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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149437
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20231005BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20231005BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231005BHJP
【FI】
G02B7/02 F
G03B30/00
G03B15/00 V
G03B15/00 S
G02B7/02 Z
G02B7/02 D
G02B7/02 A
G02B7/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058013
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】保科 泰浩
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA15
2H044AA17
2H044AA19
2H044AB10
2H044AD02
2H044AD03
2H044AH17
2H044AJ02
2H044AJ04
2H044AJ05
(57)【要約】
【課題】鏡筒に保持された第1レンズと第2レンズの間の空気が湿気を含んでいる場合でも、第1レンズに曇りが発生することを抑制できるレンズユニットを提供すること。
【解決手段】レンズユニット1は、第1レンズ2と、レンズ群4と、鏡筒3を備える。鏡筒3は、第1レンズ2を保持する保持部分24を有する第1筒部21、第1筒部21の内周側でレンズ群4を収容する第2筒部22、第1筒部21と第2筒部22とを径方向で接続する接続部23を有する。接続部23に設けられた支持面35aは、第1レンズ2を第2筒部22とレンズ群4から離間する位置に支持する。鏡筒3は、支持面35aの外周側に環状溝36を備えるとともに、環状溝36よりも内周側かつ支持面35aよりも像側X1に、レンズ群4と第1レンズ2との間の空間Sと、鏡筒3の外側とを連通させる貫通孔40を備える。弾性部材37は第1レンズ2と接続部23の間を封止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レンズと、
前記第1レンズの像側に位置するレンズ群と、
前記第1レンズを外周側から保持する保持部分を有する第1筒部、前記第1レンズの前記像側に位置し、前記第1筒部の内周側で前記レンズ群を外周側から保持する第2筒部、および、前記保持部分の前記像側で前記第1筒部と前記第2筒部とを径方向で接続する環状の接続部を備える鏡筒と、
環状の弾性部材と、を有し、
前記接続部は、前記第1レンズの外周縁部分を像側から支持する支持面を有する第1レンズ支持部分を備え、
前記支持面は、前記第1レンズを前記第2筒部および前記レンズ群から物体側に離間する位置に支持し、
前記鏡筒は、前記支持面の外周側に前記像側に窪む環状溝を備えるとともに、前記環状溝よりも内周側かつ前記支持面よりも前記像側に、前記レンズ群の最も物体側に位置する第2レンズと前記第1レンズとの間の空間と、前記接続部よりも前記像側で前記第2筒部の外側の空間と、を連通させる貫通孔を備え、
前記弾性部材は、前記環状溝に配置されて前記第1レンズと前記接続部との間を封止することを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記鏡筒は、非晶性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第1筒部は、前記接続部よりも前記像側に、前記径方向で前記第2筒部と隙間を開けて対向する環状のスカート部分を備え、
前記貫通孔は、前記接続部に設けられ、
前記貫通孔は、前記空間と、前記スカート部分と前記第2筒部との間の隙間と、を連通させることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記第2筒部は、前記物体側の端部に、前記物体側に向かって内周側に傾斜するテーパー外周面を備える環状部分と、前記環状部分の前記物体側の端から内周側に屈曲して前記第2レンズの外周縁に前記物体側から当接する屈曲部分と、を備え、
前記貫通孔の一方の端部開口は、前記接続部の前記像側を向く面において、光軸方向から見た場合に前記支持面と重なる位置に設けられ、
