(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149497
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】走行作業情報処理システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20231005BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20231005BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20231005BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
G05D1/00 B
H04M11/00 301
H04N7/18 U
H04Q9/00 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058100
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】千木崎 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 仁志
(72)【発明者】
【氏名】紺野 尚之
【テーマコード(参考)】
5C054
5H301
5K048
5K201
【Fターム(参考)】
5C054AA02
5C054CA04
5C054CC02
5C054CF08
5C054DA07
5C054FE14
5C054FE17
5C054HA29
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD06
5H301GG09
5H301KK10
5K048AA06
5K048AA15
5K048BA48
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB12
5K048EB15
5K048FB05
5K048FB10
5K048FB15
5K048HA01
5K048HA02
5K201AA09
5K201BA01
5K201CA06
5K201CB13
5K201CC08
5K201EC06
5K201ED09
(57)【要約】
【課題】複数の利用者が1台の自律走行作業装置に対して遠隔操作を行う場合に負荷を集中することなく実行する。
【解決手段】
走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2と、複数の利用者が自律走行作業装置2を操作する複数の操作端末4と、自律走行作業装置2を管理する管理サーバ3とを備える。各操作端末4は、管理サーバ3にログインする際に、自律走行作業装置2の選択要求を管理サーバ3へと送信する。管理サーバ3は、複数の利用者が自律走行作業装置2を遠隔操作する権限をそれぞれ示す複数の権限情報を予め記憶している。ログインした各操作端末4から自律走行作業装置2の選択要求を受け付けて操作端末4と自律走行作業装置2とを関連付けると、操作端末4に対応する利用者の権限情報に基づいて、自律走行作業装置2の遠隔操作を行うための遠隔操作画面70を作成して、操作端末4に対して閲覧可能に提示する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置と、複数の利用者がそれぞれ前記自律走行作業装置を操作するための複数の操作端末と、前記自律走行作業装置を管理するための管理サーバとを備えた走行作業情報処理システムにおいて、
前記各操作端末は、前記管理サーバにログインする際に、遠隔操作する前記自律走行作業装置を選択するための選択要求を前記管理サーバへと送信し、
前記管理サーバは、前記複数の利用者が前記自律走行作業装置を遠隔操作する権限をそれぞれ示す複数の権限情報を予め記憶していて、
ログインした前記各操作端末から前記自律走行作業装置の前記選択要求を受け付けて当該操作端末と当該自律走行作業装置とを関連付けると、当該操作端末に対応する前記利用者の前記権限情報に基づいて、当該自律走行作業装置の遠隔操作を行うための遠隔操作画面を作成して、当該操作端末に対して閲覧可能に提示する
ことを特徴とする走行作業情報処理システム。
【請求項2】
前記自律走行作業装置は、撮影部を備えていて、前記撮影部で撮影した撮影データを前記管理サーバへと送信し、
前記管理サーバは、ログインした前記各操作端末に対応する前記利用者が部外者であるか否かを当該利用者の前記権限情報に基づいて判定し、また、前記部外者に対する非公開対象が前記撮影データに撮影されているか否かを判定し、
前記利用者が部外者であって、且つ、前記非公開対象が前記撮影データに撮影されている場合には、前記非公開対象を認識できないように前記撮影データを加工して、当該利用者に対応する前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の走行作業情報処理システム。
【請求項3】
前記自律走行作業装置は、撮影部を備えていて、前記撮影部で撮影した撮影データを前記管理サーバへと送信し、
前記管理サーバは、ログインした前記各操作端末に対応する前記利用者が施設責任者であるか否かを判定し、また、進入禁止領域が前記撮影データに撮影されているか否かを判定し、
前記自律走行作業装置の遠隔操作を行う一の前記操作端末に対応する前記利用者が前記進入禁止領域への進入を禁止されている前記権限情報に対応する者であって、且つ、前記進入禁止領域が前記撮影データに撮影されている場合には、前記施設責任者に対応する他の前記操作端末がログインしているか否かを判定し、
前記施設責任者に対応する他の前記操作端末がログインしていない場合には、前記自律走行作業装置の走行停止エラーを発生して、前記自律走行作業装置へ強制停止命令を送信し、また、一の前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面を遠隔操作不能にし、
前記自律走行作業装置は、前記強制停止命令に応じて走行作業を強制的に停止して遠隔操作を受け付け不能にする
ことを特徴とする請求項1に記載の走行作業情報処理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記自律走行作業装置の前記走行停止エラーを発生した後、前記施設責任者に対応する他の前記操作端末のログインを検出した場合には、前記走行停止エラーを解除して、前記自律走行作業装置へと停止解除命令を送信し、また、一の前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面を遠隔操作可能にし、
前記自律走行作業装置は、前記停止解除命令に応じて遠隔操作を受け付け可能にする
ことを特徴とする請求項3に記載の走行作業情報処理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記自律走行作業装置の走行操作を前記遠隔操作画面において受け付け可能にし、
一の前記操作端末によって前記遠隔操作画面において前記自律走行作業装置の走行操作が行われると、前記管理サーバは、一の前記操作端末に対応する一の前記利用者に対して、前記自律走行作業装置の走行操作の走行操作権を示す操作権フラグを設定し、他の前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面において、前記自律走行作業装置の走行操作を受け付け不能にする
ことを特徴とする請求項1に記載の走行作業情報処理システム。
【請求項6】
前記操作権フラグを設定した一の前記操作端末による前記自律走行作業装置の走行操作が終了すると、前記管理サーバは、前記操作権フラグの設定を解除し、他の前記操作端末に対して前記走行操作権を取得するか否かを問い合わせ、
他の前記操作端末によって前記走行操作権の取得を承諾した場合には、他の前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面において、前記自律走行作業装置の走行操作を受け付け可能にする
ことを特徴とする請求項5に記載の走行作業情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事前に入力されたプログラムに従って自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置を備えた走行作業情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律走行作業装置は、事前に入力されたプログラムに従って、環境地図、走行経路、走行設定および作業設定(清掃設定)を作成または設定して記憶し、その記憶結果に基づいて自律的に走行し自動で作業(清掃)する自動走行作業(自動走行清掃)を実行可能な機能を有する。例えば、自律走行作業装置は、商業施設、オフィス、ホテル、病院などの作業エリアの床面の清掃作業を行う産業用(業務用)自律走行作業装置(自律走行清掃装置)に適用される。
【0003】
自律走行作業装置の機能を利用した運用手法として、作業エリアにおいて、予めティーチング走行(学習走行清掃)を行って環境地図、走行経路、走行設定および清掃設定などのデータを記録しておき、また、記録したデータに従ってトレース走行(自動走行清掃)を行うことで自動制御により清掃作業を行うことができる。また、自動走行清掃を行っている間に問題が発生したときに、清掃管理会社や清掃受託会社が外部から自律走行作業装置の遠隔操作を行うことで問題を解決することがある。
【0004】
業務用の清掃ロボットとして利用される自律走行作業装置は、施設の営業時間外に稼動させる場合があり、また、周囲を撮影するカメラなどを備えることでドライブレコーダーとしての機能を有するものがある。そこで、自律走行作業装置は、清掃目的だけでなく、警備目的などの様々な目的で利用されることが考えられる。このとき、異なる目的を有する複数の利用者が1台の自律走行作業装置の遠隔操作を同時に行うことで、様々な問題が発生し、また、問題に対応することが求められる。
【0005】
ところで、特許文献1によれば、ロボット制御システムは、複数の機能を有する遠隔操作型ロボットと、当該遠隔操作型ロボットを遠隔操作する複数の利用者に対して、特定機能の遠隔操作を、当該特定機能の操作権限を有する利用者に対してのみ許可する許可手段と、遠隔操作型ロボットを遠隔操作する利用者のうち、特定機能に対する操作権限を有していない利用者から当該特定機能を遠隔操作する許可依頼を受け付ける受付手段と、許可依頼を受け付けた場合に、予め定められた条件を満たしていれば、当該許可依頼を行った利用者に対して特定機能に対する操作権限を付与する権限付与手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されるような従来の技術は、清掃ロボットなどの自律走行作業装置にも適用することができる。清掃作業では、施設オーナー、管理者、走行担当操作者、清掃担当操作者、警備担当者などの様々な立場の利用者がそれぞれ異なる目的を持って関与する。しかしながら、特許文献1の技術によれば、自律走行作業装置と操作端末とからなる構成において、自律走行作業装置側でログインの制御を行っているので、複数の利用者によるログインの制御が自律走行作業装置に集中してしまう。また、異なる目的を有する複数の利用者が1台の自律走行作業装置の遠隔操作を同時に行うことで、負荷の高い処理が自律走行作業装置に集中してしまう。このように、従来の技術では、複数の利用者が1台の自律走行作業装置の遠隔操作を行う際に、負荷が集中するという問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、複数の利用者が1台の自律走行作業装置に対して遠隔操作を行う場合に、自律走行作業装置や操作端末に負荷を集中することなく、負荷を分散して実行することができる走行作業情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の走行作業情報処理システムは、自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置と、複数の利用者がそれぞれ前記自律走行作業装置を操作するための複数の操作端末と、前記自律走行作業装置を管理するための管理サーバとを備えた走行作業情報処理システムにおいて、前記各操作端末は、前記管理サーバにログインする際に、遠隔操作する前記自律走行作業装置を選択するための選択要求を前記管理サーバへと送信し、前記管理サーバは、前記複数の利用者が前記自律走行作業装置を遠隔操作する権限をそれぞれ示す複数の権限情報を予め記憶していて、ログインした前記各操作端末から前記自律走行作業装置の前記選択要求を受け付けて当該操作端末と当該自律走行作業装置とを関連付けると、当該操作端末に対応する前記利用者の前記権限情報に基づいて、当該自律走行作業装置の遠隔操作を行うための遠隔操作画面を作成して、当該操作端末に対して閲覧可能に提示することを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の走行作業情報処理システムによれば、自律走行作業装置の遠隔操作を行う際、各利用者の権限情報に応じて操作内容が制限された遠隔操作画面を各利用者の操作端末に表示することにより、1台の自律走行作業装置に対して、様々な利害関係をそれぞれ有する各利用者が同時に遠隔操作を行う場合でも、自律走行作業装置に対する遠隔操作を適切に管理することができ、利便性を向上することができる。このように、本発明によれば、複数の利用者が1台の自律走行作業装置に対して適切に遠隔操作を実行可能にすることができる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第2の走行作業情報処理システムにおいて、前記自律走行作業装置は、撮影部を備えていて、前記撮影部で撮影した撮影データを前記管理サーバへと送信し、前記管理サーバは、ログインした前記各操作端末に対応する前記利用者が部外者であるか否かを当該利用者の前記権限情報に基づいて判定し、また、前記部外者に対する非公開対象が前記撮影データに撮影されているか否かを判定し、前記利用者が部外者であって、且つ、前記非公開対象が前記撮影データに撮影されている場合には、前記非公開対象を認識できないように前記撮影データを加工して、当該利用者に対応する前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面に表示する。
【0012】
本発明の第2の走行作業情報処理システムによれば、清掃エリアに存在するものが部外者への公開を制限する非公開対象である場合には、利用者の権限情報に応じて、撮影データを加工して非公開対象を非公開にすることにより、清掃エリアでの機密情報を適切に管理することができ、利便性を向上することができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第3の走行作業情報処理システムにおいて、前記管理サーバは、ログインした前記各操作端末に対応する前記利用者が施設責任者であるか否かを判定し、また、進入禁止領域が前記撮影データに撮影されているか否かを判定し、前記自律走行作業装置の遠隔操作を行う一の前記操作端末に対応する前記利用者が前記進入禁止領域への進入を禁止されている前記権限情報に対応する者であって、且つ、前記進入禁止領域が前記撮影データに撮影されている場合には、前記施設責任者に対応する他の前記操作端末がログインしているか否かを判定し、前記施設責任者に対応する他の前記操作端末がログインしていない場合には、前記自律走行作業装置の走行停止エラーを発生して、前記自律走行作業装置へ強制停止命令を送信し、また、一の前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面を遠隔操作不能にし、前記自律走行作業装置は、前記強制停止命令に応じて走行作業を強制的に停止して遠隔操作を受け付け不能にする。
【0014】
本発明の第3の走行作業情報処理システムによれば、遠隔操作される自律走行作業装置が、権限者以外の者の進入を禁止する進入禁止領域への進入が予測される場合は、進入禁止領域への進入の許諾権限を有する施設責任者の操作端末がログインしているかどうかを確認し、ログインしていなければ自律走行作業装置を強制停止する。これにより、進入禁止領域への不要、不測の進入を抑制することができ、進入禁止領域からの機密情報漏洩を防止し、セキュリティが向上することができ、利便性を向上することができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第4の走行作業情報処理システムにおいて、前記管理サーバは、前記自律走行作業装置の前記走行停止エラーを発生した後、前記施設責任者に対応する他の前記操作端末のログインを検出した場合には、前記走行停止エラーを解除して、前記自律走行作業装置へと停止解除命令を送信し、また、一の前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面を遠隔操作可能にし、前記自律走行作業装置は、前記停止解除命令に応じて遠隔操作を受け付け可能にする。
