(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014942
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】測位センサー付きウエイトトレーニング器具およびトレーニング記録システム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20230124BHJP
A63B 21/072 20060101ALI20230124BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20230124BHJP
【FI】
A63B69/00 C
A63B21/072 B
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119186
(22)【出願日】2021-07-19
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】318006033
【氏名又は名称】山下 克宏
(72)【発明者】
【氏名】山下克宏
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】
鉄アレイ、ダンベルあるいはバーベルなどのウエイトトレーニング器具を用いたトレーニングにおいて、トレーニングの実施内容を自動的かつ正確に記録するための器具及び記録システムを提供すること。
【解決手段】
鉄アレイ、ダンベルあるいはバーベルなどのウエイトトレーニング器具に測位センサを設置し、トレーニングの実施状況を測位情報から取得し記録、保存、閲覧できるシステムを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位センサーを設置したバーベルあるいはダンベルなどのウエイトトレーニング器具
【請求項2】
測位センサーがバーベルあるいはダンベルのシャフト両端に設置されていることを特徴とする請求項1のウエイトトレーニング器具
【請求項3】
測位センサーがbluetoothの方向検知機能を利用した方式であることを特徴とする請求項1のウエイトトレーニング器具
【請求項4】
重量等の情報が記録されたパッシブ型のRFIDタグが取り付けられた重りをシャフトに取り付けることを特徴とす請求項2のウエイトトレーニング器具
【請求項5】
請求項1から4のバーベルあるいはダンベルなどのウエーとトレーニング器具の測位情報をもとにトレーニング実施内容を記録することを特徴とするトレーニング記録システム
【請求項6】
トレーニング実施状況を撮影した画像解析情報をもとにトレーニング内容を分類することを特徴とする請求項5のトレーニング記録システム
【請求項7】
近距離無線通信を用いた認識装置により、トレーニングを実施している人物を同定することを特徴とする請求項5のトレーニング記録システム
【請求項8】
トレーニングの画像解析情報をもとに人物を同定することを特徴とする請求項6のトレーニング記録システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィットネスやトレーニングジムなどの運動訓練サービスを提供する場面において、バーベルやダンベルに設置した測位センサーの位置情報の時系列変化を取得することによりトレーニング実施内容を判定、記録するシステムを提供する。パッシブ型RFIDタグで重りのセッティング状況を取得することや、IDカードや画像解析でトレーニング実施者の同定を行うことなどで、自動的にトレーニング内容を記録することが可能となる。
【背景技術】
【0002】
フィットネスやリハビリを実施する場面において、どの様な動作を何度実施したかを記録し、どの程度その動作を適切に実施できたかを記録することは訓練の成果を得るために非常に重要である。しかしながら、従来はその実施回数や動作の質に関しての評価はトレーニング実施者自身のカウントや判断で行われることがほとんどであり、客観性がなくまた情報の共有も難しかった。フィットネスジムなどに設置される機器のうち、トレッドミル(ランニングマシン)など有酸素運動など、運動強度や継続時間がすでにデジタル化されているトレーニング機器もあるが、重り等を使った筋力トレーニング機器については実施回数と重り重量などを自動的にデジタル記録し、トレーニング管理に活用するシステムは知られていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、鉄アレイ、ダンベルあるいはバーベルなどのウエイトトレーニング器具を用いたトレーニングにおいて、トレーニングの実施内容を自動的かつ正確に記録するための器具及び記録システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、鉄アレイ、ダンベルあるいはバーベルなどのウエイトトレーニング器具に測位センサーを設置し、その位置情報の時系列変化を取得することによりトレーニング内容を解析、記録することが可能となる。物体の位置情報を取得する方式としては屋外であればGPSがよく知られているが通常ウエイトトレーニングを実施する屋内では用いることが難しい。屋内における測位方法としては、発信機からの信号を複数の受信機で受け取り、発信機と受信機の距離情報を求め、位置情報に変換する方法が好ましい方法の1つである。例えば、ビーコンからの信号強度であるRSSIを用いる方法などが挙げられる。他の好ましい形態としては、気圧の変化を検出する高度センサーによりウエイトトレーニング機器の高さ情報を取得する方法が挙げられる。本発明において最も好ましい測位方式は、bluetoothの方向検知機能を利用した方式である。特に鉄アレイ、ダンベルあるいはバーベルなどのウエイトトレーニング器具に取り付ける測位センサーを発信機とし、複数の受信機で信号の到着角度を計測する到着角度方式が特に好ましい。この方法により発信機は小型化、軽量化及び省電力化が可能となる。