前記貫通孔の他方の端部開口は、前記第1レンズ支持部分に設けられ、前記環状部分の前記テーパー外周面に径方向外側から対向することを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記貫通孔として、光軸回りで180°離間する位置に設けれた第1貫通孔および第2貫通孔を備えることを特徴とする請求項3または4に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記第2筒部は、前記物体側の端から内周側に屈曲して前記第2レンズの外周縁に前記物体側から当接する屈曲部分と、内周側に突出して前記レンズ群を前記像側から支持する支持部分と、を有し、
前記屈曲部分は、周方向の一部分に切欠きを備え、
前記支持部分は、光軸方向から見た場合に、前記切欠きと重なる位置に、前記貫通孔を備え、
前記第2筒部の内周面における前記屈曲部分と前記支持部分との間の内周面部分には、光軸方向に延びて前記切欠きと前記貫通孔とを連通させる連通溝が設けられていることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記第2筒部は、前記物体側の端から内周側に屈曲して前記第2レンズの外周縁に前記物体側から当接する屈曲部分と、内周側に突出して前記レンズ群を前記像側から支持する支持部分と、を有し、
前記第2筒部は、前記第2筒部の内周面における前記屈曲部分と前記支持部分との間の内周面部分に、光軸方向に延びる複数のリブを備え、
複数の前記リブは、周方向に配列され、前記レンズ群に外周側から当接して前記レンズ群を径方向で位置決めし、
前記屈曲部分は、前記光軸方向から見た場合に、前記周方向で隣り合う前記リブと前記リブとの間の隙間と重なる位置に切欠きを備え、
前記支持部分は、光軸方向から見た場合に、前記切欠きと重なる位置に、前記貫通孔を備え、
前記隙間は、前記切欠きと前記貫通孔とを前記光軸方向で連通させる連通溝であることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記切欠きとして、光軸回りで180°離間する位置に設けれた第1切欠きおよび第2切欠きを備え、
前記貫通孔として、前記光軸方向から見た場合に前記第1切欠きと重なる第1貫通孔、および前記第2切欠きと重なる第2貫通孔を備え、
前記連通溝として、前記光軸方向に延びて前記第1切欠きと前記第1貫通孔とを連通させる第1連通溝、および、前記光軸方向に延びて前記第2切欠きと前記第2貫通孔とを連通させる第2連通溝を備えることを特徴とする請求項6または7に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒内でレンズが曇ることを抑制できるレンズユニットに関する。
【0002】
自動車や監視カメラに搭載される探像装置で使用されるレンズユニットは特許文献1に記載されている。同文献のレンズユニットは、第1レンズと、第1レンズの像側に位置するレンズ群と、第1レンズおよびレンズ群を保持する鏡筒を備える。第1レンズと鏡筒との間は、第1封止部材により封止されている。レンズ群のレンズのうち最も像側に位置する第2レンズと鏡筒との間は、第2封止部材により封止されている。
【0003】
また、同文献のレンズユニットは、鏡筒に、鏡筒内における第1レンズと第2レンズとの間の空間と、鏡筒の外部とを連通させる連通路を備える。連通路は、鏡筒に第1レンズを保持させる際に、第1レンズと第2レンズとの間の空間の空気が排気できず、組み立てが困難になることを防止するためのものである。従って、レンズユニットの組立が完了すると、連通路は、第3封止部材により、閉塞される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-157150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のレンズユニットでは、第1レンズと第2レンズとの間の空間は、第1封止部材、第2封止部材、および第3封止部材により、外部から隔離される。従って、この空間に、鏡筒の外部から水が侵入することはない。