナトリウム、1,3,5-トリメチルバルビツール酸ナトリウム及び1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0090】
特に好適なバルビツール酸誘導体を具体的に例示すると、例えば、5-ブチルバルビツール酸、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、及びこれらバルビツール酸類のナトリウム塩などが挙げられる。
【0091】
重合促進剤として用いられるトリアジン化合物を具体的に例示すると、例えば、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メチルチオフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2,4-ジクロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-ブロモフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-n-プロピル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(α,α,β-トリクロロエチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-スチリル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(p-メトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(o-メトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(p-ブトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(1-ナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-ビフェニリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-{N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-{N-ヒドロキシエチル-N-エチルアミノ}エトキシ]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-{N-ヒドロキシエチル-N-メチルアミノ}エトキシ]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-{N,N-ジアリルアミノ}エトキシ]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0092】
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジンであり、また保存安定性の点で、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、及び2-(4-ビフェニリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンである。上記トリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
【0093】
重合促進剤として用いられる銅化合物を具体的に例示すると、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅などが挙げられる。
【0094】
重合促進剤として用いられるスズ化合物を具体的に例示すると、例えば、ジ-n-ブチル錫ジマレート、ジ-n-オクチル錫ジマレート、ジ-n-オクチル錫ジラウレート、ジ-n-ブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ-n-オクチル錫ジラウレート及びジ-n-ブチル錫ジラウレートである。
【0095】
重合促進剤として用いられるバナジウム化合物は、好ましくはIV価及び/又はV価のバナジウム化合物類である。IV価及び/又はV価のバナジウム化合物類を具体的に例示すると、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)などが挙げられる。
【0096】
重合促進剤として用いられるハロゲン化合物を具体的に例示すると、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
【0097】
重合促進剤として用いられるアルデヒド類を具体的に例示すると、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p-メチルオキシベンズアルデヒド、p-エチルオキシベンズアルデヒド、p-n-オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p-n-オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
