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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014948
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】加熱調理具
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230124BHJP
   A47J 37/07 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A47J37/06 311
A47J37/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119192
(22)【出願日】2021-07-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年8月21日にウェブサイト「https://www.makuake.com/project/atsu-atsu/」に掲載、2020年12月4日にウェブサイト「https://www.makuake.com/project/atsu-atsu02/」に掲載、2020年12月4日に「日経トレンディ2021年1月号」に掲載して頒布、2020年12月12日にウェブサイト「https://otokonokakurega.com/meet/outdoor/34667/」に掲載、2021年2月17日にウェブサイト「https://lgasia.net/」に掲載、2021年3月31日に「所ジョージの世田谷ベース 46」に掲載して頒布、2021年4月16日に「CAMP GEAR BOOK Vol.4」に掲載して頒布、2021年6月6日に「Daytona No.355」に掲載して頒布
(71)【出願人】
【識別番号】513003323
【氏名又は名称】株式会社MAC
(74)【代理人】
【識別番号】100098741
【弁理士】
【氏名又は名称】武蔵 武
(72)【発明者】
【氏名】林 拓也
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA04
4B040AB11
4B040AC03
4B040AE11
4B040AE13
4B040EB01
4B040GB02
4B040GB03
4B040GB08
4B040GC03
4B040GD02
(57)【要約】
【課題】使い勝手の良い加熱調理具を提供する。
【解決手段】加熱調理具1は、平面視略正方形又は略長方形の加熱板2からなる。さらに加熱調理具1は、前記加熱板2の各コーナーであって、その加熱板2の縦の中心線及び横の中心線に対してそれぞれが線対称となる位置に、板の厚さ方向に貫通する雌ネジ孔9を設け、その雌ネジ孔9に対して頂部に雄ネジ部14を有する脚柱体3を着脱自在に装着しうるようにした。かかる加熱調理具1は、卓上コンロのように支えになる五徳などがある場合、そのまま五徳などに載置して肉や野菜を加熱調理することができる。一方、網のないバーベキューコンロなどで使用する場合は、コーナーの雌ネジ孔9に脚柱体3を装着して加熱調理具1をテーブル形態に変化させ、脚柱体3で加熱板2を安定させながら肉や野菜を加熱調理することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略正方形又は略長方形の加熱板からなる加熱調理具であって、
前記加熱板の各コーナーであって、その加熱板の縦の中心線及び横の中心線に対してそれぞれが線対称となる位置に、板の厚さ方向に貫通する雌ネジ孔を設け、その雌ネジ孔に対して頂部に雄ネジ部を有する脚柱体を着脱自在に装着しうるようにしたことを特徴とする加熱調理具。
【請求項2】
前記加熱板の面の周縁寄りの位置に環状溝を形成し、その環状溝より外側に前記雌ネジ孔を設けてなることを特徴とする請求項1記載の加熱調理具。
【請求項3】
前記加熱板の前記環状溝で囲われた面内にその環状溝に通じる凹溝を設けると共に反対側の面を平らに形成してなることを特徴とする請求項2記載の加熱調理具。
【請求項4】