しかし、レンズユニットの組み立てが完了した時点で、第1レンズと第2レンズとの間の空間に湿気を含む空気が存在した場合には、湿気に起因して、第1レンズの物体側の面などに曇りが発生する場合がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、鏡筒に第1レンズと第2レンズとを保持したときに、第1レンズと第2レンズとの間の空気が湿気を含んでいる場合でも、第1レンズに曇りが発生することを防止或いは抑制できるレンズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のレンズユニットは、第1レンズと、前記第1レンズの像側に位置するレンズ群と、前記第1レンズを外周側から保持する保持部分を有する第1筒部、前記第1レンズの前記像側に位置し、前記第1筒部の内周側で前記レンズ群を外周側から保持する第2筒部、および、前記保持部分の前記像側で前記第1筒部と前記第2筒部とを径方向で接続する環状の接続部を備える鏡筒と、環状の弾性部材と、を有し、前記接続部は、前記第1レンズの外周縁部分を像側から支持する支持面を有する第1レンズ支持部分を備え、前記支持面は、前記第1レンズを前記第2筒部および前記レンズ群から物体側に離間する位置に支持し、前記鏡筒は、前記支持面の外周側に前記像側に窪む環状溝を備えるとともに、前記環状溝よりも内周側かつ前記支持面よりも前記像側に、前記レンズ群の最も物体側に位置する第2レンズと前記第1レンズとの間の空間と、前記接続部よりも前記像側で前記第2筒部の外側の空間と、を連通させる貫通孔を備え、前記弾性部材は、前記環状溝に配置されて前記第1レンズと前記接続部との間を封止することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、鏡筒には、鏡筒に保持された第1レンズと第2レンズとの間の空間と
、鏡筒の接続部よりも像側で第2筒部の外側の空間とを連通させる貫通孔が設けられている。従って、この空間の空気が湿気を含んでいる場合でも、湿気を含んだ空気を、貫通孔を介して、鏡筒の接続部よりも像側で第2筒部の外側の空間に逃がすことができる。よって、第1レンズの像側の面などに、曇りが発生することを防止あるいは抑制できる。
【0009】
本発明において、前記鏡筒は、非晶性樹脂からなるものとすることができる。非晶性樹脂は、結晶性樹脂と比較して、吸水性に優れる。従って、空間の空気が湿気を含んでいる場合には、この湿気を、鏡筒で吸収することができる。よって、第1レンズに曇りが発生することを、抑制しやすい。
【0010】
本発明において、前記第1筒部は、前記接続部よりも前記像側に、前記径方向で前記第2筒部と隙間を開けて対向する環状のスカート部分を備え、前記貫通孔は、前記接続部に設けられ、前記貫通孔は、前記空間と、前記スカート部分と前記第2筒部との間の隙間と、を連通させるものとすることができる。
【0011】
この場合において、前記第2筒部は、前記物体側の端部に、前記物体側に向かって内周側に傾斜するテーパー外周面を備える環状部分と、前記環状部分の前記物体側の端から内周側に屈曲して前記第2レンズの外周縁に前記物体側から当接する屈曲部分と、を備え、前記貫通孔の一方の端部開口は、前記接続部の前記像側を向く面において、光軸方向から見た場合に前記支持面と重なる位置に設けられ、前記貫通孔の他方の端部開口は、前記第1レンズ支持部分に設けられ、前記環状部分の前記テーパー外周面に径方向外側から対向するものとすることができる。このようにすれば、貫通孔を接続部における第1レンズ支持部分の内側に設ける場合と比較して、接続部が径方向に大きくなることを抑制できる。
【0012】
本発明において、前記貫通孔として、光軸回りで180°離間する位置に設けれた第1貫通孔および第2貫通孔を備えるものとすることができる。このようにすれば、レンズユニットが光軸を水平にして使用される場合などに、第1貫通孔を空間の上側に位置させ、第2貫通孔を空間の下側に位置させることができる。従って、外気の温度に起因して発生する対流を利用して、湿気を含んだ空気を、第1貫通孔から外部に逃がすことができる。
【0013】
本発明において、前記第2筒部は、前記物体側の端から内周側に屈曲して前記第2レンズの外周縁に前記物体側から当接する屈曲部分と、内周側に突出して前記レンズ群を前記像側から支持する支持部分と、を有し、前記屈曲部分は、周方向の一部分に切欠きを備え、前記支持部分は、光軸方向から見た場合に、前記切欠きと重なる位置に、前記貫通孔を備え、前記第2筒部の内周面における前記屈曲部分と前記支持部分との間の内周面部分には、光軸方向に延びて前記切欠きと前記貫通孔とを連通させる連通溝が設けられているものとすることができる。このようにすれば、鏡筒に保持された第1レンズと第2レンズとの間の空間の空気が湿気を含む場合に、この空気を、第2筒部の像側に排出できる。
【0014】
