(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149402
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】無線メッシュネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 40/24 20090101AFI20231005BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20231005BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20231005BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20231005BHJP
【FI】
H04W40/24
H04W28/04
H04W76/10
H04W84/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057953
(22)【出願日】2022-03-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(71)【出願人】
【識別番号】508047288
【氏名又は名称】アーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】リンドン クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ノビコフ ステパン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067AA23
5K067BB21
5K067DD11
5K067DD17
5K067DD24
5K067DD45
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067FF02
5K067FF16
5K067HH22
5K067JJ12
5K067JJ13
(57)【要約】
【課題】無線コーディネータが無線デバイスからACKと同時にデータを受信する仕組み等が開示されていない。
【解決手段】無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信部と、を有することが可能な無線メッシュネットワークシステムを提供しようとする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、
前記クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、前記ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、
前記各無線ノード装置は、
当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、
前記各無線ゲートウェイノード装置は、
当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、
前記無線ルートノード装置は、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信部と、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、前記第1の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信部と、
を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステム。
【請求項2】
パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、
前記クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、前記ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、
前記各無線ノード装置は、
当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、
前記各無線ゲートウェイノード装置は、
当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、
前記無線ルートノード装置は、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信部と、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、前記第2の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信部と、
を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステム。
【請求項3】
パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成されるコンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法であって、
前記クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、前記ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、
前記各無線ノード装置は、
当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、
前記各無線ゲートウェイノード装置は、
当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、
前記無線ルートノード装置は、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信ステップと、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、前記第1の送信ステップで送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法。
【請求項4】
パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成されるコンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法であって、
前記クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、前記ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、
前記各無線ノード装置は、
当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、
前記各無線ゲートウェイノード装置は、
当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、
前記無線ルートノード装置は、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信ステップと、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、前記第2の送信ステップで送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法。
【請求項5】
パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムであって、
前記クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、前記ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、
前記各無線ノード装置は、
当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、
前記各無線ゲートウェイノード装置は、
当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、
前記無線ルートノード装置は、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信ステップと、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、前記第1の送信ステップで送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信ステップと、
を有することを特徴とする計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラム。
【請求項6】
パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムであって、
前記クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、前記ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、
前記各無線ノード装置は、
