(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149436
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20231005BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20231005BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20231005BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G03B30/00
G02B7/02 A
G02B7/02 D
G02B7/02 B
G03B15/00 V
G03B15/00 S
G02B7/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058012
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】中島 知昭
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA02
2H044AA09
2H044AA15
2H044AA17
2H044AA19
2H044AB10
2H044AD02
2H044AD03
2H044AJ02
2H044AJ04
2H044AJ05
(57)【要約】
【課題】第1レンズを鏡筒に保持させる工程と、第1レンズの像側に位置するレンズ群を鏡筒に保持させる工程とを独立して行うことができるレンズユニットを提供すること。
【解決手段】レンズユニット1は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22と、を有する。第1鏡筒部材21は、第1レンズ2を外周側から保持する保持部27を備える第1筒部25と、第1筒部25から内周側に突出する環状突部26を備える。環状突部26は、第1レンズ2を像側X1から支持する第1レンズ支持部31を備える。第2鏡筒部材22は、レンズ群4を外周側から囲む第2筒部50と、第2筒部50から外周側に突出するフランジ部51を備える。第2鏡筒部材22は、第2筒部50が環状突起36の内周側に挿入されることにより径方向で位置決めされ、フランジ部51が環状突起36に当接することにより光軸方向Xで位置決めされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、
前記第1鏡筒部材の内周側で前記第1レンズの像側に位置するレンズ群を保持する第2鏡筒部材と、
を有し、
前記第1鏡筒部材は、前記第1レンズを外周側から保持する保持部を備える第1筒部と、前記第1筒部における前記保持部の前記像側から内周側に突出する環状突部と、を備え、
前記第2鏡筒部材は、前記レンズ群を外周側から囲む第2筒部と、前記第2筒部から外周側に突出するフランジ部と、を備え、前記第1レンズから前記像側に離間し、
前記環状突部は、前記第1レンズを前記像側から支持する環状の支持面を備える第1レンズ支持部と、前記第2筒部に径方向外側から接触して前記第2鏡筒部材を径方向で位置決めする径方向位置決め部と、前記フランジ部に物体側から接触して前記第2筒部材を光軸方向で位置決めする光軸方向位置決め部と、を備え、
前記フランジ部は、前記環状突部に固定されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記第2鏡筒部材は、前記第2筒部の前記物体側の端から内周側に屈曲して前記レンズ群のうち最も前記物体側に位置する第2レンズに前記物体側から当接する当接部と、前記第2筒部から径方向内側に突出して前記レンズ群を前記像側から支持する環状の支持部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第2筒部の物体側の端部分に取り付けられた環状のリテーナを有し、
前記リテーナは、前記第2筒部の前記物体側の端部分の外周側に固定された周壁部と、前記周壁部の前記物体側の端から内周側に延びて前記レンズ群のうち最も前記物体側に位置する第2レンズに前記物体側から当接する当接部と、を備え、
前記第2鏡筒部材は、前記第2筒部から径方向内側に突出して前記レンズ群を前記像側から支持する環状の支持部を備えることを特徴と有する請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記フランジ部は、前記光軸方向における前記第2筒部の途中から突出し、
前記環状突部の内周側端面には、周方向に配列された複数の突起が設けられており、
複数の前記突起は、前記第2筒部において前記フランジ部よりも前記物体側に位置する物体側筒部分に径方向外側から接触し、
複数の前記突起は、前記径方向位置決め部であることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項5】
複数の前記突起は、前記内周側端面における物体側に設けられ、
前記レンズ群は、前記物体側筒部分の径方向内側に位置するレンズを備え、
前記レンズは、前記物体側から前記像側に向かって、前記物体側筒部分が径方向外側から接触する接触部分と、径方向で前記物体側筒部分と隙間を開けて対向する対向部分と、をこの順に備え、