本発明において、前記第2筒部は、前記物体側の端から内周側に屈曲して前記第2レンズの外周縁に前記物体側から当接する屈曲部分と、内周側に突出して前記レンズ群を前記像側から支持する支持部分と、を有し、前記第2筒部は、前記第2筒部の内周面における前記屈曲部分と前記支持部分との間の内周面部分に、光軸方向に延びる複数のリブを備え、複数の前記リブは、周方向に配列され、前記レンズ群に外周側から当接して前記レンズ群を径方向で位置決めし、前記屈曲部分は、前記光軸方向から見た場合に、前記周方向で隣り合う前記リブと前記リブとの間の隙間と重なる位置に切欠きを備え、前記支持部分は、光軸方向から見た場合に、前記切欠きと重なる位置に、前記貫通孔を備え、前記隙間は、前記切欠きと前記貫通孔とを前記光軸方向で連通させる連通溝であるものとすることができる。このようにすれば、レンズ群を第2筒部の内側で径方向に位置決めする複数のリブを利用して、鏡筒に保持された第1レンズと第2レンズとの間の空間と、貫通孔とを、
連通させることができる。従って、鏡筒に保持された第1レンズと第2レンズとの間の空間の空気が湿気を含む場合に、この空気を、第2筒部の像側に排出できる。
【0015】
本発明において、前記切欠きとして、光軸回りで180°離間する位置に設けれた第1切欠きおよび第2切欠きを備え、前記貫通孔として、前記光軸方向から見た場合に前記第1切欠きと重なる第1貫通孔、および前記第2切欠きと重なる第2貫通孔を備え、前記連通溝として、前記光軸方向に延びて前記第1切欠きと前記第1貫通孔とを連通させる第1連通溝、および、前記光軸方向に延びて前記第2切欠きと前記第2貫通孔とを連通させる第2連通溝を備えるものとすることができる。このようにすれば、レンズユニットが光軸を水平にして使用される場合などに、第1切欠き、第1連通溝、および第1貫通孔を空間の上側に位置させ、第2切欠き、第2連通溝、および第2貫通孔を空間の下側に位置させることができる。従って、外気の温度に起因して発生する対流を利用して、湿気を含んだ空気を、第1貫通孔から外部に逃がすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、鏡筒には、鏡筒に保持された第1レンズと第2レンズとの間の空間と、鏡筒の接続部よりも像側で第2筒部の外側の空間を連通させる貫通孔が設けられている。従って、空間の空気が湿気を含んでいる場合でも、湿気を含んだ空気を、貫通孔を介して、鏡筒の外側に逃がすことができる。よって、第1レンズの像側の面などに、曇りが発生することを防止あるいは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のB-B線断面図である。
図4】レンズユニットの分解斜視図である。
図5】鏡筒を像側から見た場合の斜視図である。
図6】実施例2のレンズユニットの斜視図である。
図7図6のD-D線断面図である。
図8】実施例2のレンズユニットの分解斜視図である。
図9】実施例2のレンズユニットの鏡筒を物体側から見た場合の平面図である。
図10】実施例2のレンズユニットの鏡筒を像側から見た場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を適用したレンズユニットの実施形態について説明する。
【0019】
(実施例1)
図1は、本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3は、図1のB-B線断面図である。図4は、レンズユニットの分解斜視図である。図5は、鏡筒を像側から見た場合の斜視図である。本例のレンズユニット1は、自動車や監視カメラに搭載される撮像装置に用いられる。
【0020】
(光学系)
図1に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ2と、鏡筒3と、を備える。また、図2から図4に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ2の光軸Lに沿った光軸方向Xにおいて、第1レンズ2の像側X1で鏡筒3に保持されたレンズ群4を有する。レンズ群4は、光軸方向Xを物体側から像側X1に向かって第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7、および第5レンズ8を備える。第5レンズ8は、2枚のレンズを接合した接合レンズである。レンズ群4を構成する各レンズは、第1レンズ2よりも外径寸法が小
さい。また、レンズユニット1は、第2レンズ5と第3レンズ6との間に配置された円環状の遮光シート9と、第3レンズ6と第4レンズ7との間に配置された円環状の絞り10と、備える。
【0021】
第1レンズ2は、樹脂製またはガラス製である。第1レンズ2は、メニスカスレンズである。図2に示すように、第1レンズ2は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備える。また、第1レンズ2は、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面2aと、湾曲面の外周側で光軸Lに直交する方向に広がる環状のフランジ面2b(外周縁部分)と、を備える。フランジ面2bには、遮光のための黒墨が塗布されている。
