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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149404
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ロゴスキーコイル
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20231005BHJP
   H01F 38/30 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01R15/18 A
H01F38/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057955
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000145954
【氏名又は名称】株式会社昭電
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 桂
(72)【発明者】
【氏名】向後 博
(72)【発明者】
【氏名】小原 丈人
【テーマコード(参考)】
2G025
5E081
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA11
2G025AB14
2G025AC01
5E081AA05
(57)【要約】
【課題】静電シールド部材等を用いることなくリターン線を不要にし、しかも簡単に製造可能としてコストの低減を可能にしたロゴスキーコイルを提供する。
【解決手段】被測定電流Iが流れる導体20を包囲するように配置されるコイル120と、被覆部材121と、コイル120の始端部120aに接続される第1出力線120cと、コイル120の終端部120bが接続される第1接続部材123bと、第1接続部材123bとコネクタ結合により機械的かつ電気的に接続される第2接続部材122aと、第2接続部材122aに接続される第2出力線120dとを備え、被測定電流Iに応じてコイル120に流れる電流を、出力ケーブル124内の第1,第2出力線120c,120dを介して測定回路16により測定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定電流が流れる導体を包囲するように配置されるコイルと、
前記コイルを被覆する被覆部材と、
前記コイルの始端部に接続される第1出力線と、
前記コイルの終端部が接続される第1接続部材と、
前記第1接続部材とコネクタ結合により機械的かつ電気的に接続される第2接続部材と、
前記第2接続部材に接続される第2出力線と、
を備え、
前記被測定電流に応じて前記コイルに流れる電流を、前記第1出力線及び前記第2出力線を介して測定回路により測定可能にしたことを特徴とするロゴスキーコイル。
【請求項2】
請求項1に記載したロゴスキーコイルにおいて、
気体、液体または粉体を流通させる中空のホースの周壁部に配置された補強用の導体を前記コイルとし、前記周壁部を前記被覆部材として利用したことを特徴とするロゴスキーコイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば風力発電設備のタワーや送電鉄塔の塔脚部に設置されて落雷時の雷サージ電流の大きさや落雷回数等を測定するためのロゴスキーコイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のロゴスキーコイルとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
図5は、特許文献1に記載されたロゴスキーコイルを示している。図5において、10はロゴスキーコイル本体、11は巻芯、12は巻芯11の周方向に沿って巻かれたコイル、13はコイル12のリターン線、14,15は出力線、16は検出信号の増幅、積分等を行う測定回路、17は測定結果を表示する表示部、18はロゴスキーコイル本体10の内外周面を包囲する静電シールド部材である。
【0003】
周知のように、ロゴスキーコイルは、被測定電流Iが流れる導体20を包囲するように設置されるものであり、被測定電流Iにより発生した磁束がコイル12に鎖交して誘導起電力を生じ、この誘導起電力により流れる電流を検出して被測定電流Iの大きさ等を測定している。
例えば、風力発電設備のブレードやタワー、または送電鉄塔に落雷して発生した雷サージ電流を測定する場合には、タワーや送電鉄塔の塔脚部を包囲するようにロゴスキーコイル本体10を設置する必要があり、出力線14,15をロゴスキーコイル本体10の一端部側でまとめて処理するために、コイル12の終端部をリターン線13により始端部近傍に戻して出力線14,15を引き出している。
【0004】
しかしながら、リターン線13をコイル12の中心に通しながらその始端部側に引き回す作業は極めて煩雑であり、製造時間が長期化して多大な労力が必要になる。
このため、例えば特許文献2では、図6のロゴスキーコイル本体10Aに示すように、コイル12の終端部を静電シールド部材18に接続し、この静電シールド部材18を等価的なリターン線として利用することにより図5のリターン線13を不要にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5547031号公報(図1等)
【特許文献2】特開2011-174769号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載されたロゴスキーコイルでは、静電シールド部材18が必要不可欠であり、静電シールド部材18を備えていない場合には図6に示す構造を採用することができない。
また、設置対象であるタワーや送電鉄塔の塔脚部が大きくなるほど、ロゴスキーコイルの周方向の長さが長くなるため、コイル12を巻芯11に沿って巻き進める作業に多大な労力や時間を必要とし、これがコスト高を招いていた。
【0007】
そこで、本発明の解決課題は、静電シールド部材等を用いることなくリターン線を不要にし、しかも簡単に製造可能としてコストの低減を可能にしたロゴスキーコイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のロゴスキーコイルは、請求項1に記載するように、被測定電流が流れる導体を包囲するように配置されるコイルと、コイルを被覆する被覆部材と、コイルの始端部に接続される第1出力線と、コイルの終端部が接続される第1接続部材と、この第1接続部材とコネクタ結合により機械的かつ電気的に接続される第2接続部材と、この第2接続部材に接続される第2出力線とを備え、被測定電流に応じてコイルに流れる電流を、第1出力線及び第2出力線を介して測定回路により測定可能にしたものである。