この方式では、3箇所以上の受信機を配置することが好ましい。
【0005】
鉄アレイ、ダンベルあるいはバーベルなどのウエイトトレーニング器具に取り付ける測位センサーは、シャフト両端に設置されていることが好ましい。これにより測位精度が向上するだけでなく、シャフトの傾きや回転などの動作の取得も可能となる。
【0006】
ダンベルあるいはバーベルは取り付ける重りを変更できるが、取り付けた重りの情報を自動的に取得することも好ましい。自動的に取得する好ましい方法の1つは、画像解析により重り種類の検出を行うことである。本発明においては、トレーニング実施内容の解析に画像解析を行うことが特に好ましい形態であるため、この解析の中でシャフトに取り付けた重りの種類の検出を行うことは例えば重りの重量によって色を変えたりすることで比較的容易に実現可能である。本発明において、重りの情報を自動的に取得する最も好ましい方法は、パッシブ型のRFID(radio frequency identifier)タグを重りに取り付け、その情報を読み取る方法である。
【0007】
本発明において、トレーニング実施者の特定も重要である。特にトレーニングジムやフィットネスジムで本システムを活用することを考慮するとトレーニング実施者を特定することは必須である。実施者を特定する方法としては、近距離無線通信を用いた自動認識装置を用いることが好ましい。近距離無線通信として好ましい形態の一つは、RFタグを用いる方法であり、トレーニングジム等の施設が個人識別用に配布したRFタグにより自動認識し、トレーニングマシンの稼働情報とともに実施者情報を記録することができる。また別の好ましい方法としては、実施者が登録したスマートフォンやウエアラブル端末とBluetoothでの通信である。これらの通信は距離センサーアレイを制御するマイクロコンピュータとの間で通信し、トレーニングマシン稼働情報とともにデータベースに記録することが好ましい。
トレーニング実施者がトレーニング内容を記録するという意思を持って情報取得するという意味では、トレーニングジム等の会員カードなどを個人認証用機器で能動的に個人認証した上で記録を行うシステムがより好ましい。
【0008】
トレーニング実施者の情報を取得するための別の好ましい方法としては、トレーニングジム内に設置したカメラの画像を元に画像認識にて人物特定する方法である。トレーニングジムで入会時に提供または撮影された画像を元にディープラーニング手法で人物特定できるようにしておくことで、施設内のどの場所にどのくらい滞在したかなども把握できるため好ましい。ただし、入会時に承諾を得ることは必要である。
また、画像解析ではポーズ推定により動作や運動をパターニングできるため、本特許のトレーニングマシン稼働情報とともにポーズ推定による動作パターニングの情報を記録することも好ましい。
【0009】
取得したデータはトレーニング実施者が個人的に管理し解析することができるが、好ましい形態はトレーニングジムやフィットネスジムがサービスとしてデータ管理や解析をすることである。取得したデータをトレーニングジムやフィットネスジムで管理するデータベースで保存することも好ましい形態であるが、さらに好ましくはセキュリティ管理のされたクラウドデータベースに保存し、ウエッブアプリなどの形態でトレーニング実施者本人やトレーニングジム管理者が閲覧、分析し活用する形態である。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明はフィットネスジムなどにおけるバーベルあるいはダンベルなどのウエイトトレーニング器具を利用したウエイトトレーニングにおいて、トレーニングの内容及び実施回数等を自動的に記録、保存することで実施者本人へのフィードバックを行うことが可能となる。さらに、トレーナーおよび施設管理者等に提供可能となり、トレーニングメニューの設定や管理を行うサービスに利用できる。
【実施例0011】
本発明にて採用した構成は以下の通りであるが、当然この構成には限定されない。
(1)測位システム:
Bluetooth無線技術ベースの到達角度方式の測位システム(Quupa Oy社が提供するQuupaシステム)を使用し、発信機として標準タグモジュールであるQT1をバーベルシャフト両端に設置した。ウエイトトレーニング実施場所に天井1箇所、壁2箇所、計3箇所受信機を設置した。受信機は、ロケーターQ35を使用した。
(2)バーベル重り検出システム:
バーベルの重りに重量情報を記録したパッシブ型のRFIDタグを貼り付けた。バーベルの基準位置を固定し、UHF帯RFIDリーダをバーベル重り部分に向けて設置した。
(3)個人認証システム:
RFIDリーダRC522を使用し、トレーニング実施者の会員カード(ID情報を記録したRFIDカード)を接触させている間のみトレーニング記録を残すようにした。これにより、トレーニング実施者の特定と、トレーニング内容の記録に関しての同意を確認できる。
(4)データ取得の流れ:
個人認証用のRFIDリーダが会員情報を読み取っている間のみ、バーベルの位置情報及びバーベル重り情報を取得する。バーベルのシャフト両端に設置した発信機の位置をロケータで読み取ると、ロケータから発信機へのベクトル向きが求められる。ロケータの位置は確定しているため、3次元空間上の直線上に発信機が存在することになる。ロケータ3台に対して同様に3本の直線が求められ、3本の直線が最も近接する位置の中心を発信機位置として決定する。同様の方法でシャフト両端の発信機位置を決定し、その2つの発信機位置の中点をバーベル位置とした。バーベル位置を0.2秒間隔で取得し、バーベル位置の高さ変化が30cm以上生じた場合にカウントを1回として記録し、インターネットクラウド上にトレーニング実施者、重り情報とともに保存する。この実施例では、Google社が提供するFirebaseに記録した。
(5)データ閲覧:
Firebaseに記録されたデータはwebアプリとしてリアルタイムにトレーニング実施者にフィードバックした。