【0022】
第2レンズ5は、樹脂製である。第2レンズ5は、メニスカスレンズである。第2レンズ5は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。第3レンズ6は、樹脂製である。第3レンズ6は、物体側X2に、物体側X2にする湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。第4レンズ7は、ガラス製である。第4レンズ7は、第2レンズ5、第3レンズ6、および第5レンズ8よりも外径寸法が小さい。第4レンズ7は、環状のホルダ11に保持された状態で第3レンズ6と第5レンズ8との間に位置する。
【0023】
第5レンズ8は、物体側レンズ13と、物体側レンズ13の像側X1に位置する像側レンズ14と、を備える。物体側レンズ13および像側レンズ14は、いずれも樹脂製である。物体側レンズ13は、物体側X2に、像側X1に湾曲する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。像側レンズ14は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。像側レンズ14は、物体側X2に突出する湾曲面が、物体側レンズ13の物体側X2に窪む湾曲面に挿入された状態で、物体側レンズ13に接合されている。物体側レンズ13の外径寸法は、像側レンズ14の外径寸法よりも小さい。従って、物体側レンズ13は、光軸方向Xから見た場合に、像側レンズ14の外周側に位置する環状のフランジ部分13aを備える。
【0024】
ここで、図4に示すように、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7、第5レンズ8、およびホルダ11は、周方向の一部分に、光軸方向Xから見た場合に周方向に直線に延びる切欠き部16を備える。第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8は、切欠き部16を光軸L回りの同一の角度位置に配した状態で積層される。
【0025】
(鏡筒)
鏡筒3は、樹脂製である。本例では、鏡筒3は非晶性樹脂からなる。鏡筒3は、ポリカーボネイト製である。
【0026】
図2に示すように、鏡筒3は、第1筒部21と、第1筒部21の内周側に位置する第2筒部22と、第1筒部21の光軸方向Xの途中から径方向内側に突出して、第1筒部21と第2筒部22とを径方向で接続する接続部23と、を有する。第1筒部21は、接続部23の物体側X2に、第1レンズ2を外周側から保持する保持部分24を有する。また、第1筒部21は、接続部23の像側X1に、第2筒部22を外周側から囲むスカート部分25を有する。さらに、第1筒部21は、物体側X2の端に、内周側に屈曲して、第1レンズ2の外周縁に物体側X2から当接する第1屈曲部分26を備える。なお、第1屈曲部分26は、第1筒部21の物体側X2の端部をカシメることにより設けられる。
【0027】
第2筒部22は、内周側にレンズ群4を収容する。第2筒部22は、物体側X2の端部に、物体側X2に向かって内周側に傾斜するテーパー外周面28aを備える環状部分28と、環状部分28の物体側X2の端から内周側に屈曲して第2レンズ5の外周縁に物体側
X2から当接する第2屈曲部分29と、を備える。また、第2筒部22は、像側X1の部分から径方向内側に突出してレンズ群4を支持する環状の支持部分30を備える。
【0028】
支持部分30は、第5レンズ8の物体側レンズ13のフランジ部分13aに像側X1から当接して、レンズ群4を像側X1から支持する。また、支持部分30は、物体側X2の端部分から径方向内側に突出する環状板部31を備える。環状板部31の内周側の端縁は、円形開口32を区画する。ここで、支持部分30および環状板部31は、第5レンズ8の像側レンズ14に接触していない。すなわち、支持部分30は、径方向で像側レンズ14と隙間を開けて対向する。環状板部31は、光軸方向Xで像側レンズ14と隙間を開けて対応する。環状板部31には、像側X1から不図示の撮像素子が固定される。撮像素子は、円形開口32を封鎖する。ここで、第2屈曲部分29は、第2筒部22の物体側X2の端部をカシメることにより設けられる。第2屈曲部分29と支持部分30とは、レンズ群4を光軸方向Xの両側から保持する。
【0029】