【0016】
本発明の第4の走行作業情報処理システムによれば、施設責任者の操作端末が管理サーバにログインしていないために、自律走行作業装置が進入禁止領域への進入を禁止されて強制停止している場合でも、施設責任者の操作端末が管理サーバにログインした場合に、自律走行作業装置の強制停止を解除することができる。このとき、自律走行作業装置の遠隔操作を受け付ける状態に変更し、また、自律走行作業装置を遠隔操作で進入禁止領域へと進入させることもできる。これにより、適切にセキュリティを保持しつつ、自律走行作業装置の走行清掃を継続することができ、利便性を向上することができる。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第5の走行作業情報処理システムにおいて、前記管理サーバは、前記自律走行作業装置の走行操作を前記遠隔操作画面において受け付け可能にし、一の前記操作端末によって前記遠隔操作画面において前記自律走行作業装置の走行操作が行われると、前記管理サーバは、一の前記操作端末に対応する一の前記利用者に対して、前記自律走行作業装置の走行操作の走行操作権を示す操作権フラグを設定し、他の前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面において、前記自律走行作業装置の走行操作を受け付け不能にする。
【0018】
本発明の第5の走行作業情報処理システムによれば、同等の権限情報を有する利用者の各操作端末が同時期に管理サーバにログインしていて、同じ自律走行作業装置を選択している場合でも、一方の操作端末のみに、走行操作権を与えることができる。そのため、自律走行作業装置は、一方の操作端末からの遠隔操作のみを受け付けて、他方の操作端末からの遠隔操作を受け付けないので、2台以上の操作端末からの遠隔操作が重複したり混線したりすることがない。これにより、自律走行作業装置が不適切に操作不能になることを防ぎ、また、自律走行作業装置が遠隔操作と異なる走行清掃を行うことを防ぐことができるので、自律走行作業装置の障害物への衝突などのトラブルを未然に防ぐことができる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の第6の走行作業情報処理システムにおいて、前記操作権フラグを設定した一の前記操作端末による前記自律走行作業装置の走行操作が終了すると、前記管理サーバは、前記操作権フラグの設定を解除し、他の前記操作端末に対して前記走行操作権を取得するか否かを問い合わせ、他の前記操作端末によって前記走行操作権の取得を承諾した場合には、他の前記操作端末に固有の前記遠隔操作画面において、前記自律走行作業装置の走行操作を受け付け可能にする。
【0020】
本発明の第6の走行作業情報処理システムによれば、一度、一方の操作端末に走行操作権が与えられた場合でも、その後、自律走行作業装置の運用を止めることなく、他方の操作端末へと走行操作権の受け渡しを効率的かつ適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、走行作業情報処理システムは、複数の利用者が1台の自律走行作業装置に対して遠隔操作を行う場合に、自律走行作業装置や操作端末に負荷を集中することなく、負荷を分散して実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける自律走行作業装置の構成を示す概要図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける自律走行作業装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける操作端末の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、自律走行作業装置の走行状況を撮影した第1撮影データの例を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、自律走行作業装置の清掃作業状況を撮影した第2撮影データの例を示す平面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、各利用者の個人登録情報の例を示す表である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、各自律走行作業装置の装置登録情報の例を示す表である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、清掃エリアの各施設責任者の責任者情報の例を示す表である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、各利用者による自律走行作業装置の遠隔操作に関する権限情報の例を示す表である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、非公開対象を識別する対象登録情報の例を示す表である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、進入禁止領域を識別する領域登録情報の例を示す表である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、操作端末のログイン画面の例を示す平面図である。
【
図15】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、自律走行作業装置を遠隔操作する遠隔操作画面の例を示す平面図である。
【
図16】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、遠隔操作画面を操作端末に表示する動作例を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、自律走行作業装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、操作端末の動作例を示すフローチャートである。
【
図20】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、非公開対象に対して撮影データを加工する際の、管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図21】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、進入禁止領域を検出した場合に走行清掃を強制停止する際の、自律走行作業装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図22】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、進入禁止領域を検出した場合に走行清掃を強制停止する際の、管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図23】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、走行清掃の強制停止を解除する際の、管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図24】本発明の第2の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、一方の操作端末に対して自律走行作業装置の遠隔操作の操作権フラグを設定する動作例を示すフローチャートである。
【
図25】本発明の第2の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、一方の操作端末に設定された操作権フラグを解除して、他方の操作端末に設定する動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0024】
本発明の第1の実施形態による走行作業情報処理システム1について説明する。
図1に示すように、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2と、管理サーバ3と、複数の操作端末4とを備える。自律走行作業装置2は、自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能に構成され、管理サーバ3は、自律走行作業装置2を管理するように構成され、各操作端末4は、自律走行作業装置2を操作するように構成されている。自律走行作業装置2は、所定のネットワーク5を介して管理サーバ3と通信可能に接続され、各操作端末4は、所定のネットワーク5を介して管理サーバ3と通信可能に接続される。
【0025】
なお、走行作業情報処理システム1は、1台の管理サーバ3に対して、同様の機能を有する複数台の自律走行作業装置2を備えてよいが、本実施形態では、1台の自律走行作業装置2を備える例を説明する。また、走行作業情報処理システム1は、1台の管理サーバ3に対して、同様の機能を有する複数台の操作端末4を備えてよいが、本実施形態では、2台の操作端末4を備える例を説明する。複数の操作端末4は、清掃業者などの操作者だけでなく、警備員や管理者などを含む複数の利用者がそれぞれ利用するものである。
【0026】
先ず、自律走行作業装置2について説明する。
図2に示すように、自律走行作業装置2は、各部を収容するための装置本体10と、装置本体10を走行させる走行部11とを備える。自律走行作業装置2は、所定の作業を実行する作業部として、例えば、装置本体10の下方の床面FLの清掃作業を実行する清掃部12を備えて、自律走行清掃装置として機能する。自律走行作業装置2は、例えば、ショッピングモールなどの商業施設、オフィス、ホテル、病院、学校、工場などの全部または一部の領域を清掃エリア(作業エリア)として、清掃エリアの床面FLを清掃対象(作業対象)とする。
【0027】
また、自律走行作業装置2は、装置本体10と周囲の壁や障害物(例えば、置物など)などの非作業対象との位置関係を計測する計測部13と、所定距離内の壁や障害物を検知する障害物検知部14とを備える。自律走行作業装置2は、装置本体10の前方を撮影する第1撮影部15と、装置本体10の後方を撮影する第2撮影部16とを備える。自律走行作業装置2は、自律走行作業装置2の各種機能の操作や表示のためのタッチパネルなどからなる操作表示部17と、自律走行作業装置2の各部に電力を供給し、バッテリー(図示せず)の残量監視や充電を制御するための電源部18とを備える。
【0028】
更に、自律走行作業装置2は、自律走行作業装置2の各部および各種機能(走行部11による走行、清掃部12による清掃、計測部13による計測、第1撮影部15および第2撮影部16による撮影など)を統括制御する装置側制御部20と、走行部11の走行データや清掃部12の清掃データ(作業データ)からなる清掃プラン(作業プラン)を記憶する装置側記憶部21と、管理サーバ3や各操作端末4などの外部機器と通信するための装置側通信部22とを備える。
【0029】
次に、自律走行作業装置2の動作の概要を説明する。
【0030】
自律走行作業装置2は、手動操作による走行および自動操作による自律的な走行が可能な車両であって、学習モード、再現(自動)モード、手動モードおよび遠隔操作モードの何れかの動作モードに切り替えられて動作する。自律走行作業装置2は、操作端末4や操作表示部17の操作に応じて動作モードを切り替え可能とする。
【0031】
自律走行作業装置2は、学習モードおよび手動モードでは、操作者や管理者による操作表示部17の手動操作に応じて手動走行や手動清掃(手動作業)を行う学習走行清掃(学習走行作業)および手動走行清掃(手動走行作業)をそれぞれ実行する。また、学習走行清掃では、学習走行に伴って清掃エリアの環境地図を作成して記憶すると共に、学習走行時の走行経路や走行状態を示す走行データと、学習清掃時の清掃状態を示す清掃データとを取得して、走行データおよび清掃データを含む清掃プランを記憶する。自律走行作業装置2は、遠隔操作モードでは、操作者や管理者による操作端末4の遠隔操作に応じて走行や清掃を行う遠隔操作走行清掃(遠隔操作走行作業)を実行する。
【0032】
自律走行作業装置2は、再現モードでは、自動走行清掃(自動走行作業)を行って、学習走行清掃で記憶された清掃プランのうちで、操作者に選択された清掃プランを再現するように、選択された清掃プランおよび対応する環境地図に基づいて、装置側制御部20による自動操作に応じて自動走行および自動清掃(自動作業)を行う。
【0033】
清掃プランは、走行経路に沿った複数のステップで構成され、各ステップには、走行データおよび清掃データが関連付けられる。ステップの間隔は、学習走行清掃を行う際に、所定の時間間隔(例えば、25ms)に設定されてもよく、あるいは、自律走行作業装置2の所定の移動距離(例えば、0.5m)に設定されてもよい。また、清掃プランは、上記した以外に、学習走行清掃開始からの経過時間をステップ毎に関連付けて記憶してもよい。
【0034】
走行データは、例えば、走行部11の走行経路上の自己位置データ(環境地図上の自己位置を示すX座標およびY座標、開始位置の向きに対する角度)、操舵フラグ(直進、左折、右折)、進行方向への走行速度[m/s]および旋回速度[deg/s]を含み、走行データに基づいて走行経路を図化することができる。あるいは、走行速度は、複数段階の速度の何れかに切り替えられてよく、走行データは、走行速度の段階的な速度を数字(例えば、0~7の8段階)に換算して記憶するとよい。
【0035】
清掃データは、例えば、清掃部材24のパッド圧、洗浄液供給部25の供給水量および吸引部26の吸引量を含む。パッド圧は、清掃部材24を床面FLに押し付ける力であり、供給水量は、洗浄液供給部25によって床面FLに供給される洗浄液(作業液)の量であり、吸引量は、吸引部26によって床面FLから洗浄後の汚水を吸引する際の吸引ブロア(図示せず)の稼働強度である。なお、パッド圧、供給水量および吸引量は、複数段階の強度の何れかに切り替えられてよく、清掃データは、パッド圧、供給水量および吸引量の段階的な強度を数字(例えば、0~2の3段階や、0~4の5段階など)に換算して記憶するとよい。なお、清掃データは、清掃部材24の作動/停止、回転速度を含んでもよい。
【0036】
次に、自律走行作業装置2の各部を説明する。
【0037】
走行部11は、装置本体10の下部に設けられていて、駆動輪として1つの前輪11aを備え、補助輪として一対の後輪11bを備え、前輪11aおよび一対の後輪11bには、それぞれ、タイヤが取り付けられる。前輪11aは、進行方向前側で装置幅方向中央に設けられ、走行駆動用モータ(図示せず)と前輪回転用エンコーダ(図示せず)とを備える。走行部11は、走行駆動用モータを駆動して前輪11aを回転させることで装置本体10を前進させ、前輪11aの回転を停止させることで装置本体10を停止させる。走行駆動用モータの駆動を制御することで、自律走行作業装置2(走行部11)の走行速度の調整(加減速)が行われる。なお、走行部11は、走行駆動用モータが前輪11aを逆転させることで装置本体10を後退させてもよい。
【0038】
また、前輪11aは、操舵軸(図示せず)と操舵用モータ(図示せず)と操舵回転用エンコーダ(図示せず)とを備える。走行部11は、操舵用モータを駆動して操舵軸を回転させることで前輪11aの向きを変えて装置本体10を操舵し、前輪11aの向きを変えながら装置本体10を前進させることで、自律走行作業装置2(走行部11)を左折(左旋回)や右折(右旋回)させる。操舵用モータの駆動を制御することで、自律走行作業装置2(走行部11)の操舵角が調整される。例えば、操舵軸を回転させて進行方向に対して操舵角を左側または右側に90度傾けるように操舵用モータを制御しながら、装置本体10を前方または後方へ旋回することで、装置本体10は左側または右側に信地旋回する。
【0039】