【0098】
重合促進剤として用いられるチオール化合物を具体的に例示すると、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸などが挙げられる。
【実施例0099】
本発明によるポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーの製造方法および、その製造方法により製造されたポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーを含有する医科歯科用硬化性組成物の調製方法・物理的特性について以下詳しく説明するが、本発明はこれらの説明に何ら限定されるものではない。
【0100】
ポリマー合成例1~4
ベーキングを行った3方活栓付100mL容積シュレンク重合管に、Cu(I)Br 134mg : 0.932mmolを精秤し、脱水脱気済anisole : 30mL、nonane : 0.1mL(重合反応追跡用内部標準)、 n-tributylamine(重合助触媒): 92.7mg (0.5mmol)、2,2'-bipyridine : 146mg(156mmol)の順にアルゴン気流下にて注射筒にて注入した。そのシュレンク重合管をマグネティック攪拌下にて70℃に加温し触媒配位子を完全に溶解させた。その後、ラジカル重合性モノマーであるtert-butyl acrylate : 6.40g (50mmol)十分に攪拌し均一化した後に、methyl 2-bromo-2-methylpropanoate(重合開始剤)181mg (1.00 mmol )を添加し重合を開始させた。一定時間毎にサンプルをアルゴン気流下にて抜き取り、ガスクロマトグラフにてモノマー転化率を測定した。モノマー転化率が95%になった時点でmethyl acrylate : 4.30g (50mmol)を加え、再度、一定時間毎にサンプルをアルゴン気流下にて抜き取り、ガスクロマトグラフにてモノマー転化率を測定した。モノマー転化率が95%になった時点で加温を止め、微量の酸素をバブリングさせ重合反応を停止させ、残存するモノマーはエバポレーターにてアニソールを添加しながら留去させた。その後、真空乾燥を行い極淡黄色の粉末を得た。得られた粉末を電磁攪拌子を備えた300mL三角フラスコに全量加え、アセトン100mLにて溶解し、1N sodium hydroxide 10mLをパスツールピペットにて少しずつ加え、methyl acrylate部位のみを選択的に加水分解した。得られた加水分解させたポリマーをヴァスキングチューブに入れ透析にてsodium hydroxideを除去した。その後、凍結乾燥器にて24時間乾燥し、ポリマー前駆体の粉末を得た。その前駆体(ポリ酸とtert-butyl acrylateのブロックコポリマー)5.0gを温度計、攪拌羽根を備えた30mL容積のマイクロ三ッ口フラスコ反応容器に移し、蒸留水50vol%/アセトン50vol%溶液10gを加え十分に溶解し、pH試験紙にて酸性確認後、表1-1に記載したイソシアネート基を末端に有するラジカル重合性モノマー所定量(34.7mmol)をマイクロシリンジポンプにて液温が80℃を超えない様に少しずつ滴下した。滴下終了後、12時間の熟成反応を70℃にて行った。その後、1N trifluoroacetic acid 10mLをパスツールピペットにて少しずつ加え、tert-butyl acrylateを加水分解した。1N trifluoroacetic acid滴下終了後、12時間の熟成反応を70℃にて行い、目的とするポリカルボン酸を基本骨格としエチレン性不飽和基がブロック的に側鎖に結合したラジカル重合架橋性水溶性ABブロックコポリマーを得た。GPC測定の結果、得られたABブロックコポリマーのモル質量分布(Mw/Mn)は各々1.03, 1.02, 1.05, 1.08であった。
【0101】
ポリマー合成例5~10
ベーキングを行った3方活栓付100mL容積シュレンク重合管に、Cu(I)Br 134mg : 0.932mmolを精秤し、脱水脱気済anisole : 30mL、nonane : 0.1mL(重合反応追跡用内部標準)、 n-tributylamine(重合助触媒): 92.7mg (0.5mmol)、2,2'-bipyridine : 146mg(156mmol)の順にアルゴン気流下にて注射筒にて注入した。そのシュレンク重合管をマグネティック攪拌下にて70℃に加温し触媒配位子を完全に溶解させた。その後、ラジカル重合性モノマーであるtert-butyl acrylate : 6.40g (50mmol) を加え、十分に攪拌し均一化した後に、methyl 2-bromo-2-methylpropanoate(重合開始剤)90.5mg (0.50 mmol )を添加し重合を開始させた。一定時間毎にサンプルをアルゴン気流下にて抜き取り、ガスクロマトグラフにてモノマー転化率を測定した。