また、図4に示すように、第2筒部22は、内周面における第2屈曲部分29と支持部分30との間に、光軸方向Xに延びる複数のリブ33を備える。複数のリブ33は、周方向に配列されている。各リブ33は、レンズ群4が第2筒部22に収容されたときに、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8の物体側レンズ13に径方向外側から当接して、レンズ群4を径方向で位置決めする。
【0030】
ここで、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部22との間には、これらに設けた切欠き部16により、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。また、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部22との間には、周方向で隣り合うリブ33の間に、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。
【0031】
図2に示すように、接続部23は、第1レンズ2のフランジ面2bを像側X1から支持する支持面35aを有する第1レンズ支持部分35を備える。支持面35aは、第1レンズ2を第2筒部22およびレンズ群4から物体側X2に離間する位置に支持する。第1屈曲部分26と支持面35aとは、第1レンズ2を光軸方向Xの両側から保持する。
【0032】
ここで、鏡筒3は、支持面35aの外周側に像側X1に窪む環状溝36を備える。環状溝36には、環状の弾性部材37が挿入される。弾性部材37は、光軸方向Xで弾性変形して第1レンズ2と接続部23との間を封止する。また、鏡筒3は、環状溝36よりも内周側かつ支持面35aよりも像側X1に、第2レンズ5と第1レンズ2との間の空間Sと、接続部23よりも像側X1で第2筒部22の外側の空間とを連通させる貫通孔38を備える。
【0033】
貫通孔38は、接続部23を光軸方向Xに貫通するように設けられれている。また、図3図5に示すように、本例では、貫通孔38として、光軸L回りで180°離間する位置に設けれた第1貫通孔38(1)および第2貫通孔38(2)を備える。図3から分かるように、各貫通孔38の像側X1の端部開口38aは、接続部23の像側X1を向く面において、光軸方向Xから見た場合に支持面35aと重なる位置に設けられている。図5に示すように、各貫通孔38の物体側X2の端部開口38bは、第1レンズ支持部分35の内周側の面に設けられ、第2筒部22の環状部分28のテーパー外周面28aに径方向外側から対向する。各貫通孔38は、像側X1の端部開口38aに端に向かって周方向に広がる。
【0034】
(作用効果)
本例によれば、鏡筒3には、鏡筒3に保持された第1レンズ2と第2レンズ5との間の
空間と、鏡筒3の接続部23よりも像側X1で第2筒部22の外側の空間を連通させる貫通孔38が設けられている。この貫通孔38は、封止剤などによって封鎖されていない。従って、空間の空気が湿気を含んでいる場合でも、湿気を含んだ空気を、貫通孔38を介して、鏡筒3の接続部23よりも像側X1で第2筒部22の外側の空間に逃がすことができる。よって、第1レンズ2の像側X1の面などに、曇りが発生することを防止あるいは抑制できる。
【0035】
また、本例では、貫通孔38として、光軸L回りで180°離間する位置に設けれた第1貫通孔38(1)および第2貫通孔38(2)を備える。従って、レンズユニット1が光軸Lを水平にして使用される場合などに、第1貫通孔38(1)を空間Sの上側に位置させ、第2貫通孔38(2)を空間Sの下側に位置させることができる。よって、外気の温度に起因して発生する対流を利用して、湿気を含んだ空気を、第1貫通孔38(1)から外部に逃がすことができる。
【0036】
さらに、第2筒部22の物体側X2の端部分は、物体側X2に向かって内周側に傾斜するテーパー外周面28aを備える環状部分28と、環状部分28の物体側X2の端から内周側に屈曲して第2レンズ5の外周縁に物体側X2から当接する第2屈曲部分29と、を備える。貫通孔38の像側X1の端部開口38aは、接続部23の像側X1を向く面において、光軸方向Xから見た場合に支持面35aと重なる位置に設けられ、貫通孔38の物体側X2の端部開口38bは、第1レンズ支持部分35の径方向内側を向く面に設けれられて環状部分28のテーパー外周面28aに径方向外側から対向する。従って、貫通孔38を第1レンズ支持部分35の内周側に設ける場合などと比較して、接続部23を径方向に大きくなることを抑制できる。
【0037】
