(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149438
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20231005BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20231005BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20231005BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G03B30/00
G02B7/02 B
G02B7/02 A
G02B7/02 F
G03B15/00 V
G03B15/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058014
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】中島 知昭
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA09
2H044AA15
2H044AA17
2H044AA19
2H044AB10
2H044AH17
2H044AJ02
2H044AJ04
2H044AJ05
(57)【要約】
【課題】第1レンズを鏡筒に保持させる工程と、第1レンズの像側に位置するレンズ群を鏡筒に保持させる工程とを独立して行うことができるレンズユニットを提供すること。
【解決手段】レンズユニット1の鏡筒3は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する樹脂製の第2鏡筒部材22と、を有する。第1鏡筒部材21は、第1レンズ2を外周側から保持する保持部27を有する第1筒部25を備える。第2鏡筒部材22は、レンズ群4を外周側から囲む第2筒部50と、第2筒部50から径方向外側に突出する環状のフランジ部51と、を備える。第1筒部25は、保持部27よりも像側X1に、フランジ部51に径方向外側から接触して第2鏡筒部材22を径方向で位置決めする径方向位置決め部を備える。レンズ群4は、フランジ部51の径方向内側に位置するレンズを備え、このレンズは、第2筒部50と径方向で隙間を開けて対向する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レンズと、
前記第1レンズの像側に位置するレンズ群と、
第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、
前記第1鏡筒部材の内周側で前記レンズ群を保持する樹脂製の第2鏡筒部材と、を有し、
前記第1鏡筒部材は、前記第1レンズを外周側から保持する保持部を有する第1筒部を備え、
前記第2鏡筒部材は、前記レンズ群を外周側から囲む第2筒部と、前記第2筒部から外周側に突出する環状のフランジ部と、を備え、前記第1レンズから前記像側に離間しており、
前記第1筒部は、前記保持部よりも前記像側に、前記フランジ部に径方向外側から当接して前記第2鏡筒部材を径方向で位置決めする径方向位置決め部を備え、
前記レンズ群は、光軸と直交する方向から見た場合に前記フランジ部と重なるレンズを備え、
前記レンズは、前記径方向で前記第2鏡筒部材と隙間を開けて対向することを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記レンズ群は、接合レンズを備え、
前記接合レンズは、物体側レンズ、および前記物体側レンズの前記像側に接合された像側レンズを備え、
前記第2鏡筒部材は、前記第2筒部において前記光軸と直交する方向から見た場合に前記フランジ部と重なる部分から内周側に突出する環状の支持部を備え、
前記像側レンズは、前記物体側レンズよりも外径寸法が小さく、前記レンズ群において最も前記像側に位置し、
前記物体側レンズは、前記光軸方向から見た場合に、前記像側レンズの外周側に位置するフランジ部分を備え、
前記第2筒部は、前記物体側レンズに外周側から当接し、
前記支持部は、前記フランジ部分を前記像側から支持するとともに、前記径方向で前記像側レンズと隙間を開けて対向し、
前記レンズは、前記像側レンズであることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第1筒部は、その内周面における前記保持部の前記像側に段部を備え、
前記段部は、前記像側を向く環状端面と、前記環状端面の外周側で当該環状端面から前記像側に延びる環状壁面と、を備え、
前記環状端面は、前記フランジ部に物体側から当接して前記第2鏡筒部材を前記光軸方向で位置決めし、
前記環状壁面は、周方向に配列された複数の突起を備え、
複数の前記突起は、前記径方向位置決め部であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
環状の弾性部材を有し、
前記第1鏡筒部材は、前記光軸方向における前記保持部と前記段部との間から内周側に突出する環状突部を備え、
前記環状突部は、前記第1レンズの外周縁部分を前記像側から支持する支持面を有する第1レンズ支持部と、前記支持面の外周側で前記像側に窪む環状溝と、を備え、
前記弾性部材は、前記環状溝に配置され、前記光軸方向で圧縮された状態で前記第1レンズと前記環状突部との間を封止し、
前記径方向における前記環状突部と前記第2筒部との間には、隙間が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第1鏡筒部材は、前記第1筒部における前記保持部の前記像側から内周側に突出する環状の固定部を備え、
前記固定部は、前記フランジ部に物体側から当接して前記第2鏡筒部材を前記光軸方向で位置決めし、
前記第1筒部の内周面において前記固定部の前記像側に隣り合う環状内周面部分は、周方向に配列された複数の突起を備え、
複数の前記突起は、前記径方向位置決め部であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記第1筒部は、その内周面における前記物体側の端部分に、環状の段部を備え、
前記段部は、前記第1レンズの外周縁部分に前記像側から当接する環状の支持面と、前記支持面の外周側で当該支持面から前記物体側に延びて前記第1レンズに外周側から当接する環状の保持面と、を備え、
前記第1筒部において前記保持面を備える部分は、前記保持部であることを特徴とする請求項5に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記フランジ部は、前記物体側を向く面の外周端縁部分に切欠き凹部を備え、
前記径方向位置決め部が前記フランジ部に当接したときに前記切欠き凹部は、前記径方向において、周方向で隣り合う2つの前記突起の間の隙間に対向し、
前記隙間は、前記切欠き凹部を介して、前記光軸方向で前記第1レンズと前記レンズ群との間に位置する空間に連通することを特徴とする請求項3から6のうちのいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記第2鏡筒部材は、前記第2筒部の前記物体側の端から内周側に屈曲して前記レンズ群の最も前記物体側に位置する第2レンズに前記物体側から当接する当接部を有することを特徴とする請求項3から7のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記第2筒部の前記物体側の端部分に取り付けられた環状のリテーナを有し、