当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、
前記各無線ゲートウェイノード装置は、
当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、
前記無線ルートノード装置は、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信ステップと、
前記第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び前記第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、前記第2の送信ステップで送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信ステップと、
を有することを特徴とする計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線ノード装置から構成される無線メッシュネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートメータ、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)向けの通信技術として、無線センサーネットワークが注目されている。その中の1つに、Zigbeeネットワークがある。Zigbeeネットワークは、従来のワイヤレスネットワークと比べて、メッシュネットワークを構成できるという特徴を有している。このZigbeeネットワークには、ルーティング機能を持つルータ・ノードと、ルーティング機能を持たないエンドデバイス・ノードがある。ルータ・ノードは、自分自身のための通信だけでなく、ボランティアで他のノードのためのメッセージを伝送することによって、通信カバー範囲の拡大と通信経路の冗長化を実現する。
また、メッシュネットワークにした場合、送信元のノードから送信先のノードまでの経路に異常がないか、送信先のノードに故障がないかなどを確認するため、ACK要求パケットを送信し、それに応答してACKパケットが戻ってくるかを確認する必要がある。
ここで、ACKとは、「Acknowledgement」(肯定応答)の略語であり、一般的に通信分野では良く使われる技術用語である。二者間の通信で、相手方に何らかの肯定的な応答を返す際に送られる信号やデータ、パケットなどのことをさす。「接続要求を受理した」「データが正しく受信できた」といった内容を伝達するために用いられる。一方、二者間の通信において、受信側で失敗や拒否など否定的応答を表すNAK(Negative ACK)(否定応答)などが用いられることも多い。
【0003】
このような課題を解決するための一例として、特許文献1に記載された通信システムが提案されていた。この発明では、1つの無線コーディネータが複数の無線デバイスに対して順番に制御データフレームを送信した後、制御データフレームを受信した無線デバイスが順番にACKパケットを無線コーディネータに送信する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した発明では、例えば、この技術をZigbee等の無線メッシュネットワークに適用した場合、無線コーディネータが宛先となる無線デバイスに対して制御データフレームを送信すると、制御データフレームを受信した無線デバイスがACKパケットを無線コーディネータに送信して確認された後、改めて無線コーディネータがその宛先の無線デバイスに対してデータ要求パケットを送信し、その無線デバイスからデータパケットを無線コーディネータが受信することになる。即ち、特許文献1には、無線コーディネータが無線デバイスからACKと同時にデータを受信する仕組み等が開示されていないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述したような課題を踏まえ、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信部と、を有することが可能な無線メッシュネットワークシステムを提供しようとするものである。
【0007】
具体的には、本発明は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、各無線ゲートウェイノード装置は、無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信部と、を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステムを提供する。
【0008】
また、本発明は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、各無線ゲートウェイノード装置は、当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第2の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信部と、を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステムを提供する。
【0009】
更に、上述した無線メッシュネットワークシステムについて、それらを実現するため、コンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法、並びに、計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムを提供する。
【0010】
具体的には、本発明は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成されるコンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法であって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、各無線ゲートウェイノード装置は、当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信ステップと、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信ステップで送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信ステップと、を有することを特徴とするコンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成されるコンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法であって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、各無線ゲートウェイノード装置は、当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信ステップと、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第2の送信ステップで送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信ステップと、を有することを特徴とするコンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法を提供する。
【0012】
具体的には、本発明は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、各無線ゲートウェイノード装置は、当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信ステップと、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信ステップで送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信ステップと、を有することを特徴とする計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムを提供する。
【0013】
また、本発明は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、各無線ゲートウェイノード装置は、当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップを有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信ステップと、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップで記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第2の送信ステップで送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信ステップと、を有することを特徴とする計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上より、本発明では、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信部と、を有することが可能な無線メッシュネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本件発明に適用されるハードウェア構成を示す図
