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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149548
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】建物の壁構造および角部留め部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20231005BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E04B1/94 K
E04F13/08 101B
E04B1/94 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058180
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ バン ニー
(72)【発明者】
【氏名】藤井 良清
(72)【発明者】
【氏名】針金 奏一郎
(72)【発明者】
【氏名】木下 晃一
(72)【発明者】
【氏名】井田 勇治
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001EA06
2E001EA09
2E001FA52
2E001FA53
2E001FA73
2E001GA12
2E001HA03
2E001JA02
2E001LA01
2E110AA02
2E110AB04
2E110AB23
2E110CA08
2E110CC04
2E110CC12
2E110CC25
2E110DA04
2E110DA10
2E110DA12
2E110EA06
2E110GA33W
2E110GB02Y
2E110GB16W
2E110GB62Y
(57)【要約】
【課題】内装ボードを固定する縦下地材と横下地材の交差箇所での火災時における内装ボードめくれを抑制できる建物の壁構造および角部留め部材を提供する。
【解決手段】この壁構造は、内装ボードである石こうボード1を固定する縦下地材2および横下地材3を有する建物の壁構造であり、上記縦下地材2と上記横下地材3が交差する交差箇所20の周囲側となる上記縦下地材2と上記横下地材3とによる凹角に位置する角部留め部材6を有しており、この角部留め部材6の4つのボード固定面部に上記石こうボード1の角部を固定するボード固定ビス5がねじ込まれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装ボードを固定する下地材として縦下地材および横下地材を有する建物の壁構造であって、上記縦下地材と上記横下地材が交差する交差箇所の周囲の凹角に、上記下地材の屋内側面と略面一でボード固定面部を位置させた角部留め部材が設けられており、上記ボード固定面部に上記内装ボードの角部がビスにより固定されていることを特徴とする建物の壁構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物の壁構造において、上記交差箇所にも上記内装ボードの角部がビスにより固定されていることを特徴とする建物の壁構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建物の壁構造において、上記角部留め部材は、上記縦下地材に取り付けられることを特徴とする建物の壁構造。
【請求項4】
請求項3に記載の建物の壁構造において、上記角部留め部材は、上記横下地材を保持する保持部を備えることを特徴とする建物の壁構造。
【請求項5】
請求項4に記載の建物の壁構造に用いられる角部留め部材であって、上記ボード固定面部と、当該角部留め部材を上記縦下地材に取り付ける取付面部と、上記保持部と、を備えることを特徴とする角部留め部材。
【請求項6】