前記リテーナは、前記第2筒部の前記物体側の端部分の外周側に固定された周壁部と、前記周壁部の前記物体側の端から内周側に延びて前記レンズ群のうち最も前記物体側に位置する第2レンズに前記物体側から当接する当接部と、を備えることを特徴とする請求項3から7のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記第1鏡筒部材は、結晶性樹脂からなり、
前記第2鏡筒部材は、非晶性樹脂からなることを特徴とする請求項1から9のうちのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒が2つの鏡筒部材から構成されるレンズユニットに関する。
【0002】
自動車や監視カメラに搭載される撮像装置で使用されるレンズユニットは特許文献1に記載されている。同文献のレンズユニットは、物体側に位置する第1レンズと、第2レンズの像側に位置するレンズ群と、第1レンズおよび第2レンズを保持する鏡筒と、を備える。鏡筒は、環状の内枠部材と、内枠部材を外周から囲む環状の外枠部材と、を備える。内枠部材は、筒部と、筒部の物体側の端部分から外周側に突出する鍔部を備える。外枠部材は、内枠部材を貫通させた状態で鍔部を像側から支持する環状段部を備える。レンズ群は、内枠部材の内周側に収容されている。第1レンズは、外枠部材により外周側から保持されるとともに、内枠部材の鍔部により像側から支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のレンズユニットを組み立てる際には、内枠部材にレンズ群を収容し、次に、内枠部材を外枠部材の環状段部に支持させ、しかる後に、第1レンズを、外枠部材に保持させながら、内枠部材の鍔部に係止させる。従って、レンズユニットの製造工程では、レンズ群を内枠部材に保持させる工程が終了した後でなければ、第1レンズを外枠部材に保持させる工程を行うことができない。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、第1レンズを鏡筒に保持させる工程と、第1レンズの像側に位置するレンズ群を鏡筒に保持させる工程と、を別々に独立して行うことができるレンズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のレンズユニットは、第1レンズと、前記第1レンズの像側に位置するレンズ群と、第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、前記第1鏡筒部材の内周側で前記レンズ群を保持する樹脂製の第2鏡筒部材と、を有し、前記第1鏡筒部材は、前記第1レンズを外周側から保持する保持部を有する第1筒部を備え、前記第2鏡筒部材は、前記レンズ群を外周側から囲む第2筒部と、前記第2筒部から外周側に突出する環状のフランジ部と、を備え、前記第1レンズから前記像側に離間しており、前記第1筒部は、前記保持部よりも前記像側に、前記フランジ部に径方向外側から当接して前記第2鏡筒部材を径方向で位置決めする径方向位置決め部を備え、前記レンズ群は、光軸と直交する方向から見た場合に前記フランジ部と重なるレンズを備え、前記レンズは、前記径方向で前記第2鏡筒部材と隙間を開けて対向することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1レンズは第1鏡筒部材に保持され、第1レンズの像側に位置するレンズ群は第2鏡筒部材に保持される。また、レンズ群を保持する第2鏡筒部材は、第1レンズから像側に離間する。従って、第1レンズの保持に第2鏡筒部材は関与しない。よって、レンズユニットの製造時に、第1レンズの第1鏡筒部材への保持と、レンズ群の第2鏡筒部材への保持とを、別々に独立して行うことができる。ここで、第1レンズの第1鏡筒部材への保持と、レンズ群の第2鏡筒部材への保持とを別々に行うことができれば、レンズユニットとして第1鏡筒部材の形状の異なる複数のバリエーションが展開されてい
る場合などに、第1レンズと第1レンズを保持する第2鏡筒部材からなる第1ユニットをバリエーション毎に製造し、レンズ群とレンズ群を保持する第2鏡筒部材からなる第2ユニットをバリエーションに左右されない共通部品として製造できる。このようにすれば、レンズユニットのバリエーション毎の量産数量が変化した場合でも柔軟に対応できる。
【0008】
また、本発明では、第1鏡筒部材の第1筒部は、フランジ部に径方向外側から接触して第2鏡筒部材を径方向で位置決めする径方向位置決め部を備える。従って、第2鏡筒部材は、第1鏡筒部材に対して位置精度よく固定される。よって、鏡筒を第1鏡筒部材と第2鏡筒部材の2部材から構成した場合でも、第1レンズとレンズ群との位置精度が低下することを防止或いは抑制できる。ここで、第2鏡筒部材のフランジ部には、第1筒部が備える径方向位置決め部が径方向外側から接触する。従って、フランジ部が径方向位置決め部に接触したときに第2鏡筒部材で発生する応力が、第2筒部の内周側に位置するレンズに伝わり、当該レンズに歪みを発生させる危険性がある。これに対して、レンズ群を構成する複数のレンズのうち、光軸と直交する方向から見た場合にフランジ部と重なるレンズは、径方向で第2鏡筒部材と隙間を開けて対向する。従って、フランジ部が径方向位置決め部に接触して第2鏡筒部材に応力が発生した場合でも、光軸と直交する方向から見た場合にフランジ部と重なるレンズ(フランジ部の径方向内側に位置するレンズ)に、その応力が伝わることを防止或いは抑制できる。従って、レンズに歪みが発生することを防止或いは抑制できる。
【0009】
また、第2筒部と、第2筒部から外周側に突出するフランジ部とを備える第2鏡筒部材では、フランジ部が設けられた部分の径方向の厚みが他の部分と比較して大きくなる。従って、樹脂製の第2鏡筒部材の成形時のヒケに起因して、第2筒部のフランジ部が設けられている部分には、歪みが発生する可能性がある。これに対して、第2鏡筒部材に保持されるレンズ群のうち、光軸と直交する方向から見た場合にフランジ部と重なるレンズ(フランジ部の径方向内側に位置するレンズ)は、第2鏡筒部材と径方向で隙間を開けて対向する。従って、第2筒部においてフランジ部が設けられている部分に歪みが発生した場合でも、第2鏡筒部材がレンズ群を保持する精度が低下することを防止或いは抑制できる。
【0010】
本発明において、前記レンズ群は、接合レンズを備え、前記接合レンズは、物体側レンズ、および前記物体側レンズの前記像側に接合された像側レンズを備え、前記第2鏡筒部材は、前記第2筒部において前記光軸と直交する方向から見た場合に前記フランジ部と重なる部分から内周側に突出する環状の支持部を備え、前記像側レンズは、前記物体側レンズよりも外径寸法が小さく、前記レンズ群において最も前記像側に位置し、前記物体側レンズは、前記光軸方向から見た場合に、前記像側レンズの外周側に位置するフランジ部分を備え、前記第2筒部は、前記物体側レンズに外周側から当接し、前記支持部は、前記フランジ部分を前記像側から支持するとともに、前記径方向で前記像側レンズと隙間を開けて対向し、前記レンズは、前記像側レンズであるものとすることができる。このようにすれば、第2鏡筒部材により接合レンズを保持しながら、第2鏡筒部材と像側レンズとの間に径方向の隙間を設けることができる。
【0011】