【
図2】本件発明における無線メッシュネットワークシステムの全体的構成及び 本システムで使用されるアドレス割り当ての一例を示す図
【
図3】本件発明における無線メッシュネットワークシステムのリンク品質情報 及び経路情報の一例を示す図
【
図4】本件発明における無線メッシュネットワークシステムのリンク品質情報の 一例を示す図
【
図5】本件発明における無線メッシュネットワークシステムのリンク品質情報に 基づくランク付けの一例を示す図
【
図6】本件発明における無線メッシュネットワークシステムの経路選択条件の 一例を示す図
【
図7】実施形態1における無線メッシュネットワークシステムの機能的構成を 示す図
【
図8】実施形態1におけるパケットの構成の一例を示す図
【
図9】実施形態1の無線メッシュネットワークシステムにおける動作の一例を 示す図
【
図10】実施形態1における無線メッシュネットワークシステムのハードウェア 構成を示す図
【
図11】実施形態1における無線メッシュネットワークシステムを利用した場合 の処理の流れを示す図
【
図12】実施形態2における無線メッシュネットワークシステムの機能的構成を 示す図
【
図13】実施形態2におけるパケットの構成の一例を示す図
【
図14】実施形態2の無線メッシュネットワークシステムにおける動作の一例を 示す図
【
図15】実施形態2における無線メッシュネットワークシステムのハードウェア 構成を示す図
【
図16】実施形態2における無線メッシュネットワークシステムを利用した場合 の処理の流れを示す図<本発明を構成し得るハードウェアについて>
【0016】
図1は、本件発明に適用されるハードウェア構成を示す図である。
本件発明における無線ノード装置は、マイクロコンピュータと、記憶装置と、無線を送受信するための装置と、電源などを備え、センサなどの各種情報を取得する機器や、スピーカーやLEDなどの出力機器や、リレーやスイッチなどの制御機器のいずれか一または複数を制御する機器を複数接続した無線メッシュネットワークシステムとその動作方法、動作プログラムに関する。マイクロコンピュータによって上記機器が制御され、さらに上記無線メッシュネットワークはPC等の外部管理機器とも接続されているため、各機器は電子計算機と類似したハードウェア構成を持ち、ソフトウェアとの協働によって本件発明が実現される。
【0017】
この図にあるように、回路基板上に構成される、CPU、不揮発性メモリであるROM(フラッシュメモリ)、メインメモリである揮発メモリRAM(SRAM)、シリアルバスや汎用各種インターフェース、無線回路、A-D/D-Aコンバータ、パワーONリセット回路、クロック発信器等からなる。これらはオペレーティングシステムや各種アプリケーションプログラムなどと協働して動作する。本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウェア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。
例えば、不揮発メモリには、無線ノード装置が実行すべき動作プログラムや、他の無線ノード装置との間のリンク品質情報や経路情報などが記憶される。ここで、リンク品質情報や経路情報は揮発メモリに記憶されるように構成してもよいが、瞬断などが生じて揮発メモリが消去された場合にも対処できるように、不揮発メモリにも記憶されるように構成されることが望ましい。
【0018】
フラッシュメモリは、浮遊ゲートMOSFETと呼ばれる半導体素子を利用し、浮遊ゲートに電子を蓄えることによってデータ記録を行う不揮発性メモリである。フラッシュEEPROMやフラッシュROMとも呼ばれる。各ビットの記憶セルの基本的な構造としては、ある種のEEPROMであるが、複数ビットから成るブロック内で「押し流す」ようなメカニズムと、読み書き可能な単位(ブロックサイズは数キロバイトから数十キロバイト)と速度が扱いやすい程度であることが特徴である。主に、NAND型フラッシュメモリとNOR型フラッシュメモリの2種類が存在する。
【0019】
SRAM(スタティックラム)は、半導体メモリの一種である。DRAM(ダイナミック(動的)RAM)に対して、「スタティック(静的)な回路方式により情報を記憶するもの」であることからその名前が付いている。
【0020】
パワーONリセット回路については以下の通りである。
電源投入時、全てのマイコンは内部論理の定まらない状態からスタートする。そのため、マイコンの内部ロジックは電源投入直後に自ら内部状態を初期化する必要がある。電源が投入されても動作保証電圧に達しないと、マイコンはスタートできない。そこで、その間は内部の論理回路の値を強制的に固定しておいて、マイコンが誤動作しないようにする。その後、論理回路が動作できる電源電圧まで達すると、内部回路がレジスタなどの回路を初期値に設定する。この一連の動作を行う回路を「パワーONリセット回路」と呼ぶ。
【0021】
本件発明の無線メッシュネットワークシステムは、例えば、各無線ノード装置と工場などの工作機械に設置した各種センサとを電気的に接続し、温度、モーター回転数、振動数、電圧、電流、気温、湿度、照度などを収集して、工作機械の稼働状況や周囲の環境をリアルタイムで計測するといった使い方に用いられる。また、気温ばらつきに応じて窓の局所開閉や局所空調をしたりするシステムや、教室の机上に照度計を備えた無線ノード装置を配置すると共に、天井灯には輝度調節機能を備えた無線ノード装置を配置して、机上での照度のばらつきが少なくなるように天井灯の輝度調整を行うシステムや、市内各所に設置した温度計、湿度計、気圧計、照度計、風向風速計の観測結果を収集するシステムなどが考えられる。
【0022】
<本発明の自然法則の利用性の充足>
【0023】
本発明は、コンピュータと通信設備とソフトウェアとの協働で機能するものである。具体的には、複数の無線ノード装置から構成される無線メッシュネットワークシステムに関するものであり、各無線ノード装置が、無線によるパケット通信を行い、お互いの間で様々な情報やデータがハードウェア資源を用いてやり取りされている。従って、この観点から本願発明はコンピュータなどのリソースを請求項や明細書に記載された事項と、それらの事項に関係する技術常識に基づいて判断すれば、本願発明は全体として自然法則を利用したものであり、また、コンピュータ・ソフトウェア関連発明に該当するものである。
【0024】
<特許法で求められる自然法則の利用の意義>
【0025】
特許法で求められる自然法則の利用とは、法目的に基づいて、発明が産業上利用性を有し、産業の発達に寄与するものでなければならないとの観点から、産業上有用に利用することができる発明であることを担保するために求められるものである。つまり、産業上有用であること、すなわち出願に際して宣言した発明の効果がその発明の実施によってある一定の確実性の下再現できることを求めるものである。この観点から自然法則利用性とは、発明の効果を発揮するための発明の構成である発明特定事項(発明構成要件)のそれぞれが発揮する機能が自然法則を利用して発揮されるものであればよい、と解釈される。さらに言えば、発明の効果とはその発明を利用する利用者に所定の有用性を提供できる可能性があればよいのであって、その有用性を利用者がどのように感じたり、考えたりするかという観点で見るべきではない。したがって、利用者が本システムによって得る効果が心理的な効果であったとしても、その効果自体は求められる自然法則の利用性の対象外の事象である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、実施形態と請求項の相互の関係は以下の通りである。主として、実施形態1の説明は請求項1、3および5に関し、実施形態2の説明は請求項2、4および6に関するものである。本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0027】
<本件発明の無線メッシュネットワークシステムの全体的な構成>
図2は、本件発明における無線メッシュネットワークシステムの全体的構成及び本システムで使用されるアドレス割り当ての一例を示す図である。
本件発明の無線メッシュネットワークシステムでは、少なくとも1以上の無線ノード装置からクラスタが構成されるように設計されている。例えば、1つのクラスタは最大32個の無線ノード装置から構成される。また、1つのネットワークは、少なくとも1以上のクラスタから構成され、最大32個のクラスタで構成されるように設計されている。要するに、8の倍数で表されるように設計されていることが望ましい。
【0028】