請求項5に記載の角部留め部材において、中央側板部と、この中央側板部の両側で当該中央側板部に段を介して平行に形成されたサイド平板部とを有しており、縦断面が略ハット形状であることを特徴とする角部留め部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防耐火性を有する建物の壁構造および角部留め部材に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、石こうボード83が上下に分けられて配置された内壁構造では、縦下地材81の他、下側の石こうボード83の上辺部および上側の石こうボード83の下辺部がビス固定される横下地材82も備えている。そして、縦下地材81と横下地材82が交差する交差箇所Xでは、上側2枚の石こうボード83の下側の右角と左角が位置し、下側2枚の石こうボード83の上側の右角と左角が位置する。室内側から石こうボード83の各角にねじ込まれたビス84がさらに上記交差箇所Xにねじ込まれることで、上記の各角が上記交差箇所Xに固定される。
【0003】
なお、特許文献1には、外壁材とラチス材との間に配置された断熱部と、この断熱部から外側へ延出されて一対の鉄骨柱に取付けられる取付部とを備え、上記一対の鉄骨柱間の貫通部を通過可能に形成された断熱材と、上記一対の鉄骨柱に上記取付部を取付ける取付手段と、を有する耐火壁構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-19629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物の室内火災時には、上記石こうボード83が火災の熱で収縮する現象が発生する。しかしながら、図10に示すように、上記交差箇所Xは、石こうボード83におけるビス84の留め付け箇所の縦方向および横方向の端あきが約10mm程度と小さいため、石こうボード83の収縮によって上記ビス84の周囲で割れが発生し、石こうボード83の角がめくれ始めてやがて脱落することが起きる。このように、石こうボード83の一部が脱落すると、その部分での熱の入り込みを許してしまうため、防耐火性能が低下するおそれがある。なお、上記特許文献1には、このような問題を解決できる構造は示されていない。
【0006】
この発明は、内装ボードを固定する縦下地材と横下地材の交差箇所での火災時における内装ボードめくれを抑制できる建物の壁構造および角部留め部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の建物の壁構造は、内装ボードを固定する下地材として縦下地材および横下地材を有する建物の壁構造であって、上記縦下地材と上記横下地材が交差する交差箇所の周囲の凹角に、上記下地材の屋内側面と略面一でボード固定面部を位置させた角部留め部材が設けられており、上記ボード固定面部に上記内装ボードの角部がビスにより固定されていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記交差箇所の周囲側に位置する上記角部留め部材のボード固定面部に上記内装ボードの角がビス固定されるので、この角に対するビス固定位置の上記内装ボードの端あきが大きくなり、室内火災時に上記内装ボードが収縮しても、上記ビスの周囲での内装ボードの割れを抑制できる。これにより、上記内装ボードの角がめくれ始めて脱落するのを抑制することができ、防耐火性能が低下するのを回避することができる。
【0009】
上記交差箇所にも上記内装ボードの角部がビスにより固定されてもよい。これによれば、上記内装ボードの角部を固定するビスの本数が増えるので、上記内装ボードの角のめくれの抑制力を高めることができる。
【0010】
上記建物の壁構造において、上記角部留め部材は、上記縦下地材に取り付けられてもよい。また、この構成において、上記角部留め部材は、上記横下地材を保持する保持部を備えてもよい。これによれば、上記横下地材は、上記角部留め部材を介して間接的に上記縦下地材に取り付けられるので、上記横下地材を上記縦下地材に取り付ける専用の金物或いはステープラを省くことができる。
【0011】
また、この発明の角部留め部材は、上記建物の壁構造に用いる角部留め部材であって、上記ボード固定面部と、当該角部留め部材を上記縦下地材に取り付ける取付面部と、上記保持部と、を備えることを特徴とする。この角部留め部材を用いると、上記横下地材を、上記縦下地材に上記角部留め部材を介して間接的に取り付ける構造とすることができる。
【0012】