本発明において、前記第1筒部は、その内周面における前記保持部の前記像側に段部を備え、前記段部は、前記像側を向く環状端面と、前記環状端面の外周側で当該環状端面から前記像側に延びる環状壁面と、を備え、前記環状端面は、前記フランジ部に物体側から当接して前記第2鏡筒部材を前記光軸方向で位置決めし、前記環状壁面は、周方向に配列された複数の突起を備え、複数の前記突起は、前記径方向位置決め部であるものとすることができる。このようにすれば、第2鏡筒部材のフランジ部を像側から第1鏡筒部材の環状壁面の内側に圧入して、環状端面に当接せることにより、第2鏡筒部材を第1鏡筒部材に対して径方向および光軸方向に位置決めできる。
【0012】
本発明において、環状の弾性部材を有し、前記第1鏡筒部材は、前記光軸方向における前記保持部と前記段部との間から内周側に突出する環状突部を備え、前記環状突部は、前記第1レンズの外周縁部分を前記像側から支持する支持面を有する第1レンズ支持部と、前記支持面の外周側で前記像側に窪む環状溝と、を備え、前記弾性部材は、前記環状溝に配置され、前記光軸方向で圧縮された状態で前記第1レンズと前記環状突部との間を封止し、前記径方向における前記環状突部と前記第2筒部との間には、隙間が設けられているものとすることができる。
【0013】
本発明において、前記第1鏡筒部材は、前記第1筒部における前記保持部の前記像側から内周側に突出する環状の固定部を備え、前記固定部は、前記フランジ部に前記物体側から当接して前記第2鏡筒部材を前記光軸方向で位置決めし、前記第1筒部の内周面において前記固定部の前記像側に隣り合う環状内周面部分は、周方向に配列された複数の突起を備え、複数の前記突起は、前記径方向位置決め部であるものとすることができる。このようにすれば、第2鏡筒部材のフランジ部を像側から第1鏡筒部材の第1筒部の内側に圧入して、環状突部に当接せることにより第2鏡筒部材を第1鏡筒部材に対して径方向および光軸方向で位置決めできる。
【0014】
本発明において、前記第1筒部は、その内周面における前記物体側の端部分に、環状の段部を備え、前記段部は、前記第1レンズの外周縁部分に前記像側から当接する環状の支持面と、前記支持面の外周側で当該支持面から前記物体側に延びて前記第1レンズに外周側から当接する環状の保持面と、を備え、前記第1筒部において前記保持面を備える部分は、前記保持部であるものとすることができる。
【0015】
本発明において、前記フランジ部は、前記物体側を向く面の外周端縁部分に切欠き凹部を備え、前記径方向位置決め部が前記フランジ部に当接したときに前記切欠き凹部は、前記径方向において、周方向で隣り合う2つの前記突起の間の隙間に対向し、前記隙間は、前記切欠き凹部を介して、前記光軸方向で前記第1レンズと前記レンズ群との間に位置する空間に連通するものとすることができる。このようにすれば、第1鏡筒部材の内周側に第2鏡筒部材のフランジ部を圧入する際に、周方向における突起と突起の間の隙間、および、切欠き凹部を介して、第1レンズを保持する第1鏡筒部材とレンズ群を保持する第2鏡筒部材との間にある空気を、逃がすことができる。また、光軸方向で第1レンズとレンズ群との間に位置する空間は、フランジ部に設けられた切欠き凹部と、第1筒部の内周面に設けられた突起と突起の間の隙間を介して、レンズユニットの外部の空間に連通する。従って、第1レンズとレンズ群との間の空間に湿気が存在する場合に、かかる湿気を、切欠き凹部および突起と突起の間の隙間を介して、外部に逃がすことができる。従って、第1レンズの物体側の面が曇ることを防止或いは抑制できる。
【0016】
本発明において、前記第2鏡筒部材は、前記第2筒部の前記物体側の端から内周側に屈曲して前記レンズ群の最も前記物体側に位置する第2レンズに前記物体側から当接する当接部を有するものとすることができる。このようにすれば、当接部と支持部とによって、レンズ群を光軸方向の両側から保持できる。また、このようにすれば、当接部は、第2筒部の物体側の端部をカシメることにより設けることができる。
【0017】
本発明において、前記第2筒部の前記物体側の端部分に取り付けられた環状のリテーナを有し、前記リテーナは、前記第2筒部の前記物体側の端部分の外周側に固定された周壁部と、前記周壁部の前記物体側の端から内周側に延びて前記レンズ群のうち最も前記物体側に位置する第2レンズに前記物体側から当接する当接部と、を備えるものとすることができる。このようにしても、当接部と支持部とによって、レンズ群を光軸方向の両側から保持できる。
【0018】
本発明において、前記第1鏡筒部材は、結晶性樹脂からなり、前記第2鏡筒部材は、非晶性樹脂からなるものとすることができる。ここで、結晶性樹脂は、非晶性樹脂と比較して、対候性が高い。従って、レンズユニットが車載用の撮像装置や屋外に設置される撮像装置に搭載された場合に、第1鏡筒部材が経年劣化することを抑制できる。一方、非晶性樹脂は、結晶性樹脂と比較して、吸水性に優れる。従って、第1鏡筒部材の内周側において第1レンズよりも像側に位置する空間に湿気が存在する場合に、その湿気を第2鏡筒部材で吸収できる。従って、第1レンズの像側の面に曇りが発生することを抑制しやすい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1レンズは第1鏡筒部材に保持され、第1レンズの像側に位置するレンズ群は第2鏡筒部材に保持される。また、レンズ群を保持する第2鏡筒部材は、第1レンズから像側に離間する。従って、第1レンズの保持に第2鏡筒部材は関与しない。よって、レンズユニットの製造時に、第1レンズの第1鏡筒部材への保持と、レンズ群の第2鏡筒部材への保持とを、別々に独立して行うことができる。また、第1鏡筒部材の第1筒部は、フランジ部に径方向外側から接触して第2鏡筒部材を径方向で位置決めする径方向位置決め部を備える。従って、第2鏡筒部材は、第1鏡筒部材に対して位置精度よく固定される。よって、鏡筒を第1鏡筒部材と第2鏡筒部材の2部材から構成した場合でも、第1レンズとレンズ群との位置精度が低下することを防止或いは抑制できる。さらに、レンズ群を構成する複数のレンズのうち、光軸と直交する方向から見た場合にフランジ部と重なるレンズは、第2鏡筒部材と径方向で隙間を開けて対向する。従って、第2鏡筒部材を第1鏡筒部材の内周側に圧入したときにフランジ部が径方向位置決め部に接触して第2鏡筒部材に応力が発生した場合でも、フランジ部の径方向内側に位置するレンズに、その応力が伝わることを防止或いは抑制できる。従って、レンズに歪みが発生することを防止或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用した実施例1のレンズユニットの外観斜視図である。
【
図4】第1鏡筒部材21を像側X1から見た場合の斜視図である。
【
図6】第2鏡筒部材にリテーナを取り付ける場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を適用したレンズユニットの実施形態について説明する。
【0022】
(実施例1)
図1は、本発明を適用したレンズユニット1の外観斜視図である。
図2は、
図1のA-A線におけるレンズユニット1の断面図である。
図3は、レンズユニット1の分解斜視図である。本例のレンズユニット1は、自動車や監視カメラに搭載される撮像装置に用いられる。
【0023】
(光学系)
図1に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ2と、鏡筒3と、を備える。また、