一対の後輪11bは、進行方向後側で装置幅方向(左右方向)に間隔を空けて設けられ、それぞれ走行距離を回転量から把握するためのエンコーダ(図示せず)を備える。一対の後輪11bは、前輪11aの駆動による装置本体10の移動に応じて従動回転する。自律走行作業装置2(走行部11)の走行速度の調整(加減速)と操舵は、後輪11bに備えられたエンコーダを用いて後輪11bの各々の回転量をフィードバックしながら走行駆動用モータと操舵用モータを制御することで行われてもよい。なお、本実施形態では、駆動輪の前輪11aと補助輪の後輪11bとを備える例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、例えば、他の実施形態では、補助輪の前輪11aと一対の駆動輪の後輪11bとを備えてもよい。
【0040】
走行部11は、動作モードが学習モードまたは手動モードに設定されている場合、操作者や管理者による操作端末4や操作表示部17の手動操作に応じて動作する。また、走行部11は、動作モードが再現モードに設定されている場合、操作者に選択された清掃プランの走行データおよび環境地図に基づく装置側制御部20(再現制御部34)の制御に応じて動作する。
【0041】
清掃部12は、装置本体10の下部に設けられ、装置本体10の下方の床面FLを清掃するように構成される。清掃部12は、動作モードが学習モードまたは手動モードに設定されている場合、操作者や管理者による操作端末4や操作表示部17の手動操作に応じて動作する。また、清掃部12は、動作モードが再現モードに設定されている場合、操作者に選択された清掃プランの清掃データに基づく装置側制御部20(再現制御部34)の制御(自動操作)に応じて動作する。
【0042】
清掃部12は、例えば、洗剤として洗浄液を用いて床面FLを清掃する湿式の清掃機構で構成され、床面FLに接触して床面FLを清掃する清掃部材24(作業部材)と、洗浄液を床面FLに供給する洗浄液供給部25と、床面FLを清掃した使用後の洗浄液、即ち、汚水を吸引する吸引部26とを備える。清掃部12は、清掃部材24を床面FL上で回転させる清掃部材用モータ(図示せず)と、清掃部材24を床面FLに対して上下方向に移動させる清掃部材用アクチュエータ(図示せず)とを備える。清掃部12は、吸引部26で吸引された汚水を回収する汚水回収部(図示せず)を備える。なお、清掃部12は、床面FLがカーペットの場合には、洗浄液を使用せずに乾式の清掃作業を行うように構成されてよい。
【0043】
清掃部材24は、進行方向略中央で装置幅方向(左右方向)に並んで取り付けられた一対の洗浄パッドや一対の洗浄ブラシなどで構成される。左側の洗浄パッドまたは洗浄ブラシが上方視時計回りに回転し、右側の洗浄パッドまたは洗浄ブラシが上方視反時計回りに回転して、幅方向中央側で前方から後方へ向かうように回転する。これにより、一対の洗浄パッドまたは一対の洗浄ブラシの前方の汚水や塵埃を幅方向中央側に収集しつつ後方へ排出する。
【0044】
洗浄液供給部25は、供給ポンプ(図示せず)を用いて洗浄液タンク(図示せず)から床面FLに洗浄液を供給して散布するように構成される。
【0045】
吸引部26は、吸引ブロアなどで構成され、吸引した汚水を汚水回収部(図示せず)へと回収する。汚水回収部は、清掃部材24より後方で床面FLに接地して設けられたスキージ27によって、清掃部材24から後方に排出される汚水を受け止めて収集し、吸引部26に接続された汚水ダクト(図示せず)によって、収集された汚水を吸引部26の吸引力を利用して吸引し、吸引された汚水を、汚水ダクトに接続された汚水タンクへ回収する。
【0046】
計測部13は、装置本体10と周囲の壁や障害物などの非作業対象との位置情報(例えば、装置本体10の進行方向に対する角度や距離)を計測するレーザーレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)13aなどを備える。計測部13は、装置本体10が走行している間、例えば、所定のタイミング毎(例えば、25ms毎)に非作業対象との位置情報を計測する。LRF13aは、装置本体10の前側および左右両側に亘って検知範囲を有するように構成される。
【0047】
障害物検知部14は、装置本体10から所定距離内の壁や障害物の有無を検知する超音波センサなどの複数の近接センサ14a(検知部)や、装置本体10付近の床面FLの段差を検知する赤外線センサなどの段差センサ、装置本体10の前下側のバンパー(図示せず)に取り付けられて壁や障害物との接触を検知するバンパーセンサなどを備える。障害物検知部14は、装置本体10が走行している間、常時稼働していてよい。
【0048】
第1撮影部15は、自律走行作業装置2の走行状況を撮影するものであり、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどの第1撮像装置15aを備える。第1撮像装置15aは、例えば、装置本体10の前上側に取り付けられて、装置本体10の前方を撮影することで、自律走行作業装置2の走行状況を撮影して、
図6に示すように、第1撮影データ60を取得する。
【0049】
第2撮影部16は、自律走行作業装置2の清掃作業状況(作業状況)を撮影するものであり、CCDカメラなどの第2撮像装置16aを備える。装置本体10の後方を撮影するCCDカメラなどの第2撮像装置16aを備え、第2撮像装置16aは、例えば、装置本体10の後下側に取り付けられて、装置本体10の後下方を撮影することで、自律走行作業装置2の清掃作業状況を撮影して、
図7に示すように、第2撮影データ61を取得する。
【0050】
操作表示部17は、装置本体10の後上側に設けられ、タッチパネルなどを有して構成され、操作表示部17の各部は、装置側制御部20に接続されている。操作表示部17は、例えば、自律走行作業装置2の稼働/停止を操作するためのキースイッチ(図示せず)や、自律走行作業装置2の緊急停止を操作するための緊急停止ボタン(図示せず)を有する。
【0051】
操作表示部17のタッチパネルは、装置側制御部20からの制御信号に応じて様々な画面を表示し、各画面でのタッチ操作に基づく操作信号を装置側制御部20へと送信する。例えば、操作表示部17のタッチパネルは、動作モードを選択可能なモード選択画面(図示せず)を表示したり、学習モードおよび手動モードにおいて、走行部11の走行速度、清掃部材24の清掃の稼働/停止およびパッド圧、洗浄液供給部25の洗浄液供給の稼働/停止および供給水量、吸引部26の吸引の稼働/停止および吸引量などを設定可能な設定画面(図示せず)を表示したりする。なお、モード選択画面では、動作モードを学習モード、再現(自動)モードおよび手動モードの内から選択可能としていて、遠隔操作モードは、操作端末4の遠隔操作に応じて切り替わる。
【0052】
電源部18は、装置本体10内部に搭載されたバッテリー(電源)および充電回路を備え、外部電源に接続することでバッテリーが充電され、また、自律走行作業装置2の各部へと電力を供給する。電源部18は、バッテリーの残量を示す信号を装置側制御部20へと出力してもよい。
【0053】
装置側制御部20は、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータで構成され、
図2や
図3に示すように、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含む装置側記憶部21および装置側通信部22に接続されている。また、装置側制御部20は、上記の走行部11、清掃部12、計測部13、障害物検知部14、第1撮影部15、第2撮影部16、操作表示部17および電源部18などの自律走行作業装置2の各部に接続されている。
【0054】
また、装置側制御部20は、装置側通信部22を介して外部機器と通信可能に接続される。装置側通信部22は、管理サーバ3や複数の操作端末4などの外部機器と、Wi-Fiや無線LANなどの通信規格によって無線通信を行う。装置側通信部22は、例えば、自律走行作業装置2が自動走行清掃を行っている間に、第1撮影部15が自律走行作業装置2の走行状況を撮影した第1撮影データ60や、第2撮影部16が自律走行作業装置2の清掃作業状況を撮影した第2撮影データ61と、計測部13の計測結果である計測結果とを管理サーバ3へと送信する。
【0055】
装置側記憶部21は、自律走行作業装置2の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、装置側制御部20が、装置側記憶部21に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各部および各種機能を統括制御する。例えば、装置側制御部20は、装置側記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、
図3に示すように、モード切替部30、学習制御部31、地図作成部32、清掃プラン作成部33、再現制御部34および遠隔操作制御部35として動作する。これにより、自律走行作業装置2は、事前に記憶されたプログラムに従って自律的に走行し自動で作業することができる。また、装置側記憶部21は、1つ以上の清掃プランを記憶すると共に、各清掃プランに対応する環境地図も記憶する。
【0056】
モード切替部30は、各操作端末4や操作表示部17の操作に応じて、動作モードを学習モード、再現モード、手動モードおよび遠隔操作モードの何れかに切り替える。なお、学習モード、再現モードおよび手動モードは、各操作端末4や操作表示部17を用いた選択操作によって切り替えられ、遠隔操作モードは、操作端末4の遠隔操作に応じて切り替えられる。
【0057】
例えば、モード切替部30は、動作モードが再現モードの場合に、走行不能になるエラーを検出したときや、装置側通信部22が管理サーバ3や各操作端末4などの外部機器から遠隔操作命令を受信したときに、動作モードを遠隔操作モードに切り替える。あるいは、モード切替部30は、操作表示部17や各操作端末4に備わる遠隔操作開始ボタン(図示せず)の操作に応じて、動作モードを遠隔操作モードに切り替え、また、操作表示部17や各操作端末4に備わる遠隔操作終了ボタン(図示せず)の操作に応じて、動作モードを遠隔操作モードから元のモードに切り替える。
【0058】
学習制御部31は、学習モードにおいて、学習走行清掃が行われる間、所定のステップ間隔毎に、走行部11の走行データおよび清掃部12の清掃データを取得して装置側記憶部21に記憶する。
【0059】
学習制御部31は、例えば、走行データとして、計測部13が計測した位置情報に基づいて自己位置データ(X座標およびY座標、角度)を取得する。また、走行部11の前輪11aの前輪回転用エンコーダで前輪11aの走行回転数を検出し、その検出結果に基づいて走行部11の走行速度を取得する。更に、走行部11の前輪11aの操舵回転用エンコーダで前輪11aの操舵回転数を検出し、その検出結果に基づいて走行部11の旋回速度を取得する。学習制御部31は、例えば、清掃データとして、清掃部材24に対して設定された清掃の稼働/停止およびパッド圧、洗浄液供給部25に対して設定された洗浄液供給の稼働/停止および供給水量、吸引部26に対して設定された吸引の稼働/停止および吸引量を取得する。
【0060】
地図作成部32は、学習モードにおいて学習走行清掃が行われる間、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などの技術を用いて、リアルタイムで自己位置の推定と環境地図の作成とを行う。
【0061】
具体的には、地図作成部32は、所定の清掃エリアの学習走行清掃の間に、計測部13の計測結果として、装置本体10と装置本体10の周囲の非作業対象との位置情報を取得し、この計測部13の計測結果に基づいて、所定の時間間隔毎または所定の距離間隔毎に、装置本体10の周囲の局所地図を作成する。また、地図作成部32は、局所地図と走行部11の各エンコーダによる検出結果(走行部11の移動量)とに基づいて、局所地図中の自律走行作業装置2の自己位置(座標)を推定する。
【0062】
そして、地図作成部32は、学習走行清掃を完了する際に、各局所地図をつなぎ合わせる(合成する)ことで清掃エリアの環境地図を作成する。また、地図作成部32は、局所地図中の自己位置(計測部13が計測した各位置情報)をつなぎ合わせる(合成する)ことで走行経路を作成する。この環境地図を用いることで、局所地図中の自己位置と、計測部13が計測した非作業対象の位置情報とに基づいて、走行経路に沿って走行可能範囲を把握することができ、この走行可能範囲に基づいて、走行経路の各位置(各ステップ)の道幅を算出することができる。
【0063】
清掃プラン作成部33は、学習走行清掃が行われる間に学習制御部31が装置側記憶部21に記憶していた走行データおよび清掃データを、学習走行清掃を完了する際に、ステップ毎に関連付けて清掃プラン(作業プラン)を作成する。
【0064】
清掃プラン作成部33は、作成した清掃プランについてプラン名の入力を操作表示部17のタッチパネルの所定の入力画面(図示せず)で受け付けて、操作者によって入力されたプラン名を、作成した清掃プランに付加する。清掃プラン作成部33は、作成した清掃プランを、同じ学習走行清掃で地図作成部32が作成した環境地図と関連付けて装置側記憶部21に記憶する。なお、清掃プラン作成部33は、学習走行清掃を行うことなく、自律走行作業装置2をコンピュータとして用いることによって、または管理サーバ3や各操作端末4などの外部機器によって、あるいは事前に入力されたプログラムに従って自動で走行経路を作成することによって、事前に環境地図、走行データおよび清掃データが作成された場合、これらの環境地図、走行データおよび清掃データについて清掃プランを作成してもよい。
【0065】
再現制御部34は、動作モードが再現モードの場合に、清掃プランの選択を、操作表示部17のタッチパネルの所定の清掃プラン選択画面(図示せず)で受け付けて、選択された清掃プランを装置側記憶部21から読み出し、この清掃プランの走行データおよび清掃データ並びに清掃プランに対応する環境地図に基づいて、走行部11および清掃部12を制御して自動走行清掃を行う。なお、再現制御部34は、自動走行清掃を行う清掃プランおよび環境地図を、装置側通信部22によって管理サーバ3へと送信することで、管理サーバ3に認識させておくとよい。
【0066】
このとき、再現制御部34は、清掃プランに対応する環境地図上の自律走行作業装置2の自己位置を推定しながら自動走行清掃を実行する。例えば、再現制御部34は、地図作成部32を利用してSLAMなどの技術を用いて局所地図を作成し、局所地図中の自律走行作業装置2の自己位置を推定して、局所地図を環境地図にマッチングさせることで、環境地図上の自己位置を推定する。
【0067】
そして、再現制御部34は、清掃プランの走行データのステップ毎の自己位置データと、環境地図上で推定される自己位置を合わせて走行部11を制御しつつ、清掃部12の清掃データに基づいてステップ毎に清掃作業を制御する。
【0068】
また、再現制御部34は、自動走行清掃において、計測部13のレーザーレンジファインダ13aおよび障害物検知部14の近接センサ14aによって障害物などの非作業対象の検知を行い、非作業対象との距離が所定の安全距離に近づくと減速するように走行部11を制御し、非作業対象との距離が所定の安全距離以下になると停止するように走行部11を制御するとよい。
【0069】
再現制御部34は、自動走行清掃を行っている間、所定の時間間隔毎に自動的に、第1撮影部15が自律走行作業装置2の走行状況を撮影した第1撮影データ60や、第2撮影部16が自律走行作業装置2の清掃作業状況を撮影した第2撮影データ61と、計測部13の計測結果である計測結果とを、装置側通信部22によって管理サーバ3へと送信する。
【0070】
再現制御部34は、自動走行清掃において、自律走行作業装置2がエラーを検出すると、エラー通知を装置側通信部22によって管理サーバ3へと送信する。再現制御部34は、自律走行作業装置2がエラーとして検出した走行不能や清掃作業不能の内容を示すエラー通知を送信するとよい。例えば、再現制御部34は、計測部13の計測結果に基づいて、環境地図に存在しない未知の障害物を進行方向に検出した場合に、障害物に起因する走行不能を示すエラー通知を送信する。なお、再現制御部34は、自律走行作業装置2から未知の障害物までの距離が所定の停止距離になるまで障害物に接近すると、自動走行清掃を停止して、手動操作や遠隔操作を待機する状態になる。
【0071】
再現制御部34は、動作モードが再現モードから遠隔操作モードに切り替えられると、自動走行清掃を中断する。その後、再現制御部34は、操作表示部17や各操作端末4を用いた再開操作(例えば、再開ボタンの操作)に応じて、若しくは、動作モードが遠隔操作モードから再現モードに切り替えられて遠隔操作走行清掃が終了したときに、自動走行清掃を再開する。このとき、再現制御部34は、自律走行作業装置2の位置に最も近い走行経路上の位置から自動走行清掃を再開するとよい。