前記加熱板の前記雌ネジ孔に螺合可能で長さが前記加熱板の厚さより大きい雄ネジ部を頂部に設けてなる脚柱体を備えてなることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の加熱調理具。
【請求項5】
前記加熱板の端に着脱自在に係合しうる支持用係合部を有する把手部材を備え、
前記把手部材は、前記支持用係合部の反対側の端部に前記脚柱体の胴部に着脱自在に係合しうる脚柱用係合部を設けてなることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の加熱調理具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉などの食材を加熱調理するための加熱調理具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肉や野菜などの食材を加熱調理する加熱調理具100として、図7に示したように、鉄製で平面視略長方形の加熱板101の各コーナーに脚柱体102を装着し、その脚柱体102を回動させて加熱板101の裏側に折り畳み得るようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭58-55886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の加熱調理具100は、加熱板101に取り付けられた脚柱体102が洗浄の邪魔になるため、食材の屑や油汚れが残りやすく、また、洗浄後の水切りも行い難い等、使い勝手が悪い問題があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、その目的は、使い勝手の良い加熱調理具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明は、
平面視略正方形又は略長方形の加熱板からなる加熱調理具であって、
前記加熱板の各コーナーであって、その加熱板の縦の中心線及び横の中心線に対してそれぞれが線対称となる位置に、板の厚さ方向に貫通する雌ネジ孔を設け、その雌ネジ孔に対して頂部に雄ネジ部を有する脚柱体を着脱自在に装着しうるようにした加熱調理具を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載したように、前記加熱板の面の周縁寄りの位置に環状溝を形成し、その環状溝より外側に前記雌ネジ孔を設けてなる請求項1記載の加熱調理具を提供する。
【0008】
また、請求項3に記載したように、前記加熱板の前記環状溝で囲われた面内にその環状溝に通じる凹溝を設けると共に反対側の面を平らに形成してなる請求項2記載の加熱調理具を提供する。
【0009】
また、請求項4に記載したように、前記加熱板の前記雌ネジ孔に螺合可能で長さが前記加熱板の厚さより大きい雄ネジ部を頂部に設けてなる脚柱体を備えてなる請求項1~3の何れか1項に記載の加熱調理具を提供する。
【0010】
また、請求項5に記載したように、前記加熱板の端に着脱自在に係合しうる支持用係合部を有する把手部材を備え、前記把手部材は、前記支持用係合部の反対側の端部に前記脚柱体の胴部に着脱自在に係合しうる脚柱用係合部を設けてなる請求項1~4の何れか1項に記載の加熱調理具を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加熱調理具は、卓上コンロのように安定的な支えになる五徳などがある場合、そのまま五徳などに載置して肉や野菜を加熱調理することができる。
また、各コーナーに雌ネジ孔が設けられているため、複数の加熱板を並べて雌ネジ孔にジョイント板をネジ止めすることにより、加熱板同士を連結して大きくすることができる。
また、各コーナーの雌ネジ孔を、加熱板の縦の中心線及び横の中心線に対してそれぞれが線対称となる位置に設けたため、同じ加熱板を複数枚同じ向きにして隣り合わせに並べたり、表裏を逆にして隣り合わせに並べたりしても、一列に並ぶ雌ネジ孔の配列が一定のパターンになる。したがって、ジョイント板は一種類でよく、数種類のジョイント板を準備・保管する煩わしさがない。
また、屋外における焚き火の火や、網のないバーベキューコンロで加熱板を使用する場合は、コーナーの雌ネジ孔に脚柱体を装着して加熱調理具をテーブル形態に変化させ、脚柱体で加熱板を安定させながら焚き火の火などで肉や野菜を加熱調理することができる。また、脚柱体は、雌ネジ孔から簡単に取り外せるため、使用後の加熱板の洗浄や水切りが容易であり使い勝手が良い。