図2では、同じタイプの32個の無線ノード装置からなるクラスタのうちの1台は、無線ゲートウェイノード装置として機能し、その無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の通信管理を行う役目を担っている。また、無線ゲートウェイノード装置は、その属するクラスタのいわゆる出入口として他のクラスタとの間の通信管理の役目も担っている。1クラスタ内の無線ノード装置は、0~31までのノードID(アドレス)が予め割り当てられる。そして、クラスタを最大32個接続することで、1つのネットワークを構成する。1ネットワーク内のクラスタは、0~31までのクラスタID(アドレス)が予め割り当てられる。クラスタ間の通信は、各クラスタに属する無線ゲートウェイノード装置が送受信を行い、各クラスタ内の無線ノード装置にはこの無線ゲートウェイノード装置を経由して通信が行われる。更に、1つのネットワークに対して、そのネットワーク外との通信管理を行う無線ルートノード装置が1つ設定され、ネットワーク間の通信を担当する。無線ルートノード装置は、複数の無線ゲートウェイノード装置のうちの1台がその役割を担うこととなる。ネットワークを最大255個接続することで、1つのネットワークシステムが構成される。このネットワークシステムと外部の管理機器(PC、タブレット端末、スマートフォン等の電子機器を含む)との通信は、この複数の無線ルートノード装置のうちの1台がその役割を担う。ここで、このネットワークシステム内のネットワークは、0~255までのネットワークID(アドレス)が予め割り当てられる。このような構成を取ることにより、全体として、最大261120個の無線ノード装置から成る大規模な無線メッシュネットワークを構築することが可能である。
また、アドレスは、(ネットワークID(0~255).クラスタID(0~31).ノードID(0~31))というように表示される。例えば、ネットワーク1のクラスタ21のノード4の場合、「(1.21.4)」と表される。このアドレスにより、各無線ノード装置は識別されると共に、パケット通信の送信元や送信先として設定されることとなる。
なお、無線ルートノード装置や無線ゲートウェイノード装置の割り当ては、無線メッシュネットワークシステム構築時に予め設定することができるようにしてもよいし、外部機器であるPCなどから起動後に設定することができるように構成されてもよい。
【0029】
図3は、本件発明における無線メッシュネットワークシステムのリンク品質情報及び経路情報の一例を示す図である。
この図では、ネットワーク5のクラスタ1における無線ノード装置1~10について、リンク品質情報及び経路情報の状態が表されている。各ノード装置の中に記載された数値は、各ノード装置に割り当てられたアドレスを表している。ここでは、通信可能な無線ノード装置間が直線で結ばれている。後述するリンク品質のランクにより、良い方から順に、太い実線、細い実線、細い点線からなる3種類に区別されて表示されている。ここで、最も悪いリンク品質情報の場合は、通信不能なため、無線ノード装置間に線が引かれていない。
例えば、無線ノード装置(5.1.4)から見た場合、隣接する無線ノード装置(5.1.1)(5.1.2)(5.1.3)(5.1.5)(5.1.6)(5.1.7)の6個については、直接通信可能なので、リンク品質情報及び経路情報がすぐに分かり、記憶することが可能である。この場合、リンク品質情報を4段階のランク付けを行って区別している。例えば、リンク品質の悪い方から良い方に順に並べると、No Link(通信不能)、Poor、Good、Excellentの4段階となる。
例えば、無線ノード装置(5.1.9)から見た場合、無線ノード装置(5.1.8)に対しては、リンク品質情報は「Excellent」状態であることが示されている。また、無線ノード装置(5.1.2)(5.1.10)に対しては、リンク品質情報は「Good」状態であることが示されている。また、無線ノード装置(5.1.1)(5.1.7)に対しては、リンク品質情報は「Poor」状態であることが示されている。
図5は、本件発明における無線メッシュネットワークシステムのリンク品質情報に基づくランク付けの一例を示す図である。この図に表されるように、リンク品質情報をランク付けしたものが示されており、Excellentは、通信品質が非常に良好であり、優先的に利用される。次に、品質の良いGoodは、通信品質に特に問題はなく、受信電波強度(RSSI)の値もデータ欠損が発生しない範囲内にあり、ほぼ通信の失敗はない状態である。Poorは、この経路を利用すると、データ欠損が発生し、受信電波強度(RSSI)が低い状態である。No Linkは、完全に通信不能な状態であり、通信経路として使えないことを表している。
また、無線ノード装置(5.1.4)から見た場合、無線ノード装置(5.1.8)(5.1.9)(5.1.10)は、それぞれ無線ノード装置(5.1.1)(5.1.2)を介してリンク品質情報及び経路情報を取得するように構成される。このようにすることで、クラスタ内の各無線ノード装置におけるリンク品質情報及び経路情報が記憶・把握されることとなる。
【0030】
図4は、本件発明における無線メッシュネットワークシステムのリンク品質情報の一例を示す図である。
この対応表は、上述した
図3におけるクラスタ1の各無線ノード装置間のリンク品質情報を纏めたものである。
このような対応表を各無線ノード装置が記憶しており、どのリンクの通信品質が良いか悪いかを、適宜、記憶・把握することができるように構成されることが好ましい。
本件発明の無線メッシュネットワークシステムにおいて、このようなリンク品質情報及び経路情報は、各無線ノード装置から定期的(例えば、起動時には5秒間に1回の頻度で、安定稼働時には30秒間に1回の頻度で発行されるようにしてもよい)に送信されるビーコン信号により、記憶・把握するように構成してもよい。また、実際に、他の無線ノード装置と通信を行った際のリンク品質情報や経路情報を参照して、記憶・更新するように構成してもよい。
【0031】
図6は、本件発明における無線メッシュネットワークシステムの経路選択条件の一例を示す図である。
この図から分かるように、経路選択には一定の重みづけがなされており、優先順位は良い方から順に、Excellent、Good、Poorとなっている。また、無線ノード装置間をホップする回数も考慮し、2回ホップするExcellentよりも、1回ホップするGoodの方を選択するように設定されている。Poorについては、ExcellentやGoodの経路が無い場合のみ使用できるように設定されている。このような条件の下で、無線ノード装置間の経路情報が選択されることとなる。
【0032】
<実施形態1(主に請求項1、請求項3および請求項5に対応)>
<実施形態1 概要>
本実施形態は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、各無線ゲートウェイノード装置は、無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信部と、を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステムを提供する。
また、それを実現するため、コンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法、並びに、計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムを提供する。
【0033】
<実施形態1 機能的構成>
図7は、実施形態1における無線メッシュネットワークシステムの機能的構成を示す図である。本実施形態では、無線ノード装置が、第1の受信部と、パケット解析部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部と、第2のリンク品質情報・経路情報記憶部と、パケット作成部と、第1の送信部とを備えている。
【0034】
<実施形態1 構成の説明:無線ノード装置の第1の受信部>
「第1の受信部」701は、他の無線ノード装置から送られてきたパケットを受信する機能を有するように構成される。ここで、本件発明では、基本的に2.4GHz帯の無線周波数を利用するように構成されているが、図示していないアンテナなどを変えることにより、他の無線帯域で動作させるように構成することも可能である。
【0035】
<実施形態1 構成の説明:無線ノード装置のパケット解析部>
「パケット解析部」702は、他の無線ノード装置から送られてきたパケットを解析する機能を有するように構成される。一般的に、パケットは、ヘッダー部とペイロード部から構成され、それらの中に様々な情報やデータが格納されている。それらの中にどのような情報やデータが含まれているかを解析し、調べる役割を「パケット解析部」702は担っている。
図8は、実施形態1におけるパケットの構成の一例を示す図である。この図に示されるように、ヘッダー情報には、パケット種別情報、送信元アドレス情報、送信先アドレス情報、リクエストコード情報、ACK情報が含まれる。
パケット種別情報は、そのパケットがどのようなものであるかを示す情報であり、例えば、「000」の場合は、ACK付データ要求パケットを表し、「001」の場合は、ACK付データパケットを表すようにしてもよい。
また、リクエストコード情報は、0~7の値を取り、それぞれの値が意味する種別のデータを取得するように構成される。例えば、各無線ノード装置と工場などの工作機械に設置した各種センサとを電気的に接続し、温度、モーター回転数、振動数、電圧、電流、気温、湿度、照度などを収集して、工作機械の稼働状況や周囲の環境をリアルタイムで計測する場合を考える。この場合、例えば、リクエストコード情報が「0」の場合は「温度」を表し、リクエストコード情報が「1」の場合は「モーター回転数」を表し、リクエストコード情報が「2」の場合は「振動数」を表すといったように構成されることが望ましい。
