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  • 特開-消火システム 図1
  • 特開-消火システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149487
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】消火システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/04 20060101AFI20231005BHJP
   A62C 37/44 20060101ALI20231005BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20231005BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A62C3/04
A62C37/44
A62C3/00 J
G08B17/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058087
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】堀 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 裕希
(72)【発明者】
【氏名】今井 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 弘紀
【テーマコード(参考)】
2E189
5C085
【Fターム(参考)】
2E189BD06
2E189CA06
5C085AA03
5C085AB01
5C085CA30
5C085FA40
(57)【要約】
【課題】材料置場において発生する火災の消火に適した簡易構成を有する消火システムを得る。
【解決手段】火災発生の監視対象に向けて泡を放出することで消火を行う泡消火装置30と、監視対象の高さよりも高く、かつ、監視対象の周囲に設けられ、泡が周囲よりも外側に流出することを防止する堰止め手段50とを備え、監視対象が、資材または廃棄物等が入る箱状のコンテナからなるものであり、監視対象で発生した火災を感知した場合に火災信号を出力する感知器20をさらに備えている場合には、泡消火装置30は、感知器20から火災信号を受信することで、監視対象に向けて泡を放出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災発生の監視対象に向けて泡を放出することで消火を行う泡消火装置と、
前記監視対象の高さよりも高く、かつ、前記監視対象の周囲に設けられ、前記泡が前記周囲よりも外側に流出することを防止する堰止め手段と
を備え、前記監視対象が、資材または廃棄物等が入る箱状のコンテナからなる消火システム。
【請求項2】
前記監視対象で発生した火災を感知した場合に火災信号を出力する感知器
をさらに備え、
前記泡消火装置は、前記感知器から前記火災信号を受信することで、前記監視対象に向けて前記泡を放出する
請求項1に記載の消火システム。
【請求項3】
前記堰止め手段は、開閉可能な扉を有する
請求項1または2に記載の消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、泡消火装置を用いた消火システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築中の建物においては、資材置場、産廃ヤードと呼ばれる廃材置場などが一時的に設けられていることが一般的である。以下の説明では、このような置場のことを材料置場と総称する。建築中に一時的に設けられた材料置場では、実際に火災事故が発生した事例があり、このような材料置場での防災対策への関心が高まっている。
【0003】
建物の建築中における材料置場は、必ずしも屋内ではなく、例えば、屋外の仮設置場所に設けられることも考えられる。そして、材料置場における火災原因としては、放火、建築作業中における発火要因の不始末などが考えられる。
【0004】
一例として、放火を検知する従来技術としては、以下のような放火検知システムがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係るシステムは、炎検知部を有する炎センサと、人体検知部を有する人体センサと、炎検知部の感度を設定する感度設定部と、人体検知部が人体を検知したときに侵入信号を送信する送信部と、侵入信号を受信する受信部とを備えている。