図2に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ2の光軸Lに沿った光軸方向Xで第1レンズ2の像側X1で鏡筒3に保持されたレンズ群4を有する。レンズ群4は、光軸方向Xを物体側X2から像側X1に向かって第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7、および第5レンズ8を備える。第5レンズ8は、2枚のレンズを接合した接合レンズで
ある。レンズ群4を構成する各レンズ5~8は、第1レンズ2よりも外径寸法が小さい。また、レンズユニット1は、第2レンズ5と第3レンズ6との間に配置された円環状の遮光シート9と、第3レンズ6と第4レンズ7との間に配置された円環状の絞り10と、を備える。
【0024】
第1レンズ2は、樹脂製またはガラス製である。第1レンズ2は、メニスカスレンズである。第1レンズ2は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備える。また、第1レンズ2は、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面2aと、湾曲面の外周側で光軸Lに直交する方向に広がる環状のフランジ面2b(外周縁部分)と、を備える。フランジ面2bには、遮光のための黒墨が塗布されている。
【0025】
第2レンズ5は、樹脂製である。第2レンズ5は、メニスカスレンズである。第2レンズ5は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。第2レンズ5は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分5aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分5bと、をこの順に備える。第3レンズ6は、樹脂製である。第3レンズ6は、物体側X2に、物体側X2にする湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。第3レンズ6は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分6aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分6bと、をこの順に備える。第4レンズ7は、ガラス製である。第4レンズ7は、第2レンズ5、第3レンズ6、および第5レンズ8よりも外径寸法が小さい。第4レンズ7は、環状のホルダ11に保持された状態で第3レンズ6と第5レンズ8との間に位置する。
【0026】
第5レンズ8は、物体側レンズ13と、物体側レンズ13の像側X1に位置する像側レンズ14と、を備える。物体側レンズ13および像側レンズ14は、いずれも樹脂製である。物体側レンズ13は、物体側X2に、像側X1に湾曲する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。また、物体側レンズ13は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分8aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分8bと、をこの順に備える。像側レンズ14は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。像側レンズ14は、物体側X2に突出する湾曲面が、物体側レンズ13の物体側X2に窪む湾曲面に挿入された状態で、物体側レンズ13に接合されている。物体側レンズ13の外径寸法は、像側レンズ14の外径寸法よりも大きい。従って、物体側レンズ13は、光軸方向Xから見た場合に、像側レンズ14の外周側に位置する環状のフランジ部分13aを備える。
【0027】
ここで、第2レンズ5の外径寸法、第3レンズ6の外径寸法、第4レンズ7を保持するホルダ11の外径寸法、および第5レンズ8の外径寸法は、この順番で、僅かに短くなる。また、
図3に示すように、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7、第5レンズ8、およびホルダ11は、周方向の一部分に、光軸方向Xから見た場合に周方向に直線に延びる切欠き部16を備える。第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8は、切欠き部16を光軸L回りの同一の角度位置に配した状態で積層される。
【0028】
(鏡筒)
図4は、第1鏡筒部材21を像側X1から見た場合の斜視図である。
図6は、
図1のB-B線断面図である。
図2、
図3に示すように、鏡筒3は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22と、の2部材から構成される。第2鏡筒部材22は、第1鏡筒部材21の内周側に収容されている。第1鏡筒部材21は
、結晶性樹脂からなる。第2鏡筒部材22は非晶性樹脂からなる。本例では、第1鏡筒部材21は、ポリアミド系の樹脂からなる。第2鏡筒部材22は、ポリカーボネイト製である。第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とは、溶着により固定されている。
【0029】
(第1鏡筒部材)
図2、
図4に示すように、第1鏡筒部材21は、第1レンズ2の外周側に位置する第1筒部25と、第1筒部25の光軸方向Xの途中から径方向内側に突出する環状突部26と、を備える。
図2に示すように、第1筒部25は、環状突部26の物体側X2に、第1レンズ2を外周側から保持する保持部27を備える。また、第1筒部25は、環状突部26の像側X1に、スカート部28を備える。さらに、第1筒部25は、物体側X2の端に、内周側に屈曲して第1レンズ2に物体側X2から当接する第1当接部29を備える。
【0030】
図2、
図3に示すように、環状突部26は、物体側X2を向く面に、第1レンズ2を像側X1から支持する環状の支持面31aを備える第1レンズ支持部31を備える。また、環状突部26は、支持面31aの外周側に、像側X1に窪む環状溝32を備える。環状溝32には、環状の弾性部材33が挿入される。弾性部材33は、Oリングである。
【0031】
図2に示すように、スカート部28は、内周面における像側X1の端部分に段部35を備える。段部35は、像側X1を向く環状端面36と、環状端面36の外周側で当該環状端面36から像側X1に延びる環状壁面37と、を備える。環状端面36は、内周側から外周側に向かって、光軸Lと垂直な第1基準面38と、第1基準面38と平行で第1基準面38から像側X1にずれた位置に設けられた第1溶着面39と、を備える。径方向における第1基準面38と第1溶着面39との間には、径方向内側を向く第1環状面40が設けられている。環状壁面37には、複数の突起41が設けられている。複数の突起41は、周方向に配列されている。
【0032】
(第2鏡筒部材)
図3に示すように、第2鏡筒部材22は、レンズ群4を外周側から囲む第2筒部50と、第2筒部50の像側X1の部分から外周側に突出するフランジ部51と、を備える。また、第2鏡筒部材22は、レンズ群4を光軸方向Xの両側から保持する保持機構53を有する。