上記角部留め部材は、中央側板部と、この中央側板部の両側で当該中央側板部に段を介して平行に形成されたサイド平板部とを有しており、縦断面が略ハット形状でであってもよい。これによれば、例えば、上記中央側板部を上記縦下地材の屋外側面に対面配置して、当該角部留め部材を上記縦下地材に固定すること等が可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明であれば、内装ボードを固定する縦下地材と横下地材の交差箇所での火災時における内装ボードのめくれを抑制でき、防耐火性能が低下するのを回避することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の建物の壁構造の室内側から見た正面図およびこの正面図のA-A矢視断面図である。
図2】実施形態の建物の壁構造で用いることができる縦下地材と横下地材の金物による相互固定を示した説明図である。
図3】実施形態の建物の壁構造における縦下地材と横下地材が交差する交差箇所の拡大説明図である。
図4】実施形態の建物の壁構造の縦下地材と横下地材が交差する交差箇所および角部留め部材を示した拡大斜視図である。
図5図3のB-B矢視断面の概略の拡大図である。
図6図4のC-C矢視断面の概略の拡大図である。
図7】他の実施形態を示す図であって、縦下地材と横下地材が交差する交差箇所および角部留め部材を示した拡大斜視図である。
図8】他の実施形態を示す図であって、縦下地材と横下地材が交差する交差箇所および角部留め部材を示した斜視図である。
図9】従来の建物の壁構造の室内側から見た正面図およびこの正面図のD-D矢視断面図である。
図10図9の交差箇所Xの拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、この建物の壁構造は、外壁部101と内壁部102とを備えており、上記内壁部102においては、内装ボードである石こうボード1が、下側の石こうボード1と上側の石こうボード1とに分けられて配置されている。このように上下に分離配置される石こうボード1を備える構造では、下地材として、縦下地材2の他、下側の石こうボード1の上辺部および上側の石こうボード1の下辺部がビス固定される横下地材3も備えている。また、柱4が位置する箇所では、縦下地材2は、当該柱4に対して横方向に離間している。また、石こうボード1の左辺部および右辺部の他、中央側部分も縦下地材2にビス固定される。より具体的には、上記縦下地材2および横下地材3に対する上記石こうボード1のビス固定は、室内側から石こうボード1にねじ込んだボード固定ビス5を、上記縦下地材2および横下地材3にさらにねじ込むことにより行われる。
【0016】
縦下地材2および横下地材3は、木材或いは軽量鉄骨からなる。木材の場合、縦下地材2に横下地材3が例えばステープラにより固定される。軽量鉄骨の場合は、例えば、図2に示すように、固定金物31を用いることができる。この固定金物31の両側の平板部は、縦下地材2の側面にビス固定される。そして、固定金物31の中央側部分が横下地材3の端部開口に挿入されることで、この固定金物31を介して、横下地材3が縦下地材2に間接的に保持される。
【0017】
このように、縦下地材2に横下地材3が支持されることで、これら縦下地材2と横下地材3とによる交差箇所20ができる。この交差箇所20は縦下地材2からなる。
【0018】
ただし、以下の例では、上記固定金物31およびステープラを用いないで、木材或いは軽量鉄骨の横下地材3を、後述する角部留め部材6によって、間接的に保持する構造例を示す。また、その後の別の例においては、上記固定金物31やステープラを用いて横下地材3を保持する構造例を示す。
【0019】
図3に示すように、上記交差箇所20には、下側2枚の石こうボード1の右側上角部と左側上角部が位置するとともに、上側2枚の石こうボード1の右側下角部と左側下角部が位置している。そして、この交差箇所20に角部留め部材6が装着されている。
【0020】
図4にも示すように、角部留め部材6は、縦下地材2と横下地材3が交差する交差箇所20の周囲側となる上記縦下地材2と上記横下地材3とによる4つの凹角に嵌る部材であり、上記石こうボード1の角部を固定する上記ボード固定ビス5(図4ではビス位置を仮想線で示し、このビス位置に符号5を付記している。)がねじ込まれるボード固定面部61と、当該角部留め部材6を上記縦下地材2に取り付ける取付面部62と、上記横下地材3を保持する保持部63と、を備える。また、これらの部位は繋ぎ面により繋がれて一体化されている。この角部留め部材6は、例えば、鋼板をプレス加工することにより作製することができる。
【0021】