本例において、鏡筒3は、非晶性樹脂からなる。非晶性樹脂は、結晶性樹脂と比較して、吸水性に優れる。従って、空間Sの空気が湿気を含んでいる場合には、この湿気を、鏡筒3で吸収することができる。よって、第1レンズ2に曇りが発生することを抑制しやすい。
【0038】
(実施例2)
図6は、実施例2のレンズユニットの斜視図である。図7は、図6のD-D線断面図である。図8は、実施例2のレンズユニットの分解斜視図である。図9は、実施例2のレンズユニットの鏡筒を物体側X2から見た場合の平面図である。図10は、実施例2のレンズユニットの鏡筒を像側X1から見た場合の斜視図である。図6に示すように、本例のレンズユニット1Aは、レンズユニット1と同一の外観形状を備える。また、図6のC-C線断面図は、図2に示すレンズユニット1のA-A線断面図と同一である。ここで、本例のレンズユニット1Aは、鏡筒3Aの構成がレンズユニット1bの鏡筒3と相違するが、光学系の構成はレンズユニット1と同一である。従って、鏡筒3を説明して、他の説明は省略する。また、レンズユニット1Aの鏡筒3Aは、レンズユニット1の鏡筒3と対応する構成を備える。従って、対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
(鏡筒)
鏡筒3Aは、非晶性樹脂からなる。図2図7に示すように、鏡筒3Aは、第1筒部21と、第1筒部21の内周側に位置する第2筒部22と、第1筒部21の光軸方向Xの途中から径方向内側に突出して、第1筒部21と第2筒部22とを径方向で接続する接続部23と、を有する。第1筒部21は、接続部23の物体側X2に、保持部分24を有する。また、第1筒部21は、接続部23の像側X1に、スカート部分25を有する。さらに、第1筒部21は、物体側X2の端に、内周側に屈曲して、第1レンズ2の外周縁に物体側X2から当接する第1屈曲部分26を備える。
【0040】
第2筒部22は、内側にレンズ群4を収容する。第2筒部22は、物体側X2の端部に、物体側X2に向かって内周側に傾斜するテーパー外周面28aを備える環状部分28と、環状部分28の物体側X2の端から内周側に屈曲して第2レンズ5の外周縁に物体側X2から当接する第2屈曲部分29と、を備える。また、第2筒部22は、像側X1の部分から径方向内側に突出してレンズ群4を支持する環状の支持部分30を備える。支持部分30は、物体側X2の端部分から径方向内側に突出する環状板部31を備える。環状板部31の内周側の端縁は、円形開口32を区画する。
【0041】
ここで、図8図9に示すように、第2筒部22の第2屈曲部分29は、周方向の一部分に、半径形状の切欠き41を備える。本例では、切欠き41は、光軸L回りで180°離間する2か所に設けられた第1切欠き41(1)と第2切欠き41(2)と、を備える。また、図8図9図10に示すように、支持部分30は、光軸方向Xから見た場合に、切欠き41と重なる位置に円形の貫通孔40を備える。本例では、貫通孔40として、光軸方向Xから見た場合に第1切欠き41(1)と重なる第1貫通孔40(1)、および第2切欠き41(2)と重なる第2貫通孔40(2)と、を備える。さらに、図8に示すように、第2筒部22の内周面34における第2屈曲部分29と支持部分30との間の内周面部分には、光軸方向Xに延びて切欠き41と貫通孔40とを連通させる連通溝42が設けられている。連通溝42の断面は、円弧形状である。本例では、連通溝42として、光軸方向Xに延びて第1切欠き41(1)と第1貫通孔40(1)とを連通させる第1連通溝42(1)と、光軸方向Xに延びて第2切欠き41(2)と第2貫通孔40(2)とを連通させる第2連通溝42(2)を備える。
【0042】
また、第2筒部22は、内周面34における第2屈曲部分29と支持部分30との間に、光軸方向Xに延びる複数のリブ33を備える。複数のリブ33は、周方向に配列されている。各リブ33は、レンズ群4が第2筒部22に収容されたときに、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8の物体側レンズ13に径方向外側から当接して、レンズ群4を径方向で位置決めする。第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部22との間には、これらに設けた切欠き部16により、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。また、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部22との間には、周方向で隣り合うリブ33の間に、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。