図2に示すように、保持機構53は、第2筒部50の物体側X2の端から径方向内側に屈曲して第2レンズ5に物体側X2から接触する第2当接部54と、第2筒部50の像側X1の部分から径方向内側に突出してレンズ群4を像側X1から支持する環状の支持部55と、を備える。支持部55は、第5レンズ8における物体側レンズ13のフランジ部分13aに像側X1から当接して、レンズ群4を像側X1から支持する。支持部55は、物体側X2の端部分に、径方向内側に突出する環状板部56を備える。環状板部56の内周側の端縁は、円形開口57を区画する。環状板部56の像側X1の面には、円形開口57を封鎖するように不図示の撮像素子が固定される。
【0033】
図2に示すように、第2筒部50の内周面60は、像側X1に向かって、僅かに、内周側に傾斜する。
図3に示すように、第2筒部50の内周面60における第2当接部54と支持部55との間には、内周面60に沿って光軸方向Xに延びる複数のリブ61が設けられている。複数のリブ61は、周方向に配列されている。
図2に示すように、各リブ61は、レンズ群4が第2筒部50に収容されたときに、第2レンズ5の物体側レンズ部分5a、第3レンズ6の物体側レンズ部分6a、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8の物体側レンズ13の物体側レンズ部分8aに径方向外側から当接して、レンズ群4を径方向で位置決めする。
【0034】
ここで、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部50との間には、これらに設けた切欠き部16により、光軸方向
Xに延びる隙間が形成される。また、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部50との間には、周方向で隣り合うリブ61の間に、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。
【0035】
図2に示すように、フランジ部51は、光軸Lと直交する方向から見た場合に、支持部55と重なる位置に設けられている。すなわち、径方向の外側から内側に向かって、フランジ部51、第2筒部50、支持部55、および第5レンズ8の像側レンズ14が位置する。
図2、
図3に示すように、フランジ部51は、物体側X2を向く面に、内周側から外周側に向かって、光軸Lと垂直な第2基準面63と、第2基準面63と平行で第2基準面63から像側X1にずれた位置に設けられた第2溶着面64と、を備える。また、環状突部26は、径方向における第2基準面63と第2溶着面との間に、径方向外側を向く第2環状面65と、を備える。さらに、
図3に示すように、フランジ部51は、第2鏡筒部材22が第1鏡筒部材21に固定される前の状態では、第2溶着面64に物体側X2に突出する溶着代用突起67を備える。溶着代用突起67は、周方向に円弧に延びる。
【0036】
また、フランジ部51は、物体側X2を向く面の外周端縁部分に、複数の切欠き凹部69を備える。本例では、切欠き凹部69は、光軸L回りの等角度間隔で4か所に設けられている。各切欠き凹部69の周方向の幅寸法は、第1鏡筒部材21の段部35の環状壁面37に設けられた突起41の周方向の幅寸法よりも長い。また、各切欠き凹部69の径方向の長さ寸法は、第1鏡筒部材21の段部35の環状端面36の径方向の長さ寸法よりも、長い。
【0037】
(レンズユニットの組み立て)
レンズユニット1を組み立てる際には、第1鏡筒部材21に第1レンズ2を保持する第1ユニット組み立て動作と、第2鏡筒部材22にレンズ群4を保持する第2ユニット組み立て動作とは、それぞれ別々に独立して行われる。また、組み立てが完了した第1ユニットと、組み立てが完了して第2ユニットとを固定する固定動作が行われる。
【0038】
第1ユニット組み立て動作では、第1鏡筒部材21の環状溝32に弾性部材33を挿入する。次に、第1鏡筒部材21の保持部27の内周側に第1レンズ2を挿入する。そして、第1レンズ2のフランジ面2bを環状突部26の第1レンズ支持部31の支持面31aに当接させる。しかる後に、第1鏡筒部材21の物体側X2の端をカシメることにより、第1当接部29を形成する。これにより、第1レンズ2は、第1当接部29と第1レンズ支持部31の支持面31aとによって光軸方向Xから保持される。第1レンズ2が第1鏡筒部材21に保持された状態では、弾性部材33は、光軸方向Xで圧縮された状態となる。弾性部材33は、第1レンズ2と環状突部26との間を封止する。
【0039】
第2ユニット組み立て動作では、物体側X2から第2鏡筒部材22にレンズ群4を収容して、レンズ群4を支持部55に支持させる。しかる後に、第2鏡筒部材22の物体側X2の端をカシメることにより、第2当接部54を形成する。これにより、レンズ群4は、保持機構53により、光軸方向Xの両側から保持される。レンズ群4が第2鏡筒部材22に保持された状態を光軸Lと直交する方向から見た場合には、フランジ部51、支持部55、および第4レンズ7の物体側レンズ13は、重なる。
【0040】
第2ユニットを第1ユニットに固定する固定動作では、まず、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22を、第1鏡筒部材21のスカート部28の内側に挿入し、第2鏡筒部材22のフランジ部51を段部35の環状壁面37の内周側に圧入する。
図2に示すように、第1鏡筒部材21の段部35の環状壁面37に設けられた複数の突起41は、フランジ部51が圧入されたときに、フランジ部51の外周面に径方向外側から当接して、第2環状筒部を径方向で位置決めする。すなわち、第1鏡筒部材21の複数の突起41は、第2鏡
筒部材22を径方向で位置決めする径方向位置決め部である。
【0041】
その後、第2鏡筒部材22のフランジ部51を段部35の環状端面36に当接させて、第1溶着面39と第2溶着面64とを溶着する。溶着には、超音波溶着、或いは、レーザー溶着を用いる。溶着に際しては、フランジ部51に設けられた溶着代用突起67を溶融させながら第1鏡筒部材21の環状突部26の第1基準面38と、第2鏡筒部材22のフランジ部51の第2基準面63とを密着させる。これにより、環状突部26の第1基準面38が第2鏡筒部材22を光軸方向Xに位置決めする光軸方向位置決め部となる。
【0042】
第2鏡筒部材22が第1鏡筒部材21に固定されたときに、第1レンズ2と、第2レンズ5とは、接触しない。また、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22は、第1レンズ2から像側X1に離間する。さらに、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22と、第1鏡筒部材21の環状突部26とは、径方向で離間する。すなわち、径方向における第1鏡筒部材21の環状突部26と第2筒部50との間には、隙間Vが設けられている。
【0043】
ここで、本例では、段部35の環状壁面37には、複数の突起41が設けられている。従って、
図5に示すように、段部35の内側に第2鏡筒部材22のフランジ部51を圧入したときに、周方向における突起41と突起41の間に隙間70が形成される。また、フランジ部51は、物体側X2を向く面の外周部分に、複数の複数の切欠き凹部69を備える。各切欠き凹部69は、環状壁面37にフランジ部51を圧入して、フランジ部51に複数の突起41を当接させたときに、周方向における2つの突起41の間の隙間70に、径方向で対向する。また、各切欠き凹部69は、環状壁面37にフランジ部51を圧入して、フランジ部51に複数の突起41を当接させた状態を光軸方向Xから見た場合に、環状端面36よりも径方向内側に延びている。従って、段部35の環状壁面37において周方向で隣り合う2つの突起41の間の隙間70は、切欠き凹部69を介して、スカート部28の内周側かつ第2筒部50の外周側で段部35よりも物体側X2の空間Uと連通する。