前記光軸と直交する方向から見た場合に、複数の前記突起と前記レンズの前記対向部分とは重なることを特徴とする請求項4に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記環状突部は、前記支持面の外周側に前記像側に窪む環状溝を備え、
前記環状溝には、環状の弾性部材が挿入されており、
前記弾性部材は、前記光軸方向で圧縮された状態で前記第1レンズと前記環状突部との間を封止することを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記第1鏡筒部材および前記第2鏡筒部材は、樹脂製であり、
前記環状突部と前記フランジ部とは、溶着されていることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記環状突部と前記フランジ部とが溶着される前に状態において、
前記環状突部は、前記像側を向く面に、前記光軸と垂直な第1基準面と、前記第1基準面と平行で前記第1基準面から像側X1にずれた位置に設けられた第1溶着面と、を備え、
前記フランジ部は、前記物体側を向く面に、前記光軸と垂直な第2基準面と、前記第2基準面と平行で前記第2基準面から前記光軸方向の他方側にずれた位置に設けられた第2溶着面と、を備え、
前記第1溶着面および前記第2溶着面の一方には、前記光軸方向に突出する溶着代用突起が設けられており、
前記環状突部と前記フランジ部とが溶着された状態では、
前記第1基準面と前記第2基準面とは、面で接触し、
前記第1溶着面と前記第2溶着面とが溶着されていることを特徴とする請求項7に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記第1鏡筒部材は、結晶性樹脂からなり、
前記第2鏡筒部材は、非晶性樹脂からなることを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒が2つの鏡筒部材から構成されるレンズユニットに関する。
【0002】
自動車や監視カメラに搭載される撮像装置で使用されるレンズユニットは特許文献1に記載されている。同文献のレンズユニットは、物体側に位置する第1レンズと、第2レンズの像側に位置するレンズ群と、第1レンズおよび第2レンズを保持する鏡筒と、を備える。鏡筒は、環状の内枠部材と、内枠部材を外周から囲む環状の外枠部材と、を備える。内枠部材は、筒部と、筒部の物体側の端部分から外周側に突出する鍔部を備える。外枠部材は、内枠部材を貫通させた状態で鍔部を像側から支持する環状段部を備える。レンズ群は、内枠部材の内周側に収容されている。第1レンズは、外枠部材により外周側から保持されるとともに、内枠部材の鍔部により像側から支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のレンズユニットを組み立てる際には、内枠部材にレンズ群を収容し、次に、内枠部材を外枠部材の環状段部に支持させ、しかる後に、第1レンズを、外枠部材に保持させながら、内枠部材の鍔部に係止させる。従って、レンズユニットの製造工程では、レンズ群を内枠部材に保持させる工程が終了した後でなければ、第1レンズを外枠部材に保持させる工程を行うことができない。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、第1レンズを鏡筒に保持させる工程と、第1レンズの像側に位置するレンズ群を鏡筒に保持させる工程と、を別々に独立して行うことができるレンズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のレンズユニットは、第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、前記第1鏡筒部材の内周側で前記第1レンズの像側に位置するレンズ群を保持する第2鏡筒部材と、を有し、前記第1鏡筒部材は、前記第1レンズを外周側から保持する保持部を備える第1筒部と、前記第1筒部における前記保持部の前記像側から内周側に突出する環状突部と、を備え、前記第2鏡筒部材は、前記レンズ群を外周側から囲む第2筒部と、前記第2筒部から外周側に突出するフランジ部と、を備え、前記第1レンズから前記像側に離間し、前記環状突部は、前記第1レンズを前記像側から支持する環状の支持面を備える第1レンズ支持部と、前記第2筒部に径方向外側から接触して前記第2鏡筒部材を径方向で位置決めする径方向位置決め部と、前記フランジ部に物体側から接触して前記第2筒部材を光軸方向で位置決めする光軸方向位置決め部と、を備え、前記フランジ部は、前記環状突部に固定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1レンズは第1鏡筒部材に保持され、第1レンズの像側に位置するレンズ群は第2鏡筒部材に保持される。また、第1レンズの像側に位置するレンズ群を保持する第2鏡筒部材は、第1レンズから像側に離間する。従って、第1レンズの保持に第2鏡筒部材は関与しない。よって、レンズユニットの製造時に、第1レンズの第1鏡筒部材への保持と、レンズ群の第2鏡筒部材への保持とを、別々に独立して行うことができる。ここで、第1レンズの第1鏡筒部材への保持と、レンズ群の第2鏡筒部材への保持とを