【0005】
特許文献1に係るシステムは、侵入信号を受信した時、感度設定部の感度を高感度に切り替えるように制御している。そして、炎センサにより炎が検出された場合には、火災信号が受信機に無線で送信され、火災信号と侵入信号とを受信した受信機は、放火が発生したと判断し、放火信号を携帯端末に移報している。
【0006】
この結果、通常は感度を低感度に設定して、屋外に設置しても、太陽光などによって誤報が生じることを抑制した上で、携帯端末を所持する管理者に対して、火災が検知されたことを迅速に報知することを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-303093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
建築中の建物における材料置場は、上述したように、屋外の仮設置場所に設けられることも考えられ、建築作業が完了してしまえば、材料置場は撤去あるいは移動され、元々の仮設置場所での火災検知の必要性がなくなる。従って、通常の建物において火災を常時監視する場合とは異なり、設置作業および撤去作業が容易な簡易構成であることが重要となる。
【0009】
また、仮設置された火災発生の監視対象であっても、上述したような建築中の建物の材料置場のような場所で火災が発生した場合には、金銭面および工期面において多大な損害を招くことも考えられる。従って、材料置場において、火災が発生してしまった場合にも、より確実に消化を行うことができる構成を有する消火システムを確立することが強く望まれている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に係るシステムには、火災が発生した後の具体的な消火に関してまでは、特に開示されていない。
【0011】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、監視対象において発生する火災の消火に適した簡易構成を有する消火システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示に係る消火システムは、火災発生の監視対象に向けて泡を放出することで消火を行う泡消火装置と、監視対象の高さよりも高く、かつ、監視対象の周囲に設けられ、泡が周囲よりも外側に流出することを防止する堰止め手段とを備え、監視対象が、資材または廃棄物等が入る箱状のコンテナからなるものである。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、監視対象において発生する火災の消火に適した簡易構成を有する消火システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の実施の形態1に係る消火システムの全体構成図である。
図2】本開示の実施の形態1における堰止め手段の具体的な構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の消火システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る消火システムは、泡消火装置を用いて材料置場などの監視対象の消火を行う際に、監視対象の周囲に簡易構成としての堰止め手段を設け、泡が堰止め手段の内側にとどまることで監視対象の消火効率の向上を図ることを技術的特徴とするものである。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る消火システムの全体構成図である。図1では、建物の建築中において屋外に仮設置された材料置場1を、火災発生の監視対象とした場合を例示している。材料置場1の代表的な例としては、建築中の建物の屋外に設けられた廃棄用の資材を貯える産廃ヤードが挙げられる。ここで産廃ヤードは、産廃コンテナとも呼ばれることがあり、箱状のコンテナから構成され、資材以外の物として、建築工事の際にでる廃棄物などが入れられる場合もある。
【0017】
図1に示した本実施の形態1における消火システムは、構造体10、煙感知器20、泡消火装置30、コントローラ40、および堰止め手段50を備えている。
【0018】
構造体10は、材料置場1の上方に仮設置可能な屋根部11と、屋根部11を支える支柱12とを備えており、一般にはパイプテントと呼ばれるものを利用することが可能である。なお、屋根部11としては、材料置場1で発生した煙を滞留させる効果を得るための煙保持形状として、屋根部11の端部に垂れ壁(図示せず)を付加した構成を採用することも可能である。