【0044】
また、スカート部28の内周側かつ第2筒部50の外周側で段部35よりも物体側X2の空間Uは、第1鏡筒部材21の環状突部26と第2筒部50との間の隙間Vを介して、光軸方向Xにおける第1レンズ2とレンズ群4(第2レンズ5)との間の空間Sに連通する。さらに、段部35の環状壁面37において周方向で隣り合う2つの突起41の間の隙間70は、レンズユニット1の外部の空間に連通する。すなわち、隙間70は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22とによって囲まれていない外部の空間に連通する。従って、第2鏡筒部材22を第1鏡筒部材21に圧入する時に第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22との間の空気(空間Sの空気および空間Uの空気)を、切欠き凹部69および2つのリブ61の間の隙間70を介して逃がすことができる。よって、第1筒部25の内側に第2鏡筒部材22のフランジ部51を圧入することが容易である。
【0045】
また、本例では、レンズ群4が第2鏡筒部材22に保持された状態を光軸Lと直交する方向から見た場合には、フランジ部51、支持部55、および第4レンズ7の物体側レンズ13は重なるが、径方向における支持部55と像側レンズ14との間には隙間Tが設けられている。従って、第1鏡筒部材21の段部35の内側に第2鏡筒部材22のフランジ部51を圧入したときに、第2鏡筒部材22に発生する応力が、フランジ部51の径方向内側に位置する物体側レンズ13に伝わることを防止できる。よって、第4レンズ7に歪みが発生することを防止或いは抑制できる。
【0046】
また、本例では、第1鏡筒部材21の段部35に固定されるフランジ部51が、第2鏡筒部材22の像側X1の部分に設けられている。従って、段部35とフランジ部51とを
溶着する作業を像側X1から行うことが容易である。
【0047】
(作用効果)
本例によれば、第1レンズ2は第1鏡筒部材21に保持され、第1レンズ2の像側X1に位置するレンズ群4は第2鏡筒部材22に保持される。また、第1レンズ2の像側X1に位置するレンズ群4を保持する第2鏡筒部材22は、第1レンズ2から像側X1に離間する。従って、第1レンズ2の保持に第2鏡筒部材22は関与しない。よって、レンズユニット1の製造時に、第1レンズ2の第1鏡筒部材21への保持と、レンズ群4の第2鏡筒部材22への保持とを、別々に独立して行うことができる。
【0048】
ここで、第1レンズ2の第1鏡筒部材21への保持と、レンズ群4の第2鏡筒部材22への保持とを別々に行うことができれば、レンズユニット1として第1鏡筒部材21の形状の異なる複数のバリエーションが展開されている場合などに、第1レンズ2と第1レンズ2を保持する第2鏡筒部材22からなる第1ユニットをバリエーション毎に製造し、レンズ群4とレンズ群4を保持する第2鏡筒部材22からなる第2ユニットをバリエーションに左右されない共通部品として製造できる。このようにすれば、レンズユニット1のバリエーション毎の量産数量が変化した場合でも柔軟に対応できる。
【0049】
また、本例では、第1筒部25は、段部35の内周壁面に、フランジ部51に径方向外側から接触して第2鏡筒部材22を径方向で位置決めする複数の突起41を備える。複数の突起41は、第2鏡筒部材22を径方向で位置決めする径方向位置決め部である。また、第1筒部25の段部35の環状端面36の第1基準面38は、フランジ部51に当接して第2鏡筒部材22を光軸方向Xで位置決めする光軸方向位置決め部である。これにより、第1鏡筒部材21に対し、第2鏡筒部材22は位置精度よく固定される。従って、鏡筒3を第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21とレンズ群4を保持する第2鏡筒部材22の2部材から構成した場合でも、第1レンズ2とレンズ群4との位置精度が低下することを防止或いは抑制できる。
【0050】
さらに、第2鏡筒部材22が第2筒部50と、第2筒部50から外周側に突出するフランジ部51とを備える場合には、第2鏡筒部材22においてフランジ部51を備える部分の径方向の厚みが他の部分と比較して大きくなる。従って、第2鏡筒部材22の成型時のヒケに起因して、第2筒部50のフランジ部51が設けられている部分に歪みが発生する可能性がある。これに対して、第2鏡筒部材22に保持されるレンズ群4のうち、光軸Lと直交する方向から見た場合にフランジ部51と重なる物体側レンズ13は、第2筒部50と径方向で隙間Tを開けて対向する。従って、第2筒部50においてフランジ部51が設けられている部分に歪みが発生した場合でも、第2鏡筒部材22がレンズ群4を保持する精度が低下することを防止或いは抑制できる。
【0051】
また、本例では、第1レンズ2と、レンズ群4の第2レンズ5との間には、空間Sが設けられている。さらに、第1鏡筒部材21において第1レンズ2のフランジ面2bを支持する第1レンズ支持部31を備える環状突部26と、第2鏡筒部材22との間には、径方向に空間が設けられている。従って、第1レンズ2の像側X1面に曇りが発生することを防止或いは抑制するために、第1レンズ2の物体側X2に、第1レンズ2を温めるヒータを配置することが容易である。また、第1レンズ2に付着した水滴などを脱落させるために、第1レンズ2の物体側X2に、振動用のアクチュエータなどを配置することが容易である。
【0052】
さらに、本例では、第1鏡筒部材21は、結晶性樹脂からなり、第2鏡筒部材22は、非晶性樹脂からなる。ここで、結晶性樹脂は、非晶性樹脂と比較して、非晶性樹脂に優れる。また、非晶性樹脂は、結晶性樹脂と比較して、吸湿性に優れる。従って、レンズユニ
ット1を、車載用の撮像装置などに使用した場合に、外光に晒されやすい第1鏡筒部材21の対候性を高くすることができる。なた、第2鏡筒部材22の吸湿性が優れるものとなるので、第1鏡筒部材21の内周側において第1レンズ2よりも像側X1に位置する空間に湿気が存在する場合に、その湿気を第2鏡筒部材22で吸収できる。従って、第1レンズ2の像側X1の面や、レンズ群4を構成する各レンズ5~8が曇ることを防止或いは抑制できる。
【0053】
また、本例では、光軸方向Xにおける第1レンズ2とレンズ群4(第2レンズ5)との間の空間Sは、スカート部28の内周側かつ第2筒部50の外周側で段部35よりも物体側X2の空間U、第2鏡筒部材22のフランジ部51に設けた切欠き凹部69、および第1鏡筒部材21の段部35の環状壁面37において周方向で隣り合う2つの突起41の間の隙間70、を介して、レンズユニット1の外部の空間に連通する。従って、第1レンズ2とレンズ群4(第2レンズ5)との間の空間Sに湿気が存在する場合に、かかる湿気を、第2鏡筒部材22のフランジ部51に設けた切欠き凹部69、および第1鏡筒部材21の段部35の環状壁面37において周方向で隣り合う2つの突起41の間の隙間70、を介して、外部に逃がすことができる。従って、第1レンズ2の像側X1の面、および第2レンズ5の物体側X2の側面が曇ることを防止或いは抑制できる。