【0072】
遠隔操作制御部35は、動作モードが遠隔操作モードの場合に、装置側通信部22が管理サーバ3や各操作端末4などの外部機器から遠隔操作命令を受信すると、遠隔操作走行清掃(遠隔操作走行作業)を実行する。遠隔操作制御部35は、動作モードが遠隔操作モードから他のモードに切り替えられると遠隔操作走行清掃を終了する。遠隔操作制御部35は、遠隔操作走行清掃において、遠隔操作命令に対応する遠隔操作に従って自律走行作業装置2が走行や清掃を行うように走行部11および清掃部12を制御する。
【0073】
例えば、遠隔操作が前進、停止、右旋回または左旋回を指示する場合、遠隔操作制御部35は、自律走行作業装置2が前進、停止、右旋回または左旋回を行うように走行部11を制御し、また、遠隔操作によって走行部11の走行速度の設定を受け付けてよい。遠隔操作制御部35は、遠隔操作によって清掃部12による清掃作業の実行/停止の設定を受け付けてよく、また、清掃部材24の清掃の稼働/停止およびパッド圧、洗浄液供給部25の洗浄液供給の稼働/停止および供給水量、吸引部26の吸引の稼働/停止および吸引量などの個別設定を受け付けてよい。なお、遠隔操作制御部35は、遠隔操作に応じて遠隔操作走行を行う場合には常に清掃作業を停止するように清掃部12を制御してもよい。
【0074】
遠隔操作制御部35は、遠隔操作走行清掃を行っている間、所定の時間間隔毎に自動的に、第1撮影部15が自律走行作業装置2の走行状況を撮影した第1撮影データ60や、第2撮影部16が自律走行作業装置2の清掃作業状況を撮影した第2撮影データ61と、計測部13の計測結果である計測結果とを、装置側通信部22によって管理サーバ3へと送信する。なお、遠隔操作制御部35は、操作端末4を用いた任意の操作に応じて、第1撮影データ60や第2撮影データ61と、計測部13の計測結果とを送信してもよい。
【0075】
また、遠隔操作が第1撮影部15や第2撮影部16の撮影操作を指示する場合、遠隔操作制御部35は、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影や、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61の送信を制御する。なお、遠隔操作制御部35は、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影について、撮影方向やズームを制御してもよい。遠隔操作制御部35は、上記した遠隔操作に限定されず、自律走行作業装置2の各部に対する様々な遠隔操作を受け付けて、各部を制御可能にしてよい。
【0076】
更に、遠隔操作制御部35は、管理サーバ3からの遠隔操作命令として、強制停止命令を受信した場合には、遠隔操作走行清掃を強制的に停止するように、走行部11や清掃部12を制御する。管理サーバ3では、権限者以外の者(非権限者)の進入を禁止する関係者出入口などの進入禁止領域を検出した場合に、走行停止エラーを発生して、強制停止命令を自律走行作業装置2へと送信することになる。なお、自律走行作業装置2は、強制停止中でも、第1撮影データ60や第2撮影データ61を管理サーバ3へと送信するとよい。遠隔操作制御部35は、走行停止エラーが解除されるまで、操作端末4からの遠隔操作に基づく管理サーバ3からの遠隔操作命令を受け付けないようにする。一方、遠隔操作制御部35は、走行停止エラーが発生した後、管理サーバ3からの遠隔操作命令として、走行停止エラーを解除する停止解除命令を受信した場合には、操作端末4からの遠隔操作に基づく管理サーバ3からの遠隔操作命令を受け付けるようにする。
【0077】
なお、遠隔操作制御部35は、走行停止エラーが発生しているとき、操作表示部17を用いたエラー解除操作に応じて、走行停止エラーを解除してもよい。このとき、遠隔操作制御部35は、走行停止エラーの解除を管理サーバ3へと通知する。
【0078】
なお、本実施形態では、自律走行作業装置2が遠隔操作走行清掃を実行中に、強制停止命令を受信した場合に、遠隔操作走行清掃を強制的に停止する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、自律走行作業装置2は、自動走行清掃、学習走行清掃または手動走行清掃を実行中に、強制停止命令を受信した場合に、自動走行清掃、学習走行清掃または手動走行清掃をそれぞれ強制的に停止してもよい。
【0079】
また、遠隔操作制御部35は、管理サーバ3からの遠隔操作命令として、所定の作業操作を受信すると、当該作業操作に対応する作業動作が妥当か否かを判定し、当該作業動作が不当である場合には、自律走行作業装置2の走行清掃(走行作業)を禁止する清掃停止エラー(作業停止エラー)を発生する。このとき、遠隔操作制御部35は、清掃停止エラーを管理サーバ3へと通知する。
【0080】
自律走行作業装置2が走行清掃を行う床面FLには、湿式清掃に適したものと、適していないものとがある。床面FLがセラミックなどの樹脂系床の場合には、自律走行作業装置2は、洗浄液供給部25により洗浄液などの洗剤を床面FLに散布して清掃する湿式清掃を行うことができるが、床面FLがカーペットなどの繊維系床の場合には、自律走行作業装置2は、洗剤を床面FLに散布して清掃する湿式清掃を行うことができない。そこで、遠隔操作制御部35は、管理サーバ3からの遠隔操作命令として、洗浄液(洗剤)の散布操作を受信すると、床面FLの床面種別や材質に基づいて、洗浄液供給部25による洗浄液の散布作業が妥当か否かを判定し、洗浄液の散布作業が不当である場合には、清掃停止エラーを発生する。
【0081】
このとき、遠隔操作制御部35は、自律走行作業装置2に備わる振動センサによって走行中に床面FLからの振動を検知すると、その振動量の変化に基づいて床面FLの段差や床面FLの材質の変化を検知し、また、その検知結果に基づいて段差種別や段差の大きさ、または床面種別を識別する。例えば、振動センサは、床面FLから溝や凹部などの段差へ下がる際の振動、床面FLから凸部などの段差への上がる際の振動、沈み込むように走行する際の振動を検知することで床面FLの段差を検知し、カーペットなどの繊維系床へ移動する際の走行負荷の増加による振動、セラミックなどの樹脂系床へ移動する際の走行負荷の減少による振動を検知することで床面FLの材質を検知する。また、遠隔操作制御部35は、床面FLからの振動の検知結果に加えて、自律走行作業装置2に備わる赤外線センサによって床面FLに対する赤外線の反射光の検知結果に基づいて、床面FLの材質を検知してもよい。
【0082】
清掃停止エラーを発生すると、遠隔操作制御部35は、遠隔操作走行清掃を強制的に停止するように、走行部11や清掃部12を制御する。遠隔操作制御部35は、清掃停止エラーを管理サーバ3へと通知し、清掃停止エラーが解除されるまで、操作端末4からの遠隔操作に基づく管理サーバ3からの遠隔操作命令を受け付けないようにする。一方、遠隔操作制御部35は、清掃停止エラーが発生した後、清掃停止エラーが解除された場合には、操作端末4からの遠隔操作に基づく管理サーバ3からの遠隔操作命令を受け付けるようにする。
【0083】
なお、遠隔操作制御部35は、清掃停止エラーが発生しているとき、操作表示部17を用いたエラー解除操作や、操作端末4から受信したエラー解除命令に応じて、清掃停止エラーを解除するとよい。このとき、遠隔操作制御部35は、清掃停止エラーの解除を管理サーバ3へと通知する。
【0084】
なお、本実施形態では、自律走行作業装置2が遠隔操作走行清掃を実行中に、作業動作が不当である場合に、清掃停止エラーを発生する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、自律走行作業装置2は、自動走行清掃、学習走行清掃または手動走行清掃を実行中に、作業動作が不当である場合に、清掃停止エラーを発生してもよい。
【0085】
次に、管理サーバ3について説明する。管理サーバ3は、自律走行作業装置2を管理すると共に、各操作端末4を利用する操作者や管理者などの利用者を管理する。管理サーバ3は、
図4に示すように、サーバ側制御部40と、サーバ側記憶部41と、サーバ側通信部42とを備える。
【0086】
サーバ側制御部40は、管理サーバ3の各部および各種機能を統括制御するものであり、CPUなどのコンピュータで構成され、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含むサーバ側記憶部41およびサーバ側通信部42に接続されている。
【0087】
また、サーバ側制御部40は、サーバ側通信部42を介して外部機器と通信可能に接続される。サーバ側通信部42は、自律走行作業装置2や操作者や管理者などの利用者の保有する各操作端末4などの外部機器と、Wi-Fiや無線LANなどの通信規格によって無線通信を行う。サーバ側通信部42は、例えば、自律走行作業装置2の第1撮影部15が自律走行作業装置2の走行状況を撮影した第1撮影データ60や、第2撮影部16が自律走行作業装置2の清掃作業状況を撮影した第2撮影データ61、自律走行作業装置2の計測部13の計測結果を自律走行作業装置2から受信し、また、当該第1撮影データ60や当該第2撮影データ61を表示する遠隔操作画面70(
図15参照)を各操作端末4に閲覧表示させる。サーバ側通信部42は、各操作端末4から遠隔操作を受信し、また、当該遠隔操作に対応する遠隔操作命令を自律走行作業装置2へと送信する。
【0088】
サーバ側記憶部41は、管理サーバ3の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、サーバ側制御部40が、サーバ側記憶部41に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各部および各種機能を統括制御する。例えば、サーバ側制御部40は、サーバ側記憶部41に記憶されたプログラムを実行することにより、装置端末間紐付部45、画面制御部46、遠隔操作命令部47、エラー制御部48として動作する。
【0089】
管理サーバ3は、各操作端末4の操作者や管理者などの利用者を管理するところ、サーバ側記憶部41には、
図8に示すように、各利用者の個人登録情報として、個人識別情報(個人コード)、氏名、所属、利用者種別、パスワードなどが登録されている。また、個人登録情報には、各利用者が自律走行作業装置2を操作可能な段階を示す操作レベルが設定されてもよい。管理サーバ3は、自律走行作業装置2を管理するところ、サーバ側記憶部41には、
図9に示すように、各自律走行作業装置2の装置登録情報として、装置識別情報(ロボット識別コード)、名称などが登録されている。また、管理サーバ3は、自律走行作業装置2が学習走行清掃で作成した清掃プランおよび環境地図や、作業者による操作端末4の操作内容をサーバ側通信部42によって受信し、その履歴をサーバ側記憶部41に記憶するとよい。
【0090】
管理サーバ3は、1人以上の利用者を、各清掃エリアの施設責任者として設定可能であり、
図10に示すように、責任者情報として、各清掃エリアを識別するエリア識別情報と、各利用者の個人識別情報とを関連付けてサーバ側記憶部41に登録している。なお、各利用者は、1つの清掃エリアの施設責任者に設定できることは勿論、2つ以上の清掃エリアの施設責任者に設定することもできる。また、管理サーバ3は、各利用者が各自律走行作業装置2を遠隔操作する際の権限情報を設定していて、サーバ側記憶部41には、
図11に示すように、権限情報として、各利用者の個人コード、各自律走行作業装置2の装置識別情報および遠隔操作の権限種類などが関連付けられて記憶されている。
【0091】
更に、清掃エリアには、部外者への公開を制限する非公開対象が配置される場合があり、この場合、管理サーバ3は、非公開対象を識別する対象登録情報として、
図12に示すように、各非公開対象に固有の対象識別情報と、非公開対象を自律走行作業装置2や管理サーバ3に認識させるための非公開対象データとを関連付けてサーバ側記憶部41に登録している。非公開対象データは、例えば、非公開対象を撮像した画像や、非公開対象であることを周囲に提示する標識(例えば、二次元コードや文字、記号など)や、非公開対象の位置情報(例えば、非公開対象が配置される清掃エリアを識別するエリア識別情報や清掃エリアにおける非公開対象の位置情報)が設定される。非公開対象データの標識は、非公開対象それ自体に付されてもよく、その周囲の壁面や床面に付されていてもよい。
【0092】
なお、対象登録情報には、非公開対象の公開を制限する部外者として、利用者の個人登録情報に設定される所属や利用者種別、操作レベルをまとめて設定してよく、あるいは、個人識別情報を個別に設定してもよい。対象登録情報は、清掃エリアまたは非公開対象が登録される際に、予め登録されてよく、また、権限を有する管理者などにより操作端末4を用いた任意の操作に応じて登録・変更されてよい。あるいは、管理サーバ3は、各利用者が各非公開対象の公開を制限された部外者であるか否かを示す公開可否フラグを設定し、各利用者の個人識別情報と、各非公開対象の対象登録情報と、公開可否フラグとを関連付けて、各利用者に対して個別にサーバ側記憶部41に登録してもよい。
【0093】
また、清掃エリアには、権限者以外の者(非権限者)の進入を禁止する関係者出入口などの進入禁止領域が設けられる場合があり、この場合、管理サーバ3は、進入禁止領域を識別する領域登録情報として、
図13に示すように、各進入禁止領域に固有の領域識別情報と、進入禁止領域を自律走行作業装置2や管理サーバ3に認識させるための進入禁止領域データとを関連付けてサーバ側記憶部41に登録している。進入禁止領域データは、例えば、進入禁止領域であることを周囲に提示する標識(例えば、二次元コードや文字、記号など)や、進入禁止領域の位置情報(例えば、進入禁止領域が配置される清掃エリアを識別するエリア識別情報や清掃エリアにおける進入禁止領域の位置情報)が設定される。進入禁止領域データの標識は、進入禁止領域を仕切るドアや、その周囲の壁面や床面に付されていてよい。
【0094】
なお、領域登録情報には、進入禁止領域への進入を禁止されている者(非権限者)として、利用者の個人登録情報に設定される所属や利用者種別、操作レベルをまとめて設定してよく、あるいは、個人識別情報を個別に設定してもよい。領域識別情報は、清掃エリアまたは進入禁止領域が登録される際に、予め登録されてよく、また、権限を有する管理者などにより操作端末4を用いた任意の操作に応じて登録・変更されてよい。あるいは、管理サーバ3は、各利用者が進入禁止領域への進入を禁止されている非権限者であるか否かを示す進入可否フラグを設定し、各利用者の個人識別情報と、各進入禁止領域の領域登録情報と、進入可否フラグとを関連付けて、各利用者に対して個別にサーバ側記憶部41に登録してもよい。
【0095】
管理サーバ3は、利用者の個人識別情報(個人コード)やパスワードを操作端末4から受信して認証することで、当該操作端末4の管理サーバ3へのログインを許可する。例えば、管理サーバ3は、管理サーバ3にアクセスした操作端末4に対して、
図14に示すように、ログイン画面65を提示して、個人識別情報やパスワードを受け付ける。
【0096】
装置端末間紐付部45は、操作端末4によって自律走行作業装置2を遠隔操作可能にするために、自律走行作業装置2と操作端末4とを紐付けるものである。例えば、装置端末間紐付部45は、管理サーバ3にログインした操作端末4から、遠隔操作を所望する自律走行作業装置2の選択要求を受け付けて、当該自律走行作業装置2と当該操作端末4とを紐付ける。なお、装置端末間紐付部45は、1つの自律走行作業装置2に対して1つの操作端末4を紐付けできることは勿論、1つの自律走行作業装置2に対して2つ以上の操作端末4から選択要求があった場合には、1つの自律走行作業装置2に対して2つ以上の操作端末4を紐付けることもできる。
【0097】
装置端末間紐付部45は、操作端末4が管理サーバ3にログインしている間、当該操作端末4と、当該操作端末4に紐付けた自律走行作業装置2とを関連付けた紐付情報をサーバ側記憶部41に記憶しておく。装置端末間紐付部45は、操作端末4と自律走行作業装置2とを紐付けると、当該操作端末4に対して、選択要求に対する成功通知を送信する。また、装置端末間紐付部45は、操作端末4が管理サーバ3からログアウトしたとき、あるいは、自律走行作業装置2の選択要求を解除したとき、若しくは、他の自律走行作業装置2に選択要求したとき、当該操作端末4と自律走行作業装置2との紐付情報をサーバ側記憶部41から削除する。