別々に行うことができれば、レンズユニットとして第1鏡筒部材の形状の異なる複数のバリエーションが展開されている場合などに、第1レンズと第1レンズを保持する第2鏡筒部材からなる第1ユニットをバリエーション毎に製造し、レンズ群とレンズ群を保持する第2鏡筒部材からなる第2ユニットをバリエーションに左右されない共通部品として製造できる。このようにすれば、レンズユニットのバリエーション毎の量産数量が変化した場合でも柔軟に対応できる。また、第1鏡筒部材の環状突部は、第2筒部を径方向で位置決めする径方向位置決め部と、第2筒部材を光軸方向で位置決めする光軸方向位置決め部と、を備える。従って、第1鏡筒部材に対し、第2鏡筒部材は位置精度よく固定される。よって、鏡筒が2部材からなる場合でも、第1レンズとレンズ群との位置精度が低下することを防止或いは抑制できる。
【0008】
本発明において、前記第2鏡筒部材は、前記第2筒部の前記物体側の端から内周側に屈曲して前記レンズ群のうち最も前記物体側に位置する第2レンズに前記物体側から当接する当接部と、前記第2筒部から径方向内側に突出して前記レンズ群を前記像側から支持する環状の支持部と、を備えるものとすることができる。この場合、当接部は、第2筒部の先端部分をカシメることにより、設けることができる。
【0009】
また、本発明において、前記第2筒部の物体側の端部分に取り付けられた環状のリテーナを有し、前記リテーナは、前記第2筒部の前記物体側の端部分の外周側に固定された周壁部と、前記周壁部の前記物体側の端から内周側に延びて前記レンズ群のうち最も前記物体側に位置する第2レンズに前記物体側から当接する当接部と、を備え、前記第2鏡筒部材は、前記第2筒部から径方向内側に突出して前記レンズ群を前記像側から支持する環状の支持部を備えるものとすることができる。
【0010】
本発明において、前記フランジ部は、前記光軸方向における前記第2筒部の途中から突出し、前記環状突部の内周側端面には、周方向に配列された複数の突起が設けられており、複数の前記突起は、前記第2筒部において前記フランジ部よりも前記物体側に位置する物体側筒部分に径方向外側から接触し、複数の前記突起は、前記径方向位置決め部であるものとすることができる。このようにすれば、第1鏡筒部材の環状突部の内側に第2鏡筒部材の第2筒部を圧入することにより、第2鏡筒部材を第1鏡筒部材に対して径方向で位置決めできる。また、環状突部の内周側端面に周方向に配列された複数の突起が設けられていれば、第1鏡筒部材の環状突部の内側に第2鏡筒部材の第2筒部を圧入したときに、周方向における突起と突起の間に隙間が形成される。従って、この隙間を介して、第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、レンズ群を保持する第2鏡筒部材との間にある空気を、逃がすことができる。よって、第1鏡筒部材の環状突部の内側にレンズ群を保持した第2鏡筒部材を圧入することが容易となる。
【0011】
本発明において、複数の前記突起は、前記内周側端面における物体側に設けられ、前記レンズ群は、前記物体側筒部分の径方向内側に位置するレンズを備え、前記レンズは、前記物体側から前記像側に向かって、前記物体側筒部分が径方向外側から接触する接触部分と、径方向で前記物体側筒部分と隙間を開けて対向する対向部分と、をこの順に備え、前記光軸と直交する方向から見た場合に、複数の前記突起と前記レンズの前記対向部分とは重なるものとすることができる。このようにすれば、第1鏡筒部材の環状突部の内側に第2筒部の物体側筒部分を圧入したときに、第2筒部に発生する応力が、物体側筒部分の径方向内側に位置するレンズに伝わることを防止或いは抑制できる。従って、当該レンズに歪みが発生することを防止或いは抑制できる。
【0012】
本発明において、前記環状突部は、前記支持面の外周側に前記像側に窪む環状溝を備え、前記環状溝には、環状の弾性部材が挿入されており、前記弾性部材は、前記光軸方向で圧縮された状態で前記第1レンズと前記環状突部との間を封止するものとすることができ
る。このようにすれば、第1鏡筒部材の物体側から、水などが、第1レンズと第2レンズとの間の空間に侵入することを防止できる。
【0013】
本発明において、前記第1鏡筒部材および前記第2鏡筒部材は、樹脂製であり、前記環状突部と前記フランジ部とは、溶着されているものとすることができる。
【0014】
本発明において、前記環状突部と前記フランジ部とが溶着される前に状態において、前記環状突部は、前記像側を向く面に、前記光軸と垂直な第1基準面と、前記第1基準面と平行で前記第1基準面から像側X1にずれた位置に設けられた第1溶着面と、を備え、前記フランジ部は、前記物体側を向く面に、前記光軸と垂直な第2基準面と、前記第2基準面と平行で前記第2基準面から前記光軸方向の他方側にずれた位置に設けられた第2溶着面と、を備え、前記第1溶着面および前記第2溶着面の一方には、前記光軸方向に突出する溶着代用突起が設けられており、前記環状突部と前記フランジ部とが溶着された状態では、前記第1基準面と前記第2基準面とは、面で接触し、前記第1溶着面と前記第2溶着面とが溶着されているものとすることができる。このようにすれば、環状突部の第1基準面が光軸方向位置決め部となるので、環状突部にフランジ部を固定したときに、第1鏡筒部材に対する第2鏡筒部材の位置精度を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記第1鏡筒部材は、結晶性樹脂からなり、前記第2鏡筒部材は、非晶性樹脂からなるものとすることができる。