【0012】
また、請求項2に記載したように、加熱板の面の周縁寄り位置に環状溝を形成し、その環状溝より外側に雌ネジ孔を設けた場合には、調理時に滴り落ちる油などが環状溝に溜まって雌ネジ孔に到達し難くなるため、雌ネジ孔を塞がなくとも油などが下に垂れ難い。
【0013】
また、請求項3に記載したように、加熱板の環状溝で囲われた面内にその環状溝に通じる凹溝を設ける一方、反対側の面を平らに形成しておくことで、肉などの表面に凹溝をかたどった焼き目を付けるか付けないか、というように好みの焼き方を選択することができる。
【0014】
また、請求項4に記載したように、脚柱体の雄ネジ部を加熱板の厚さより長くした場合には、装着時の状態で雄ネジ部が加熱板の上方に突出するため、雌ネジ孔の内部に油や食材の屑が入って煮詰められるおそれがなくなり、その分、使用後の片付けが容易になる。また、雄ネジ部が長い分、ジョイント板を使用することによる実質的な加熱板の厚みの増加にも余裕を持って対応することができる。
【0015】
また、請求項5に記載したように、加熱板の端に着脱自在に係合しうる支持用係合部と、脚柱体の胴部に係合しうる脚柱用係合部とを設けてなる把手部材を備えれば、脚柱体の着脱と熱い加熱板の持ち運びが一つの把手部材で行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】加熱板の斜視図である。
図2】下半分に上半分の反対面を示した加熱板の平面図である。
図3】拡大図を含む図2のZ1-Z1線断面図である。
図4】加熱板と脚柱体を示す分解斜視図である。
図5】(a)は把手部材の平面図、(b)は把手部材の中央縦断面図である。
図6】加熱板の他の形態を示すもので、(a)は要部の拡大平面図、(b)は(a)のZ2-Z2線断面図、(c)はドレン穴からネジ栓を外した状態を示す(a)のZ2-Z2線断面図である。
図7】従来の加熱調理具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[加熱調理具]
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
実施形態の加熱調理具1は、略四角形の加熱板2と、四本の脚柱体3と、把手部材4と、から概略構成される。
【0018】
[加熱板]
加熱板2は、四つのコーナーが適宜面取りされた略四角形の鉄板であり、持ち運び可能な形状と重さであればどのようなサイズでも良い。例えば、実施形態の加熱板2は、150mm×200mmの長方形で厚さ9mmであり、各コーナーが4~5mm程度C面取りされている。あえて図示しないが加熱板2は、200mm×300mmの長方形や、150mm×150mmの正方形でもよい。
【0019】
加熱板2の一方の面には、図1と、図2の上半分に示したように周縁寄りの位置に四角い枠状の環状溝5が形成され、さらにその環状溝5で囲われた面内に当該環状溝5に連通する凹溝6が設けられている。環状溝5と凹溝6は、共に弧状に彫り込まれた筋状の溝であり、凹溝6の方が環状溝5より若干浅くなっている。したがって肉などの食材から滴り落ちる油や汁は先ず凹溝6に落ち、そこからより深い環状溝5に流れて溜まる。実施形態の凹溝6は、複数本を斜線状に並べたハッチング形態になっているが、任意の図形や模様を描くようにしても良い。
図2の下半分に示したように加熱板2の反対側の面は平らに形成されており、食材に面状の焦げ目を付けることができるようになっている。
なお、環状溝5の一部(少なくとも一箇所)に、図6(a)~図6(c)に示したようにドレン穴7を設けて環状溝5に溜まった油が下に抜けるようにしてもよい。この場合ドレン穴7は、皿ビス状のネジ栓8が螺合可能な雌ネジ形状にしてしておくことで、食材に応じて図6(b)の開栓状態と同(c)の閉栓状態を使い分けすることができる。
【0020】
加熱板2の各コーナーであって前記環状溝5より外側に板の厚さ方向に貫通する雌ネジ孔9が設けられている。この雌ネジ孔9は、図2に一点鎖線で示した加熱板2の縦の中心線y及び横の中心線xに対してそれぞれが線対称となる位置に設けられている。したがって複数の同じ加熱板2を図4の実線と想像線のように同じ向きにして隣り合わせに並べたり、表裏を逆にして隣り合わせに並べたりしても、一列に並ぶ雌ネジ孔9の配列が一定のパターンになる。したがって、そのパターンで並ぶ雌ネジ孔9の一列全部に対応する透孔10を有する帯板状のジョイント板11を図4想像線のように各列ごとに宛がって雌ネジ孔9にネジ止めすることで、複数の加熱板2を同じ向きや表裏逆向きに適宜連結することができる。