【0019】
建物の建築中において屋外に仮設置された材料置場1に対して、屋根部11を有する構造体10を、支柱12を用いて容易に仮設置することができる。このような構造体を仮設置することで、材料置場1で発生した煙は、上方に移動し、屋根部11に滞留することとなる。ここで「構造体を仮設置する」とは、簡易かつ短時間で構造体を組み立てでき、使用が終わった後は、構造体を簡易に解体して何もない元の状態に戻せることを意味する。
【0020】
屋根部11には、監視対象である材料置場1で煙が発生したことを検知した場合に火災信号を出力する火災感知器としての煙感知器20が設置されている。煙感知器20としては、例えば、感度調整を多段階で設定可能なスポット型の煙感知器を用いることができる。このスポット型の煙感知器20は、粉塵に強く、屋外に設置する際にも、粉塵による誤検出を抑制することができる。
【0021】
なお、図示は省略しているが、監視対象である材料置場1で煙が発生したことを検知した場合に火災信号を出力する高感度煙感知器をさらに用いることもできる。高感度煙感知器としては、多数のサンプリング孔が形成されたサンプリング管を利用して、例えば、屋根部に滞留している空気を多数のサンプリング孔から常時吸引し、エリア全体の環境空気を光学的に監視するタイプの煙感知器を用いることができる。
【0022】
この高感度煙感知器は、煙感知器20ほど粉塵に強くないものの、煙感知器20よりも感度設定範囲幅が広く、煙感知器20よりも高感度で煙を検出できるように設定することができる。ただし、高感度で使用すると、屋外で使用していることもあって誤検知が多くなるので、感度の低い煙感知器20(3種感度)より少しだけ高感度に設定した状態にして、高感度煙感知器を使用することが望ましい。
【0023】
従って、煙感知器20を屋根部11に設置した最小構成によって、材料置場1で発生する煙を検出できる。さらに、煙感知器20と高感度煙感知器とを兼用し、煙感知器20と高感度煙感知器がともに作動したことで煙検知を行う構成とすることで、粉塵に強く、かつ高精度な煙検知が可能となる。また、火災感知器は、煙感知器だけでなく、炎感知器、例えば赤外線式の3波長式の炎感知器やその他の検知手段を用いてもよい。
【0024】
図1の構成では、監視対象である材料置場1に向かって泡を放出することで消火を行う泡消火装置30が、コントローラ40に設置されている場合を例示している。泡消火装置30は、泡を放出して防護領域内(すなわち、監視対象内)で発生した火災を消火する装置である。泡としては、発泡倍率の大きい高膨張泡を放出するものが望ましい。
【0025】
より詳細に泡消火装置30について説明すると、泡消火装置30は、図示しない取り付け台座等を用いて、堰止め手段50よりも高い位置に設置され、泡放出時には、材料置場1を構成する箱状のコンテナ内に泡が入るような位置に設置される。
【0026】
なお、図1では、泡を放出する部分のみを示しているが、泡消火装置30には、配管を介して泡原液と水とを混合した泡水溶液がポンプを介して供給されている。そして、ポンプが起動すると、供給された泡水溶液が装置先端に設けられた図示しない発泡網に向かって供給され、その発泡網から泡が継続して放出される。
【0027】
ここで泡消火装置30に泡水溶液を供給する手段としてポンプの代わりに、窒素等のガスボンベを使用し、ガスボンベ内の圧力により泡水溶液を供給するようにしてもよい。ガスボンベを使用する方が、建築中の現場においては設置や撤去の面で有効である。また、建築工事中の建物の場合は、商用電源を得ることができない場合が多いので、電源不要で泡水溶液を供給できるガスボンベを供給手段として使用する方が好ましい。
【0028】
泡消火装置30は、図1に示したような設置に限定されない。例えば、材料置場1が建物の壁に隣接した形で配置されている場合には、その壁に泡消火装置30を設置する構成を採用することができる。この場合には、建築中の建物内に、泡消火装置30の一部を構成する前述のポンプやガスボンベ等が設けられ、建物の躯体を使用して泡消火装置30を設置できるので、装置の設置が安定する。
【0029】
コントローラ40は、煙感知器20から出力される火災信号に基づいて、泡消火装置30を制御する。具体的には、コントローラ40は、煙感知器20が作動し、煙感知器20から出力された火災信号を受信した場合には、泡消火装置30(ポンプを含む)に対して泡放出指令を出力することで、材料置場1に向かって泡を放出させる。
【0030】