このようにすれば、第1鏡筒部材を非晶性樹脂製とした場合と比較して、第1鏡筒部材の対候性を高くすることができる。従って、レンズユニットが車載用の撮像装置や屋外に設置される撮像装置に搭載された場合に、第1鏡筒部材が経年劣化することを抑制できる。また、このようにすれば、第2鏡筒部材を結晶性樹脂製とした場合と比較して、第2鏡筒部材の吸水性が向上する。ここで、第2鏡筒部材の吸水性高ければ、第1鏡筒部材の内周側において第1レンズよりも像側に位置する空間に湿気が存在する場合に、その湿気を第2鏡筒部材で吸収できる。従って、第1レンズの像側面や、レンズ群を構成する各レンズが曇ることを防止或いは抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1レンズは、第1鏡筒部材の第1筒部の保持部により外周側から保持されるとともに、第1鏡筒部材の環状突部により物体側から保持される。また、第1レンズの像側に位置するレンズ群を保持する第2鏡筒部材は、第1レンズから像側に離間する。従って、第1レンズの保持に第2鏡筒部材は関与しない。よって、レンズユニットの製造時に、第1レンズの第1鏡筒部材への保持と、レンズ群の第2鏡筒部材への保持とを、別々に独立して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。
【
図4】第1鏡筒部材を像側から見た場合の斜視図である。
【
図5】第2鏡筒部材を像側から見た場合の斜視図である。
【
図6】第1鏡筒部材に第2鏡筒部材を圧入した状態の説明図である。
【
図7】フランジ部に貫通孔を備える場合の第2鏡筒部材の斜視図である。
【
図8】支持部に貫通孔を備える場合の第2鏡筒部材の斜視図である。
【
図9】第2鏡筒部材にリテーナが取り付けられる場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を適用したレンズユニットの実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。
図2は、
図1のA-A線におけるレンズユニットの断面図である。
図3は、レンズユニットの分解斜視図である。本例のレンズユニット1は、自動車や監視カメラに搭載される撮像装置に用いられる。
【0020】
(光学系)
図1に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ2と、鏡筒3と、を備える。また、
図2に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ2の光軸Lに沿った光軸方向Xで第1レンズ2の像側X1で鏡筒3に保持されたレンズ群4を有する。レンズ群4は、光軸方向Xを物体側X2から像側X1に向かって第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7、および第5レンズ8を備える。第5レンズ8は、2枚のレンズを接合した接合レンズである。レンズ群4を構成する各レンズ5~8は、第1レンズ2よりも外径寸法が小さい。また、レンズニットは、第2レンズ5と第3レンズ6との間に配置された円環状の遮光シート9と、第3レンズ6と第4レンズ7との間に配置された円環状の絞り10と、備える。
【0021】
第1レンズ2は、樹脂製またはガラス製である。第1レンズ2は、メニスカスレンズである。第1レンズ2は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備える。また、第1レンズ2は、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面2aと、湾曲面2aの外周側で光軸Lに直交する方向に広がる環状のフランジ面2bと、を備える。フランジ面2bには、遮光のための黒墨が塗布されている。
【0022】
第2レンズ5は、樹脂製である。第2レンズ5は、メニスカスレンズである。第2レンズ5は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。第2レンズ5は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分5aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分5bと、をこの順に備える。
【0023】
第3レンズ6は、樹脂製である。第3レンズ6は、物体側X2に、物体側X2にする湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。第3レンズ6は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分6aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分6bと、をこの順に備える。
【0024】
第4レンズ7は、ガラス製である。第4レンズ7は、第2レンズ5、第3レンズ6、および第5レンズ8よりも外径寸法が小さい。第4レンズ7は、環状のホルダ11に保持された状態で第3レンズ6と第5レンズ8との間に位置する。