【0054】
(その他の実施の形態)
本例において、第2鏡筒部材22に第2当接部54を設けるのに替えて、第2筒部50の物体側X2の端部分に環状のリテーナ75を固定してもよい。
図6は、第2鏡筒部材22にリテーナ75を取り付ける場合の説明図である。この場合、リテーナ75は、第2筒部50の物体側X2の端部分の外周側に位置する周壁部76と、周壁部76の物体側X2の端から内周側に延びて第2レンズ5に物体側X2から接触する第2当接部54(当接部)と、を備える。ここで、保持機構53の支持部55は、上記の場合と同様である。すなわち、第2鏡筒部材22は、第2筒部50から径方向内側に突出してレンズ群4を像側X1から支持する環状の支持部55を備える。第1鏡筒部材21の支持面31aは、リテーナ75の第2当接部54よりも像側X1に位置する。
【0055】
なお、第1鏡筒部材21の段部35と第2鏡筒部材22のフランジ部51とは、接着により固定されていてもよい。
【0056】
(実施例2)
図7は、変形例のレンズユニットの断面図である。本例のレンズユニット1Aは、上記のレンズユニット1に対応する構成を備えるので、対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
レンズユニット1は、第1レンズ2と第2レンズの像側に位置するレンズ群4と、これらを保持する鏡筒3を備える。鏡筒3は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22と、からなる。第1レンズ2は、外周縁の像側部分に、環状の切欠き部2cを備える。切欠き部2cには環状の弾性部材33が取り付けられている。弾性部材33はOリングである。レンズ群4は、光軸方向Xを物体側X2から像側X1に向かって第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を備える。第4レンズ7は、接合レンズである。第4レンズ7は、物体側レンズ13と、物体側レンズ13の像側X1に位置する像側レンズ14と、を備える。また、レンズユニット1は、第2レンズ5と第3レンズ6との間に配置された円環状の遮光シート9と、第3レンズ6と第4レンズ7との間に配置された円環状の絞り10と、備える。
【0058】
第1鏡筒部材21Aは、物体側X2の端部分に第1レンズ2を外周側から保持する保持部27を有する第1筒部25を備える。また、第1鏡筒部材21Aは、第1筒部25にお
ける保持部27の像側X1から内周側の突出する環状の固定部84を有する。
【0059】
より詳細には、第1筒部25は、その内周面の物体側X2の端部分に段部81を備える。段部81は、第1レンズ2のフランジ面2b(外周縁部分)に像側X1から当接する環状の支持面31aと、支持面31aの外周側で当該支持面31aから物体側X2に延びる保持面82とを備える。支持面31aは、物体側X2を向いている。保持面82は、第1レンズ2に径方向外側から当接する。第1筒部25において保持面82を備える部分は、保持部27である。また、第1筒部25は、保持部27の像側X1に、第2鏡筒部材22の外周側を光軸方向Xに延びるスカート部28を備える。固定部84は、スカート部28から径方向内側に突出する。
【0060】
スカート部28の内周面において固定部84の像側X1に隣り合う環状内周面部分25aには、複数の突起41が設けられている。複数の突起41は、周方向に配列されている。また、固定部84の像側X1を向く面には、第1基準面38と、第1溶着面39と、第1環状面40とが設けられている。第1溶着面39は、第1基準面38の外周側に位置するとともに、第1基準面38の像側X1に位置する。
【0061】
第2鏡筒部材22は、レンズユニット1の第2鏡筒部材22と対応する構成を備える。すなわち、第2鏡筒部材22は、レンズ群4を外周側から囲む第2筒部50と、第2筒部50の像側X1の部分から外周側に突出するフランジ部51と、レンズ群4を光軸方向Xの両側から保持する保持機構53と、を有する。保持機構53は、第2筒部50の物体側X2の端から径方向内側に屈曲して第2レンズ5に物体側X2から接触する第2当接部54と、第2筒部50の像側X1の部分から径方向内側に突出してレンズ群4を支持する環状の支持部55と、を備える。支持部55は、第4レンズ7における物体側レンズ13のフランジ部分13aに像側X1から当接して、レンズ群4を像側X1から支持する。支持部55は、物体側X2の端部分に、径方向内側に突出する環状板部56を備える。環状板部56の内周側の端縁は、円形開口57を区画する。
【0062】
ここで、径方向における支持部55と像側レンズ14との間には隙間Tが設けられている。従って、第2鏡筒部材22は、径方向において、像側レンズ14と隙間Tを開けて対応する。
【0063】
第2筒部50の内周面60における第2当接部54と支持部55との間には、内周面60に沿って光軸方向Xに延びる複数のリブ61が設けられている。複数のリブ61は、周方向に配列されている。各リブ61は、レンズ群4が第2筒部50に収容されたときに、第2レンズ5、第3レンズ6、および第4レンズ7の物体側レンズ13径方向外側から当接して、レンズ群4を径方向で位置決めする。
【0064】
フランジ部51は、光軸Lと直交する方向から見た場合に、支持部55と重なる位置に設けられている。従って、フランジ部51の径方向内側には、第5レンズ8の像側レンズ14が位置する。フランジ部51は、物体側X2を向く面に、光軸Lと垂直な第2基準面63と、第2基準面63と平行で第2基準面63から像側X1にずれた位置に設けられた第2溶着面64と、を備える。第2溶着面64は、第2基準面63の外周側に位置する。また、環状突部26は、径方向における第2基準面63と第2溶着面との間に、径方向外側を向く第2環状面65を備える。ここで、図示は省略するが、フランジ部51は、第2鏡筒部材22が第1鏡筒部材21に固定される前の状態では、第2溶着面64に物体側X2に突出する溶着代用突起を備える。溶着代用突起は、周方向に円弧に延びる。また、フランジ部51は、物体側X2を向く面の外周部分に、複数の切欠き凹部69を備える。
【0065】
(レンズユニットの組み立て)
第1ユニット組み立て動作では、弾性部材33を取り付けた第1レンズ2を、第1鏡筒部材21の保持部27の内周側に挿入する。そして、第1レンズ2のフランジ面2bを、段部81の支持面31aに当接させる。しかる後に、第1鏡筒部材21の物体側X2の端をカシメることにより、第1当接部29を形成する。
【0066】
第2ユニット組み立て動作では、物体側X2から第2鏡筒部材22にレンズ群4を収容して、レンズ群4を支持部55に支持させる。しかる後に、第2鏡筒部材22の物体側X2の端をカシメることにより、第2当接部54を形成する。これにより、レンズ群4は、保持機構53により、光軸方向Xの両側から保持される。レンズ群4が第2鏡筒部材22に保持された状態を光軸Lと直交する方向から見た場合には、フランジ部51、支持部55、および第4レンズ7の物体側レンズ13は、重なる。
【0067】
第2ユニットを第1ユニットに固定する固定動作では、まず、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22を、第1鏡筒部材21のスカート部28の内側に挿入し、第2鏡筒部材22のフランジ部51を第1筒部25の環状内周面部分25aの内周側に圧入する。第2鏡筒部材22のフランジ部51を環状内周面部分25aの内周側に圧入したときに、径方向における固定部84と第2筒部50との間には隙間Wが形成される。すなわち、固定部84と第2筒部50とは、径方向で離間している。