また、ACK情報は、クラスタを構成する最大32個の無線ノード装置に対応して、32ビットが割り当てられている。即ち、ノードIDが1の無線ノード装置がACKを返す場合には、このACK情報のノードIDが1に対応する部分に「ACK(1)」(肯定応答)が入ることとなる。ノードIDが1の無線ノード装置に不具合があって正常に動作していない場合には、このACK情報の対応する部分に「NAK(0)」(否定応答)が入ることとなる。
また、「パケット解析部」702は、送られてきたパケットのヘッダー情報から送信先アドレスを抽出して自身の無線ノード装置宛のパケットであるか否かを判断する機能も有するように構成される。自身の無線ノード装置宛のパケットであると判断した場合には、パケット種別情報などを参照して、次の動作に進む。なお、自身宛に送られてきたものでないと判断した場合には、リンク品質情報・経路情報記憶部を参照して、次の無線ノード装置に転送する。
例えば、ネットワークIDが1で、クラスタIDが1で、ノードIDが1の場合には、送信先アドレスは(1.1.1)と設定される。また、宛先が複数の場合には、送信先アドレスは(1.1.1)(1.1.2)(1.1.3)と設定される。更に、クラスタ内の全ての無線ノード装置を宛先とする場合には、送信先アドレスは(1.1.X)と設定すればよい。
なお、ACK付データパケットを受信する場合には、ペイロード部において、各無線ノード装置に対応する位置に、リクエストコード情報によって特定された種別のデータが格納されるように構成されることが好ましい。
なお、1つの無線ノード装置につき、格納されるデータ量は最大10バイト程度であることが好ましい。
ここで、ACKとは、「Acknowledgement」(肯定応答)の略語であり、一般的に通信分野では良く使われる技術用語である。二者間の通信で、相手方に何らかの肯定的な応答を返す際に送られる信号やデータ、パケットなどのことをさす。「接続要求を受理した」「データが正しく受信できた」といった内容を伝達するために用いられる。一方、二者間の通信において、受信側で失敗や拒否など否定的応答を表すNAK(Negative ACK)(否定応答)などが用いられることも多い。
【0036】
<実施形態1 構成の説明:無線ノード装置の第1のリンク品質情報・経路情報記憶部>
「第1のリンク品質情報・経路情報記憶部」703は、クラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報や経路情報を記憶する機能を有するように構成される。例えば、上述した
図3や
図4のような情報を記憶するようにしてもよい。また、例えば、リンク品質情報及び経路情報は、各無線ノード装置から定期的(例えば、起動時には5秒間に1回の頻度で、安定稼働時には30秒間に1回の頻度で発行されるようにしてもよい)に送信されるビーコン信号により、記憶・更新されるようにしてもよいし、実際に、他の無線ノード装置と通信を行った際のリンク品質情報や経路情報を参照して、記憶・更新されるように構成してもよい。
【0037】
<実施形態1 構成の説明:無線ノード装置の第2のリンク品質情報・経路情報記憶部>
「第2のリンク品質情報・経路情報記憶部」704は、クラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報や経路情報並びに無線ゲートウェイ装置間のリンク品質情報・経路情報を記憶する機能を有するように構成される。例えば、上述した
図3や
図4のような情報を記憶するようにしてもよい。また、例えば、リンク品質情報及び経路情報は、各無線ノード装置から定期的(例えば、起動時には5秒間に1回の頻度で、安定稼働時には30秒間に1回の頻度で発行されるようにしてもよい)に送信されるビーコン信号により、記憶・更新されるようにしてもよいし、実際に、他の無線ノード装置と通信を行った際のリンク品質情報や経路情報を参照して、記憶・更新されるように構成してもよい。
【0038】
<実施形態1 構成の説明:無線ノード装置のパケット作成部>
「パケット作成部」705は、自身が送信元となってパケットを他の無線ノード装置に送るときに、パケットを作成する機能を有するように構成される。この場合、送信元アドレスは自身のアドレス、例えば、(1.1.1)を設定する。また、パケット種別情報を設定することにより、例えば、「000」の場合は、ACK付データ要求パケットを表し、「001」の場合は、ACK付データパケットを表すようにしてもよい。
ここで、宛先が複数の場合には、送信先アドレスは、例えば、(1.1.1)(1.1.2)(1.1.3)と設定してもよい。更に、クラスタ内の全ての無線ノード装置を宛先とする場合には、送信先アドレスは(1.1.X)と設定してもよい。
また、リクエストコード情報は、0~7の値を取り、それぞれの値が意味する種別のデータを取得するように構成される。例えば、各無線ノード装置と工場などの工作機械に設置した各種センサとを電気的に接続し、温度、モーター回転数、振動数、電圧、電流、気温、湿度、照度などを収集して、工作機械の稼働状況や周囲の環境をリアルタイムで計測する場合を考える。この場合、例えば、リクエストコード情報が「0」の場合は「温度」を表し、リクエストコード情報が「1」の場合は「モーター回転数」を表し、リクエストコード情報が「2」の場合は「振動数」を表すといったように構成されることが望ましい。
また、リクエストコード情報は予め無線メッシュネットワークシステムを構築する際に設定するようにしてもよいし、無線メッシュネットワークシステムと接続される外部機器(例えばPCなど)からリクエストコード情報を設定するようにしてもよい。
【0039】
<実施形態1 構成の説明:無線ノード装置の第1の送信部>
「第1の送信部」706は、第1のリンク品質情報及び経路情報記憶部703並びに第2のリンク品質情報・経路情報記憶部704に記憶されたリンク品質情報・経路情報に基づいて、自身宛ではないパケットを他の無線ノード装置に転送したり、自ら作成したパケットを所定の送信先アドレスで指定された無線ノード装置に対して送信したりする機能を有するように構成される。
ここで、本件発明では、基本的に2.4GHz帯の無線周波数を利用するように構成されているが、図示していないアンテナなどを変えることにより、他の無線帯域で動作させるように構成することも可能である。
【0040】
ここで、本実施形態の無線メッシュネットワークシステムの動作について図面を用いて説明する。
図9は実施形態1の無線メッシュネットワークシステムにおける動作の一例を示す図である。
前提として、クラスタ3に属する無線ルートノード装置(3.3.0)が、クラスタ4内の無線ノード装置(3.4.0)に対してユニキャストでACK付データ要求パケットを送信する場合を考える。
この場合、まず、第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報・経路情報に基づいて、クラスタ3に属する無線ルートノード装置(3.3.0)が、クラスタ0に属する無線ゲートウェイノード装置(3.0.5)並びにクラスタ2に属する無線ゲートウェイノード装置(3.2.2)を経由して、クラスタ4内の無線ゲートウェイノード装置(3.4.10)にACK付データ要求パケットを送信する。
次に、クラスタ4に属する無線ゲートウェイノード装置(3.4.10)が、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、同じクラスタ内の無線ノード装置(3.4.0)に対して、ACK付データ要求パケットを送信する。無線ノード装置(3.4.0)は、このACK付データ要求パケットに応答して、ACK付データパケットを無線ゲートウェイノード装置(3.4.10)に対して送信する。
その後、無線ゲートウェイノード装置(3.4.10)が、ACK付データパケットを、クラスタ2に属する無線ゲートウェイノード装置(3.2.2)並びにクラスタ5に属する無線ゲートウェイノード装置(3.0.5)を経由して、クラスタ3に属する無線ルートノード装置(3.3.0)に送信し、これを受信する。
この場合、無線ルートノード装置(3.3.0)は、ACK付データ要求パケットの中のリクエストコード情報を指定し、必要なデータを取得するように構成される。また、送信先となる無線ノード装置(3.4.0)は、ACK付データ要求パケットのリクエストコード情報を参照して、指定された種別のデータをACK付データパケットに格納して送信するように構成される。
【0041】
<実施形態1 無線メッシュネットワークシステム:ハードウェア構成>
本実施形態における無線メッシュネットワークシステムのハードウェア構成について図を用いて説明する。
【0042】
図10は、本実施形態における無線メッシュネットワークシステムのハードウェア構成を示す図である。この図に示すように、本実施形態における無線ノード装置は、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、所定の情報やデータを記憶・保持する「揮発RAM(SRAM)」と、「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」を備えている。また、外部の無線ノード装置との間で無線による送受信を行う「無線回路」、外部のセンサなどと接続され、情報やデータのやり取りを行う「シリアルI/O」や「汎用I/O」、「カウンタ/タイマ」、「A-D/D-Aコンバータ」などを備えている。そして、それらが「内部バス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0043】