【0025】
第5レンズ8は、物体側レンズ13と、物体側レンズ13の像側X1に位置する像側レンズ14と、を備える。物体側レンズ13および像側レンズ14は、いずれも樹脂製である。物体側レンズ13は、物体側X2に、像側X1に湾曲する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。また、物体側レンズ13は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分8aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分8bと、をこの順に備える。像側レンズ14は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。像側レンズ14は、物体側X2に突出する湾曲面が、物体側レンズ13の物体側X2に窪む湾曲面に挿入された状態で、物体側レンズ13に接合されている。物体側レンズ13の外径寸法は、像側レンズ14の外径寸法よりも大きい。従って、物体側レンズ13は、光軸方向Xから見た場合に、像側レンズ14の外周側に位置する環状のフランジ部分13aを備える。
【0026】
ここで、第2レンズ5の外径寸法、第3レンズ6の外径寸法、第4レンズ7を保持するホルダ11の外径寸法、および第5レンズ8の外径寸法は、この順番で、僅かに短くなる。また、
図3に示すように、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7、第5レンズ8、およびホルダ11は、周方向の一部分に、光軸方向Xから見た場合に周方向に直線に延びる切欠き部16を備える。第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8は、切欠き部16を光軸L回りの同一の角度位置に配した状態で積層される。
【0027】
(鏡筒)
図4は、第1鏡筒部材を像側X1から見た場合の斜視図である。
図5は、第2鏡筒部材を物体側X2から見た場合の斜視図である。
図2、
図3に示すように、鏡筒3は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22と、の2部材からなる。
図2に示すように、第2鏡筒部材22は、第1鏡筒部材21の内周側に収容されている。
【0028】
第1鏡筒部材21は、結晶性樹脂からなる。第2鏡筒部材22は非晶性樹脂からなる。本例では、第1鏡筒部材21は、ポリアミド系の樹脂からなる。第2鏡筒部材22は、ポリカーボネイト製である。第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とは、溶着により固定されている。
【0029】
(第1鏡筒部材)
図2、
図3、
図4に示すように、第1鏡筒部材21は、第1レンズ2の外周側に位置する第1筒部25と、第1筒部25の光軸方向Xの途中から径方向内側に突出する環状突部26と、を備える。
図2、
図3に示すように、第1筒部25は、環状突部26の物体側X2に、第1レンズ2を外周側から保持する保持部27を備える。また、第1筒部25は、環状突部26の像側X1に、スカート部28を備える。さらに、第1筒部25は、物体側X2の端に、内周側に屈曲して第1レンズ2に物体側X2から当接する第1当接部29を備える。
【0030】
図2、
図3に示すように、環状突部26は、物体側X2を向く面に、第1レンズ2を像側X1から支持する環状の支持面31aを備える第1レンズ支持部31を有する。また、環状突部26は、支持面31aの外周側に、像側X1に窪む環状溝32を備える。環状溝32には、環状の弾性部材33が挿入される。弾性部材33は、Oリングである。
【0031】
環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35には、複数の突起36が設けられている。複数の突起36は、周方向に配列されている。本例では、複数の突起36は、内周側端面35における像側X1の部分に設けられている。従って、
図4に示すように、環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35は、物体側X2から像側X1に向かって、複数の突起36を備えてない環状面部分35aと、複数の突起36を備える環状の凹凸面部分35bと、を備える。
【0032】
環状突部26の像側X1を向く面は、光軸Lと垂直な第1基準面38と、第1基準面38と平行で第1基準面38から像側X1にずれた位置に設けられた第1溶着面39と、を備える。第1溶着面39は、第1基準面38の外周側に位置する。径方向における第1基準面38と第1溶接面との間には、径方向内側を向く第1環状面40が設けられている。
【0033】
(第2鏡筒部材)
図2、
図3、
図5に示すように、第2鏡筒部材22は、レンズ群4を外周側から囲む第2筒部50と、第2筒部50から外周側に突出するフランジ部51と、を備える。フラン
ジ部51は、第2筒部50の物体側X2の部分から径方向外側に突出する。従って、第2筒部50は、フランジ部51よりも物体側に位置する円環状の物体側筒部分52を備える。
【0034】