【0043】
ここで、本例では、切欠き41が、光軸方向Xから見た場合にリブ33と重なる位置に設けられている。従って、第1連通溝42(1)および第2連通溝42(2)は、それぞれ光軸Lを挟んで対向する位置にある2つのリブ33に設けられ、各リブ33を周方向で2つに分割している。なお、第1連通溝42(1)および第2連通溝42(2)の径方向の深さ寸法は、各リブ33の径方向の高さ寸法よりも大きい。ここで、切欠き41、連通溝42、および貫通孔40は、周方向において、リブ33とリブ33の間に位置していてもよい。すなわち、第2筒部22におけるリブ33とリブ33との間の内周面34に連通溝42が形成されてもよい。
【0044】
接続部23は、支持面35aを有する第1レンズ支持部分35を備える。支持面35aは、第1レンズ2を第2筒部22およびレンズ群4から物体側X2に離間する位置に支持する。第1屈曲部分26と支持面35aとは、第1レンズ2を光軸方向Xの両側から保持する。
【0045】
また、鏡筒3Aは、支持面35aの外周側に像側X1に窪む環状溝36を備える。環状溝36には、環状の弾性部材37が挿入される。弾性部材37は、光軸方向Xで弾性変形して第1レンズ2と接続部23との間を封止する。さらに、鏡筒3Aは、環状溝36より
も内周側かつ支持面35aよりも像側X1に、第2レンズ5と第1レンズ2との間の空間Sと、接続部23よりも像側X1で第2筒部22の外側の空間とを連通させる貫通孔40を備える。
【0046】
(作用効果)
本例によれば、鏡筒3Aに保持された第1レンズ2と第2レンズ5との間の空間Sは、第2筒部22の第2屈曲部分29に設けた切欠き41、第2筒部22の内周面34に設けた連通溝42、および貫通孔40を介して、レンズユニット1の外部に連通する。従って、空間Sの空気が湿気を含んでいる場合でも、湿気を含んだ空気を、貫通孔40を介して、鏡筒3Aの接続部23よりも像側X1で第2筒部22の外側の空間に逃がすことができる。よって、第1レンズ2の像側X1の面などに、曇りが発生することを防止あるいは抑制できる。
【0047】
また、本例では、光軸L回りで180°離間する位置に設けられた第1切欠き41(1)、第1連通溝42(1)および第1貫通孔40(1)と、第2切欠き41(2)、第2連通溝42(2)および第2貫通孔40(2)と、を備える。従って、レンズユニット1が光軸Lを水平にして使用される場合などに、第1切欠き41(1)、第1連通溝42(1)および第1貫通孔40(1)を空間Sの上側に位置させ、第2切欠き41(2)、第2連通溝42(2)および第2貫通孔40(2)を空間Sの下側に位置させることができる。よって、外気の温度に起因して発生する対流を利用して、湿気を含んだ空気を、第1貫通孔40(1)から外部に逃がすことができる。
【0048】
また、鏡筒3Aは、非晶性樹脂からなる。非晶性樹脂は、結晶性樹脂と比較して、吸水性に優れる。従って、空間Sの空気が湿気を含んでいる場合には、この湿気を、鏡筒3Aで吸収することができる。よって、第1レンズ2に曇りが発生することを、より、抑制できる。
【0049】
なお、第2筒部22の第2屈曲部分29に設ける切欠き41を、光軸方向Xから見た場合にリブ33とリブ33の間の隙間と重なる位置に設けた場合には、リブ33とリブ33との間の隙間を連通溝としてもよい。この場合、貫通孔40を光軸方向Xから見た場合に切欠き41と重なる位置に設ければ、周方向におけるリブ33とリブ33の隙間は、切欠き41と貫通孔40とを光軸方向Xで連通させる連通溝となる。従って、空間Sの空気を、切欠き41、リブ33とリブ33との間の隙間、および貫通孔40を介して、外部に逃すことができる。
【符号の説明】
【0050】
1・1A…レンズユニット、2…第1レンズ、2a…湾曲面、2b…フランジ面、3・3A…鏡筒、4…レンズ群、5…第2レンズ、6…第3レンズ、7…第4レンズ、8…第5レンズ、9…遮光シート、10…絞り、11…ホルダ、13…物体側レンズ、13a…フランジ部分、14…像側レンズ、16…切欠き部、21…第1筒部、22…第2筒部、23…接続部、24…保持部分、25…スカート部分、26…第1屈曲部分、28…環状部分、28a…テーパー外周面、29…第2屈曲部分、30…支持部分、31…環状板部、32…円形開口、33…リブ、34…内周面、35…第1レンズ支持部分、35a…支持面、36…環状溝、37…弾性部材、38…貫通孔、38a…端部開口、38b…端部開口、40…貫通孔、41…切欠き、42…連通溝、L…光軸
図1
図2
図3
図4
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図7
図8
図9
図10