ここに「揮発RAM(SRAM)」は、各種処理を行うプログラムを「CPU」に実行させるために読み出すと同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また、この「揮発RAM(SRAM)」や「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理を行うことが可能になっている。本実施形態において、「揮発RAM(SRAM)」に格納されているプログラムは、第1のリンク品質・経路情報記憶プログラム、第2のリンク品質情報・経路情報記憶プログラム、第1の送信プログラム、第1の受信プログラム、パケット解析プログラム、パケット作成プログラムである。また、「揮発RAM(SRAM)」と「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」には、リンク品質情報、経路情報、パケット種別情報、送信元アドレス、送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報、データなどが格納されている。
【0044】
「CPU」は、「揮発RAM(SRAM)」に格納されている第1のリンク品質情報・経路情報記憶プログラムを実行して、クラスタ内の無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を「揮発RAM(SRAM)」や「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」に格納する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されている第2のリンク品質情報・経路情報記憶プログラムを実行して、クラスタ内の無線ノード装置間のリンク品質情報・経路情報並びに無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報・経路情報を「揮発RAM(SRAM)」や「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」に格納する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されている第1の受信プログラムを実行して、他の無線ノード装置から送られてくるパケットを受信する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されているパケット解析プログラムを実行して、受信したパケットを解析し、パケット種別情報、送信元アドレスや送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報、データなどを「揮発RAM(SRAM)」や「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」に格納する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されているパケット作成プログラムを実行して、パケット種別情報、送信元アドレス、送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報などに基づき、パケットを作成する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されている第1の送信プログラムを実行して、自身宛ではないパケットを他の無線ノード装置に送信したり、自身で作成したパケットを他の無線ノード装置に送信したりする。
【0045】
<実施形態1 無線メッシュネットワークシステム:処理の流れ>
図11は、本実施形態における無線メッシュネットワークシステムを利用した場合の処理の流れを示す図である。図に示されるように、第1の受信ステップS1101と、パケット解析ステップS1102と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップS1103と、第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップS1104と、パケット作成ステップS1105と、第1の送信ステップS1106とからなる処理方法である。これらの処理方法は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、各無線ゲートウェイノード装置は、無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信部と、を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステムによって実行されるものである。
【0046】
「第1の受信ステップ」S1101とは、他の無線ノード装置から送られてくるパケットを受信する段階である。
【0047】
「パケット解析ステップ」S1102とは、他の無線ノード装置から受信したパケットを解析する段階である。
【0048】
「第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ」S1103とは、クラスタ内の無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する段階である。
【0049】
「第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ」S1104とは、クラスタ内の無線ノード装置間のリンク品質情報・経路情報並びに無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報・経路情報を記憶する段階である。
【0050】
「パケット作成ステップ」S1105とは、パケット種別情報、送信元アドレス、送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報などに基づき、パケットを作成する段階である。
【0051】
「第1の送信ステップ」S1106とは、自身宛ではないパケットを他の無線ノード装置に送信したり、自身で作成したパケットを他の無線ノード装置に送信したりする段階である。
【0052】
<まとめ>
以上により、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、各無線ゲートウェイノード装置は、無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置に対してユニキャストでデータ要求パケットを送信する第1の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第1の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の1つの無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第1の受信部と、を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステムを提供することができる。
【0053】
<実施形態2(主に請求項2、請求項4および請求項6に対応)>
<実施形態2 概要>
本実施形態は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、各無線ゲートウェイノード装置は、当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第2の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信部と、を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステムを提供する。また、それを実現するため、コンピュータである無線メッシュネットワークシステムの動作方法、並びに、計算機である無線メッシュネットワークシステムに読み取り実行可能に記述した無線メッシュネットワークシステムの動作プログラムを提供する。
【0054】
<実施形態2 機能的構成>
図12は、実施形態2における無線メッシュネットワークシステムの機能的構成を示す図である。本実施形態では、無線ノード装置が、第2の受信部と、パケット解析部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部と、第2のリンク品質情報・経路情報記憶部と、パケット作成部と、第2の送信部とを備えている。
【0055】
<実施形態2 構成の説明:無線ノード装置の第2の受信部>
「第2の受信部」1201は、他の無線ノード装置から送られてきたパケットを受信する機能を有するように構成される。ここで、本件発明では、基本的に2.4GHz帯の無線周波数を利用するように構成されているが、図示していないアンテナなどを変えることにより、他の無線帯域で動作させるように構成することも可能である。
【0056】
<実施形態2 構成の説明:無線ノード装置のパケット解析部>
「パケット解析部」1202は、他の無線ノード装置から送られてきたパケットを解析する機能を有するように構成される。一般的に、パケットは、ヘッダー部とペイロード部から構成され、それらの中に様々な情報やデータが格納されている。それらの中にどのような情報やデータが含まれているかを解析し、調べる役割を「パケット解析部」1202は担っている。
図13は、実施形態2におけるパケットの構成の一例を示す図である。この図に示されるように、ヘッダー情報には、パケット種別情報、送信元アドレス、送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報などが含まれる。