なお、コントローラ40は、煙感知器20から出力された火災信号を受信した場合に、火災が発生したことを知らせる発報処理を実行することができる。ここで、発報処理とは、図示しないブザー等を有する警報装置を動作させて、火災発生の可能性を知らせることをいう。
【0031】
さらに、本実施の形態1に係る消火システムでは、泡消火装置30から放出された泡により、材料置場1で発生した火災の消火効率を高めるために、堰止め手段50が設けられている点に技術的特徴を有している。そこで、堰止め手段50に関して、図2を用いて詳細に説明する。
【0032】
図2は、本開示の実施の形態1における堰止め手段50の具体的な構成を示した説明図である。図2(A)は、材料置場1と堰止め手段50との位置関係を説明するための断面図である。また、図2(B)は、材料置場1と堰止め手段50との位置関係を説明するための上面図である。
【0033】
図2(A)に示したように、堰止め手段50は、監視対象である材料置場1の高さH2よりも高い高さH1を有している。さらに、図2(B)に示したように、堰止め手段50は、監視対象である材料置場1の周囲に設けられている。H1>H2とする理由は、材料置場1に置かれる材料は、材料置場1の高さH2よりも高く突き出るおそれが考えられる。
【0034】
そこで、このような高さ関係を有するように堰止め手段50を設けることで、材料置場1に向けて泡消火装置30から放出された泡は、材料置場1を構成する箱状のコンテナ内に入って溜まる。そして、コンテナからあふれた泡は、外側に広がるように展開するが、堰止め手段50の外側に流出することが防止されるとともに、材料置場1に置かれた材料を泡で覆うことが可能となる。
【0035】
換言すると、堰止め手段50を設けることで、材料置場1に対して放出した泡が、堰止め手段50の内側にとどまり、材料置場1で発生した火災を泡により効果的に覆うことがより短時間で可能となり、消火効率の向上を実現できる。ここで堰止め手段50の高さは、材料置場1よりも高いので、仮に材料置場1の上面から木材等の資材が出っ張っていても、その資材が堰止め手段50の高さより低ければ、材料置場1内は完全に積みあがった泡で埋め尽くされ、窒息消火により消火する。
【0036】
なお、堰止め手段50としては、金属材、鋼板、シート状部材、樹脂材など、泡を堰き止めることができる種々の材料を適用可能である。また、泡を堰き止めることができれば、堰止め手段50としてメッシュ状以外の材料を適用することも可能である。泡消火装置30から放出される泡が高い高膨張泡の場合は、金網等の開口のある堰止め手段50でも十分に泡を堰き止めることが可能である。鋼板を堰止め手段50として使用する場合は、放出される泡が低膨張泡であっても堰き止めることが可能である。
【0037】
また、図2(B)に示したように、堰止め手段50の一部には、開閉可能な構造として扉51が設けられている。扉51を開状態とすることで、材料置場1への材料の搬入作業、および材料置場1からの材料の撤去作業を容易化することができる。
【0038】
また、図2(B)では、材料置場1の周囲に配置された堰止め手段50が、材料置場1から距離W1~距離W4だけ離れた位置に設置された状態が例示されている。距離Wが大きくなるほど、材料置場1と堰止め手段50との間の空間が大きくなり、泡が積み上がるための時間がより長くなる。この結果、距離Wが大きくなるほど、材料置場1に泡を積み上げる時間も長くなってしまい、消火の遅れを招くおそれがある。
【0039】
その一方で、距離Wは、材料置場1への材料の搬入作業、および材料置場1からの材料の撤去作業の観点からは、効率的に作業を行うために必要な最小限の距離を確保しておく必要がある。そこで、消火の迅速性と作業効率向上のトレードオフを考慮すると、距離W1~W4のそれぞれが0.3m~1.0mの範囲となるように、材料置場1に対して堰止め手段50を設けることが望ましい。
【0040】
なお、材料置場1のいずれかの側面を建物の壁面等に隣接するように配置させる場合には、その隣接面に関しては、距離Wが0mに近い値となる。すなわち、材料置場1のすべての側面で距離Wを0.3m~1.0mの範囲にする必要はなく、作業者が材料置場1にアクセスする面において距離Wを0.3m~1.0mの範囲にして、人が通行しやすいようにすることが望ましい。
【0041】
つまり、開閉手段としての扉51がある材料置場1の前面側だけ堰止め手段50までの距離Wがあって、材料置場1への材料・廃棄ゴミ等の出し入れを行えるのであれば、材料置場1の側面、背面方向については、堰止め手段50までの距離Wは0mでも構わない。
【0042】