【0098】
画面制御部46は、自律走行作業装置2において第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61を表示する遠隔操作画面70(
図15参照)を作成して、遠隔操作画面70を操作端末4に閲覧表示させるために提示する。遠隔操作画面70は、自律走行作業装置2の動作モードが学習モード、再現モードまたは手動モードの場合に、利用者が第1撮影データ60や第2撮影データ61を遠隔確認するための画面でもよく、動作モードが遠隔操作モードの場合に、利用者が第1撮影データ60や第2撮影データ61を確認しつつ自律走行作業装置2を遠隔操作するための画面でもよい。
【0099】
画面制御部46は、基本的には第1撮影データ60や第2撮影データ61の動画を遠隔操作画面70に表示するが、利用者により操作端末4を用いた任意の操作に応じて、第1撮影データ60や第2撮影データ61から切り出した静止画を表示してもよい。なお、画面制御部46は、管理サーバ3で管理されるウェブサイト上の画面として遠隔操作画面70を作成し、各操作端末4に対応する遠隔操作画面70を当該操作端末4のみにアクセス可能にするとよい。
【0100】
以下では、画面制御部46が遠隔操作モードの場合に自律走行作業装置2を遠隔操作するための遠隔操作画面70を作成する例について説明する。
【0101】
具体的には、画面制御部46は、各自律走行作業装置2に対して紐付けられている1以上の操作端末4のそれぞれに対して遠隔操作画面70を作成するために、当該1以上の操作端末4のそれぞれが管理サーバ3にログインしたときの利用者の個人登録情報をサーバ側記憶部41から読み出す。画面制御部46は、読み出した各個人登録情報の個人識別情報に対応する権限情報をサーバ側記憶部41から読み出し、各利用者の個人登録情報や権限情報に基づいて、各利用者に固有の遠隔操作画面70を作成し、当該利用者に対応する操作端末4に対して閲覧表示させる。
【0102】
画面制御部46は、操作端末4に表示させる遠隔操作画面70において、
図15に示すように、当該操作端末4でログインした利用者を示すログイン名71と、当該操作端末4に紐付けられた自律走行作業装置2を示す装置名72とを表示する。また、画面制御部46は、遠隔操作画面70において、撮影データを表示する画像表示欄73を各利用者の権限情報に基づいて表示し、また、各利用者の権限情報に示される遠隔操作の権限種類に対応する操作欄として、カメラ操作欄74や、走行操作欄75や、清掃操作欄76を表示する。
【0103】
カメラ操作欄74は、画像表示欄73に表示される撮影データを撮影する第1撮影部15や第2撮影部16の撮影操作を受け付けるものであり、第1撮影部15や第2撮影部16のズームを操作するズームボタン77および第1撮影部15や第2撮影部16の撮影方向を操作する撮影方向ボタン78が操作可能に表示される。走行操作欄75は、走行部11の走行操作を受け付けるものであり、走行部11の走行速度や、走行部11の前進、停止、右旋回または左旋回などの遠隔操作を可能にする。清掃操作欄76は、清掃部12の清掃作業操作を受け付けるものであり、清掃部12の清掃部材24の稼働/停止やパッド圧、清掃部12の洗浄液供給部25の稼働/停止や供給水量、清掃部12の吸引部26の稼働/停止や吸引量などの遠隔操作を可能にする。
【0104】
更に、画面制御部46は、画像表示欄73に表示する第1撮影データ60や第2撮影データ61に、部外者への公開を制限する非公開対象が撮影されている場合には、非公開対象を認識できないように、第1撮影データ60や第2撮影データ61を加工する。
【0105】
先ず、画面制御部46は、自律走行作業装置2が走行清掃を行う清掃エリアに対して設定された各非公開対象の対象登録情報をサーバ側記憶部41から読み出し、各対象登録情報に基づいて、第1撮影データ60や第2撮影データ61に非公開対象が撮影されているか否かを判定する。
【0106】
例えば、画面制御部46は、読み出した対象登録情報における非公開対象の画像の特徴点と、第1撮影データ60や第2撮影データ61の特徴点とを照合(マッチング)することで、第1撮影データ60や第2撮影データ61に非公開対象が撮影されているか否かを判定する。なお、非公開対象の標識が二次元コードの場合には、画面制御部46は、第1撮影データ60や第2撮影データ61から二次元コードを検出した場合に、当該二次元コードの読み取ることで、当該二次元コードの付された位置に第1撮影データ60や第2撮影データ61に非公開対象が撮影されているか否かを判定する。若しくは、非公開対象の標識が文字や記号の場合には、画面制御部46は、第1撮影データ60や第2撮影データ61から文字や記号を抽出した場合に、当該文字または当該記号を文字認識処理することで、当該文字または当該記号の付された位置に第1撮影データ60や第2撮影データ61に非公開対象が撮影されているか否かを判定する。
【0107】
あるいは、画面制御部46は、自律走行作業装置2から取得した環境地図と計測部13の計測結果とに基づいて自律走行作業装置2の位置情報を取得すると共に、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影方向を取得する。画面制御部46は、自律走行作業装置2の位置情報と、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影方向とに基づいて、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影範囲の位置情報を取得する。そして、画面制御部46は、読み出した対象登録情報における非公開対象の位置情報が、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影範囲に含まれているか否かを判定することで、第1撮影データ60や第2撮影データ61に非公開対象が撮影されているか否かを判定する。
【0108】
また、画面制御部46は、第1撮影データ60や第2撮影データ61に非公開対象が撮影されていると判定したとき、当該第1撮影データ60または当該第2撮影データ61を撮影した一の自律走行作業装置2と一の利用者の操作端末4とが紐付けられている場合には、一の利用者の個人登録情報(所属や利用者種別、操作レベル)と、当該非公開対象の対象登録情報とに基づいて、当該非公開対象が一の利用者を部外者として公開を制限されるものであるか否かを判定する。そして、画面制御部46は、非公開対象が一の利用者を部外者として公開を制限されると判定した場合には、当該非公開対象を認識できないように、第1撮影データ60や第2撮影データ61を加工する。
【0109】
例えば、画面制御部46は、ビジュアルSLAMなどを利用して第1撮影データ60や第2撮影データ61の座標系を取得する。画面制御部46は、環境地図の特徴点と第1撮影データ60または第2撮影データ61の特徴点とを取得し、それぞれを照合(マッチング)して関連付けることで、環境地図と第1撮影データ60または第2撮影データ61との各座標を対応付ける。画面制御部46は、このような対応付けに基づいて、環境地図における非公開対象の、第1撮影データ60または第2撮影データ61における位置情報を把握する。そして、画面制御部46は、第1撮影データ60または第2撮影データ61における非公開対象の位置にぼかし加工やモザイク加工などの処理を行うことで、非公開対象の公開を制限する。
【0110】
遠隔操作命令部47は、遠隔操作をサーバ側通信部42によって操作端末4から受信すると、当該遠隔操作に対応する遠隔操作命令を生成して、サーバ側通信部42によって自律走行作業装置2へと送信する。遠隔操作命令部47は、例えば、自律走行作業装置2からエラー通知を受信したときに、遠隔操作依頼をサーバ側通信部42によって操作端末4へと送信して、当該遠隔操作依頼に応じて操作端末4から送信された遠隔操作を受信する。あるいは、遠隔操作命令部47は、操作端末4に備わる遠隔操作開始ボタン(図示せず)の操作に応じて、自律走行作業装置2の動作モードが遠隔操作モードに切り替わっているときに、操作端末4から送信された遠隔操作を受信する。
【0111】
例えば、遠隔操作命令部47は、未知の障害物を検出した自律走行作業装置2から、障害物に起因する走行不能を示すエラー通知を受信すると、遠隔操作依頼をサーバ側通信部42によって操作端末4へと送信する。また、遠隔操作命令部47は、遠隔操作をサーバ側通信部42によって操作端末4から受信すると、当該遠隔操作に対応する遠隔操作命令を生成する。具体的には、自律走行作業装置2において第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60と計測部13が計測した計測データとに基づいて、自律走行作業装置2の進行方向に障害物を検出した場合であって、遠隔操作が当該障害物の回避指示である場合には、遠隔操作命令部47は、当該障害物を回避して走行することを指示する遠隔操作命令を生成する。
【0112】
また、遠隔操作が前進、停止、右旋回または左旋回などの走行指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該走行指示の遠隔操作命令を生成し、遠隔操作が走行部11の走行速度などの走行設定指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該走行設定指示の遠隔操作命令を生成する。遠隔操作が清掃部12の清掃作業の実行/停止などの作業指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該作業指示の遠隔操作命令を生成し、遠隔操作が清掃部材24の清掃の稼働/停止およびパッド圧、洗浄液供給部25の洗浄液供給の稼働/停止および供給水量、吸引部26の吸引の稼働/停止および吸引量などの個別設定指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該個別設定指示の遠隔操作命令を生成する。
【0113】
遠隔操作が第1撮影部15や第2撮影部16の撮影操作指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該撮影操作指示の遠隔操作命令を生成する。例えば、遠隔操作命令部47は、第1撮影部15や第2撮影部16に関して撮影方向の操作やズームインまたはズームアウトの操作を示す撮影操作指示を受け付けて遠隔操作命令を生成する。なお、遠隔操作命令部47は、各利用者の画像閲覧設定に基づいて遠隔操作画面70の画像表示欄73に第1撮影データ60のみまたは第2撮影データ61のみを単一表示している場合に限り、撮影操作指示を受け付けて遠隔操作命令を生成するとよい。
【0114】
また、遠隔操作命令部47は、上記した遠隔操作に限定されず、自律走行作業装置2の各部に対する様々な遠隔操作を受け付けて、各部を制御するための遠隔操作命令を生成してよい。
【0115】
また、遠隔操作命令部47は、自律走行作業装置2が遠隔操作走行を終了した際に、遠隔操作走行の終了通知をサーバ側通信部42によって自律走行作業装置2から受信すると、遠隔操作走行の終了通知をサーバ側通信部42によって操作端末4へと送信する。
【0116】
エラー制御部48は、自律走行作業装置2の走行清掃において発生するエラーを管理サーバ3側で制御するものである。
【0117】
例えば、エラー制御部48は、遠隔操作画面70の画像表示欄73に表示する第1撮影データ60や第2撮影データ61に、権限者以外の者(非権限者)の進入を禁止する関係者出入口などの進入禁止領域が撮影されている場合には、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生する。走行停止エラーを発生する場合、エラー制御部48は、自律走行作業装置2へと強制停止命令を送信し、また、画面制御部46によって遠隔操作画面70を遠隔操作不能にする。
【0118】
先ず、エラー制御部48は、自律走行作業装置2が走行清掃を行う清掃エリアに対して設定された進入禁止領域の領域登録情報をサーバ側記憶部41から読み出し、各領域登録情報に基づいて、第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されているか否かを判定する。例えば、エラー制御部48は、読み出した領域登録情報における進入禁止領域の画像や標識の特徴点と、第1撮影データ60や第2撮影データ61の特徴点とを照合(マッチング)することで、第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されているか否かを判定する。
【0119】
なお、進入禁止領域の標識が二次元コードの場合には、エラー制御部48は、第1撮影データ60や第2撮影データ61から二次元コードを検出した場合に、当該二次元コードの読み取ることで、当該二次元コードの付された位置に第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されているか否かを判定する。若しくは、進入禁止領域の標識が文字や記号の場合には、エラー制御部48は、第1撮影データ60や第2撮影データ61から文字や記号を抽出した場合に、当該文字または当該記号を文字認識処理することで、当該文字または当該記号の付された位置に第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されているか否かを判定する。
【0120】
あるいは、エラー制御部48は、自律走行作業装置2から取得した環境地図と計測部13の計測結果とに基づいて自律走行作業装置2の位置情報を取得すると共に、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影方向を取得する。エラー制御部48は、自律走行作業装置2の位置情報と、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影方向とに基づいて、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影範囲の位置情報を取得する。そして、エラー制御部48は、読み出した領域登録情報における進入禁止領域の位置情報が、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影範囲に含まれているか否かを判定することで、第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されているか否かを判定する。
【0121】
また、エラー制御部48は、第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されていると判定したとき、当該第1撮影データ60または当該第2撮影データ61を撮影した一の自律走行作業装置2と一の利用者の操作端末4とが紐付けられている場合には、一の利用者の個人登録情報(所属や利用者種別、操作レベル)と、当該進入禁止領域の領域登録情報とに基づいて、一の利用者が当該進入禁止領域への進入を禁止されている非権限者であるか否かを判定する。そして、エラー制御部48は、一の利用者が非権限者であると判定した場合には、一の自律走行作業装置2が走行清掃を行っている清掃エリアの責任者情報をサーバ側記憶部41から読み出し、当該責任者情報に基づいて、当該清掃エリアの施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしているか否かを判定する。
【0122】
ここで、第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されていて、清掃エリアの施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしていないと判定した場合には、エラー制御部48は、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生する。なお、エラー制御部48は、第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されていると判定した場合に加えて、上記した様々な判定手法によって、自律走行作業装置2が進入禁止領域から所定距離内に接近したと判断できる場合を条件として、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生してもよい。また、エラー制御部48は、清掃エリアの施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしていない場合ではなく、更に、当該施設責任者の操作端末4が一の自律走行作業装置2に紐付けられていない場合を条件として、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生してもよい。