ボード固定面部61は、上記4つの凹角において、上記縦下地材2の屋内側面と略面一に位置する縦面部位であり、上記の上側2枚の石こうボード1の右側下角部と左側下角部とに対面するとともに、下側2枚の石こうボード1の右側上角部と左側上角部とに対面する。
【0022】
取付面部62は、上記縦下地材2の屋外側面に対面する縦面部位であり、屋外側からねじ込まれる1本の取付ビス51(図4ではビス位置を仮想線で示し、このビス位置に符号51を付記している。)によって上記縦下地材2に取り付けられている。
【0023】
保持部63は、各ボード固定面部61から屋外方向に延びる水平面部を有しており、上記横下地材3の上面および下面に接する。そして、各横下地材3の上面に接する上記保持部63の部分に上側から1本の下地固定ビス52(図4ではビス位置を仮想線で示し、このビス位置に符号52を付記している。)がねじ込まれることで、各横下地材3が保持部63を介して上記縦下地材2に支持される。なお、ビス5,51,52は、下孔無しでねじ込まれる。
【0024】
図5図3のB-B矢視断面の概略図である。この図5に示されるように、上記角部留め部材6は、中央側板部(取付面部62)と、この中央側板部の両側で当該中央側板部に段を介して平行に形成されたサイド平板部(ボード固定面部61)とを有し、横断面が略ハット形状であるハット形部を有する。
【0025】
同様に、図6図3のC-C矢視断面の概略図である。この図6に示されるように、上記角部留め部材6は、中央側板部(上下の保持部63を屋外側で繋ぐ繋ぎ面)と、この中央側板部の両側で当該中央側板部に段を介して平行に形成されたサイド平板部(ボード固定面部61)とを有し、縦断面が略ハット形状であるハット形部を有する。
【0026】
上記建物の壁構造においては、上記石こうボード1の角部を、上記角部留め部材6のボード固定面部61に、上記ボード固定ビス5によって固定するとともに、上記交差箇所20にも、上記石こうボード1の角部を、上記ボード固定ビス5によって固定している。
【0027】
上記の壁構造であれば、上記交差箇所20の周囲側に位置する上記角部留め部材6のボード固定面部61に石こうボード1の角がビス固定されるので、この角に対するビス固定位置の上記石こうボード1の端あきを、例えば、縦横それぞれ約30mm程度に大きくできるため、室内火災時に上記石こうボード1が収縮しても、上記ボード固定ビス5の周囲での石こうボード1の割れを抑制できる。これにより、石こうボード1の角がめくれ始めて脱落するのを抑制でき、防耐火性能が低下するのを回避することができる。
【0028】
また、図5および図6に示したように、上記交差箇所20にも石こうボード1の角部を固定するボード固定ビス5がねじ込まれていると、石こうボード1の角部を固定するボード固定ビス5の本数が多くなるので、石こうボード1の角のめくれ抑制力を高めることができる。
【0029】
また、角部留め部材6は、その取付面部62において屋外側からねじ込まれる1本の取付ビス51によって上記縦下地材2に取り付けられるので、取付施工が簡単になる。さらに、上記角部留め部材6であれば、上記横下地材3の上面に接する上記保持部63に上側からねじ込まれた1本の下地固定ビス52によって、横下地材3が保持部63を介して縦下地材2に固定される。すなわち、上記の固定金物31を用いない構造とすることができる。
【0030】
また、角部留め部材6を備える壁構造であれば、縦下地材2の屋外側に取付面部62が位置し、また、横下地材3の屋外側に繋ぎ部が位置するので、屋外側からの火炎に対する下地材の遮熱性や遮炎性が向上する。さらに、石こうボード1の薄型化等も図ることができる。また、角部留め部材6は、横下地材3を保持する保持部63を有するので、この横下地材3を縦下地材2に取り付ける際に、上記保持部63によって上記横下地材3の通りを正確に出すことも容易になる。
【0031】
次に、上記角部留め部材6を用いない壁構造例について説明していく。この壁構造例では、図7に示すように、2個の角部留め部材6Aを用いている。そして、この構成では、上記縦下地材2に対する上記横下地材3の固定は、上記固定金物31により行っている。
【0032】