また、第2鏡筒部材22は、レンズ群4を光軸方向Xの両側から保持する保持機構53を有する。保持機構53は、第2筒部50の物体側X2の端から径方向内側に屈曲して第2レンズ5に物体側X2から接触する第2当接部54(当接部)と、第2筒部50の像側X1の部分から径方向内側に突出してレンズ群4を支持する環状の支持部55と、を備える。支持部55は、第5レンズ8における物体側レンズ13のフランジ部分13aに像側X1から当接して、レンズ群4を像側X1から支持する。支持部55は、物体側X2の端部分に、径方向内側に突出する環状板部56を備える。環状板部56の内周側の端縁は、円形開口57を区画する。環状板部56の像側X1の面には、円形開口57を封鎖するように不図示の撮像素子が固定される。
【0035】
ここで、
図2に示すように支持部55および環状板部56は、第5レンズ8の像側レンズ14に接触していない。すなわち、支持部55は、径方向で像側レンズ14と隙間を開けて対向する。環状板部56は、光軸方向Xで像側レンズ14と隙間を開けて対向する。
【0036】
第2筒部50の内周面60は、像側X1に向かって、僅かに、内周側に傾斜する。
図3、
図5に示すように、第2筒部50の内周面60における第2当接部54と支持部55との間には、内周面60に沿って光軸方向Xに延びる複数のリブ61が設けられている。リブ61は、周方向に配列されている。
図2に示すように、各リブ61は、レンズ群4が第2筒部50に収容されたときに、第2レンズ5の物体側レンズ部分5a、第3レンズ6の物体側レンズ部分6a、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8の物体側レンズ13の物体側レンズ部分8aに径方向外側から当接して、レンズ群4を径方向で位置決めする。
【0037】
ここで、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部50との間には、これらに設けた切欠き部16により、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。また、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部50との間には、周方向で隣り合うリブ61の間に、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。
【0038】
図2、
図3に示すように、フランジ部51は、物体側X2を向く面に、内周側から外周側に向かって、光軸Lと垂直な第2基準面63と、第2基準面63と平行で第2基準面63から像側X1にずれた位置に設けられた第2溶着面64と、を備える。また、環状突部26は、径方向における第2基準面63と第2溶接面との間に、径方向外側を向く第2環状面65と、を備える。さらに、
図3に示すように、フランジ部51は、第2鏡筒部材22が第1鏡筒部材21に固定される前の状態では、第2溶着面64に、物体側X2に突出する溶着代用突起67を備える。溶着代用突起67は、周方向に円弧に延びる。
【0039】
(レンズユニットの組み立て)
図6は、第1鏡筒部材21に第2鏡筒部材22を圧入した状態の説明図である。レンズユニット1を組み立てる際には、第1鏡筒部材21に第1レンズ2を保持する第1ユニット組み立て動作と、第2鏡筒部材22にレンズ群4を保持する第2ユニット組み立て動作とは、それぞれ別々に独立して行われる。その後、組み立てが完了した第1ユニットと、組み立てが完了して第2ユニットとを固定する固定動作が行われる。
【0040】
第1ユニット組み立て動作では、第1鏡筒部材21の環状溝32に弾性部材33を挿入する。次に、第1鏡筒部材21の保持部27の内周側に物体側X2から第1レンズ2を挿
入し、フランジ面2bを環状突部26の第1レンズ支持部31の支持面31aに当接させる。しかる後に、第1鏡筒部材21の物体側X2の端をカシメることにより、第1当接部29を形成する。これにより、第1レンズ2は、第1当接部29と第1レンズ支持部31の支持面31aとによって光軸方向Xから保持される。第1レンズ2が第1鏡筒部材21に保持された状態では、弾性部材33は、光軸方向Xで圧縮された状態となる。弾性部材33は、第1レンズ2と環状突部26との間を封止する。
【0041】
第2ユニット組み立て動作では、第2鏡筒部材22にレンズ群4を物体側X2から収容して、レンズ群4を支持部55に支持させる。しかる後に、第2鏡筒部材22の物体側X2の端をカシメることにより、第2当接部54を形成する。これにより、レンズ群4は、保持機構53により、光軸方向Xの両側から保持される。レンズ群4が第2鏡筒部材22に保持されたときに、第2筒部50におけるフランジ部51よりも物体側X2の物体側筒部分52の径方向内側には、第2レンズ5が位置する。
【0042】
次に、第2ユニットを第1ユニットに固定する固定動作を行う。固定動作では、まず、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22を、スカート部28の内側に挿入する。そして、第2筒部50におけるフランジ部51よりも物体側X2の物体側筒部分52を第1鏡筒部材21の環状突部26に圧入する。
【0043】
ここで、