【0123】
一方、清掃エリアの施設責任者が管理サーバ3にログインしていると判定した場合には、エラー制御部48は、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生しなくてよい。このとき、エラー制御部48は、当該施設責任者の操作端末4に対して、一の利用者の操作端末4に紐付けられた一の自律走行作業装置2が進入禁止領域に接近していることを通知してもよい。また、エラー制御部48は、当該施設責任者の操作端末4に対して、一の利用者の操作端末4に紐付けられた一の自律走行作業装置2の進入禁止領域への進入を許可するか否かを問い合わせてもよく、例えば、画面制御部46によってその問い合わせ画面(図示せず)を当該施設責任者の操作端末4に操作可能に表示させる。ここで、当該施設責任者の操作端末4が進入禁止領域への進入を許可した場合には、エラー制御部48は、一の自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生しなくてよいが、当該施設責任者の操作端末4が進入禁止領域への進入を許可しない場合には、エラー制御部48は、一の自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生するとよい。
【0124】
自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生するとき、エラー制御部48は、当該自律走行作業装置2を強制的に停止させるために、当該自律走行作業装置2へと強制停止命令を送信する。なお、エラー制御部48は、当該自律走行作業装置2に対して、走行停止エラーの発生を通知してもよい。また、エラー制御部48は、画面制御部46によって、当該自律走行作業装置2を遠隔操作するための各操作端末4の遠隔操作画面70を遠隔操作不能にすると共に、当該操作端末4に対して、走行停止エラーの発生を通知する。このとき、画面制御部46は、遠隔操作画面70の走行操作欄75や清掃操作欄76を非表示に、または操作不能に表示する。なお、画面制御部46は、遠隔操作画面70のカメラ操作欄74については、操作可能にしてもよい。
【0125】
更に、エラー制御部48は、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生した後で、清掃エリアの施設責任者が管理サーバ3にログインしていると判定した場合には、自律走行作業装置2の走行停止エラーを解除する。このとき、エラー制御部48は、自律走行作業装置2の強制的な停止を解除するために、自律走行作業装置2へと停止解除命令を送信する。なお、エラー制御部48は、自律走行作業装置2に対して、走行停止エラーの解除を通知してもよい。また、エラー制御部48は、画面制御部46によって、遠隔操作不能にした操作端末4の遠隔操作画面70を遠隔操作可能にすると共に、当該操作端末4に対して、走行停止エラーの解除を通知する。このとき、画面制御部46は、遠隔操作画面70の走行操作欄75や清掃操作欄76を操作可能に表示する。これにより、施設責任者がログインしている場合には、進入禁止領域であっても、自律走行作業装置2を遠隔操作により走行させて進入させることができる。なお、進入禁止領域は、自律走行作業装置2の走行によって押して開放できるスイングドアやカーテンなどで仕切られている場合がある。これに対して、施設責任者がログインしている場合には、進入禁止領域に対する進入時および退出時や、進入禁止領域での走行中において、バンパーセンサなどの障害物検知部14による検知結果に基づく走行停止機能をオフにすることで、進入禁止領域での走行を可能にする。
【0126】
更に、エラー制御部48は、自律走行作業装置2が走行清掃(走行作業)を禁止する清掃停止エラー(作業停止エラー)を発生したときに、自律走行作業装置2から清掃停止エラーの通知を受信する。エラー制御部48は、清掃停止エラーの通知に応じて、画面制御部46によって、当該自律走行作業装置2を遠隔操作するための各操作端末4の遠隔操作画面70を遠隔操作不能にすると共に、当該操作端末4に対して、清掃停止エラーの発生を通知する。このとき、画面制御部46は、遠隔操作画面70の走行操作欄75や清掃操作欄76を非表示に、または操作不能に表示する。なお、画面制御部46は、遠隔操作画面70のカメラ操作欄74については、操作可能にしてもよい。
【0127】
また、エラー制御部48は、清掃停止エラーの発生を操作端末4に通知する際に、画面制御部46によって、清掃停止エラーの発生を示すメッセージと、清掃停止エラーの解除操作を受け付ける操作ボタンとを有する解除操作画面(図示せず)を操作端末4にポップアップ表示させるとよい。エラー制御部48は、解除操作画面で清掃停止エラーの解除操作が行われると、エラー解除命令を自律走行作業装置2へと送信して、自律走行作業装置2に清掃停止エラーを解除させる。
【0128】
次に、操作端末4について説明する。操作端末4は、自律走行作業装置2を利用する操作者や管理者、警備員などの利用者の保有するパーソナルコンピュータやタブレット端末などで構成される。操作端末4は、
図5に示すように、端末側制御部50と、端末側記憶部51と、端末側通信部52と、タッチパネルなどで構成される表示部53とを備える。
【0129】
端末側制御部50は、操作端末4の各部および各種機能を統括制御するものであり、CPUなどのコンピュータで構成され、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含む端末側記憶部51、端末側通信部52および表示部53に接続されている。
【0130】
また、端末側制御部50は、端末側通信部52を介して外部機器と通信可能に接続される。端末側通信部52は、自律走行作業装置2や管理サーバ3などの外部機器と、Wi-Fiや無線LANなどの通信規格によって無線通信を行う。端末側通信部52は、例えば、遠隔操作を所望する自律走行作業装置2との紐付けを行うために、当該自律走行作業装置2の選択指示を管理サーバ3へと送信する。端末側通信部52は、管理サーバ3で管理されるウェブサイトにアクセスして、操作端末4に紐付けされた自律走行作業装置2を操作するための遠隔操作画面70を取得し、また、当該遠隔操作画面70を用いた遠隔操作を管理サーバ3へと送信する。
【0131】
端末側記憶部51は、操作端末4の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、端末側制御部50が、端末側記憶部51に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各部および各種機能を統括制御する。例えば、端末側制御部50は、端末側記憶部51に記憶されたプログラムを実行することにより、ログイン処理部55、装置選択部56、表示制御部57、操作入力部58として動作する。
【0132】
ログイン処理部55は、操作者や管理者による操作端末4を用いた管理サーバ3へのログイン処理を受け付けるものである。ログイン処理部55は、
図14に示すように、ログイン処理を行うためのログイン画面65を表示部53に表示し、ログイン画面65において、操作者や管理者などの各利用者の個人識別情報(個人コード)やパスワードの入力を受け付ける。ログイン画面65は管理サーバ3で管理されるウェブサイト上の画面で構成されていてよい。個人識別情報やパスワードは、管理サーバ3において管理されている。ログイン処理部55は、入力された個人識別情報やパスワードを含むログイン要求を、端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。
【0133】
管理サーバ3がログイン要求に基づいて個人識別情報およびパスワードを認証してログイン成功を操作端末4へと送信すると、装置選択部56は、ログイン成功に応じて、遠隔操作を所望する自律走行作業装置2を選択するための装置選択画面(図示せず)を表示部53に表示し、装置選択画面において、自律走行作業装置2の選択を受け付ける。装置選択画面は管理サーバ3で管理されるウェブサイト上の画面で構成されていてよい。装置選択部56は、選択された自律走行作業装置2の選択指示を、端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。これにより、管理サーバ3によって、自律走行作業装置2と操作端末4とが紐付けされる。
【0134】
表示制御部57は、操作端末4が管理サーバ3にログインして自律走行作業装置2を選択したとき、また、操作端末4と紐付けされた自律走行作業装置2が自動走行清掃を行うときに、
図15に示すように、自律走行作業装置2を遠隔操作するための遠隔操作画面70を、端末側通信部52によって取得して表示部53に表示する。遠隔操作画面70には、上記したように、操作端末4が選択した自律走行作業装置2の第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61が表示される。
【0135】
また、表示制御部57は、自律走行作業装置2が未知の障害物を検出した際に、管理サーバ3からの遠隔操作依頼を端末側通信部52によって受信すると、遠隔操作画面70において、自律走行作業装置2の遠隔操作の推奨通知を表示する。更に、表示制御部57は、自律走行作業装置2が遠隔操作走行を終了した際に、遠隔操作走行の終了通知を端末側通信部52によって管理サーバ3から受信すると、遠隔操作画面70において、遠隔操作走行の終了通知を表示する。
【0136】
操作入力部58は、遠隔操作画面70などの各種画面での入力操作を受け付けるもので、遠隔操作画面70を用いて入力された遠隔操作を端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。例えば、自動走行清掃を行っている自律走行作業装置2が走行不能や作業不能のエラーを検出してエラー通知を送信し、管理サーバ3が遠隔操作依頼を操作端末4へと送信した場合に、操作入力部58は、遠隔操作画面70において、エラーを回避するための遠隔操作を受け付け可能にする。
【0137】
操作入力部58が遠隔操作画面70で受け付ける遠隔操作は、遠隔操作画面70の走行操作欄75や清掃操作欄76での走行部11や清掃部12の操作でよく、これにより、操作入力部58は、未知の障害物の回避操作や清掃の再実行操作などの遠隔操作を受け付ける。また、遠隔操作は、遠隔操作画面70のカメラ操作欄74での第1撮影部15や第2撮影部16の操作でよく、これにより、操作入力部58は、ズームや撮影方向などを制御する遠隔操作を受け付ける。
【0138】
次に、第1の実施形態の走行作業情報処理システム1において自律走行作業装置2の遠隔操作画面70を操作端末4に表示する動作例を、
図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0139】
先ず、走行作業情報処理システム1では、清掃エリアの自動走行清掃を行うために、自律走行作業装置2を清掃エリアの清掃開始位置(スタート位置)に配置する(ステップS1)。
【0140】
操作端末4は、自律走行作業装置2を操作する操作者によって操作されて、管理サーバ3にアクセスしてログイン画面65を表示する(ステップS2)。また、操作端末4では、ログイン画面65において個人識別情報やパスワードを入力してログイン処理を行うと(ステップS3)、入力されたログイン情報が管理サーバ3へと送信され、管理サーバ3は、個人識別情報やパスワードを認証することで、操作端末4のログインを受け付ける(ステップS4)。
【0141】
操作端末4は、管理サーバ3へのログインに成功すると、管理サーバ3にアクセスして装置選択画面(図示せず)を表示する。このとき、管理サーバ3は、ログイン成功に応じて、ログイン画面65から装置選択画面へと切り替えて操作端末4に提示する(閲覧表示させる)。また、操作端末4では、装置選択画面において自律走行作業装置2を選択すると(ステップS5)、自律走行作業装置2の選択要求が管理サーバ3へと送信され、管理サーバ3は、当該操作端末4と、当該自律走行作業装置2とを紐付けて管理する(ステップS6)。
【0142】
操作端末4は、選択要求に対する成功通知を管理サーバ3から受信すると、自律走行作業装置2を遠隔操作するために、遠隔操作画面70に関する画面要求を管理サーバ3へと送信する(ステップS7)。管理サーバ3は、このような画面要求に応じて、遠隔操作画面70の作成に要する撮影データなどの各種データに関するデータ要求を、操作端末4に紐付けられた自律走行作業装置2へと送信する(ステップS8)。
【0143】
自律走行作業装置2は、このようなデータ要求に応じて、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61などの各種データを取得して、管理サーバ3へと送信する(ステップS9)。管理サーバ3は、自律走行作業装置2から受信した第1撮影データ60や第2撮影データ61などの各種データに基づいて、遠隔操作画面70を作成し(ステップS10)、当該利用者に対応する操作端末4からアクセスできるようにする。
【0144】
このとき、管理サーバ3は、画面要求への応答として、装置選択画面から遠隔操作画面70へと切り替えて操作端末4に提示する(閲覧表示させる)(ステップS11)。なお、管理サーバ3は、操作端末4が自律走行作業装置2を選択している間、当該自律走行作業装置2の遠隔操作画面70を当該操作端末4に提示するようにしてよい。
【0145】
次に、走行作業情報処理システム1における自律走行作業装置2の自動走行清掃の動作例を、
図17~
図19のフローチャートを参照しながら説明する。
図17は、自律走行作業装置2の動作を示し、
図18は、管理サーバ3の動作を示し、
図19は、操作端末4の動作を示す。
【0146】
先ず、自律走行作業装置2は、自動走行清掃を開始すると(
図17のステップS21)、自動走行清掃を実行している間、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61などの各種データを取得して、管理サーバ3へと送信する(
図17のステップS22)。
【0147】
このとき、動作例では
図18(a)のステップAに移行し、管理サーバ3は、自律走行作業装置2から第1撮影データ60や第2撮影データ61を受信すると(
図18(a)のステップS31)、第1撮影データ60や第2撮影データ61に基づいて、各操作端末4に対応する遠隔操作画面70を作成する(
図18(a)のステップS32)。管理サーバ3は、作成した遠隔操作画面70を、対応する操作端末4に対してアクセス可能にして閲覧表示させる(
図18(a)のステップS33)。
【0148】
このとき、動作例では
図19のステップBに移行し、操作端末4は、管理サーバ3にアクセスして遠隔操作画面70を閲覧表示する(
図19のステップS41)。これにより、自律走行作業装置2が自動走行清掃を実行している間、操作端末4では、遠隔操作画面70によって、自律走行作業装置2の走行状況を撮影した第1撮影データ60や自律走行作業装置2の清掃作業状況を撮影した第2撮影データ61を確認することができる。
【0149】
ところで、自律走行作業装置2は、自動走行清掃の実行中に、走行不能や作業不能となるエラー(例えば、環境地図に存在しない未知の障害物)を検出しなければ(
図17のステップS23:No)、自動走行清掃を継続し、自動走行清掃を終了すると(
図17のステップS24:Yes)、走行作業情報処理システム1の動作を終了する。一方、自律走行作業装置2は、自動走行清掃の実行中に、走行不能や作業不能となるエラーを検出した場合(
図17のステップS23:Yes)、エラー通知を管理サーバ3へと送信し(
図17のステップS25)、自動走行清掃を停止して待機する(
図17のステップS26)。
【0150】
このとき、動作例では
図18(b)のステップCに移行し、管理サーバ3は、自律走行作業装置2からエラー通知を受信すると(
図18(b)のステップS34)、遠隔操作依頼を操作端末4へと送信する(
図18(b)のステップS35)。
【0151】
また、動作例では
図19のステップDに移行し、操作端末4は、管理サーバ3から遠隔操作依頼を受信すると(
図19のステップS42)、自律走行作業装置2の遠隔操作の推奨通知を表示する(
図19のステップS43)。
【0152】
操作端末4では、遠隔操作画面70において、遠隔操作の推奨通知に対して許可応答が行われて(