図2を用いて説明した堰止め手段50は、簡易かつ短時間で組み立てでき、使用が終わった後は、簡易に解体して何もない元の状態に戻すことができ、仮設置にも適した構造である。
【0043】
上述した本実施の形態1に係る消火システムによる効果をまとめると、以下のようになる。
<効果1:泡による消火効率の改善>
監視対象の周囲に、監視対象の高さよりも高い堰止め手段が設けられており、監視対象に向けて放出された泡が堰止め手段の内側にとどまるような構成を最小構成として備えている。この結果、より短時間で監視対象を泡で覆い、煙の拡散を抑制することが可能となり、消火効率を高めることができる。また、消火エリア外への煙の拡散を極めて少なくすることができることで、火災への対応活動・避難活動が行いやすくなるという効果も実現できる。
【0044】
水による放水による消火では、水が監視対象の外側にも広がってしまい、油火災などの火災状況によっては迅速な消火が望めないこと、大量の水が必要になること、などが考えられる。これに対して、本実施の形態1に係る消火システムによれば、泡消火装置と堰止め手段とを組み合わせた構成を備えることにより、泡消火装置による消火効率を改善し、材料置場内の火災が普通火災であっても油火災であっても確実に消火でき、迅速な消火を実現することができる。
【0045】
<効果2:消火の迅速性と作業効率向上の両立>
監視対象の周囲に設置する堰止め手段を、監視対象から0.3m~1.0mの距離を隔てるように隙間を設けることで、消火の迅速性と作業効率向上の両立を図ることができる。また、全周囲において隙間を設けることは必須ではなく、作業者が材料置場1にアクセスする面における距離を0.3m~1.0mの範囲とすることで足りる。さらに、堰止め手段の一部に開閉可能な扉を設けることで、搬入作業、撤去作業を容易化できる。
【0046】
<効果3:感知器との連動>
泡消火装置は、手動操作によるものでもよいが、煙感知器等と連動させることで、人手の介在なしに、泡消火作業を自動化できる。
【0047】
特に、建築現場では、屋外あるいは高天井の場所に材料置場が仮設置されることが考えられる。また、建築の進捗状況に応じて材料置場の設置場所が移動することも考えられる。この場合は、構造体10、堰止め手段50を解体し、移動する場所にあわせて、構造体10、堰止め手段50を組み立てなおし仮設置することができる。従って、建築現場などに適した消火システムを容易に提供することができる。
【0048】
なお、煙感知器20、および泡消火装置30のそれぞれの配置は、図1に示したレイアウトには限定されない。煙感知器20は、監視対象で発生する煙あるいは閾値以上の温度を検出するために適した所望の位置に配置することができる。また、泡消火装置30は、監視対象の大きさ、高さ、設置場所等に応じて、泡消火に適した所望の位置に配置することができる。
【0049】
また、上述した実施の形態1では、建物の建築中における材料置場を「火災発生の監視対象」の具体例として説明したが、本願における「火災発生の監視対象」は、このような建築現場における材料置場に限定されるものではない。例えば、建築現場以外での材料置場、屋外イベントにおいて火災発生を監視すべき領域など、泡消火装置と堰止め手段とを組み合わせた構成を適用することができる監視対象は、本願の「火災発生の監視対象」に含まれる。
【0050】
なお、材料置場が、建築中の建物の外、屋外に設けられる場合で説明したが、屋内に材料置場を設ける場合でも本実施例を適用することは可能である。屋内の場合は、建築中の建物の場合だと排煙装置がなく、煙にまかれることがあるので、その対策として、屋内用の簡易に設置撤去可能な消火装置として本発明の泡消火装置を設けるようにしてもよい。
【0051】
実施例では、材料置場が、一例として箱状のコンテナから構成され、泡消火装置からコンテナ内に泡を投入する場合で説明した。しかし、資材や廃棄物が多く、コンテナ内に収まらない場合は、コンテナの前方にそれら資材や廃棄物が置かれる場合がある。このようなケースで、コンテナ外の資材等が発火して火災が生じる場合には、泡消火装置からコンテナ内に泡を入れるよりも、材料置場と堰止め手段との間に泡を放出する方が望ましい。このため、泡消火装置には、泡の放出方向を手動で切り替えられるデフレクタ機構を設け、コンテナ内またはコンテナ外のいずれかに泡を選択して放出できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 材料置場、10 構造体、11 屋根部、12 支柱、20 煙感知器、30 泡消火装置、40 コントローラ、50 堰止め手段、51 扉。
図1
図2