パケット種別情報は、そのパケットがどのようなものであるかを示す情報であり、例えば、「000」の場合は、ACK付データ要求パケットを表し、「001」の場合は、ACK付データパケットを表すようにしてもよい。
また、リクエストコード情報は、0~7の値を取り、それぞれの値が意味する種別のデータを取得するように構成される。例えば、各無線ノード装置と工場などの工作機械に設置した各種センサとを電気的に接続し、温度、モーター回転数、振動数、電圧、電流、気温、湿度、照度などを収集して、工作機械の稼働状況や周囲の環境をリアルタイムで計測する場合を考える。この場合、例えば、リクエストコード情報が「0」の場合は「温度」を表し、リクエストコード情報が「1」の場合は「モーター回転数」を表し、リクエストコード情報が「2」の場合は「振動数」を表すといったように構成されることが望ましい。
また、ACK情報は、クラスタを構成する最大32個の無線ノード装置に対応して、32ビットが割り当てられている。即ち、ノードIDが1の無線ノード装置がACKを返す場合には、このACK情報のノードIDが1に対応する部分に「ACK(1)」(肯定応答)が入ることとなる。ノードIDが1の無線ノード装置に不具合があって正常に動作していない場合には、このACK情報の対応する部分に「NAK(0)」(否定応答)が入ることとなる。
また、「パケット解析部」1202は、送られてきたパケットのヘッダー情報から送信先アドレスを抽出して自身の無線ノード装置宛のパケットであるか否かを判断する機能も有するように構成される。自身の無線ノード装置宛のパケットであると判断した場合には、パケット種別情報などを参照して、次の動作に進む。なお、自身宛に送られてきたものでないと判断した場合には、リンク品質情報・経路情報記憶部を参照して、次の無線ノード装置に転送する。
例えば、ネットワークIDが1で、クラスタIDが1で、ノードIDが1の場合には、送信先アドレスは(1.1.1)と設定される。また、宛先が複数の場合には、送信先アドレスは(1.1.1)(1.1.2)(1.1.3)と設定される。更に、クラスタ内の全ての無線ノード装置を宛先とする場合には、送信先アドレスは(1.1.X)と設定すればよい。
なお、ACK付データパケットを受信する場合には、ペイロード部において、各無線ノード装置に対応する位置に、リクエストコード情報によって特定された種別のデータが格納されてくるように構成されることが好ましい。
なお、1つの無線ノード装置につき、格納されるデータ量は最大10バイト程度であることが好ましい。
ここで、ACKとは、「Acknowledgement」(肯定応答)の略語であり、一般的に通信分野では良く使われる技術用語である。二者間の通信で、相手方に何らかの肯定的な応答を返す際に送られる信号やデータ、パケットなどのことをさす。「接続要求を受理した」「データが正しく受信できた」といった内容を伝達するために用いられる。一方、二者間の通信において、受信側で失敗や拒否など否定的応答を表すNAK(Negative ACK)(否定応答)などが用いられることも多い。
【0057】
<実施形態2 構成の説明:無線ノード装置の第1のリンク品質情報・経路情報記憶部>
「第1のリンク品質情報・経路情報記憶部」1203は、クラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報や経路情報を記憶する機能を有するように構成される。例えば、上述した
図3や
図4のような情報を記憶するようにしてもよい。また、例えば、リンク品質情報及び経路情報は、各無線ノード装置から定期的(例えば、起動時には5秒間に1回の頻度で、安定稼働時には30秒間に1回の頻度で発行されるようにしてもよい)に送信されるビーコン信号により、記憶・更新されるようにしてもよいし、実際に、他の無線ノード装置と通信を行った際のリンク品質情報や経路情報を参照して、記憶・更新されるように構成してもよい。
【0058】
<実施形態2 構成の説明:無線ノード装置の第2のリンク品質情報・経路情報記憶部>
「第2のリンク品質情報・経路情報記憶部」1204は、クラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報・経路情報並びに無線ゲートウェイ装置間のリンク品質情報・経路情報を記憶する機能を有するように構成される。例えば、上述した
図3や
図4のような情報を記憶するようにしてもよい。また、例えば、リンク品質情報及び経路情報は、各無線ノード装置から定期的(例えば、起動時には5秒間に1回の頻度で、安定稼働時には30秒間に1回の頻度で発行されるようにしてもよい)に送信されるビーコン信号により、記憶・更新されるようにしてもよいし、実際に、他の無線ノード装置と通信を行った際のリンク品質情報や経路情報を参照して、記憶・更新されるように構成してもよい。
【0059】
<実施形態2 構成の説明:無線ノード装置のパケット作成部>
「パケット作成部」1205は、自身が送信元となってパケットを他の無線ノード装置に送るときに、パケットを作成する機能を有するように構成される。この場合、送信元アドレスは自身のアドレス、例えば、(1.1.1)を設定する。また、パケット種別情報を設定することにより、例えば、「000」の場合は、ACK付データ要求パケットを表し、「001」の場合は、ACK付データパケットを表すようにしてもよい。
ここで、宛先が複数の場合には、送信先アドレスは、例えば、(1.1.1)(1.1.2)(1.1.3)と設定してもよい。更に、クラスタ内の全ての無線ノード装置を宛先とする場合には、送信先アドレスは(1.1.X)と設定してもよい。
また、リクエストコード情報は、0~7の値を取り、それぞれの値が意味する種別のデータを取得するように構成される。例えば、各無線ノード装置と工場などの工作機械に設置した各種センサとを電気的に接続し、温度、モーター回転数、振動数、電圧、電流、気温、湿度、照度などを収集して、工作機械の稼働状況や周囲の環境をリアルタイムで計測する場合を考える。この場合、例えば、リクエストコード情報が「0」の場合は「温度」を表し、リクエストコード情報が「1」の場合は「モーター回転数」を表し、リクエストコード情報が「2」の場合は「振動数」を表すといったように構成されることが望ましい。
また、リクエストコード情報は予め無線メッシュネットワークシステムを構築する際に設定するようにしてもよいし、無線メッシュネットワークシステムと接続される外部機器(例えばPCなど)からリクエストコード情報を設定するようにしてもよい。
【0060】
<実施形態2 構成の説明:無線ノード装置の第2の送信部>
「第2の送信部」1206は、第1のリンク品質情報及び経路情報記憶部1203並びに第2のリンク品質情報・経路情報記憶部1204に記憶されたリンク品質情報・経路情報に基づいて、自身宛ではないパケットを他の無線ノード装置に転送したり、自ら作成したパケットを所定の送信先アドレスで指定された無線ノード装置に対して送信したりする機能を有するように構成される。
ここで、本件発明では、基本的に2.4GHz帯の無線周波数を利用するように構成されているが、図示していないアンテナなどを変えることにより、他の無線帯域で動作させるように構成することも可能である。
【0061】
ここで、本実施形態の無線メッシュネットワークシステムの動作について図面を用いて説明する。
図14は実施形態2の無線メッシュネットワークシステムにおける動作の一例を示す図である。
前提として、クラスタ3に属する無線ゲートウェイノード装置(3.3.0)が、クラスタ4の3つの無線ノード装置(3.4.0)(3.4.1)(3.4.6)に対してマルチキャストでACK付データ要求パケットを送信する場合を考える。
この場合、まず、第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報・経路情報に基づいて、クラスタ3に属する無線ゲートウェイノード装置(3.3.0)が、クラスタ0に属する無線ゲートウェイノード装置(3.0.5)並びにクラスタ2に属する無線ゲートウェイノード装置(3.2.2)を経由して、クラスタ4内の無線ゲートウェイノード装置(3.4.10)にACK付データ要求パケットを送信する。
次に、クラスタ4に属する無線ゲートウェイノード装置(3.4.10)は、同じクラスタ内の無線ノード装置(3.4.0)(3.4.1)(3.4.6)に対して、ACK付データ要求パケットを送信する。これに応答して、無線ノード装置(3.4.0)(3.4.1)(3.4.6)は、それぞれACK付データパケットを無線ゲートウェイノード装置(3.4.10)に対して送信する。この場合、3つの無線ノード装置が同じ宛先に対してACK付データパケットを送信するため、キャリアセンス技術等を利用して、送信するタイミングを調整した上で、送信するようにすることが好ましい。
その後、無線ゲートウェイノード装置(3.4.10)が、ACK付データパケットを、クラスタ2に属する無線ゲートウェイノード装置(3.2.2)並びにクラスタ5に属する無線ゲートウェイノード装置(3.0.5)を経由して、クラスタ3に属する無線ルートノード装置(3.3.0)に送信し、これを受信する。
この場合、無線ルートノード装置(3.3.0)は、ACK付データ要求パケットの中のリクエストコード情報を指定し、必要なデータを取得するように構成される。また、送信先となる無線ノード装置(3.4.0)(3.4.1)(3.4.6)は、それぞれACK付データ要求パケットのリクエストコード情報を参照して、指定された種別のデータをACK付データパケットに格納して送信するように構成される。