図19のステップS44)、例えば、自律走行作業装置2のエラーを回避するような遠隔操作が行われると、遠隔操作を管理サーバ3へと送信する(
図19のステップS45)。
【0153】
このとき、動作例では
図18(c)のステップEに移行し、管理サーバ3は、操作端末4から遠隔操作を受信すると(
図18(c)のステップS36)、当該遠隔操作に対応する遠隔操作命令を自律走行作業装置2へと送信する(
図18(c)のステップS37)。
【0154】
また、動作例では
図17のステップFに移行し、自律走行作業装置2は、自動走行清掃を停止して待機しているところ、管理サーバ3から遠隔操作命令を受信すると(
図17のステップS27:Yes)、遠隔操作に従ってエラーを回避するように動作し、例えば、障害物を回避して走行する(
図17のステップS28)。
【0155】
操作端末4による遠隔操作を終了すると、自律走行作業装置2は、遠隔操作走行を終了することになる。その後、操作端末4は、自動走行清掃を再開する再開操作が行われると、再開命令を管理サーバ3へと送信し、また、管理サーバ3は、このような再開命令を更に自律走行作業装置2へと送信する。自律走行作業装置2は、再開命令に応じて自動走行清掃を再開して、動作例では
図17のステップS22に移行する。
【0156】
次に、走行作業情報処理システム1の管理サーバ3において、非公開対象に対して撮影データを加工する動作例を、
図20のフローチャートを参照しながら説明する。この動作例では、自律走行作業装置2が第1撮影データ60や第2撮影データ61などの各種データを管理サーバ3へと送信した後(
図17のステップS22)、
図18(a)のフローに代えて、
図20のフローへと移行する。
【0157】
このとき、動作例では
図20のステップAに移行し、管理サーバ3は、自律走行作業装置2から第1撮影データ60や第2撮影データ61を受信する(
図20のステップS51)。管理サーバ3は、自律走行作業装置2が走行清掃を行う清掃エリアに対して設定された各非公開対象の対象登録情報に基づいて、第1撮影データ60や第2撮影データ61に非公開対象が撮影されているか否かを判定する(
図20のステップS52)。
【0158】
非公開対象が撮影されていない場合には(
図20のステップS52:No)、管理サーバ3は、第1撮影データ60や第2撮影データ61を加工することなく、操作端末4に対応する遠隔操作画面70を作成する(
図20のステップS55)。一方、非公開対象が撮影されている場合には(
図20のステップS52:YES)、管理サーバ3は、操作端末4の利用者の個人登録情報と非公開対象の対象登録情報とに基づいて、当該非公開対象が当該利用者に対して公開を制限されるものであるか否かを判定する(
図20のステップS53)。
【0159】
非公開対象が利用者に対して公開を制限されていない場合には(
図20のステップS53:No)、管理サーバ3は、第1撮影データ60や第2撮影データ61を加工することなく、操作端末4に対応する遠隔操作画面70を作成する(
図20のステップS55)。一方、非公開対象が利用者に対して公開を制限されている場合には(
図20のステップS53:Yes)、管理サーバ3は、非公開対象の公開を制限するように第1撮影データ60や第2撮影データ61を加工し(
図20のステップS54)、加工した第1撮影データ60や第2撮影データ61に基づいて、操作端末4に対応する遠隔操作画面70を作成する(
図20のステップS55)。
【0160】
そして、管理サーバ3は、作成した遠隔操作画面70を、操作端末4に対してアクセス可能にして閲覧表示させる(
図20のステップS56)。その後、動作例では
図19のステップBに移行して、上記と同様の動作を行うことになる。
【0161】
次に、走行作業情報処理システム1において進入禁止領域を検出した場合に走行清掃を強制停止する動作例を、
図21および
図22のフローチャートを参照しながら説明する。
図21は、自律走行作業装置2の動作を示し、
図22は、管理サーバ3の動作を示す。自律走行作業装置2に関して、
図21のステップS61~S62の動作は、
図17のステップS21~S22と同様であるので、その説明を省略する。自律走行作業装置2が第1撮影データ60や第2撮影データ61などの各種データを管理サーバ3へと送信した後(
図21のステップS62)、
図18(a)のフローに代えて、
図22のフローへと移行する。
【0162】
このとき、動作例では
図22のステップAに移行し、管理サーバ3は、自律走行作業装置2から第1撮影データ60や第2撮影データ61を受信する(
図22のステップS81)。管理サーバ3は、自律走行作業装置2が走行清掃を行う清掃エリアに対して設定された進入禁止領域の領域登録情報に基づいて、第1撮影データ60や第2撮影データ61に進入禁止領域が撮影されているか否かを判定する(
図22のステップS82)。
【0163】
進入禁止領域が撮影されていない場合には(
図22のステップS82:No)、強制停止することなく走行清掃を継続できるので、管理サーバ3は、第1撮影データ60や第2撮影データ61に基づいて、操作端末4に対応する遠隔操作画面70を作成する(
図22のステップS83)。一方、進入禁止領域が撮影されている場合には(
図22のステップS82:Yes)、管理サーバ3は、操作端末4の利用者の個人登録情報と進入禁止領域の領域登録情報とに基づいて、当該利用者が当該進入禁止領域への進入を禁止されている非権限者であるか否かを判定する(
図22のステップS84)。
【0164】
利用者が非権限者でない場合には(
図22のステップS84:No)、強制停止することなく走行清掃を継続できるので、管理サーバ3は、第1撮影データ60や第2撮影データ61に基づいて、操作端末4に対応する遠隔操作画面70を作成する(
図22のステップS83)。一方、利用者が非権限者である場合には(
図22のステップS84:Yes)、管理サーバ3は、自律走行作業装置2が走行清掃を行っている清掃エリアの責任者情報に基づいて、当該清掃エリアの施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしているか否かを判定する(
図22のステップS85)。
【0165】
施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしている場合には(
図22のステップS85:Yes)、施設責任者が自律走行作業装置2の走行清掃を監視できるため、強制停止することなく走行清掃を継続できるので、管理サーバ3は、第1撮影データ60や第2撮影データ61に基づいて、操作端末4に対応する遠隔操作画面70を作成する(
図22のステップS83)。一方、施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしていない場合には(
図22のステップS85:No)、施設責任者が自律走行作業装置2の走行清掃を監視できないため、管理サーバ3は、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生して(
図22のステップS86)、自律走行作業装置2へと強制停止命令を送信し(
図22のステップS87)、また、操作端末4に対応する遠隔操作画面70を遠隔操作不能に作成する(
図22のステップS88)。
【0166】
そして、管理サーバ3は、作成した遠隔操作画面70を、操作端末4に対してアクセス可能にして閲覧表示させる(
図22のステップS89)。その後、動作例では
図19のステップBに移行して、上記と同様の動作を行うことになる。
【0167】
また、動作例では、管理サーバ3が自律走行作業装置2へと強制停止命令を送信することで(
図22のステップS87)、
図21のステップS68に移行する。
【0168】
自律走行作業装置2は、自動走行清掃の実行中に、走行不能や作業不能となるエラーを検出した場合に関して、
図21のステップS63:Yes、S64~S62の動作は、
図17のステップS23:Yes、S25~S28と同様であるので、その説明を省略する。
【0169】
また、自律走行作業装置2は、エラーを検出していない場合であって(
図21のステップS63:No)、管理サーバ3から強制停止命令を受信していない場合には(
図21のステップS68:No)、自動走行清掃を継続し、自動走行清掃を終了すると(
図21のステップS69:Yes)、走行作業情報処理システム1の動作を終了する。
【0170】
一方、自律走行作業装置2は、エラーを検出していない場合であって(
図21のステップS63:No)、管理サーバ3から強制停止命令を受信した場合には(
図21のステップS68:Yes)、走行清掃を強制的に停止するように、走行部11や清掃部12を制御する(
図21のステップS70)、また、操作端末4からの遠隔操作に基づく管理サーバ3からの遠隔操作命令を受け付けないようにする(
図21のステップS71)。その後、強制停止が解除されると(
図21のステップS72:Yes)、自動走行清掃を再開し、自動走行清掃を終了すると(
図21のステップS69:Yes)、走行作業情報処理システム1の動作を終了する。
【0171】
次に、走行作業情報処理システム1において、自律走行作業装置2が走行清掃を強制停止しているときに、管理サーバ3が走行清掃の強制停止を解除する動作例を、
図23のフローチャートを参照しながら説明する。この動作例では、自律走行作業装置2は、走行清掃を強制停止している間も、第1撮影データ60や第2撮影データ61などの各種データを管理サーバ3へと送信しているものとする。
【0172】
先ず、管理サーバ3は、ステップBの自律走行作業装置2から第1撮影データ60や第2撮影データ61を受信する(
図23のステップS91)。管理サーバ3は、自律走行作業装置2が走行清掃を行っている清掃エリアの責任者情報に基づいて、当該清掃エリアの施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしているか否かを判定する(
図23のステップS92)。
【0173】
施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしていない場合には(
図23のステップS92:No)、施設責任者が自律走行作業装置2の走行清掃を監視できないため、管理サーバ3は、自律走行作業装置2の走行停止エラーを維持して、第1撮影データ60や第2撮影データ61に基づいて、操作端末4に対して遠隔操作不能な遠隔操作画面70を作成する(
図23のステップS93)。一方、施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしている場合には(
図23のステップS92:Yes)、施設責任者が自律走行作業装置2の走行清掃を監視できるため、管理サーバ3は、自律走行作業装置2の走行停止エラーを解除して(
図23のステップS94)、自律走行作業装置2へと停止解除命令を送信し(
図23のステップS95)、また、操作端末4に対して遠隔操作可能な遠隔操作画面70を作成する(
図23のステップS96)。なお、自律走行作業装置2では、停止解除命令に応じて、
図21のステップS72において、強制停止が解除されたと判定されることになる。
【0174】
そして、管理サーバ3は、作成した遠隔操作画面70を、操作端末4に対してアクセス可能にして閲覧表示させる(
図23のステップS97)。管理サーバ3は、走行停止エラーを維持している間は、上記のステップS91~S97を繰り返す。
【0175】
上記のように、第1の実施形態によれば、走行作業情報処理システム1は、自律的に走行し自動で(清掃)作業する自動走行清掃(自動走行作業)を実行可能な自律走行作業装置2と、複数の利用者がそれぞれ自律走行作業装置2を操作するための複数の操作端末4と、自律走行作業装置2を管理するための管理サーバ3とを備える。各操作端末4は、管理サーバ3にログインする際に、遠隔操作する自律走行作業装置2を選択するための選択要求を管理サーバ3へと送信する。管理サーバ3は、複数の利用者が自律走行作業装置2を遠隔操作する権限をそれぞれ示す複数の権限情報を予め記憶している。ログインした各操作端末4から自律走行作業装置2の選択要求を受け付けて当該操作端末4と当該自律走行作業装置2とを関連付けると、当該操作端末4に対応する利用者の権限情報に基づいて、当該自律走行作業装置2の遠隔操作を行うための遠隔操作画面70を作成して、当該操作端末4に対して閲覧可能に提示する。
【0176】
このような構成により、走行作業情報処理システム1では、自律走行作業装置2の遠隔操作を行う際、各利用者の権限情報に応じて操作内容が制限された遠隔操作画面70を各利用者の操作端末4に表示することにより、1台の自律走行作業装置2に対して、様々な利害関係をそれぞれ有する各利用者が同時に遠隔操作を行う場合でも、自律走行作業装置2に対する遠隔操作を適切に管理することができ、利便性を向上することができる。このように、本発明によれば、複数の利用者が1台の自律走行作業装置2に対して適切に遠隔操作を実行可能にすることができる。
【0177】
また、第1の実施形態では、走行作業情報処理システム1では、自律走行作業装置2は、第1撮影部15や第2撮影部16などの撮影部を備えていて、撮影部で撮影した第1撮影データ60や第2撮影データ61などの撮影データを管理サーバ3へと送信する。管理サーバ3は、ログインした各操作端末4に対応する利用者が部外者であるか否かを当該利用者の権限情報に基づいて判定し、また、部外者に対する非公開対象が撮影データに撮影されているか否かを判定する。また、管理サーバ3は、利用者が部外者であって、且つ、非公開対象が撮影データに撮影されている場合には、非公開対象を認識できないように撮影データを加工して、当該利用者に対応する操作端末4に固有の遠隔操作画面70に表示する。
【0178】
このような構成により、走行作業情報処理システム1では、清掃エリアに存在するものが部外者への公開を制限する非公開対象である場合には、利用者の権限情報や個人登録情報に応じて、撮影データを加工して非公開対象を非公開にすることにより、清掃エリアでの機密情報を適切に管理することができ、利便性を向上することができる。
【0179】
また、第1の実施形態では、走行作業情報処理システム1では、自律走行作業装置2は、第1撮影部15や第2撮影部16などの撮影部を備えていて、撮影部で撮影した第1撮影データ60や第2撮影データ61などの撮影データを管理サーバ3へと送信する。管理サーバ3は、ログインした各操作端末4に対応する利用者が施設責任者であるか否かを判定し、また、進入禁止領域が撮影データに撮影されているか否かを判定する。自律走行作業装置2の遠隔操作を行う一の操作端末4に対応する利用者が進入禁止領域への進入を禁止されている権限情報に対応する者(非権限者)であって、且つ、進入禁止領域が撮影データに撮影されている場合には、管理サーバ3は、施設責任者に対応する他の操作端末4がログインしているか否かを判定する。施設責任者に対応する他の操作端末4がログインしていない場合には、管理サーバ3は、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生して、自律走行作業装置2へと強制停止命令を送信し、また、一の操作端末4に固有の遠隔操作画面70を遠隔操作不能にする。自律走行作業装置2は、強制停止命令に応じて走行作業を強制的に停止して遠隔操作を受け付け不能にする。
【0180】
このような構成により、走行作業情報処理システム1では、遠隔操作される自律走行作業装置2が、権限者以外の者の進入を禁止する進入禁止領域への進入が予測される場合は、進入禁止領域への進入の許諾権限を有する施設責任者の操作端末4がログインしているかどうかを確認し、ログインしていなければ自律走行作業装置2を強制停止する。これにより、進入禁止領域への不要、不測の進入を抑制することができ、進入禁止領域からの機密情報漏洩を防止し、セキュリティが向上することができ、利便性を向上することができる。
【0181】
また、第1の実施形態では、走行作業情報処理システム1では、管理サーバ3は、自律走行作業装置2の走行停止エラーを発生した後、施設責任者に対応する他の操作端末4のログインを検出した場合には、走行停止エラーを解除して、自律走行作業装置2へと停止解除命令を送信し、また、一の操作端末4に固有の遠隔操作画面70を遠隔操作可能にする。自律走行作業装置2は、停止解除命令に応じて遠隔操作を受け付け可能にする。
【0182】