図6に示すように、第1鏡筒部材21の環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35に設けられた複数の突起36は、物体側筒部分52が圧入されたときに、物体側筒部分52の外周面に径方向外側から当接して、第2環状筒部を径方向で位置決めする。すなわち、第1鏡筒部材21の複数の突起36は、第2鏡筒部材22を径方向で位置決めする径方向位置決め部である。また、本例では、環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35に複数の突起36が設けられているので、第1鏡筒部材21の環状突部26の内側に第2鏡筒部材22の第2筒部50を圧入したときに、周方向における突起36と突起36の間に隙間60が形成される。従って、第2鏡筒部材22を第1鏡筒部材21に圧入する際に、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22との間にある空気を、隙間40を介して、外部に逃がすことができる。よって、第1鏡筒部材21の環状突部26の内側にレンズ群4を保持した第2筒部50を圧入することが容易となる。
【0044】
また、
図6から分かるように、光軸Lと直交する方向から見た場合に、複数の突起36と第2レンズ5の像側レンズ部分5bとは重なる。ここで、第2レンズ5の像側レンズ部分5bは、第2筒部50と隙間を開けて対向する。すなわち、第2レンズ5は、物体側X2から像側X1に向かって、物体側筒部分52が径方向外側から接触する物体側レンズ部分5a(接触部分)と、径方向で物体側筒部分52と隙間を開けて対向する像側レンズ部分5b(対向部分)と、をこの順に備えるものとなる。従って、第1鏡筒部材21の環状突部26の内側に第2鏡筒部材22の第2筒部50を圧入したときに、第2筒部50で発生する応力が、物体側筒部分52の径方向内側に位置する第2レンズ5に伝わることを防止或いは抑制できる。よって、第2レンズ5に歪みが発生することを防止或いは抑制できる。
【0045】
その後に、第2鏡筒部材22のフランジ部51を第1鏡筒部材21の環状突部26の像側X1の面に当接させて、第1溶着面39と第2溶着面64とを溶着する。溶着には、超音波溶着、或いは、レーザー溶着を用いることができる。溶着に際しては、フランジ部51に設けられた溶着代用突起67を溶融させながら第1鏡筒部材21の環状突部26の第1基準面38と、第2鏡筒部材22のフランジ部51の第2基準面63とを密着させる。これにより、環状突部26の第1基準面38は、第2鏡筒部材22を光軸方向Xに位置決めする光軸方向位置決め部となる。
【0046】
ここで、第2鏡筒部材22が第1鏡筒部材21に固定されたときに、第1レンズ2と、第2レンズ5とは、接触しない。また、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22は、第1レンズ2から像側X1に離間する。
【0047】
(作用効果)
本例によれば、第1レンズ2は第1鏡筒部材21に保持され、第1レンズ2の像側X1に位置するレンズ群4は第2鏡筒部材22に保持される。また、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22は、第1レンズ2から像側X1に離間する。従って、第1レンズ2の保持に第2鏡筒部材22は関与しない。よって、レンズユニット1の製造時に、第1レンズ2の第1鏡筒部材21への保持と、レンズ群4の第2鏡筒部材22への保持とを、別々に行うことができる。
【0048】
ここで、第1レンズ2の第1鏡筒部材21への保持と、レンズ群4の第2鏡筒部材22への保持とを別々に行うことができれば、レンズユニット1として第1鏡筒部材21の形状の異なる複数のバリエーションが展開されている場合などに、第1レンズ2と第1レンズ2を保持する第2鏡筒部材22からなる第1ユニットをバリエーション毎に製造し、レンズ群4とレンズ群4を保持する第2鏡筒部材22からなる第2ユニットをバリエーションに左右されない共通部品として製造できる。このようにすれば、レンズユニット1のバリエーション毎の量産数量が変化した場合でも柔軟に対応できる。
【0049】
また、第1鏡筒部材21の環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35は、複数の突起36を備える。複数の突起36は、第2鏡筒部材22を径方向で位置決めする径方向位置決め部である。また、第1鏡筒部材21の環状突部26の像側X1の端面は、第2鏡筒部材22のフランジ部51に設けた第2基準面63が当接する第1基準面38を備える。第1基準面38は、第2鏡筒部材22を光軸方向Xで位置決めする光軸方向位置決め部である。これにより、第1鏡筒部材21に対し、第2鏡筒部材22は位置精度よく固定される。従って、鏡筒3を、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21とレンズ群4を保持する第2鏡筒部材22の2部材から構成した場合でも、第1レンズ2とレンズ群4との位置精度が低下することを防止或いは抑制できる。
【0050】
また、本例では、第1鏡筒部材21は、結晶性樹脂からなり、第2鏡筒部材22は、非晶性樹脂からなる。ここで、結晶性樹脂は、非晶性樹脂と比較して、非晶性樹脂に優れる。また、非晶性樹脂は、結晶性樹脂と比較して、吸湿性に優れる。従って、レンズユニット1を、車載用の撮像装置や屋外に設置される撮像装置に搭載した場合に、外光に晒されやすい第1鏡筒部材21の経年劣化を抑制できる。また、第2鏡筒部材22の吸湿性が優れるものとなるので、第1鏡筒部材21の内周側において第1レンズ2よりも像側X1に位置する空間に湿気が存在する場合に、その湿気を第2鏡筒部材22で吸収できる。従って、第1レンズ2の像側面や、レンズ群4を構成する各レンズ5~8が曇ることを防止或いは抑制できる。