【0009】
また、本発明は、請求項2に記載するように、気体、液体または粉体を流通させる中空のホースの周壁部に配置された補強用の導体を前記コイルとし、前記周壁部を前記被覆部材として利用することが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、静電シールド部材等を用いることなくリターン線を不要にすることができる。また、気体や液体、粉体を流通させる中空のホースの周壁部に設けられた補強用の導体をコイルとして利用し、かつ、前記周壁部を被覆部材として利用すれば、製造容易かつ低コストのロゴスキーコイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態を示す全体構成図である。
図2】本発明の実施形態におけるロゴスキーコイル本体の部分断面図である。
図3】本発明の実施形態におけるコネクタ部分の拡大説明図である。
図4図1に示した測定回路の一例を示す回路図である。
図5】従来技術を示すロゴスキーコイルの構成図である。
図6】他の従来技術を示すロゴスキーコイルの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、この実施形態に係るロゴスキーコイルの全体構成図である。
図1において、100は両端部をコネクタ結合可能なロゴスキーコイル本体である。このロゴスキーコイル本体100は被覆部材121の内部に電流検出用のコイル120が収容されており、被測定電流Iが流れる導体20を包囲できるように全体が可撓性を有している。導体20は、例えば風力発電設備のタワーに内蔵された接地線や送電鉄塔の塔脚部であり、被測定電流Iは導体20に流れる雷サージ電流である。
【0013】
ロゴスキーコイル本体100の両端部には、コネクタ122,123がそれぞれ設けられている。これらのコネクタ122,123は、導体20を包囲するようにロゴスキーコイル本体100を設置した状態で、後述する第1接続部123bと第2接続部122aとを機械的かつ電気的に接続するためのものである。
また、コネクタ122側には、コイル120の始端部と終端部とにそれぞれ接続される後述の出力線120c,120dを収容する出力ケーブル124が設けられており、この出力ケーブル124には測定回路16と表示部17が順次接続されている。
【0014】
図2は、ロゴスキーコイル本体100の部分断面図である。このロゴスキーコイル本体100としては、気体、液体または粉体を流通させる中空のホースを用いることができ、合成樹脂またはゴム等からなる周壁部を被覆部材121とし、その内面に巻かれた補強用の導体(鋼線等)をコイル120として利用することができる。
【0015】
図3は、ロゴスキーコイル本体100のコネクタ部分を拡大して示したものである。
一方のコネクタ122の内部において、コイル120の始端部(巻始め部)120aは第1出力線120cに接続されている。また、コネクタ122の内部には、第2出力線120dに接続された第2接続部122aが配置されており、前記第1出力線120cと第2出力線120dとは出力ケーブル124によって前記測定回路16に接続されている。
更に、他方のコネクタ123の内部には、コイル120の終端部(巻終わり部)120bに接続された第1接続部123bが配置されており、コネクタ122,123を結合することにより両接続部122a,123bが機械的かつ電気的に接続されるように構成されている。
【0016】
図3では、コネクタ122,123や第1接続部123b,第2接続部122aの形状、構造をあくまで概念的、原理的に簡略して示してあり、これらの具体的な形状、構造は図示例に何ら限定されるものではない。例えば、接続部122a,123bは、図示するオス型とメス型との接続構造以外のものであっても良い。
すなわち、コネクタ122,123や接続部122a,123bは、ロゴスキーコイル本体100の両端部を機械的に結合することによって接続部122a,123b同士を電気的に接続可能なものであれば、いかなる形状、構造であっても良い。
【0017】
次に、図4は測定回路16の一例を示す回路図である。
図4において、入力端子INには前述した出力ケーブル124の出力線120c,120dが接続されている。抵抗R及びコンデンサCはローパスフィルタ(積分器)として機能し、例えば、0.1~300[kHz]の信号(電流信号)を基準となる利得から±3[dB]の範囲で通過させる。このローパスフィルタの出力信号のゲインが信号ケーブル124の長さ及びコイル120の外径に応じて所定値になるように、抵抗Rは可変抵抗として構成されている。
【0018】
抵抗RとコンデンサCとの接続点は第1のオペアンプOPの反転入力端子に接続され、このオペアンプOPの非反転入力端子は接地されている。また、オペアンプOPの帰還回路には、抵抗R,Rの直列回路とコンデンサCとの並列回路が接続され、抵抗R,R同士の接続点は抵抗Rを介して接地されている。
帰還回路に抵抗R,R,R及びコンデンサCを有する上記オペアンプOPは、ローパスフィルタ(積分器)を介して入力された信号を積分して所定の大きさの電圧を出力するように動作する。
【0019】
更に、抵抗RとコンデンサCとの接続点は抵抗Rを介して第2のオペアンプOPの反転入力端子に接続され、このオペアンプOPの非反転入力端子は接地されている。また、オペアンプOPの帰還回路には抵抗Rが接続されており、上記抵抗R,Rの比に応じて増幅された電圧が出力端子OUTから図1の表示部17に送られ、雷サージ電流の大きさが落雷時刻や落雷回数と共に表示される。なお、図4ではオペアンプOP,OPの正負電源の図示を省略してある。
出力端子OUTから得られる信号は、外部に伝送して集中的に監視しても良い。
【0020】
なお、本発明の要旨は、ロゴスキーコイル本体100からコイル120のリターン線を除去すること、及び、ロゴスキーコイル本体100の両端部をコネクタによって結合すること等にあり、測定回路16の構成は図4に示したものに何ら限定されないのは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
16:測定回路
17:表示部
20:導体
100:ロゴスキーコイル本体
120:コイル
120a:始端部
120b:終端部
120c:第1出力線
120d:第2出力線
121:被覆部材
122,123:コネクタ
122a:第2接続部材
123b:第1接続部材
124:信号ケーブル
I:被測定電流
IN:入力端子
OUT:出力端子
OP,OP:オペアンプ
~R6:抵抗
,C:コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6