【0068】
その後、第2鏡筒部材22のフランジ部51を第1鏡筒部材21の固定部84の像側X1の面に当接させて、第1溶着面39と第2溶着面64とを溶着する。また、溶着に際して、第1鏡筒部材21の固定部84の第1基準面38と、第2鏡筒部材22のフランジ部51の第2基準面63とを密着させる。これにより、環状突部26の第1基準面38が第2鏡筒部材22を光軸方向Xに位置決めする光軸方向位置決め部となる。また、環状内周面部分25aに設けられた複数の突起41は、フランジ部51が圧入されたときに、フランジ部51に径方向外側から当接して、第2環状筒部を径方向で位置決めする。すなわち、第1鏡筒部材21の複数の突起41は、第2鏡筒部材22を径方向で位置決めする径方向位置決め部である。従って、第1鏡筒部材21に対し、第2鏡筒部材22は位置精度よく固定される。従って、鏡筒3を第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22の2部材から構成した場合でも、第1レンズ2とレンズ群4との位置精度が低下することを防止或いは抑制できる。
【0069】
ここで、本例では、第1筒部25の内周面において固定部84の像側X1に隣り合う環状内周面部分25aに、複数の突起41が設けられている。従って、
図7に示すように、環状内周面部分25aの内側に第2鏡筒部材22のフランジ部51を圧入したときに、周方向における突起41と突起41の間に隙間70が形成される。一方、フランジ部51は、物体側X2を向く面の外周端縁部分に、複数の切欠き凹部69を備える。各切欠き凹部69は、環状内周面部分25aにフランジ部51を圧入して、フランジ部51に複数の突起41を当接させたときに、周方向における2つの突起41の間の隙間70に、径方向で対向する。また、各切欠き凹部69は、環状内周面部分25aにフランジ部51を圧入して、フランジ部51に複数の突起41を当接させた状態を光軸方向Xから見た場合に、固定部84よりも径方向内側に延びている。従って、環状内周面部分25aにおいて周方向で隣り合う2つの突起41の間の隙間70は、切欠き凹部69を介して、スカート部28の内周側かつ第2筒部50の外周側で固定部84よりも物体側X2の空間Uと連通する。
【0070】
また、スカート部28の内周側かつ第2筒部50の外周側で固定部84よりも物体側X2の空間Uは、光軸方向Xにおける第1レンズ2とレンズ群4(第2レンズ5)との間の空間Sに連通する。さらに、環状内周面部分25aにおいて周方向で隣り合う2つの突起41の間の隙間70は、レンズユニット1の外部の空間に連通する。すなわち、隙間70は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材2
2とによって囲まれていない外部の空間に連通する。従って、第2鏡筒部材22を第1鏡筒部材21に圧入する時に第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22との間の空気(空間Sの空気および空間Uの空気)を、切欠き凹部69および2つのリブ61の間の隙間70を介して逃がすことができる。よって、第1筒部25の内側に第2鏡筒部材22のフランジ部51を圧入することが容易である。
【0071】
また、本例では、レンズ群4が第2鏡筒部材22に保持された状態を光軸Lと直交する方向から見た場合には、フランジ部51、支持部55、および第4レンズ7の物体側レンズ13は重なるが、径方向における支持部55と像側レンズ14との間には隙間Tが設けられている。従って、第1鏡筒部材21の段部35の内側に第2鏡筒部材22のフランジ部51を圧入したときに、第2鏡筒部材22に発生する応力が、フランジ部51の径方向内側に位置する物体側レンズ13に伝わることを防止できる。よって、第4レンズ7に歪みが発生することを防止或いは抑制できる。
【0072】
また、本例では、第1鏡筒部材21の環状内周面部分25aに固定されるフランジ部51が、第2鏡筒部材22の像側X1の部分に設けられている。従って、固定部84とフランジ部51とを溶着する作業を像側X1から行うことが容易である。
【0073】
(作用効果)
本例においても、第1レンズ2は第1鏡筒部材21に保持され、第1レンズ2の像側X1に位置するレンズ群4は第2鏡筒部材22に保持される。また、第1レンズ2の像側X1に位置するレンズ群4を保持する第2鏡筒部材22は、第1レンズ2から像側X1に離間する。従って、第1レンズ2の保持に第2鏡筒部材22は関与しない。よって、レンズユニット1の製造時に、第1レンズ2の第1鏡筒部材21への保持と、レンズ群4の第2鏡筒部材22への保持とを、別々に独立して行うことができる。
【0074】
また、第2鏡筒部材22に保持されるレンズ群4のうち、光軸Lと直交する方向から見た場合にフランジ部51と重なる物体側レンズ13は、第2筒部50と径方向で隙間Tを開けて対向する。従って、樹脂からなる第2鏡筒部材22の成型時に第2筒部50においてフランジ部51が設けられている部分に歪みが発生した場合でも、第2鏡筒部材22がレンズ群4を保持する精度が低下することを防止或いは抑制できる
【0075】
さらに、光軸方向Xにおける第1レンズ2とレンズ群4(第2レンズ5)との間の空間Sは、スカート部28の内周側かつ第2筒部50の外周側で固定部84よりも物体側X2の空間U、第2鏡筒部材22のフランジ部51に設けた切欠き凹部69、および第1鏡筒部材21の環状内周面部分25aにおいて周方向で隣り合う2つの突起41の間の隙間70、を介して、レンズユニット1の外部の空間に連通する。従って、第1レンズ2とレンズ群4(第2レンズ5)との間の空間Sに湿気が存在する場合に、かかる湿気を、第2鏡筒部材22のフランジ部51に設けた切欠き凹部69、および第1鏡筒部材21の環状内周面部分25aにおいて周方向で隣り合う2つの突起41の間の隙間70、を介して、外部に逃がすことができる。従って、第1レンズ2の像側X1の面が曇ることを防止或いは抑制できる。
【符号の説明】
【0076】
1…レンズユニット、2…第1レンズ、2a…湾曲面、2b…フランジ面、2c…切欠き部、3…鏡筒、4…レンズ群、5…第2レンズ、5a…物体側レンズ部分、5b…像側レンズ部分、6…第3レンズ、6a…物体側レンズ部分、6b…像側レンズ部分、7…第4レンズ、8…第5レンズ、8a…物体側レンズ部分、8b…像側レンズ部分、9…遮光シート、10…絞り、11…ホルダ、13…物体側レンズ、13a…フランジ部分、14…像側レンズ、16…切欠き部、21・21A…第1鏡筒部材、22…第2鏡筒部材、25
…第1筒部、25a…環状内周面部分、26…環状突部、27…保持部、28…スカート部、29…第1当接部、31…第1レンズ支持部、31a…支持面、32…環状溝、33…弾性部材、35…段部、36…環状端面、37…環状壁面、38…第1基準面、39…第1溶着面、40…第1環状面、41…突起、50…第2筒部、51…フランジ部、53…保持機構、54…第2当接部、55…支持部、56…環状板部、57…円形開口、60…内周面、61…リブ、63…第2基準面、64…第2溶着面、65…第2環状面、67…溶着代用突起、69…切欠き凹部、70…突起と突起の間の隙間、75…リテーナ、76…周壁部、81…段部、82…保持面、84…固定部、L…光軸