【0062】
<実施形態2 無線メッシュネットワークシステム:ハードウェア構成>
本実施形態における無線メッシュネットワークシステムのハードウェア構成について図を用いて説明する。
【0063】
図15は、本実施形態における無線メッシュネットワークシステムのハードウェア構成を示す図である。この図に示すように、本実施形態における無線ノード装置は、各種演算処理を行う「CPU(中央演算装置)」と、所定の情報やデータを記憶・保持する「揮発RAM(SRAM)」と、「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」を備えている。また、外部の無線ノード装置との間で無線による送受信を行う「無線回路」、外部のセンサなどと接続され、情報やデータのやり取りを行う「シリアルI/O」や「汎用I/O」、「カウンタ/タイマ」、「A-D/D-Aコンバータ」などを備えている。そして、それらが「内部バス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0064】
ここに「揮発RAM(SRAM)」は、各種処理を行うプログラムを「CPU」に実行させるために読み出すと同時に、そのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また、この「揮発RAM(SRAM)」や「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理を行うことが可能になっている。本実施形態において、「揮発RAM(SRAM)」に格納されているプログラムは、第1のリンク品質・経路情報記憶プログラム、第2のリンク品質情報・経路情報記憶プログラム、第2の送信プログラム、第2の受信プログラム、パケット解析プログラム、パケット作成プログラムである。また、「揮発RAM(SRAM)」と「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」には、リンク品質情報、経路情報、パケット種別情報、送信元アドレス、送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報、データなどが格納されている。
【0065】
「CPU」は、「揮発RAM(SRAM)」に格納されている第1のリンク品質情報・経路情報記憶プログラムを実行して、クラスタ内の無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を「揮発RAM(SRAM)」や「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」に格納する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されている第2のリンク品質情報・経路情報記憶プログラムを実行して、クラスタ内の無線ノード装置間のリンク品質情報・経路情報並びに無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報・経路情報を「揮発RAM(SRAM)」や「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」に格納する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されている第2の受信プログラムを実行して、他の無線ノード装置から送られてくるパケットを受信する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されているパケット解析プログラムを実行して、受信したパケットを解析し、パケット種別情報、送信元アドレスや送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報、データなどを「揮発RAM(SRAM)」や「不揮発ROM(フラッシュメモリ)」に格納する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されているパケット作成プログラムを実行して、パケット種別情報、送信元アドレス、送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報などに基づき、パケットを作成する。
また、「揮発RAM(SRAM)」に格納されている第2の送信プログラムを実行して、自身宛ではないパケットを他の無線ノード装置に送信したり、自身で作成したパケットを他の無線ノード装置に送信したりする。
【0066】
<実施形態2 無線メッシュネットワークシステム:処理の流れ>
図16は、本実施形態における無線メッシュネットワークシステムを利用した場合の処理の流れを示す図である。図に示されるように、第2の受信ステップS1601と、パケット解析ステップS1602と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップS1603と、第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップS1604と、パケット作成ステップS1605と、第2の送信ステップS1606とからなる処理方法である。これらの処理方法は、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、各無線ゲートウェイノード装置は、当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第2の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信部と、を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステムによって実行されるものである。
【0067】
「第2の受信ステップ」S1601とは、他の無線ノード装置から送られてくるパケットを受信する段階である。
【0068】
「パケット解析ステップ」S1602とは、他の無線ノード装置から受信したパケットを解析する段階である。
【0069】
「第1のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ」S1603とは、クラスタ内の無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する段階である。
【0070】
「第2のリンク品質情報・経路情報記憶ステップ」S1604とは、クラスタ内の無線ノード装置間のリンク品質情報・経路情報並びに無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報・経路情報を記憶する段階である。
【0071】
「パケット作成ステップ」S1605とは、パケット種別情報、送信元アドレス、送信先アドレス、リクエストコード情報、ACK情報などに基づき、パケットを作成する段階である。
【0072】
「第2の送信ステップ」S1606とは、自身宛ではないパケットを他の無線ノード装置に送信したり、自身で作成したパケットを他の無線ノード装置に送信したりする段階である。
【0073】
<まとめ>
以上により、パケットを送受信可能な少なくとも1以上の無線ノード装置を含み、少なくとも1以上のクラスタから成る少なくとも1つのネットワークで構成される無線メッシュネットワークシステムであって、クラスタ内の無線ノード装置のうちの1つの無線ノード装置が、無線ゲートウェイノード装置として機能すると共に、ネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置のうちの1つが、無線ルートノード装置として機能し、各無線ノード装置は、当該無線ノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第1のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、各無線ゲートウェイノード装置は、当該無線ゲートウェイノード装置が属するクラスタ内の全ての無線ノード装置間及びネットワーク内の無線ゲートウェイノード装置間のリンク品質情報及び経路情報を記憶する第2のリンク品質情報・経路情報記憶部を有し、無線ルートノード装置は、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置に対してマルチキャストでデータ要求パケットを送信する第2の送信部と、第1のリンク品質情報・経路情報記憶部又は/及び第2のリンク品質情報・経路情報記憶部に記憶されたリンク品質情報及び経路情報に基づいて、第2の送信部で送信されたデータ要求パケットに応答して、送信先であるクラスタ内の所定の複数の無線ノード装置からACK付データパケットを受信する第2の受信部と、を有することを特徴とする無線メッシュネットワークシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0074】
無線ノード装置:700、1200
第1の受信部:701
第2の受信部:1201
パケット解析部:702、1202
第1のリンク品質情報・経路情報記憶部:703、1203
第2のリンク品質情報・経路情報記憶部:704、1204
パケット作成部:705、1205
第1の送信部:706
第2の送信部:1206