角部留め部材6Aは、石こうボード1の角部を固定するボード固定ビス5がねじ込まれるボード固定面部61と、当該角部留め部材6Aを縦下地材2に取り付ける取付面部62とを備える。そして、上側の角部留め部材6Aは、縦下地材2と横下地材3が交差する交差箇所20の上側の2つの凹角に位置しており、下側の角部留め部材6Aは、縦下地材2と横下地材3が交差する交差箇所20の下側の2つの凹角に位置している。
【0033】
これら角部留め部材6Aにおいても、中央側板部(取付面部62)と、この中央側板部の両側で当該中央側板部に段を介して平行に形成されたサイド平板部(ボード固定面部61)とを有し、横断面が略ハット形状となっている。
【0034】
上記角部留め部材6Aを用いた壁構造でも、石こうボード1の角部におけるビス固定箇所の端あきを、例えば、縦横それぞれ約30mm程度に大きくできるため、火災時に上記石こうボード1が収縮しても、上記ボード固定ビス5の周囲での石こうボード1の割れを抑制できる。これにより、上記石こうボード1の角がめくれ始めて脱落するのを抑制し、防耐火性能が低下するのを回避できる。
【0035】
なお、上記の例では、2つのボード固定面部61が横に並ぶように角部留め部材6Aを配置したが、2つのボード固定面部61が縦に並ぶように角部留め部材6Aを配置することもできる。この構成では、角部留め部材6Aは横下地材3にビス固定される。
【0036】
また、上記角部留め部材6Aの変形例として、2個の角部留め部材6A同士が取付面部62で繋がれた一体部材とすることもできる。この一体部材は、取付面部62に屋外側からねじ込まれる1本の取付ビス51によって縦下地材2に取り付けられてもよい。
【0037】
次に、上記角部留め部材6,6Aを用いない他の壁構造例について説明する。この壁構造例では、例えば、交差箇所20の方形よりも大きい方形状を有する平鋼板からなる角部留め部材を用い、この方形状の角部留め部材を上記交差箇所20の屋内側に接着剤等で仮接着しておく。そして、石こうボード1の取付時に、上記縦下地材2の交差箇所20およびその周囲側に位置する上記角部留め部材である平鋼板の隅部において、上記石こうボード1に屋内側からボード固定ビス5をねじ込む。かかる構造では、当該角部留め部材である平鋼板の四隅部が上記石こうボード1の角部を固定するボード固定面部となり、上記平鋼板の中央側部分が当該角部留め部材を上記縦下地材2に取り付ける取付面部となる。
【0038】
また、角部留め部材として鋼材アングルを用いることもできる。例えば、上記交差箇所20の周囲の凹角を形成している縦下地材2または横下地材3に、当該鋼材アングルの一面を取付面部としてビス固定し、他の面をボード固定面部とする。
【0039】
次に、上記角部留め部材6、6Aを用いない他の壁構造例について説明する。この壁構造例では、図8に示すように、角部留め部材6Bを用いる。角部留め部材6Bは、上記の固定金物31の両側の平板部にボード固定面部61が曲げ形成された部材に相当するものであり、このボード固定面部61と、当該角部留め部材6Bを縦下地材2に取り付ける取付面部62と、横下地材3を保持する保持部63と、を備えたものとなる。
【0040】
このような角部留め部材6Bは、中央側板部(保持部63)と、この中央側板部の両側で当該中央側板部に段を介して平行に形成されたサイド平板部(取付面部62)とを有し、縦断面が略ハット形状である。上記ボード固定面部61は、上記サイド平板部(取付面部62)の屋内側縁から延設されており、縦下地材2の屋内面と略面一に位置する。
【0041】
上記角部留め部材6Bを用いた壁構造でも、石こうボード1の角部におけるビス固定箇所の端あきを、例えば、縦横それぞれ約30mm程度に大きくできるため、火災時に上記石こうボード1が収縮しても、上記ボード固定ビス5の周囲での石こうボード1の割れを抑制できる。これにより、上記石こうボード1の角がめくれ始めて脱落するのを抑制し、防耐火性能が低下するのを回避できる。
【0042】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 :石こうボード(内装ボード)
2 :縦下地材
3 :横下地材
4 :柱
5 :ボード固定ビス
6 :角部留め部材
6A :角部留め部材
6B :角部留め部材
20 :交差箇所
31 :固定金物
51 :取付ビス
52 :下地固定ビス
61 :ボード固定面部
62 :取付面部
63 :保持部
101 :外壁部
102 :内壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10