モノマー転化率が95%になった時点で2-isocyanatoethyl acrylate : 7.06g (50mmol)の混合物を加え、一定時間毎にサンプルをアルゴン気流下にて抜き取り、ガスクロマトグラフにてモノマー転化率を測定した。モノマー転化率が95%になった時点で加温を止め、微量の酸素をバブリングさせ重合反応を停止させ、残存するモノマーはエバポレーターにてアニソールを添加しながら留去させた。その溶液に表1-2に記載した末端にカルボキシル基またはヒドロキシ基を有するラジカル重合性モノマー50mmolをマイクロシリンジポンプにて液温が80℃を超えない様にオイルバスにて加温しながら少しずつ滴下した。滴下終了後、12時間の熟成反応を70℃にて行った。その後にn-ヘキサンに添加しポリマーを沈殿させた。アセトン溶解およびn-ヘキサンへの添加・沈澱を繰り返し行い精製した。その後、真空乾燥を行い極淡黄色の粉末を得た。得られた粉末を電磁攪拌子を備えた300mL三角フラスコに全量加え、アセトン100mLにて溶解し、1N trifluoroacetic acid 10mLをパスツールピペットにて少しずつ加え、tert-butyl acrylateを加水分解した。得られた加水分解させたポリマーをヴァスキングチューブに入れ透析にてtrifluoroacetic acidを除去した。その後、凍結乾燥器にて24時間乾燥し、目的とするポリカルボン酸を基本骨格としエチレン性不飽和基が側鎖に結合したラジカル重合架橋性水溶性ABブロックコポリマーを得た。GPC測定の結果、得られたポリマーのモル質量分布(Mw/Mn)は各々1.04, 1.03, 1.08, 1.12, 1.10 1.10であった。
【0102】
ポリマー比較合成例1~4
ベーキングを行った3方活栓付100mL容積シュレンク重合管に、Cu(I)Br 134mg : 0.932mmolを精秤し、脱水脱気済anisole : 30mL、nonane : 0.1mL(重合反応追跡用内部標準)、 n-tributylamine(重合助触媒): 92.7mg (0.5mmol)、2,2'-bipyridine : 146mg(156mmol)の順にアルゴン気流下にて注射筒にて注入した。そのシュレンク重合管をマグネティック攪拌下にて70℃に加温し触媒配位子を完全に溶解させた。その後、ラジカル重合性モノマーであるtert-butyl acrylate : 12.8g (100mmol)を加え、十分に攪拌し均一化した後に、methyl 2-bromo-2-methylpropanoate(重合開始剤)181mg (1.0 mmol )を添加し重合を開始させた。一定時間毎にサンプルをアルゴン気流下にて抜き取り、ガスクロマトグラフにてモノマー転化率を測定した。モノマー転化率が90%になった時点で加温を止め重合反応を終了させた後にn-ヘキサンに添加しポリマー前駆体を沈殿させた。アセトン溶解およびn-ヘキサンへの添加・沈澱を繰り返し行い精製した。その後、真空乾燥を行い極淡黄色の粉末を得た。得られた粉末を電磁攪拌子を備えた300mL三角フラスコに全量加え、アセトン100mLにて溶解し、1N trifluoroacetic acid 10mLをパスツールピペットにて少しずつ加え、tert-butyl acrylateを加水分解した。得られた加水分解させたポリマーをヴァスキングチューブに入れ透析にてtrifluoroacetic acidを除去した。その後、凍結乾燥器にて24時間乾燥し、ポリマー前駆体の粉末を得た。その前駆体(ポリ酸)5.0gを温度計、攪拌羽根を備えた30mL容積のマイクロ三ッ口フラスコ反応容器に移し、蒸留水10gを加え十分に溶解し、pH試験紙にて酸性確認後、表2-1に記載したイソシアネート基を末端に有するラジカル重合性モノマー所定量(34.7mmol)をマイクロシリンジポンプにて液温が80℃を超えない様に少しづつ滴下した。滴下終了後、12時間の熟成反応を70℃にて行い、目的とするポリカルボン酸を基本骨格としエチレン性不飽和基がランダムに側鎖に結合したラジカル重合架橋性水溶性ポリマーを得た。GPC測定の結果、得られたポリマーのモル質量分布(Mw/Mn)は各々1.05, 1.06, 1.08, 1.10であった。
【0103】
ポリマー比較合成例5~8
ベーキングを行った3方活栓付100mL容積シュレンク重合管に、benzoic peroxyanhydride(重合開始剤)242mg (1.0 mmol )、nonane : 0.1mL(重合反応追跡用内部標準)を脱水済anisole : 30mLに室温下にて溶解した。そのシュレンク重合管をマグネティック攪拌下にて完全に重合開始剤を溶解させた。その後、ラジカル重合性モノマーであるtert-butyl acrylate : 12.8g (100mmol)を加え、十分に攪拌し均一化した後に、70℃に加温し重合を開始させた。一定時間毎にサンプルを抜き取り、ガスクロマトグラフにてモノマー転化率を測定した。モノマー転化率が90%になった時点で加温を止め重合反応を終了させた後にn-ヘキサンに添加しポリマー前駆体を沈殿させた。そのポリマー前駆体をアセトン溶解およびn-ヘキサンへの添加・沈澱を繰り返し行い精製した。