なお、各列の雌ネジ孔9の配列のパターンは、長辺同士や短辺同士のように加熱板2の辺の長さを揃えて並べる限り一定であるため、ジョイント板11は一種で良い。また、実施形態において加熱板2の短辺側には、前記雌ネジ孔9の中心同士を結ぶ線上であって前記中心線yに対して線対称となる位置に後述する把手部材4係合用の貫通孔12が二つ形成されており、かかる貫通孔12に連通するようにジョイント板11に逃がし孔13が貫設されている。
【0021】
[脚柱体]
前記脚柱体3は、例えば鉄製の中実棒であり、前記雌ネジ孔9に螺合可能な雄ネジ部14を頂部に備えており、その雄ネジ部14を前記加熱板2の雌ネジ孔9に螺合させて装着することにより、加熱板2をテーブル形態に変化させるものである。
この脚柱体3は、中実丸棒でも良いが、少なくとも胴部の一部に六角形や楕円形のような断面非円形の回転操作部を設けることにより螺合のための回転操作を行い易くすることができる。実施形態の脚柱体3は、正六角柱形の中実角棒であり、胴部の全体を回転操作部として機能させることができる。
また、脚柱体3の雄ネジ部14は前記加熱板2の厚さより長くなっており、雌ネジ孔9に締め込んだ装着時の状態で雄ネジ部14の頂部が加熱板2の上方に突出し、或は、前記したジョイント板11を介して締め込んだ装着時の状態で雄ネジ部14の頂部が加熱板2の外面とほぼ面一になるようになっている。そうすることにより雌ネジ孔9の内部に油や食材の屑が入って煮詰められるおそれがなくなり、その分、使用後の片付けが容易になる。
【0022】
[把手部材]
前記把手部材4は、加熱板2の端の前記した二つの貫通孔12に着脱(抜き差し)自在に係合しうるフォーク状の支持用係合部15を有しており、図3の拡大図に示したように加熱板2の貫通孔12に支持用係合部15を差し込んで梃子状に引っ掛けることにより、加熱板2をフライパンの如くに扱いうる。なお、前記のように複数の加熱板2をジョイント板11で連結したとき、貫通孔12の下にもジョイント板11が存在するが、前記のようにジョイント板11には貫通孔12に連通する逃がし孔13が設けられているため支持用係合部15の差込みに支障は無い。
【0023】
また、実施形態の把手部材4は、支持用係合部15の反対側の端部に前記脚柱体3の胴部に着脱自在に係合しうる脚柱用係合部16を設けてなる。実施形態の脚柱体3は、胴部が正六角柱形であるため、把手部材4の脚柱用係合部16は、その胴部に係合可能な正六角形の孔になっている。したがって、把手部材4の脚柱用係合部16を脚柱体3の胴部に嵌めれば、把手部材4をレンチのごとくに操作して脚柱体3を回転させることができる。
【0024】
以上本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、加熱板2の一方の面に環状溝5や凹溝6を設けて他面を平らにしたが、加熱板2の両面を平らにしたり、加熱板2の両面に環状溝5や凹溝6を設けるなどしてもよい。
また、実施形態の把手部材4は、支持用係合部15をフォーク状にして加熱板2の貫通孔12に差し込むようにしたが、支持用係合部15をコ字状にして加熱板2の縁を挟み込むようにしてもよい。なお、複数の加熱板2をジョイント板11で連結した場合、実質的に加熱板2の縁の厚みが増すことになるため、そのような実質的な変化に対してジョイント板11に設けた逃がし孔13で簡単に対応できる分、支持用係合部15の形態はフォーク状にするのが良い。
また、実施形態ではジョイント板11の長さを長くして一列に並ぶ雌ネジ孔9の全部に透孔10を対応させたが、少なくともジョイント板11は、連結状態で隣り合う二つの雌ネジ孔9同士を結ぶ長さがあればよい。
【符号の説明】
【0025】
1 …加熱調理具
2 …加熱板
3 …脚柱体
4 …把手部材
5 …環状溝
6 …凹溝
9 …雌ネジ孔
14 …雄ネジ部
15 …支持用係合部
16 …脚柱用係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7