【0051】
なお、第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とは、接着剤により、固定してもよい。すなわち、第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とは、第2鏡筒部材22のフランジ部51と第1鏡筒部材21の環状突部26の像側X1の面との間に介在する接着剤層により固定されるものとすることができる。この場合、フランジ部51の溶着代用突起67は省略される。この場合にも、第1鏡筒部材21の環状突部26に設けた第1基準面38を、第2鏡筒部材22を光軸方向Xで位置決めする光軸方向位置決め部とすることができる。
【0052】
(変形例)
第2鏡筒部材22は、フランジ部51に、光軸方向Xに貫通する貫通孔75を備えても
よい。
図7は、フランジ部51に貫通孔75を備える変形例の第2鏡筒部材22Aの説明図である。この場合、
図6に想像線で示すように、貫通孔75は、第2鏡筒部材22Aの物体側筒部分52が第1鏡筒部材21の環状突部26の内周側に圧入されたときに、光軸方向Xで、環状突部26の内周側端面35に設けられた複数の突起36の間の隙間60と連通する位置に設ける。
【0053】
これにより、貫通孔75は、環状突部26の内周側端面35に設けられた複数の突起36の間の隙間60を介して光軸方向Xにおける第1レンズ2とレンズ群4(第2レンズ5)との間の空間Sに連通するものとなる。このようにすれば、第1レンズ2と第2レンズ5との間の空間Sに湿気が存在する場合に、かかる湿気を、貫通孔75を介して、外部に逃がすことができる。従って、第1レンズ2または第2レンズ5が曇ることを防止或いは抑制できる。なお、貫通孔75は、光軸L回りで180°離間する2か所に設けることが望ましい。
【0054】
また、第2鏡筒部材22Bは、支持部55に光軸方向Xに貫通する貫通孔80を備えてもよい。
図8は、支持部55に貫通孔80を備える場合の第2鏡筒部材22Bの斜視図である。この場合、第2筒部50の物体側X2の端に位置する第2当接部54は、周方向の一部分に、切欠き81を備えるものとする。また、貫通孔80は、光軸方向Xから見た場合に、切欠き81と重なる位置に設ける。さらに、第2筒部50の内周面60における第2当接部54と支持部55との間に、光軸方向Xに延びて切欠き81と貫通孔80とを連通させる連通溝82を備えるものとする。これにより、貫通孔80は、連通溝82、切欠き81を介して、光軸方向Xにおける第1レンズ2とレンズ群4(第2レンズ5)との間の空間Sに連通するものとなる。このようにすれば、第1レンズ2と第2レンズ5との間の空間Sに湿気が存在する場合に、かかる湿気を、貫通孔80を介して、外部に逃がすことができる。従って、第1レンズ2または第2レンズ5が曇ることを防止或いは抑制できる。なお、本例では、光軸L回りで180°離間する位置に、切欠き81、連通溝82、および貫通孔80からなる組を2つ備える。
【0055】
さらに、第2鏡筒部材22の保持機構53を構成する第2当接部54の替わりに、第2筒部50の物体側X2の端部分に環状のリテーナ90を用いてもよい。
図9は、第2当接部54を有さない第2鏡筒部材22Cにリテーナ90が取り付けられる場合の説明図である。この場合、リテーナ90は、第2筒部50の物体側X2の端部分の外周側に位置する周壁部91と、周壁部91の物体側X2の端から内周側に延びて第2レンズ5に物体側X2から接触する第2当接部54(当接部)と、を備える。第1鏡筒部材21の支持面31aは、リテーナ90の第2当接部54よりも像側X1に位置する。このようにすれば、リテーナ90の第2当接部54と、環状の支持部55とによって、レンズ群4を光軸方向Xの両側から保持できる。
【符号の説明】
【0056】
1…レンズユニット、2…第1レンズ、2a…湾曲面、2b…フランジ面、3…鏡筒、4…レンズ群、5…第2レンズ、5a…物体側レンズ部分、5b…像側レンズ部分、6…第3レンズ、6a…物体側レンズ部分、6b…像側レンズ部分、7…第4レンズ、8…第5レンズ、8a…物体側レンズ部分、8b…像側レンズ部分、9…遮光シート、10…絞り、11…ホルダ、13…物体側レンズ、13a…フランジ部分、14…像側レンズ、16…切欠き部、21…第1鏡筒部材、22・22A・22B・22C…第2鏡筒部材、25…第1筒部、26…環状突部、27…保持部、28…スカート部、29…第1当接部、31…第1レンズ支持部、31a…支持面、32…環状溝、33…弾性部材、35…内周側端面、35a…環状面部分、35b…凹凸面部分、36…突起、38…第1基準面、39…第1溶着面、40…隙間、50…第2筒部、51…フランジ部、52…物体側筒部分、53…保持機構、54…第2当接部、55…支持部、56…環状板部、57…円形開口、
60…内周面、61…リブ、63…第2基準面、64…第2溶着面、67…溶着代用突起、75…貫通孔、80…貫通孔、81…切欠き、82…連通溝、90…リテーナ、91…周壁部、L…光軸