その後、真空乾燥を行い極淡黄色の粉末を得た。得られた粉末を電磁攪拌子を備えた300mL三角フラスコに全量加え、アセトン100mLにて溶解し、1N trifluoroacetic acid 10mLをパスツールピペットにて少しずつ加え、tert-butyl acrylateを加水分解した。得られた加水分解させたポリマーをヴァスキングチューブに入れ透析にてtrifluoroacetic acidを除去した。その後、凍結乾燥器にて24時間乾燥し、ポリマー前駆体の粉末を得た。その前駆体(ポリ酸)5.0gを温度計、攪拌羽根を備えた30mL容積のマイクロ三ッ口フラスコ反応容器に移し、蒸留水10gを加え十分に溶解し、pH試験紙にて酸性確認後、表2-2に記載したイソシアネート基を末端に有するラジカル重合性モノマー所定量(34.7mmol)をマイクロシリンジポンプにて液温が80℃を超えない様に少しづつ滴下した。滴下終了後、12時間の熟成反応を70℃にて行い、目的とするポリカルボン酸を基本骨格としエチレン性不飽和基がランダムに側鎖に結合したラジカル重合架橋性水溶性ポリマーを得た。GPC測定の結果、得られたポリマーのモル質量分布(Mw/Mn)は各々5.05, 6.03, 6.52, 6.77であった。
【0104】
フルオロアルミノシリケート粉体(GI powder)の調製
SiO2 : 240g, Al2O3 : 204g, CaO : 186g, CaF2 : 52g の混合物をアルミナ坩堝にて電気エレマ炉を用い溶融した後、水冷急冷し無色透明なガラス塊を得た。このガラス塊をアルミナメディアを用いた振動ミルにて粉砕し目開き42μmの篩いを通したものをフルオロアルミノシリケートガラス粉(GI powder)とした。
【0105】
実施例1~10
表3-1に記載した組成にて医科歯科用硬化性組成物液剤の調製を行った。
【0106】
比較実施例1~8
表4-1に記載した組成にて医科歯科用硬化性組成物液剤の調製を行った。
【0107】
物理特性試験
ISO9917 : ウオーターベースセメント規格に準拠(粉:2.00g、液剤:1.00g)してセメント特性を評価した。試験結果を表4-1,5-1に記載する。なお、限界粉液量(g)とは粉液の混合開始(混合時間60秒)から2分後に測定した被膜度が25μmを超える粉液量(液剤1.0gに対する粉剤の量(g))を意味し、その量目が多い程、混合物の初期粘性が低い事を意味する。すなわち、混合物の粘性が低く、歯科衛生士等の術者の操作が容易であり、操作性が優れている事を意味する。表4-1および表5-1に物理特性試験結果を示す。これらの試験結果より、本発明の1.0~1.8のモル質量分布Mw/Mnを有するポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーを含有する医科・歯科用硬化性組成物は、比較実施例と比べ高い圧縮強度を有し、また、限界粉液量が非常に高い値を示した。これは、分子量分布が制御され、かつ完全なABブロックコポリマーの分子形態を有する事で、高分子界面活性剤的振る舞いを示している事を意味している。その概念図を図1に示す。加えて、粉液混合物の初期粘性が低いために、十分な流動性があり、それに起因して溶出する水溶性モノマーの抑制が得られている。すなわち、十分な流動性は水溶性モノマーの確実な重合を促しているものと考えられる。
【0108】
【表1-1】
【0109】
【表1-2】
【0110】
【表2-1】
【0111】
【表2-2】

【0112】
【表3-1】
【0113】
【表3-2】
【0114】
【表3-3】
【0115】
【表4-1】
【0116】
【表5-1】

【産業上の利用可能性】
【0117】
医科・歯科の分野において骨欠損部への充填材、歯科補綴物等の合着では従来よりリン酸亜鉛セメント、カルボキシレートセメント、グラスアイオノマーセメント及びレジンセメントが用いられてきた。中でもレジンセメント等樹脂を基本とする修復材料はリン酸亜鉛セメント及びカルボキシレートセメントと比較し一般的に高い靭性を持つために、広く整形外科医学・歯学の分野において利用されていた。しかし、これらのレジンセメント等樹脂を基本とする生体接着充填材料は2-HEMA等の低分子のエチレン性不飽和基含有モノマーを有し、硬化後においても残留する未反応の低分子モノマーが溶出し、生体組織に対し多大な影響を与えている。しかしながら、本発明の精密重合により製造されたポリカルボン酸を基本骨格としラジカル重合性基をブロック的に側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ポリマーとそれらを含有する医科歯科用硬化性組成物はポリカルボン酸を基本骨格としエチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上側鎖にもつラジカル重合架橋性水溶性ランダムコポリマーとそれらを含有する医科歯科用硬化性組成物や従来技術の医科・歯科用硬化性組成物と比べ高い靭性を有し、低分子モノマーの溶出のない、且つ操作性の良い硬化性組成物が得られるという効果があり、産業上の利用の可能性は大いに高いと言える。
図1