このような構成により、走行作業情報処理システム1では、施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインしていないために、自律走行作業装置2が進入禁止領域への進入を禁止されて強制停止している場合でも、施設責任者の操作端末4が管理サーバ3にログインした場合に、自律走行作業装置2の強制停止を解除することができる。このとき、自律走行作業装置2の遠隔操作を受け付ける状態に変更し、また、自律走行作業装置2を遠隔操作で進入禁止領域へと進入させることもできる。これにより、適切にセキュリティを保持しつつ、自律走行作業装置2の走行清掃を継続することができ、利便性を向上することができる。
【0183】
また、第1の実施形態では、走行作業情報処理システム1では、自律走行作業装置2は、洗剤を床面に散布して床面の清掃作業を行う清掃部12を備える。管理サーバ3は、洗剤の散布操作を遠隔操作画面70において受け付け可能にする。一の操作端末4によって遠隔操作画面70において洗剤の散布操作が行われると、自律走行作業装置2は、洗剤の散布作業が妥当か否かを判定し、洗剤の散布作業が不当である場合には、自律走行作業装置2の作業停止エラーを発生して、走行作業を強制的に停止して遠隔操作を受け付け不能にし、また、管理サーバ3へと作業停止エラーを通知する。管理サーバ3は、作業停止エラーの通知に応じて、一の操作端末4に固有の遠隔操作画面70を遠隔操作不能にする。
【0184】
このような構成により、走行作業情報処理システム1では、遠隔操作に応じた自律走行作業装置2の作業内容の妥当性を、その作業の実行前に判断することで、作業内容に問題がある場合には、その作業を実行せずに自律走行作業装置2を強制停止する。これにより、問題のある作業を未然に防止し、適切な運用を行うことができる。
【0185】
次に、第2の実施形態の走行作業情報処理システム1について説明する。以下、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態の走行作業情報処理システム1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0186】
第2の実施形態では特に、走行作業情報処理システム1は、一の操作端末4が自律走行作業装置2の遠隔操作を行う場合に、他の操作端末4による自律走行作業装置2の遠隔操作を不能にする。
【0187】
第2の実施形態では、管理サーバ3において、装置端末間紐付部45は、一の自律走行作業装置2に対して2台以上の操作端末4が紐付けられるとき、一の操作端末4の遠隔操作画面70において一の自律走行作業装置2の走行操作が行われた場合には、一の操作端末4に対応する一の利用者に対して、一の自律走行作業装置2の走行操作の走行操作権を示す操作権フラグを設定する。例えば、装置端末間紐付部45は、一の自律走行作業装置2と、一の操作端末4と、一の利用者とを関連付けた操作権フラグ情報をサーバ側記憶部41に記憶する。
【0188】
この場合、装置端末間紐付部45は、画面制御部46によって、一の操作端末4の遠隔操作画面70のみにおいて、自律走行作業装置2の走行操作を受け付ける一方、他の操作端末4の遠隔操作画面70において、自律走行作業装置2の走行操作を受け付け不能にし、例えば、走行操作欄75を非表示に、または操作不能に表示する。なお、その後に一の自律走行作業装置2に対して紐付けられた他の操作端末4についても、画面制御部46は、遠隔操作画面70において、当該自律走行作業装置2の走行操作を受け付け不能にする。また、画面制御部46は、他の操作端末4の遠隔操作画面70において、カメラ操作や清掃操作についても操作不能にしてよいが、他の操作端末4の利用者の所属や利用者種別、操作レベルに応じて操作可能に設定してもよい。
【0189】
装置端末間紐付部45は、一の操作端末4に対して自律走行作業装置2の走行操作権を有することを通知する一方、他の操作端末4に対して、自律走行作業装置2の走行操作権を一の操作端末4(即ち、一の利用者)が有することや、他の操作端末4が自律走行作業装置2の走行操作権を有していないことを通知する。例えば、装置端末間紐付部45は、画面制御部46によって、他の操作端末4の遠隔操作画面70において、自律走行作業装置2の走行操作権を一の操作端末4(即ち、一の利用者)が有することを表示してもよい。
【0190】
更に、装置端末間紐付部45は、操作権フラグを設定した一の操作端末4による自律走行作業装置2の走行操作が終了したとき、操作権フラグの設定を解除して、サーバ側記憶部41に記憶した操作権フラグ情報を削除する。例えば、装置端末間紐付部45は、操作権フラグを設定した一の操作端末4が、管理サーバ3からログアウトしたときや、自律走行作業装置2の選択を解除して紐付けを解除したときや、自動走行清掃の再開ボタン(図示せず)や遠隔操作終了ボタン(図示せず)やの操作が行われたときに、自律走行作業装置2の走行操作を終了したと判定してよい。
【0191】
また、装置端末間紐付部45は、一の操作端末4(即ち、一の利用者)の操作権フラグの設定を解除すると、他の操作端末4に対して自律走行作業装置2の走行操作権を取得するか否かを問い合わせ、例えば、画面制御部46によって、その問い合わせ画面(図示せず)を他の操作端末4に操作可能に表示する。その問い合わせを受けた他の操作端末4が走行操作権の取得の承諾を返答すると、装置端末間紐付部45は、当該他の操作端末4に対応する他の利用者に対して、当該自律走行作業装置2の走行操作の走行操作権を示す操作権フラグを設定する。
【0192】
この場合、装置端末間紐付部45は、画面制御部46によって、操作権フラグを設定した他の操作端末4の遠隔操作画面70のみにおいて、当該自律走行作業装置2の走行操作を受け付ける一方、一の操作端末4やその他の操作端末4の遠隔操作画面70において、当該自律走行作業装置2の走行操作を受け付け不能にする。
【0193】
なお、自律走行作業装置2に対して、一の操作端末4以外に、2台以上の他の操作端末4が紐付けられるときには、装置端末間紐付部45は、所定の問い合わせ順に、他の操作端末4に対して走行操作権を取得するか否かを問い合わせる。例えば、画面制御部46は、他の操作端末4が紐付けられた順に問い合わせ順を設定し、あるいは、他の操作端末4の利用者の所属や利用者種別、操作レベルに基づいて問い合わせ順を設定してよい。
【0194】
また、他の実施形態として、自律走行作業装置2に対して2台以上の操作端末4が紐付けられるときに、一の操作端末4に操作権フラグを設定した場合であっても、遠隔操作の優先順位が一の操作端末4よりも高い他の操作端末4に対して、遠隔操作画面70において、遠隔操作の割り込み入力を受け付けてもよい。例えば、装置端末間紐付部45は、各利用者の所属や利用者種別、操作レベルに基づいて、遠隔操作の優先順位を設定するとよい。そして、優先順位の高い他の操作端末4の遠隔操作画面70において、遠隔操作の割り込み入力が行われた場合、装置端末間紐付部45は、一の操作端末4の操作権フラグの設定を解除して、当該他の操作端末4に操作権フラグを設定する。このとき、装置端末間紐付部45は、一の操作端末4に対して、当該他の操作端末4に操作権フラグを設定することや、一の操作端末4の操作権フラグの設定を解除することを通知する。
【0195】
次に、第2の実施形態の走行作業情報処理システム1において、第1の操作端末4aおよび第2の操作端末4bのうち、第1の操作端末4aに対して自律走行作業装置2の遠隔操作の操作権フラグを設定する動作例を、
図24のフローチャートを参照しながら説明する。
【0196】
先ず、走行作業情報処理システム1では、清掃エリアの自動走行清掃を行うために、自律走行作業装置2を清掃エリアの清掃開始位置(スタート位置)に配置する(ステップS101)。第1の操作端末4aは、第1の実施形態の
図16に示すステップS2、S3、S5と同様にして、自律走行作業装置2を操作する操作者によって操作されて、管理サーバ3へのログイン処理、自律走行作業装置2の選択を行う(ステップS102)。管理サーバ3では、第1の実施形態の
図16に示すステップS4、S6と同様にして、第1の操作端末4aのログインを認証し、自律走行作業装置2と第1の操作端末4aとを紐付ける(ステップS103)。
【0197】
また、自律走行作業装置2は、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61などの各種データを取得して、管理サーバ3へと送信する(ステップS104)。管理サーバ3は、自律走行作業装置2から受信した第1撮影データ60や第2撮影データ61などの各種データに基づいて、自律走行作業装置2を遠隔操作可能な遠隔操作画面70を作成し(ステップS105)、第1の操作端末4aに提示する。
【0198】
このとき、第1の操作端末4aは、管理サーバ3から提示された、自律走行作業装置2を遠隔操作可能な遠隔操作画面70を閲覧表示する(ステップS106)。また、第1の操作端末4aは、自律走行作業装置2を操作する操作者によって遠隔操作画面70を操作されて、自律走行作業装置2の遠隔操作が行われると、遠隔操作を管理サーバ3へと送信する(ステップS107)。
【0199】
管理サーバ3は、第1の操作端末4aから受信した遠隔操作に基づいて遠隔操作命令を自律走行作業装置2へと送信する(ステップS108)。第1の操作端末4aからの遠隔操作を受け付けた管理サーバ3は、第1の操作端末4aに走行操作権を与えるように第1の操作端末4aに自律走行作業装置2の操作権フラグを設定する(ステップS109)。また、自律走行作業装置2は、管理サーバ3から受信した遠隔操作命令に基づいて遠隔走行清掃を行う(ステップS110)。
【0200】
更に、第2の操作端末4bは、第1の操作端末4aと同様にして、自律走行作業装置2を操作する操作者によって操作されて、管理サーバ3へのログイン処理、自律走行作業装置2の選択を行う(ステップS111)。管理サーバ3では、第1の操作端末4aと同様にして、第2の操作端末4bのログインを認証し、自律走行作業装置2と第2の操作端末4bとを紐付ける(ステップS112)。
【0201】
また、自律走行作業装置2は、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61などの各種データを取得して、管理サーバ3へと送信する(ステップS113)。管理サーバ3は、既に、第1の操作端末4aに操作権フラグが設定されていることを確認すると(ステップS114)、自律走行作業装置2を遠隔操作不能な遠隔操作画面70を作成し(ステップS115)、第2の操作端末4bに提示する。
【0202】
このとき、第1の操作端末4aは、管理サーバ3から提示された、自律走行作業装置2を遠隔不能可能な遠隔操作画面70を閲覧表示する(ステップS116)。
【0203】
次に、第2の実施形態の走行作業情報処理システム1において、第1の操作端末4aに設定された操作権フラグを解除して、第2の操作端末4bに設定する動作例を、
図25のフローチャートを参照しながら説明する。
【0204】
先ず、走行作業情報処理システム1では、第1の操作端末4aは、自律走行作業装置2を操作する操作者によって操作されて、管理サーバ3へのログアウト処理を行う(ステップS121)。管理サーバ3では、第1の操作端末4aのログアウトを認証し、自律走行作業装置2と第1の操作端末4aとの紐付を解除し(ステップS122)、ログアウトした第1の操作端末4aに設定されていた操作権フラグを解除する(ステップS123)。
【0205】
また、管理サーバ3は、第2の操作端末4bに対して自律走行作業装置2の走行操作権を取得するか否かを問い合わせる(ステップS124)。第2の操作端末4bは、管理サーバ3からの問い合わせに応じて走行操作権の取得の承諾を返答すると(ステップS125)、管理サーバ3は、第2の操作端末4bに対して、自律走行作業装置2の操作権フラグを設定する(ステップS126)。
【0206】
また、自律走行作業装置2は、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61などの各種データを取得して、管理サーバ3へと送信する(ステップS127)。管理サーバ3は、自律走行作業装置2から受信した第1撮影データ60や第2撮影データ61などの各種データに基づいて、自律走行作業装置2を遠隔操作可能な遠隔操作画面70を作成し(ステップS128)、第2の操作端末4bに提示する。
【0207】
このとき、第2の操作端末4bは、管理サーバ3から提示された、自律走行作業装置2を遠隔操作可能な遠隔操作画面70を閲覧表示する(ステップS129)。
【0208】
上記のように、第2の実施形態によれば、走行作業情報処理システム1では、管理サーバ3は、自律走行作業装置2の走行操作を遠隔操作画面70において受け付け可能にし、一の操作端末4によって遠隔操作画面70において自律走行作業装置2の走行操作が行われると、管理サーバ3は、一の操作端末4に対応する一の利用者に対して、自律走行作業装置2の走行操作の走行操作権を示す操作権フラグを設定し、他の操作端末4に固有の遠隔操作画面70において、自律走行作業装置2の走行操作を受け付け不能にする。
【0209】
このような構成により、走行作業情報処理システム1では、同等の権限情報を有する利用者の各操作端末4が同時期に管理サーバ3にログインしていて、同じ自律走行作業装置2を選択している場合でも、一方の操作端末4のみに、走行操作権を与えることができる。そのため、自律走行作業装置2は、一方の操作端末4からの遠隔操作のみを受け付けて、他方の操作端末4からの遠隔操作を受け付けないので、2台以上の操作端末4からの遠隔操作が重複したり混線したりすることがない。これにより、自律走行作業装置2が不適切に操作不能になることを防ぎ、また、自律走行作業装置2が遠隔操作と異なる走行清掃を行うことを防ぐことができるので、自律走行作業装置2の障害物への衝突などのトラブルを未然に防ぐことができる。
【0210】
また、本実施形態では、走行作業情報処理システム1では、操作権フラグを設定した一の操作端末4による自律走行作業装置2の走行操作が終了すると、管理サーバ3は、操作権フラグの設定を解除し、他の操作端末4に対して走行操作権を取得するか否かを問い合わせ、他の操作端末4によって走行操作権の取得を承諾した場合には、他の操作端末4に固有の遠隔操作画面70において、自律走行作業装置2の走行操作を受け付け可能にする。
【0211】
このような構成により、走行作業情報処理システム1では、一度、一方の操作端末4に走行操作権が与えられた場合でも、その後、自律走行作業装置2の運用を止めることなく、他方の操作端末4へと走行操作権の受け渡しを効率的かつ適切に行うことができる。
【0212】
また、上記した実施形態では、管理サーバ3の画面制御部46が遠隔操作画面70を作成してウェブサイト上の画面として提示し、管理サーバ3にログインした操作端末4に遠隔操作画面70を閲覧表示させる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の実施形態では、画面制御部46は、第1撮影データ60や第2撮影データ61などの撮影データと、各利用者の閲覧設定とを操作端末4へと送信し、操作端末4がこれらに基づいて遠隔操作画面70を作成して表示するように構成されてもよい。
【0213】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う走行作業情報処理システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明は、自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置によって、ショッピングモールなどの商業施設の床面の清掃作業や、工場、鉄道ターミナルなどの作業エリアの自動作業を行う、自動床面洗浄・清掃装置やカメラで監視を行う警備装置などの産業用(業務用)作業ロボットを備えた走行作業情報処理システムに好適に利用することができる。また、本発明は、清掃エリアを走行清掃する清掃ロボットなどを自律走行作業装置として備える走行作業情報処理システムに限らず、作業エリアを遠隔操作に応じて走行して周囲を監視、警備する警備用ロボットなどを備える走行作業情報処理システムに適用することもできる。
【符号の説明】
【0215】
1 走行作業情報処理システム
2 自律走行作業装置
3 管理サーバ
4 操作端末
11 走行部
12 清掃部(作業部)
13 計測部
15 第1撮影部
16 第2撮影部
20 装置側制御部
34 再現制御部
35 遠隔操作制御部
40 サーバ側制御部
45 装置端末間紐付部
46 画面制御部
47 遠隔操作命令部
48 エラー制御部
50 端末側制御部
53 表示部
57 表示制御部
58 操作入力部
60 第1撮影データ
61 第2撮影データ
70 遠隔操作画面